(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123486
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】投写型表示装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/16 20060101AFI20240905BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240905BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240905BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/00 E
H05K7/20 H
H05K7/20 R
H04N5/74 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030938
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】シャープNECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100129115
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(74)【代理人】
【識別番号】100131473
【弁理士】
【氏名又は名称】覚田 功二
(72)【発明者】
【氏名】北野 泰弘
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5E322
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA34
2K203FB04
2K203KA07
2K203KA10
2K203KA77
2K203LA03
2K203LA06
2K203LA13
2K203LA22
2K203LA28
2K203LA37
2K203LA38
2K203LA42
2K203LA54
2K203MA12
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA52
5E322AA01
5E322AB07
5E322AB11
5E322BA05
5E322BB03
5E322DB10
(57)【要約】
【課題】投写型表示装置において、配列態様が複雑な複数のヒートパイプ82をボックスの内外に通しながら、ボックスの内部空間を外部に対して簡単に密閉できるようにする。
【解決手段】投写型表示装置は、発熱体と、発熱体を冷却する冷却ファンと、発熱体及び冷却ファンを収容するボックス7と、ボックス7の内側に配置された吸熱部81、吸熱部81からボックス7の外側まで延びる複数のヒートパイプ82、及び、複数のヒートパイプ82を挿通させて支持する支持部84を有するヒートシンク8と、を備える。複数のヒートパイプ82は、支持部84の複数の挿通孔843にそれぞれ挿通される。ボックス7は、複数のヒートパイプ82を挿通させる開口73を有する。支持部84は、ボックス7の開口73を塞ぐ。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体と、
前記発熱体を冷却する冷却ファンと、
前記発熱体及び前記冷却ファンを収容するボックスと、
前記ボックスの内側に配置されて前記冷却ファンによって前記発熱体から流れてきた空気の熱を吸収する吸熱部、前記吸熱部から前記ボックスの外側まで延びて前記熱を前記吸熱部から前記ボックスの外側まで伝える複数のヒートパイプ、及び、前記複数のヒートパイプを挿通させて支持する支持部を有するヒートシンクと、を備え、
前記支持部は、前記複数のヒートパイプをそれぞれ挿通させる複数の挿通孔を有し、
前記ボックスは、前記複数のヒートパイプを挿通させる開口を有し、
前記支持部は、前記ボックスの前記開口を塞ぐ投写型表示装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記複数の挿通孔を含み前記ボックスの前記開口の内側に配置される支持部本体と、弾性的に圧縮変形可能であり、前記支持部本体の外周に設けられた弾性体と、を有し、
前記弾性体は、前記支持部本体の外周と前記ボックスの前記開口の内周との間に挟まれることで、前記支持部本体と前記ボックスとの前記開口との隙間を埋める請求項1に記載の投写型表示装置。
