(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123467
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ホットメルト接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 191/06 20060101AFI20240905BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240905BHJP
C09J 125/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C09J191/06
C09J201/00
C09J125/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030907
(22)【出願日】2023-03-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】305044143
【氏名又は名称】積水フーラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 良都
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040BA172
4J040BA202
4J040DA001
4J040DB021
4J040EF001
4J040JB01
4J040KA26
4J040KA29
4J040KA31
4J040LA07
4J040MA09
4J040MB02
4J040NA02
4J040NA05
4J040PA30
(57)【要約】
【課題】天然系基材であるセルロース系不織布、及び、接着強度が発現しにくい基材であるエアスルー不織布に対して優れた接着性を示し、且つ、接着性の経時的な低下を抑制することができるホットメルト接着剤を提供する。
【解決手段】熱可塑性エラストマー(A)、粘着付与剤(B)及び、ワックス(C)を含むホットメルト接着剤であって、
前記ワックス(C)は、天然ワックスを含有する、ホットメルト接着剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマー(A)、粘着付与剤(B)及び、ワックス(C)を含むホットメルト接着剤であって、
前記ワックス(C)は、天然ワックスを含有する、ホットメルト接着剤。
【請求項2】
前記天然ワックスは、動物ワックス及び/又は植物ワックスである、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項3】
前記天然ワックスは、ポリエステル系ワックスである、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項4】
前記天然ワックスの融点は、70℃以上である、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項5】
前記天然ワックスの含有量は、ホットメルト接着剤を100質量%として、10質量%以下である、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項6】
前記熱可塑性エラストマー(A)は、スチレン系ブロック共重合体を含有する、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項7】
前記スチレン系ブロック共重合体は、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、及び、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6に記載のホットメルト接着剤。
【請求項8】
セルロース系不織布用である、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項9】
前記粘着付与剤(B)は、ロジン系粘着付与剤及び/又はテルペン系粘着付与剤を含有する、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項10】
表面のSMDが7.0以下であるセルロース系不織布用である、請求項8に記載のホットメルト接着剤。
【請求項11】
吸収性物品用である、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料を含む吸収性物品が広く使用されている。
【0003】
吸収性物品には、ポリオレフィン系樹脂フィルム、不織布、ティッシュ、合成ゴム等の構成部材が用いられており、これらの構成部材をホットメルト接着剤で接着することによって吸収性物品が組み立てられている。このため、ホットメルト接着剤には、構成部材に対して優れた接着性を示し、且つ、接着性の経時的な低下が抑制されていることが要求される。
【0004】
例えば、特許文献1には、(A)ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である熱可塑性ブロック共重合体と、(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸無水物で変性されたワックスとを、含有することを特徴とするホットメルト接着剤が開示されており(請求項1参照)、当該ホットメルト接着剤を塗布して得られる使い捨て製品が開示されている(請求項5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料には、自然に分解されないプラスチックである、いわゆるワンウェイプラスチックが用いられており、今後は環境を考慮して自然に分解され得る環境対応商品に置き換わりが進んでいくことが想定されている。具体的には、上記衛生材料に主に用いられるプラスチックとして不織布が用いられており、当該不織布がセルロース系不織布等の天然系基材に置き換わることが想定されている。天然系基材と、石油系基材(天然系以外の、熱可塑樹脂により形成される基材)とは、不織布の製造方法が異なり、表面状態が異なるため、ホットメルト接着剤に要求される物性が異なるという問題がある。
