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特開2024-123448蒸気加熱式温冷庫およびその運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123448
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】蒸気加熱式温冷庫およびその運転方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/16 20060101AFI20240905BHJP
   A47J 27/14 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A47J27/16 D
A47J27/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030872
(22)【出願日】2023-03-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】504288627
【氏名又は名称】株式会社井上製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】井上 茂
【テーマコード(参考)】
4B054
【Fターム(参考)】
4B054AA16
4B054AB11
4B054AB13
4B054BA01
(57)【要約】
【課題】 蒸気加熱式温冷配膳車において、効率的且つ安全性の高い蒸気加熱と冷却保存を実行できるようにする。
【解決手段】 ホテルパン収容室に蒸気を供給する蒸気発生装置36が設けられた蒸気加熱式温冷配膳車1であって、当該配膳車の運転設定に係る入力および運転に係る表示を行う運転表示入力部(5001)と、ヒータを制御するヒータ制御部(5002)と、蒸気発生装置6を制御する蒸気制御部(5003)と、冷却装置を制御する冷却制御部(5004)と、当該配膳車内の温度を検知する温度検知手段(5008)と、当該配膳車の運転時間を管理する時間管理部(5006)と、当該配膳車の運転情報を記憶する運転情報記憶部(5007)と、当該配膳車の運転を実行する運転演算処理部(5005)を有する。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にホテルパンが多段に収容されるホテルパン収容室を有し、該ホテルパン収容室内に冷気を供給する冷却装置と、前記ホテルパン収容室内を加熱するヒータと、前記ホテルパン収容室内に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられた蒸気加熱式温冷庫であって、当該配膳車の運転設定に係る入力および運転に係る表示を行う運転表示入力部と、
前記ヒータを制御するヒータ制御部と、前記蒸気発生装置を制御する蒸気制御部と、前記冷却装置を制御する冷却制御部と、
当該温冷庫内の温度を検知する温度検知手段と、
当該温冷庫の運転時間を管理する時間管理部と、
当該温冷庫の運転情報を記憶する運転情報記憶部と、
当該温冷庫の運転を実行する運転演算処理部と、
を有し、
前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータによるホテルパン収容室の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置によるホテルパン収容室の蒸気供給開始温度および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部を介して前記運転情報記憶部に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して前記食品の再加熱が行われることを特徴とする、蒸気加熱式温冷庫。
【請求項2】
カート収容室を有する配膳車本体と、該配膳車本体の前記カート収容室に収容されるカートとで構成され、該カートは食品が入ったホテルパンを多段に収容するホテルパン収容室を有し、前記配膳車本体に冷却装置とヒータと蒸気発生装置が設けられた配膳車形態となされている、蒸気加熱式温冷庫。
【請求項3】
運転情報記憶部に記憶されている運転情報が、ホテルパン収容室を冷却する保冷運転モードとホテルパン収容室を加熱する加熱運転モードとホテルパン収容室を保温する保温運転モードを含み、前記保冷運転モードではホテルパン収容室の冷却を行い、前記加熱運転モードではホテルパン収容室を加熱しつつ、その途中から蒸気を供給して所定時間の仕上げを行い、前記保温運転モードではホテルパン収容室の保温のみを行うことを特徴とする、請求項1または請求項2記載の蒸気加熱式温冷庫。
【請求項4】
更に、手動運転と自動運転の切り換え手段を有し、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では保冷運転モードと加熱運転モードと保温運転モードをそれぞれ個別に実行し、前記運転情報記憶部に記憶されている自動運転では保冷運転モードから自動的に加熱運転モード、更には保温運転モードへと移行し、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行することを特徴とする、請求項3記載の蒸気加熱式温冷庫。
【請求項5】
運転情報記憶部に記憶されている手動運転では加熱運転モードに続いて自動的に保温運転モードが実行されることを特徴とする、請求項4記載の蒸気加熱式温冷庫。
【請求項6】
運転情報記憶部に記憶されている運転情報として、仕上時間および仕上温度、並びに保温温度が含まれている、請求項3記載の蒸気加熱式温冷庫。
【請求項7】
請求項2記載の蒸気加熱式温冷庫の運転方法であって、冷却装置の運転によって、ホテルパン収容室をそれぞれ0~5℃の温度範囲とする保冷運転ステップと、ホテルパン収容室について、前記冷却装置による保冷を停止すると共にヒータを作動させて120~130℃の温度範囲まで上昇させる加熱運転ステップと、該加熱運転ステップの途中から蒸気発生装置を作動させて蒸気を供給すると共に、前記ヒータの出力および前記蒸気発生装置の出力を徐々に下げる仕上運転ステップと、前記蒸気発生装置の作動を停止してホテルパン収容室内を70~80℃の範囲に維持する保温運転ステップを行うことを特徴とする、蒸気加熱式温冷庫の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や老人ホーム等の介護施設において給食を提供する際に用いられる蒸気加熱式温冷庫およびその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の温冷庫としては、貯蔵室と、 前記貯蔵室を冷却する冷蔵運転を行う冷却部と、前記冷却部の冷蔵運転の開始または停止を操作可能な操作部と、前記冷蔵運転の開始操作を行うよう警告することが可能な警告部と、前記操作部による操作に基づいて前記冷却部の動作を制御するとともに、前記操作部に前記冷蔵運転を停止させる操作が行われるのに伴って前記警告部に警告を発するよう制御する制御部と、使用者による入力位置を検出する入力位置検出機能を有し、前記操作部を構成する操作画面が表示されると共に、前記警告部を構成する警告画像を表示可能な表示部と、を備え、前記操作画面には、所定の時刻に少なくとも前記冷蔵運転を開始させるためのスタートボタンと、前記冷蔵運転を停止させることが可能な設定画面に移行するための設定ボタンと、が含まれ、前記警告画像には、前記冷蔵運転の停止を通知する表示と、前記冷蔵運転を再開するために前記スタートボタンによる操作を促す表示と、が含まれており、前記制御部は、使用者により前記設定画面において前記冷蔵運転の停止操作が行われると、前記表示部に前記警告画像を表示する冷却貯蔵庫が知られている。
【0003】
