(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123433
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】シューターおよびこれを備える移送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 47/52 20060101AFI20240905BHJP
B65G 47/34 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B65G47/52 101Z
B65G47/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030839
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】508079304
【氏名又は名称】愛知機械テクノシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】堀野 隆司
【テーマコード(参考)】
3F015
3F044
【Fターム(参考)】
3F015AA06
3F015BA03
3F015CA01
3F044AA01
3F044AB08
3F044AB19
3F044AB39
3F044CA10
3F044CD08
3F044CE01
3F044CE07
3F044CE30
3F044CE33
3F044CE47
(57)【要約】
【課題】簡易、かつ、合理的な構成で移送対象物を搬送車へ移載することが可能な技術を提供すること。
【解決手段】移載領域TRの下流側端部にストッパー6,6を配置すると共に、規制バー80a,80aが中間領域MRに配置されるように、ストッパー8,8をシューター2に配置し、さらに、移載領域TRに台車踏台10,10を配置する。ストッパー6は、搬送車4のレバー66への接触に起因して、規制状態と規制解除状態との間で状態を変更する。ストッパー8は、荷物W1および荷物W2への当接によって規制状態となり、荷物W1との当接が解除され、かつ、荷物W2から押圧されることで揺動して規制解除状態となる。このように、電気的な制御を用いることなくストッパー6,6およびストッパー8,8を作動させて、荷物W1(パレットP1)を台車42に移載することができる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車によって移送される移送対象物を複数載置可能であると共に、前記移送対象物を前記搬送車へ移載するために前記移送対象物を順次搬送可能なシューターであって、
前記移送対象物を載置可能な載置面と、前記移送対象物を前記搬送車へ移載するための領域である移載領域と、前記移送対象物の搬送方向において前記移載領域よりも上流側に配置された待機領域と、前記移載領域と前記待機領域との間に配置された中間領域と、を有すると共に、前記搬送方向に沿って延在すると共に互いに平行に配置された第1および第2レールと、
前記移載領域に配置された前記移送対象物としての第1移送対象物が前記搬送方向へ移動することを規制可能な第1ストッパーと、
前記待機領域に配置された前記移送対象物であって前記第1移送対象物に隣接して配置された第2移送対象物が前記搬送方向へ移動することを規制可能な第2ストッパーと、
を備え、
前記第1ストッパーは、前記第1移送対象物に当接することで該第1移送対象物の前記搬送方向への移動を規制可能な規制部と、鉛直方向の上方から見たときの仮想投影面上における前記第1レールの投影および前記第2レールの投影を含む該第1レールの投影と前記第2レールの投影との間の領域であって,前記搬送車が当接可能な位置に配置された当接部と、前記規制部および前記当接部を接続する接続部と、を有しており、
前記規制部は、前記第1移送対象物の前記搬送方向への移動を規制する規制状態と、前記第1移送対象物の前記搬送方向への移動を許容する規制解除状態と、の間で状態変更可能であり、
前記当接部は、前記搬送車が当接する前の状態である非当接状態と、前記搬送車が当接したときの状態である当接状態と、の間で状態変更可能であり、
前記接続部は、前記当接部が前記非当接状態のときには、前記規制部を前記規制状態とし、記当接部が前記当接状態のときには、前記規制部を前記規制解除状態とするよう前記規制部および前記当接部を接続し、
前記第2ストッパーは、前記搬送方向および鉛直方向の両方向に直交する方向に軸線を有する支持軸と、前記第1移送対象物および前記第2移送対象物に当接可能なよう前記中間領域に配置された第1部分と、前記支持軸に関して前記第1部分が配置された側とは異なる側に配置された第2部分と、を有すると共に、前記支持軸を支点に揺動可能であり、
前記第2部分は、前記第1部分よりも大きい重量を有している
シューター。
【請求項2】
前記規制状態は、前記規制部が前記鉛直方向において前記載置面よりも上方に突出した状態であり、
前記規制解除状態は、前記規制部が前記鉛直方向において前記載置面よりも下方に引っ込んだ状態である
請求項1に記載のシューター。
【請求項3】
前記規制部は、前記鉛直方向において前記載置面よりも上方に配置されており、
前記規制状態は、前記仮想投影面上における前記規制部の投影が、前記第1レールの投影および前記第2レールの投影を含む前記第1レールの投影と前記第2レールの投影との間の領域の内側に配置される状態であり、
前記規制解除状態は、前記仮想投影面上における前記規制部の投影が、前記第1レールの投影および前記第2レールの投影を含む前記第1レールの投影と前記第2レールの投影との間の領域の外側に配置される状態である
請求項1に記載のシューター。
【請求項4】
移送対象物を移送するための移送システムであって、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシューターと、
牽引ピンを有すると共に前記シューターに載置された複数の前記移送対象物の下方を走行可能な無人搬送車と、