【請求項3】
前記ボックスは、2つのボックス分割体を組み合わせることで構成され、
2つの前記ボックス分割体のうち少なくとも一方の前記ボックス分割体には、他方の前記ボックス分割体に接触する面から窪んで前記開口を構成する窪み部が形成されている請求項1又は請求項2に記載の投写型表示装置。
【請求項4】
2つの前記ボックス分割体のうち少なくとも1つの前記ボックス分割体が、前記ボックスの内側において前記吸熱部を保持する保持部を有する請求項3に記載の投写型表示装置。
【請求項5】
2つの前記ボックス分割体の両方が前記保持部を有する請求項4に記載の投写型表示装置。
【請求項6】
前記保持部は、前記ボックス分割体の内面から突出し、前記複数のヒートパイプが前記ボックスの前記開口を通る方向において前記吸熱部を挟む2つの保持用突起を有する請求項4に記載の投写型表示装置。
【請求項7】
前記ヒートシンクは、前記ボックスの外側に配置されると共に前記複数のヒートパイプに接続され、前記ボックスの外側において前記熱を放出する放熱部を有する請求項1又は請求項2に記載の投写型表示装置。
【請求項8】
前記ボックスの内部空間は、外部に対して密閉される請求項1又は請求項2に記載の投写型表示装置。
【請求項9】
前記ボックスの内部空間には、前記冷却ファンから吹き出された空気を前記発熱体と前記吸熱部とに順番に通過させた上で、前記冷却ファンまで戻す循環流路が設けられている請求項1又は請求項2に記載の投写型表示装置。
【請求項10】
前記発熱体は、入射された光を変調する光変調装置である請求項1又は請求項2に記載の投写型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部に対して密閉されたボックス(防塵ケース)内に配置した発熱体(液晶パネル)を冷却するように構成された投写型表示装置(プロジェクタ)が開示されている。
特許文献1の投写型表示装置においては、ボックス内に、冷却ファン(送風機)及びヒートシンクが配置される。また、ヒートシンクに接続されたヒートパイプが、ボックスの外側まで延びる。この投写型表示装置では、冷却ファンによって空気を発熱体とヒートシンクとの間で循環させることで、発熱体の熱がヒートシンクに伝わる。さらに、この熱がヒートシンクからヒートパイプに伝わることで、発熱体の熱をボックスの外側に逃がすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような投写型表示装置では、ボックスの内部空間を外部に対して密閉するために、ヒートパイプと当該ヒートパイプが通るボックスの開口との隙間を埋める必要がある。
ところで、投写型表示装置に高輝度化が求められることなどに起因して、発熱体を効率よく冷却することが求められると、発熱体の熱をボックスの外側に伝える伝熱構造(ヒートシンク及びヒートパイプ)にはより高い性能が求められる。この場合、ヒートパイプの数を増やす必要がある。しかしながら、投写型表示装置において多くのヒートパイプを配置するためのスペースには制約があるため、複数のヒートパイプの配列態様が複雑となる。
このようにボックスの内外に通す複数のヒートパイプの配列態様が複雑であっても、ボックスの内部空間を外部に対して簡単に密閉することが求められている。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、複数のヒートパイプの配列態様が複雑であっても、複数のヒートパイプをボックスの内外に通しながら、ボックスの内部空間を外部に対して簡単に密閉できる投写型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、発熱体と、前記発熱体を冷却する冷却ファンと、前記発熱体及び前記冷却ファンを収容するボックスと、前記ボックスの内側に配置されて前記冷却ファンによって前記発熱体から流れてきた空気の熱を吸収する吸熱部、前記吸熱部から前記ボックスの外側まで延びて前記熱を前記吸熱部から前記ボックスの外側まで伝える複数のヒートパイプ、及び、前記複数のヒートパイプを挿通させて支持する支持部を有するヒートシンクと、を備える投写型表示装置である。前記支持部は、前記複数のヒートパイプをそれぞれ挿通させる複数の挿通孔を有する。前記ボックスは、前記複数のヒートパイプを挿通させる開口を有する。前記支持部は、前記ボックスの前記開口を塞ぐ。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のヒートパイプの配列態様が複雑であっても、複数のヒートパイプをボックスの内外に通しながら、ボックスの内部空間を外部に対して簡単に密閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る投写型表示装置の外観を正面側から見た斜視図である。