【0007】
また、不織布が肌に触れる際の肌触りや、吸収性物品における逆戻り、ムレ等の肌トラブル改善を目的として、これまでの基材とは表面状態が異なるエアスルー不織布へ置き換わりが想定されるため、ホットメルト接着剤の接着強度が発現しにくいという問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、天然系基材であるセルロース系不織布、及び、接着強度が発現しにくい基材であるエアスルー不織布に対して優れた接着性を示し、且つ、接着性の経時的な低下を抑制することができるホットメルト接着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性エラストマー(A)、粘着付与剤(B)及び、ワックス(C)を含むホットメルト接着剤において、ワックス(C)が天然ワックスを含有する構成とすることで、セルロース系不織布、及び、接着強度が発現しにくい基材であるエアスルー不織布を用いた場合であっても、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
1.熱可塑性エラストマー(A)、粘着付与剤(B)及び、ワックス(C)を含むホットメルト接着剤であって、
前記ワックス(C)は、天然ワックスを含有する、ホットメルト接着剤。
2.前記天然ワックスは、動物ワックス及び/又は植物ワックスである、項1に記載のホットメルト接着剤。
3.前記天然ワックスは、ポリエステル系ワックスである、項1に記載のホットメルト接着剤。
4.前記天然ワックスの融点は、70℃以上である、項1に記載のホットメルト接着剤。
5.前記天然ワックスの含有量は、ホットメルト接着剤を100質量%として、10質量%以下である、項1に記載のホットメルト接着剤。
6.前記熱可塑性エラストマー(A)は、スチレン系ブロック共重合体を含有する、項1に記載のホットメルト接着剤。
7.前記スチレン系ブロック共重合体は、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、及び、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)からなる群より選択される少なくとも1種である、項6に記載のホットメルト接着剤。
8.セルロース系繊維を含む不織布用である、項1に記載のホットメルト接着剤。
9.前記粘着付与剤(B)は、ロジン系粘着付与剤及び/又はテルペン系粘着付与剤を含有する、項1に記載のホットメルト接着剤。
10.表面のSMDが7.0以下であるセルロース系不織布用である、項8に記載のホットメルト接着剤。
11.吸収性物品用である、項1に記載のホットメルト接着剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明のセルロース系不織布用ホットメルト接着剤は、天然系基材であるセルロース系不織布、及び、接着強度が発現しにくい基材であるエアスルー不織布に対して優れた接着性を示し、且つ、接着性の経時的な低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】剥離強度試験片の調製方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態及び具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値又は実施例から一義的に導き出せる値に置き換えてもよい。さらに、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
【0015】
本明細書において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0016】
本明細書において、「A及び/又はB」並びに「A及びBの少なくとも一方」とは、A及びBのいずれか一方、又は、A及びBの両方を意味する。
【0017】
1.ホットメルト接着剤
本発明のセルロース系不織布用ホットメルト接着剤(以下、単に「ホットメルト接着剤」とも示す。)は、熱可塑性エラストマー(A)、粘着付与剤(B)及び、ワックス(C)(以下、それぞれ「(A)成分」、「(B)成分」、「(C)成分」とも示す。)を含むホットメルト接着剤であって、前記ワックス(C)は、天然ワックスを含有する、セルロース系不織布用ホットメルト接着剤である。本発明のホットメルト接着剤は、上記(A)成分、(B)成分、及び、(C)成分を含有し、且つ、(C)成分が天然ワックスを含むことにより、表面凹凸が多い、又は、表面凹凸が極端に少ないセルロース系不織布、及び、接着強度が発現しにくい基材であるエアスルー不織布に対しても優れた接着性を示し、且つ、接着性の経時的な低下を抑制することができる。
【0018】
以下、本発明に含まれる各成分について説明する。
【0019】
熱可塑性エラストマー(A)
本発明は、必須成分として熱可塑性エラストマー(A)を含有する。熱可塑性エラストマー(A)は、特に限定されず、例えば、スチレン系ブロック共重合体、オレフィン系ブロック共重合体、ポリウレタン系ブロック共重合体、ポリエステル系ブロック共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ホットメルト接着剤の剥離強度をより一層向上させる点から、スチレン系ブロック共重合体が好ましい。
【0020】
スチレン系ブロック共重合体は、ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とをブロック共重合して得られるブロック共重合体である。
【0021】