前記牽引ピンに係合可能な係合部と、前記搬送方向に向かって右側に配置された右側前輪および右側後輪と、前記搬送方向に向かって左側に配置された左側前輪および左側後輪と、鉛直方向の上方に向かって突出する突起と、前記第1移送対象物を載置可能な載置部と、を有し、前記無人搬送車によって牽引されながら前記シューターに載置された複数の前記移送対象物の下方を走行可能な台車と、
前記右側前輪および前記右側後輪が走行可能な第1走行面を有する右踏台と、前記左側前輪および前記左側後輪が走行可能な第2走行面を有する左踏台と、を有し、少なくとも前記移載領域であって、前記仮想投影面上における前記第1レールの投影および前記第2レールの投影を含む該第1レールの投影と前記第2レールの投影との間の領域に配置された台車踏台と、
を備え、
前記第1および第2走行面は、前記搬送方向に向かって上り傾斜を有する第1および第2傾斜面と、該第1および第2傾斜面に連続すると共に前記搬送方向に向かって水平に延在する第1および第2水平面と、を有しており、
前記突起は、前記右側後輪および前記左側後輪が前記第1および第2傾斜面から前記第1および第2水平面に到達したときに、前記第1移送対象物の搬送方向における上流側の端部と、前記第2移送対象物の前記搬送方向における下流側の端部と、の間に位置するよう配置されており、
前記右側前輪、前記右側後輪、前記左側前輪および前記左側後輪が床面に接地する接地部から前記突起の先端までの高さである突起高さは、前記床面から前記載置面までの高さである載置面高さよりも小さく、
前記台車踏台は、前記載置面高さと前記突起高さとの差よりも大きい高さを有している
移送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車によって移送される移送対象物を複数載置可能であると共に、当該移送対象物を搬送車へ移載するために移送対象物を順次搬送可能なシューター、および、これを備える移送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
実開昭63-173123号公報(特許文献1)には、搬送車によって移送される移送対象物を複数載置可能であると共に、移送対象物を搬送車へ移載するための領域である移載領域まで当該移送対象物を順次搬送可能な傾斜コンベアが記載されている。当該傾斜コンベアは、搬送方向の最下流端に配置された第1ストッパーと、移載領域に配置された移送対象物における搬送方向の上流側の端部の上方に配置された第2ストッパーと、を有している。第1ストッパーは、移載領域に配置された移送対象物(第1移送対象物)が,当該移載領域から搬送方向へ移動することを規制する。第2ストッパーは、第1移送対象物を搬送車に移送する際に、移載領域よりも搬送方向において上流側に配置された移送対象物(第2移送対象物)が,移載領域へ移動することを規制する。
【0003】
当該傾斜コンベアによれば、電気的な制御を用いて第1ストッパーや第2ストッパーを作動させることなく、第1移送対象物を搬送車に移載することができると共に、第2移送対象物が移載領域に移動することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した公報に記載の傾斜コンベアを用いて移送対象物を搬送車へ移載するためには、第1移送対象物を載置可能であると共に載置した当該第1移送対象物を第1ストッパーよりも上方に持ち上げると同時に、第2移送対象物の搬送方向における下流側の上端部が第2ストッパーの高さとなるまで当該第2移送対象物を持ち上げる移載テーブルを搬送車に設ける必要がある。工場の生産ラインなどにおいては、搬送車は複数台が走行していることが一般的であり、これら全ての搬送車に移載テーブルを設けることは、合理的とは言い難く、移送対象物を搬送車へ移載する構成に関しては、更なる改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、簡易、かつ、合理的な構成で移送対象物を搬送車へ移載することが可能な技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシューターおよびこれを備える移載システムは、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係るシューターの好ましい形態によれば、搬送車によって移送される移送対象物を複数載置可能であると共に移送対象物を搬送車へ移載するための領域である移載領域まで当該移送対象物を順次搬送可能なシューターが構成される。当該シューターは、第1および第2レールと、第1および第2ストッパーと、を備えている。第1および第2レールは、移送対象物を載置可能な載置面と、移送対象物を搬送車へ移載するための領域である移載領域と、移送対象物の搬送方向において移載領域よりも上流側に配置された待機領域と、移載領域と待機領域との間に配置された中間領域と、を有している。また、第1および第2レールは、搬送方向に沿って延在すると共に互いに平行に配置されている。第1ストッパーは、移載領域に配置された移送対象物としての第1移送対象物が搬送方向へ移動することを規制可能である。また、第1ストッパーは、規制部と、当接部と、接続部と、を有している。規制部は、第1移送対象物に当接することで第1移送対象物の搬送方向への移動を規制可能である。また、規制部は、第1移送対象物の搬送方向への移動を規制する規制状態と、第1移送対象物の搬送方向への移動を許容する規制解除状態と、の間で状態変更可能である。当接部は、鉛直方向の上方から見たときの仮想投影面上における第1レールの投影および第2レールの投影を含む当該第1レールの投影と第2レールの投影との間の領域であって、搬送車が当接可能な位置に配置されている。また、当接部は、搬送車が当接する前の状態である非当接状態と、搬送車が当接したときの状態である当接状態と、の間で状態変更可能である。接続部は、当接部が非当接状態のときには、規制部を規制状態とし、当接部が当接状態のときには、規制部を前記規制解除状態とするように、規制部および当接部を接続している。第2ストッパーは、待機領域に配置された移送対象物であって第1移送対象物に隣接して配置された第2移送対象物が搬送方向へ移動することを規制可能である。