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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123477
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ローダ装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/04 20060101AFI20240905BHJP
   B23Q 7/10 20060101ALI20240905BHJP
   B23Q 7/00 20060101ALI20240905BHJP
   B23B 15/00 20060101ALI20240905BHJP
   B23B 25/06 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B23Q7/04 Z
B23Q7/10
B23Q7/00 M
B23B15/00 A
B23B25/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030926
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】畑 秀文
(72)【発明者】
【氏名】三浦 幸生
【テーマコード(参考)】
3C033
3C045
【Fターム(参考)】
3C033HH30
3C033MM10
3C045FA03
3C045FB01
3C045HA05
(57)【要約】
【課題】確実なワークの載置が可能なローダ装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】ワーク(W,WA,WB)を保持して搬送する搬送部(13)を備えるローダ装置(3,3A,3B)であって、搬送部(13)によりワーク(W,WA,WB)を搬送して予め定めた所定位置に、予め定めた所定姿勢で載置する第1動作と、第1動作によって載置されたワーク(W,WA,WB)の、所定位置に対する位置ずれ、及び所定姿勢に対する姿勢ずれのいずれか一方又は双方を搬送部(13)の一部を用いて調整する第2動作と、を実行させる制御部(30,30A,30B)を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持して搬送する搬送部を備えるローダ装置であって、
前記搬送部により前記ワークを搬送して予め定めた所定位置に、予め定めた所定姿勢で載置する第1動作と、
前記第1動作によって載置された前記ワークの、前記所定位置に対する位置ずれ、及び所定姿勢に対する姿勢ずれのいずれか一方又は双方を前記搬送部の一部を用いて調整する第2動作と、
を実行させる制御部を備える、ローダ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2動作として、前記第1動作によって載置された前記ワークを前記所定位置に移動させる、
請求項1に記載のローダ装置。
【請求項3】
前記第1動作後の前記ワークが前記所定位置にあるかを検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて前記ワークが前記所定位置にないと判定した場合に前記第2動作を実行させる、
請求項2に記載のローダ装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2動作として、前記第1動作によって載置された前記ワークを前記所定姿勢になるように前記ワークを動かす、
請求項1に記載のローダ装置。
【請求項5】
前記第1動作後の前記ワークが前記所定姿勢であるかを検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて前記ワークが前記所定姿勢ではないと判定した場合に前記第2動作を実行させる、
請求項2に記載のローダ装置。
【請求項6】
前記搬送部は、前記ワークを保持するローダチャックを備え、
前記制御部は、前記第2動作として、前記ローダチャックで前記ワークを押すように制御する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のローダ装置。
【請求項7】
前記ワークは、棒状であり、
前記第1動作では、前記所定位置に設けられている貫通孔に前記ワークを差し込むことで前記ワークを立てて載置する、
請求項1に記載のローダ装置。
【請求項8】
ワークを保持して搬送する搬送部を備えるローダ装置の制御方法であって、
