(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123450
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240905BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240905BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K3/46 B
H05K3/46 Q
H01L23/12 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030874
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石崎 聖和
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA15
5E316AA32
5E316CC04
5E316CC09
5E316EE01
5E316GG28
5E316HH07
5E316JJ02
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB75
5E338CD12
5E338EE11
(57)【要約】
【課題】一実施形態は、信頼性の向上を図ることができる半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】一実施形態の半導体記憶装置は、絶縁基材と、配線パターンと、絶縁膜と、電子部品とを備える。前記配線パターンは、円弧状の縁を含む第1パッドと、第1配線とを含む。前記第1配線は、第1部分と、第2部分と、第3部分とを有する。前記第1部分は、前記絶縁膜の第1開口の内側で前記第1パッドに接続され、第1方向に延びている。前記第2部分は、前記第1開口の内側で前記第1パッドと接続され、前記第1パッドから離れるに従い前記第1部分との間の距離が大きくなる第2方向に延びている。前記第3部分は、前記第1部分および前記第2部分に対して前記第1パッドとは反対側に配置され、前記第1部分および前記第2部分と接続されている。前記第1配線は、前記第1パッドの周方向において90度の角度範囲内で前記第1パッドに接続されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基材と、
前記絶縁基材に設けられた配線パターンと、
前記絶縁基材の表面に設けられ、前記配線パターンの一部を覆う絶縁膜と、
前記配線パターンに電気的に接続された電子部品と、
を備え、
前記配線パターンは、円弧状の縁を含む第1パッドと、第1配線とを含み、
前記絶縁膜は、前記第1パッドよりも大きな第1開口を有し、
前記第1配線は、
前記第1開口の内側で前記第1パッドと接続され、第1方向に延びた第1部分と、
前記第1開口の内側で前記第1パッドと接続され、前記第1パッドから離れるに従い前記第1部分との間の距離が大きくなる第2方向に延びた第2部分と、
前記第1部分および前記第2部分に対して前記第1パッドとは反対側に配置され、前記第1部分および前記第2部分と接続された第3部分と、
を有し、
前記第1配線は、前記第1パッドの周方向において90度の角度範囲内で前記第1パッドと接続された、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記周方向において前記第1部分と前記第2部分との間に隙間が存在する、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2部分は、前記周方向において前記第1部分から離れた位置で前記第1パッドと接続された、
請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1配線は、前記周方向において60度の角度範囲内で前記第1パッドと接続された、
請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1配線は、前記第3部分に対して前記第1パッドとは反対側に配置されて線状に延びた線部を含み、
前記第1パッドと前記線部とを最短距離で結ぶ仮想的な線を第1仮想線とする場合、
前記第1方向は、前記第1仮想線に対して第1側に傾斜し、
前記第2方向は、前記第1仮想線に対して前記第1側とは反対側の第2側に傾斜した、
請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記配線パターンは、前記第1パッドの隣に配置されて円弧状の縁を含む第2パッドと、第2配線とをさらに含み、
前記絶縁膜は、前記第2パッドよりも大きな第2開口をさらに有し、
前記第2配線は、
前記第2開口の内側で前記第2パッドと接続され、前記第1方向とは異なる第3方向に延びた第1部分と、
前記第2開口の内側で前記第2パッドと接続され、前記第2方向とは異なる方向であって、前記第2パッドから離れるに従い前記第2配線の前記第1部分との間の距離が大きくなる第4方向に延びた第2部分と、
前記第2配線の前記第1部分および前記第2部分に対して前記第2パッドとは反対側に配置され、前記第2配線の前記第1部分および前記第2部分と接続された第3部分と、
を有し、
前記第2配線は、前記第2パッドの周方向において90度の角度範囲内で前記第2パッドと接続された、
請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1配線は、前記第1配線の前記第3部分に対して前記第1パッドとは反対側に配置されて線状に延びた線部を含み、
前記第2配線は、前記第2配線の前記第3部分に対して前記第2パッドとは反対側に配置されて線状に延びた線部を含み、
前記第1配線の前記線部と、前記第2配線の前記線部とは、少なくとも部分的に平行に延びている、
請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記電子部品は、前記第1パッドに接続される半田接合部を有した、
請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
絶縁基材と、
前記絶縁基材に設けられた配線パターンと、
前記絶縁基材の表面に設けられ、前記配線パターンの一部を覆う絶縁膜と、
前記配線パターンに電気的に接続された電子部品と、
を備え、
前記配線パターンは、第1パッドと、第1配線とを含み、
前記第1配線は、線状に延びた線部と、前記線部と前記第1パッドとの間に設けられ前記線部から前記第1パッドに近付くに従い幅が広くなる部分を含む接続部とを有し、
前記絶縁膜は、前記第1パッドに対応して設けられた第1開口を有し、
前記第1開口の開口縁は、第1縁部と、前記第1縁部に対して前記第1開口の内側に突出した第2縁部とを有し、
前記第1縁部と前記第2縁部との境界は、前記絶縁基材の厚さ方向から見た場合、前記接続部と重なる位置に設けられた、
半導体記憶装置。
【請求項10】
前記接続部は、前記線部から前記第1パッドに近付くに従い幅が広くなる第1部分と、前記第1部分と前記第1パッドとの間に設けられ、全長に亘り前記第1パッドの最大幅と同じ幅を有して前記第1部分と前記第1パッドとを接続した第2部分とを含み、
前記第1縁部と前記第2縁部との前記境界は、前記絶縁基材の厚さ方向から見た場合、前記接続部の前記第2部分と重なる位置に設けられた、
請求項9に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記開口縁の少なくとも一部は、円弧状であり、
前記第2縁部は、前記開口縁の周方向において、90度の角度範囲内に設けられた、
請求項9または請求項10に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
絶縁基材と、
前記絶縁基材に設けられた配線パターンと、
前記絶縁基材の表面に設けられ、前記配線パターンの一部を覆う絶縁膜と、
前記配線パターンに電気的に接続された電子部品と、
を備え、
前記配線パターンは、円弧状の縁を含む第1パッドと、第1配線とを含み、