ビニル系芳香族炭化水素は、ビニル基を有する芳香族炭化水素化合物である。ビニル系芳香族炭化水素としては、具体的には、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、1,3-ジメチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、これらの中でもスチレンが好ましい。ビニル系芳香族炭化水素は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
共役ジエン化合物は、少なくとも一対の共役二重結合を有するジオレフィン化合物である。共役ジエン化合物としては、具体的には、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエンなどが挙げられ、これらの中でも1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)が好ましい。共役ジエン化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
スチレン系ブロック共重合体は、より良好な剥離強度を発現することができる点から、未水素添加物のスチレン系ブロック共重合体であることが好ましい。該未水素添加物のスチレン系ブロック共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SBSB)等が挙げられる。これらのスチレン系ブロック共重合体は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのスチレン系ブロック共重合体の中でも、より一層良好な剥離強度を発現することができる点から、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)が好ましく、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)がより好ましい。
【0024】
スチレン系ブロック共重合体におけるスチレン骨格含有割合は、より良好な剥離強度を発現することができる点から、スチレン系ブロック共重合体100質量%中、10~70質量%が好ましく、30~60質量%がより好ましい。
【0025】
本明細書において、スチレン系ブロック共重合体中のスチレン骨格含有割合とは、スチレン系ブロック共重合体中のスチレンブロックの含有割合(質量%)をいう。スチレン系ブロック共重合体中のスチレン骨格含有割合の算出方法としては、例えば、JIS K6239に準じたプロトン核磁気共鳴法、赤外分光法等を用いる方法が挙げられる。
【0026】
本発明において、より良好な剥離強度を発現することができる点から、熱可塑性エラストマー(A)はスチレン系ブロック共重合体であり、且つ、スチレン系ブロック共重合体はスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)を含むことが好ましく、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)からなることがより好ましい。
【0027】
本発明において、スチレン系ブロック共重合体は、高温で長時間加熱(例えば、160℃で72時間加熱)した場合の加熱安定性をより向上させる点から、非対称スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体を含有しないことが好ましい。
【0028】
本発明において、スチレン系ブロック共重合体は、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)を含有し、且つ、非対称スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体を含有しないことがより好ましい。
【0029】
本明細書において、非対称スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の「非対称」とは、両末端のスチレン相においてスチレン骨格含有割合が異なることを意味する。
【0030】
スチレン系ブロック共重合体としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、旭化成社製の製品名「アサプレンT-439」(スチレン骨格含有割合:45質量%)、旭化成社製の製品名「アサプレンT-438」(スチレン骨格含有割合:35質量%)、旭化成社製の製品名「アサプレンT-436」(スチレン骨格含有割合:30質量%)、クレイトンポリマー社製の製品名「DX-405」(スチレン骨格含有割合:24質量%)、クレイトンポリマー社製の製品名「D-1155」(スチレン骨格含有割合:40質量%)、クレイトンポリマー社製の製品名「D-1118」(スチレン骨格含有割合:30質量%)、CHIMEI社製「PB5502」(スチレン骨格含有割合:32質量%)、日本ゼオン社製の製品名「クインタック3433N」(スチレン骨格含有割合:16質量%)等が挙げられる。これらの市販品はそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
本発明のホットメルト接着剤100質量%中の熱可塑性エラストマー(A)の含有割合は、より良好な剥離強度を発現することができる点から、好ましくは10~35質量%、より好ましくは15~30質量%、より一層好ましくは20~25質量%である。
【0032】
本発明のホットメルト接着剤100質量%中のスチレン系ブロック共重合体の含有割合は、より一層良好な剥離強度を発現することができる点から、好ましくは10~35質量%、より好ましくは15~30質量%、より一層好ましくは18~25質量%、更に好ましくは20~25質量%である。
【0033】
粘着付与剤(B)
