(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123462
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】供給装置、および搬送台車
(51)【国際特許分類】
B29D 30/16 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B29D30/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030899
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠 英大
(72)【発明者】
【氏名】牧内 厚治
【テーマコード(参考)】
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA02
4F215VA12
4F215VD10
4F215VK02
4F215VM06
4F215VP28
4F501TA02
4F501TA12
4F501TC10
4F501TD03
4F501TE28
4F501TF06
4F501TL27
4F501TV02
(57)【要約】
【課題】サービサ等へ供給される帯状ゴム部材のロール体を容易に交換することができる技術を提供する。
【解決手段】供給装置1は、帯状ゴム部材Gがサービサへ供給される供給位置P1を含む走行経路Dを移動可能な搬送台車2と、搬送台車2を、供給位置P1で固定する固定機構3と、を備える。搬送台車2は、帯状ゴム部材Gを巻回したロール体Rを保持する保持機構8を有する台車本体5と、台車本体5の下側部5aと路面との間に無人搬送車4が走行経路Dに沿って通過可能な通過空間Sを設ける脚部6と、通過空間S内に位置する無人搬送車4の係合部材4aが係合可能な被係合部材21と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被供給装置へ供給される帯状ゴム部材を保持する供給装置であって、
前記帯状ゴム部材が前記被供給装置へ供給される供給位置を含む走行経路を移動可能な搬送台車と、
前記搬送台車を、前記供給位置で固定する固定機構と、を備え、
前記搬送台車は、
前記帯状ゴム部材を巻回したロール体を保持する保持機構を有する台車本体と、
前記台車本体の下側部と路面との間に無人搬送車が前記走行経路に沿って通過可能な通過空間を設ける脚部と、
前記通過空間内に位置する前記無人搬送車の係合部材が係合可能な被係合部材と、を備える
供給装置。
【請求項2】
前記搬送台車は、
前記台車本体の前記走行経路に沿う第1方向側に設けられ、前記台車本体から突出した突出ピンと、
前記台車本体の前記第1方向と反対の第2方向側に設けられ、他の前記搬送台車の突出ピンの先端面が接触する接触面を有する受け部材と、をさらに備える
請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
前記固定機構は、動力源からの回転力を前記搬送台車へ与える出力歯車を備え、
前記保持機構は、
前記ロール体の帯状ゴム部材を前記被供給装置へ送り出す送り出しローラと、
前記出力歯車に噛み合うことで前記回転力が与えられる入力歯車と、
前記入力歯車に与えられる回転力を前記送り出しローラへ伝達する伝達機構と、を備える
請求項1に記載の供給装置。
【請求項4】
前記固定機構は、前記搬送台車を接地位置から前記接地位置上方の持ち上げ位置へ持ち上げる昇降装置を備え
前記出力歯車および前記入力歯車は、前記搬送台車が前記持ち上げ位置のときに互いに噛み合い、前記搬送台車が前記接地位置のときに噛み合いが解除される
請求項3に記載の供給装置。
【請求項5】
帯状ゴム部材が被供給装置へ供給される供給位置を含む走行経路を移動可能であるとともに、固定機構によって前記供給位置に固定される搬送台車であって、
前記帯状ゴム部材を巻回したロール体を保持する保持機構を有する台車本体と、
前記台車本体の下側部と路面との間に無人搬送車が前記走行経路に沿って通過可能な通過空間を設ける脚部と、
前記通過空間内に位置する前記無人搬送車の係合部材が係合可能な被係合部材と、を備える