前記第1配線は、線状に延びた線部と、前記線部から前記第1パッドに近付くに従い幅が広くなる第1部分と、前記第1部分と前記第1パッドとの間に設けられ、全長に亘り前記第1パッドの最大幅と同じ幅を有して前記第1部分と前記第1パッドとを接続した第2部分とを含み、
前記絶縁膜は、前記第1パッドに対応して設けられた第1開口を有し、
前記第1開口の開口縁は、第1縁部と、前記第1縁部に対して前記第1開口の内側に突出した第2縁部とを有し、
前記第1縁部と前記第2縁部との境界は、前記絶縁基材の厚さ方向から見た場合、前記第1パッドの周方向において前記第2部分と隣り合う位置に設けられた、
半導体記憶装置。
【請求項13】
絶縁基材と、
前記絶縁基材に設けられた配線パターンと、
前記絶縁基材の表面に設けられ、前記配線パターンの一部を覆う絶縁膜と、
前記配線パターンに電気的に接続された電子部品と、
を備え、
前記配線パターンは、第1パッドと、第1配線とを含み、
前記絶縁膜は、前記第1パッドに対応して設けられた第1開口を有し、
前記第1配線は、線状に延びた線部と、前記線部と前記第1パッドとの間に設けられた接続部とを含み、
前記接続部は、前記第1パッドから前記線部に向かう第1方向に延びて前記第1パッドから前記線部に近付くに従い幅が小さくなる第1部分と、前記絶縁基材の厚さ方向から見た場合に前記第1開口の開口縁と重なる位置に設けられ、前記第1部分から前記第1方向とは交差した第2方向に突出した第2部分とを含む、
半導体記憶装置。
【請求項14】
前記第2部分の外形は、前記第1部分から離れるに従い前記第1部分に対する傾きが徐々に大きくなる曲線部を含む、
請求項13に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板と、プリント基板に実装された電子部品とを有した半導体記憶装置が知られている。電子部品の半田接合部は、プリント基板のパッドに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0075177号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態は、信頼性の向上を図ることができる半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態の半導体記憶装置は、絶縁基材と、配線パターンと、絶縁膜と、電子部品とを備える。前記配線パターンは、前記絶縁基材に設けられている。前記絶縁膜は、前記絶縁基材の表面に設けられ、前記配線パターンの一部を覆う。前記電子部品は、前記配線パターンに電気的に接続されている。前記配線パターンは、円弧状の縁を含む第1パッドと、第1配線とを含む。前記絶縁膜は、前記第1パッドよりも大きな第1開口を有する。前記第1配線は、第1部分と、第2部分と、第3部分とを有する。前記第1部分は、前記第1開口の内側で前記第1パッドと接続され、第1方向に延びている。前記第2部分は、前記第1開口の内側で前記第1パッドと接続され、前記第1パッドから離れるに従い前記第1部分との間の距離が大きくなる第2方向に延びている。前記第3部分は、前記第1部分および前記第2部分に対して前記第1パッドとは反対側に配置され、前記第1部分および前記第2部分と接続されている。前記第1配線は、前記第1パッドの周方向において90度の角度範囲内で前記第1パッドに接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の半導体記憶装置を示す斜視図。
【
図2】第1実施形態の半導体記憶装置を一部分解して示す斜視図。
【
図3】第1実施形態の基板ユニットの一部を示す断面図。
【
図4】第1実施形態の配線パターンの配線構造を説明するための平面図。
【
図5】
図4中に示されたF5線で囲まれた領域を拡大して示す断面図。
【
図6】第1実施形態の第1変形例の基板の一部を示す断面図。
【
図7】第1実施形態の第2変形例の基板の一部を示す断面図。
【
図9】第2実施形態の変形例の基板の一部を示す断面図。
【
図12】第5実施形態の半導体記憶装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の半導体記憶装置を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
本出願では用語を以下のように定義する。「平行」、「直交」、または「同じ」とは、それぞれ「略平行」、「略直交」、または「略同じ」である場合を含み得る。「接続」とは、機械的な接続に限定されず、電気的な接続を含み得る。すなわち「接続」とは、接続対象である2つの要素が直接に接続される場合に限定されず、接続対象である2つの要素が別の要素を間に介在させて接続される場合を含み得る。
【0009】
+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向、+Z方向、および-Z方向は、以下のように定義される。+X方向、-X方向、+Y方向、および-Y方向は、後述する基板21の第1面21aと平行な方向である(
図2参照)。+X方向は、後述する基板21の第1端部21e1から第2端部21e2に向かう方向である(
図2参照)。-X方向は、+X方向とは反対の方向である。+X方向と-X方向とを区別しない場合は、単に「X方向」と称する。+Y方向および-Y方向は、X方向とは交差する(例えば直交する)方向である。+Y方向は、後述する基板21の第3端部21e3から第4端部21e4に向かう方向である(
図2参照)。-Y方向は、+Y方向とは反対の方向である。+Y方向と-Y方向とを区別しない場合は、単に「Y方向」と称する。+Z方向および-Z方向は、X方向およびY方向とは交差する(例えば直交する)方向であり、基板21の厚さ方向である。+Z方向は、後述する基板21の第2面21bから第1面21aに向かう方向である(
図2参照)。-Z方向は、+Z方向とは反対の方向である。+Z方向と-Z方向とを区別しない場合は、単に「Z方向」と称する。
【0010】
(第1実施形態)
<1.半導体記憶装置の全体構成>
図1から
図5を参照し、第1実施形態の半導体記憶装置1について説明する。
図1は、第1実施形態の半導体記憶装置1を示す斜視図である。半導体記憶装置1は、例えばSSD(Solid State Drive)のような記憶装置である。半導体記憶装置1は、例えば、サーバまたはパーソナルコンピュータのような情報処理装置に取り付けられ、情報処理装置の記憶領域として利用される。本出願では、半導体記憶装置1が取り付けられる情報処理装置を「ホスト装置」と称する。
【0011】
図2は、半導体記憶装置1を一部分解して示す斜視図である。半導体記憶装置1は、例えば、筐体10と、基板ユニット20とを有する。
【0012】
<1.1 筐体>
筐体10は、半導体記憶装置1の外郭を形成する部材である。筐体10は、例えば、第1部材11と、第2部材12と、複数の固定部材13とを含む。第1部材11は、例えば、基板ユニット20に対して+Z方向側に位置した壁部と、基板ユニット20に対して+Y方向側に位置した壁部と、基板ユニット20に対して-Y方向側に位置した壁部とを含む。第2部材12は、基板ユニット20に対して-Z方向側に位置した壁部を含む。固定部材13は、第1部材11と第2部材12とを連結する部材である。固定部材13は、例えばねじである。本実施形態では、第1部材11と第2部材12とが複数の固定部材13によって連結されることで、筐体10が形成される。なお、筐体10は、省略されてもよい。この場合は、基板ユニット20が「半導体記憶装置」の一例に該当する。
【0013】
<1.2 基板ユニット>
基板ユニット20は、回路を含む部品が実装された組立体である。基板ユニット20の少なくとも一部は、筐体10に収容される。基板ユニット20は、例えば、基板21、コントローラ22、電力変換部品23、電源回路部品24、複数のNANDメモリ25、およびDRAM(Dynamic Random Access Memory)26を有する。
【0014】
