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特開2024-123460ドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123460
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/00 20060101AFI20240905BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240905BHJP
【FI】
E04G21/00 ESW
G06Q50/08
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030894
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】523074928
【氏名又は名称】浙江東南網架股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang Southeast Space Frame Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Yaqian Town,Xiaoshan District,Hangzhou City,Zhejiang Province,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 偉剛
(72)【発明者】
【氏名】周 観根
(72)【発明者】
【氏名】周 逸▲チョン▼
(72)【発明者】
【氏名】周 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】劉 堅
(72)【発明者】
【氏名】羅 赤宇
(72)【発明者】
【氏名】董 石麟
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】ドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法に関し、該方法は、施工図面に従って、複数の建築構成材で構成された建築シミュレーションモデルを作成するステップS1と、ドローンを使用して施工工程における建築構成材の画像を収集するステップS2と、建築構成材の画像に従って、ツインソリッドモデル及びツインラインモデルを作成するステップS3であって、ツインソリッドモデルは、建築構成材の断面で構成され、ツインラインモデルは、建築構成材の軸線で構成されるステップS3と、ツインラインモデル及びツインソリッドモデルと建築シミュレーションモデルを比較し、工事進捗状況及び工事品質を監視するステップS4とを含む。
【効果】ドローンを使用して建築構成材の画像を収集するため、工事現場の複数の場所に行く手間がかからず、各構成材に多くのRFIDタグを貼る必要もなく、人件費及び経済的コストの面で大きな利点がある。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法であって、
施工図面に従って、複数の建築構成材で構成された建築シミュレーションモデルを作成するステップS1と、
ドローンを使用して施工工程における建築構成材の画像を収集するステップS2と、
前記建築構成材の画像に従って、ツインソリッドモデル及びツインラインモデルを作成するステップS3であって、前記ツインソリッドモデルは、建築構成材の断面で構成され、前記ツインラインモデルは、建築構成材の軸線で構成される、ステップS3と、
前記ツインラインモデル及び前記ツインソリッドモデルと前記建築シミュレーションモデルを比較し、工事進捗状況及び工事品質を監視するステップS4とを含むことを特徴とする、ドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法。
【請求項2】
前記ツインソリッドモデルの断面に従って断面の軸線を取り、次に、前記断面の軸線に従って構成材の軸線を取り、前記構成材の軸線に従って前記ツインラインモデルを作成することを特徴とする、請求項1に記載のドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法。
【請求項3】
前記ステップS3は、具体的には、
前記建築構成材の画像の幾何学的ひずみを除去するステップS31と、
前記建築構成材の画像に従って構成材の点群データを生成するステップS32と、
前記点群データのノイズを除去するステップS33であって、前記点群データのノイズは、点群データにおける、画像取得エラーにより建物構成材の表面が滑らかでない点である、ステップS33と、