本発明のホットメルト接着剤は、必須成分として粘着付与剤(B)を含有する。粘着付与剤(B)としては、本発明のホットメルト接着剤がセルロース系不織布、及び、接着強度が発現しにくい基材であるエアスルー不織布に対して優れた接着性を示し、且つ、接着性の経時的な低下を抑制することができれば特に限定されない。
【0034】
粘着付与剤(B)は、ロジン系粘着付与剤及びテルペン系粘着付与剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。粘着付与剤(B)が当該構成であることにより、ホットメルト接着剤のセルロース系不織布、及び、接着強度が発現しにくい基材であるエアスルー不織布に対する接着性がより向上し、且つ、接着性の経時的な低下がより抑制される。
【0035】
上記ロジン系粘着付与剤としては、より良好な粘着性(タック)を発揮できる点から、天然ロジン及び当該天然ロジンのエステル化物(ロジンエステル樹脂)の少なくとも一方を使用すること好ましく、ロジンエステル樹脂を使用することがより好ましい。
【0036】
上記天然ロジンとしては、例えば、トールロジン、ガムロジン、ウッドロジン等が挙げられる。これらの天然ロジンはそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
上記ロジンエステル樹脂としては、例えば、ロジングリセリンエステル、ロジンペンタエリスリトールエステル、ロジンメチルエステル、ロジンエチルエステル、ロジンブチルエステル、ロジンエチレングリコールエステル等が挙げられる。これらのロジンエステル樹脂はそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
上記ロジン系粘着付与剤としては、市販品を広く用いることができる。当該市販品としては、例えば、荒川化学工業社製の製品名「スーパーエステルA100」(酸価:5mgKOH/g)、荒川化学工業社製の製品名「パインクリスタルKE-100」(酸価:6mgKOH/g)、クレイトン社製の製品名「SYLVALITE 9100」(酸価:7mgKOH/g)、荒川化学工業社製の製品名「スーパーエステルA75」(酸価:5mgKOH/g)等が挙げられる。これらの市販品はそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
上記テルペン系粘着付与剤としては、テルペン樹脂(モノテルペン、ジテルペン、トリテルペン、ポリペルテン等)、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等が挙げられる。これらのテルペン系粘着付与剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
上記テルペン系粘着付与剤としては、市販品を広く用いることができる。当該市販品としては、例えば、ヤスハラケミカル社製の製品名「YSレジンTO-105」(酸価:0mgKOH/g)、クレイトン社製の製品名「SYLVARES TRM1115」(酸価:0mgKOH/g)等が挙げられる。
【0041】
本発明において、粘着付与剤(B)の酸価は、好ましくは15mgKOH/g以下、より好ましくは12mgKOH/g以下、更に好ましくは10mgKOH/g以下、特に好ましくは8mgKOH/g以下である。酸価の上限が上記範囲であると、粘着付与剤の酸化がより抑制され、ホットメルト接着剤の加熱安定性がより向上する。また、粘着付与剤(B)の酸価の下限は特に限定されず、0mgKOH/gであってもよい。
【0042】
なお、本明細書において、酸価とは、試料1gを中和するに要する水酸化カリウム(KOH)のmg数である。本明細書において、酸価は、JIS K 0070に準拠して測定される値を意味する。
【0043】
粘着付与剤(B)の環球式軟化点は、90℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。環球式軟化点の上限は、140℃であることが好ましい。粘着付与剤(B)の環球式軟化点が90℃以上であると、本発明のホットメルト接着剤がより良好な剥離強度を発揮し易くなる。
【0044】
本明細書において、粘着付与剤(B)の環球式軟化点は、JIS K 6863に準拠して測定される温度を意味する。
【0045】
本発明のホットメルト接着剤100質量%中の粘着付与剤(B)の含有割合は、剥離強度をより一層向上させる点から、好ましくは30~70質量%、より好ましくは30~65質量%、更に好ましくは35~60質量%、特に好ましくは40~55質量%である。
【0046】
本発明において、粘着付与剤(B)の含有量は、剥離強度をより一層向上させる点から、熱可塑性エラストマー(A)100質量部に対して、好ましくは150~350質量部、より好ましくは200~300質量部である。
【0047】
本発明において、環境への負荷をより低減できる点から、粘着付与剤(B)は、石油樹脂系の粘着付与剤及び/又は当該石油樹脂系の粘着付与剤の水素添加物を含有しないことが好ましい。
【0048】
当該石油樹脂系の粘着付与剤としては、例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の石油樹脂が挙げられる。また、当該石油樹脂系の粘着付与剤の水素添加物としては、これらの石油樹脂に水素を添加した部分水添石油樹脂、完全水添石油樹脂等が挙げられる。なお、C5系石油樹脂とは石油のC5留分を原料とした石油樹脂であり、C9系石油樹脂とは石油のC9留分を原料とした石油樹脂であり、C5C9系石油樹脂とは石油のC5留分とC9留分とを原料とした石油樹脂である。C5留分としては、シクロペンタジエン、イソプレン、ペンタン等が挙げられる。C9留分としては、スチレン、ビニルトルエン、インデン等が挙げられる。
【0049】
ワックス(C)
本発明のホットメルト接着剤は、必須成分としてワックス(C)を含有する。
【0050】