基板21は、プリント配線板である。基板21は、X方向およびY方向に沿う板状である。基板21は、第1面21aと、第2面21bとを有する。第1面21aは、+Z方向に向いた面である。第2面21bは、第1面21aとは反対側に位置し、-Z方向に向いた面である。
【0015】
基板21は、当該基板21の長手方向(X方向)の両端部として、第1端部21e1と、第1端部21e1とは反対側に位置した第2端部21e2とを有する。基板21の第1端部21e1は、コネクタNを有する。コネクタNは、ホスト装置に接続可能な電気接続部である。また、基板21は、当該基板21の短手方向(Y方向)の両端部として、第3端部21e3と、第3端部21e3とは反対側に位置した第4端部21e4とを有する。
【0016】
コントローラ22は、基板21に実装された制御用部品である。コントローラ22は、半導体記憶装置1の全体を統括的に制御する。コントローラ22は、例えば、ホスト装置との通信を行うホストインターフェース回路、複数のNANDメモリ25を制御する制御回路、およびDRAM26を制御する制御回路などが1つの半導体チップに集積されたSoC(System on a Chip)を含む半導体パッケージである。コントローラ22は、例えば、NANDメモリ25に対するデータの書き込み、読み出し、または消去を制御する。
【0017】
電力変換部品23は、電力を変換する部品である。電力変換部品23は、例えば、DC-DCコンバータである。電力変換部品23は、コネクタNを介してホスト装置から供給される電力を所望の電力に変換する。電力変換部品23は、変換した電力を電源回路部品24に出力する。
【0018】
電源回路部品24は、電力管理を行う部品である。電源回路部品24は、例えば、PMIC(Power Management IC)である。電源回路部品24は、基板ユニット20に含まれる各部品(コントローラ22、NANDメモリ25、DRAM26など)に電力を供給する。
【0019】
NANDメモリ25は、不揮発にデータを記憶する半導体メモリチップを含む半導体パッケージである。NANDメモリ25は、例えば、NAND型フラッシュメモリである。
図2に示すように、複数のNANDメモリ25は、基板21の第1面21aと第2面21bとに分かれて実装されている。NANDメモリ25は、「半導体メモリ」の一例である。ただし、「半導体メモリ」は、NAND型フラッシュメモリに限定されず、NOR型メモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、または抵抗変化型メモリなど他の種類のメモリでもよい。
【0020】
DRAM26は、揮発にデータを記憶する半導体メモリチップを含む半導体パッケージである。DRAM26は、ホスト装置から受信した書き込みデータ、または1つ以上のNANDメモリ25から読み出された読み出しデータなどが一時的に格納されるデータバッファとして用いられる。
【0021】
<2.電子部品の実装構造>
次に、電子部品の実装構造について説明する。以下では、コントローラ22、NANDメモリ25、およびDRAM26を区別しない場合、電子部品30と称する。すなわち、コントローラ22、NANDメモリ25、およびDRAM26の各々は、電子部品30の一例である。ただし、電子部品30は、上記例に限定されず、他の種類の半導体メモリでもよく、半導体メモリ以外の電子部品でもよい。
【0022】
<2.1 電子部品の構成>
次に、電子部品30の構成について説明する。
図3は、基板ユニット20の一部を示す断面図である。電子部品30は、パッケージ基板31、回路チップ32、封止樹脂部33、および複数の接合部34を有する。
【0023】
パッケージ基板31は、電子部品30のベースとなる基板である。パッケージ基板31は、プリント配線板である。パッケージ基板31は、X方向およびY方向に沿う板状である。パッケージ基板31は、例えば、絶縁基材41と、配線パターン42と、絶縁膜43とを含む。
【0024】
絶縁基材41は、ガラスエポキシ樹脂のような絶縁体により形成されている。絶縁基材41は、第1面41aと、第2面41bとを有する。第1面41aは、+Z方向に向いた面である。第2面41bは、第1面41aとは反対側に位置し、-Z方向に向いた面である。
【0025】
配線パターン42は、絶縁基材41の内層および外層(表面層)に設けられた導体パターンである。配線パターン42は、絶縁基材41の第2面41bに設けられた複数のパッド42aを含む。複数のパッド42aは、複数の接合部34の配置位置に対応するように格子状に並べて配置されている。
【0026】
絶縁膜43は、絶縁基材41の第2面41bに設けられたソルダーレジスト膜である。絶縁膜43は、複数のパッド42aを露出させる複数の開口43aを有するとともに、複数のパッド42aを外れた領域を覆う。
【0027】
回路チップ32は、絶縁基材41の第1面41aに設けられている。回路チップ32は、例えば、集積回路を含む。
【0028】
封止樹脂部33は、回路チップ32を覆う封止部である。封止樹脂部33は、例えばモールド樹脂部であり、絶縁性を有する。
【0029】
複数の接合部34は、電子部品30の外部に露出した電気接続端子である。複数の接合部34は、複数のパッド42aに設けられている。複数の接合部34は、X方向およびY方向に沿う格子状に並べて配置されている。複数の接合部34は、半田のような導電性材料で形成された接合部(例えば半田接合部)である。複数の接合部34は、例えば、半田ボールである。電子部品30は、例えば、BGA(Ball Grid Array)タイプのパッケージ部品である。ただし、接合部34は、半田ボールに限定されない。電子部品30は、複数の接合部34を介して、後述する基板21の配線パターン52に電気的に接続される。
【0030】
<2.2 基板の構成>
次に、基板21の構成について説明する。
図3に示すように、基板21は、例えば、絶縁基材51と、配線パターン52と、第1絶縁膜53と、第2絶縁膜54とを含む。
【0031】
絶縁基材51は、ガラスエポキシ樹脂のような絶縁体により形成されている。絶縁基材51は、第1面51aと、第2面51bとを有する。第1面51aは、+Z方向に向いた面である。第2面51bは、第1面51aとは反対側に位置し、-Z方向に向いた面である。
【0032】
配線パターン52は、絶縁基材51の内層および外層(表面層)に設けられた導体パターンである。配線パターン52は、絶縁基材51の第1面51aに設けられた複数のパッド61を含む。複数のパッド61は、電子部品30の複数の接合部34の配置位置に対応するように格子状に並べて配置されている。
【0033】
第1絶縁膜53は、絶縁基材51の第1面51aに設けられたソルダーレジスト膜であり、配線パターン52の一部を覆う。第1絶縁膜53は、複数のパッド61に対応して設けられた複数の開口91を有し、複数のパッド61を基板21の外部に露出させる。開口91の中心は、パッド61の中心と一致する。第2絶縁膜54は、絶縁基材51の第2面51bに設けられたソルダーレジスト膜であり、配線パターン52の別の一部を覆う。
【0034】
<2.3 配線構造>
次に、配線パターン52の配線構造について説明する。
図4は、配線パターン52の配線構造を説明するための平面図である。
図4では説明の便宜上、第1絶縁膜53の図示を省略するとともに、配線パターン52にハッチングを付している。また
図4では、配線パターン52に含まれる一部の配線のみを示している。
【0035】
本実施形態では、配線パターン52は、複数の配線62を含む。複数の配線62に含まれる2以上の配線62は、パッド61からX方向(基板21の長手方向)に延びている。また、複数の配線62に含まれる別の2以上の配線62は、パッド61からY方向(基板21の短手方向)に延びている。
【0036】
<2.4 寸法例>
次に、基板21に関する寸法の一例について説明する。本実施形態では、複数のパッド61の中心間距離は、0.65mmである。パッド61の直径は、0.28mmである。開口91の直径は、0.38mmである。配線62の幅は、0.085mmである。平行に並ぶ複数の配線62の中心間距離は、0.325mmである。ただし、基板21に関する寸法は、上記例に限定されず、種々の寸法が採用可能である。