また、第2ストッパーは、支持軸と、第1部分と、第2部分と、を有すると共に支持軸を支点に揺動可能であり。支持軸は、搬送方向および鉛直方向の両方向に直交する方向に軸線を有している。第1部分は、第1移送対象物および第2移送対象物に当接可能なように、中間領域に配置されている。第2部分は、支持軸に関して第1部分が配置された側とは異なる側に配置されている。本発明における「搬送車」は、無人搬送車単体の他、無人搬送車と当該無人搬送車に牽引される台車との両方を含む概念である。また、本発明における「移送対象物」、「第1移送対象物」および「第2移送対象物」は、当該移送対象物、第1移送対象物および第2移送対象物がパレットに載置されている場合には、当該パレットを含めた概念である。さらに、本発明における「第1部分が配置された側とは異なる側」とは、典型的には、支持軸に関して第1部分が配置された側とは位相が180度異なる側がこれに該当するが、支持軸に関して第1部分が配置された側とは位相が90度異なる側や、支持軸に関して第1部分が配置された側とは位相が120度異なる側など、支持軸に関して第1部分が配置された側とは位相が異なっていれば如何なる位置であっても構わない。
【0009】
本発明によれば、第1移送対象物を搬送車に移送するまでは、第1ストッパーの規制部によって、第1移送対象物が移載領域から搬送方向に移動することを防止することができる。そして、第1移送対象物を搬送車に移送するに際しては、シューターに載置された複数の移送対象物の下方を搬送方向の下流側に搬送車を走行させて、当該搬送車を当接部に当接させて当該当接部を当接状態にすることで、規制部を規制解除状態、即ち、規制部による第1移送対象物に対する規制を解除することができる。このように、本発明によれば、電気的な制御を用いることなく第1ストッパーを作動させて、第1移送対象物を搬送車に移載することができる。ここで、第2移送対象物は、第1移送対象物が搬送車への移載に向けて移載領域から搬送方向に移動するまでは、第2ストッパーによって搬送方向への移動が防止されている。しかしながら、第1移送対象物が移載領域から搬送方向に移動することに伴って、第2ストッパーにおける第1部分の第1移送対象物への当接が解除されると共に、第2移送対象物によって第2ストッパーにおける第1部分が搬送方向に押圧されるため、当該第2ストッパーは支持軸を中心に揺動する。これにより、第2移送対象物は移載領域まで移動することができる。このように、電気的な制御を用いることなく第2ストッパーを作動させて、第2移送対象物を移載領域まで搬送することができる。なお、搬送車の当接部への当接が解除されると、再び、規制部によって、移載領域に配置される移送対象物の搬送方向への移動が規制されるため、移載領域まで移動した第2移送対象物が当該移載領域から搬送方向に移動することが規制される。また、第2移送対象物が移載領域まで移動したときには、第2ストッパーは、第2部分の重量に起因して、第1部分が、移載領域まで移動した第2移送対象物と、搬送方向において当該第2移送対象物よりも上流側に配置された移送対象物と、の間に配置されるように、支持軸を中心に揺動するため、搬送方向において第2移送対象物よりも上流側に配置された移送対象物が、移載領域に移動することを防止することができる。以上のように、本発明によれば、移送対象物をシューターに移載するための専用構造を搬送車に設ける必要がないため、合理的である。
【0010】
本発明に係るシューターの更なる形態によれば、規制状態は、規制部が鉛直方向において載置面よりも上方に突出した状態である。そして、規制解除状態は、規制部が鉛直方向において載置面よりも下方に引っ込んだ状態である。
【0011】
本形態によれば、載置面に対して規制部を突出する方向および規制部を引っ込む方向に当該規制部を状態変更するのみであるため、移載領域に配置された移送対象物の搬送方向への移動規制を簡易に実現することができる。
【0012】
本発明に係るシューターの更なる形態によれば、規制部は、鉛直方向において載置面よりも上方に配置されている。そして、規制状態は、仮想投影面上における規制部の投影が、第1レールの投影および第2レールの投影を含む第1レールの投影と第2レールの投影との間の領域の内側に配置される状態である。また、規制解除状態は、仮想投影面上における規制部の投影が、第1レールの投影および第2レールの投影を含む第1レールの投影と第2レールの投影との間の領域の外側に配置される状態である。
【0013】
本形態によれば、移送対象物の搬送経路上に規制部を出現させる方向および当該搬送経路外に規制部を退避させる方向に当該規制部を状態変更するのみであるため、移載領域に配置された移送対象物の搬送方向への移動規制を簡易に実現することができる。
【0014】
本発明に係る移送システムの好ましい形態によれば、移送対象物を移送するための移送システムが構成される。当該移送システムは、上述したいずれかの態様の本発明に係るシューターと、無人搬送車と、台車と、台車踏台と、を備えている。無人搬送車は、牽引ピンを有すると共にシューターに載置された複数の移送対象物の下方を走行可能である。台車は、牽引ピンに係合可能な係合部と、搬送方向に向かって右側に配置された右側前輪および右側後輪と、搬送方向に向かって左側に配置された左側前輪および左側後輪と、鉛直方向の上方に向かって突出する突起と、第1移送対象物を載置可能な載置部と、を有している。また、台車は、無人搬送車によって牽引されながらシューターに載置された複数の移送対象物の下方を走行可能である。台車踏台は、右側前輪および右側後輪が走行可能な第1走行面を有する右踏台と、左側前輪および左側後輪が走行可能な第2走行面を有する左踏台と、を有している。また、台車踏台は、少なくとも移載領域であって、鉛直方向の上方から見たときの仮想投影面上における第1レールの投影および第2レールの投影を含む当該第1レールの投影と第2レールの投影との間の領域に配置されている。第1および第2走行面は、搬送方向に向かって上り傾斜を有する第1および第2傾斜面と、当該第1および第2傾斜面に連続すると共に搬送方向に向かって水平に延在する第1および第2水平面と、を有している。突起は、右側後輪および左側後輪が第1および第2傾斜面から第1および第2水平面に到達したときに、第1移送対象物の搬送方向における上流側の端部と、第2移送対象物の搬送方向における下流側の端部と、の間に位置するように配置されている。さらに、右側前輪、右側後輪、左側前輪および左側後輪が床面に接地する接地部から突起の先端までの高さである突起高さは、床面から載置面までの高さである載置面高さよりも小さい。そして、台車踏台は、載置面高さと突起高さとの差よりも大きい高さを有している。ここで、本発明における「右側前輪、右側後輪、左側前輪および左側後輪が床面に接地する接地部」とは、右側前輪、右側後輪、左側前輪および左側後輪の転動面のうち実際に床面に接地している部分がこれに該当する。