本発明のホットメルト接着剤に用いられるワックス(C)は、天然ワックスを含有する。ワックス(C)が天然ワックスを含有することにより、本発明のホットメルト接着剤がセルロース系不織布、及び、接着強度が発現しにくい基材であるエアスルー不織布に対して優れた接着性を示し、且つ、接着性の経時的な低下を抑制することができる。ワックス(C)は、天然ワックスのみからなることが好ましく、すなわち、他のワックスを含有しないことが好ましい。
【0051】
本明細書において「ワックス」とは、常温(23℃)で固体又は半固体であり、融点が40℃以上あり、加熱すると分解せずに溶解し、溶融粘度が低下する有機物である。また、本明細書において「半固体」とは、液体及び固体の両方の属性を持つ物質で、液体より固体に近い半流動体として定義され、粘性があり自由に変形することを特徴とする、いわゆるゲル状のものをいう。また、本明細書において「天然ワックス」とは、合成により得られる合成ワックスとは異なり、自然において得られるワックスである。このような天然ワックスとしては、動物ワックス、植物ワックス、昆虫ワックス、鉱物ワックス、石油ワックス等が挙げられる。これらの中でも、動物ワックス、植物ワックスをより好適に用いることができる。
【0052】
動物ワックスとしては、例えば、鯨ロウ、セラックロウ、ラノリンワックス等が挙げられる。
【0053】
植物ワックスとしては、例えば、ライスワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、シュガーワックス、木ロウ、ハゼロウ、ウルシロウ、サトウキビロウ、パームロウ等が挙げられる。
【0054】
昆虫ワックスとしては、たとえば、昆虫ロウ、蜜ロウ等が挙げられる。
【0055】
上記天然ワックスとしては、ポリエステル系ワックスを用いることが好ましい。ポリエステル系ワックスを用いることにより、本発明のホットメルト接着剤がセルロース系不織布、及び、接着強度が発現しにくい基材であるエアスルー不織布に対してより優れた接着性を示し、且つ、接着性の経時的な低下を抑制することができる。
【0056】
天然ワックスの融点は50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、75℃以上が更に好ましい。天然ワックスの融点の下限が上記範囲であることにより、本発明のホットメルト接着剤の耐熱性がより向上し、接着性の経時的な低下がより抑制される。また、天然ワックスの融点の上限は特に限定されず、120℃程度であればよい。融点は、ASTM D127 に準拠する方法で測定することができる。
【0057】
本発明のホットメルト接着剤中の天然ワックスの含有量は、ホットメルト接着剤を100質量%として、10質量%以下が好ましく、7.5質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下が更に好ましい。また、上記天然ワックスの含有量は、ホットメルト接着剤を100質量%として、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が更に好ましい。天然ワックスの含有量の上限が上記範囲であることにより、ホットメルト接着剤の初期剥離強度がより向上する。また、天然ワックスの含有量の下限が上記範囲であることにより、本発明のホットメルト接着剤がセルロース系不織布、及び、接着強度が発現しにくい基材であるエアスルー不織布に対してより優れた接着性を示し、且つ、接着性の経時的な低下をより抑制することができる。
【0058】
可塑剤(D)
本発明のホットメルト接着剤は、可塑剤(D)を含んでいてもよい。
【0059】
可塑剤(D)としては、例えば、ナフテン系プロセスオイル、パラフィン系プロセスオイル等が挙げられ、加熱安定性剥離強度をより向上させる点から、ナフテン系プロセスオイルが好ましい。これらの可塑剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
可塑剤(D)としては、公知の市販品を広く用いることができる。
【0061】
ナフテン系プロセスオイルの市販品としては、例えば、ペトロチャイナ社製の製品名「KN4010」、出光興産社製の製品名「ダイアナフレシアN28」、出光興産社製の製品名「ダイアナフレシアU46」、Nynas社製の製品名「Nyflex222B」等が挙げられる
【0062】
パラフィン系プロセスオイルの市販品としては、例えば出光興産社製の製品名「ダイアナプロセスオイルPW32」、製品名「ダイアナプロセスオイルPW90」、製品名「ダイアナプロセスオイルPS32」、製品名「ダイアナプロセスオイルPS90」;ウィトコ社製の製品名「Kaydol」等が挙げられる。
【0063】
本発明のホットメルト接着剤が可塑剤(D)を含む場合、ホットメルト接着剤100質量%中の可塑剤(D)の含有割合の上限値は、好ましくは40質量%、より好ましくは30質量%、より一層好ましくは25質量%である。また、本発明のホットメルト接着剤が可塑剤(D)を含む場合、ホットメルト接着剤100質量%中の可塑剤(D)の含有割合の下限値は好ましくは1質量%、より好ましくは5質量%である。
【0064】
酸化防止剤(E)
本発明のホットメルト接着剤は、酸化防止剤(E)を含んでいてもよい。
【0065】
酸化防止剤(E)としては、公知の酸化防止剤を広く使用でき、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,4-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルべンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-アミル-6-〔1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ぺンチルフェニル)]アクリレート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの酸化防止剤の中でも、加熱安定性をより向上させる点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