また、この他、食品を収容する保管庫と、保管庫内を冷却する冷却手段と、保管庫内を加熱する加熱手段と、保管庫内の温度を検出する庫内温度検出手段と、食品内部の温度を検出する芯温検出手段と、冷蔵温度および加熱温度を含む動作条件を任意に設定するための設定操作手段と、保管庫内の温度を設定冷蔵温度に維持する冷蔵運転の実行手段と、冷蔵運転後に保管庫内の温度を設定加熱温度まで上昇させる再加熱運転の実行手段と、食品内部の温度が設定芯温より高い状態が所定時間以上続いた場合に、再加熱運転を終了させる芯温モードの実行手段と、再加熱運転を開始してから設定加熱時間が経過すれば、再加熱運転を終了させるタイマモードの実行手段とを備えた食品冷蔵加熱庫であって、再加熱運転中、保管庫内の温度を上昇状態と平衡状態とを交互に繰り返しながら段階的に上昇させる加熱量補正動作を実行する構成と、芯温モードにて再加熱運転が実行されているとき、芯温検出手段の検出温度と庫内温度検出手段の検出温度との差温が所定値以下である状態が所定時間以上続けば、タイマモードにて再加熱運転を継続させる構成とを有する、食品冷蔵加熱庫も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-4176号公報
【特許文献2】特許第6282683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した構成の冷蔵貯蔵庫は、給食として提供する調理済み食品のチルド運転を開始した後に、給食内容を変更するなどの事情が生じた場合、チルド運転を一旦停止させて、貯蔵していた食品の入れ替えを行った後に、チルド運転を再度開始させる操作を行う必要があるが、給食作業者が前記チルド保存運転の再開操作を失念して実行しない際に再開操作の警告を行うものである。
【0006】
しかしながら、前述した運転警告は、単にチルド運転の確実性を担保するだけのものであり、配膳車内の加熱と冷却の総合的な運転制御を行うものではなかった。
【0007】
また、前述した後者の食品冷蔵加熱庫も庫内を所定温度に保つための単なる加熱温度維持システムが記載されているのみで、配膳車内の加熱と冷却の総合的な運転制御を行うものではなかった。また、食品の加熱手段としてヒータを用いるものであるが、蒸気については十分な制御を行う構成とはなっていなかった。
【0008】
本発明の目的は、効率的且つ安全性の高い蒸気加熱と冷却保存を実行することが可能な蒸気加熱式温冷庫およびその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明は、内部にホテルパンが多段に収容されるホテルパン収容室を有し、該ホテルパン収容室内に冷気を供給する冷却装置と、前記ホテルパン収容室内を加熱するヒータと、前記ホテルパン収容室内に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられた蒸気加熱式温冷庫であって、当該配膳車の運転設定に係る入力および運転に係る表示を行う運転表示入力部と、前記ヒータを制御するヒータ制御部と、前記蒸気発生装置を制御する蒸気制御部と、前記冷却装置を制御する冷却制御部と、当該温冷庫内の温度を検知する温度検知手段と、当該温冷庫の運転時間を管理する時間管理部と、当該温冷庫の運転情報を記憶する運転情報記憶部と、当該温冷庫の運転を実行する運転演算処理部と、を有し、前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータによるホテルパン収容室の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置によるホテルパン収容室の蒸気供給開始温度および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部を介して前記運転情報記憶部に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して前記食品の再加熱が行われることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の蒸気加熱式温冷庫が、カート収容室を有する配膳車本体と、該配膳車本体の前記カート収容室に収容されるカートとで構成され、該カートは食品が入ったホテルパンを多段に収容するホテルパン収容室を有し、前記配膳車本体に冷却装置とヒータと蒸気発生装置が設けられた配膳車形態となされていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の蒸気加熱式温冷庫について、運転情報記憶部に記憶されている運転情報が、ホテルパン収容室を冷却する保冷運転モードとホテルパン収容室を加熱する加熱運転モードとホテルパン収容室を保温する保温運転モードを含み、前記保冷運転モードではホテルパン収容室の冷却を行い、前記加熱運転モードではホテルパン収容室を加熱しつつ、その途中から蒸気を供給して所定時間の仕上げを行い、前記保温運転モードではホテルパン収容室の保温のみを行うことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の本発明は、前記請求項3記載の蒸気加熱式温冷庫について、更に、手動運転と自動運転の切り換え手段を有し、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では保冷運転モードと加熱運転モードと保温運転モードをそれぞれ個別に実行し、前記運転情報記憶部に記憶されている自動運転では保冷運転モードから自動的に加熱運転モード、更には保温運転モードへと移行し、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の本発明は、前記請求項4記載の蒸気加熱式温冷庫について、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では加熱運転モードに続いて自動的に保温運転モードが実行されることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の本発明は、前記請求項3記載の蒸気加熱式温冷庫について、運転情報記憶部に記憶されている運転情報として、仕上時間および仕上温度、並びに保温温度が含まれていることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の本発明は、前記請求項2記載の蒸気加熱式温冷庫の運転方法であって、冷却装置の運転によって、ホテルパン収容室をそれぞれ0~5℃の温度範囲とする保冷運転ステップと、ホテルパン収容室について、前記冷却装置による保冷を停止すると共にヒータを作動させて120~130℃の温度範囲まで上昇させる加熱運転ステップと、該加熱運転ステップの途中から蒸気発生装置を作動させて蒸気を供給すると共に、前記ヒータの出力および前記蒸気発生装置の出力を徐々に下げてホテルパン収容室内を70~80℃の温度範囲とする仕上運転ステップと、前記蒸気発生装置の作動を停止してホテルパン収容室内を70~80℃の範囲に維持する保温運転ステップを行うことを特徴とする蒸気加熱式温冷庫の運転方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る蒸気加熱式温冷庫は、内部にホテルパンが多段に収容されるホテルパン収容室を有し、該ホテルパン収容室内に冷気を供給する冷却装置と、前記ホテルパン収容室内を加熱するヒータと、前記ホテルパン収容室内に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられた蒸気加熱式温冷庫であって、前記ホテルパン収容室について、効率的且つ適切な蒸気加熱が実行され得る。そして、本発明の蒸気加熱式温冷庫は、前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータによるホテルパン収容室の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置によるホテルパン収容室の蒸気供給開始温度および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部を介して前記運転情報記憶部に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して前記食品の再加熱が行われる構成となっているため、配膳時刻までに、その提供される前記食品の冷却保存と蒸気による再加熱が簡単かつ適切に、しかも安全に行われるという格別の効果が得られる。特に、保冷運転モードと加熱運転モードおよび保温運転モードを備え、加熱の途中から蒸気を供給する加熱運転モードによって、食品の美味な再加熱が実現され得る。