搬送台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給装置、および搬送台車に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの製造工程には、ゴムによって被覆されたコードを含む帯状ゴム部材を、サービサを用いて成形ドラムに貼り付ける工程が含まれている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、サービサ等へ供給される帯状ゴム部材のロール体を容易に交換することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明は、被供給装置へ供給される帯状ゴム部材を保持する供給装置である。この供給装置は、前記帯状ゴム部材が前記被供給装置へ供給される供給位置を含む走行経路を移動可能な搬送台車と、前記搬送台車を、前記供給位置で固定する固定機構と、を備える。前記搬送台車は、前記帯状ゴム部材を巻回したロール体を保持する保持機構を有する台車本体と、前記台車本体の下側部と路面との間に無人搬送車が前記走行経路に沿って通過可能な通過空間を設ける脚部と、前記通過空間内に位置する前記無人搬送車の係合部材が係合可能な被係合部材と、を備える。
【0006】
上記構成によれば、通過空間内の無人搬送車の係合部材に係合する被係合部材を搬送台車が有しているので、無人搬送車は、係合部材を被係合部材に係合させれば、搬送台車を走行経路に沿って移動させることができ、被係合部材に対する係合を解除すれば、搬送台車を走行経路上の所定の位置に配置することができる。
よって、無人搬送車によって、供給位置に位置する搬送台車を移動させたり、走行経路上の搬送台車を供給位置に配置させたりすることが容易となる。
この結果、ロール体を搬送台車ごと交換することが可能となり、被供給装置へ供給される帯状ゴム部材のロール体を容易に交換することができる。
【0007】
(2)上記供給装置において、前記搬送台車は、前記台車本体の前記走行経路に沿う第1方向側に設けられ、前記台車本体から突出した突出ピンと、前記台車本体の前記第1方向と反対の第2方向側に設けられ、他の前記搬送台車の突出ピンの先端面が接触する接触面を有する受け部材と、をさらに備えることが好ましい。
この場合、他の搬送台車が供給位置に位置する場合、第1方向に沿って無人搬送車によって移動する搬送台車は、突出ピンを他の搬送台車の受け部材に接触させ、他の搬送台車を第1方向に沿って供給位置から押し出すことができる。
さらに、無人搬送車は、通過空間を通過することができるので、他の搬送台車を押し出した後、無人搬送車に、搬送台車の係合を解除させ、搬送台車の通過空間から他の搬送台車の通過空間へ移動させ、他の前記搬送台車の被係合部材に係合させることができる。
これにより、1台の無人搬送車によって、他の搬送台車を供給位置から押し出しつつ、搬送台車を供給位置に配置させることができ、さら、押し出した他の搬送台車を走行経路に沿って移動させることができる。
【0008】
(3)また、上記供給装置において、前記固定機構が、動力源からの回転力を前記搬送台車へ与える出力歯車を備える場合、前記保持機構は、前記ロール体の帯状ゴム部材を前記被供給装置へ送り出す送り出しローラと、前記出力歯車に噛み合うことで前記回転力が与えられる入力歯車と、前記入力歯車に与えられる回転力を前記送り出しローラへ伝達する伝達機構と、を備えていてもよい。
この場合、入力歯車に与えられる回転力によって送り出しローラを回転させることができるので、搬送台車に動力源を設ける必要がない。
【0009】
(4)また、上記供給装置において、前記固定機構が、前記搬送台車を接地位置から前記接地位置上方の持ち上げ位置へ持ち上げる昇降装置を備える場合、前記出力歯車および前記入力歯車は、前記搬送台車が前記持ち上げ位置のときに互いに噛み合い、前記搬送台車が前記接地位置のときに噛み合いが解除されることが好ましい。
この場合、搬送台車を持ち上げ位置へ持ち上げれば、固定機構からの回転力を搬送台車の送り出しローラへ伝達させることができる。
【0010】