【0037】
<3.補強用構造>
次に、基板21と電子部品30との接合部分の補強構造について説明する。
図5は、
図4中に示されたF5線で囲まれた領域を拡大して示す断面図である。本実施形態では、各パッド61は、円弧状の縁を含む。本出願で「円弧状の縁を含む」とは、例えば、パッド61のなかで配線62に接続された部分以外が円弧状の縁を有する場合である。ただし、本出願で「円弧状の縁を含む」とは、上記例に限定されず、パッド61のなかで配線62に接続された部分に加え、別の部分が円弧以外の外形を有する場合も該当し得る。
【0038】
本実施形態では、開口91は、円形であり、パッド61よりも大きい。本出願で「開口がパッドよりも大きい」とは、例えば、開口91の直径がパッド61の直径よりも大きい(開口91の半径がパッド61の円弧部分の曲率半径よりも大きい)ことを意味する。
【0039】
本実施形態では、複数のパッド61は、第1パッド61A、第2パッド61B、第3パッド61C、第4パッド61D、第5パッド61E、および第6パッド61Fを含む。第1パッド61A、第3パッド61C、および第5パッド61Eは、この順に+Y方向に並ぶ。第2パッド61Bは、第1パッド61Aの+X方向側(電子部品30の中心側)に位置する。第4パッド61Dは、第3パッド61Cの+X方向側(電子部品30の中心側)に位置する。第6パッド61Fは、第5パッド61Eの+X方向側(電子部品30の中心側)に位置する。
【0040】
複数の配線62は、第1配線62A、第2配線62B、第3配線62C、第4配線62D、第5配線62E、および第6配線62Fを含む。第1配線62Aは、第1パッド61Aに接続されている。第2配線62Bは、第2パッド61Bに接続されている。第3配線62Cは、第3パッド61Cに接続されている。第4配線62Dは、第4パッド61Dに接続されている。第5配線62Eは、第5パッド61Eに接続されている。第6配線62Fは、第6パッド61Fに接続されている。
【0041】
複数の開口91は、第1開口91A、第2開口91B、第3開口91C、第4開口91D、第5開口91E、および第6開口91Fを含む。第1開口91Aは、第1パッド61Aに対応して設けられ、第1パッド61Aを外部に露出させる。第2開口91Bは、第2パッド61Bに対応して設けられ、第2パッド61Bを外部に露出させる。第3開口91Cは、第3パッド61Cに対応して設けられ、第3パッド61Cを外部に露出させる。第4開口91Dは、第4パッド61Dに対応して設けられ、第4パッド61Dを外部に露出させる。第5開口91Eは、第5パッド61Eに対応して設けられ、第5パッド61Eを外部に露出させる。第6開口91Fは、第6パッド61Fに対応して設けられ、第6パッド61Fを外部に露出させる。
【0042】
<3.1 第1配線の構成>
次に、第1配線62Aの構成について説明する。第1配線62Aは、例えば、線部71と、接続部72とを含む。
【0043】
線部71は、線状に延びている。例えば、線部71は、X方向に沿う直線状に延びている。本出願で「線状に延びている」とは、直線状に延びた場合に限定されず、曲線状に延びた場合も該当し得る。
【0044】
接続部72は、線部71と第1パッド61Aとの間に設けられ、線部71と第1パッド61Aとを接続している。接続部72の少なくとも一部の幅(例えばY方向の幅)は、線部71の幅(例えばY方向の幅)よりも大きい。本実施形態では、接続部72は、第1部分81と、第2部分82と、第3部分83とを含む。
【0045】
第1部分81は、第1開口91Aの内側で第1パッド61Aと接続されている。第1部分81は、第1パッド61Aから第1方向に延びている。例えば、第1方向は、第1パッド61Aの径方向(第1パッド61Aの中心Cを起点する放射方向)である。例えば、上述した線部71と第1パッド61Aとを最短距離で結ぶ仮想的な線を第1仮想線V1とする場合、第1方向は、第1仮想線V1に対して-Y方向側(第1側)に傾斜している。例えば、第1部分81は、第1パッド61Aの中心Cから第1方向に延びた中心線C1に沿って直線状に延びている。例えば、第1部分81は、第1仮想線V1に対して上記第1側に30度傾斜して延びている。第1仮想線V1は、「第1基準線」と称されてもよい。
【0046】
第2部分82は、第1パッド61Aの周方向において第1部分81から離れた位置で、第1パッド61Aと接続されている。周方向とは、円の円周に沿った方向のことを意味する。第2部分82は、第1開口91Aの内側で第1パッド61Aと接続されている。第2部分82は、第1パッド61Aから上記第1方向とは異なる第2方向に延びている。第2方向は、第1パッド61Aから離れるに従い第1部分81との間の距離が大きくなる方向である。例えば、第2方向は、第1パッド61Aの径方向(第1パッド61Aの中心Cを起点する放射方向)である。例えば、第2方向は、第1仮想線V1に対して+Y方向側(上記第1側とは反対側である第2側)に傾斜している。例えば、第2部分82は、第1パッド61Aの中心Cから第2方向に延びた中心線C2に沿って直線状に延びている。例えば、第2部分82は、第1仮想線V1に対して上記第2側に30度傾いて延びている。言い換えると、中心線C1と中心線C2との間の角度は、60度である。第2仮想線V2は、「第2基準線」と称されてもよい。
【0047】
本実施形態では、第1パッド61Aの周方向において、第1部分81と第2部分82との間には、導電部が存在しない隙間S1が存在する。隙間S1の一部は、第1開口91Aの内側に位置する。なお、上述した接合部34の接合状態によっては、接合部34の一部が隙間S1に存在し得る。また本実施形態では、第1パッド61Aと第1開口91Aの開口縁との間は、接続部72が存在する領域を除き、隙間S2が存在する。
【0048】
第3部分83は、第1部分81および第2部分82に対して第1パッド61Aとは反対側に配置されている。第3部分83は、第1パッド61Aの周方向で第1部分81と第2部分82とに亘る幅が広い部分を含み、第1部分81および第2部分82と接続されている。第3部分83と第1パッド61Aとの間には、第1部分81と第2部分82との間に形成された隙間S1が存在する。第3部分83は、第1パッド61Aから離れる方向に進むに従い幅(例えばY方向の幅)が狭くなる。第3部分83は、線部71と、第1部分81および第2部分82との間に配置されている。第3部分83は、線部71に接続されている。
【0049】
本実施形態では、第1配線62Aは、第1パッド61Aの周方向において、90度の角度範囲R内で第1パッド61Aと接続されている。本出願で「配線がパッドの周方向において90度の角度範囲内でパッドに接続されている」とは、異なる方向に延びた複数の部分(例えば第1部分81および第2部分82)を配線が有する場合に、周方向で最外の両端部に位置する2つの部分の中心線同士の間の角度が90度以下であることを意味する。例えば本実施形態では、第1配線62Aにおいて、第1部分81の中心線C1と、第2部分82の中心線C2との間の角度が90度以下であることを意味する。
【0050】
なお本出願で「配線がパッドの周方向における90度の角度範囲内でパッドに接続されている」とは、上記両端部に位置する2つの部分の中心線同士の間の角度が90度以下である場合において、上記両端部に位置する2つの部分のそれぞれの一部が90度の角度範囲Rからはみ出す場合も該当し得る。この場合の具体例は、後述する第1変形例(
図6参照)のなかで詳しく説明する。上述した定義は、角度範囲Rが90度未満の場合も同様である。
【0051】
本実施形態では、さらに言えば、第1配線62Aは、第1パッド61Aの周方向において60度の角度範囲R内で第1パッド61Aに接続されている。すなわち、第1部分81の中心線C1と、第2部分82の中心線C2との間の角度が60度以下である。
【0052】
<3.2 第2配線の構造>