前記点群データに基づいてツインソリッドモデルを作成するステップS34と、
前記ツインソリッドモデルに応じて、ツインラインモデルを作成するステップS35と、
各建築構成材を識別して分類し、それぞれ番号を付けるステップS36とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法。
【請求項4】
前記ステップS35は、具体的には、
前記ツインソリッドモデルにおける各建築構成材の複数の断面位置を抽出するステップS351と、
前記断面の重心位置を抽出するステップS352と、
各前記建築構成材の前記断面の重心位置に基づいて前記建築構成材の軸線を計算するステップS353と、
各前記建築構成材の軸線に従ってツインラインモデルを作成するステップS354とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法。
【請求項5】
前記建築シミュレーションモデルは、前記建築構成材の属性情報を更に含み、前記建築構成材の属性情報は、建築構成材の材料、長さ、断面の寸法、軸線における各点の位置、及びオフセット量を含み、前記オフセット量は、施工図面に対する建築構成材の実際の取り付けに必要なオフセット量であることを特徴とする、請求項1に記載のドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法。
【請求項6】
前記ステップS3とS4の間に、
前記ツインラインモデルと前記建築シミュレーションモデルを比較し、前記ツインラインモデルにおける各前記建築構成材の軸線の取り付けオフセットを得るステップS400と、
前記取り付けオフセットを使用して前記ツインラインモデルを修正し、施工図面に対する建築構成材の実際の取り付けに必要なオフセット量を除去するステップS401とを更に含むことを特徴とする、請求項5に記載のドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法。
【請求項7】
前記ステップS4は、前記ツインソリッドモデル及び前記ツインラインモデルにおける建築構成材と前記シミュレーションモデルにおける対応する建築構成材との一致度を計算し、前記一致度に従って工事進捗状況を監視し、工事品質を検出するステップを含み、
前記工事進捗状況を監視することは、工事進捗状況が工事計画に沿っているかどうかを確認することであり、前記工事品質を検出することは、プロジェクトの全体的なオフセット、全体的な平面の曲げ、全体の高さ、及び建築構成材の取り付けオフセットを検出することであり、
前記一致度は、前記ツインソリッドモデル及び前記ツインラインモデルにおける建築構成材の幾何学的情報と前記シミュレーションモデルにおける対応する建築構成材の幾何学的情報との一致度であることを特徴とする、請求項1に記載のドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法。
【請求項8】
前記一致状態は、一致度で評価され、前記ツインソリッドモデル及び前記ツインラインモデルにおける建築構成材と前記シミュレーションモデルにおける対応する建築構成材が完全に一致する場合、前記一致度は1.0であり、完全に一致しない場合、前記一致度は0であり、中間値の場合、線形補間に従って値を取ることを特徴とする、請求項7に記載のドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法。
【請求項9】
前記ステップS1の前に、
工事計画及び地上基準点なしのドローン傾斜撮影測定の技術的要件に従って、工事監視計画を立てるステップS0を更に含み、前記工事監視計画は、工事進捗計画、施工タスクの分解、及び施工工程の監視計画を含み、前記施工工程の監視計画は、監視時間、監視内容、監視順序、及び監視断面較正スキームを含むことを特徴とする、請求項1に記載のドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法。
【請求項10】