前記搬送部により前記ワークを搬送して予め定めた所定位置に、予め定めた所定姿勢で載置することと、
載置された前記ワークの、前記所定位置に対する位置ずれ、及び所定姿勢に対する姿勢ずれのいずれか一方又は双方を前記搬送部の一部を用いて調整することと、
を含む、制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローダ装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークをローダチャックで保持して載置部に自動搬送するローダ装置が知られている(特許文献1参照)。このローダ装置は、ローダチャックで保持したワークを載置部の予め定めた所定位置に予め定めた所定姿勢で載置する。また、ローダ装置は、載置部に載置されたワークを工作機械などに搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-79501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ローダ装置によって載置部に載置されたワークの位置が所定位置からずれていたり、載置部に載置されたワークの姿勢が所定姿勢からずれていたりしてしまう場合が起こり得る。この場合には、ローダ装置による自動搬送が一時的に停止してしまったり、載置部からのワークの取り出しに失敗してしまったりするため、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、確実にワークを載置することができるローダ装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るローダ装置は、ワークを保持して搬送する搬送部を備えるローダ装置であって、搬送部によりワークを搬送して予め定めた所定位置に、予め定めた所定姿勢で載置する第1動作と、第1動作によって載置されたワークの、所定位置に対する位置ずれ、及び所定姿勢に対する姿勢ずれのいずれか一方又は双方を搬送部の一部を用いて調整する第2動作と、を実行させる制御部を備える。
【0007】
本発明の態様に係る制御方法は、ワークを保持して搬送する搬送部を備えるローダ装置の制御方法であって、搬送部によりワークを搬送して予め定めた所定位置に、予め定めた所定姿勢で載置することと、載置されたワークの、所定位置に対する位置ずれ、及び所定姿勢に対する姿勢ずれのいずれか一方又は双方を搬送部の一部を用いて調整することと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記態様に係るローダ装置及び制御方法によれば、搬送部によりワークを搬送して予め定めた所定位置に、予め定めた所定姿勢で載置する第1動作と、第1動作によって載置されたワークの位置ずれ、及び姿勢ずれのいずれか一方又は双方を搬送部の一部を用いて調整する第2動作とを実行させるため、所定位置において、確実にワークを載置することができる。
【0009】
また、上記態様のローダ装置において、制御部は、第2動作として、第1動作によって載置されたワークを所定位置に移動させてもよい。このような構成によれば、ローダ装置は、所定位置に対する位置ずれを調整することができる。
【0010】
また、上記態様のローダ装置において、第1動作後のワークが所定位置にあるかを検知する検知部を備え、制御部は、検知部の検知結果に基づいてワークが所定位置にないと判定した場合に第2動作を実行させてもよい。このような構成によれば、効率よくワークの位置ずれを調整することができる。
【0011】
また、上記態様のローダ装置において、制御部は、第2動作として、第1動作によって載置されたワークを所定姿勢になるようにワークを動かしてもよい。このような構成によれば、ローダ装置は、所定姿勢に対する姿勢ずれを調整することができる。
【0012】
また、上記態様のローダ装置において、第1動作後のワークが所定姿勢であるかを検知する検知部を備え、制御部は、検知部の検知結果に基づいてワークが所定姿勢ではないと判定した場合に第2動作を実行させてもよい。このような構成によれば、効率よくワークの姿勢ずれを調整することができる。
【0013】
また、上記態様のローダ装置において、搬送部は、ワークを保持するローダチャックを備え、制御部は、第2動作として、ローダチャックでワークを押すように制御してもよい。また、上記態様のローダ装置において、ワークは、棒状であり、第1動作では、所定位置に設けられている貫通孔にワークを差し込むことでワークを立てて載置してもよい。このような構成によれば、棒状のワークの位置又は姿勢を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る搬送システムの一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係るワーク収容部の一例を示す図である。