【0017】
更に、手動運転と自動運転の切り換え手段を有し、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では保冷運転モードと加熱運転モードと保温運転モードをそれぞれ個別に実行し、前記運転情報記憶部に記憶されている自動運転では保冷運転モードから自動的に加熱運転モード、更には保温運転モードへと移行し、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行することを特徴とする本発明の蒸気加熱式温冷庫によれば、配膳時刻に合わせて前記仕上げ終了時刻を設定しておくだけで、保冷運転モードから自動的に所定の加熱運転モードが実行されて食品の再加熱が配膳時刻に合わせて適切に行われるという格別の実用的利点が得られる。
【0018】
また、本発明に係る蒸気加熱式温冷庫の運転方法によれば、先ず0~5℃の保冷運転ステップでホテルパン収容室内に食品を冷却保存して腐敗を防止し、次にホテルパン収容室を120~130℃の高温域まで加熱することで食品の加熱殺菌と再加熱を実行し、その後、仕上運転ステップで食品に対して適度の蒸らしが行われて、該食品がべとつかず、適度に保湿状態となり、その後の保温運転モードによって、配膳時刻に合わせて前記食品の温かさが保持され、その結果、美味な給食が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る蒸気加熱式温冷庫の斜視図である。
図2】同実施形態に係る配膳車を構成する配膳車本体とカートの両方の扉を開いた状態の正面図である。
図3図2の配膳車からカートを出した状態の配膳車本体の正面図である。
図4】同実施形態に係る配膳車の縦断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る蒸気加熱式温冷庫の運転機構を示す機能ブロック図である。
図6】同実施形態に係る配膳車の運転切り換えボタンが表示された運転表示入力部の正面図である。
図7】手動運転における各運転モードボタンが表示された運転表示入力部の正面図である。
図8】加熱設定の入力表を示す正面図である。
図9】運転の進行を示すフローチャートである。
図10】各温度設定テーブルが表示された運転表示入力部の正面図である。
図11】仕上げ終了時刻設定テーブルの表示がされた運転表示入力部の正面図である。
図12】ホテルパン収容室の温度表示がされた運転表示入力部の正面図である。
図13】本発明の蒸気加熱式温冷庫の他の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。また、本発明において、「水蒸気」は、設定温度によって、飽和水蒸気であったり、未飽和の水蒸気であったり、或いは過熱水蒸気(過熱蒸気)の場合もある。
【0021】
なお、本発明の温冷庫において、前後、左右および上下は、図2を基準とし、前とは図2の図紙面の表側方向を指し、後とは同裏側方向を意味する。また、左とは図2の左側方向を指し、右とは同右側方向を意味する。更に、上とは図2の上側方向を指し、下とは同下側方向を意味する。
【0022】
先ず、図1図4に示すように、先ず配膳車形態の蒸気加熱式温冷庫の実施形態について説明すると、本発明に係る配膳車1は、内部にカート収容室9を有する配膳車本体10と、該配膳車本体10の前記カート収容室9内に収容される配膳カート5とで構成され、前記配膳車本体10は、カート5内のホテルパン収容室40に収容される食品を加熱するためのヒータ35、同食品を冷却するための冷却装置5および蒸気を供給する蒸気発生装置6を備えている。
【0023】
前記カート収容室9は、前面に開口部9aを有し、開口部9aに対して、前記カート収容室9の一側壁前縁の上下部分にそれぞれ設けられたヒンジ3を介して本体扉2が開閉自在に取り付けられており、該本体扉2の内面には該本体扉2を気密に閉止させるためのパッキン2aが方形枠状に貼着されている。
【0024】
また、前記配膳車本体10は、その下底面の四隅に移動用の本体キャスター4が取り付けられて、移動自在となされている。
【0025】
更に、図3に示すように、配膳車本体10のカート収容室9の後壁9bにおいて、その左側には過熱蒸気等の加熱媒体が送入される加熱媒体送入口13が上下方向に列設され、またカート収容室9の後壁9bの下部には加熱媒体を吸い込む吸入口14が設けられている。更に、カート収容室9の後壁9bにおける右寄り中段部分から下方には冷気が送入される冷気送入口16が設けられ、カート収容室9の後壁9bの上部には冷気が吸い込まれる冷気吸込口15が設けられている。
【0026】
前記配膳カート5は、上下壁17・18および左右壁19・20を有し、前後側部に開口部5bを有する仕切り壁のないカート本体5aを備え、内部はホテルパン収容室40となされ、前記カート本体5aの前記開口部5bに対して、前記左壁19前縁の上下側部分にそれぞれ設けられたヒンジ(図示せず)を介してカート扉6が開閉自在に設けられ、また前記カート本体5aの下壁18の下面四隅にはカートキャスター7が取り付けられている。
【0027】
そして、本実施形態では、前記配膳カート5のホテルパン収容室40の左右壁19・20に、互いに同一高さとなされた左右一対のカート内ステイ8が上下方向に所定間隔をあけて設けられている。
【0028】
前述した構造の左右一対のカート内ステイ8上にホテルパン11やトレイ12が載置され得る。そして、各段の左右一対のカート内ステイ8にそれぞれホテルパン11またはトレイ12を載置することで、これらが配膳カート5のホテルパン収容室40内に多段に収容され得る。
【0029】
以上要するに、本実施形態に係る配膳車によれば、配膳カート5内に、ホテルパン11だけを多段に収容したり、トレイ12だけを多段に収容したり、或いはホテルパン11とトレイ12の両方を収容することもできる。そして、配膳車本体10の後壁9bから蒸気や冷気を供給することで、前記ホテルパン11やトレイ12に載置された調理済食品を冷蔵したり、温蔵することができ、該温蔵による食品の再加熱後においては、配膳車本体10の本体扉2を開けると共に、配膳カート5のカート扉6を閉めて、該配膳カート5を病院や介護施設内の配膳場所まで移動させて入院患者や入所者に給食を提供することができる。なお、配膳カート5のカート扉6は、配膳カート5の前後にヒンジ(図示せず)を介してそれぞれ取り付けられており、配膳カート5を配膳車本体10内に収容する際には、各カート扉6を開けた状態で収容する。
【0030】
図4に示すように、本実施形態では、配膳車本体10の後部におけるダクト27内に前記ヒータ35が配置され、その下方のファン26の下側に蒸気発生装置6が設置されており、また配膳車本体10の上部に冷却装置5が設けられている。そして、前記ファン26によって、冷気および所定温度の蒸気がホテルパン収容室40内に供給される。
【0031】
そして、図5に示すように、本実施形態に係る蒸気加熱式温冷庫1は、当該配膳車1の運転設定の入力および運転に係る表示を行う前記運転表示入力部(5001)と、前記ヒータ35を制御するヒータ制御部(5002)と、前記蒸気発生装置6を制御する蒸気制御部(5003)と、前記冷却装置5を制御する冷却制御部(5004)と、当該配膳車内1の温度を検知する温度検知手段(5008)と、当該配膳車1の運転時間を管理する時間管理部(5006)と、当該配膳車1の運転情報を記憶する運転情報記憶部(5007)と、当該配膳車1の運転を実行する運転演算処理部(5005)と、当該配膳車1の手動運転と自動運転の運転切り換え手段(5009)を有し、前記運転情報記憶部(5007)に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータ35によるホテルパン収容室40の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置6によるホテルパン収容室40の蒸気供給開始温度、蒸気供給時間および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部(5001)を介して前記運転情報記憶部(5007)に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて運転演算処理部(5005)を介して前記御飯、主菜および副菜等の冷却および再加熱が行われる。