前記方法は、前記ステップS4における比較結果が大きく異なる場合、品質不良情報を生成し、前記ツインラインモデル及び前記ツインソリッドモデルにおいて比較結果が大きく異なる建築構成材又は部分をマークするステップS5を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載のドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築工事の技術分野に属し、具体的には、ドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレハブ建築は、標準化設計、工場化生産、プレハブ化施工及び情報化管理などの特徴を有するので、環境に優しくて省エネルギー・高効率であり、それは、中国の建設産業の質の高い発展を促進するための重要な部分であり、建設産業がカーボンニュートラルとカーボンピークアウトを実施するための重要なポイントでもある。現在、一般的に使用される建設工事の進捗状況の監視方法は、主に以下のとおりである。1つは、人による監視であり、トータルステーション、水準器などによって手動に収集すると、大量の作業が必要で、一定の制限があり、データが大幅に遅れ、測定結果がやや主観的になり、もう1つは、RFID収集であり、即ち、無線自動識別によって工事進捗状況の情報を収集し、しかし、建築と各構成材自体に十分な量のRFIDタグを付ける必要があり、コストが高く、複雑さが高く、収集されたデータ密度が異なり、適時性が低い。プレハブ建築は、高い施工精度が必要であり、施工速度が速いので、工事進捗状況の監視に対する要件が高くなり、従来の工事進捗状況の監視方法は、プレハブ建築の技術的優位性を生かすことができず、プレハブ建築の発展を妨げる。
【発明の概要】
【0003】
従来技術の上記欠陥及び不足に対して、本発明の目的の1つは、少なくとも従来技術の上記問題の1つ以上を解決することであり、つまり、本発明の目的の1つは、前述のニーズの1つ以上を満たすドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法を提供することである。
【0004】
上記の発明目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を用いる。
【0005】
ドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法は、
施工図面に従って、複数の建築構成材で構成された建築シミュレーションモデルを作成するステップS1と、
ドローンを使用して施工工程における建築構成材の画像を収集するステップS2と、
建築構成材の画像に従って、ツインソリッドモデル及びツインラインモデルを作成するステップS3であって、ツインソリッドモデルは、建築構成材の断面で構成され、ツインラインモデルは、建築構成材の軸線で構成されるステップS3と、
ツインラインモデル及びツインソリッドモデルと建築シミュレーションモデルを比較し、工事進捗状況及び工事品質を監視するステップS4とを含む。
【0006】
好ましくは、ツインソリッドモデルの断面に従って断面の軸線を取り、次に、断面の軸線に従って構成材の軸線を取り、構成材の軸線に従ってツインラインモデルを作成する。
【0007】
好ましくは、ステップS3は、具体的には、
建築構成材の画像の幾何学的ひずみを除去するステップS31と、
建築構成材の画像に従って構成材の点群データを生成するステップS32と、
点群データのノイズを除去するステップS33であって、点群データのノイズは、点群データにおける、画像取得エラーにより建物構成材の表面が滑らかでない点であるステップS33と、
点群データに基づいてツインソリッドモデルを作成するステップS34と、
ツインソリッドモデルに応じて、ツインラインモデルを作成するステップS35と、
各建築構成材を識別して分類し、それぞれ番号を付けるステップS36とを含む。
【0008】
好ましくは、ステップS35は、具体的には、
ツインソリッドモデルにおける各建築構成材の複数の断面位置を抽出するステップS351と、
断面の重心位置を抽出するステップS352と、
各建築構成材の断面の重心位置に基づいて建築構成材の軸線を計算するステップS353と、
各建築構成材の軸線に従ってツインラインモデルを作成するステップS354とを含む。
【0009】
好ましくは、建築シミュレーションモデルは、建築構成材の属性情報を更に含み、建築構成材の属性情報は、建築構成材の材料、長さ、断面の寸法、軸線における各点の位置、及びオフセット量を含み、前記オフセット量は、施工図面に対する建築構成材の実際の取り付けに必要なオフセット量である。
【0010】
好ましくは、ステップS3とS4との間に、
ツインラインモデルと建築シミュレーションモデルを比較し、ツインラインモデルにおける各建築構成材の軸線の取り付けオフセットを得るステップS400と、
取り付けオフセットを使用してツインラインモデルを修正し、施工図面に対する建築構成材の実際の取り付けに必要なオフセット量を除去するステップS401とを更に含む。