【
図2】
図1の投写型表示装置において、筐体の内部に配置されるボックス、ヒートシンク及びヒートシンク冷却ファンを示す斜視図である。
【
図3】
図1の投写型表示装置において、筐体の内部に配置されるボックス、ヒートシンク及びヒートシンク冷却ファンを示す平面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線において破断した断面図である。
【
図5】
図3のV-V線において破断した断面図である。
【
図6】
図3のVI-VI線において破断した断面図である。
【
図7】
図2において、ボックスを2つのボックス分割体に分けると共にヒートシンクをボックスから取り外した状態を示す平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る投写型表示装置に備えるヒートシンクを示す斜視図である。
【
図9】
図8のヒートシンクから支持部の弾性体を取り除いた状態を示す斜視図である。
【
図10】
図8のヒートシンクに備える支持部の支持部本体を示す斜視図である。
【
図11】
図7において、ヒートシンクを下側ボックス分割体に取り付けた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図11を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1に示す本実施形態に係る投写型表示装置1(プロジェクタ)は、画像光(画像)をスクリーンなどの表示面に投写する装置である。
図1~
図4に示すように、投写型表示装置1は、光源装置と、色分離光学装置と、光変調装置4(発熱体)と、色合成光学装置5と、投写レンズ6と、ボックス7と、ヒートシンク8と、筐体9と、を備える。また、投写型表示装置1は、発熱体冷却ファン11と、ヒートシンク冷却ファン12と、をさらに備える。本実施形態において、光源装置及び色分離光学装置は、図示していない。
【0010】
光源装置、色分離光学装置、光変調装置4、色合成光学装置5、ボックス7、ヒートシンク8、発熱体冷却ファン11、ヒートシンク冷却ファン12は、いずれも筐体9の内部に配置される。筐体9内部における各部の配置は任意であってよい。色分離光学装置、光変調装置4、色合成光学装置5、発熱体冷却ファン11は、ボックス7に収容される(特に
図4参照)。ボックス7の内部における各部の配置は任意であってよい。
図1において、投写レンズ6は筐体9の外側(正面側)に配置されているが、例えば筐体9の内側に配置されてもよい。
【0011】
図面においては、ボックス7、筐体9の前後方向をX軸方向で示しており、ボックス7、筐体9の前側(正面側)がX軸正方向側となっている。また、ボックス7、筐体9の左右方向をY軸方向で示しており、ボックス7、筐体9の右側がY軸正方向側となっている。また、ボックス7、筐体9の上下方向をZ軸方向で示しており、ボックス7、筐体9の上側がZ軸正方向側となっている。
【0012】
光源装置は白色光を色分離光学装置に向けて出力する。色分離光学装置は、光源装置からの白色光を複数の色光(例えば赤色光、緑色光、青色光の3つの色光)に分離し、これら複数の色光を光変調装置4に出力する。光変調装置4の数は、色分離光学装置から出力される色光の数に対応している。各光変調装置4は、色分離光学装置から出力された各色光を変調する。本実施形態における光変調装置4は液晶パネルである。色合成光学装置5は、複数の光変調装置4において変調された複数の色光を合成する。色合成光学装置5において合成された光(合成光)は、投写レンズ6に出力される。投写レンズ6は、色合成光学装置5から出力された合成光を拡大してスクリーン等の表示面に投射する。
図2~
図4における符号60は、投写レンズ6が取り付けられるレンズマウントを示している。
【0013】