(5)また、他の観点から見た本発明は、帯状ゴム部材が被供給装置へ供給される供給位置を含む走行経路を移動可能であるとともに、固定機構によって前記供給位置に固定される搬送台車である。この搬送台車は、前記帯状ゴム部材を巻回したロール体を保持する保持機構を有する台車本体と、前記台車本体の下側部と路面との間に無人搬送車が前記走行経路に沿って通過可能な通過空間を設ける脚部と、前記通過空間内に位置する前記無人搬送車の係合部材が係合可能な被係合部材と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サービサ等へ供給される帯状ゴム部材のロール体を容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係る供給装置の全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の供給装置を模式的に示した平面図である。
【
図4】
図4は、搬送台車の下側を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、無人搬送車の外観を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、搬送台車が持ち上げ位置へ持ち上げられた状態を示す側面図である。
【
図8】
図8は、搬送台車が持ち上げ位置へ持ち上げられた状態を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、供給装置における搬送台車の交換手順の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本発明の基礎となった知見]
上記従来例において、帯状ゴム部材はロール体から延ばされサービサへ供給される。ロール体は、帯状ゴム部材を巻き回すことで形成される。ロール体は、供給装置によって保持され、サービサに対して帯状ゴム部材が供給される。
ここで、サービサへ供給する帯状ゴム部材を変更したり、ロール体を構成する帯状ゴム部材の長さ(量)が十分でなくなったりしたとき、それまで使用していたロール体は、供給装置から取り外され、異なるロール体が供給装置に搭載される。
このような供給装置に対するロール体の交換作業は、作業者によって行われていたため、大きな負荷となっていた。
このため、サービサ等へ供給される帯状ゴム部材のロール体を容易に交換することを可能にする技術が望まれていた。
【0014】
[実施形態の詳細]
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔供給装置の全体構成〕
図1は、実施形態に係る供給装置の全体構成を示す図である。
図2は、
図1の供給装置を模式的に示した平面図である。
供給装置1は、カーカスプライ等の帯状ゴム部材Gを保持し供給するための装置である。帯状ゴム部材Gは、ゴムによって被覆されたコードを含む帯状の部材である。
供給装置1が保持する帯状ゴム部材Gは被供給装置であるサービサへ供給される。
サービサは、帯状ゴム部材Gを成形ドラムに貼り付けるための装置である。サービサは、供給装置1から供給される帯状ゴム部材Gを案内する複数のガイドローラ100を有する。
【0015】
供給装置1は、帯状ゴム部材Gを巻回したロール体Rを保持する。
ロール体Rから延びる帯状ゴム部材Gは、複数のガイドローラ100に巻き掛けられる。これにより、帯状ゴム部材Gはサービサへ供給される。
供給装置1は、搬送台車2と、固定機構3と、を備える。
搬送台車2は、走行経路Dを移動可能である。搬送台車2は、ロール体Rを保持する。なお、
図1および
図2では、搬送台車2が走行経路Dに2台並んでいる状態を示している。
【0016】
搬送台車2は、無人搬送車4によって走行経路Dを移動する。
無人搬送車4は、搬送台車2に係合した状態で自動走行し、搬送台車2を移動させる。無人搬送車4は、走行経路D上のマーカ等を読み取ることによって、走行経路D上の位置を認識するとともに走行経路D上を走行することができる。
【0017】
走行経路Dは、供給位置P1を含む。供給位置P1は、搬送台車2の位置であって帯状ゴム部材Gをサービサへ供給するための位置である。
固定機構3は、走行経路D上の供給位置P1に位置する搬送台車2を供給位置Pで固定する機能を有する。
搬送台車2は、固定機構3によって供給位置P1に固定された状態で、サービサに連結される。搬送台車2は、サービサに連結されることで、サービサへ帯状ゴム部材Gの供給が可能となる。