【0011】
好ましくは、ステップS4は、ツインソリッドモデル及びツインラインモデルにおける建築構成材とシミュレーションモデルにおける対応する建築構成材との一致度を計算し、一致度に従って工事進捗状況を監視し、工事品質を検出するステップを含み、
工事進捗状況を監視することは、工事進捗状況が工事計画に沿っているかどうかを確認することであり、工事品質を検出することは、プロジェクトの全体的なオフセット、全体的な平面の曲げ、全体の高さ、及び建築構成材の取り付けオフセットを検出することであり、
一致度は、ツインソリッドモデル及びツインラインモデルにおける建築構成材の幾何学的情報とシミュレーションモデルにおける対応する建築構成材の幾何学的情報との一致度である。
【0012】
好ましくは、一致状態は、一致度で評価され、ツインソリッドモデル及びツインラインモデルにおける建築構成材とシミュレーションモデルにおける対応する建築構成材が完全に一致する場合、一致度は1.0であり、完全に一致しない場合、一致度は0であり、中間値の場合、線形補間に従って値を取る。
【0013】
好ましくは、方法は、ステップS4における比較結果が大きく異なる場合、品質不良情報を生成し、ツインラインモデル及びツインソリッドモデルにおいて比較結果が大きく異なる建築構成材又は部分をマークするステップS5を更に含む。
【0014】
好ましくは、ステップS1の前に、
工事計画及び地上基準点なしのドローン傾斜撮影測定の技術的要件に従って、工事監視計画を立てるステップS0を更に含み、工事監視計画は、工事進捗計画、施工タスクの分解、及び施工工程の監視計画を含み、施工工程の監視計画は、監視時間、監視内容、監視順序、及び監視断面較正スキームを含む。
【0015】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0016】
本発明のドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法では、ドローンを使用して建築構成材の画像を収集するため、収集のために工事現場の複数の場所に行く手間がかからず、各構成材に多くのRFIDタグを貼り付ける必要もなく、人件費及び経済的コストの面で大きな利点がある。
【0017】
ドローンは、モデリング要件に従って、いつでも指定された場所に行ってデータ収集を補完でき、その柔軟性に優れ、
ツインソリッドモデルとツインラインモデルとの組み合わせを使用して建築シミュレーションモデルと比較するので、比較精度に優れた。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例によるデータ一致状態の分析の流れ図である。
図2】本発明の実施例によるドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法の流れ図である。
図3】本発明の実施例による全体的な平面の曲げの監視の概略図である。
図4】本発明の実施例による全体的な縦方向変形の監視の概略図である。
図5】本発明の実施例による縦方向構成材のオフセットの監視の概略図である。
図6】本発明の実施例による縦方向構成材の軸線の垂直度の監視の概略図である。
図7】本発明の実施例による同じ階の縦方向構成材の頂端の高度差の監視の概略図である。
図8】本発明の実施例による梁の軸線偏差の監視の概略図である。
図9】本発明の実施例による梁のスパン垂直度の監視の概略図である。
図10】本発明の実施例による同じ梁の頂部の高度差の監視の概略図である。
図11】本発明の実施例によるプロジェクト本体の工事品質の判定及び構成材の工事品質の判定の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例を明確に説明するために、以下では、図面を参照しながら、本発明の特定の実施形態を説明する。明らかに、以下の説明における図面は本考案のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働なしで、これらの図面に基づいて他の図面及び他の実施形態を取得することができる。
【実施例0020】
本実施例のドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法は、
ドローンによって収集された画像がツインモデル構築に必要な有効データとして使用できることを確保するために、プレハブ建築の工事特徴及び地上基準点なしのドローン傾斜撮影測定の技術的要件に従って、工事監視計画を立てるステップS0であって、工事監視計画は、工事進捗計画、施工タスクの分解、及び施工工程の監視計画を含み、施工工程の監視計画は、監視時間、監視内容、監視順序、監視断面較正スキーム及び現場注意事項を含み、監視断面較正スキームは、異なる監視内容に応じて、対応する構成材の断面をその監視断面として選択するステップS0と、
