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特開2024-123458運転支援システムおよび運転支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123458
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】運転支援システムおよび運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240905BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20240905BHJP
【FI】
G05B23/02 R
C02F1/00 D
C02F1/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030891
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】出口 智明
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 弘二
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA06
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223FF05
3C223FF12
3C223FF23
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH08
(57)【要約】
【課題】水処理プラントの作業者における水処理プラントの運転管理の負担を省力化することができる運転支援システムを得ること。
【解決手段】運転支援システム10は、水処理プラントとの間で通信を行う通信部と、設定値と、水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を示す状態値とに基づいて、未来の水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測するシミュレーションを行うシミュレーション部132と、シミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態でないと判定した場合に、未来の水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を正常な状態とする設定値である変更設定値を決定する設定値変更判定部133と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理プラントの水処理プロセスにおける運転条件の設定値を決定して前記水処理プラントの運転管理を支援する運転支援システムであって、
前記水処理プラントとの間で通信を行う通信部と、
前記設定値と、前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を示す状態値とに基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測するシミュレーションを行うシミュレーション部と、
前記シミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態でないと判定した場合に、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を正常な状態とする前記設定値である変更設定値を決定する設定値変更判定部と、
を備えることを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
前記シミュレーション部は、未来の前記状態値の予測値を算出し、
前記設定値変更判定部は、前記予測値が予め決められた変更判定閾値を超えている場合に、前記予測値に対応する前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態でないと判定し、前記変更設定値を決定すること、
を特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記シミュレーション部は、前記設定値の現在の値である現在の設定値と、前記状態値の現在の値である現在の状態値とに基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測する第1のシミュレーションを行い、
前記設定値変更判定部は、前記第1のシミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態でないと判定した場合に、前記変更設定値を決定すること、
を特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項4】
前記変更設定値の候補となる複数の前記設定値を記憶するデータベース部を備え、
前記シミュレーション部は、前記設定値変更判定部において前記第1のシミュレーションのシミュレーション結果に基づいて未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態でないと判定された場合に、前記データベース部から前記変更設定値の候補となる前記設定値を取得して、取得した前記変更設定値の候補となる前記設定値と、前記現在の状態値とに基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測する第2のシミュレーションを行い、
前記設定値変更判定部は、前記第2のシミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態であると判定した場合に、前記第2のシミュレーションに使用した前記変更設定値の候補となる前記設定値を前記変更設定値に決定すること、
を特徴とする請求項3に記載の運転支援システム。
【請求項5】
前記変更設定値の候補となる複数の前記設定値は、過去の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態において用いられた前記設定値のうち未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態であると判定された設定値であること、
を特徴とする請求項4に記載の運転支援システム。
【請求項6】
前記通信部は、複数の前記水処理プラントと通信を行い、
前記シミュレーション部は、複数の前記水処理プラントについて個別に前記シミュレーションを行い、
前記設定値変更判定部は、複数の前記水処理プラントについて個別に前記変更設定値を決定すること、
を特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項7】
クラウド上に構築されていること、
を特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項8】
前記シミュレーション部は、前記シミュレーションにおいてシミュレーション結果の変動要因となる情報である変動要因情報を用いて前記シミュレーションを行うこと、
を特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項9】
運転支援システムにおける水処理プラントの運転管理を支援する運転支援方法であって、
シミュレーション部が、前記水処理プラントから、前記水処理プラントの水処理プロセスにおける運転条件の設定値と、前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を示す状態値とに基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測するシミュレーションを行うステップと、
設定値変更判定部が、前記シミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態でないと判定した場合に、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を正常な状態とする前記設定値である変更設定値を決定するステップと、
を含むことを特徴とする運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水処理プラントの設備の運転の支援を行う運転支援システムおよび運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下水処理場における状態量に基づいて水質シミュレーションを行う下水処理場の運転管理システムであって、下水処理場から送られる状態量と、下水処理場の運転条件と、水質シミュレーションのパラメータとに基づいて水質シミュレーションを行い、水質シミュレーションの結果を入出力部に出力する運転管理システムが記載されている。下水処理場の作業者は、入出力部を介して水質シミュレーションの結果を認識し、下水処理場の運転方法の検討を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-95440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された下水処理場の運転管理システムによれば、下水処理場の設備を運転するための設定値を下水処理場の作業者に提示できない。下水処理場の作業者は、下水処理場の設備を運転するために、水質シミュレーションの結果に基づいて下水処理場の運転方法の検討を行い、設定値を決定する必要がある。そして、下水処理場の作業者は、下水処理場の運転方法の検討を行って設定値を決定する労力がかかり、下水処理場の運転管理の負担が大きい。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、水処理プラントの作業者における水処理プラントの運転管理の負担を省力化することができる運転支援システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる運転支援システムは、水処理プラントの水処理プロセスにおける運転条件の設定値を決定して水処理プラントの運転管理を支援する運転支援システムである。運転支援システムは、水処理プラントとの間で通信を行う通信部と、設定値と、水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を示す状態値とに基づいて、未来の水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測するシミュレーションを行うシミュレーション部と、シミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態でないと判定した場合に、未来の水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を正常な状態とする設定値である変更設定値を決定する設定値変更判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる運転支援システムによれば、水処理プラントの作業者における水処理プラントの運転管理の負担を省力化することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1にかかる水処理プラントシステムの構成例を示す図