図3】第1実施形態に係るローダ装置の動作のフローチャートである。
図4】第1実施形態に係るロ-ダ装置の第2動作を説明する図である。
図5】第1実施形態に係るロ-ダ装置の第2動作を説明する図である。
図6】第1実施形態に係るロ-ダ装置の第2動作を説明する図である。
図7】第1実施形態に係るロ-ダ装置の第2動作を説明する図である。
図8】第2実施形態に係る搬送システムの一例を示す図である。
図9】第2実施形態に係るローダ装置の動作のフローチャートである。
図10】第2実施形態に係るロ-ダ装置の第2動作を説明する図である。
図11】第2実施形態に係るロ-ダ装置の第2動作を説明する図である。
図12】第2実施形態に係るロ-ダ装置の第2動作を説明する図である。
図13】第2実施形態に係るロ-ダ装置の第2動作を説明する図である。
図14】第2実施形態に係るロ-ダ装置の第2動作を説明する図である。
図15】第3実施形態に係る搬送システムの一例を示す図である。
図16】第3実施形態に係るロ-ダ装置の動作のフローチャートである。
図17】第3実施形態に係るロ-ダ装置の第2動作を説明する図である。
図18】第3実施形態に係るロ-ダ装置の第2動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定されない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されるなど、実際の製品とは、形状、寸法が異なる場合がある。
【0016】
図面において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する場合がある。XYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面における一方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向とは反対の方向が-方向であるとして説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る搬送システムSYSの一例を示す図である。搬送システムSYSは、工作機械1と、ワーク収容部2と、ローダ装置3とを備える。
【0018】
工作機械1は、ワークWを加工する。ワークWは、例えば、丸棒状のワーク(以下、「シャフトワーク」という。)である。シャフトワークは、軸線方向の寸法が径方向の寸法よりも長いワークである。ただし、ワークWの形状は、特に限定されず、丸棒状以外の形状であってもよい。工作機械1は、ワークWを加工するものであれば特に限定されないが、例えば旋盤である。
【0019】
ワーク収容部2は、ワークWを収容する。ワーク収容部2が収容するワークWは、工作機械1で加工された後のワークWであってもよいし、工作機械1で加工される前のワークWであってもよい。ワーク収容部2の一例としては、例えば、ワークフィーダ(パーツフィーダともいう)である。
【0020】
ワーク収容部2は、複数のワークWのそれぞれを予め定めた所定姿勢で収容する。本実施形態の一例では、ワーク収容部2は、複数のワークWのそれぞれを縦置きで収容する。一例として、所定姿勢は、ワークWが斜めに傾いておらず、ワークWの軸方向(長手方向)が鉛直方向に沿って配置されている状態である。ただし、ワーク収容部2に収容されるワークWは、縦置きに限定されず、例えば、横向きの姿勢でワークWを収容してもよい。
【0021】
図2は、ワーク収容部2の一例を示す図である。図2に例示するように、ワーク収容部2は、例えば、回転軸4と、支持部5とを備える。支持部5は、上方支持部6と、第1下方支持部7と、第2下方支持部8とを備える。
【0022】
回転軸4は、鉛直方向を回転軸として回転可能に設けられている。回転軸4の上方には、上方支持部6が固定されている。また、回転軸4の下方には、第1下方支持部7と、第2下方支持部8とが固定されている。例えば、回転軸4が電動モータによって回転駆動され、回転軸4の回転に伴って、上方支持部6、第1下方支持部7及び第2下方支持部8が水平方向に回転する。
【0023】
上方支持部6は、複数のワークWのそれぞれの上方を支持する。上方支持部6は、例えば、円盤状の板材である。上方支持部6の外周面には、U字型の切欠部6aが複数形成されている。切欠部6aは、上方支持部6の周方向に等間隔で形成されている。切欠部6aは、ワーク収容部2に対して、ワークWを収容可能な数の分だけ形成されている。1つの切欠部6aに1つのワークWの上方が嵌め込まれることで、ワークWの上方が切欠部6aによって支持される。