【0015】
本発明によれば、上述したいずれかの態様の本発明に係るシューターを備えているため、当該シューターが奏する効果と同様の効果、例えば、電気的な制御を用いることなく第1ストッパーや第2ストッパーを作動させて、移送対象物を無人搬送車に移載することができるという作用効果や、移送対象物をシューターに移載するための専用構造を無人搬送車に設ける必要がないという作用効果を奏す付ことができる。これにより、簡易、かつ、合理的な構成で移送対象物を無人搬送車へ移載することができる。また、台車踏台を有しているため、右側後輪および左側後輪が第1および第2水平面を走行し始めるときに、台車に設けた突起が第1移送対象物の搬送方向における上流側の端部と、前記第2移送対象物の前記搬送方向における下流側の端部と、の間に位置する共に、当該突起の床面からの高さが、床面から載置面までの高さよりも大きくなり、当該突起が第1移送対象物に搬送方向の上流側から係合可能な状態となるため、無人搬送車によって牽引されながら搬送方向に走行する台車によって、第1移送対象物を搬送方向に搬送することができる。これにより、無人搬送車および台車を搬送方向に走行させるのみで、第1移送対象物を台車に移載することができる。このように、本発明によれば、電気的な制御を用いることなく、簡易な構成でシューターから台車への移送対象物の移載を実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡易、かつ、合理的な構成で移送対象物を無人搬送車へ移載することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係る移送システム1の構成の概略を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る移送システム1を上方から見た平面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る移送システム1を搬送方向において上流側から見た正面図である。
【
図4】荷物載置面とフック43,43との高さ方向の位置関係を示す説明図である。
【
図5】ストッパー6,6の構成の概略を示す三面図である。
【
図6】ストッパー6,6を
図5の矢印X方向から見た説明図である。
【
図7】ストッパー8,8の配置を示す説明図である。
【
図8】ストッパー8,8を
図7の矢印Y方向から見た説明図である。
【
図9】台車踏台10,10の配置を示す説明図である。
【
図10】後方キャスター42b,42bが傾斜面10a,10aの終点Epに到達した状態を示す説明図である。
【
図11】荷物Wが載置されたシューター2の下方を搬送車4が走行する様子を示す説明図である。
【
図12】荷物Wが載置されたシューター2のローラレール2a,2b間を搬送車4が走行する様子を示す説明図である。
【
図13】フック43,43が中間領域MRに位置すると共に無人搬送車40のレバー66,66への接触が開始された状態を示す説明図である。
【
図14】フック43,43が荷物W1(パレットP1)に当接すると共に無人搬送車40によるレバー66,66の揺動が完了した状態を示す説明図である。
【
図15】移送システム1を
図14の矢印Z方向から見た説明図である。
【
図16】ストッパー8,8による荷物W2(パレットP2)の移載領域TRへの移動規制が解除された様子を示す説明図である。
【
図17】荷物W2(パレットP2)が移載領域TRへ移動した後にストッパー8,8が規制状態に戻った状態を示す説明図である。
【
図18】変形例のストッパー600,600を備える移送システム1を上方から見た平面図である。
【
図19】変形例のストッパー600,600を備える移送システム1を
図18の矢印D方向から見た正面図である。
【
図20】変形例のストッパー600,600による荷物W1(P1)の移動規制が解除された状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0019】
本実施の形態に係る移送システム1は、
図1および
図2に示すように、複数の荷物Wを載置可能な本実施の形態に係るシューター2と、当該シューター2に配置されたストッパー6,8と、シューター2に載置された荷物Wを所定の場所まで移送可能な搬送車4と、床面Fに配置された一対の台車踏台10,10と、を備えている。なお、本実施の形態では、荷物Wは、パレットPに載置される構成とした。
【0020】
シューター2は、
図1および
図2に示すように、荷物Wを所定の場所に移送するまでの間の荷物Wの一時貯留場所として構成されている。シューター2は、
図1ないし
図3に示すように、複数のローラRを有する一対のローラレール2a,2bを備えている。ローラレール2a,2bは、床面Fから所定高さの位置で水平に配置されている。また、ローラレール2a,2bは、複数のローラRの配列方向に長手方向を有しており、所定距離離れた状態で互いに平行に配置されている。ここで、所定間隔は、本実施の形態では、搬送車4(後述する台車42)の車幅(
図2の左右方向)よりも若干大きい値に設定されている。ローラレール2a,2bは、
図2に示すように、当該ローラレール2a,2bの長手方向の一端(荷物Wの搬送方向(
図1およ
図2の上下方向)において下流側、