図2】実施の形態1にかかる運転支援システムの構成例を示す図
図3】実施の形態1にかかる第1監視装置の構成例を示す図
図4】実施の形態1にかかる第1制御装置の構成例を示す図
図5】実施の形態1にかかる第1水処理設備の一部の構成例を示す図
図6】実施の形態1にかかる運転支援システムの処理の一例を示すフローチャート
図7】実施の形態1にかかる機械学習部の学習処理の一例を示すフローチャート
図8】実施の形態1にかかる制御部のそれぞれの機能をハードウェアで実現した構成を示す図
図9】実施の形態1にかかる制御部のそれぞれの機能をソフトウェアで実現した構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態にかかる運転支援システムおよび運転支援方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる水処理プラントシステムの構成例を示す図である。実施の形態1にかかる水処理プラントシステム1は、運転支援システム10を備える。運転支援システム10は、水処理プラントである水処理場20の水処理設備の運転管理を支援する運転管理支援を実施可能なシステムであり、水処理プラントの運転管理を行う作業者における水処理プラントの運転管理の負担を、省力化することができるシステムである。
【0011】
水処理プラントシステム1において、運転支援システム10は、グローバルな情報通信網であるインターネット30等のネットワークを介して、水処理プラントである複数の水処理場20と互いに通信可能に接続されている。すなわち、運転支援システム10と複数の水処理場20とは、ネットワークに接続し、互いに情報の送受信が可能とされている。複数の水処理場20と運転支援システム10との間の通信は、無線通信でもよく、有線通信でもよい。
【0012】
運転支援システム10は、水処理プラントにおける、現在の状態値情報と、現在の設定値情報とに基づいて、水処理プラントの水処理設備の自動制御状態の変化を予測するシミュレーションを行い、現在よりも後の予め決められた時点での未来の水処理プラントの水処理設備の自動制御状態を予測する。水処理プラントの水処理設備は、後述する監視装置および制御装置によって運転が自動制御されている。以下では、現在よりも後の予め決められた時点での未来の水処理プラントの水処理設備の自動制御状態を、単に未来の自動制御状態と呼ぶ場合がある。
【0013】
状態値情報は、水処理プラントである水処理場20の水処理設備における水処理プロセスの自動制御状態を示す状態データである状態値の情報である。状態値情報は、水処理場20の水処理設備に設けられた各種センサによって検出される。状態値情報は、複数の水処理場20のそれぞれから、予め決められた周期で運転支援システム10に収集される。すなわち、複数の水処理場20のそれぞれは、現在の状態値情報を、予め決められた周期で運転支援システム10に送信する。
【0014】
水処理場20の水処理設備の自動制御状態は、水処理場20の水処理設備の運転状態および水処理場20の水処理設備の処理状態を含む。水処理場20の水処理設備の運転状態の状態値は、例えば水処理場20の水処理設備での水処理プロセスにおける消費電力が挙げられる。
【0015】
水処理場20の水処理設備の処理状態の状態値は、例えば水処理場20の水処理設備での、水処理プロセスにおける処理水の水質、水処理プロセスにおける汚泥発生量、水処理プロセスへの流入量、水処理プロセスにおけるアンモニア濃度、水処理プロセスおける処理水の活性汚泥浮遊物質(Mixed Liquor Suspended Solids:MLSS)、および水処理プロセスにおける処理水の残留塩素濃度が挙げられる。アンモニア濃度は、例えば水処理設備における反応槽の最後段で測定される。MLSSは、例えば水処理設備における好気槽の後段の沈殿槽で測定される。残留塩素濃度は、例えば水処理設備における沈殿槽の後段の塩素混和槽で測定される。
【0016】
設定値情報は、状態値情報に対応する状態の水処理プラントの設定値の情報である。設定値は、水処理プラントの水処理設備の運転条件の設定値であり、状態値情報に対応する状態の水処理プラントの水処理設備の設定値の情報であり、状態値と相関がある水処理設備の運転条件の設定値である。すなわち、設定値は、水処理プラントの水処理設備の水処理プロセスにおける運転条件の設定値である。設定値と状態値との相関があるとは、設定値を変化させて調整することにより、状態値が変化する関係があることである。すなわち、設定値は、水処理プラントである水処理場20において水処理を行うために、水処理場20の水処理設備の各機器に対して、運転および停止を含めて各機器に対してどのような運転をさせるかの制御条件を当該機器に与える設定値である。
【0017】
設定値には、例えば、水処理設備の反応槽に送風する風量である曝気風量、リン除去を目的として水処理設備の反応槽後段へ注入する凝集剤の凝集剤注入量、水処理設備の塩素混和槽への次亜塩素酸の注入量である次亜塩素酸注入量が挙げられる。例えば、状態値である水処理設備の反応槽内の溶存酸素濃度に相関がある設定値としては、空気を反応槽に供給するためのブロワの運転条件、すなわち、曝気風量の設定値が挙げられる。
【0018】
設定値情報は、当該設定値情報に相関がある状態値情報と紐づけられて、複数の水処理プラントのそれぞれから、状態値情報と共に予め決められた周期で運転支援システム10に収集される。すなわち、複数の水処理プラントのそれぞれは、現在の状態値情報と、当該状態値情報に紐づけられた現在の設定値情報とのセットを、予め決められた周期で運転支援システム10に送信する。
【0019】
図2は、実施の形態1にかかる運転支援システムの構成例を示す図である。運転支援システム10は、システム通信部11と、データベース部12と、設定値決定部13と、機械学習部14と、システム記憶部15と、システム制御部16と、を備える。
【0020】
運転支援システム10は、汎用のサーバによって実現される。サーバは、オンプレミスサーバでもよく、クラウドサーバでもよい。すなわち、運転支援システム10は、クラウド上に構築されてもよい。また、データベース部12は、サーバから独立した個別の装置によって構成されてもよい。
【0021】
システム通信部11は、水処理場20の後述する監視装置との間で通信を行って情報の授受を行う通信部である。システム通信部11は、水処理場20の監視装置から送信された、現在の状態値情報と、当該現在の状態値情報に対応するとともに当該現在の状態値情報に紐づけられた現在の設定値情報と、のセットを受信する。
【0022】
ある時点における水処理場20の自動制御状態においては、異なる複数種類の状態値が取得され、システム通信部11に送信される。すなわち、ある時点における水処理場20の自動制御状態においては、現在の状態値情報と、当該現在の状態値情報に対応するとともに当該現在の状態値情報に紐づけられた現在の設定値情報とのセットが、水処理場20の監視装置で取得されて、システム通信部11に送信される。
【0023】
また、システム通信部11は、水処理場20の監視装置から送信された、当該監視装置において現在の状態値情報と現在の設定値情報とが取得されたときの、現在の変動要因情報を受信する。現在の変動要因情報は、現在の状態値情報と現在の設定値情報とのセットに紐づけられている。監視装置において現在の状態値情報と現在の設定値情報とが取得されたときは、水処理場20の監視装置から送信された現在の状態値情報と現在の設定値情報とをシステム通信部11が受信したときと換言できる。
【0024】
変動要因情報は、設定値決定部13におけるシミュレーションにおいてシミュレーション結果の変動要因となる情報であり、また、機械学習部14における後述する重要業績評価指標(Key Performance Indicator:KPI)の算出において、算出結果の変動要因となる情報である。変動要因には、天候、気温、季節などが挙げられる。
【0025】
システム通信部11は、受信した現在の状態値情報と現在の設定値情報とのセットと、現在の変動要因情報とを、データベース部12と、設定値決定部13とに、送信する。すなわち、システム通信部11は、互いに紐づけられた、現在の状態値情報と、現在の設定値情報と、現在の変動要因情報とを、データベース部12と設定値決定部13とに送信する。
【0026】
また、システム通信部11は、設定値決定部13の後述する設定値変更判定部133から送信された変更設定値情報を受信する。システム通信部11は、受信した変更設定値情報を、現在の状態値情報と現在の設定値情報とのセットに基づいて現在の状態値を変更する必要があると判定された水処理場20の監視装置に送信する。
【0027】
変更設定値は、現在の設定値から変更して水処理場20の水処理設備に設定された設定値である。変更設定値情報は、変更設定値の情報である。
【0028】
データベース部12は、システム通信部11から送信された、現在の状態値情報と、現在の設定値情報と、現在の変動要因情報と、を受信する。データベース部12は、受信した現在の状態値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とを記憶して、蓄積する。データベース部12は、現在の状態値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とを、水処理場20ごとに分けて記憶する。データベース部12は、受信した現在の状態値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とを、機械学習部14の後述するKPI算出部141に送信する。
【0029】
また、データベース部12は、後述する変更設定値の候補となる設定値を含む複数のシミュレーションパラメータを記憶する。複数のシミュレーションパラメータの各々は、変更設定値の候補となる設定値を含む。
【0030】
設定値決定部13は、水処理場20の水処理設備の自動制御状態の変化を予測するシミュレーションを行い、現在よりも後の予め決められた時点での未来の水処理場20の水処理設備における水処理プロセスの自動制御状態を予測する。現在は、監視装置において現在の状態値情報と現在の設定値情報とが取得されたときである。また、設定値決定部13は、未来の自動制御状態が正常な状態ではないと判定して現在の設定値の変更が必要であると判定した場合に、未来の自動制御状態を正常な状態とするために適切な設定値を、システム通信部11を介して水処理場20の監視装置に送信する。
【0031】
設定値決定部13は、状態値入力部131と、シミュレーション部132と、設定値変更判定部133と、を備える。