施工図面に従って、建築シミュレーションモデルを作成するステップS1であって、該建築シミュレーションモデルは、プレハブ建築の施工図面、構造設計図及び他の工事資料に従って、BIM技術によって構築されるものであり、それは、各建築構成材の取り付け位置を含み、それによってプロジェクト全体の三次元シミュレーションモデルを構成するステップS1とを含む。三次元シミュレーションモデルの内容は、構成材断面形態及び断面寸法を呈する三次元シミュレーションソリッドモデル、各構成材の重心軸線で構成された三次元シミュレーションラインモデル、標高と現場の描画、基準点の較正、建築構成材及びその属性情報、キーな監視断面及び他の保護性建築構成材を含む。ここで、基準点の較正は、三次元シミュレーションモデルからある標識点を基準点として、後のモデル間の比較分析の参照点として選択し、本実施例では、好ましくは、三次元シミュレーションモデルの座標の原点を選択し、ここで、建築構成材及びその属性情報は、プレハブ建築の柱状壁などの縦方向構成材、梁板などの水平構成材及び保護性建築構成材を含み、属性情報は、各構成材の材料、断面寸法、長さ、厚構成材の重心軸線における各点の空間座標、構成材のオフセット量及び構成材の偏心方向を指す。
【0021】
設計時の作業量の制限のため、設計図及び設計図に従って作成された三次元シミュレーションモデルは、一般的に、構成材の取り付けに対して簡略した表現方法を用い、例えば、2つの構成材は、小さな距離でオフセットして取り付けられる場合、三次元シミュレーションモデルにおける2つの構成材は、同軸又は位置合わせで構築され、しかし、実際の取り付けの場合、それを依然として正確にオフセットして取り付ける。構成材のオフセット量及び構成材のオフセット方向は、実際の施工中、三次元シミュレーションモデルとの取り付けのオフセット値を表現するために使用される。
【0022】
具体的には、本実施例における上記の三次元シミュレーションモデルの構築方法は、以下のとおりである。
【0023】
ステップS101では、建築工事設計図及び構造設計図を分析し、各階を段階的に処理し、シミュレーションモデルの構築に必要な他の工事資料を収集し、階の段階的処理は、プレハブ建築の構成材及びその施工技術要件に従って、施工中、高さ方向に沿ってプロジェクト本体を複数の部分に分けて施工することを指す。更に、階を段階的にする場合、プロジェクト本体の高さ方向に沿って、2階ごと又は3階ごとに1つのセクションに分ける。
【0024】
ステップS102では、工事現場の状況に応じて、BIM技術を利用し、標高の設計及び現場の描画を行い、
S103では、BIMにおけるRevit及びその二次開発機能を利用し、プレハブ建築の建築構成材の形態特徴を組み合わせ、S101における階の段階的処理に応じて、最初のセクションの本体構造の縦方向構成材を描画し、
ステップS104では、BIMにおけるRevit及びその二次開発機能を利用し、ステップS203で描画された最初のセクションの本体構造の水平構成材を描画し、
ステップS105では、BIMにおけるRevit及びその二次開発機能を利用し、ステップS101における階の段階的処理に応じて第2のセクション、第3のセクション、第4のセクション、……、最後のセクションの本体構造の縦方向構成材及び水平構成材を描画し、
ステップS106では、ステップS201における階の段階的処理に基づいて、本体構造の他の付属部材を段階的に描画し、
ステップS1における三次元シミュレーションモデルを作成した後、ステップS2を行い、即ち、ドローンを使用して施工工程における建築構成材の画像を収集し、具体的な収集方法は、まず、地上基準点なしのドローン傾斜撮影のコースを設計し、次に、ステップS101における階の段階的処理に応じて、現在の施工段階における階の段階的処理に対して地上基準点なしのドローン傾斜撮影測定を順に行い、現在のプロジェクト本体における建築構成材の画像データを収集することである。通常の建築構成材情報の収集方法では、1つは、人による収集であり、それは、労働力の消費量が非常に高いが、効率が低く、もう1つは、RFID収集であり、即ち、無線周波数によって建築構成材を識別し、しかし、それは、各建築構成材に一定の量のRFIDタグを付ける必要があり、コスト及び複雑さが非常に高く、収集されたデータ密度が異なり、適時性が低い。本発明は、ドローンを使用して画像データを収集し、ドローンは、実際の収集ニーズに応じて撮影コースを容易に修正し、建築構成材へのフルカバレッジの収集を確保するために、多くの点から画像データを収集することができ、また、ある領域の画像を収集するために、ドローンの撮影コースを変更してその近くまで飛行して画像を収集するだけで済む。