第2配線62Bは、第1配線62Aと同様に、例えば、線部71と、接続部72とを含む。第2配線62Bの接続部72は、第1配線62Aの接続部72と同様に、第1部分81と、第2部分82と、第3部分83とを含む。以下に説明する以外の第2配線62Bの詳細は、上述した第1配線62Aと同じである。すなわち、第2配線62Bの詳細は、上述した第1配線62Aの説明において、「第1パッド61A」を「第2パッド61B」と読み替え、「第1配線62A」を「第2配線62B」と読み替え、「第1開口91A」を「第2開口91B」と読み替え、「第1方向」を「第3方向」と読み替え、「第2方向」を「第4方向」と読み替えればよい。
【0053】
本実施形態では、第2配線62Bの線部71と、第2パッド61Bとは、X方向に並ばない。第2配線62Bの線部71は、第1配線62Aと第3配線62Cとの間を延びるとともに、第1パッド61Aと第3パッド61Cとの間を通って第2パッド61Bの近くまで延びている。第2配線62Bの線部71は、第2配線62Bの第3部分83に対して第2パッド61Bとは反対側に配置されている。第1配線62Aの線部71と、第2配線62Bの線部71とは、少なくとも部分的に平行に延びている。
【0054】
第2パッド61Bと第2配線62Bの線部71とを最短距離で結ぶ仮想的な線を第2仮想線V2とする場合、第2仮想線V2は、第1仮想線V1とはXY平面において交差する方向に延びている。「XY平面」とは、X方向およびY方向と平行な平面である。例えば、第1仮想線V1と第2仮想線V2との間の角度は、45度である。すなわち、本実施形態では、第1配線62Aの接続部72と第1パッド61Aとが並ぶ方向と、第2配線62Bの接続部72と第2パッド61Bとが並ぶ方向とは異なる。
【0055】
本実施形態では、第2配線62Bの第1部分81は、第2パッド61Bから第3方向に延びている。第3方向は、上記第1方向とは異なる方向である。例えば、第3方向は、第2パッド61Bの径方向(第2パッド61Bの中心Cを起点とする放射方向)である。例えば、第3方向は、第2仮想線V2に対して一方の側に傾斜している。例えば、第2配線62Bの第1部分81は、第2パッド61Bの中心Cから第3方向に延びた中心線C3に沿って直線状に延びている。例えば、第2配線62Bの第1部分81は、第2仮想線V2に対して30度傾いて延びている。
【0056】
第2配線62Bの第2部分82は、第2パッド61Bから第4方向に延びている。第4方向は、上記第2方向とは異なるとともに、上記第3方向とも異なる方向である。第4方向は、第2パッド61Bから離れるに従い第2配線62Bの第1部分81との間の距離が大きくなる方向である。例えば、第4方向は、第2パッド61Bの径方向(第2パッド61Bの中心Cを起点とする放射方向)である。例えば、第4方向は、第2仮想線V2に対して、第3方向とは反対側に傾斜している。例えば、第2配線62Bの第2部分82は、第2パッド61Bの中心Cから第4方向に延びた中心線C4に沿って直線状に延びている。例えば、第2配線62Bの第2部分82は、第2仮想線V2に対して30度傾いて延びている。
【0057】
本実施形態では、第2配線62Bは、第2パッド61Bの周方向において90度の角度範囲R内で第2パッド61Bと接続されている。すなわち、第2配線62Bにおいて、第1部分81の中心線C3と、第2部分82の中心線C4との間の角度が90度以下(さらに言えば60度以下)である。
【0058】
<3.3 第3から第6配線の構造>
第3配線62Cおよび第5配線62Eの各々は、上述した第1配線62Aと同じ構成を有する。一方で、第4配線62Dおよび第6配線62Fの各々は、上述した第2配線62Bと同じ構成を有する。例えば、第4配線62Dの線部71は、第3配線62Cと第5配線62Eとの間を延びるとともに、第3パッド61Cと第5パッド61Eとの間を通って第4パッド61Dの近くまで延びている。
【0059】
<4.作用>
次に、本実施形態の構造の作用について説明する。
図5に示すように、電子部品30の接合部34は、例えばリフロー工程で加熱されることで、パッド61の外形に沿う形状に変化する。本実施形態では、接合部34の一部は、接続部72の第1部分81に沿って存在し、開口91の開口縁に接する。また、接合部34の別の一部は、接続部72の第2部分82に沿って存在し、開口91の開口縁に接する。これにより、各接合部34に作用する応力が複数方向に分散される。
【0060】
本実施形態では、第1パッド61A、第3パッド61C、および第5パッド61Eの各々に接合された接合部34は、第1部分81および第2部分82上で開口91の開口縁に接して、上記第1方向と上記第2方向とに応力を分散させる。一方で、第2パッド61B、第4パッド61D、および第6パッド61Fの各々に接合された接合部34は、第1部分81および第2部分82上で開口91の開口縁に接して、上記第3方向と上記第4方向とに応力を分散させる。これより、電子部品30全体として、より多くの方向(第1から第4の方向)に応力を分散させることができる。
【0061】
<5.利点>
半導体記憶装置では、利用環境の温度差による膨張収縮や振動衝撃によって、プリント基板のパッドと電子部品の接合部との間に応力が作用する。近年の半導体記憶装置では、製品小型化や搭載部品の高密度化のため、プリント基板に実装される電子部品の間隔や、プリント基板を筐体に固定する固定部(拘束部)と電子部品との間隔がさらに狭くなり、プリント基板の膨張収縮や振動衝撃による応力の影響を受けやすい。
【0062】
そこで本実施形態では、配線パターン52は、第1パッド61Aと、第1配線62Aとを有する。第1配線62Aは、第1部分81、第2部分82、および第3部分83を含む。第1部分81は、第1開口91Aの内側で第1パッド61Aと接続され、第1方向に延びている。第2部分82は、第1開口91Aの内側で第1パッド61Aと接続され、第1パッド61Aから離れるに従い第1部分81との間の距離が大きくなる第2方向に延びている。第3部分83は、第1部分81および第2部分82に対して第1パッド61Aとは反対側に配置され、第1部分81および第2部分82と接続されている。第1配線62Aは、第1パッド61Aの周方向において90度の角度範囲R内で第1パッド61Aに接続されている。
【0063】
このような構成によれば、上述したように接合部34に作用する応力を複数方向に分散させることができる。これにより、接合部34および基板21において不具合が生じにくく、接合部34の接合信頼性の向上を図ることができる。その結果、半導体記憶装置1の信頼性の向上を図ることができる。また本実施形態では、第1配線62Aは、90度の角度範囲R内で第1パッド61Aに接続されている。このような構成によれば、接合部34に作用する応力が複数方向に分散させる構造を実現しつつ、複数のパッド61および複数の配線62を高密度に配置しやすくなる。これにより、半導体記憶装置1の小型化を図ることができる。
【0064】
本実施形態では、第1パッド61Aの周方向において第1部分81と第2部分82との間に隙間S1が存在する。このような構成によれば、第1部分81と第2部分82とが独立して第1開口91Aの開口縁に接するため、上記第1方向と上記第2方向とに応力がさらに分散しやすくなる。
【0065】
本実施形態では、第2部分82は、第1パッド61Aの周方向において第1部分81から離れた位置で第1パッド61Aと接続されている。このような構成によれば、第1部分81と第2部分82とが大きく離れて位置することになるため、上記第1方向と上記第2方向とに応力がさらに分散しやすくなる。
【0066】
本実施形態では、第1配線62Aは、第1パッド61Aの周方向に関して60度の角度範囲R内で第1パッド61Aに接続されている。このような構成によれば、接合部34に作用する応力が複数方向に分散させる構造を実現しつつ、複数のパッド61および複数の配線62をさらに高密度に配置しやすくなる。これにより、半導体記憶装置1のさらなる小型化を図ることができる。
【0067】
本実施形態では、第1パッド61Aと線部71とを最短距離で結ぶ仮想的な線を第1仮想線V1とする場合、上記第1方向は、第1仮想線V1に対して第1側に傾斜し、上記第2方向は、第1仮想線V1に対して上記第1側とは反対側の第2側に傾斜している。このような構成によれば、接合部34に作用する応力が複数方向に分散させる構造を実現しつつ、配線62の構成を小さく纏めやすくなる。これにより、半導体記憶装置1のさらなる小型化を図ることができる。