【0032】
状態値入力部131は、システム通信部11から送信された現在の状態値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とを受信し、当該現在の状態値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とをシミュレーション部132に送信する。
【0033】
シミュレーション部132は、水処理場20における水処理プロセスのシミュレーションを行い、水処理場20の水処理プロセスの状態の変化を予測する。具体的に、シミュレーション部132は、水処理場20の水処理設備における水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測するシミュレーションを行い、現在よりも後の予め決められた時点での未来の水処理場20の水処理設備における水処理プロセスの自動制御状態を予測する。水処理プロセスの自動制御状態は、状態値によって表される。すなわち、シミュレーション部132は、現在よりも後の予め決められた時点での未来の水処理場20の水処理設備における水処理プロセスの自動制御状態を示す状態値の予測値を、シミュレーション結果として算出する。水処理プロセスのシミュレーションの内容には、例えば処理水の水質、水処理プロセスにおける汚泥発生量、水処理プロセスにおける消費電力等が挙げられる。
【0034】
シミュレーションは、状態値情報と、当該状態値情報に紐づけられた設定値情報と、当該状態値情報に紐づけられた変動要因情報とのセットごとに、行われる。したがって、ある時点における水処理場20の自動制御状態においては、シミュレーションは、複数種類のセットについて行われる。なお、状態値情報と、当該状態値情報に紐づけられた設定値情報とのセットとされてもよい。
【0035】
シミュレーション部132は、シミュレーション結果である水処理場20の水処理設備の自動制御状態の予測値を、シミュレーションに使用した情報に紐づけて、設定値変更判定部133に送信する。
【0036】
シミュレーション部132は、1時間後、2時間後、6時間後など、現在よりも後の予め決められた任意の時点の水処理場20の水処理設備における水処理プロセスの自動制御状態をシミュレーションすることができる。任意の時点の情報は、予め決められてシミュレーション部132に記憶されている。任意の時点の情報は、運転支援システム10の外部からシステム通信部11を介してシミュレーション部132に設定されることにより、随時変更可能である。なお、任意の時点の情報は、システム記憶部15に記憶されてもよい。
【0037】
シミュレーション部132のシミュレーション機能は、汎用的なシミュレーションモデルを組み合わせて実現することができる。すなわち、シミュレーション部132は、汎用的な複数のシミュレーションモデルが内蔵されており、複数のシミュレーションモデルを組み合わせることにより、水処理場20における水処理プロセスの少なくとも一部をシミュレーションする機能を実現することができ、水処理場20の水処理設備の水処理設備における水処理プロセスの自動制御状態をシミュレーションすることができる。
【0038】
シミュレーション部132において用いられる汎用的なシミュレーションモデルには、国際水協会(International Water Association:IWA)の活性汚泥モデル、タンクモデル、薬品注入の物理モデルなどが挙げられる。
【0039】
IWAの活性汚泥モデルは、下水処理における活性汚泥法で微生物の分解能力によって水を処理する場合の、当該微生物による水処理プロセスを定量化するモデルである。タンクモデルは、ある系における流体の挙動を予測するモデルであり、水処理においては流入量の制御などに使用される。薬品注入の物理モデルは、拡散方程式および薬品の溶解度等により、薬品の混和状態を予測するモデルである。
【0040】
シミュレーション部132は、シミュレーションにおいて変動要因となる、天候、気温、季節といった現在の変動要因情報を用いてシミュレーションを行う。季節の情報は、具体的には月日の情報が挙げられる。これにより、シミュレーション部132は、実情に沿ったより精度の高いシミュレーションが可能である。例えば、気温が低くなると水処理プロセスにおける反応槽の微生物の処理能力が悪くなる。この場合、変動要因情報として気温の情報を用いることにより、気温に起因した微生物の処理能力を考慮したシミュレーションを行うことができる。なお、シミュレーション部132は、変動要因情報を用いずに現在の状態値情報と現在の設定値情報とに基づいて、未来の自動制御状態をシミュレーションすることも可能である。ただし、変動要因情報を用いてシミュレーションすることで、シミュレーションの精度を向上させることができる。
【0041】
シミュレーション部132は、水処理場20における水処理プロセスのシミュレーションとして、第1のシミュレーションと、第2のシミュレーションと、を行う。
【0042】
第1のシミュレーションは、システム通信部11から状態値入力部131を介して取得された、現在の状態値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とに基づいて行われるシミュレーションである。すなわち、シミュレーション部132は、第1のシミュレーションにおいて、システム通信部11から状態値入力部131を介して取得された、現在の状態値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とに基づいて、未来の水処理場20の水処理設備における水処理プロセスの自動制御状態を示す状態値の第1の予測値を算出する。
【0043】
シミュレーション部132は、第1のシミュレーションのシミュレーション結果である第1の予測値の状態値の情報を、第1のシミュレーションに使用した現在の状態値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とに紐づけて、設定値変更判定部133に送信する。すなわち、シミュレーション部132は、第1の予測値の状態値の情報を、システム通信部11から状態値入力部131を介して取得された現在の状態値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とに紐づけて、設定値変更判定部133に送信する。
【0044】
第1の予測値は、第1のシミュレーションによって算出された状態値の予測値である。
【0045】
第2のシミュレーションは、後述するように機械学習部14から送信されるシミュレーションパラメータに基づいて行われるシミュレーションである。すなわち、シミュレーション部132は、第2のシミュレーションにおいて、機械学習部14から取得したシミュレーションパラメータである設定値情報と、現在の設定値情報と、現在の変動要因情報と基づいて、未来の水処理場20の水処理設備における水処理プロセスの自動制御状態を示す状態値の第2の予測値を算出する。
【0046】
シミュレーションパラメータは、過去の水処理場20の水処理設備における水処理プロセスの自動制御状態において実際に用いられた設定値情報のうち良好な運転結果が得られた設定値情報と、当該設定値に紐づけられた、現在の状態値情報、現在の変動要因情報といった各種情報を含む情報のセットである。良好な運転結果が得られた設定値は、後述するようにシミュレーション結果である状態値の予測値が予め決められた変更判定閾値以下であり変更が不要であると判定されて未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態であると判定された設定値であって、且つ予め決められた基準よりも良好なKPIが得られた設定値である。シミュレーションパラメータは、機械学習部14からシミュレーション部132に送信される。
【0047】
シミュレーション部132は、第2のシミュレーションのシミュレーション結果である第2の予測値の状態値の情報を、第2のシミュレーションに使用したシミュレーションパラメータの状態値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とに紐づけて、設定値変更判定部133に送信する。すなわち、シミュレーション部132は、第2の予測値の状態値の情報を、機械学習部14から受信したシミュレーションパラメータの状態値情報と、システム通信部11から状態値入力部131を介して取得された現在の設定値情報と現在の変動要因情報とに紐づけて、設定値変更判定部133に送信する。
【0048】
第2の予測値は、第2のシミュレーションによって算出された状態値の予測値である。
【0049】
設定値変更判定部133は、シミュレーション部132におけるシミュレーション結果に基づいて、未来の水処理場20の水処理設備における水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態であるか否かを判定して、すなわち、設定値変更判定部133は、未来の水処理場20の水処理設備における水処理プロセスの自動制御状態が予め決められた正常な範囲に入っているか否かを判定して、シミュレーション部132におけるシミュレーションに用いられた設定値の変更が必要であるか否かを、判定する。設定値変更判定部133は、シミュレーション結果を、予め決められた閾値である変更判定閾値と比較することにより、未来の自動制御状態が正常な状態であるか否かを判定して、シミュレーション部132におけるシミュレーションに用いられた設定値の変更が必要であるか否かを、判定する。すなわち、設定値変更判定部133は、シミュレーション結果である状態値の予測値を、変更判定閾値と比較する。
【0050】
変更判定閾値は、設定値変更判定部133がシミュレーション結果と比較することにより、未来の水処理場20の水処理設備における水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態であるか否かを判定するための閾値である。変更判断閾値は、水処理プロセスの各段階について設定される。例えば、変更判断閾値は、水処理設備の反応槽の処理プロセスの終了時点の水質についての変更判断閾値、水処理設備の沈殿槽の処理プロセスの終了時点の水質についての変更判断閾値といった変更判断閾値が設定される。変更判定閾値は、予め決められて設定値変更判定部133に記憶されている。変更判定閾値は、運転支援システムの外部からシステム通信部11を介して設定値変更判定部133に設定されることにより、任意の値に変更可能である。なお、変更判定閾値は、システム記憶部15に記憶されてもよい。
【0051】
設定値変更判定部133は、シミュレーション部132で行われた第1のシミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、現在の設定値の変更が必要であるか否かを、判定する。すなわち、設定値変更判定部133は、第1の予測値に基づいて、現在の設定値の変更が必要であるか否かを、判定する。