【0066】
酸化防止剤(E)としては、公知の市販品を広く用いることができる。フェノール系酸化防止剤の市販品としては、例えば、EVERSPRING CHEMICAL社製の製品名「Evernox 10」等が挙げられる。
【0067】
本発明のホットメルト接着剤が酸化防止剤(E)を含む場合、ホットメルト接着剤100質量%中の酸化防止剤(E)の含有割合の上限値は、好ましくは5質量%、より好ましくは4質量%、より一層好ましくは3質量%である。また、本発明のホットメルト接着剤が酸化防止剤(E)を含む場合、ホットメルト接着剤100質量%中の酸化防止剤(E)の含有割合の下限値は、好ましくは0.1質量%、より好ましくは0.5質量%、より一層好ましくは1質量%である。
【0068】
各種添加剤
本発明のホットメルト接着剤は、本発明の目的を本質的に妨げない範囲で、必要に応じて各種添加剤を含んでいてもよい。各種添加剤としては、紫外線吸収剤、液状ゴム、微粒子充填剤等が挙げられる。
【0069】
紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤を広く使用でき、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;サリチル酸エステル系紫外線吸収剤;シアノアクリレート系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
液状ゴムとしては、公知の液状ゴムを広く使用でき、例えば、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン及びこれらの水添樹脂が挙げられる。これらの液状ゴムは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
微粒子充填剤としては、公知の微粒子充填剤を広く使用でき、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、雲母、スチレンビーズ等が挙げられる。これらの微粒子充填剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0072】
本発明が上記各種添加剤を含む場合、ホットメルト接着剤100質量%中の上記各種添加剤の含有割合は、好ましくは5質量%以下である。
【0073】
2.ホットメルト接着剤の製造方法
ホットメルト接着剤の製造方法としては、特に限定されず、例えば、上記熱可塑性エラストマー(A)、上記粘着付与剤(B)、上記ワックス(C)、必要に応じて添加される上記可塑剤(D)、上記酸化防止剤(E)及び上記各種添加剤を、加熱装置を備えた撹拌混練機中に投入し、加熱しながら混練する方法等が挙げられる。
【0074】
混練の際の加熱温度は特に限定されず、好ましくは100~200℃、より好ましくは120~180℃である。混練時間は特に限定されず、好ましくは40~140分、より好ましくは60~120分である。
【0075】
3.ホットメルト接着剤の塗工方法及び用途
【0076】
本発明のホットメルト接着剤を塗工する塗工方法としては、公知の塗工方法を広く使用でき、例えば、スパイラルスプレー塗工、スロットコーター塗工、カーテンスプレー塗工、ロールコーター塗工、オメガ塗工、ドット塗工、ビード塗工等が挙げられる。
【0077】
本発明のホットメルト接着剤を接着部分に塗工する際の塗工装置としては、公知の塗工装置を広く使用でき、例えば、ホットメルトアプリケーター等が挙げられる。ホットメルトアプリケーターとしては、例えば、サンツール社製の製品名「REKA ハンドガン TR80LCD(スプレー)」等が挙げられる。
【0078】
本発明のホットメルト接着剤は、加熱及び溶融され、被着体の接着部分に塗工され、塗工された溶融状態のままで他の被着体に接触され、その後冷却及び固化されて、被着体を接合する。本発明のホットメルト接着剤により接着される被着体としては、セルロース系不織布、エアスルー不織布等が挙げられる。すなわち、本発明のホットメルト接着剤は、セルロース系不織布用ホットメルト接着剤、又は、エアスルー不織布用ホットメルト接着剤であることが好ましい。これらの中でも、セルロース系不織布用ホットメルト接着剤であることがより好ましい。
【0079】
セルロース系不織布としては、セルロースを含むセルロース系繊維を用いて形成された不織布であれば特に限定されず、コットン不織布、レーヨン不織布、リヨセル不織布等が挙げられる。
【0080】
上記セルロース系不織布は、スパンレース法、湿式法、サーマルボンド法、スパンボンド法等の製造方法により製造することができる。また、セルロースを含むセルロース系繊維のみからなる不織布に限定されず、例えば不織布の要求物性により、セルロース系繊維以外の種類、繊維長、繊維径等が相違する、その他の繊維を含んでいてもよい。上記セルロース系不織布は、少なくとも5質量%以上のセルロース系繊維を含むことが好ましく、より好ましくは20質量%以上、より一層好ましくは50質量%以上である。
【0081】
セルロース系不織布としては、市販品を用いることができる。このような市販品としては、例えば、ユニチカ社製「コットンエース」、コットン及び合成繊維からなる「エスコット」、大和紡績社製「アピタスC」等のコットン不織布;大和紡績社製「アピタスB」、ダイワボウレーヨン社製「エコ リぺラス」、「ソフレイ」等のレーヨン不織布;ユニチカ社製「ルベナ」、Lenzing社製「VEOCEL」等のリヨセル不織布が挙げられる。
【0082】
エアスルー不織布としては、繊維種は限定されない。例えば、繊維としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等を用いることができる。また単一の繊維種に限定されず、2種以上の複数の繊維種で構成されていてもよい。また、単一の組成で構成された繊維に限定されず、2種以上の複数種の組成を含む芯鞘構造繊維等も用いることができる。