【0025】
画像データを収集した後、該画像データを使用してステップS3を行い、即ち、建築構成材の画像に従って、ツインソリッドモデル及びツインラインモデルを作成し、ツインソリッドモデル及びツインラインモデルの構築は、ドローンによって収集された画像を利用し、工事進捗状況と同期し、プロジェクトの現在の実際の施工段階を反映するデジタルモデルを構築し、プロジェクト建設の進捗に伴い、プロジェクトが完了するまで継続的に更新して反復し、プレハブ建築の異なる施工段階の建築本体と施工工程を仮想化するプロセスである。施工工程では、画像データを継続的に収集し、画像データに基づいてツインソリッドモデル及びツインラインモデルを作成し、工事進捗状況に応じて、工事進捗状況及び工事品質をリアルタイムに監視するために、作成されたツインソリッドモデル及びツインラインモデルも同期して更新する。
【0026】
ツインソリッドモデルは、建築構成材の断面で構成され、建築構成材の断面位置が正確で変形しないかどうかを判断するために使用され、ツインラインモデルは、建築構成材の軸線で構成され、建築構成材の取り付け位置が正確であるかどうかを判断するために使用される。
【0027】
更に、前記ステップS3は、
撮影過程において生じた画像の幾何学的ひずみの誤差を除去して修正するステップS31と、
ひずみが修正された建築構成材の画像に基づいて建築構成材の点群データを生成するステップS32であって、点群データは、デジタルの面から断面をフィッティングするために、建築構成材の断面を点群の形に処理することを指すステップS32と、
点群データのノイズを除去し、ツインモデルにおける各構成材の幾何学的特性及びトポロジー的特性を保持し、その表面も滑らかにすることを確保するステップS33であって、点群データのノイズは、点群データにおける、画像取得エラーにより建物構成材の表面が滑らかでない点であるステップS33と、
点群データに基づいてツインソリッドモデルを作成するステップS34であって、滑らかになった点群データに基づいて、各建築構成材の複数の断面をツインソリッドモデルにおける建築構成材の1つの面にフィッティングし、多くの建築構成材の複数の面は共にてツインソリッドモデルを構成するステップS34と、
ツインソリッドモデルに応じて、ツインラインモデルを作成するステップS35と、
各建築構成材を識別して分類し、それぞれ番号を付けるステップS36とを含み得る。
【0028】
更に、上記ステップS35では、ツインソリッドモデルに応じて、ツインラインモデルを作成する方法は、
ツインソリッドモデルにおける各建築構成材の複数の断面位置を抽出するステップS351と、
各建築構成材における各断面の重心位置を抽出するステップS352と、
更に、各建築構成材における各断面の重心位置に基づいて該建築構成材の軸線を計算するステップS353と、
各建築構成材の軸線に従ってツインラインモデルを作成するステップS354とを含む。
【0029】
更に、ステップS3を行った後、以下の2つのステップを行い、ステップS400では、ツインラインモデルと建築シミュレーションモデルを比較し、ツインラインモデルにおける各建築構成材の軸線の取り付けオフセットを得て、ステップS401では、取り付けオフセットを使用してツインラインモデルを修正し、施工図面に対する建築構成材の実際の取り付けに必要なオフセット量を除去する。上記の2つのステップは、上記のステップS1で説明したオフセット量の問題に対応するため、設計図と三次元シミュレーションモデルをある程度簡略化しても、簡略化によってツインモデルが誤って不一致になることはない。
【0030】
ツインソリッドモデル及びツインラインモデルを作成した後、又はステップS401における修正を行った後、現在のリアルタイムのツインソリッドモデル及びツインラインモデルを使用してステップS4を行い、即ち、ツインラインモデル及びツインソリッドモデルと建築シミュレーションモデルを比較し、工事進捗状況及び工事品質を監視する。
【0031】