図1および
図2中、紙面右側の搬送台車2が供給位置P1に位置し、固定機構3によって固定されている。
【0018】
なお、以下の説明では、各図中、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、及びZ方向とする。また、X方向のうちの
図1中の矢印の方向をX1方向、矢印の反対方向をX2方向とする。Y方向のうちの
図1中の矢印の方向をY1方向、矢印の反対方向をY2方向とする。Z方向のうちの
図1中の矢印の方向をZ1方向(上方向)、矢印の反対方向をZ2方向(下方向)とする。
図1において、走行経路Dは、X方向に沿っている。また、無人搬送車4および搬送台車2は、X1方向に走行するものとする。
【0019】
〔搬送台車2について〕
図3は、搬送台車2の斜視図である。また、
図4は、搬送台車2の下側を示す斜視図である。
図3および
図4に示すように、搬送台車2は、台車本体5と、脚部6と、を備える。
台車本体5は、フレーム7と、保持機構8と、を備える。フレーム7は、例えば、アルミニウム合金からなる棒材をX方向、Y方向、およびZ方向に沿って複数配置し、互いに連結することで、箱状に形成されている。よって、フレーム7の各辺は、X方向、Y方向、およびZ方向のいずれかに沿っている。
【0020】
保持機構8は、保持軸9と、複数のガイドローラ10と、送り出しローラ11と、入力歯車12と、第1伝達機構13と、負荷用第1歯車14と、第2伝達機構15と、を備える。
保持軸9は、ロール体Rを回転自在に保持する軸である。保持軸9は、X方向に沿う円筒軸である。保持軸9は、フレーム7に軸中心回りに回転自在に支持されている。これにより、保持軸9は、フレーム7に対してロール体Rを回転自在に保持する。
【0021】
複数のガイドローラ10は、ロール体Rから延びる帯状ゴム部材Gが架け渡され、帯状ゴム部材Gを、送り出しローラ11へ案内する。複数のガイドローラ10は、X方向に沿って設けられる。複数のガイドローラ10は、フレーム7に回転自在に設けられる。
【0022】
送り出しローラ11は、ロール体Rから延びる帯状ゴム部材Gをサービサへ送り出すローラである。送り出しローラ11は、X方向に沿って設けられる。送り出しローラ11は、入力歯車12に与えられる回転力によって駆動され、回転する。帯状ゴム部材Gは、送り出しローラ11が回転することで、ロール体Rから引き出され、サービサへ供給される。
【0023】
入力歯車12は、固定機構3から回転力が与えられる歯車である。入力歯車12は、固定機構3の出力歯車(後に説明する)に噛み合い、回転力が与えられる。
第1伝達機構13は、入力歯車12に与えられる回転力を送り出しローラ11へ伝達する。
図3に示すように、第1伝達機構13は、第1プーリ13aと、第2プーリ13bと、テンショナプーリ13cと、ベルト13dと、を備える。第1プーリ13aは、歯付きプーリであり、入力歯車12と一体回転可能である。第2プーリ13bは、歯付きプーリであり、送り出しローラ11と一体回転可能である。ベルト13dは、無端帯状の歯付きベルトである。ベルト13dは、各プーリ13a、13b、13cに架け渡されている。よって、入力歯車12に回転力が与えられると、その回転力は、ベルト13dを介して第1プーリ13aから第2プーリ13bへ伝達する。よって、入力歯車12に与えられる回転力は、送り出しローラ11へ伝達する。
【0024】
負荷用第1歯車14は、固定機構3からブレーキによる負荷が与えられる歯車である。
第2伝達機構15は、負荷用第1歯車14に与えられる負荷を保持軸9へ伝達する。
図4に示すように、第2伝達機構15は、第3プーリ15aと、第4プーリ15bと、テンショナプーリ15cと、ベルト15dと、を備える。第3プーリ15aは、歯付きプーリであり、負荷用第1歯車14と一体回転可能である。第4プーリ15bは、歯付きプーリであり、保持軸9と一体回転可能である。ベルト15dは、無端帯状の歯付きベルトである。ベルト15dは、各プーリ15a、15b、15cに架け渡されている。よって、負荷用第1歯車14に負荷が与えられると、その負荷は、ベルト15dを介して第3プーリ15aから第4プーリ15bへ伝達する。よって、負荷用第1歯車14に与えられる負荷は、保持軸9へ伝達する。
【0025】
図3および