図4に示すように、ボックス7の内部空間71には、前述した色分離光学装置、光変調装置4、色合成光学装置5が収容される。このため、ボックス7の内部空間71を外部に対して密閉して、色分離光学装置、光変調装置4、色合成光学装置5に影響する塵埃、水分などがボックス7の内部空間71に侵入することを防いでいる。当該ボックス7内に配置される光変調装置4は、発熱体である。このため、発熱体冷却ファン11及びヒートシンク8を利用して、光変調装置4の熱をボックス7の外側に逃がして光変調装置4を冷却する。
【0014】
図2、
図3、
図5、
図11に示すように、ボックス7は、ボックス7の壁部72を貫通する開口73を有する。ボックス7の開口73には、後述するヒートシンク8の複数のヒートパイプ82が挿通される。本実施形態において、ボックス7の開口73は、ボックス7の壁部72のうち左右方向に間隔をあけて並ぶ左側壁部72-1及び右側壁部72-2に1つずつ設けられている。
【0015】
図2、
図4、
図6、
図7に示すように、ボックス7は、2つのボックス分割体75を組み合わせることで構成されている。すなわち、2つのボックス分割体75は、これらを組み合わせることでボックス7の内部空間71を形成する。本実施形態では、2つのボックス分割体75が、互いに対向する方向に開口する椀状に形成されている。なお、少なくとも一方のボックス分割体75が椀状に形成されればよく、他方のボックス分割体75は例えば平板状に形成されてもよい。
各ボックス分割体75は、2つのボックス分割体75を組み合わせる際に互いに接触する面751(接触端面751)を有する(
図6、
図7参照)。
【0016】
本実施形態において、ボックス7は上下方向に分割される。また、前述したボックス7の左側壁部72-1及び右側壁部72-2が上下方向に分割される。このため、ボックス7を構成する2つのボックス分割体75が上下方向に並び、それぞれ左側壁部72-1及び右側壁部72-2の上側部分と下側部分と、を含む。以下の説明では、下側に位置するボックス分割体75を下側ボックス分割体75-1と呼び、上側に位置するボックス分割体75を上側ボックス分割体75-2と呼ぶことがある。
【0017】
図6、
図7に示すように、各ボックス分割体75には、接触端面751から窪む窪み部752が形成されている。下側ボックス分割体75-1に形成される窪み部752は、上側に向く接触端面751から下方向に窪む。また、上側ボックス分割体75-2に形成される窪み部752は、下側に向く接触端面751から上方向に窪む。これら2つの窪み部752は、2つのボックス分割体75を組み合わせてボックス7を構成した状態で、ボックス7の開口73を構成する。なお、窪み部752は、例えば一方のボックス分割体75のみに形成されてもよい。
【0018】
図4に示すように、ボックス7内に配置される発熱体冷却ファン11は、発熱体である光変調装置4に向けて空気を流すことで光変調装置4を冷却する。本実施形態における発熱体冷却ファン11は、吸気方向と吹き出し方向とが直交するブロアーファンであるが、これに限ることはない。
【0019】
図8に示すように、ヒートシンク8は、吸熱部81と、複数のヒートパイプ82と、放熱部83と、支持部84と、を有する。
図3~
図5に示すように、吸熱部81は、ボックス7の内側に配置される。吸熱部81は、発熱体冷却ファン11によって光変調装置4から流れてきた空気との間で熱交換を行うことで、当該空気の熱を吸収する。
図5、
図8に例示する吸熱部81は、板状に形成された複数の吸熱フィンをこれらの板厚方向に並べて構成されているが、これに限ることはない。
【0020】
図2、
図3、
図5に示すように、複数のヒートパイプ82は、それぞれ吸熱部81からボックス7の開口73を通してボックス7の外側まで延びる。複数のヒートパイプ82は、吸熱部81に伝わった熱を吸熱部81からボックス7の外側まで伝える。
本実施形態において、複数のヒートパイプ82は、それぞれ吸熱部81を吸熱フィンの板厚方向に貫通し、吸熱部81の両側に直線状に延びる。また、複数のヒートパイプ82は、それぞれヒートパイプ82の長手方向に対応する左右方向(Y軸方向)において吸熱部81の両側に延びる。吸熱部81の左側(Y軸負方向側)に延びる複数のヒートパイプ82は、ボックス7の左側壁部72-1の開口73に挿通される。吸熱部81の右側(Y軸正方向側)に延びる複数のヒートパイプ82は、ボックス7の右側壁部72-2の開口73に挿通される。
【0021】
図6、