具体的には、比較結果は、データ一致状態の分析によって計算され得、その流れ図は、図1に示され、即ち、同じ座標系では、現在の施工段階のツインモデル及びシミュレーションモデルを比較して幾何学的情報の一致度を分析し、それによってツインソリッドモデル及びツインラインモデルにおける建築構成材とシミュレーションモデルにおける対応する建築構成材との一致度を計算し、工事進捗状況を監視し、工事品質を検出する。本実施例では、一致状態は、一致度で評価され、ツインソリッドモデル及びツインラインモデルにおける建築構成材とシミュレーションモデルにおける対応する建築構成材が完全に一致する場合、一致度は1.0であり、完全に一致しない場合、一致度は0であり、中間値の場合、線形補間に従って値を取る。
【0032】
ここで、工事進捗状況の監視は、作業者がプロジェクトの実際の施工状態を正確に全面的に把握しやすくなるために、ツインモデルとシミュレーションモデルにおける工事進捗計画を比較し、工事進捗状況が計画とおりであるかどうかを確認することであり、工事品質の検出は、プロジェクト本体の工事の監視、縦方向構成材の工事品質の監視、及び水平構成材の工事品質の監視を含む。プロジェクト本体にとって、一致度が0.9に達する場合、プロジェクト本体の工事進捗状況が期待される要件を満たすと見なされ、それ以外の場合、工事進捗状況が期待される要件を満たさないと見なされる。
【0033】
更に、ステップS4では、ツインラインモデル、ツインソリッドモデルとシミュレーションモデルを比較した後、本実施例は、ステップS5を更に含み、即ち、ステップS4における比較結果が大きく異なる場合、品質不良情報を生成し、品質不良情報に基づいて、工事管理プラットフォームに品質不良情報を送信し、品質不良情報では、ツインラインモデル及びツインソリッドモデルにおいて、比較結果が大きく異なる建築構成材又は部分をマークする。
【0034】
上記方法S0~S5によるドローンに基づくプレハブ建築施工工程の監視方法の流れ図全体は、図2に示される。
【0035】
上記ステップS4におけるプロジェクト本体の工事の監視は、施工工程におけるプロジェクト全体の品質を監視することであり、それは、全体的なオフセットの監視、全体的な平面の曲げの監視、及び全体的な縦方向変形の監視を含む。
【0036】
全体的なオフセットの監視について、図2に示すように、それは、ツインラインモデル及びシミュレーションモデルの同じ階の全体的なオフセットの監視制御点の水平座標を互いに減算して絶対値を取るものである。具体的なステップは、まず、ツインラインモデル及びシミュレーションモデルから、現在の施工状態下で、建築の四隅における同じ階の梁と柱の軸線との交差点を全体的なオフセットの監視制御点を選択し、次に、ツインラインモデルにおける制御点の水平座標とシミュレーションモデルにおける対応する制御点の水平座標との差の値を取り、該差の値は、全体的なオフセット量である。
【0037】
全体的な平面の曲げの監視について、図3に示すように、全体的な平面の曲げの監視は、施工工程における同じ階のプロジェクト本体の水平方向の変形を監視することであり、それは、同じ階の同じ軸線におけるツインモデル及びシミュレーションモデルの曲げ変形監視点の監視方向における水平座標値を比較するによって得られるものであり、ここで、監視方向は、建築全体の座標系におけるxとyの2つの方向を指す。全体的な平面の曲げの監視の具体的な方法は、現在の施工状態下で、ツインモデル及びシミュレーションモデルから、監視方向と垂直である階の辺の軸線を選択し、該軸線における2つの端点及び軸線の中点を曲げ変形監視点をとして取り、次に、ツインモデル及びシミュレーションモデルにおける曲げ変形監視点の監視方向の水平座標値をそれぞれ読み取り、両者が互いに減算し、建築本体の曲げ変形偏差としての差の値を取ることである。
【0038】
全体的な縦方向変形の監視について、図4に示すように、全体的な縦方向変形の監視は、施工工程におけるプロジェクト本体の縦方向変形を監視することであり、それは、建築の同じ階におおける四隅の監視点でのツインモデル及びシミュレーションモデルの標高を比較することによって得られるものである。全体的な縦方向変形の監視の具体的な方法は、現在の施工状態下で、ツインモデル及びシミュレーションモデルにおける上記の全体的なすれ監視制御点の縦方向座標値(Z方向座標値)を抽出し、次に、2つのモデルでそれぞれ得られたZ方向座標値の和を求めて平均値(階の標高)を取り、最後に、ツインモデル及びシミュレーションモデルにおける階の標高を互いに減算し、建築の全体的な縦方向変形としての差の値を取ることである。
【0039】
ステップS4における縦方向構成材の工事品質の監視は、具体的には、縦方向構成材のオフセットの監視、縦方向構成材の軸線垂直度の監視、及び同じ階の縦方向構成材の頂端の高度差の監視を含む。
【0040】