図4に示すように、脚部6は、台車本体5の下側部5aから下方向(Z2方向)に延びる4本の柱部6aと、一対の梁部材6bと、4つのキャスタ6cと、を備える。
4本の柱部6aは、下側部5aにおけるX方向およびY方向の隅部に設けられている。
一対の梁部材6bは、それぞれ、4本の柱部6aのうちX方向に沿って並ぶ2つの柱部6aの先端を繋ぐように設けられている。よって、一対の梁部材6bは、X方向に沿って互いに平行に配置されている。
【0026】
4つのキャスタ6cは、一対の梁部材6bの下面に設けられている。4つのキャスタ6cは、4本の柱部6aに対応する位置に設けられている。4つのキャスタ6cは、旋回自在に設けられている。
一対の梁部材6bの間の空間は、無人搬送車4が走行経路Dに沿って通過可能な通過空間Sである。脚部6は、台車本体5の下側部5aと路面との間に通過空間Sを設けている。よって、
図1に示すように、無人搬送車4は、走行経路Dに沿って搬送台車2の通過空間Sに進入し、通過することができる。
【0027】
一対の梁部材6bの間には、一対のガイド板20が設けられている。一対のガイド板20は、一対の梁部材6bに沿うように配置されている。一対のガイド板20の間のY方向の間隔は、無人搬送車4の車幅寸法よりも僅かに大きい寸法とされている。これにより、一対のガイド板20は、通過空間Sに進入し通過する無人搬送車4をガイドする。
【0028】
図4に示すように、搬送台車2は、さらに、被係合部材21を備える。被係合部材21は、台車本体5の下側部5aに設けられている。被係合部材21は、下側部5aのX-Y平面におけるほぼ中央に設けられている。
被係合部材21は、X-Y平面に沿って固定された板状の部材である。被係合部材21は、長孔21aを有する。
この長孔21aには、通過空間S内に位置する無人搬送車4の係合部材4aが係合する。
【0029】
図5は、無人搬送車4の外観を示す斜視図である。係合部材4aは、無人搬送車4の上面4bから突出したピンである。係合部材4aは、上面4bのほぼ中央に設けられている。係合部材4aは、外部からの命令によって上下方向に進出および退避させることができる。
係合部材4aは、進出状態において、被係合部材21の長孔21aに差し込まれる。この場合、係合部材4aは、被係合部材21に係合する。係合部材4aは、退避状態においては、長孔21aに差し込まれない。この場合、被係合部材21に対する係合部材4aの係合は解除される。
【0030】
係合部材4aを退避させた状態の無人搬送車4は、通過空間Sを通過可能である。
係合部材4aを被係合部材21に係合させるには、係合部材4aを退避させた状態の無人搬送車4を、係合部材4aの位置と長孔21aの位置とが一致するように移動させ、係合部材4aを上方へ進出させる。これにより、係合部材4aは、被係合部材21の長孔21aに差し込まれ、被係合部材21に係合する。この場合、無人搬送車4と、搬送台車2とは、互いに連結され、一体に走行可能となる。
【0031】
上記構成によれば、通過空間S内の無人搬送車4の係合部材4aに係合する被係合部材21を搬送台車2が有しているので、無人搬送車4は、係合部材4aを被係合部材21に係合させれば、搬送台車2を走行経路Dに沿って移動させることができ、被係合部材21に対する係合を解除すれば、搬送台車2を走行経路D上の所定の位置に配置することができる。
よって、無人搬送車4によって、供給位置P1に位置する搬送台車2を移動させたり、走行経路D上の搬送台車2を供給位置P1に配置させたりすることが容易となる。
この結果、ロール体Rを搬送台車2ごと交換することが可能となり、サービサへ供給される帯状ゴム部材Gのロール体Rを容易に交換することができる。
【0032】
図4に示すように、搬送台車2は、さらに、一対の突出ピン23を備える。一対の突出ピン23は、台車本体5のX1方向(第1方向)側の面5bに設けられている。
一対の突出ピン23は、Y方向に並べて配置されている。一対の突出ピン23は、面5bからX1方向へ向けて突出している。一対の突出ピン23の先端面23aは、凸曲面形状を有する。
【0033】
また、
図5に示すように、搬送台車2は、さらに、一対の受け部材24を備える。一対の受け部材24は、台車本体5のX2方向(第2方向)側の面5cに設けられている。