図8に示すように、複数のヒートパイプ82は、上下方向(Z軸方向)に並んでいる。また、上下方向に隣り合うヒートパイプ82は、左右方向から見て前後方向(X軸方向)に互いにずれて位置する。さらに、複数のヒートパイプ82は、左右方向から見て前後方向に交互にずれて位置している、すなわち、千鳥状に配列されている。これにより、上下方向におけるヒートパイプ82同士の間隔を小さくすることができるため、ヒートパイプ82の数を増やしてもヒートシンク8の大型化を抑制又は防止できる。ヒートパイプ82の数を増やすことで、吸熱部81に伝わった熱を吸熱部81から効率よくボックス7の外側まで伝えることができる。
【0022】
図2、
図3、
図5に示すように、放熱部83は、ボックス7の外側に配置される。放熱部83は、ヒートパイプ82の長手方向において吸熱部81と間隔をあけた位置において、複数のヒートパイプ82に接続されている。放熱部83は、吸熱部81から複数のヒートパイプ82を介して伝わった熱をボックス7の外側において放出する。
本実施形態において、放熱部83は、左右方向において吸熱部81の両側に位置する。
図5、
図8に例示する放熱部83は、板状に形成された複数の放熱フィンをこれらの板厚方向に並べて構成されているが、これに限ることはない。
【0023】
図5、
図6、
図8に示すように、支持部84は、吸熱部81から延びる複数のヒートパイプ82を挿通させて支持する。支持部84は、複数のヒートパイプ82をそれぞれ挿通させる複数の挿通孔843を有する。各ヒートパイプ82は、各挿通孔843との間に隙間が生じないように挿通孔843に挿通される。支持部84は、ボックス7の開口73を塞ぐ。
本実施形態において、支持部84は、左右方向において吸熱部81の両側に配置される。各支持部84は、吸熱部81と放熱部83との間に位置する。
【0024】
各支持部84は、支持部本体841と、弾性体842と、を有する。
図6、
図10に示すように、支持部本体841は、複数のヒートパイプ82が個別に通る複数の挿通孔843を有する。支持部本体841の挿通孔843にヒートパイプ82が挿通された状態でヒートパイプ82と挿通孔843との間に隙間がある場合、当該隙間は封止材(不図示)によって埋められるとよい。封止材は例えば接着剤であってよい。また、ヒートパイプ82及び支持部本体841が金属材料によって構成される場合、封止材は例えば半田であってもよい。
支持部本体841は、ボックス7の開口73の内側に配置される。左右方向から見た支持部本体841の形状及び大きさは、ボックス7の開口73の形状及び大きさに対応している。支持部本体841の大きさは、ボックス7の開口73の大きさに完全に一致することが好ましい。この場合、支持部本体841をボックス7の開口73の内側に配置した状態で、支持部本体841の外周とボックス7の開口73の内周との間に隙間が現れることを防止できる。
【0025】
実際には、支持部本体841及びボックス7の開口73の大きさには、製造に起因する誤差が現れるため、支持部本体841の大きさはボックス7の開口73よりも小さくするとよい。これにより、支持部本体841とボックス7との干渉を防止して、支持部本体841をボックス7の開口73の内側に配置することができる。
支持部本体841の大きさとボックス7の開口73の大きさとの差分(隙間の大きさ)は、弾性体842の圧縮量が適切になるように設定されることが好ましい。例えば、上記の差分が過度に小さい場合には、弾性体842の圧縮量が過度に大きくなってしまう。また、例えば上記の差分が過度に大きい場合には、弾性体842の圧縮量が小さすぎてボックス7の内部空間71の密閉性を確保できない。
【0026】
図5、
図9、
図10に示すように、本実施形態において、支持部本体841は、板状に形成されている。支持部本体841の板厚方向は、複数の挿通孔843が貫通する方向(すなわちヒートパイプ82の挿通方向)に対応している。また、各支持部84は、板状の支持部本体841を複数有する。複数の支持部本体841は、その板厚方向に間隔をあけて配列される。図示例における支持部本体841の数は2つであるが、例えば1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、支持部本体841は、板状に形成されることに限らず、例えば挿通孔843の貫通方向における厚みが大きいブロック状に形成されてもよい。
【0027】
図5、
図6、