【0032】
図10に示すように、前記運転表示入力部(5001)は、例えば液晶表示のタッチパネルであり、後述する通り、種々の運転設定や運転状況等の必要な表示および入力を行うものであり、例えば種々の入力設定を行うためのテンキー(1001)と、加熱設定を行うための加熱設定テーブル(1002)と、冷却設定を行うための冷却設定テーブル(1003)を有する。そして、前記加熱設定テーブル(1002)や冷却設定テーブル(1003)において、設定したい項目にタッチして前記テンキー(1001)で設定値を入力することで運転設定が行われる。また、運転表示入力部(5001)は、後述する通り、自動運転と手動運転の切り換えや手動運転における運転モード設定、更には運転状況の表示等を行うものである。
【0033】
図6に示すように、前記運転表示入力部(5001)では、前記運転切り換え手段(5009)に係る手動運転ボタン(6001)と自動運転ボタン(6002)が表示され、これらのいずれかを押すことで手動運転か自動運転が指定される。
【0034】
前記ヒータ制御部(5002)、前記蒸気制御部(5003)および前記冷却制御部(5004)は、通常、電気回路で構成されるが、ソフトウェアで実現しても良い。
【0035】
前記運転演算処理部(5005)は、当該配膳車1の運転制御を行う機能を有するものであり、通常、CPUやMPUで実現される。
【0036】
前記時間管理部(5006)は、当該配膳車1の運転時間を管理する機能を有するものであり、運転の開始や終了等の時刻に関する時計機能と経過時間を計測するタイマー機能を有するものであり、通常、電気回路やソフトウェアで実現される。
【0037】
前記運転情報記憶部(5007)は、通常、ハードディスク等の記録媒体と記録するソフトウェアによって実現される。
【0038】
前記温度検知手段(5008)は、当該配膳車1のホテルパン収容室40を検知するものであり、温度センサーが用いられる。
【0039】
前記手動運転と自動運転の運転切り換え手段(5009)は、通常、ソフトウェアで実現されるが、回路等のハードで実現しても良い。
【0040】
前述した通り、前記運転情報記憶部(5007)に記憶されている運転情報は、少なくとも、前記ヒータ35によるホテルパン収容室40の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置6によるホテルパン収容室40内の蒸気供給開始温度、蒸気供給時間および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部(5001)を介して前記運転情報記憶部(5007)に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して食品の再加熱が行われる。
【0041】
また、ホテルパン収容室40の冷却運転については、前記運転表示入力部(5001)の冷却設定テーブル(1003)で設定された所定温度での冷却が実行される。そして、ホテルパン収容室40では、後述する加熱運転が開始されるまで所定温度での冷却運転が行われる。通常、当該配膳車1の電源を入れて先ず、ホテルパン収容室40内の冷却運転を開始し、その後、ホテルパン収容室40について、所定の加熱運転モードでの運転が行われる。
【0042】
すなわち、本実施形態では、運転情報記憶部に記憶されている運転情報が、ホテルパン収容室を冷却する保冷運転モードとホテルパン収容室を加熱する加熱運転モードとホテルパン収容室を保温する保温運転モードを含み、前記保冷運転モードではホテルパン収容室の冷却を行い、前記加熱運転モードではホテルパン収容室を加熱しつつ、その途中から蒸気を供給して所定時間の仕上げを行い、前記保温運転モードではホテルパン収容室の保温のみを行う。
【0043】
そして、図7に示すように、前記図6の運転表示入力部(5001)での表示において、手動運転ボタン(6001)を押した場合、前述した保冷運転モードのボタン(7001)と、前記加熱運転モードのボタン(7002)と、保温運転モードのボタン(7003)が表示され、これらボタンのいずれかを押すことで、押したボタンの運転が個別に実行される。
【0044】
すなわち、保冷運転モードボタン(7001)を押すことで保冷運転が実行され、加熱運転モードボタン(7002)を押すことで加熱運転が実行され、保温運転モードボタン(7003)を押すことで保温運転が実行される。
【0045】
また、保冷運転モードボタン(7001)と加熱運転モードボタン(7002)と保温運転モードボタン(7003)は、順番に押される場合の他、個別に1つだけ押される場合もあり、例えば、いきなり加熱運転モードボタン(7002)を押した場合、保冷運転は行われず、加熱運転が実行され、またいきなり保温運転モードボタン(7003)を押した場合、保冷運転と加熱運転は行われず、保温運転のみが実行される。
【0046】
また、本実施形態では、前記加熱運転モードボタン(7002)を押すことで、予め設定された加熱運転が行われ、次に該加熱運転に続いて保温運転が自動的に実行されるモード設定する場合もある。
【0047】
図8および図10に示すように、前記運転表示入力部(5001)において、加熱運転モードの設定を行う場合、前記加熱設定テーブル(1002)をタッチして、テンキー(1001)で、加熱温度、加熱時間、仕上温度、仕上時間、蒸気供給開始温度、加熱中蒸気出力および仕上中蒸気出力、更に必要に応じて保温温度の設定も行う。
【0048】
前記図6の運転表示入力部(5001)での表示において、自動運転ボタン(6002)を押した場合、最初に前記保冷運転モードでの所定温度の冷却が行われ、次に加熱運転モードに移行する。
【0049】
この場合、図11に示すように、前記運転表示入力部(5001)で表示される仕上げ終了時刻設定テーブル(1101)において、例えば日曜~土曜までの毎日の朝食、昼食および夕食における仕上げ終了時刻を各給食の提供時刻に合わせて予めテンキー(1001)で設定しておくことで、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行する。そして、所定の加熱運転モードでの運転後に保温モードに移行する。
【0050】
次に、図9に示すように、本実施形態に係る蒸気加熱式温冷配膳車1の運転方法の一例について説明すると、前記冷却装置5の運転によって、前記ホテルパン収容室40内を0~5℃の温度範囲とする保冷運転ステップ(S9001)と、ホテルパン収容室について、前記冷却装置5による保冷を停止すると共に前記ヒータ35を作動させて120~130℃の温度範囲まで上昇させる加熱運転ステップ(S9002)と、該加熱運転ステップ(S9002)の途中から前記蒸気発生装置6を作動させて蒸気を供給すると共に、前記ヒータ35および前記蒸気発生装置6の出力を徐々に下げてホテルパン収容室40内を70~80℃の温度範囲とする仕上運転ステップ(S9003)と、前記蒸気発生装置6の作動を停止してホテルパン収容室40内を70~80℃の範囲に維持する保温運転ステップ(S9004)を行う。
【0051】
図12に示すように、当該配膳車1の運転中においては、運転表示入力部(5001)では、前記各運転モード(1201)と、ホテルパン収容室40の温度(1202)が表示される。
【0052】
図13に示すように、本実施形態に係る蒸気加熱式温冷庫21は、前述した配膳車本体10と配膳カート5とからなる二台構成の配膳車1ではなく、全体が一体構成の温冷庫であって、下部39には据え置きのための脚体31を備え、内部は前記実施形態と同様に、ホテルパン収容室40となされ、ヒンジ29を介して扉2が開閉自在となされ、前側が開口部32となされている。
【0053】
また、当該蒸気加熱式温冷庫21の上部33に前述した運転表示入力部(5001)が設けられ、左右壁34・37の内面に前述したステイ38が取り付けられている。
【0054】