【0024】
第1下方支持部7及び第2下方支持部8は、複数のワークWのそれぞれの下方を支持する。第1下方支持部7及び第2下方支持部8のぞれぞれは、例えば、円盤状の板材である。第1下方支持部7は、回転軸4において、第2下方支持部8よりも上方に固定されている。第1下方支持部7は、ワークWを挿入可能な複数の貫通孔7aが周方向に等間隔で形成されている。また、第2下方支持部8は、ワークWを挿入可能な複数の貫通孔8aが周方向に等間隔で形成されている。
【0025】
図2に例示するワークWは、貫通孔7aよりも軸径が大きい領域100を有する。一例として、ワークWの一端と他端側とで軸径が異なる。例えば、ワークWの軸方向(長手方向)において、ワークWの一端から所定位置までが第1軸径であり、当該所定位置からワークWの他端までが第1軸径よりも大きい第2軸径である。領域100は、軸径が第1軸径と第2軸径との境目の部分又は第2軸径の部分である。この第1軸径は、貫通孔7aの直径よりも小さい。また、第2軸径は、貫通孔7aの直径よりも大きい。そのため、第1下方支持部7の貫通孔7aにワークWをワークWの一端側から挿入すると、領域100が第1下方支持部7の貫通孔7aに引っ掛かることで保持される。すなわち、領域100は、ワークWを貫通孔7aに保持する部位として機能する。
【0026】
Z軸方向から見た場合に、切欠部6a、貫通孔7a、及び貫通孔8aとは重なる位置関係にある。そのため、ワークWの上方(他端側)が切欠部6aに嵌合され、且つ、ワークWの下方(一端側)が貫通孔7a及び貫通孔8aの双方に挿入した状態となる場合に、ワークWは、所定の位置に予め定めた所定姿勢で収容される。
【0027】
ローダ装置3は、ワーク収容部2に対してワークWを搬送したり、ワーク収容部2に収容してあるワークWを工作機械1に対して搬送したりする。ローダ装置3は、例えば、ローダ本体部10と、検知部20と、制御部30とを備える。
【0028】
ローダ本体部10は、例えば、ガイド11と、駆動部12と、搬送部13とを備える。ガイド11は、ワークWの搬送先に対応して配置される。ガイド11は、例えば、Xガイド11a、Yガイド11b及びZガイド11cを有する。Xガイド11aは、X方向に沿って配置されるレールであり、搬送部13をX方向に案内する。Zガイド11cは、Z方向に沿って配置され、搬送部13をZ方向に案内する。Yガイド11bは、Y方向に沿って配置され、搬送部13をY方向に案内する。
【0029】
駆動部12は、X軸駆動部12aと、Y軸駆動部12bと、Z軸駆動部12cとを備える。X軸駆動部12aは、Xガイド11aに沿って搬送部13を移動させるための駆動原である。Y軸駆動部12bは、Yガイド11bに沿って搬送部13を移動させるための駆動原である。Z軸駆動部12cは、Zガイド11cに沿って搬送部13を移動させるための駆動原である。駆動部12は、例えば、各軸に対応した電動モータを備える。駆動部12は、制御部30によって制御される。
【0030】
搬送部13は、X移動部13aと、Y移動部13bと、Z移動部13cと、ワーク保持部14とを備える。X移動部13aは、X軸駆動部12aの駆動により、Xガイド11aに沿ってX方向に移動可能である。Y移動部13bは、Y軸駆動部12bの駆動により、Yガイド11bに沿ってY方向に移動可能である。Z移動部13cは、Z軸駆動部12cの駆動により、Zガイド11cに沿ってY方向に移動可能である。Z移動部13cは、例えば、鉛直方向に延びた昇降ロッドである。
【0031】
ワーク保持部14は、ワークWを保持する。ワーク保持部14は、Z移動部13cに設けられている。ワーク保持部14は、ローダチャック15を備える。ローダチャック15は、X移動部13a、Y移動部13b及びZ移動部13cの移動に伴って移動し、ワークWを搬送する。
【0032】
ローダチャック15は、ワークWを把持する2つの把握爪16を有している。把握爪16は、制御部30の指令により、開状態又は閉状態に制御される。ローダチャック15は、把握爪16が閉状態となることでワークWを把持し、把握爪16が開状態になることでワークWの把持を解放する。ローダチャック15により保持したワークWは、X移動部13a、Y移動部13b及びZ移動部13cがそれぞれ移動することにより、X方向、Y方向、Z方向、又はこれらの方向を2つ以上合成した方向(XY方向、YZ方向、XZ方向、XYZ方向)に搬送される。
【0033】