一対の受け部材24は、Y方向に並べて配置されている。一対の受け部材24は、面5cからX2方向を向けて突出している。
一対の受け部材24は、それぞれ、軸部24aと、受け皿部24bと、を有する。軸部24aは円筒状の部材であり、面5cから突出している。受け皿部24bは、軸部24aの先端に設けられている。受け皿部24bは、X2方向に向く接触面24b1を有する。
接触面24b1は、他の搬送台車2の突出ピン23の先端面23aが接触する面である。接触面24b1は、突出ピン23の先端面23aに滑らかに接触する凹曲面形状を有している。
一対の受け部材24は、他の搬送台車2の一対の突出ピン23が接触可能な位置に設けられている。
【0034】
よって、
図2に示すように、搬送台車2が走行経路Dに2台並んでいる場合、無人搬送車4が、紙面左側の搬送台車2(以下、搬送台車2Aともいう)をX1方向へさらに移動させると、搬送台車2Aの一対の突出ピン23は、紙面右側の搬送台車2(以下、搬送台車2Bともいう)の一対の受け部材24に接触する。
このとき、搬送台車2Bに対する固定機構3による固定が解除され、さらにサービサと搬送台車2との連結が解除されることで、搬送台車2Bが走行経路Dに沿って移動可能である場合、無人搬送車4および搬送台車2Aは、搬送台車2BをX1方向に沿って移動させ、搬送台車2Bを供給位置P1から押し出すことができる。
【0035】
〔固定機構3について〕
図6は、固定機構3の斜視図である。
図6に示すように、固定機構3は、昇降装置27と、駆動装置29と、負荷装置28と、を備える。
昇降装置27は、搬送台車2を昇降させる機能を有する。昇降装置27は、搬送台車2を接地位置と、持ち上げ位置と、の間で昇降させる。接地位置とは、供給位置P1において路面に接地しているときの位置である。持ち上げ位置とは、接地位置の上方の位置である。
固定機構3は、搬送台車2を持ち上げ位置に持ち上げることで、搬送台車2を供給位置P1で固定する。
【0036】
昇降装置27は、一対のリフト部30を有する。一対のリフト部30は、供給位置P1のY方向両側に配置されている。一対のリフト部30は、互いに同様の構成である。
一対のリフト部30は、それぞれ、ベースプレート31と、ヘッドユニット32と、リニアガイド33と、アクチュエータ34と、を備える。
ベースプレート31は、リフト部30が有する各部が搭載される鋼板である。ベースプレート31は、路面上の所定の位置に固定される。
リニアガイド33は、ベースプレート31の上面に設けられている。リニアガイド33は、X方向に沿って移動可能にヘッドユニット32を支持する。
アクチュエータ34は、ベースプレート31の上面に固定されている。アクチュエータ34のロッドはX方向に沿って進退する。アクチュエータ34のロッド先端は、ヘッドユニット32に連結されている。アクチュエータ34のロッドが進退することで、ヘッドユニット32は、ベースプレート31に対してX方向に沿って移動する。つまり、アクチュエータ34は、ベースプレート31をX方向に沿って移動させる機能を有する。
【0037】
ヘッドユニット32は、ベース32aと、ヘッド部32bと、一対のアクチュエータ32cと、を備える。ベース32aは、X方向に沿って延びる長尺部材である。ヘッド部32bおよび一対のアクチュエータ32cは、ベース32aに固定されている。また、ベース32aは、リニアガイド33に固定されている。
【0038】
ヘッド部32bは、ベース32aの上面側に配置されている。ヘッド部32bは、ベース32aの上面に沿って延びる長尺の板状部材である。ヘッド部32bの両端には、一対の当接部材32b1が設けられている。一対の当接部材32b1は、搬送台車2の台車本体5の下側部5aのY方向端縁に設けられた突起部に当接する部材である。
ヘッド部32bは、一対のアクチュエータ32cによってZ方向に移動可能である。
一対のアクチュエータ32cは、ベース32aの下面側に固定されている。一対のアクチュエータ32cのロッドは、Z方向に沿って進退する。一対のアクチュエータ32cのロッドは、ベース32aを貫通する。一対のアクチュエータ32cのロッド先端は、ヘッド部32bに固定されている。一対のアクチュエータ32cのロッドが進退することで、ヘッド部32bは、ベース32aに対してZ方向に沿って移動する。つまり、一対のアクチュエータ32cは、ヘッド部32bをZ方向(上下方向)に沿って移動させる機能を有する。