【0052】
設定値変更判定部133は、第1のシミュレーションのシミュレーション結果である第1の予測値が変更判定閾値以下である場合に、未来の自動制御状態が正常な状態であると判定し、現在の設定値の変更が不要であると判定する。すなわち、設定値変更判定部133は、第1の予測値が変更判定閾値以下である場合に、システム通信部11から状態値入力部131およびシミュレーション部132を介して取得された現在の設定値が、未来の自動制御状態を正常な状態とするために適切な設定値であると判定し、現在の設定値の変更が不要であると判定する。
【0053】
設定値変更判定部133は、現在の設定値の変更が不要であると判定した場合、第1の予測値と、適切であると判定した現在の設定値と、当該設定値と紐づけられている現在の変動要因情報とを紐づけて、機械学習部14のKPI算出部141に送信する。すなわち、設定値変更判定部133は、現在の設定値の変更が不要であると判定した場合、シミュレーション部132から取得された、第1の予測値と現在の状態値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とを、機械学習部14のKPI算出部141に送信する。
【0054】
また、設定値変更判定部133は、第1のシミュレーションのシミュレーション結果である第1の予測値が変更判定閾値を超えている場合に、未来の自動制御状態が正常な状態ではないと判定し、現在の設定値の変更が必要であると判定する。すなわち、設定値変更判定部133は、第1の予測値が変更判定閾値を超えている場合に、システム通信部11から状態値入力部131およびシミュレーション部132を介して取得された現在の設定値が、未来の自動制御状態を正常な状態とするために適切な設定値でないと判定し、現在の設定値の変更が必要であると判定する。
【0055】
設定値変更判定部133は、現在の設定値の変更が必要であると判定した場合、設定値の変更が必要である旨の情報である第1の設定値変更必要情報を、第1のシミュレーションのシミュレーション結果である第1の予測値の情報と、未来の自動制御状態が正常な状態でないと判定した判定結果の情報とに紐づけて、機械学習部14の後述するシミュレーションパラメータ提示部143に送信する。シミュレーションパラメータ提示部143は、第1の予測値の情報により、未来の水処理場20の水処理設備の自動制御状態において、何の種類の状態値が変更判定閾値を超えているかを判定できる。
【0056】
また、設定値変更判定部133は、シミュレーション部132で行われた第2のシミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、現在の設定値から変更する設定値として、第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値の変更が必要であるか否かを、判定する。すなわち、設定値変更判定部133は、第2の予測値に基づいて、現在の設定値から変更する変更設定値として、第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値の変更が必要であるか否かを、判定する。
【0057】
設定値変更判定部133は、第2のシミュレーションのシミュレーション結果である第2の予測値が変更判定閾値以下である場合に、未来の自動制御状態が正常な状態であると判定し、第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値の変更が不要であると判定する。すなわち、設定値変更判定部133は、第2の予測値が変更判定閾値以下である場合に、機械学習部14から取得されて第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値が、未来の自動制御状態を正常な状態とするための変更設定値として適切であると判定し、当該シミュレーションパラメータの設定値の変更が不要であると判定する。
【0058】
設定値変更判定部133は、シミュレーションパラメータの設定値の変更が不要であると判定した場合、適切であると判定したシミュレーションパラメータの設定値を、システム通信部11を介して水処理場20の監視装置に送信する。すなわち、設定値変更判定部133は、シミュレーションパラメータに基づいた第2のシミュレーションの結果、未来の水処理場20の水処理設備の自動制御状態が正常な状態であると判定された場合は、当該第2のシミュレーションに用いたシミュレーションパラメータの設定値を、変更設定値情報として、システム通信部11を介して水処理場20の監視装置に送信する。
【0059】
また、設定値変更判定部133は、シミュレーションパラメータの設定値の変更が不要であると判定した場合、第2の予測値と、変更設定値として適切であると判定したシミュレーションパラメータの設定値情報と、現在の変動要因情報とを紐づけて、機械学習部14のKPI算出部141に送信する。すなわち、設定値変更判定部133は、現在の設定値から変更する変更設定値として、第2のシミュレーションに用いたシミュレーションパラメータの変更が不要であると判定した場合、当該シミュレーションパラメータの設定値情報を、第2の予測値と、シミュレーション部132から取得された現在の状態値情報および現在の変動要因情報と紐づけて、機械学習部14のKPI算出部141に送信する。
【0060】
上述したように、変更設定値は、現在の設定値から変更して水処理場20の水処理設備に設定される設定値である。これにより、設定値変更判定部133は、未来の水処理場20の水処理設備の自動制御状態を正常な状態とすることができる適切な設定値である変更設定値を水処理場20に対して提示することができる。
【0061】
また、設定値変更判定部133は、第2のシミュレーションのシミュレーション結果である第2の予測値が変更判定閾値を超えている場合に、未来の自動制御状態が正常な状態ではないと判定し、変更設定値として、第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値の変更が必要であると判定する。すなわち、設定値変更判定部133は、第2の予測値が変更判定閾値を超えている場合に、機械学習部14から取得されたシミュレーションパラメータの設定値が、未来の自動制御状態を正常な状態とするために適切な変更設定値でないと判定し、変更設定値として、第2のシミュレーションに用いたシミュレーションパラメータの設定値の変更が必要であると判定する。
【0062】
設定値変更判定部133は、第2のシミュレーションに用いたシミュレーションパラメータの設定値の変更が必要であると判定した場合、変更設定値として、設定値の変更が必要である旨の情報である第2の設定値変更必要情報を、第2のシミュレーションのシミュレーション結果である第2の予測値の情報と、未来の自動制御状態が正常な状態でないと判定した判定結果の情報とに紐づけて、機械学習部14のシミュレーションパラメータ提示部143に送信する。シミュレーションパラメータ提示部143は、第2の予測値の情報により、何の種類の状態値が変更判定閾値を超えているかを判定できる。
【0063】
機械学習部14は、設定値と、当該設定値に対応するKPIとの相関を評価し、未来の水処理場20の水処理設備の自動制御状態を正常な状態とするために好ましい、適切な設定値であるシミュレーションパラメータを学習する。機械学習部14は、設定値決定部13の設定値変更判定部133から送信された情報を受信し、当該情報に基づいて設定値に対するKPIを算出する。KPIは、原単位などの指標が例示される。
【0064】
そして、機械学習部14は、算出したKPIに基づいて、KPIによる評価が相対的に高い設定値を学習する。機械学習部14は、学習した設定値と、当該設定値に紐づけられた、現在の状態値情報、現在の変動要因情報といった各種情報を、シミュレーションパラメータとしてデータベース部12に記憶させる。
【0065】
原単位は、水処理場20での水処理プロセスにおける消費電力の原単位である消費電力原単位、水処理場20での水処理プロセスにおける薬品の使用量の原単位である薬品使用量原単位などが挙げられる。
【0066】
また、機械学習部14は、設定値の変更が必要である旨の情報である設定値変更必要情報を設定値変更判定部133から受信した場合に、学習したシミュレーションパラメータの設定値をデータベース部12から抽出して、設定値決定部13のシミュレーション部132に送信する。
【0067】
機械学習部14は、KPI算出部141と、学習部142と、シミュレーションパラメータ提示部143と、を備える。
【0068】
KPI算出部141は、設定値決定部13の設定値変更判定部133から送信された情報を受信し、当該情報に基づいて設定値に対するKPIの値を算出する。KPIは、学習部142が変更設定値の候補となる設定値を学習する際に、より適切な設定値を判定するための指標に用いられる。KPI算出部141は、設定値変更判定部133から送信された、現在の設定値情報、現在の状態値情報、現在の変動要因情報といった各種情報を用いて、現在の設定値に対するKPIを算出する。また、KPI算出部141は、設定値変更判定部133から送信された、第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値の情報、現在の状態値情報、現在の変動要因情報といった各種情報を用いて、第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値に対するKPIを算出する。KPI算出部141は、KPIの算出結果を、KPIの算出に用いた各種情報に紐づけて、学習部142に送信する。
【0069】
KPI算出部141は、KPIの算出において変動要因となる、天候、気温、季節(月日の情報)といった現在の変動要因情報を用いてKPIの算出を行う。これにより、KPI算出部141は、より精度の高いKPIの算出が可能である。例えば水処理プロセスが下水処理である場合、天候については、雨が降れば処理流入水量が増えるため消費電力などのKPIの値が悪くなる。また、気温については、気温が低いと、水処理に使用する微生物の処理能力が低下するため、曝気風量を増やすなどの追加措置を行うことになり、消費電力などのKPIの値が悪くなる。また、季節については、観光地等では処理区内の人の増減が発生するため、消費電力などのKPIの値も変動する。
【0070】
消費電力原単位がKPIとして用いられる場合、KPI算出部141は、状態値情報と設定値情報と変動要因情報とに対応する水処理場20の水処理設備の自動制御状態についての消費電力原単位を算出する。また、薬品使用量原単位がKPIとして用いられる場合、KPI算出部141は、状態値情報と設定値情報と変動要因情報とに対応する水処理場20の水処理設備の自動制御状態についての薬品使用量原単位を算出する。
【0071】