検知部20は、例えば、ワーク収容部2に設けられている。検知部20は、ワーク収容部2に載置されたワークWが所定姿勢であるかを検知する。検知部20は、制御部30に有線又は無線で接続されており、検知結果を制御部30に出力する。一例として、ワークWが所定位置に予め定めた所定姿勢で収容されていれば、検知部20は、第1信号を制御部30に出力する。一方、ワークWが予め定めた所定姿勢で収容されていなければ、検知部20は、第1信号とは異なる第2信号を制御部30に出力する。
【0034】
例えば、検知部20は、貫通孔8aにワークWが挿入されているかを検出する。ローダ装置3によってワークWがワーク収容部2に搬送された場合に、貫通孔8aにワークWが挿入されていれば、そのワークWは、傾いておらず縦置きの状態で収納されている。一方、ローダ装置3によってワークWがワーク収容部2に搬送されたにもかかわらず、貫通孔8aに挿入されたワークWが検知部20によって検知されていない場合には、ワークWは、傾いた状態でワーク収容部2に載置されている。検知部20は、貫通孔8aに挿入されたワークWを検知した場合には第1信号を制御部30に出力し、貫通孔8aに挿入されたワークWを検知していない場合には第2信号を制御部30に出力する。
【0035】
制御部30は、自装置内に記憶されているプログラム等を読み出してローダチャック15の動作及び駆動部12の駆動を制御することで、搬送部13によるワークWの搬送を制御する。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)の少なくとも1つ以上のプロセッサを含む。
【0036】
制御部30は、搬送部13によりワークWを搬送させ、予め定めた所定位置に、予め定めた所定姿勢でワークWを載置する第1動作を実行させる。第1実施形態に係る第1動作とは、ワーク収容部2に対して、ワークWを立てて載置するための動作である。制御部30は、第1動作の後に、第2動作を実行させることが可能である。第2動作は、第1動作によって載置されたワークWの位置ずれ及び姿勢ずれのいずれか一方又は双方を、搬送部13の一部を用いて調整する動作である。ワークWの位置ずれとは、予め定めた所定位置に対するワークWの位置のずれである。ワークWの姿勢ずれとは、予め定めた所定姿勢に対するワークWの姿勢のずれである。搬送部13の一部とは、例えば、ローダチャック15である。
【0037】
第1実施形態に係る第2動作は、例えば、第1動作によるワーク収容部2へのワークWの載置が失敗した場合に実行される。ワークWの載置の失敗とは、例えば、図2に例示するように、第1動作によって所定位置に載置したワークWが所定姿勢ではなく斜めに傾いている場合である。ワークWの載置が失敗した場合には、検知部20から制御部30に第1信号が出力されずに第2信号が出力される。そのため、制御部30は、第1動作を実行させた後の所定期間内において、第1信号を受信せずに第2信号を受信している場合には、ワークWが所定姿勢ではないと判定して第2動作を実行する。一例として、制御部30は、第2動作として、ローダチャック15の把握爪16でワークWを押すように搬送部13を制御することでワークWの姿勢を所定姿勢にする。これにより、傾いてしまったワークWが所定姿勢(例えば、支持部5に対して垂直した状態)に矯正される。
【0038】
以下に、第1実施形態に係るローダ装置3の動作の流れについて説明する。図3は、ローダ装置3の動作のフローチャートである。制御部30は、ワーク収容部2に対してワークWを載置する第1動作を実行させる(ステップS101)。制御部30は、第1動作によって載置されたワークWが傾いているかを判定する(ステップS102)。具体的には、制御部30は、ステップS102において、第1動作を実行させてから所定時間が経過するまでの間において、検知部20から第2信号を受信したか否かを判定する。図4は、ワークWの載置が失敗した様子を示す図である。第1動作が行われた場合においてワークWの載置が失敗した場合には、図4に示すように、ワークWが+X方向に傾く。ワークWが傾いている場合には、ワークWの上方が切欠部6aから外れており、ワークWの下方が貫通孔8aに挿入されていない状態となる。そのため、ワークWが傾いている場合には、検知部20は、第2信号を制御部30に出力する。
【0039】