図1および
図2の下側)に配置された移載領域TRと、当該移載領域TRよりも搬送方向において上流側に配置された待機領域SRと、移載領域TRおよび待機領域SR間に配置された中間領域MRと、を有している。移載領域TRは、ローラレール2a,2bのローラR上に載置された複数の荷物Wのうち搬送車4に移載される荷物Wが配置される領域である(以下、移載領域TRに配置された荷物Wを「荷物W1」という。)。待機領域SRは、ローラレール2a,2bのローラR上に載置された複数の荷物Wのうち移載領域TRへ搬送されるまで待機される荷物Wが配置される領域である(以下、待機領域SRに配置された荷物Wのうち最前列(最も下流側)、即ち、待機領域SRのうち移載領域TRに隣接した位置に配置された荷物Wを「荷物W2」という。)。中間領域MRは、荷物W1の上流側端部と荷物W2の下流側端部との間の領域であって、ストッパー8の後述する規制バー80aが配置される領域である。以下、説明の便宜上、複数のローラRと荷物W(荷物W1,W2を含む)との接触部を含む仮想平面を「荷物載置面」と規定する。当該荷物載置面は、本発明における「載置面」に対応する実施構成の一例である。ローラレール2a,2bは、それぞれ本発明における「第1レール」および「第2レール」に対応し、荷物W,W1,W2およびパレットP,P1,P2は、本発明における「移送対象物」に対応し、荷物W1およびパレットP1は、本発明における「第1移送対象物」に対応し、荷物W2およびパレットP2、本発明における「第2移送対象物」に対応する実施構成の一例である。
【0021】
搬送車4は、
図1ないし
図3に示すように、無人搬送車40と、当該無人搬送車40に牽引される台車42と、を有している。無人搬送車40は、予め設定された走行経路に沿って床面Fに設置された誘導帯(例えば、磁気テープなど。図示せず)を検知することによって、当該走行経路に沿って自走する。無人搬送車40は、車体と、当該車体に支持された駆動ユニットおよび固定輪と、車体に配置された牽引ピン40a(
図2および
図3参照)と、無人搬送車40全体をコントロールする制御装置と、を有している。無人搬送車40は、牽引ピン40aを台車42に係合することで、台車42を牽引する。台車42は、ラダーフレーム構造を有する平面視四角形状の車枠42aと、当該車枠42aの下面であって四隅に配置された4つのキャスター42b,42b,42b,42bと、を有している。車枠42aは、一対のフック43,43と、牽引ピン40aが係合される凹部44(
図2参照)と、を有している。当該車枠42aの上面に荷物W,W1,W2(パレットP,P1,P2)が載置される。フック43,43は、
図10に示すように、4つのキャスター42b,42b,42b,42bのうち搬送方向に向かって後方に配置されるキャスター42b,42b(以下、「後方キャスター」という。)が台車踏台10,10の後述する傾斜面10a,10aを上りきったとき(後方キャスター42b,42bが傾斜面10a,10aの終点Epに到達したとき)に、荷物W1の搬送方向における上流側の端部と、荷物W2の搬送方向における下流側の端部と、の間、即ち、ストッパー8の規制バー80aが配置される領域(中間領域MR)に位置するように配置されている。なお、キャスター42b,42b,42b,42bの床面Fへの接地部からフック43,43の先端までの高さH1は、
図4に示すように、床面Fから荷物載置面までの高さH2よりも小さく設定されている。車枠42aは、本発明における「載置部」に対応する実施構成の一例である。また、フック43,43は、本発明における「突起」に対応する実施構成の一例である。さらに、キャスター42b,42b,42b,42bの床面Fへの接地部からフック43,43の先端までの高さH1は、本発明における「突起高さ」に対応し、床面Fから荷物載置面までの高さH2は、本発明における「載置面高さ」に対応する実施構成の一例である。
【0022】
ストッパー6は、
図1および
図2に示すように、移載領域TRにおける搬送方向の下流側に配置されている。ストッパー6は、
図5に示すように、規制部60と、当該規制部60をガイドするガイド筒62と、後述する従動子60bを介して規制部60と係合する円筒カム64と、後述する回転軸64bを介して当該円筒カム64と一体回転可能に円筒カム64に接続されたレバー66と、を有している。ストッパー6は、本発明における「第1ストッパー」に対応し、円筒カム64は、本発明における「接続部」に対応し、レバー66は、本発明における「当接部」に対応する実施構成の一例である。
【0023】
規制部60は、
図5および
図6に示すように、本体60aと、当該本体60aに一体にされた従動子60bと、当該本体60aに軸60cを介して回転可能に支持された複数のローラ60dと、を有している。軸60cは、本体60aの長手方向(
図6の上下方向)の一方側から見たときに、左右方向(
図6の左右方向)となる本体60aの幅方向に延在している。軸60cおよびローラ60dは、本体60aの長手方向の一端側(先端)に配置されている。
【0024】
ガイド筒62は、
図5および
図6に示すように、規制部60を収容可能な凹部を有する角筒形状を有している。また、規制部60は、従動子60bを挿通可能な切欠き62aを有している。切欠き62aは、ガイド筒62の長手方向に延在している。ガイド筒62は、ボルトなどの締結部材を介して、ローラレール2a,2bに一体にされた取付フレーム90,90に固定される。
【0025】
円筒カム64は、
図5に示すように、外周面にカム溝65を有するカム本体64aと、当該カム本体64aに一体にされた回転軸64bと、を有している。カム溝65には従動子60bが係合される。回転軸64bは、軸受Brg,Brgを介して取付フレーム90,90に支持されている。換言すれば、円筒カム64は、取付フレーム90,90に回転可能に支持されていると言うことができる。回転軸64bは、円筒カム64が取付フレーム90に支持されたときに、取付フレーム90よりも鉛直方向において下方に突出する長さを有している。
【0026】
レバー66は、