学習部142は、KPI算出部141におけるKPIの算出結果に基づいて、変更設定値の候補となる設定値を学習する。すなわち、学習部142は、設定値と、当該設定値に対応するKPIとの相関を評価し、未来の水処理場20の水処理設備の自動制御状態を正常な状態とするためにより好ましい、水処理場20の水処理設備の稼働に好ましい適切な設定値である、変更設定値の候補となる設定値を学習する。
【0072】
すなわち、学習部142は、設定値変更判定部133において未来の水処理場20の水処理設備の自動制御状態を正常な状態とするために適切な設定値であると判定され、且つ当該設定値に対応するKPIによる評価が相対的に高い設定値を学習する。学習部142は、KPIの算出結果が予め決められた条件を満たす設定値を、適切な設定値として学習する。例えば、学習部142は、KPI算出部141から取得したKPIが予め決められたKPI判定閾値以上である場合に、当該設定値を適切な設定値と判定する。学習部142は、学習した設定値と、当該設定値に紐づけられた、現在の状態値情報、現在の変動要因情報といった各種情報を、シミュレーションパラメータとしてデータベース部12に記憶させる。
【0073】
例えば、学習部142は、KPI算出部141から取得した消費電力原単位が予め決められた消費電力原単位の閾値以上である場合に、当該設定値を適切な設定値と判定する。消費電力原単位がKPIとして用いられる場合、水処理場20の水処理設備の消費電力が少なく電力コストが低い状態で、水質を良好に保てることが好ましい。
【0074】
例えば、学習部142は、KPI算出部141から取得した薬品使用量原単位が予め決められた薬品使用量原単位の閾値以上である場合に、当該設定値を適切な設定値と判定する。薬品使用量原単位がKPIとして用いられる場合、水処理場20の水処理設備での薬品使用量が少なく薬品コストが低い状態で、水質を良好に保てることが好ましい。
【0075】
シミュレーションパラメータ提示部143は、設定値決定部13の設定値変更判定部133から送信された、設定値変更必要情報と、シミュレーションのシミュレーション結果である水処理場20の水処理設備の自動制御状態の予測値の情報と、未来の水処理場20の水処理設備の状態が正常な状態でないと判定した判定結果の情報とを受信する。シミュレーションパラメータ提示部143は、当該設定値変更必要情報の応答として、シミュレーションパラメータの設定値をシミュレーション部132に送信する。
【0076】
シミュレーションパラメータ提示部143は、予測値の情報により、未来の水処理場20の水処理設備の自動制御状態において、何の種類の状態値が変更判定閾値を超えているかを判定できる。シミュレーションパラメータ提示部143は、予測値が変更判定閾値を超えている状態値の項目を改善する設定値を、データベース部12に記憶されているシミュレーションパラメータの中から抽出して、シミュレーション部132に送信する。
【0077】
すなわち、シミュレーションパラメータ提示部143は、複数種類存在する設定値の項目のうち、予測値が変更判定閾値を超えている状態値の項目を改善する設定値を、データベース部12に記憶されているシミュレーションパラメータの中から抽出し、抽出したシミュレーションパラメータの設定値をシミュレーション部132に送信する。例えば、未来の水処理場20の水処理設備の自動制御状態において予測値が変更判定閾値を超えている項目がMLSSである場合には、シミュレーションパラメータ提示部143は、MLSSを下げるシミュレーションパラメータの設定値を選択する。
【0078】
システム記憶部15は、運転支援システム10の制御に用いられる各種の情報を記憶する。
【0079】
システム制御部16は、運転支援システム10全体の制御を行う。
【0080】
水処理場20は、運転支援システム10が運転管理を支援する対象であり、図1においては、複数の水処理場20として、第1水処理場21、第2水処理場22、・・・第n水処理場2nを示している。なお、各水処理場を区別しない場合には、水処理場20と呼ぶ。
【0081】
図1に示すように、第1水処理場21は、第1監視装置211と、第1制御装置212と、第1水処理設備213と、を備える。
【0082】
図3は、実施の形態1にかかる第1監視装置の構成例を示す図である。第1監視装置211は、第1水処理場21全体の監視を行う監視装置である。第1監視装置211は、第1水処理場21の監視および運転管理に関わる情報を操作して入力する操作部2111と、運転支援システム10および第1制御装置212との間の通信を行う監視通信部2112と、第1水処理場21の監視に関わる各種情報を表示する表示部2113と、第1水処理場21の監視に関わる各種情報を記憶する監視記憶部2114と、第1監視装置211の制御および第1水処理場21の監視に関わる制御を行う監視制御部2115と、を備える。
【0083】
監視制御部2115は、操作部2111が作業員から受け付けた、水処理場20の水処理設備の運転条件の設定値を第1制御装置212に送信する制御を行う。また、監視制御部2115は、後述するように第1水処理設備213のセンサ2138における検出結果であるセンサ情報を受信し、すなわち現在の状態値情報を受信し、当該現在の状態値情報を、当該現在の状態値情報に対応する現在の設定値情報と、当該現在の状態値情報に対応する現在の変動要因情報とに紐づけて、運転支援システム10に送信する制御を行う。現在の設定値情報は、監視制御部2115が現在において第1水処理設備213の運転を制御している設定値の情報である。監視制御部2115は、現在の状態値情報に対応する現在の変動要因情報を、気象観測設備等から取得することができる。
【0084】
また、監視制御部2115は、運転支援システム10から送信された変更設定値情報を、すなわちシミュレーションパラメータの設定値の情報を、監視通信部2112を介して受信する。監視制御部2115は、受信した変更設定値情報を、水処理場20の水処理設備の運転条件の設定値情報として第1制御装置212に送信する。これにより、水処理プラントシステム1では、作業者が水処理場20の水処理設備の運転条件の設定値を検討して決定する必要が無く、作業者における水処理場20の運転管理の負担を省力化することができる。
【0085】
また、監視制御部2115は、受信した変更設定値情報を表示部2113に表示して、作業員に変更設定値情報を提示し、作業員に変更設定値情報の検討を促すことができる。
【0086】
図4は、実施の形態1にかかる第1制御装置の構成例を示す図である。第1制御装置212は、第1監視装置211および第1水処理設備213との間の通信を行う制御装置通信部2121と、第1水処理設備213の運転の制御に関わる各種情報を記憶する制御装置記憶部2122と、第1監視装置211の制御に基づいた第1水処理設備213の運転の制御、および第1制御装置212の制御を行う制御装置制御部2123と、を備える。
【0087】
図5は、実施の形態1にかかる第1水処理設備の一部の構成例を示す図である。第1水処理設備213は、嫌気槽2131、第1好気槽2132、第2好気槽2133および第3好気槽2134を有する反応槽2135と、沈殿槽2136と、を備える。反応槽2135では、例えば処理対象の下水が、外部から嫌気槽2131に流入し、その後、第1好気槽2132、第2好気槽2133、第3好気槽2134および沈殿槽2136を通じて処理され、後段の処理槽である不図示の塩素混和槽に送られて塩素濃度が調整された後に放流される。
【0088】
図1に示すように、第1水処理設備213は、水処理設備制御部2137と、センサ2138と、水処理設備通信部2139と、を備える。
【0089】
水処理設備制御部2137は、第1水処理設備213における水処理プロセスを制御する制御装置であり、第1水処理設備213の機器に制御指令を送って機器の動作を制御する制御装置である。例えば、水処理設備制御部2137は、第1水処理設備213が備える機器である不図示のブロワに接続されている。ブロワは、第1好気槽2132、第2好気槽2133および第3好気槽2134を曝気する。水処理設備制御部2137は、ブロワに対してブロワの運転条件の設定値を含む曝気量指令値を送信することで、第1好気槽2132、第2好気槽2133および第3好気槽2134内の被処理水に対して曝気を行い、微生物の分解能力によって水質汚濁物質を除去している。
【0090】
また、第1水処理設備213には、第1水処理設備213の設備の運転状態を示す状態データである状態値を検出するためのセンサ2138が設置されている。例えば、第3好気槽2134および沈殿槽2136には、槽内に含まれる被処理水の水質項目を計測するためのセンサが設置されている。水質項目を計測するためのセンサは、例えば溶存酸素濃度計などの各種水質センサを含む。これらのセンサによって得られるセンサ情報、すなわち状態値の情報は、例えば、電気伝導率、溶存酸素、MLSS、アンモニア濃度などである。センサ2138は、予め決められた周期で検出を行い、検出結果であるセンサ情報を、すなわち現在の状態値情報を、水処理設備制御部2137に送信する。
【0091】
水処理設備制御部2137は、センサ2138から送信された現在の状態値情報を受信し、当該現在の状態値情報を水処理設備通信部2139を介して第1制御装置212に送信する。第1制御装置212は、水処理設備制御部2137から送信された現在の状態値情報を受信し、受信した現在の状態値情報を第1監視装置211に送信する。第1監視装置211は、第1制御装置212から送信された現在の状態値情報を受信し、受信した現在の状態値情報を運転支援システム10に送信する。
【0092】
なお、上記の設備は、第1水処理設備213が備える設備の一例であり、第1水処理設備213が備える設備は、これらに限定されない。
【0093】
図1に示すように、第2水処理場22は、第2監視装置221と、第2制御装置222と、第2水処理設備223と、を備える。第2監視装置221は、第1監視装置211と同様の構成および機能を有する。第2制御装置222は、第1制御装置212と同様の構成および機能を有する。第2水処理設備223は、第1水処理設備213と同様の構成および機能を有する。第2水処理設備223は、水処理設備制御部2237と、センサ2238と、水処理設備通信部2239とを備える。水処理設備制御部2237とセンサ2238と水処理設備通信部2239とのそれぞれは、水処理設備制御部2137とセンサ2138と水処理設備通信部2139とのそれぞれに対応する。
【0094】
図1に示すように、第n水処理場2nは、第n監視装置2n1と、第n制御装置2n2と、第n水処理設備2n3と、を備える。第n監視装置2n1は、第1監視装置211と同様の構成および機能を有する。第n制御装置2n2は、第1制御装置212と同様の構成および機能を有する。第n水処理設備2n3は、第1水処理設備213と同様の構成および機能を有する。第n水処理設備2n3は、水処理設備制御部2n37と、センサ2n38と、水処理設備通信部2n39とを備える。水処理設備制御部2n37とセンサ2n38と水処理設備通信部2n39とのそれぞれは、水処理設備制御部2137とセンサ2138と水処理設備通信部2139とのそれぞれに対応する。
【0095】