【0039】
また、ベースプレート31には、ガイド板35が設けられている。ガイド板35は、ヘッドユニット32よりも供給位置P1側に設けられている。ガイド板35は、供給位置P1に進入する搬送台車2をガイドするための板である。
【0040】
図7は、搬送台車2が持ち上げ位置へ持ち上げられた状態を示す側面図である。
図7に示すように、当接部材32b1は、台車本体5の端縁に設けられた突起部5a1に当接している。
【0041】
一対のリフト部30は、それぞれ、ヘッド部32bを上昇させ、供給位置P1に位置する搬送台車2の突起部5a1に当接部材32b1を当接させる。リフト部30は、一対の当接部材32b1を搬送台車2に当接させた状態で、さらにヘッド部32bを上昇させる。
これにより、一対のリフト部30は、搬送台車2を持ち上げ位置へ上昇させることができる。
なおガイド板35の上端にはストッパ35aが設けられている。ストッパ35aは、搬送台車2が持ち上げ位置を超えてさらに上昇するのを制限する。
【0042】
また、一対のリフト部30は、アクチュエータ34によって持ち上げた搬送台車2をX方向に沿って移動させることができる。これによって、搬送台車2のX方向の位置を補正することができる。
【0043】
図6に示すように、駆動装置29は、サーボモータ38と、第3伝達機構39と、出力歯車40と、を備える。
サーボモータ38は、回転力を発生する動力源である。サーボモータ38による回転力は、第3伝達機構39を介して出力歯車40へ与えられる。
第3伝達機構39は、減速機39aと、第5プーリ39bと、第6プーリ39cと、ベルト39dと、を備える。減速機39aは、サーボモータ38の回転力を減速する。第5プーリ39bは、歯付きプーリであり、減速機39a(サーボモータ38)からの回転力によって回転する。第6プーリ39cは、歯付きプーリであり、出力歯車40と一体回転可能である。ベルト39dは、無端帯状の歯付きベルトである。ベルト39dは、プーリ39b、39cに架け渡されている。よって、サーボモータ38が回転力を発生すると、その回転力は、ベルト39dを介して第5プーリ39bから第6プーリ39cへ伝達する。よって、サーボモータ38の回転力は、出力歯車40へ伝達される。
駆動装置29は、出力歯車40から搬送台車2の入力歯車12へ回転力を与えることで、送り出しローラ11を駆動する。
【0044】
図6に示すように、負荷装置28は、パウダブレーキ42と、第4伝達機構43と、負荷用第2歯車44と、を備える。
パウダブレーキ42は、保持軸9に与えられる負荷を発生する。
第4伝達機構43は、第7プーリ43aと、第8プーリ43bと、ベルト43cと、を備える。第7プーリ43aは、歯付きプーリであり、パウダブレーキ42に設けられている。第8プーリ43bは、歯付きプーリであり、負荷用第2歯車44と一体回転可能である。ベルト43cは、無端帯状の歯付きベルトである。ベルト43cは、プーリ43a、43bに架け渡されている。よって、パウダブレーキ42による負荷は、ベルト43cを介して第7プーリ43aから第8プーリ43bへ伝達する。よって、パウダブレーキ42の負荷は、負荷用第2歯車44へ伝達される。
負荷装置28は、負荷用第2歯車44から搬送台車2の負荷用第1歯車14へ負荷を与えることで、保持軸9に負荷を与える。
【0045】
ここで、駆動装置29の出力歯車40および搬送台車2の入力歯車12は、搬送台車2が持ち上げ位置のときに互いに噛み合う。また、出力歯車40および入力歯車12は、搬送台車2が接地位置にときに噛み合いが解除される。
【0046】
図8は、搬送台車2が持ち上げ位置へ持ち上げられた状態を示す斜視図である。
図8に示すように、出力歯車40および入力歯車12は、互いに噛み合っている。
また、負荷装置28の負荷用第2歯車44および搬送台車2の負荷用第1歯車14も、搬送台車2が持ち上げ位置のときに互いに噛み合い、搬送台車2が接地位置にときに噛み合いが解除される。
【0047】
よって、搬送台車2が供給位置P1へ配置され、固定機構3によって持ち上げ位置へ持ち上げられると、サーボモータ38の回転力を搬送台車2の送り出しローラ11へ伝達させることができ、送り出しローラ11を回転駆動することができる。