図8に示すように、弾性体842は、弾性的に圧縮変形可能であり、支持部本体841の外周に設けられる。弾性体842は、支持部本体841の外周とボックス7の開口73の内周との間に挟まれることで、支持部本体841とボックス7の開口73との隙間を埋める。弾性体842は、例えばクッションやゴムなどであってよい。弾性体842は、例えば接着剤や両面テープなどによって支持部本体841の外周に固定されてよい。
本実施形態において、弾性体842は、隣り合う支持部本体841間の隙間を覆うように複数の支持部本体841の外周に設けられている(特に
図5参照)。なお、弾性体842は、例えば各支持部本体841の外周にそれぞれ設けられてもよい。
【0028】
図5に示すように、上記したヒートシンク8の吸熱部81は、ボックス7の内側においてボックス7の保持部753によって保持される。吸熱部81を保持する保持部753は、2つのボックス分割体75がそれぞれ有する。保持部753は、ボックス分割体75の内面から突出して吸熱部81を挟む2つの保持用突起754を有する。本実施形態において、2つの保持用突起754は、左右方向に間隔をあけて並んでいる。すなわち、2つの保持用突起754は、複数のヒートパイプ82がボックス7の開口73を通る方向に並び、当該方向において吸熱部81を挟む。なお、保持部753は、例えば1つのボックス分割体75だけが有してもよい。
【0029】
図4に示すように、ボックス7の内部空間71には、発熱体冷却ファン11から吹き出された空気を光変調装置4とヒートシンク8の吸熱部81とに順番に通過させた上で、発熱体冷却ファン11まで戻す空気の循環流路77が形成される。循環流路77は、空気を発熱体冷却ファン11の吹出口から光変調装置4まで導く吹出流路部771と、空気を光変調装置4から吸熱部81に通して発熱体冷却ファン11の吸気口まで導く戻り流路部772と、を含む。
【0030】
図2、
図3に示すように、ヒートシンク冷却ファン12は、ボックス7の外側に位置するヒートシンク8の放熱部83に向けて空気を吹き付けることで、放熱部83を冷却する。これにより、ヒートシンク8の吸熱部81から複数のヒートパイプ82を介して放熱部83に伝わった熱を、ボックス7の外側の空間に効率よく放出することができる。
【0031】
次に、本実施形態の投写型表示装置1において、ヒートシンク8をボックス7に取り付ける方法の一例について説明する。吸熱部81、複数のヒートパイプ82、放熱部83及び支持部84を含むヒートシンク8は、ヒートシンク8をボックス7に取り付ける前に予め製造される。
【0032】
ヒートシンク8をボックス7に取り付ける際には、例えば
図7に示す状態から、
図11に示すようにヒートシンク8を下側ボックス分割体75-1に取り付ける。この際、ヒートシンク8の吸熱部81を下側ボックス分割体75-1の内面に設けられた2つの保持用突起754(
図5参照)の間に挟む。これにより、吸熱部81が下側ボックス分割体75-1に対して位置決めされる。
また、吸熱部81の左右両側に位置するヒートシンク8の支持部84を、下側ボックス分割体75-1の左右両側に位置する窪み部752にそれぞれ挿入する。本実施形態では、支持部84の下側部分が下側ボックス分割体75-1の窪み部752に挿入される。
【0033】
次いで、
図2、
図6に示すように上側ボックス分割体75-2を下側ボックス分割体75-1に組み付けてボックス7を構成する。この際には、
図5に示すように吸熱部81が上側ボックス分割体75-2の内面に設けられた2つの保持用突起754の間に挟まれる。これにより、吸熱部81の上端部と下端部とが下側ボックス分割体75-1及び上側ボックス分割体75-2の保持部753によってそれぞれ保持され、吸熱部81がボックス7の内部において安定に位置決めされる。
また、
図5、
図6に示すように、吸熱部81の左右両側に位置するヒートシンク8の支持部84の上側部分が、上側ボックス分割体75-2の左右両側に位置する窪み部752にそれぞれ挿入される。また、下側ボックス分割体75-1及び上側ボックス分割体75-2の窪み部752によってボックス7の開口73が構成される。これにより、ヒートシンク8の支持部84が、ボックス7の開口73の内側に配置され、当該開口73を塞ぐ。
以上により、ボックス7に対するヒートシンク8の取り付けが完了する。
【0034】
なお、上側ボックス分割体75-2を下側ボックス分割体75-1に組み付ける際には、互いに接触する上側ボックス分割体75-2及び下側ボックス分割体75-1の接触端面751との間に隙間が生じないようにする。これにより、ボックス7の内部空間71を外部に対して密閉することができる。なお、ボックス7には、ヒートシンク8用の開口73の他に、ボックス7の内外に光を通すための開口もあるが、光用の開口は光源装置、色合成光学装置5、投写レンズ6などによって塞がれる。