つぎに、運転支援システム10の動作について説明する。図6は、実施の形態1にかかる運転支援システムの処理の一例を示すフローチャートである。以下では、運転支援システム10が、第1水処理場21の運転管理の支援を行う場合について説明する。なお、運転支援システム10が、第1水処理場21以外の他の水処理場20の運転管理の支援を行う場合も、各水処理場20に対して同様の処理が行われる。
【0096】
ステップS110において、現在の状態値情報、現在の設定値情報および現在の変動要因情報が、取得される。具体的に、運転支援システム10のシステム通信部11が、第1水処理場21の第1監視装置211との間で通信を行って、第1監視装置211から送信された、現在の状態値情報と、当該現在の状態値情報に紐づけられた現在の設定値情報と、現在の状態値情報と現在の設定値情報とに紐づけられた現在の変動要因情報と、を受信する。その後、ステップS120に進む。
【0097】
ステップS120では、ステップS110において取得された情報が、運転支援システム10のデータベース部12および設定値決定部13に送信される。具体的に、システム通信部11が、第1監視装置211から受信した、現在の状態値情報と、現在の設定値情報と、現在の変動要因情報と、をデータベース部12および設定値決定部13に送信する。データベース部12および設定値決定部13は、システム通信部11から送信された、現在の状態値情報と、現在の設定値情報と、現在の変動要因情報と、を受信する。その後、ステップS130に進む。
【0098】
ステップS130では、第1のシミュレーションが行われ、第1水処理場21の第1水処理設備213の自動制御の状態の変化が予測される。すなわち、システム通信部11から状態値入力部131を介して取得された、現在の状態値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とに基づいた第1水処理場21の第1水処理設備213における水処理プロセスのシミュレーションが行われ、第1水処理場21の第1水処理設備213の自動制御状態の変化が予測される。
【0099】
具体的に、設定値決定部13のシミュレーション部132が、現在の状態値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とに基づいて、第1水処理場21の第1水処理設備213における水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測するシミュレーションを行い、現在よりも後の予め決められた時点での未来の第1水処理場21の第1水処理設備213における水処理プロセスの自動制御状態を予測する。すなわち、シミュレーション部132は、現在よりも後の予め決められた時点での、第1水処理場21の第1水処理設備213の自動制御状態を示す状態値の予測値を算出する。
【0100】
シミュレーション部132は、第1のシミュレーションのシミュレーション結果である第1水処理場21の第1水処理設備213の自動制御状態の第1の予測値を、シミュレーションに使用した情報に紐づけて、設定値変更判定部133に送信する。すなわち、シミュレーション部132は、第1の予測値を、現在の状態値情報と、現在の設定値情報と、現在の変動要因情報とに紐づけて、設定値変更判定部133に送信する。その後、ステップS140に進む。
【0101】
ステップS140では、現在の設定値の変更が必要であるか否かが、判定される。具体的に、設定値決定部13の設定値変更判定部133が、シミュレーション部132における第1のシミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の自動制御状態が正常な状態であるか否かを判定して、シミュレーション部132における第1のシミュレーションに用いられた現在の設定値の変更が必要であるか否かを、判定する。すなわち、設定値変更判定部133が、ステップS130における第1のシミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の第1水処理場21の第1水処理設備213の水処理プロセスの自動制御状態が正常な範囲に入っているか否かを判定して、ステップS130における第1のシミュレーションに用いられた現在の設定値の変更が必要であるか否かを、判定する。
【0102】
設定値変更判定部133は、第1のシミュレーションのシミュレーション結果を、予め決められた閾値である変更判定閾値と比較することにより、未来の自動制御状態が正常な状態であるか否かを判定して、シミュレーション部132における第1のシミュレーションに用いられた現在の設定値の変更が必要であるか否かを、判定する。すなわち、設定値変更判定部133は、第1の予測値を変更判定閾値と比較する。
【0103】
設定値変更判定部133は、第1の予測値が変更判定閾値以下である場合に、未来の自動制御状態が正常な状態であると判定し、現在の設定値の変更が不要であると判定する。すなわち、設定値変更判定部133は、第1の予測値が変更判定閾値以下である場合に、システム通信部11から取得された現在の設定値が、未来の自動制御状態を正常な状態とするために適切な設定値であると判定し、現在の設定値の変更が不要であると判定する。
【0104】
また、設定値変更判定部133は、第1の予測値が変更判定閾値を超えている場合に、未来の自動制御状態が正常な状態ではないと判定し、現在の設定値の変更が必要であると判定する。すなわち、設定値変更判定部133は、第1の予測値が変更判定閾値を超えている場合に、システム通信部11から状態値入力部131およびシミュレーション部132を介して取得された現在の設定値が、未来の自動制御状態を正常な状態とするために適切な設定値でないと判定し、現在の設定値の変更が必要であると判定する。
【0105】
現在の設定値の変更が不要であると判定された場合は、ステップS140においてNoとなり、一連の処理が終了する。
【0106】
現在の設定値の変更が必要であると判定された場合は、ステップS140においてYesとなり、ステップS150に進む。この場合、設定値変更判定部133は、現在の設定値の変更が必要である旨の情報である第1の設定値変更必要情報を、第1の予測値と、未来の自動制御状態が正常な状態でないと判定した判定結果の情報とに紐づけて、機械学習部14のシミュレーションパラメータ提示部143に送信する。これにより、シミュレーションパラメータ提示部143は、第1の予測値の情報により、未来の水処理場20の水処理設備の自動制御状態において、何の種類の状態値が変更判定閾値を超えているかを判定できる。
【0107】
ステップS150では、シミュレーションパラメータが、シミュレーション部132に送信される。具体的に、機械学習部14のシミュレーションパラメータ提示部143が、第1の設定値変更必要情報の応答として、シミュレーションパラメータの設定値情報をシミュレーション部132に送信する。その後、ステップS160に進む。
【0108】
ステップS160では、第2のシミュレーションが行われ、第1水処理場21の第1水処理設備213の自動制御状態の変化が予測される。すなわち、シミュレーションパラメータ提示部143から取得されたシミュレーションパラメータの設定値情報と現在の設定値情報と現在の変動要因情報とに基づいた第1水処理場21の第1水処理設備213における水処理プロセスのシミュレーションが行われ、第1水処理場21の第1水処理設備213の自動制御の状態の変化が予測される。
【0109】
具体的に、設定値決定部13のシミュレーション部132が、シミュレーションパラメータの設定値情報と現在の状態値情報と現在の変動要因情報とに基づいて、第1水処理場21の第1水処理設備213における水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測するシミュレーションを行い、現在よりも後の予め決められた時点での未来の第1水処理場21の第1水処理設備213における水処理プロセスの自動制御状態を予測する。すなわち、シミュレーション部132は、シミュレーションパラメータの設定値情報を適用して、現在よりも後の予め決められた時点での、第1水処理場21の第1水処理設備213の自動制御状態を示す状態値の予測値を算出する。
【0110】
シミュレーション部132は、第2のシミュレーションのシミュレーション結果である第1水処理場21の第1水処理設備213の自動制御状態の第2の予測値を、シミュレーションに使用した情報に紐づけて、設定値変更判定部133に送信する。すなわち、シミュレーション部132は、第2の予測値を、シミュレーションパラメータの設定値情報と、現在の状態値情報と、現在の変動要因情報とに紐づけて、設定値変更判定部133に送信する。その後、ステップS170に進む。
【0111】
ステップS170では、シミュレーションパラメータの設定値の変更が必要であるか否かが、判定される。具体的に、設定値決定部13の設定値変更判定部133が、シミュレーション部132における第2のシミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の自動制御状態が正常な状態であるか否かを判定して、シミュレーション部132における第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値の変更が必要であるか否かを、判定する。すなわち、設定値変更判定部133が、ステップS160における第2のシミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の第1水処理場21の第1水処理設備213の水処理プロセスの自動制御状態が正常な範囲に入っているか否かを判定して、ステップS160における第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値の変更が必要であるか否かを、判定する。
【0112】
設定値変更判定部133は、第2のシミュレーションのシミュレーション結果を、予め決められた閾値である変更判定閾値と比較することにより、未来の自動制御状態が正常な状態であるか否かを判定して、シミュレーション部132における第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値の変更が必要であるか否かを、判定する。すなわち、設定値変更判定部133は、第2の予測値を変更判定閾値と比較する。
【0113】
設定値変更判定部133は、第2の予測値が変更判定閾値以下である場合に、未来の自動制御状態が正常な状態であると判定し、第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値の変更が不要であると判定する。すなわち、設定値変更判定部133は、第2の予測値が変更判定閾値以下である場合に、シミュレーションパラメータ提示部143から取得されて第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値が、未来の自動制御状態を正常な状態とするために適切な変更設定値であると判定し、当該シミュレーションパラメータの設定値の変更が不要であると判定する。