図5に示すように、回転軸64bのうち取付フレーム90よりも鉛直方向において下方に突出した部分に一体にされている。換言すれば、レバー66は、回転軸64bを介して取付フレーム90に揺動可能に支持されていると言うことができる。なお、レバー66は、後述する初期状態から荷物Wの搬送方向の下流側に向かって揺動可能である。レバー66と取付フレーム90との間にはバネ部材(例えば、トーションバネ)66aが配置されている。レバー66は、
図2および
図3に示すように、ストッパー6がローラレール2a,2b(移載領域TR)に配置されたときに、荷物Wの搬送方向(
図4の紙面に直交する方向)および鉛直方向(
図4の上下方向)の両方向に直交する方向(
図4の左右方向)に延在する(
図2も併せて参照、以下、レバー66の当該状態を「初期状態」という。)。レバー66は、初期状態において、ローラレール2a,2b間を走行する搬送車4(無人搬送車40や台車42)に当接可能な長さを有している。初期状態は、本発明における「非当接状態」に対応する実施構成の一例である。
【0027】
バネ部材66aは、レバー66が初期状態を維持するようなバネ力をレバー66に付勢する。これにより、レバー66は、荷物Wの搬送方向の下流側に向かって揺動するときには、バネ部材66aのバネ力に抗して揺動することになる。そして、当該レバー66を揺動させる力がレバー66に作用しなくなると、バネ部材66aのバネ力によって、レバー66は初期状態に戻される。
【0028】
こうして構成されたストッパー6,6は、レバー66,66の揺動に伴う円筒カム64,64の回転によって、規制部60,60を鉛直方向において上下方向に移動させることで、荷物W1の搬送方向における移動規制および当該移動規制の解除を実現する。具体的には、ストッパー6,6は、レバー66,66が、
図6において紙面手前側に向かって揺動して(
図13において下方に向かって揺動して)、円筒カム64,64が、
図5における平面図において反時計回りに回転すると、従動子60b,60bがカム溝65,65を摺動して、規制部60,60が鉛直方向において上方向に移動することで、荷物W1の搬送方向における移動を規制し(以下、「規制状態」という。)、レバー66が、規制状態から
図6において紙面奥側に向かって揺動して(
図13において上方に向かって揺動して)、円筒カム64,64が、
図5における平面図において時計回りに回転すると、従動子60b,60bがカム溝65,65を摺動して、規制部60,60が鉛直方向において下方向に移動することで、荷物W1の搬送方向における移動を許容する(以下、「規制解除状態」という。)。なお、少なくとも、フック43,43が荷物W1(パレットP1)の搬送方向における上流側の端部に当接したときには、規制部60,60の先端が、荷物載置面よりも鉛直方向において下方に配置されるように、規制部60,60の形状や、ガイド筒62,62の形状、円筒カム64,64の形状(特に、カム溝65,65の形状)、レバー66,66の長さ・配置などが設定されている。
【0029】
ストッパー8,8は、
図1および
図2に示すように、中間領域MRに配置されている。また、ストッパー8,8は、
図8に示すように、ローラレール2aとローラレール2bとの間に配置されている。ストッパー8は、
図7および
図8に示すように、揺動体80と、当該揺動体80に一体にされた支持軸82と、を有している。揺動体80は、規制バー80aと、錘部80bと、規制バー80aおよび錘部80bを接続する中間部80cと、を有する平面視略L字状を有している。規制バー80aは、長手方向を有している。規制バー80aは、長手方向の一端部が、荷物W1を載置したパレットP1の搬送方向における上流側の端部に当接可能であり、長手方向の端端部が、荷物W2を載置したパレットP2の搬送方向における下流側の端部に当接可能である。錘部80bは、揺動体80の中で最も大きな重量を有している。錘部80bは、支持軸82に関して規制バー80aが配置された側とは反対側に配置されている。換言すれば、錘部80bは、支持軸82に関して規制バー80aが配置された側とは位相が180度異なる側に配置されていると言うことができる。中間部80cは、長手方向を有しており、当該長手方向の一端部に規制バー80aが一体にされており、長手方向の他端部に錘部80bが一体にされている。支持軸82は、中間部80cに一体にされており、ブラケット9を介してローラレール2a,2bに支持されている。換言すれば、揺動体80が、ブラケット9を介してローラレール2a,2bに揺動可能に支持されていると言うことができる。なお、錘部80bの重量は、ストッパー8が自然状態(ストッパー8に何ら力が作用していない状態)において、規制バー80aの長手方向が搬送方向に水平となる(
図7参照)大きさに調整されている。ストッパー8は、本発明における「第2ストッパー」に対応し、規制バー80aは、本発明における「第1部分」に対応し、錘部80bは、本発明における「第2部分」に対応する実施構成の一例である。
【0030】
台車踏台10は、
図1、
図2および
図9に示すように、長尺状の四角柱として構成されており、少なくとも移載領域TRに配置される。台車踏台10は、長手方向の両端に傾斜面10a、10bを有している。傾斜面10a、10bおよび当該傾斜面10a、10bを接続する水平面10cは、台車42のキャスター42b,42b,42b,42bの走行面を構成する(
図10参照)。傾斜面10a、10bは、台車踏台10の長手方向の一方側から見た場合、一方が上り傾斜となり、他方が下り傾斜となる関係を有している。換言すれば、台車踏台10は、長手方向(
図9および
図10の左右方向)および鉛直方向(
図9および
図10の上下方向)の両方向に直交する方向(
図9および
図10の紙面に直交する方向)から見た場合の仮想投影面上における形状が台形状を有していると言うことができる(
図9および
図10参照)。本実施の形態では、
図9および