本実施形態に係る蒸気加熱式温冷庫21は、前述した実施形態と同様に、蒸気加熱式温冷庫21の後部に、図4に示すように、冷却装置5、蒸気発生装置6、ダクト27およびファン25を備え、ホテルパ収容室40の後壁9bから蒸気や冷気が供給される構造となされている。
【0055】
すなわち、本体B10の両側壁19L・20Rにカート内ステイ8が設けられ、該カート内ステイ8に上にホテルパン11やトレイ12が載置される構造となされている。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る蒸気加熱式温冷庫によれば、蒸気を使った御飯、主菜および副菜等の美味な再加熱・給食が実現されるため、配膳車の分野で幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0057】
1 蒸気加熱式温冷配膳車
2 配膳車本体
3 カート
4 カート収容室
5 冷却装置
6 蒸気発生装置
35 ヒータ
40 ホテルパン収容室
(5001) 運転表示入力部
(5002) ヒータ制御部
(5003) 蒸気制御部
(5004) 冷却制御部
(5005) 運転演算処理部
(5006) 時間管理部
(5007) 運転情報記憶部
(5008) 温度検知手段
(5009) 運転切り換え手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にホテルパンが多段に収容されるホテルパン収容室を有し、該ホテルパン収容室内に冷気を供給する冷却装置と、前記ホテルパン収容室内を加熱するヒータと、前記ホテルパン収容室内に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられた蒸気加熱式温冷庫であって、当該温冷庫の運転設定に係る入力および運転に係る表示を行う運転表示入力部と、
前記ヒータを制御するヒータ制御部と、前記蒸気発生装置を制御する蒸気制御部と、前記冷却装置を制御する冷却制御部と、
当該温冷庫内の温度を検知する温度検知手段と、
当該温冷庫の運転時間を管理する時間管理部と、
当該温冷庫の運転情報を記憶する運転情報記憶部と、
当該温冷庫の運転を実行する運転演算処理部と、
を有し、
前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータによるホテルパン収容室の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置によるホテルパン収容室の蒸気供給開始温度および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部を介して前記運転情報記憶部に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して食品の再加熱が行われ、且つ前記運転情報記憶部に入力記憶されている運転情報が、ホテルパン収容室を冷却する保冷運転モードとホテルパン収容室を加熱する加熱運転モードとホテルパン収容室を保温する保温運転モードを含み、前記保冷運転モードではホテルパン収容室の冷却を行い、前記加熱運転モードではホテルパン収容室を加熱しつつ、その途中から蒸気を供給して所定時間の仕上げを行い、前記保温運転モードではホテルパン収容室の保温のみを行うことを特徴とする、蒸気加熱式温冷庫。
【請求項2】
カート収容室を有する配膳車本体と、該配膳車本体の前記カート収容室に収容されるカートとで構成され、該カートは食品が入ったホテルパンを多段に収容するホテルパン収容室を有し、前記配膳車本体に冷却装置とヒータと蒸気発生装置が設けられた配膳車形態となされている、請求項1記載の蒸気加熱式温冷庫。
【請求項3】
更に、手動運転と自動運転の切り換え手段を有し、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では保冷運転モードと加熱運転モードと保温運転モードをそれぞれ個別に実行し、前記運転情報記憶部に記憶されている自動運転では保冷運転モードから自動的に加熱運転モード、更には保温運転モードへと移行し、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行することを特徴とする、請求項1または請求項2記載の蒸気加熱式温冷庫。
【請求項4】
運転情報記憶部に記憶されている手動運転では加熱運転モードに続いて自動的に保温運転モードが実行されることを特徴とする、請求項3記載の蒸気加熱式温冷庫。
【請求項5】
運転情報記憶部に記憶されている運転情報として、仕上時間および仕上温度、並びに保温温度が含まれている、請求項1または請求項2記載の蒸気加熱式温冷庫。
【請求項6】
請求項2記載の蒸気加熱式温冷庫の運転方法であって、冷却装置の運転によって、ホテルパン収容室をそれぞれ0~5℃の温度範囲とする保冷運転ステップと、ホテルパン収容室について、前記冷却装置による保冷を停止すると共にヒータを作動させて120~130℃の温度範囲まで上昇させる加熱運転ステップと、該加熱運転ステップの途中から蒸気発生装置を作動させて蒸気を供給すると共に、前記ヒータの出力および前記蒸気発生装置の出力を徐々に下げる仕上運転ステップと、前記蒸気発生装置の作動を停止してホテルパン収容室内を70~80℃の範囲に維持する保温運転ステップを行うことを特徴とする、蒸気加熱式温冷庫の運転方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や老人ホーム等の介護施設において給食を提供する際に用いられる蒸気加熱式温冷庫およびその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の温冷庫としては、貯蔵室と、 前記貯蔵室を冷却する冷蔵運転を行う冷却部と、前記冷却部の冷蔵運転の開始または停止を操作可能な操作部と、前記冷蔵運転の開始操作を行うよう警告することが可能な警告部と、前記操作部による操作に基づいて前記冷却部の動作を制御するとともに、前記操作部に前記冷蔵運転を停止させる操作が行われるのに伴って前記警告部に警告を発するよう制御する制御部と、使用者による入力位置を検出する入力位置検出機能を有し、前記操作部を構成する操作画面が表示されると共に、前記警告部を構成する警告画像を表示可能な表示部と、を備え、前記操作画面には、所定の時刻に少なくとも前記冷蔵運転を開始させるためのスタートボタンと、前記冷蔵運転を停止させることが可能な設定画面に移行するための設定ボタンと、が含まれ、前記警告画像には、前記冷蔵運転の停止を通知する表示と、前記冷蔵運転を再開するために前記スタートボタンによる操作を促す表示と、が含まれており、前記制御部は、使用者により前記設定画面において前記冷蔵運転の停止操作が行われると、前記表示部に前記警告画像を表示する冷却貯蔵庫が知られている。
【0003】
また、この他、食品を収容する保管庫と、保管庫内を冷却する冷却手段と、保管庫内を加熱する加熱手段と、保管庫内の温度を検出する庫内温度検出手段と、食品内部の温度を検出する芯温検出手段と、冷蔵温度および加熱温度を含む動作条件を任意に設定するための設定操作手段と、保管庫内の温度を設定冷蔵温度に維持する冷蔵運転の実行手段と、冷蔵運転後に保管庫内の温度を設定加熱温度まで上昇させる再加熱運転の実行手段と、食品内部の温度が設定芯温より高い状態が所定時間以上続いた場合に、再加熱運転を終了させる芯温モードの実行手段と、再加熱運転を開始してから設定加熱時間が経過すれば、再加熱運転を終了させるタイマモードの実行手段とを備えた食品冷蔵加熱庫であって、再加熱運転中、保管庫内の温度を上昇状態と平衡状態とを交互に繰り返しながら段階的に上昇させる加熱量補正動作を実行する構成と、芯温モードにて再加熱運転が実行されているとき、芯温検出手段の検出温度と庫内温度検出手段の検出温度との差温が所定値以下である状態が所定時間以上続けば、タイマモードにて再加熱運転を継続させる構成とを有する、食品冷蔵加熱庫も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-4176号公報