【0114】
また、設定値変更判定部133は、第2の予測値が変更判定閾値を超えている場合に、未来の自動制御状態が正常な状態ではないと判定し、変更設定値として、第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値の変更が必要であると判定する。すなわち、設定値変更判定部133は、第2の予測値が変更判定閾値を超えている場合に、シミュレーションパラメータ提示部143から取得されて第2のシミュレーションに用いられたシミュレーションパラメータの設定値が、未来の自動制御状態を正常な状態とするために適切な変更設定値でないと判定し、変更設定値として、第2のシミュレーションに用いたシミュレーションパラメータの設定値の変更が必要であると判定する。
【0115】
シミュレーションパラメータの設定値の変更が必要であると判定された場合は、ステップS170においてYesとなり、ステップS150に戻る。この場合、設定値変更判定部133は、変更設定値として、シミュレーションパラメータの設定値の変更が必要である旨の情報である第2の設定値変更必要情報を、第2の予測値と、未来の自動制御状態が正常な状態でないと判定した判定結果の情報とに紐づけて、機械学習部14のシミュレーションパラメータ提示部143に送信する。これにより、シミュレーションパラメータ提示部143は、第2の予測値の情報により、未来の水処理場20の水処理設備の自動制御状態において、何の種類の状態値が変更判定閾値を超えているかを判定できる。
【0116】
変更設定値として、シミュレーションパラメータの設定値の変更が不要であると判定された場合は、ステップS170においてNoとなり、ステップS180に進む。
【0117】
ステップS180では、変更設定値が、決定される。具体的に、設定値変更判定部133が、変更設定値として適切であると判定したシミュレーションパラメータの設定値を、変更設定値に決定する。その後、ステップS190に進む。
【0118】
ステップS190では、変更設定値が、水処理場20に送信される。具体的に、設定値変更判定部133が、変更設定値として決定したシミュレーションパラメータの設定値を、システム通信部11を介して水処理場20の監視装置に送信する。すなわち、設定値変更判定部133は、シミュレーションパラメータの設定値に基づいた第2のシミュレーションの結果、未来の自動制御状態が正常な状態であると判定された場合は、当該第2のシミュレーションに用いたシミュレーションパラメータの設定値を、変更設定値情報として、システム通信部11を介して水処理場20の監視装置に送信する。以上により、運転支援システム10における水処理場20の水処理設備の運転管理を支援する一連の処理が終了する。
【0119】
つぎに、機械学習部14の学習処理について説明する。図7は、実施の形態1にかかる機械学習部の学習処理の一例を示すフローチャートである。
【0120】
ステップS210において、状態値情報、設定値情報および変動要因情報が、取得される。具体的に、機械学習部14のKPI算出部141が、設定値決定部13の設定値変更判定部133から送信されて互いに関連付けられた、現在の状態値情報、現在の設定値情報、現在の変動要因情報および第1の予測値などの各種情報を受信して取得する。その後、ステップS220に進む。
【0121】
ステップS220では、KPIが、算出される。具体的に、KPI算出部141が、ステップS210において取得した情報に基づいて設定値に対するKPIを算出する。KPI算出部141は、設定値変更判定部133から送信された、現在の設定値情報、現在の状態値情報、現在の変動要因情報といった各種情報を用いて、現在の設定値に対するKPIを算出する。その後、ステップS230に進む。
【0122】
ステップS230では、変更設定値の候補となる設定値が、学習される。具体的に、学習部142が、ステップS220におけるKPIの算出結果に基づいて、設定値と、当該設定値に対応するKPIとの相関を評価し、変更設定値の候補となる設定値を学習する。すなわち、学習部142が、ステップS220におけるKPIの算出結果に基づいて、設定値と、当該設定値に対応するKPIとの相関を評価し、未来の水処理場20の水処理設備の自動制御状態を正常な状態とするためにより好ましい、水処理場20の水処理設備の稼働に好ましい適切な設定値を学習する。
【0123】
すなわち、学習部142は、設定値変更判定部133において未来の水処理場20の水処理設備の自動制御状態を正常な状態とするために適切な設定値であると判定され、且つ当該設定値に対応するKPIによる評価が相対的に高い設定値を学習する。学習部142は、KPIの算出結果が予め決められた条件を満たす設定値を、適切な設定値として学習する。予め決められた条件は、例えば、KPI算出部141から取得したKPIが予め決められたKPI判定閾値以上であるという条件とされる。学習部142は、学習した設定値と、当該設定値に紐づけられた、現在の状態値情報、現在の変動要因情報といった各種情報を、シミュレーションパラメータとしてデータベース部12に記憶させる。以上により、機械学習部14の一連の学習処理が終了する。
【0124】
上述した運転支援システム10によれば、水処理プラントの水処理プロセスにおける運転条件の設定値を決定して水処理プラントの運転管理を支援する運転支援システムであって、水処理プラントとの間で通信を行う通信部と、設定値と、水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を示す状態値とに基づいて、未来の水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測するシミュレーションを行うシミュレーション部と、シミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態でないと判定した場合に、未来の水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を正常な状態とする設定値である変更設定値を決定する設定値変更判定部と、を備える運転支援システムが、実現される。
【0125】
上述した実施の形態1にかかる運転支援システム10は、シミュレーション部132が、第1水処理場21から取得された、現在の状態値情報、現在の設定値情報および現在の変動要因情報に基づいて第1のシミュレーションを行い、現在よりも後の予め決められた時点での未来の第1水処理場21の第1水処理設備213における水処理プロセスの自動制御状態を示す状態値の第1の予測値を算出する。
【0126】
そして、設定値変更判定部133は、第1のシミュレーションのシミュレーション結果である第1の予測値が変更判定閾値以下である場合に、未来の自動制御状態が正常な状態であると判定し、現在の設定値の変更が不要であると判定する。また、設定値変更判定部133は、第1の予測値が変更判定閾値を超えている場合に、未来の自動制御状態が正常な状態ではないと判定し、現在の設定値の変更が必要であると判定する。
【0127】
現在の設定値の変更が必要であると判定された場合、シミュレーション部132が、変更設定値の候補となる設定値の情報であるシミュレーションパラメータの設定値情報と現在の状態値情報と現在の変動要因情報とに基づいて、第2のシミュレーションを行い、現在よりも後の予め決められた時点での、第1水処理場21の第1水処理設備213の自動制御状態を示す状態値の第2の予測値を算出する。
【0128】
そして、設定値変更判定部133は、第2のシミュレーションのシミュレーション結果である第2の予測値が変更判定閾値以下である場合に、未来の自動制御状態が正常な状態であると判定し、第2のシミュレーションに使用したシミュレーションパラメータの設定値を、現在の設定値から変更して第1水処理場21の水処理設備に設定される変更設定値に決定して、第1水処理場21に送信する。また、設定値変更判定部133は、第2の予測値が変更判定閾値を超えている場合に、未来の自動制御状態が正常な状態ではないと判定し、第2の予測値が変更判定閾値以下となるまで、新たなシミュレーションパラメータの設定値情報を取得して第2のシミュレーションを繰り返す。
【0129】
運転支援システム10は、上記のような処理を行うことにより、第1水処理場21から取得された情報に基づいて現在の設定値が適切な設定値であるか否かを自動で判定することができる。そして、運転支援システム10は、現在の設定値が適切な設定値でない場合には、変更設定値の候補となる設定値の情報であるシミュレーションパラメータの設定値情報を用いた第2のシミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の自動制御状態を正常な状態とするために適切な変更設定値を自動で決定し、第1水処理場21に送信することができる。
【0130】
これにより、運転支援システム10は、未来の自動制御状態を正常な状態とするために適切な変更設定値を自動で第1水処理場21に提示して、第1水処理場21の第1水処理設備213の運転管理を自動で支援することが可能である。これにより、第1水処理場21の作業者は、未来の自動制御状態のシミュレーション結果に基づいて第1水処理場21の運転方法の検討を行って設定値を決定する作業が不要となり、第1水処理場21の運転管理の負担を省力化することができる、というメリットを享受することができる。また、シミュレーション結果に基づいて第1水処理場21の運転方法の専門知識を有する作業者を第1水処理場21に配置する必要がなく、第1水処理場21の作業者の人数の削減、あるいは第1水処理場21の無人化が可能である。
【0131】
また、運転支援システム10は、第1水処理場21とネットワークを介して通信可能なサーバによって実現可能であり、またクラウド上に構築することが可能であり、上述した運転支援システム10の機能を有するオンプレミス設備を第1水処理場21に設ける必要が無い。ただし、運転支援システム10の機能を有するオンプレミス設備を第1水処理場21に設けることも可能である。
【0132】
また、運転支援システム10は、複数の水処理場20に対して上述した運転管理の支援を自動で行うことができる。すなわち、システム通信部11は、複数の水処理場20と通信を行って各水処理場20の情報を取得し、シミュレーション部132は、複数の水処理場20について個別にシミュレーションを行い、設定値変更判定部133は、複数の水処理場20について個別に変更設定値を決定する。これにより、運転支援システム10を適用することにより、複数の水処理場20においても上述した効果が得られる。
【0133】
なお、運転支援システム10は、下水処理場に限らず、浄水場等水処理施設一般に適用可能である。
【0134】
したがって、運転支援システム10によれば、水処理場20の作業者における水処理場20の第1水処理設備213の運転管理の負担を省力化することができる、という効果を奏する。
【0135】