【0068】
本実施形態では、第2配線62Bの第1部分81は、第2開口91Bの内側で第2パッド61Bと接続され、上記第1方向とは異なる第3方向に延びている。第2配線62Bの第2部分82は、第2開口91Bの内側で第2パッド61Bと接続され、上記第2方向とは異なる第4方向に延びている。このような構成によれば、複数の接合部34と基板21との間に作用する応力をさらに多くの方向に分散させることができる。これにより、個々の接合部34の接合信頼性のさらなる向上を図ることができる。
【0069】
本実施形態では、第1配線62Aの接続部72と第1パッド61Aとが並ぶ方向と、第2配線62Bの接続部72と第2パッド61Bとが並ぶ方向と、は異なる。第1配線62Aの線部71と、第2配線62Bの線部71とは、少なくとも部分的に平行に延びている。このような構成によれば、第1配線62Aの接続部72と第1パッド61Aとが並ぶ方向と、第2配線62Bの接続部72と第2パッド61Bとが並ぶ方向とを異ならせることで、高密度配置を実現しつつ、第1配線62Aと平行な方向に第2配線62Bを引き出しやすくなる。これにより、半導体記憶装置1のさらなる小型化を図ることができる。
【0070】
<6.変形例>
次に、第1実施形態のいくつかの変形例について説明する。なお、各変形例において以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同じである。
【0071】
<6.1 第1変形例>
図6は、第1変形例の基板21の一部を示す断面図である。本変形例では、第1配線62A、第3配線62C、および第5配線62Eの各々において、第1部分81の中心線C1と、第2部分82の中心線C2との間の角度は、90度である。同様に、本変形例では、第2配線62B、第4配線62D、および第6配線62Fの各々において、第1部分81の中心線C3と、第2部分82の中心線C4との間の角度は、90度である。
【0072】
これらの場合、第1配線62Aから第6配線62Fの各々において、パッド61の周方向において、接続部72の両端部に位置する2つの部分(第1部分81および第2部分82)のそれぞれの一部が90度の角度範囲Rからはみ出す。しかしながら、上述したように、上記両端部に位置する2つの部分の中心線同士の間の角度が90度以下である場合は、本出願でいう「配線がパッドの周方向において90度の角度範囲内でパッドに接続されている」ことの一例に該当する。
【0073】
図6に示すように、本変形例では、各配線62の接続部72は、上述した第1部分81から第3部分83に加え、第4部分84を含む。第4部分84は、第3部分83とパッド61との間に設けられ、第3部分83とパッド61とに接続されている。第4部分84は、パッド61の周方向において、第1部分81と第2部分82との間に配置されるとともに、第1部分81および第2部分82とは異なる位置でパッド61に接続されている。
【0074】
これにより、パッド61の周方向において第1部分81と第4部分84の間には、導電部が存在しない隙間S1aが形成されている。同様に、パッド61の周方向において第2部分82と第4部分84の間には、導電部が存在しない隙間S1bが形成されている。隙間S1aおよび隙間S1bの各々の一部は、開口91の内側に位置する。
【0075】
このような構成によれば、各接合部34に作用する応力を3つの方向に分散させることができる。これにより、例えば第1実施形態と比べて、接合部34の接合信頼性のさらなる向上を図ることができる。
【0076】
<6.2 第2変形例>
図7は、第2変形例の基板21の一部を示す断面図である。本変形例では、第1配線62A、第3配線62C、および第5配線62Eの各々において、第1部分81の中心線C1と、第2部分82の中心線C2との間の角度は、90度である。同様に、本変形例では、第2配線62B、第4配線62D、および第6配線62Fの各々において、第1部分81の中心線C3と、第2部分82の中心線C4との間の角度は、90度である。
【0077】
このような構成によれば、各接合部34に作用する応力を互いに大きく離れた2つの方向に分散させることができる。これにより、例えば第1実施形態と比べて、接合部34の接合信頼性のさらなる向上を図ることができる。
【0078】
<6.3 その他の変形例>
以上、いくつかの変形例について説明した。ただし、第1実施形態の変形例は、上記例に限定されない。例えば、第1実施形態、第1変形例、および第2変形例において、接続部72に設けられた隙間S1,S1a,S1bは存在しなくてもよい。
【0079】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1絶縁膜53の開口91の開口縁が突出部を有した点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同じである。
【0080】
図8は、第2実施形態の基板21の一部を示す断面図である。本実施形態では、配線パターン52は、例えば、複数のパッド61(例えば第1から第6のパッド61A~61F)と、複数の配線62(例えば第1から第6の配線62A~62F)とを含む。
【0081】
(配線の形状)
第1配線62Aは、例えば、線部71と、接続部72とを含む。本実施形態では、接続部72は、例えば、第1部分101と、第2部分102とを有する。
【0082】
第1部分101は、線部71から第1パッド61Aに近付くに従い幅(例えばY方向の幅)が広くなる。第1部分101の最大幅は、第1パッド61Aの最大幅(例えば直径)と同じである。
【0083】
第2部分102は、第1部分101と第1パッド61Aとの間に設けられている。第2部分102は、第2部分102の全長に亘り第1パッド61Aの最大幅(例えば直径)と同じ幅を有して、第1部分101と第1パッド61Aとを接続している。
【0084】
(開口の形状)
第1絶縁膜53は、複数の開口91(例えば第1から第6の開口91A~81F)を有する。第1開口91Aは、第1パッド61Aに対応して設けられ、第1パッド61Aよりも大きい。第1開口91Aの開口縁110は、第1縁部111と、第2縁部112とを含む。
【0085】
第1縁部111は、円弧状に延びている。第1縁部111の曲率半径は、第1パッド61Aの半径(第1パッド61Aの円弧部分の曲率半径)よりも大きい。本実施形態では、第1縁部111は、第1パッド61Aの周方向において270度以上の角度範囲に亘って形成されている。
【0086】
第2縁部112は、第1縁部111から第1開口91Aの内側に突出した突出部である。これにより、第1パッド61Aの周方向における第2縁部112の一方の端と、第1縁部111との境界には、第1段差B1が存在する。第1パッド61Aの周方向における第2縁部112の他方の端と、第1縁部111との境界には、第2段差B2が存在する。第1段差B1および第2段差B2は、XY平面内の段差である。
【0087】
本実施形態では、第1段差B1および第2段差B2の各々は、第1パッド61Aの径方向(第1パッド61Aの中心Cを起点する放射方向)に沿う。すなわち、第1段差B1および第2段差B2は、第1仮想線V1に対して傾斜している。第2縁部112は、第1パッド61Aの周方向において90度の角度範囲内に設けられている。第1段差B1と第2段差B2との間の角度は、例えば、90度以内である。本実施形態では、第1段差B1と第2段差B2との間の角度は、30度である。
【0088】
本実施形態では、第1段差B1および第2段差B2は、絶縁基材41の厚さ方向から見た場合(すなわちZ方向から見た場合)、第1配線62Aの接続部72と重なる位置に設けられている。すなわち、第1段差B1および第2段差B2は、第1パッド61Aと第1開口91の開口縁110との間の隙間S2から離れている。さらに言えば、第1段差B1および第2段差B2は、絶縁基材41の厚さ方向から見た場合、接続部72のなかで幅が広くなった第2部分102と重なる位置に設けられている。