縦方向構成材のオフセットの監視について、図5に示すように、縦方向構成材のオフセットの監視は、縦方向構成材を指定された位置に取り付けた後、縦方向構成材の底端の断面重心位置を点検して監視することであり、それは、ツインモデル及びシミュレーションモデルにおける縦方向構成材の底端の断面重心座標の偏差を比較することによって得られるものである。縦方向構成材のオフセットの監視の具体的な方法は、現在の施工状態下で、ツインモデル及びシミュレーションモデルにおける縦方向構成材の底端の断面重心座標値をそれぞれ呼び出し、次に、ツインモデル及びシミュレーションモデルにおける構成材の底端の断面重心の水平方向の座標値の差の値(縦方向構成材の縦方向のオフセット値)を取る。
【0041】
縦方向構成材の軸線垂直度の監視について、図6に示すように、縦方向構成材の軸線垂直度の監視は、縦方向構成材を指定された位置に取り付けた後、底端の断面重心を参照点として使用し、水平方向において縦方向構成材の頂端の断面重心と該参照点との間の偏差を監視することである。縦方向構成材の軸線垂直度の監視の具体的な方法は、ツインモデルから監視対象の縦方向構成材の底端及び頂端の重心座標を呼び出し、次に、底端及び頂端の重心座標の水平方向における座標成分を比較し、縦方向構成材の垂直度のオフセット値としての両者の差の値を取ることである。
【0042】
同じ階の縦方向構成材の頂端の高度差の監視について、図7に示すように、それは、同じ階の各縦方向構成材を取り付けた後、縦方向構成材と隣接する縦方向構成材の頂端の断面重心座標の縦方向成分間の差の値をそれぞれ監視することである。同じ階の縦方向構成材の頂端の高度差の監視の具体的な方法は、ツインモデルから各縦方向構成材の頂点の断面重心座標を呼び出し、次に、隣接する縦方向構成材の頂端の断面重心座標の縦方向成分の差の値(縦方向構成材の頂端の高度差)を取ることである。
【0043】
ステップS4における水平構成材の工事の監視は、梁の軸線偏差の監視、梁のスパン垂直度の監視、及び同じ梁の頂部の高度差の監視を含む。
【0044】
梁の軸線偏差の監視について、図8に示すように、それは、梁の重心軸線とそれに接続された柱の重心軸線との間の偏差を監視することである。梁の軸線偏差の監視の具体的な方法は、ツインモデルから梁構成材の端部の断面重心を呼び出し、更に、梁に接続された柱の頂端の断面重心を呼び出し、次に、柱の頂端の断面重心を参照点として使用し、x及びyの2つの水平方向における梁の端部の断面重心座標の偏差度を監視することである。
【0045】
梁のスパン垂直度の監視について、図9に示すように、梁のスパン垂直度の監視は、梁を取り付けた後、その中部の断面と建築全体座標系の縦方向との間の偏差を監視することである。具体的な監視方法は、ツインモデルから梁構成材の中部の断面の上縁と下縁の中点の座標値を呼び出し、次に、梁の断面の下縁の中点を参照点として使用し、梁の断面の上縁の中点が水平方向において該参照点からどのぐらいオフセットするかを監視することである。
【0046】
同じ梁の頂端の高度差の監視について、図10に示すように、梁を取り付けた後、梁構成材の両端の高度差を監視することであり、具体的な方法は、ツインモデルにおける梁構成材の2つの端部の断面重心座標を呼び出し、次に、2つの端部の断面重心在表の縦方向成分の差の値(同じ梁の頂端の高度差)を比較することである。
【0047】
上記ステップS5では、プロジェクト本体の工事品質の判定及び構成材の工事品質の判定は、以下の式に応じて行われ、
Δ≦[Δ]であり、
式中、Δは、本体の工事監視結果、縦方向構成材の工事監視結果及び水平構成材の工事監視結果によって得られたオフセット量、偏差値又は高度差を指す。[Δ]は、設計要件又は現在の関連する国家規範による、プロジェクト本体、縦方向構成材、及び水平構成材の工事及び取り付けのオフセット量、偏差値又は高度差の限界値である。
【0048】
更に、プロジェクト本体の工事品質の判定及び構成材の工事品質の判定の流れ図は、図11に示され、Δ≦[Δ]の場合、プロジェクト本体、縦方向構成材、及び水平構成材の工事品質が合格し、設計要件又は規範の規定内容を満たすと見なされる。逆に、プロジェクト本体、縦方向構成材、及び水平構成材の工事品質が合格しないと見なされ、また、対応するプロジェクト本体、縦方向構成材、及び水平構成材の工事品質レポートを生成する。
【0049】
なお、前述の実施例は、本発明の好ましい実施例及び原理への詳細な説明に過ぎず、当業者にとって、本発明によって提供された概念によれば、特定の実施形態を変更することができ、それらの変更も本発明の保護範囲と見なされるべきである。
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