【0083】
エアスルー不織布としては、市販品を用いることができる。このような市販品としては、例えば、JNC社製「エスソフト」、大和紡績社製「NBF」が挙げられる。
【0084】
セルロース系不織布、及び、エアスルー不織布の表面(ホットメルト接着剤により接着される面)のSMDは、7.0以下が好ましく、6.0以下がより好ましく、5.0以下がより好ましい。また、SMDの下限は特に限定されず、小さい程好ましく、0、0.1、0.5等であってもよい。SMDの範囲が上記範囲であることにより、本発明のホットメルト接着剤がセルロース系不織布、及び、エアスルー不織布に対して、より優れた接着性を示し、且つ、接着性の経時的な低下をより抑制することができる。
【0085】
本発明のホットメルト接着剤を用いて積層体を製造する方法としては、セルロース系不織布及びエアスルー不織布を、ホットメルト接着剤を介して接着させる工程を有する製造方法が挙げられる。上記工程の前後において、不織布、又は、不織布とホットメルト接着剤とを含む積層体に対して、エンボス加工、穴あき加工等の加工処理を施してもよい。当該加工処理により、セルロース系不織布、又は、エアスルー不織布の表面のSMDを上記範囲に調整することができる。
【0086】
本明細書において、上記SMDの測定は、実施例に記載の方法による。
【0087】
本発明のホットメルト接着剤は、セルロース系不織布、及び、エアスルー不織布に対して優れた接着性を発揮することができることから、吸収性物品の製造において被着体同士を接着させるために好適に用いられる。すなわち、本発明のホットメルト接着剤は、吸収性物品用であることが好ましい。
【0088】
吸収性物品は、血液、尿、汗、膿、胃液、唾液、鼻分泌粘液等の体液を吸収することを目的としたものである。吸収性物品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、失禁用パッド、携帯用トイレ、携帯用汚物処理袋、動物用屎尿処理シート、病院用ガウン、手術用白衣、創傷被覆材、救急絆創膏、肉や魚等の鮮度保持材等が挙げられる。これらの中でも、本発明のホットメルト接着剤は紙おむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー等に好適に用いられる。
【0089】
紙おむつは、ポリオレフィン系樹脂フィルム等からなる液不透過性バックシートと、不織布等からなる液透過性トップシートと、これらの間に配置された吸収体とから基本的に構成されている。吸収体が尿等を吸収した後にベタツキが発生することを抑制するために、吸収体はその表面をティッシュ等の吸水紙で覆われた状態で使用される。また、吸収性物品では、ゴム等の弾性部材が伸縮自在に取り付けられることによって、着用者の脚周りや腰周りにフィットさせて排泄物が漏れ出すことを防止する構造が採用されている。
【0090】
本発明のホットメルト接着剤によって被着体同士を接着により一体化する方法としては、特に制限されず公知の方法を用いることができる。例えば、加熱溶融させた本発明のホットメルト接着剤を、一方の被着体に塗工した後に、塗工したホットメルト接着剤に他方の被着体を重ね合わせた後、これらを圧着する方法などが用いられる。
【実施例0091】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0092】
実施例及び比較例で使用した原料は以下のとおりである。
【0093】
<熱可塑性エラストマー(A)>
・スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS):旭化成社製 製品名「アサプレンT-439」
・スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS):旭化成社製 製品名「アサプレンT-438」
・スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS):クレイトンポリマー社製 製品名「KratonD-1118」
・スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS):日本ゼオン社製 製品名「クインタック3433N」
【0094】
<粘着付与剤(B)>
・部分水添粘着付与剤:ENEOS社製 製品名「HB-103」(酸価:0mgKOH/g)
・完全水添粘着付与剤:ENEOS社製 製品名「HA-103」(酸価:0mgKOH/g)
・エンドブロック型粘着付与剤:三井化学社製 製品名「FTR-2120」(酸価:0mgKOH/g)
・ロジンエステル粘着付与剤:GUANGDONG KOMO社製 製品名「komotac KS2100」(酸価:0mgKOH/g)
・ポリテルペン粘着付与剤:クレイトン社製 製品名「Sylvares TRM1115」(酸価:0mgKOH/g)
【0095】
<ワックス(C)>
・天然ワックス:日本精蝋社製 製品名「XECO-0002B」(ライスワックス)(融点83℃)
・天然ワックス:日本ワックス社製 製品名「精製カルナバワックス2号」(カルナバワックス)(融点84℃)
・酸変性ワックス:日本精蝋社製 製品名「MAW-0300」(軟化点75℃)
・パラフィンワックス:日本精蝋社製 製品名「パラフィン115」(融点48℃)
・パラフィンワックス:日本精蝋社製 製品名「パラフィン150」(融点66℃)
・パラフィンワックス:シェル社製 製品名 「SX105」(融点102℃)
・パラフィンワックス:日本精蝋社製 製品名「HNP-9」(融点75℃)
【0096】
<可塑剤(D)>
・ナフテン系プロセスオイル:NYNAS社製 製品名「Nyflex222B」
・パラフィン系プロセスオイル:出光興産社製 製品名「ダイアナプロセスオイルPS32」