【0089】
第2配線62Bの接続部72は、第1配線62Aの接続部72と同様に、第1部分101と、第2部分102とを含む。第2開口91Bは、第1開口91Aと同様に、第1縁部111と、第2縁部112とを含む。以下に説明する以外の第2配線62Bおよび第2開口91Bの詳細は、上述した第1配線62Aおよび第1開口91Aと同じである。すなわち、第2配線62Bおよび第2開口91Bの詳細は、上述した第1配線62Aおよび第1開口91Aの説明において、「第1パッド61A」を「第2パッド61B」と読み替え、「第1配線62A」を「第2配線62B」と読み替え、「第1開口91A」を「第2開口91B」と読み替えればよい。
【0090】
本実施形態では、第2配線62Bの線部71と、第2パッド61Bとは、X方向に並ばない。第2配線62Bの線部71は、第1配線62Aと第3配線62Cとの間を延びるとともに、第1パッド61Aと第3パッド61Cとの間を通って第2パッド61Bの近くまで延びている。第2配線62Bの線部71は、第2配線62Bの接続部72に対して第2パッド61Bとは反対側に配置されている。第1配線62Aの線部71と、第2配線62Bの線部71とは、少なくとも部分的に平行に延びている。
【0091】
本実施形態では、第2仮想線V2は、第1仮想線V1とは交差する方向に延びている。例えば、第1仮想線V1と第2仮想線V2との間の角度は、45度である。すなわち、本実施形態では、第1配線62Aの接続部72と第1パッド61Aとが並ぶ方向と、第2配線62Bの接続部72と第2パッド61Bとが並ぶ方向とは異なる。
【0092】
第3配線62Cおよび第5配線62Eの各々は、上述した第1配線62Aと同じ構成を有する。第3開口91Cおよび第5開口91Eの各々は、上述した第1開口91Aと同じ構成を有する。一方で、第4配線62Dおよび第6配線62Fの各々は、上述した第2配線62Bと同じ構成を有する。第4開口91Dおよび第6開口91Fの各々は、上述した第2開口91Bと同じ構成を有する。
【0093】
(作用)
本実施形態では、接合部34は、開口91の第1縁部111の一部に接するとともに、開口91の第1段差B1および第2段差B2に接する。これにより、接合部34に作用する応力が複数方向に分散される。
【0094】
(利点)
本実施形態では、第1開口91Aの開口縁110は、第1縁部111と、第1縁部111に対して第1開口91Aの内側に突出した第2縁部112とを有する。第1縁部111と第2縁部112との境界(例えば段差B1)は、絶縁基材41の厚さ方向から見た場合、配線62の接続部72と重なる位置に設けられている。このような構成によれば、例えば製造時に第1絶縁膜53の位置ずれが生じた場合でも、第1縁部111と第2縁部112との境界(例えば段差B1)が接続部72の上に留まりやすい。このため、例えば製造時に第1絶縁膜53の位置ずれが生じた場合でも、第1縁部111と第2縁部112との境界に接合部34が接することができ、接合部34に作用する応力を複数方向に分散させることができる。これにより、接合部34の接合信頼性の向上を図ることができる。その結果、半導体記憶装置1の信頼性の向上を図ることができる。
【0095】
(変形例)
次に、第2実施形態の変形例について説明する。なお、本変形例において以下に説明する以外の構成は、第2実施形態の構成と同じである。
【0096】
図9は、第2実施形態の変形例の基板21の一部を示す断面図である。本実施形態では、第1段差B1と第2段差B2との間の角度は、45度である。このような構成によれば、各接合部34に作用する応力を互いに大きく離れた複数の方向に分散させることができる。これにより、例えば第2実施形態と比べて、接合部34の接合信頼性のさらなる向上を図ることができる。
【0097】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1絶縁膜53の開口91の第1段差B1および第2段差B2の位置が接続部72を外れた位置に設けられた点で、第2実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、第2実施形態の構成と同じである。
【0098】
図10は、第2実施形態の基板21の一部を示す断面図である。本実施形態では、第1段差B1および第2段差B2の各々は、絶縁基材41の厚さ方向から見た場合、接続部72を外れるとともに、接続部72の第2部分102と隣り合う位置に設けられている。
【0099】
このような構成によれば、接合部34のなかで表面張力により第1パッド61Aの縁から膨らんだ部分が第1段差B1および第2段差B2に接する。これにより、接合部34に作用する応力が複数方向に分散される。
【0100】
本実施形態では、第1段差B1と第2段差B2とが大きく離れているため、各接合部34に作用する応力を互いに大きく離れた複数の位置で分散させることができる。これにより、例えば第2実施形態と比べて、接合部34の接合信頼性のさらなる向上を図ることができる。
【0101】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、配線62が突出部を有した点で、第1実施形態とは異なる。以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同じである。
【0102】
図11は、第4実施形態の基板21の一部を示す断面図である。本実施形態では、第1絶縁膜53は、複数の開口91(例えば第1から第6の開口91A~91B)を有する。開口91は、第1実施形態と同様に、円形である。
【0103】
配線パターン52は、例えば、複数のパッド61(例えば第1から第6のパッド61A~61F)と、複数の配線62(例えば第1から第6の配線62A~62F)とを含む。
【0104】
第1配線62Aは、例えば、線部71と、接続部72とを含む。本実施形態では、接続部72は、例えば、第1部分121と、第2部分122と、第3部分123とを有する。
【0105】
第1部分121は、第1パッド61Aと線部71との間に設けられている。第1部分121は、第1パッド61Aから線部71に向かう第1方向に延びている。第1部分121は、第1パッド61Aから線部71に近付くに従い幅が小さくなる。第1部分121は、は、第1パッド61Aと線部71とを接続している。
【0106】
第2部分122は、絶縁基材41の厚さ方向から見た場合に、第1開口91Aの開口縁110と重なる位置に設けられている。第2部分122は、第1部分121から第1方向とは交差した第2方向に突出している。第2部分122の外形は、例えば、第1部分121の外形に滑らかに連続するとともに、第1部分121から離れる方向に凸となる半円状である。例えば、第2部分122は、第1部分121の縁に対して直交する方向に突出している。
【0107】
第2部分122の外形は、例えば、第1曲線部122a、第2曲線部122b、および第3曲線部122cを含む。第1曲線部122aは、第1部分121に滑らかに連続するとともに、第1部分121から離れるに従い第1部分121に対する傾きが徐々に大きくなる円弧状である。第2曲線部122bは、第1部分121に連続している。第2曲線部122bは、第1部分121から離れるに従い第1部分121に対する傾きが徐々に小さくなる円弧状である。第2曲線部122bは、第2部分122の頂部(突出端)を形成する。第3曲線部122cは、第2曲線部122bに対して、第1曲線部122aとは反対側に配置されている。第3曲線部122cは、第1部分121に滑らかに連続するとともに、第1部分121から離れるに従い第1部分121に対する傾きが徐々に大きくなる円弧状である。第1開口91Aの開口縁110は、絶縁基材41の厚さ方向で見た場合、第1曲線部122aまたは第2曲線部122bと重なる。
【0108】