制御部30は、ステップS102において、第1信号ではなく第2信号を受信した場合には、ワークWが傾いていると判定する。制御部30は、ワークWが傾いていると判定した場合には、ローダチャック15がワークWを把持していない状態で、把握爪16を閉状態にする(ステップS103)。そして、制御部30は、駆動部12を制御して、閉状態である把握爪16の先端でワークWの上部を切欠部6aに押し込む(ステップS104)。具体例として、制御部30は、図5に例示するように、把握爪16を閉状態にする。そして、図6に例示するように、制御部30は、把握爪16を-X方向に移動させてワークWに接触させ、そのままワークWを-X方向に押し込む。これにより、ワークWの上部が切欠部6aに保持され、ワークWの下部が貫通孔7a及び貫通孔8aの双方に挿入した状態となる。これにより、ワークWは、図7に例示するように、支持部5に対して垂直になり、所定の位置に予め定めた所定姿勢でワーク収容部2に載置される。
【0040】
一方、ステップS102において、制御部30は、第1信号を受信した場合には、ワークWが傾いていないと判定する。制御部30は、ワークWが傾いていないと判定した場合には、第2動作を実行せずに他のワークWの搬送を行う。
【0041】
以上、第1実施形態に係るローダ装置3は、第2動作として、第1動作によって載置された棒状のワークWを所定姿勢になるようにワークWを動かす。このような構成によれば、ワーク収容部2へのワークWの載置を確実に行うことができる。
【0042】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係る搬送システムSYSAの一例を示す図である。搬送システムSYSAは、工作機械1と、仮置台40と、ローダ装置3Aとを備える。
【0043】
仮置台40には、ローダ装置3AによってワークWAが載置される。第2実施形態に係るワークWAは、例えば、鍵穴状の形状を有する。例えば、ローダ装置3AがパーツフィーダからワークWAを取り出した際には、ローダ装置3Aは、傾いた状態でワークWAを把握してしまう場合がある。そこで、ローダ装置3Aは、パーツフィーダから取ったワークWAを一度仮置台40に載置してワークWの姿勢を整える。仮置台40には、ワークWAを載置してワークWの姿勢を整えるための凹部41を有する。
【0044】
ローダ装置3Aは、仮置台40に対してワークWを搬送したり、仮置台40に載置されているワークWを把持して工作機械1に対して搬送したりする。ローダ装置3Aは、例えば、ローダ本体部10と、制御部30Aとを備える。
【0045】
制御部30Aは、自装置内に記憶されているプログラム等を読み出してローダチャック15の動作及び駆動部12の駆動を制御することで、搬送部13によるワークWの搬送を制御する。制御部30Aは、CPU、MPU及びGPUの少なくとも1つ以上のプロセッサを含む。
【0046】
制御部30Aは、搬送部13によりワークWAを搬送して予め定めた所定位置に、すなわち仮置台40の凹部41に載置する第1動作を実行させる。また、制御部30Aは、第1動作の後に、凹部41に載置されたワークWAの姿勢を搬送部13の一部で調整する第2動作を行う。第2実施形態に係る第2動作は、例えば、第1動作による仮置台40へのワークWの載置が行われた後に実行される。制御部30Aは、例えば、第2動作として、ローダチャック15の把握爪16でワークWAを下方に押すように搬送部13を制御することで、凹部41に載置されたワークWAの姿勢を所定姿勢にする。第2実施形態に係る所定姿勢は、例えば、横向きの姿勢である。
【0047】
以下に、第2実施形態に係るローダ装置3Aの動作の流れについて説明する。図9は、ローダ装置3Aの動作のフローチャートである。制御部30Aによる制御により、ローダチャック15は、把握爪16でパーツフィーダ(図示せず)のワークWAを保持して取り出す(S201)。制御部30Aは、図10に例示するように、把握爪16でワークWAを保持した状態で、ワークWAを仮置台40に移動させる(S202)。そして、制御部30Aは、図11に例示するように、凹部41の直上で把握爪16を開状態にすることで、凹部41にワークWAを載置させる(S203)。
【0048】
制御部30Aは、凹部41にワークWAを載置させた後に、図12に例示するように、ローダチャック15を所定距離だけ上昇させる(S204)。そして、制御部30Aは、把握爪16を開状態にしたまま、図13に例示するようにローダチャック15を所定距離だけ水平面上の所定方向(例えば、図13に示す+Y方向)に移動させる(ステップS205)。これにより、2つの把握爪16がワークWAに干渉せずに所定方向に移動するとともに、2つの把握爪16の一方が当該ワークWAの直上に位置する。制御部30Aは、2つの把握爪16の一方がワークWAの直上に位置すると、ローダチャック15を下降させることで、図14に例示するように当該一方の把握爪16で凹部41に載置されたワークWAを押す(ステップS206)。これにより、凹部41に載置されたワークWAの姿勢が所定姿勢に整えられる。
【0049】