また、同様に、搬送台車2が供給位置P1へ配置され、固定機構3によって持ち上げ位置へ持ち上げられると、パウダブレーキ42の負荷を搬送台車2の保持軸9へ伝達させることができ、帯状ゴム部材Gがロール体Rから送り出しローラ11によって引き出されたときに、保持軸9およびロール体Rに生じる慣性による回転力を緩和することができる。
【0048】
また、本実施形態では、固定機構3がサーボモータ38からの回転力を搬送台車2へ与える出力歯車40を備え、保持機構8が、出力歯車40に噛み合うことでサーボモータ38の回転力が与えられる入力歯車12と、入力歯車12に与えられる回転力を送り出しローラ11へ伝達する第1伝達機構13と、を備えるので、入力歯車12に与えられる回転力によって送り出しローラ11を回転させることができ、搬送台車2に動力源を設ける必要がない。
【0049】
〔供給装置における搬送台車2の交換手順について〕
図9は、供給装置1における搬送台車2の交換手順の例を示す図である。
図9(a)は、搬送台車2Aの一対の突出ピン23が、搬送台車2Bの一対の受け部材24に接触した状態を示している。
図9では、搬送台車2B(のロール体R)から、搬送台車2A(のロール体R)に交換する際の手順について説明する。
図9(a)では、供給位置P1に位置する搬送台車2Bに対する固定機構3による固定は解除され、さらに、サービサと搬送台車2Bとの連結が解除されているものとする。よって、搬送台車2Bは、走行経路Dに沿って移動可能である。
また、無人搬送車4の係合部材4aは、搬送台車2Aの被係合部材21に係合している。よって、無人搬送車4は、搬送台車2Aを移動させることができる。
【0050】
図9(a)において、無人搬送車4が、搬送台車2Aを走行経路Dに沿ってX1方向へ移動させると、無人搬送車4および搬送台車2Aは、搬送台車2BをX1方向に沿って移動させ、搬送台車2Bを供給位置P1から押し出す。
さらに、無人搬送車4は、搬送台車2Aを供給位置P1で停止させる。
【0051】
図9(b)は、無人搬送車4が、搬送台車2Aを供給位置P1で停止させた状態を示している。
無人搬送車4が、搬送台車2Aを供給位置P1で停止させると、固定機構3は、搬送台車2Aを持ち上げ位置へ持ち上げ、搬送台車2Aを供給位置P1で固定する。
また、無人搬送車4は、係合部材4aを退避させ、搬送台車2Aの被係合部材21に対する係合部材4aの係合を解除する。
さらに、無人搬送車4は、係合部材4aの係合を解除した上で、X1方向へ進行し、搬送台車2Bの通過空間S内へ進入する。
【0052】
図9(c)は、無人搬送車4が、搬送台車2Bの通過空間S内に進入した状態を示している。
搬送台車2Bの通過空間S内に進入すると、無人搬送車4は、係合部材4aを進出させ、搬送台車2Bの被係合部材21に係合させる。これにより、無人搬送車4は、搬送台車2Bを移動させることができる。
以上のようにして、搬送台車2は交換がなされる。
【0053】
このように、本実施形態では、搬送台車2が突出ピン23と、受け部材24と、を備えるので、突出ピン23を他の搬送台車2の受け部材24に接触させ、他の搬送台車2を供給位置P1から押し出すことができる。
さらに、無人搬送車4は、通過空間Sを通過することができるので、他の搬送台車2を押し出した後、無人搬送車4に、搬送台車2の係合を解除させ、搬送台車2の通過空間Sから他の搬送台車2の通過空間Sへ移動させ、他の搬送台車2の被係合部材21に係合部材4aを係合させることができる。
これにより、1台の無人搬送車4によって、他の搬送台車2を供給位置P1から押し出しつつ、搬送台車2を供給位置P1に配置させることができ、さら、押し出した他の搬送台車2を走行経路Dに沿って移動させることができる。
【0054】
〔その他〕
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0055】
1 供給装置
2 搬送台車
3 固定機構
4 無人搬送車
4a 係合部材
5 台車本体
5a 下側部
6 脚部
8 保持機構
11 送り出しローラ
12 入力歯車
13 第1伝達機構
21 被係合部材
23 突出ピン
23a 先端面
24 受け部材
24b1 接触面
27 昇降装置
40 出力歯車
D 走行経路
G 帯状ゴム部材
P1 供給位置
R ロール体
S 通過空間