第3部分123は、第1部分121に対して、第2部分122とは反対側に配置されている。第3部分123は、絶縁基材41の厚さ方向から見た場合に、第1開口91Aの開口縁110と重なる位置に設けられている。第3部分123は、第1部分121から第1方向とは交差した第3方向に突出している。第3部分123の外形は、例えば、第1部分121の外形に滑らかに連続するとともに、第1部分121から離れる方向に凸となる半円状である。例えば、第3部分123は、第1部分121の縁に対して直交する方向に突出している。
【0109】
第3部分123の外形は、例えば、第1曲線部123a、第2曲線部123b、および第3曲線部123cを含む。第1曲線部123aは、第1部分121に滑らかに連続するとともに、第1部分121から離れるに従い第1部分121に対する傾きが徐々に大きくなる円弧状である。第2曲線部123bは、第1部分121に連続している。第2曲線部123bは、第1部分121から離れるに従い第1部分121に対する傾きが徐々に小さくなる円弧状である。第2曲線部123bは、第3部分123の頂部(突出端)を形成する。第3曲線部123cは、第2曲線部123bに対して、第1曲線部122aとは反対側に配置されている。第3曲線部123cは、第1部分121に滑らかに連続するとともに、第1部分121から離れるに従い第1部分121に対する傾きが徐々に大きくなる円弧状である。第1開口91Aの開口縁110は、絶縁基材41の厚さ方向で見た場合、第1曲線部123aまたは第2曲線部123bと重なる。
【0110】
第2配線62Bの接続部72は、第1配線62Aの接続部72と同様に、第1部分121と、第2部分122と、第3部分123を含む。以下に説明する以外の第2配線62Bの詳細は、上述した第1配線62Aと同じである。すなわち、第2配線62Bの詳細は、上述した第1配線62Aの説明において、「第1パッド61A」を「第2パッド61B」と読み替え、「第1配線62A」を「第2配線62B」と読み替え、「第1開口91A」を「第2開口91B」と読み替えればよい。
【0111】
本実施形態では、第2配線62Bの線部71と、第2パッド61Bとは、X方向に並ばない。第2配線62Bの線部71は、第1配線62Aと第3配線62Cとの間を延びるとともに、第1パッド61Aと第3パッド61Cとの間を通って第2パッド61Bの近くまで延びている。第2配線62Bの線部71は、第2配線62Bの接続部72に対して第2パッド61Bとは反対側に配置されている。第1配線62Aの線部71と、第2配線62Bの線部71とは、少なくとも部分的に平行に延びている。
【0112】
本実施形態では、第2仮想線V2は、第1仮想線V1とは交差する方向に延びている。例えば、第1仮想線V1と第2仮想線V2との間の角度は、45度である。すなわち、本実施形態では、第1配線62Aの接続部72と第1パッド61Aとが並ぶ方向と、第2配線62Bの接続部72と第2パッド61Bとが並ぶ方向とは異なる。
【0113】
第3配線62Cおよび第5配線62Eの各々は、上述した第1配線62Aと同じ構成を有する。一方で、第4配線62Dおよび第6配線62Fの各々は、上述した第2配線62Bと同じ構成を有する。
【0114】
(作用)
本実施形態では、接合部34の一部は、接続部72の第1部分121に沿って存在し、開口91の開口縁110に接する。また、接合部34の別の一部は、接続部72の第2部分122に沿って存在し、開口91の開口縁110に接する。これにより、各接合部34に作用する応力が複数方向に分散される。
【0115】
本実施形態では、第1パッド61A、第3パッド61C、および第5パッド61Eの各々に接合された接合部34は、第1部分121および第2部分122上で開口91の開口縁110に接して、複数の方向に応力を分散させる。一方で、第2パッド61B、第4パッド61D、および第6パッド61Fの各々に接合された接合部34は、第2部分122および第3部分123上で開口91の開口縁に接して、上記とは異なる複数の応力に分散させる。これより、電子部品30全体として、より多くの方向に応力を分散させることができる。
【0116】
(利点)
本実施形態では、第1配線62Aは、線部71と、線部71と第1パッド61Aとの間に設けられた接続部72とを含む。接続部72は、第1パッド61Aから線部71に近付くに従い幅が小さくなる第1部分121と、絶縁基材51の厚さ方向から見た場合に前記第1開口91Aの開口縁110と重なる位置に設けられ、第1部分121から第1方向とは交差した第2方向に突出した第2部分122とを含む。
【0117】
このような構成によれば、上述したように接合部34に作用する応力が複数方向に分散させることができる。これにより、接合部34および基板21において不具合が生じにくく、接合部34の接合信頼性の向上を図ることができる。その結果、半導体記憶装置1の信頼性の向上を図ることができる。
【0118】
本実施形態では、第2部分122の外形は、第1部分121から離れるに従い第1部分121に対する傾きが徐々に大きくなる曲線部122aを含む。このような構成によれば、リフロー工程で溶けた接合部34が第1部分121から第2部分122に入りやすいとともに、第1開口91Aの開口縁110と第2部分122とが接する方向と、第1開口91Aの開口縁110と第3部分123とが接する方向とが大きく異なりやすい。このため、各接合部34に作用する応力を互いに大きく離れた2つの方向に分散させることができる。これにより、例えば第1実施形態と比べて、接合部34の接合信頼性のさらなる向上を図ることができる。
【0119】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態は、上述した補強構造がパッケー型の半導体記憶装置の裏面に適用された点で、第1実施形態とは異なる。以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同じである。
【0120】
図12は、パッケージ型の半導体記憶装置1Aを示す断面図である。半導体記憶装置1Aは、パッケージ基板31A、回路チップ32、封止樹脂部33、および複数の接合部34を有する。
【0121】
パッケージ基板31Aは、半導体記憶装置1Aのベースとなる基板である。パッケージ基板31Aは、プリント配線板である。パッケージ基板31Aは、X方向およびY方向に沿う板状である。パッケージ基板31Aは、例えば、絶縁基材51と、配線パターン52と、絶縁膜53とを含む。配線パターン52と絶縁膜53は、絶縁基材51の-Z方向側の面に設けられている。配線パターン52は、複数のパッド61を含む。上述した第1から第4の実施形態およびそれらの変形例は、配線パターン52の配線62、および/または絶縁膜53の開口91に適用される。
【0122】
このような構成によれば、半導体記憶装置1Aの信頼性の向上を図ることができる。
【0123】
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明したが、実施形態は上記例に限定されない。例えば、上述した実施形態は、互いに組み合わされて実現されてもよい。
【0124】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、基板の第1配線は、第1開口の内側で第1パッドと接続され、第1方向に延びた第1部分と、第1開口の内側で第1パッドと接続され、第1パッドから離れるに従い第1部分との間の距離が大きくなる第2方向に延びた第2部分とを有する。第1配線は、第1パッドの周方向において90度の角度範囲内で第1パッドと接続されている。このような構成によれば、半導体記憶装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0126】
1,1A…半導体記憶装置、21…基板、30…電子部品、51…絶縁基材、52…配線パターン、53…第1絶縁膜(絶縁膜)、61A…第1パッド、61B…第2パッド、62A…第1配線、62B…第2配線、71…線部、72…接続部、81…第1部分、82…第2部分、83…第3部分、91A…第1開口、91B…第2開口、101…第1部分、102…第2部分、110…開口縁、111…第1縁部、112…第2縁部、121…第1部分、122…第2部分、122a…第1曲線部、123…第3部分、123a…第1曲線部。