ここで、ローダチャック15がパーツフィーダからワークWAを取り出した場合に、ローダチャック15は、ワークWAが傾いた状態で把持してしまう場合がある。ワークWAが傾いた状態で把持されると、ローダチャック15による工作機械1へのワークWAの渡し動作が正確に実施できない場合が起こり得る。第2実施形態では、ローダ装置3Aは、パーツフィーダから取ったワークWAを一度仮置台40に載置して第2動作を実行することにより姿勢を整え、姿勢が整えられたワークWAを仮置台40から取り出す。これにより、ローダチャック15は、ワークWAが傾いた状態でなく所定姿勢で把持することができ、ローダチャック15による工作機械1へのワークWAの渡し動作を問題なく実行することができる。
【0050】
以上、第2実施形態に係るローダ装置3Aは、第2動作として、第1動作によって載置されたワークWAを所定姿勢になるようにワークWを動かす。このような構成によれば、仮置台40へのワークWの載置を確実に行うことができる。なお、第2実施形態に係る第2動作は、ワークWAが傾いているか否かに関わらず、第1動作の後に必ず実行されてもよい。ただし、これに限定されず、ローダ装置3Aは、ワークWAが傾いている場合にのみ、第2動作を実施してもよい。例えば、ローダ装置3Aは、第1動作後のワークが所定姿勢であるかを検知する検知部20Aを備えてもよい。検知部20Aは、凹部41に載置されたワークWAが傾いているかを検知する。検知部20Aは、例えば、光電センサなどである。ローダ装置3Aは、第1動作の後に、ワークWAが傾いていることを検知部20Aにより検知した場合に、第2動作を実行してもよい。
【0051】
[第3実施形態]
図15は、第3実施形態に係る搬送システムSYSBの一例を示す図である。搬送システムSYSBは、工作機械1と、載置台50と、ローダ装置3Bとを備える。
【0052】
載置台50には、ローダ装置3BによってワークWBが載置される。ローダ装置3Bは、載置台50に対してワークWBを搬送したり、載置台50に載置されているワークWBを把持して工作機械1に対して搬送したりする。ローダ装置3Bは、例えば、ローダ本体部10と、制御部30Bとを備える。
【0053】
制御部30Bは、自装置内に記憶されているプログラム等を読み出してローダチャック15の動作及び駆動部12の駆動を制御することで、搬送部13によるワークWBの搬送を制御する。制御部30Bは、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)の少なくとも1つ以上のプロセッサを含む。
【0054】
制御部30Bは、搬送部13によりワークWBを搬送して載置台50に載置する第1動作を実行させる。また、制御部30は、第1動作の後に、載置台50に載置されたワークWBの位置を搬送部13の一部で調整する第2動作を行う。第2実施形態に係る第2動作は、第1動作による載置台50へのワークWの載置が行われた後に実行される。制御部30Bは、例えば、第2動作として、ローダチャック15の把握爪16でワークWBをX方向又はY方向に押すように搬送部13を制御することで、載置台50に載置されたワークWBの位置を所定位置にする。
【0055】
以下に、第3実施形態に係るローダ装置3Bの動作の流れについて説明する。図16は、ローダ装置3Bのフローチャートである。制御部30Bによる制御により、ローダチャック15は、ワークWBを載置台50の所定位置ΔHに載置するための第1動作を実行させる(ステップS301)。ここで、図17に例示するように、制御部30Bが第1動作を行った際に、ワークWBが所定位置ΔHに載置されず、所定位置ΔHからずれた位置に載置されてしまう場合が起こり得る。そこで、制御部30Bは、第1動作によって載置されたワークWBの位置ずれをローダチャック15で調整する第2動作を実行させる。
【0056】
制御部30Bは、ステップS301の後に、図18に例示するようにローダチャック15の把握爪16で、その載置されたワークWBを所定位置ΔHに移動させる第2動作を実行させる(ステップS302)。これにより、載置台50に載置されたワークWBの位置ずれが調整され、ワークWBが所定位置ΔHに移動される。
【0057】
なお、第1動作によってワークWBが所定位置ΔHに載置された場合にも、第2動作が実行されてもよい。すなわち、第3実施形態に係る第2動作は、第1動作によって載置されたワークWBの位置が所定位置ΔHであるかに関わらず、第1動作の後に必ず実行されてもよい。ただし、これに限定されず、ローダ装置3Bは、第1動作の後のワークWBが所定位置ΔHからずれた位置にある場合にのみ、第2動作を実施してもよい。例えば、ローダ装置3Bは、第1動作後のワークWBが所定位置ΔHであるかを検知する検知部20Bを備えてもよい。検知部20Bは、載置台50に載置されたワークWBの位置が所定位置ΔHか否かを検知する。ローダ装置3Bは、検知部20Bの検知結果に基づいて、第1動作によって載置されたワークWBの位置が所定位置ΔHではないと判定した場合に、第2動作を実行してもよい。