【特許文献2】特許第6282683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した構成の冷蔵貯蔵庫は、給食として提供する調理済み食品のチルド運転を開始した後に、給食内容を変更するなどの事情が生じた場合、チルド運転を一旦停止させて、貯蔵していた食品の入れ替えを行った後に、チルド運転を再度開始させる操作を行う必要があるが、給食作業者が前記チルド保存運転の再開操作を失念して実行しない際に再開操作の警告を行うものである。
【0006】
しかしながら、前述した運転警告は、単にチルド運転の確実性を担保するだけのものであり、配膳車内の加熱と冷却の総合的な運転制御を行うものではなかった。
【0007】
また、前述した後者の食品冷蔵加熱庫も庫内を所定温度に保つための単なる加熱温度維持システムが記載されているのみで、配膳車内の加熱と冷却の総合的な運転制御を行うものではなかった。また、食品の加熱手段としてヒータを用いるものであるが、蒸気については十分な制御を行う構成とはなっていなかった。
【0008】
本発明の目的は、効率的且つ安全性の高い蒸気加熱と冷却保存を実行することが可能な蒸気加熱式温冷庫およびその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明は、内部にホテルパンが多段に収容されるホテルパン収容室を有し、該ホテルパン収容室内に冷気を供給する冷却装置と、前記ホテルパン収容室内を加熱するヒータと、前記ホテルパン収容室内に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられた蒸気加熱式温冷庫であって、当該温冷庫の運転設定に係る入力および運転に係る表示を行う運転表示入力部と、前記ヒータを制御するヒータ制御部と、前記蒸気発生装置を制御する蒸気制御部と、前記冷却装置を制御する冷却制御部と、当該温冷庫内の温度を検知する温度検知手段と、
当該温冷庫の運転時間を管理する時間管理部と、当該温冷庫の運転情報を記憶する運転情報記憶部と、当該温冷庫の運転を実行する運転演算処理部と、を有し、前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータによるホテルパン収容室の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置によるホテルパン収容室の蒸気供給開始温度および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部を介して前記運転情報記憶部に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して食品の再加熱が行われ、且つ前記運転情報記憶部に入力記憶されている運転情報が、ホテルパン収容室を冷却する保冷運転モードとホテルパン収容室を加熱する加熱運転モードとホテルパン収容室を保温する保温運転モードを含み、前記保冷運転モードではホテルパン収容室の冷却を行い、前記加熱運転モードではホテルパン収容室を加熱しつつ、その途中から蒸気を供給して所定時間の仕上げを行い、前記保温運転モードではホテルパン収容室の保温のみを行うことを特徴とする、蒸気加熱式温冷庫である。
【0010】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の蒸気加熱式温冷庫が、カート収容室を有する配膳車本体と、該配膳車本体の前記カート収容室に収容されるカートとで構成され、該カートは食品が入ったホテルパンを多段に収容するホテルパン収容室を有し、前記配膳車本体に冷却装置とヒータと蒸気発生装置が設けられた配膳車形態となされていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の蒸気加熱式温冷庫について、更に、手動運転と自動運転の切り換え手段を有し、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では保冷運転モードと加熱運転モードと保温運転モードをそれぞれ個別に実行し、前記運転情報記憶部に記憶されている自動運転では保冷運転モードから自動的に加熱運転モード、更には保温運転モードへと移行し、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の本発明は、前記請求項3記載の蒸気加熱式温冷庫について、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では加熱運転モードに続いて自動的に保温運転モードが実行されることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の蒸気加熱式温冷庫について、運転情報記憶部に記憶されている運転情報として、仕上時間および仕上温度、並びに保温温度が含まれていることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の本発明は、前記請求項2記載の蒸気加熱式温冷庫の運転方法であって、冷却装置の運転によって、ホテルパン収容室をそれぞれ0~5℃の温度範囲とする保冷運転ステップと、ホテルパン収容室について、前記冷却装置による保冷を停止すると共にヒータを作動させて120~130℃の温度範囲まで上昇させる加熱運転ステップと、該加熱運転ステップの途中から蒸気発生装置を作動させて蒸気を供給すると共に、前記ヒータの出力および前記蒸気発生装置の出力を徐々に下げてホテルパン収容室内を70~80℃の温度範囲とする仕上運転ステップと、前記蒸気発生装置の作動を停止してホテルパン収容室内を70~80℃の範囲に維持する保温運転ステップを行うことを特徴とする蒸気加熱式温冷庫の運転方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る蒸気加熱式温冷庫は、内部にホテルパンが多段に収容されるホテルパン収容室を有し、該ホテルパン収容室内に冷気を供給する冷却装置と、前記ホテルパン収容室内を加熱するヒータと、前記ホテルパン収容室内に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられた蒸気加熱式温冷庫であって、前記ホテルパン収容室について、効率的且つ適切な蒸気加熱が実行され得る。そして、本発明の蒸気加熱式温冷庫は、前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータによるホテルパン収容室の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置によるホテルパン収容室の蒸気供給開始温度および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部を介して前記運転情報記憶部に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して前記食品の再加熱が行われる構成となっているため、配膳時刻までに、その提供される前記食品の冷却保存と蒸気による再加熱が簡単かつ適切に、しかも安全に行われるという格別の効果が得られる。特に、保冷運転モードと加熱運転モードおよび保温運転モードを備え、加熱の途中から蒸気を供給する加熱運転モードによって、食品の美味な再加熱が実現され得る。
【0016】
更に、手動運転と自動運転の切り換え手段を有し、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では保冷運転モードと加熱運転モードと保温運転モードをそれぞれ個別に実行し、前記運転情報記憶部に記憶されている自動運転では保冷運転モードから自動的に加熱運転モード、更には保温運転モードへと移行し、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行することを特徴とする本発明の蒸気加熱式温冷庫によれば、配膳時刻に合わせて前記仕上げ終了時刻を設定しておくだけで、保冷運転モードから自動的に所定の加熱運転モードが実行されて食品の再加熱が配膳時刻に合わせて適切に行われるという格別の実用的利点が得られる。
【0017】