図10に示すように、搬送方向において上流側に傾斜面10aを配置し、搬送方向において下流側に傾斜面10bを配置する構成とした。即ち、傾斜面10aが上り傾斜となり、傾斜面10bが下り傾斜となる。台車踏台10は、本発明における「右踏台」および「左踏台」に対応し、傾斜面10aは、本発明における「第1走行面」、「第2走行面」、「第1傾斜面」および「第2傾斜面」に対応し、傾斜面10bは、本発明におけ「第1走行面」および「第2走行面」に対応し、水平面10cは、本発明における「第1走行面」、「第2走行面」、「第1水平面」および「第2水平面」に対応する実施構成の一例である。
【0031】
次に、こうして構成された移送システム1の動作、特に、シューター2に載置された荷物Wが台車42に移載される際の動作について説明する。
図11および
図12に示すように、荷物Wがシューター2に載置され始めると、搬送車4が当該荷物Wをシューター2から所定の場所に移送するべく、当該シューター2の下方、より具体的には、ローラレール2a,2b間であって荷物Wの下方を走行する。
【0032】
ここで、移載領域TRに配置された荷物W1は、当該荷物W1(パレットP1)の搬送方向における下流側の端部がストッパー6,6の規制部60,60に当接すると共に、荷物W1(パレットP1)の搬送方向における上流側の端部がストッパー8,8の規制バー80a,80aに当接して、搬送方向における下流側および上流側の移動が規制されている。また、待機領域SRに配置された複数の荷物Wのうち荷物W1に隣接して配置された荷物W2は、当該荷物W2(パレットP2)の搬送方向における下流側の端部がストッパー8,8の規制バー80a,80aに当接して、搬送方向における下流側への移動、即ち、移載領域TRへの移動が規制されている。
【0033】
当該状態において、搬送車4が搬送方向の下流側に向かって走行し、台車42の搬送方向において前側のキャスター42b,42bが、台車踏台10,10の傾斜面10a,10aまで到達すると、搬送車4のうち台車42のみが台車踏台10,10を走行し始める。換言すれば、台車42のみが、走行面を床面Fから台車踏台10,10に変更すると言うことができる。なお、当該状態においても、牽引ピン40aは台車42に係合されており、無人搬送車40による台車42の牽引は解除されない。
【0034】
そして、当該状態で搬送車4がさらに搬送方向の下流側に向かって走行して、台車42の後方キャスター42b,42bが傾斜面10a,10aの終点Epに到達すると、
図10に示すように、フック43,43が中間領域MRに位置すると共に、フック43,43の先端が荷物載置面よりも鉛直方向において上方に配置される(
図15も併せて参照)。このとき、
図13に示すように、搬送車4、特に、無人搬送車40のレバー66,66への接触が開始されて、当該レバー66,66が搬送方向の下流側(
図13の下方向)に向かって揺動を開始している。無人搬送車40のレバー66,66への接触が開始された状態は、本発明における「当接状態」に対応する実施構成の一例である。
【0035】
当該状態で、搬送車4がさらに搬送方向の下流側に向かって走行すると、フック43,43が荷物W1(パレットP1)の搬送方向における上流側の端部に当接して、荷物W1(パレットP1)を搬送方向に移動することができる状態となる。このとき、ストッパー6,6のレバー66,66が、
図14に示すように、搬送車4、特に、無人搬送車40によって、搬送方向の下流側(
図13の下方向)への揺動を完了して、
図15に示すように、規制部60,60が規制状態から規制解除状態になっている。
【0036】
搬送車4がさらに搬送方向の下流側に向かって走行すると、荷物W1(パレットP1)は、フック43,43を介して台車42により搬送方向の下流側に搬送される。そして、シューター2の下流端において、荷物W1(パレットP1)のシューター2から台車42への移載が完了する。その後、荷物W1(パレットP1)は、台車42に載置された状態で、搬送車4によって所定の場所まで移送される。ここで、フック43,43を介した台車42による荷物W1(パレットP1)の搬送方向の下流側への搬送に伴い、荷物W1(パレットP1)の搬送方向における上流側の端部と、ストッパー8,8の規制バー80a,80aと、の当接が解除される。この状態で、例えば、作業者が、荷物W2(パレットP2)を搬送方向において下流側に向けて移動させると、ストッパー8,8の揺動体80,80が、
図16に示すように、搬送方向の下流側に向かう方向へ揺動する。これにより、荷物W2(パレットP2)の待機領域SRから移載領域TRへの移動が許容される。こうして、荷物W2(パレットP2)が待機領域SRから移載領域TRへ移動する。なお、荷物W2(パレットP2)を待機領域SRから移載領域TRへ移動させる際には、搬送車4は、シューター2の下方から抜け出ており、ストッパー6,6のレバー66,66がバネ部材66a,66aのバネ力によって初期状態に戻って、規制部60,60が規制状態となっているため、移載領域TRへ向けて移動する荷物W2(パレットP2)が移載領域TRから更に下流側へ移動することを規制することができる。そして、荷物W2(パレットP2)が移載領域TRへの移動が完了する際には、ストッパー8,8の揺動体80,80は、錘部80b,80bの重量に起因する回転モーメントの作用によって、
図17に示すように、規制バー80a,80aの長手方向が搬送方向に水平となる状態、即ち、荷物Wの移動を規制可能な状態まで揺動している。これにより、待機領域SRに配置された荷物Wであって、荷物W2よりも搬送方向において上流側に配置された荷物Wが移載領域TRに移動することを良好に防止することができる。
【0037】
以上説明した本実施の形態に係る移送システム1によれば、シューター2の搬送方向における下流端部(移載領域TRの下流側端部)にストッパー6,6を配置すると共に、規制バー80a,80aが中間領域MRに配置されるように、ストッパー8,8をシューター2に配置し、さらに、シューター2の少なくとも移載領域TRに台車踏台10,10を配置するため、荷物W1(パレットP1)を台車42に移送するまでは、ストッパー6,6の規制部60,60によって、荷物W1(パレットP1)が移載領域TRから搬送方向の下流側に移動することを防止する一方、荷物W1(パレットP1)を台車42に移送するに際しては、シューター2の下方を搬送方向に走行する搬送車4によってストッパー6,6のレバー66,66を揺動させることで、規制部60を規制状態から規制解除状態にして、荷物W1(パレットP1)を移載領域TRから搬送方向の下流側への移動を許容する。これにより、電気的な制御を用いることなくストッパー6,6を作動させて、荷物W1(パレットP1)を台車42に移載することができる。