【0058】
以上、第3実施形態に係るローダ装置3Bは、第2動作として、第1動作によって載置されたワークWBの位置が所定位置になるようにワークWBを動かす。このような構成によれば、載置台50へのワークWBの載置を確実に行うことができる。
【0059】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、第1動作によって載置されたワークの、所定位置に対する位置ずれ、及び所定姿勢に対する姿勢ずれのいずれか一方又は双方を搬送部13の一部で調整する第2動作を実行する。このような構成によれば、ローダ装置による確実なワークの載置が可能となる。
【0060】
なお、第1実施形態から第3実施形態の各第2動作は、予め教示されてもよい。例えば、第1動作によって載置されたワークの位置ずれ及び姿勢ずれのいずれか一方又は双方を調整するためのローダチャック15の移動経路は、予め教示されてもよい。そのため、制御部30,30A,30Bは、予め教示されたローダチャック15の移動を行うことで第2動作を実行してもよい。
【0061】
上記実施形態は、以下の構成を開示する。
<構成1>
ワーク(W,WA,WB)を保持して搬送する搬送部(13)を備えるローダ装置(3,3A,3B)であって、
搬送部(13)によりワーク(W,WA,WB)を搬送して予め定めた所定位置に、予め定めた所定姿勢で載置する第1動作と、
第1動作によって載置されたワーク(W,WA,WB)の、所定位置に対する位置ずれ、及び所定姿勢に対する姿勢ずれのいずれか一方又は双方を搬送部(13)の一部を用いて調整する第2動作と、
を実行させる制御部(30,30A,30B)を備える、ローダ装置(3,3A,3B)。
<構成2>
制御部(30B)は、第2動作として、第1動作によって載置されたワーク(WB)を所定位置に移動させる、
構成1に記載のローダ装置。
<構成3>
第1動作後のワーク(WB)が所定位置にあるかを検知する検知部(20B)を備え、
制御部(30B)は、検知部(20B)の検知結果に基づいてワーク(WB)が所定位置にないと判定した場合に第2動作を実行させる、
構成1又は構成2に記載のローダ装置。
<構成4)
制御部(30,30A)は、第2動作として、第1動作によって載置されたワーク(W,WA)を所定姿勢になるようにワーク(W,WA)を動かす、
構成1から構成3のいずれかに記載のローダ装置。
<構成5>
第1動作後のワーク(W,WA)が所定姿勢であるかを検知する検知部(20、20A)を備え、
制御部(30、30A)は、検知部(20、20A)の検知結果に基づいてワーク(W,WA)が所定姿勢ではないと判定した場合に第2動作を実行させる、
構成1又は構成2に記載のローダ装置。
<構成6>
搬送部(13)は、ワークを保持するローダチャック(15)を備え、
制御部(30,30A,30B)は、第2動作として、ローダチャック(15)でワークを押すように制御する、
構成1から構成5のいずれか一項に記載のローダ装置。
<構成7>
ワーク(W)は、棒状であり、
第1動作では、所定位置に設けられている貫通孔(7a,8a)にワーク(W)を差し込むことでワークを立てて載置する、
構成1から構成6のいずれかに記載のローダ装置。
【0062】
上述した実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述した実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、本実施形態において示した各手順の実行順序は、前の手順の結果を後の手順で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上述した実施形態における動作に関して、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0063】
W,WA,WB・・・ワーク
3・・・ローダ装置
13・・・搬送部
15・・・ローダチャック
20・・・検知部
30・・・制御部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図16
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図18