【0097】
<酸化防止剤(E)>
・フェノール系酸化防止剤:EVERSPRING CHEMICAL社製の製品名「Evernox 10」
【0098】
(実施例及び比較例)
上述した原料を、それぞれ表1及び表2に示した配合量で、加熱装置を備えた撹拌混練機中に投入した後、145℃で90分間に亘って加熱しながら混練し、固体になるまで冷却してホットメルト接着剤を製造した。なお、表1中の各原料の数値は、いずれも「質量部」を意味する。
【0099】
実施例及び比較例で得られた各ホットメルト接着剤について、以下の測定条件により特性を評価した。
【0100】
剥離強度測定試験
(サンプル片Aの調製)
ホットメルト接着剤を140℃で加熱し溶融させた後、厚み50μmのシリコン加工されたポリエチレンテレフタレートフィルム(離型フィルム)上にスロット塗工で、ホットメルト接着剤を厚さ10μm、塗布幅90mmの条件で塗布した。次いで、離型フィルムと離型紙とで、ホットメルト接着剤を挟み込むようにして、厚みが15μmの離型紙を貼り合わせ、積層体を作製した。得られた積層体を23℃、相対湿度50%雰囲気下にて24時間放置し、ホットメルト接着剤を冷却固化させた。次いで、積層体をスロット塗工の流れ方向に40mm、幅方向に25mmの長さに切断し、サンプル片Aを調製した。
【0101】
(不織布サンプル片Bの調製)
不織布をMD方向に70mm、CD方向に50mmの大きさに切断し、不織布サンプル片Bを調製した。不織布サンプル片Bは2つ調製し、それぞれの不織布サンプル片Bの表面のSMDを後述する測定方法により測定した。
【0102】
なお、不織布サンプル片Bを調製するための不織布は、以下のものを用いた。
・コットン不織布α:SMD:1.623
繊維:セルロース
目付:30g/m2
・エアスルー不織布:SMD:2.676
繊維:ポリエチレン及びポリプロレン(芯鞘構造:鞘 ポリエチレン、芯 ポリプロピレン)
目付:20g/m2
・コットン不織布β:SMD:3.179
繊維:セルロース
目付:35g/m2
【0103】
(剥離強度試験片の調製)
サンプル片Aの離型紙を剥がして、
図1(a)のようにして、不織布サンプル片BのSMDを測定した面に貼り合わせた。次いで、
図1(a)で示した、張り合わせた状態のサンプル片A及び不織布サンプル片Bを、500gのロールで5mm/secの速度で1往復させた。次いで、
図1(b)のようにして、サンプル片Aの離型フィルムを剥がして、もう一つの不織布サンプル片BのSMDを測定した面に貼り合わせて、不織布サンプル片Bでサンプル片Aを挟持して、積層体を調製した。積層体を100gのロールで5mm/secの速度で1往復することにより、
図1(c)に示す剥離強度試験片を調製した。なお、
図1(c)において、pで示される剥離強度試験片の持ち手の長さは30mmであり、qで示される測定領域の長さは40mmであった。
【0104】
(剥離強度測定方法)
引張試験機(島津製作所社製、製品名「AGS-X」)を用いて、剥離強度試験片の持ち手を把持し、不織布のMD方向に、持ち手方向から測定領域方向に向かって)引張速度100mm/分の条件でT型剥離試験を行い、凸最大試験力を測定した。3回測定を行い、その平均を剥離強度とした。測定は、初期剥離強度及び1週間後の剥離強度(1W剥離強度)を測定した。
【0105】
・初期剥離強度:剥離強度試験片を温度23℃、湿度50%環境下で24時間放置した後に測定した結果を「初期剥離強度」とした。
・1週間後の剥離強度(1W剥離強度):剥離強度試験片を温度50℃、湿度50%環境下で1週間放置した後測定した結果を1週間後の剥離強度(1W剥離強度)とした。
【0106】
SMD測定方法
上述の不織布サンプル片Bを調製するための不織布のSMDを、自動化表面試験機(カトーテック社製 型番:KES-FB4-A)を用いて、下記の手順により測定した。すなわち、不織布サンプル片Bを、20cm×20cmの大きさに切断した。次いで、不織布サンプル片BのMD方向と、上記自動化表面試験機のセンサーの移動方向を同じになるように不織布サンプル片Bをセットし、不織布サンプル片BのMD方向に100gの文鎮により張力を与え、以下の測定条件によりSMDを測定した。測定は、不織布サンプル片Bの12か所を測定し、その平均値をSMDの測定値とした。
[試験条件]
・速度:1.0mm/sec
・粗さ静荷重:10.0gf
・張力:100gの文鎮を自動化表面試験機にセットすることにより付与
・厚み変化のセンサー:0.5mmの粗さセンサー
・環境温度:23℃
・環境湿度:50%
【0107】
結果を表1及び表2に示す。
【0108】
【0109】
前記スチレン系ブロック共重合体は、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、及び、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5に記載のホットメルト接着剤。
前記スチレン系ブロック共重合体は、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、及び、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4に記載のホットメルト接着剤。
前記スチレン系ブロック共重合体は、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、及び、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項3に記載のホットメルト接着剤。
前記スチレン系ブロック共重合体は、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、及び、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項3に記載のホットメルト接着剤。