【0038】
ここで、荷物W1(パレットP1)の移載領域TRから搬送方向の下流側への移動に伴って、荷物W1(パレットP1)の搬送方向における上流側の端部と、ストッパー8,8の規制バー80a,80aと、の当接が解除されるため、荷物W2(パレットP2)を搬送方向において下流側に向けて押圧すると、ストッパー8,8の揺動体80,80が、当該荷物W2(パレットP2)の移載領域TRへ向けた移動を解除する方向に揺動して、荷物W2(パレットP2)の待機領域SRから移載領域TRへの移動が許容される。こうして、荷物W2(パレットP2)が待機領域SRから移載領域TRへ移動する。
【0039】
このように、電気的な制御を用いることなくストッパー8を作動させて、荷物W2(パレットP2)を移載領域TRまで搬送することができる。なお、無人搬送車40のレバー66,66への当接が解除されると、再び、規制部60,60が規制状態に戻るため、移載領域TRに移動してきた荷物W2(パレットP2)の移載領域TRから搬送方向の下流側への移動が規制される。なお、荷物W2(パレットP2)が移載領域TRまで移動したときには、ストッパー8,8は、錘部80b,80bの重量に起因して、規制バー80a,80aの長手方向が搬送方向に水平となる状態、即ち、荷物Wの移動を規制可能な状態まで揺動するため、搬送方向において荷物W2(パレットP2)よりも上流側に配置された荷物W(パレットP)が、移載領域TRに移動することを防止することができる。
【0040】
本実施の形態では、ストッパー6,6は、従動子60b,60bが一体にされた規制部60,60と、搬送車4(特に、無人搬送車40)に当接可能なレバー66,66と、を、円筒カム64,64を介して連結する構成、即ち、レバー66,66の水平面内での揺動運動を、円筒カム64によって、規制部60,60の鉛直方向の上下運動に変換する構成としたが、レバー66,66の水平面内での揺動運動を、規制部60,60の鉛直方向の上下運動に変換することができれば、円筒カム64に限らず、如何なる機構を用いる構成としても良い。
【0041】
本実施の形態では、ストッパー6,6は、規制部60,60を荷物載置面よりも鉛直方向において上方に突出させることで規制状態とすると共に、規制部60,60を荷物載置面よりも鉛直方向において下方に引っ込めることで規制解除状態とする構成としたが、これに限らない。例えば、ストッパー6,6は、
図18および
図19に示すように、規制部60,60および円筒カム64,64に替えて規制バー160,160およびリンク機構164,164を備える構成としても良い。この場合、規制バー160,160は、
図20に示すように、荷物載置面よりも鉛直方向において上方に配置され、規制状態では、規制バー160,160が、
図18に示すように、荷物Wの搬送経路上、即ち、移送システム1を鉛直方向の上方から見た場合の仮想投影面上におけるシューター2の投影の内側領域(ローラレール2a,2bの投影を含むローラレール2aの投影とローラレール2bの投影との間の領域)に配置される。そして、規制解除状態では、規制バー160,160が、
図20に示すように、荷物Wの搬送経路の外側、即ち、移送システム1を鉛直方向の上方から見た場合の仮想投影面上におけるシューター2の投影の外領域(ローラレール2a,2bの投影を含むローラレール2aの投影とローラレール2bの投影との間の領域外)に配置される。なお、リンク機構164は、レバー66,66の揺動に伴って規制バー160,160が揺動するように、レバー66,66と規制バー160,160とを接続する。規制バー160は、本発明における「規制部」に対応し、リンク機構164は、本発明における「接続部」に対応し、ストッパー600は、本発明における「第1ストッパー」に対応する実施構成の一例である。
【0042】
本実施の形態では、後方キャスター42b,42bが台車踏台10,10の傾斜面10a,10aを上りきったとき(後方キャスター42b,42bが傾斜面10a,10aの終点Epに到達したとき)に、荷物W1の搬送方向における上流側の端部と、荷物W2の搬送方向における下流側の端部と、の間、即ち、ストッパー8の規制バー80aが配置される領域(中間領域MR)にフック43,43が位置するように、当該フック43,43を配置する構成としたが、これに限らない。例えば、荷物W1の搬送方向における上流側の端部と、荷物W2の搬送方向における下流側の端部と、の間、即ち、ストッパー8の規制バー80aが配置される領域(中間領域MR)にフック43,43が位置したときに、後方キャスター42b,42bが台車踏台10,10の傾斜面10a,10aを上りきった状態(後方キャスター42b,42bが傾斜面10a,10aの終点Epに到達した状態)となるように、台車踏台10,10の搬送方向における位置を調整する構成としても良い。当該構成によれば、各台車42においてフック43,43の位置を設定する必要がなく、台車踏台10,10の搬送方向における位置を調整するのみで良いため、合理的である。
【0043】
本実施の形態では、ローラレール2a,2bは、水平に配置したが、これに限らない。例えば、ローラレール2a,2bは、搬送方向に向かって下り傾斜を有するように配置しても良い。
【0044】
本実施の形態では、シューター2として、複数のローラRを有するローラレール2a,2bを用いたが、これに限らない。例えば、シューター2として、ローラRを有しない一対のレールを用いても良い。
【0045】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。なお、本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。