続いて、実施の形態1にかかる制御部80のそれぞれのハードウェア構成について説明する。実施の形態1にかかる制御部80は、運転支援システム10における設定値決定部13、機械学習部14、システム制御部16と、第1監視装置211における監視制御部2115と、第1制御装置212における制御装置制御部2123と、第1水処理設備213における水処理設備制御部2137とのそれぞれに対応する。実施の形態1にかかる制御部80のそれぞれの機能は、処理回路により実現される。処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、記憶装置に格納されるプログラムを実行する処理装置であってもよい。
【0136】
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらを組み合わせたものが該当する。図8は、実施の形態1にかかる制御部のそれぞれの機能をハードウェアで実現した構成を示す図である。処理回路81には、制御部80の機能を実現する論理回路81aが組み込まれている。
【0137】
処理回路81が処理装置の場合、制御部80の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0138】
図9は、実施の形態1にかかる制御部のそれぞれの機能をソフトウェアで実現した構成を示す図である。処理回路81は、プログラム81bを実行するプロセッサ811と、プロセッサ811がワークエリアに用いるランダムアクセスメモリ812と、プログラム81bを記憶する記憶装置813とを有する。記憶装置813に記憶されているプログラム81bをプロセッサ811がランダムアクセスメモリ812上に展開し、実行することにより、制御部80の機能が実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラム言語で記述され、記憶装置813に格納される。プロセッサ811は、中央処理装置を例示できるがこれに限定はされない。記憶装置813は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった半導体メモリを適用できる。半導体メモリは、不揮発性メモリでもよいし揮発性メモリでもよい。また、記憶装置813は、半導体メモリ以外にも、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)等の記憶媒体を適用できる。なお、プロセッサ811は、演算結果といったデータを記憶装置813に出力して記憶させてもよいし、ランダムアクセスメモリ812を介して不図示の補助記憶装置に当該データを記憶させてもよい。プロセッサ811、ランダムアクセスメモリ812および記憶装置813を1チップに集積することにより、制御部80の機能をマイクロコンピュータにより実現することができる。
【0139】
処理回路81は、記憶装置813に記憶されたプログラム81bを読み出して実行することにより、制御部80の機能を実現する。プログラム81bは、制御部80の機能を実現する手順および方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。
【0140】
なお、処理回路81は、制御部80の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、制御部80の機能の一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0141】
このように、処理回路81は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0142】
実施の形態1における運転支援システム10の設定値決定部13の機能を実現するためのプログラム81bは、処理回路81に、設定値決定部13の機能を実行させる。
【0143】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0144】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0145】
(付記1)
水処理プラントの水処理プロセスにおける運転条件の設定値を決定して前記水処理プラントの運転管理を支援する運転支援システムであって、
前記水処理プラントとの間で通信を行う通信部と、
前記設定値と、前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を示す状態値とに基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測するシミュレーションを行うシミュレーション部と、
前記シミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態でないと判定した場合に、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を正常な状態とする前記設定値である変更設定値を決定する設定値変更判定部と、
を備えることを特徴とする運転支援システム。
(付記2)
前記シミュレーション部は、未来の前記状態値の予測値を算出し、
前記設定値変更判定部は、前記予測値が予め決められた変更判定閾値を超えている場合に、前記予測値に対応する前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態でないと判定し、前記変更設定値を決定すること、
を特徴とする付記1に記載の運転支援システム。
(付記3)
前記シミュレーション部は、前記設定値の現在の値である現在の設定値と、前記状態値の現在の値である現在の状態値とに基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測する第1のシミュレーションを行い、
前記設定値変更判定部は、前記第1のシミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態でないと判定した場合に、前記変更設定値を決定すること、
を特徴とする付記1または2に記載の運転支援システム。
(付記4)
前記変更設定値の候補となる複数の前記設定値を記憶するデータベース部を備え、
前記シミュレーション部は、前記設定値変更判定部において前記第1のシミュレーションのシミュレーション結果に基づいて未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態でないと判定された場合に、前記データベース部から前記変更設定値の候補となる前記設定値を取得して、取得した前記変更設定値の候補となる前記設定値と、前記現在の状態値とに基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測する第2のシミュレーションを行い、
前記設定値変更判定部は、前記第2のシミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態であると判定した場合に、前記第2のシミュレーションに使用した前記変更設定値の候補となる前記設定値を前記変更設定値に決定すること、
を特徴とする付記3に記載の運転支援システム。
(付記5)
前記変更設定値の候補となる複数の前記設定値は、過去の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態において用いられた前記設定値のうち未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態であると判定された設定値であること、
を特徴とする付記4に記載の運転支援システム。
(付記6)
前記通信部は、複数の前記水処理プラントと通信を行い、
前記シミュレーション部は、複数の前記水処理プラントについて個別に前記シミュレーションを行い、
前記設定値変更判定部は、複数の前記水処理プラントについて個別に前記変更設定値を決定すること、
を特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の運転支援システム。
(付記7)
クラウド上に構築されていること、
を特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載の運転支援システム。
(付記8)
前記シミュレーション部は、前記シミュレーションにおいてシミュレーション結果の変動要因となる情報である変動要因情報を用いて前記シミュレーションを行うこと、
を特徴とする付記1から7のいずれか1つに記載の運転支援システム。
(付記9)
運転支援システムにおける水処理プラントの運転管理を支援する運転支援方法であって、
シミュレーション部が、前記水処理プラントから、前記水処理プラントの水処理プロセスにおける運転条件の設定値と、前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を示す状態値とに基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態の変化を予測するシミュレーションを行うステップと、
設定値変更判定部が、前記シミュレーションのシミュレーション結果に基づいて、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態が正常な状態でないと判定した場合に、未来の前記水処理プラントの水処理プロセスの自動制御状態を正常な状態とする前記設定値である変更設定値を決定するステップと、
を含むことを特徴とする運転支援方法。
【符号の説明】
【0146】
1 水処理プラントシステム、10 運転支援システム、11 システム通信部、12 データベース部、13 設定値決定部、14 機械学習部、15 システム記憶部、16 システム制御部、20 水処理場、21 第1水処理場、22 第2水処理場、2n 第n水処理場、30 インターネット、80 制御部、81 処理回路、81a 論理回路、81b プログラム、131 状態値入力部、132 シミュレーション部、133 設定値変更判定部、141 KPI算出部、142 学習部、143 シミュレーションパラメータ提示部、211 第1監視装置、212 第1制御装置、213 第1水処理設備、221 第2監視装置、222 第2制御装置、223 第2水処理設備、2n1 第n監視装置、2n2 第n制御装置、2n3 第n水処理設備、811 プロセッサ、812 ランダムアクセスメモリ、813 記憶装置、2111 操作部、2112 監視通信部、2113 表示部、2114 監視記憶部、2115 監視制御部、2121 制御装置通信部、2122 制御装置記憶部、2123 制御装置制御部、2131 嫌気槽、2132 第1好気槽、2133 第2好気槽、2134 第3好気槽、2135 反応槽、2136 沈殿槽、2137 水処理設備制御部、2138,2238,2n38 センサ、2139,2239,2n39 水処理設備通信部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9