また、本発明に係る蒸気加熱式温冷庫の運転方法によれば、先ず0~5℃の保冷運転ステップでホテルパン収容室内に食品を冷却保存して腐敗を防止し、次にホテルパン収容室を120~130℃の高温域まで加熱することで食品の加熱殺菌と再加熱を実行し、その後、仕上運転ステップで食品に対して適度の蒸らしが行われて、該食品がべとつかず、適度に保湿状態となり、その後の保温運転モードによって、配膳時刻に合わせて前記食品の温かさが保持され、その結果、美味な給食が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る蒸気加熱式温冷庫の斜視図である。
図2】同実施形態に係る配膳車を構成する配膳車本体とカートの両方の扉を開いた状態の正面図である。
図3図2の配膳車からカートを出した状態の配膳車本体の正面図である。
図4】同実施形態に係る配膳車の縦断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る蒸気加熱式温冷庫の運転機構を示す機能ブロック図である。
図6】同実施形態に係る配膳車の運転切り換えボタンが表示された運転表示入力部の正面図である。
図7】手動運転における各運転モードボタンが表示された運転表示入力部の正面図である。
図8】加熱設定の入力表を示す正面図である。
図9】運転の進行を示すフローチャートである。
図10】各温度設定テーブルが表示された運転表示入力部の正面図である。
図11】仕上げ終了時刻設定テーブルの表示がされた運転表示入力部の正面図である。
図12】ホテルパン収容室の温度表示がされた運転表示入力部の正面図である。
図13】本発明の蒸気加熱式温冷庫の他の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。また、本発明において、「水蒸気」は、設定温度によって、飽和水蒸気であったり、未飽和の水蒸気であったり、或いは過熱水蒸気(過熱蒸気)の場合もある。
【0020】
なお、本発明の温冷庫において、前後、左右および上下は、図2を基準とし、前とは図2の図紙面の表側方向を指し、後とは同裏側方向を意味する。また、左とは図2の左側方向を指し、右とは同右側方向を意味する。更に、上とは図2の上側方向を指し、下とは同下側方向を意味する。
【0021】
先ず、図1図4に示すように、先ず配膳車形態の蒸気加熱式温冷庫の実施形態について説明すると、本発明に係る配膳車1は、内部にカート収容室9を有する配膳車本体10と、該配膳車本体10の前記カート収容室9内に収容される配膳カート5とで構成され、前記配膳車本体10は、カート5内のホテルパン収容室40に収容される食品を加熱するためのヒータ35、同食品を冷却するための冷却装置5および蒸気を供給する蒸気発生装置6を備えている。
【0022】
前記カート収容室9は、前面に開口部9aを有し、開口部9aに対して、前記カート収容室9の一側壁前縁の上下部分にそれぞれ設けられたヒンジ3を介して本体扉2が開閉自在に取り付けられており、該本体扉2の内面には該本体扉2を気密に閉止させるためのパッキン2aが方形枠状に貼着されている。
【0023】
また、前記配膳車本体10は、その下底面の四隅に移動用の本体キャスター4が取り付けられて、移動自在となされている。
【0024】
更に、図3に示すように、配膳車本体10のカート収容室9の後壁9bにおいて、その左側には過熱蒸気等の加熱媒体が送入される加熱媒体送入口13が上下方向に列設され、またカート収容室9の後壁9bの下部には加熱媒体を吸い込む吸入口14が設けられている。更に、カート収容室9の後壁9bにおける右寄り中段部分から下方には冷気が送入される冷気送入口16が設けられ、カート収容室9の後壁9bの上部には冷気が吸い込まれる冷気吸込口15が設けられている。
【0025】
前記配膳カート5は、上下壁17・18および左右壁19・20を有し、前後側部に開口部5bを有する仕切り壁のないカート本体5aを備え、内部はホテルパン収容室40となされ、前記カート本体5aの前記開口部5bに対して、前記左壁19前縁の上下側部分にそれぞれ設けられたヒンジ(図示せず)を介してカート扉6が開閉自在に設けられ、また前記カート本体5aの下壁18の下面四隅にはカートキャスター7が取り付けられている。
【0026】
そして、本実施形態では、前記配膳カート5のホテルパン収容室40の左右壁19・20に、互いに同一高さとなされた左右一対のカート内ステイ8が上下方向に所定間隔をあけて設けられている。
【0027】
前述した構造の左右一対のカート内ステイ8上にホテルパン11やトレイ12が載置され得る。そして、各段の左右一対のカート内ステイ8にそれぞれホテルパン11またはトレイ12を載置することで、これらが配膳カート5のホテルパン収容室40内に多段に収容され得る。
【0028】
以上要するに、本実施形態に係る配膳車によれば、配膳カート5内に、ホテルパン11だけを多段に収容したり、トレイ12だけを多段に収容したり、或いはホテルパン11とトレイ12の両方を収容することもできる。そして、配膳車本体10の後壁9bから蒸気や冷気を供給することで、前記ホテルパン11やトレイ12に載置された調理済食品を冷蔵したり、温蔵することができ、該温蔵による食品の再加熱後においては、配膳車本体10の本体扉2を開けると共に、配膳カート5のカート扉6を閉めて、該配膳カート5を病院や介護施設内の配膳場所まで移動させて入院患者や入所者に給食を提供することができる。なお、配膳カート5のカート扉6は、配膳カート5の前後にヒンジ(図示せず)を介してそれぞれ取り付けられており、配膳カート5を配膳車本体10内に収容する際には、各カート扉6を開けた状態で収容する。
【0029】
図4に示すように、本実施形態では、配膳車本体10の後部におけるダクト27内に前記ヒータ35が配置され、その下方のファン26の下側に蒸気発生装置6が設置されており、また配膳車本体10の上部に冷却装置5が設けられている。そして、前記ファン26によって、冷気および所定温度の蒸気がホテルパン収容室40内に供給される。
【0030】
そして、図5に示すように、本実施形態に係る蒸気加熱式温冷庫1は、当該配膳車1の運転設定の入力および運転に係る表示を行う前記運転表示入力部(5001)と、前記ヒータ35を制御するヒータ制御部(5002)と、前記蒸気発生装置6を制御する蒸気制御部(5003)と、前記冷却装置5を制御する冷却制御部(5004)と、当該配膳車内1の温度を検知する温度検知手段(5008)と、当該配膳車1の運転時間を管理する時間管理部(5006)と、当該配膳車1の運転情報を記憶する運転情報記憶部(5007)と、当該配膳車1の運転を実行する運転演算処理部(5005)と、当該配膳車1の手動運転と自動運転の運転切り換え手段(5009)を有し、前記運転情報記憶部(5007)に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータ35によるホテルパン収容室40の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置6によるホテルパン収容室40の蒸気供給開始温度、蒸気供給時間および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部(5001)を介して前記運転情報記憶部(5007)に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて運転演算処理部(5005)を介して前記御飯、主菜および副菜等の冷却および再加熱が行われる。
【0031】
図10に示すように、前記運転表示入力部(5001)は、例えば液晶表示のタッチパネルであり、後述する通り、種々の運転設定や運転状況等の必要な表示および入力を行うものであり、例えば種々の入力設定を行うためのテンキー(1001)と、加熱設定を行うための加熱設定テーブル(1002)と、冷却設定を行うための冷却設定テーブル(1003)を有する。そして、前記加熱設定テーブル(1002)や冷却設定テーブル(1003)において、設定したい項目にタッチして前記テンキー(1001)で設定値を入力することで運転設定が行われる。また、運転表示入力部(5001)は、後述する通り、自動運転と手動運転の切り換えや手動運転における運転モード設定、更には運転状況の表示等を行うものである。
【0032】
図6に示すように、前記運転表示入力部(5001)では、前記運転切り換え手段(5009)に係る手動運転ボタン(6001)と自動運転ボタン(6002)が表示され、これらのいずれかを押すことで手動運転か自動運転が指定される。
【0033】
前記ヒータ制御部(5002)、前記蒸気制御部(5003)および前記冷却制御部(5004)は、通常、電気回路で構成されるが、ソフトウェアで実現しても良い。
【0034】
前記運転演算処理部(5005)は、当該配膳車1の運転制御を行う機能を有するものであり、通常、CPUやMPUで実現される。
【0035】
前記時間管理部(5006)は、当該配膳車1の運転時間を管理する機能を有するものであり、運転の開始や終了等の時刻に関する時計機能と経過時間を計測するタイマー機能を有するものであり、通常、電気回路やソフトウェアで実現される。
【0036】
前記運転情報記憶部(5007)は、通常、ハードディスク等の記録媒体と記録するソフトウェアによって実現される。
【0037】
前記温度検知手段(5008)は、当該配膳車1のホテルパン収容室40を検知するものであり、温度センサーが用いられる。
【0038】
前記手動運転と自動運転の運転切り換え手段(5009)は、通常、ソフトウェアで実現されるが、回路等のハードで実現しても良い。
【0039】
前述した通り、前記運転情報記憶部(5007)に記憶されている運転情報は、少なくとも、前記ヒータ35によるホテルパン収容室40の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置6によるホテルパン収容室40内の蒸気供給開始温度、蒸気供給時間および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部(5001)を介して前記運転情報記憶部(5007)に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して食品の再加熱が行われる。
【0040】
また、ホテルパン収容室40の冷却運転については、前記運転表示入力部(5001)の冷却設定テーブル(1003)で設定された所定温度での冷却が実行される。そして、ホテルパン収容室40では、後述する加熱運転が開始されるまで所定温度での冷却運転が行われる。通常、当該配膳車1の電源を入れて先ず、ホテルパン収容室40内の冷却運転を開始し、その後、ホテルパン収容室40について、所定の加熱運転モードでの運転が行われる。
【0041】
すなわち、本実施形態では、運転情報記憶部に記憶されている運転情報が、ホテルパン収容室を冷却する保冷運転モードとホテルパン収容室を加熱する加熱運転モードとホテルパン収容室を保温する保温運転モードを含み、前記保冷運転モードではホテルパン収容室の冷却を行い、前記加熱運転モードではホテルパン収容室を加熱しつつ、その途中から蒸気を供給して所定時間の仕上げを行い、前記保温運転モードではホテルパン収容室の保温のみを行う。
【0042】
そして、図7に示すように、前記図6の運転表示入力部(5001)での表示において、手動運転ボタン(6001)を押した場合、前述した保冷運転モードのボタン(7001)と、前記加熱運転モードのボタン(7002)と、保温運転モードのボタン(7003)が表示され、これらボタンのいずれかを押すことで、押したボタンの運転が個別に実行される。
【0043】
すなわち、保冷運転モードボタン(7001)を押すことで保冷運転が実行され、加熱運転モードボタン(7002)を押すことで加熱運転が実行され、保温運転モードボタン(7003)を押すことで保温運転が実行される。
【0044】
また、保冷運転モードボタン(7001)と加熱運転モードボタン(7002)と保温運転モードボタン(7003)は、順番に押される場合の他、個別に1つだけ押される場合もあり、例えば、いきなり加熱運転モードボタン(7002)を押した場合、保冷運転は行われず、加熱運転が実行され、またいきなり保温運転モードボタン(7003)を押した場合、保冷運転と加熱運転は行われず、保温運転のみが実行される。
【0045】
また、本実施形態では、前記加熱運転モードボタン(7002)を押すことで、予め設定された加熱運転が行われ、次に該加熱運転に続いて保温運転が自動的に実行されるモード設定する場合もある。
【0046】
図8および図10に示すように、前記運転表示入力部(5001)において、加熱運転モードの設定を行う場合、前記加熱設定テーブル(1002)をタッチして、テンキー(1001)で、加熱温度、加熱時間、仕上温度、仕上時間、蒸気供給開始温度、加熱中蒸気出力および仕上中蒸気出力、更に必要に応じて保温温度の設定も行う。
【0047】
前記図6の運転表示入力部(5001)での表示において、自動運転ボタン(6002)を押した場合、最初に前記保冷運転モードでの所定温度の冷却が行われ、次に加熱運転モードに移行する。
【0048】
この場合、図11に示すように、前記運転表示入力部(5001)で表示される仕上げ終了時刻設定テーブル(1101)において、例えば日曜~土曜までの毎日の朝食、昼食および夕食における仕上げ終了時刻を各給食の提供時刻に合わせて予めテンキー(1001)で設定しておくことで、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行する。そして、所定の加熱運転モードでの運転後に保温モードに移行する。
【0049】
次に、図9に示すように、本実施形態に係る蒸気加熱式温冷配膳車1の運転方法の一例について説明すると、前記冷却装置5の運転によって、前記ホテルパン収容室40内を0~5℃の温度範囲とする保冷運転ステップ(S9001)と、ホテルパン収容室について、前記冷却装置5による保冷を停止すると共に前記ヒータ35を作動させて120~130℃の温度範囲まで上昇させる加熱運転ステップ(S9002)と、該加熱運転ステップ(S9002)の途中から前記蒸気発生装置6を作動させて蒸気を供給すると共に、前記ヒータ35および前記蒸気発生装置6の出力を徐々に下げてホテルパン収容室40内を70~80℃の温度範囲とする仕上運転ステップ(S9003)と、前記蒸気発生装置6の作動を停止してホテルパン収容室40内を70~80℃の範囲に維持する保温運転ステップ(S9004)を行う。
【0050】
図12に示すように、当該配膳車1の運転中においては、運転表示入力部(5001)では、前記各運転モード(1201)と、ホテルパン収容室40の温度(1202)が表示される。
【0051】
図13に示すように、本実施形態に係る蒸気加熱式温冷庫21は、前述した配膳車本体10と配膳カート5とからなる二台構成の配膳車1ではなく、全体が一体構成の温冷庫であって、下部39には据え置きのための脚体31を備え、内部は前記実施形態と同様に、ホテルパン収容室40となされ、ヒンジ29を介して扉2が開閉自在となされ、前側が開口部32となされている。
【0052】
また、当該蒸気加熱式温冷庫21の上部33に前述した運転表示入力部(5001)が設けられ、左右壁34・37の内面に前述したステイ38が取り付けられている。
【0053】
本実施形態に係る蒸気加熱式温冷庫21は、前述した実施形態と同様に、蒸気加熱式温冷庫21の後部に、図4に示すように、冷却装置5、蒸気発生装置6、ダクト27およびファン25を備え、ホテルパ収容室40の後壁9bから蒸気や冷気が供給される構造となされている。
【0054】
すなわち、本体B10の両側壁19L・20Rにカート内ステイ8が設けられ、該カート内ステイ8に上にホテルパン11やトレイ12が載置される構造となされている。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る蒸気加熱式温冷庫によれば、蒸気を使った御飯、主菜および副菜等の美味な再加熱・給食が実現されるため、配膳車の分野で幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0056】
1 蒸気加熱式温冷配膳車
2 配膳車本体
3 カート
4 カート収容室
5 冷却装置
6 蒸気発生装置
35 ヒータ
40 ホテルパン収容室
(5001) 運転表示入力部
(5002) ヒータ制御部
(5003) 蒸気制御部
(5004) 冷却制御部
(5005) 運転演算処理部
(5006) 時間管理部
(5007) 運転情報記憶部
(5008) 温度検知手段
(5009) 運転切り換え手段