【0035】
次に、本実施形態の投写型表示装置1における光変調装置4の冷却方法の一例について説明する。
図4に示すように、本実施形態の投写型表示装置1では、ボックス7の内側において、発熱体冷却ファン11から光変調装置4に向けて空気を流すことで、光変調装置4を冷却する。具体的には、発熱体冷却ファン11からの空気と光変調装置4との間で熱交換が行われることで、当該空気によって光変調装置4が冷却され、当該空気が光変調装置4の熱によって温められる。3つの光変調装置4によって温められた空気は、ヒートシンク8の吸熱部81を通過することで冷却される。そして、冷却された空気を、再び発熱体冷却ファン11から光変調装置4に向けて流す。
【0036】
ボックス7内の空気によって温められた吸熱部81の熱は、
図3に示す複数のヒートパイプ82を介してボックス7の外側の放熱部83に伝わり、放熱部83からボックス7の外側の空間に放出される。また、放熱部83は、ヒートシンク冷却ファン12によって冷却されるため、吸熱部81から放熱部83に伝わった熱を効率よくボックス7の外側の空間に放出することができる。
以上により、光変調装置4の冷却方法が完了する。
【0037】
本実施形態の投写型表示装置1では、ヒートシンク8において、複数のヒートパイプ82が予め支持部84の複数の挿通孔843にそれぞれ挿通され、また、ヒートパイプ82と挿通孔843との隙間が埋められている。このため、ヒートパイプ82及び支持部84を含むヒートシンク8をボックス7に取り付ける際には、支持部84によって複数のヒートパイプ82が通るボックス7の1つの開口73を塞げばよい。これにより、ボックス7の1つの開口73とヒートシンク8の支持部84との隙間を埋めるだけで、ボックス7の内部空間71を外部に対して簡単に密閉することができる。以上のことから、複数のヒートパイプ82の配列態様が複雑であっても、複数のヒートパイプ82をボックス7の内外に通しながら、ボックス7の内部空間71を外部に対して簡単に密閉することができる。
なお、ヒートパイプ82の複雑な配列態様には、本実施形態のような千鳥状配列などが含まれる。
【0038】
また、本実施形態の投写型表示装置1では、ヒートシンク8の支持部84が、複数の挿通孔843を含む支持部本体841と、支持部本体841の外周に設けられた弾性体842と、を有する。この弾性体842は、支持部本体841がボックス7の開口73の内側に配置された状態で、支持部本体841の外周とボックス7の開口73の内周との間に挟まれて弾性的に圧縮変形する。これにより、弾性体842によって支持部本体841とボックス7の開口73との隙間を簡単かつ確実に埋めることができる。したがって、ボックス7の内部空間71を外部に対して簡単かつ確実に密閉することができる。
【0039】
また、本実施形態の投写型表示装置1では、ボックス7が2つのボックス分割体75を組み合わせることで構成される。また、2つのボックス分割体75のうち少なくとも一方のボックス分割体75には、他方のボックス分割体75に接触する接触端面751から窪んでボックス7の開口73を構成する窪み部752が形成される。このため、一方のボックス分割体75の窪み部752にヒートシンク8の支持部84を挿入した後に、2つのボックス分割体75を組み合わせてボックス7を構成するだけで、複数のヒートパイプ82を簡単にヒートシンク8の開口73に通すことができ、また、簡単にヒートシンク8の開口73を支持部84によって塞ぐことができる。したがって、ヒートシンク8を容易にボックス7に組み付けることができる。
【0040】
また、本実施形態の投写型表示装置1では、少なくとも1つのボックス分割体75が、ボックス7の内側において吸熱部81を保持する保持部753を有する。このため、ヒートシンク8をボックス7に組み付ける際に、ヒートシンク8の吸熱部81をボックス7の内側において簡単に位置決めできる。これにより、吸熱部81に直接的又は間接的に接続されたヒートシンク8の他の部位(例えばヒートパイプ82や支持部84)もボックス7に対して簡単に位置決めできる。例えば、ヒートシンク8の支持部84をボックス7の開口73(ボックス分割体75の窪み部752)に対して簡単に位置決めすることができる。
【0041】
また、本実施形態の投写型表示装置1では、2つのボックス分割体75の両方が保持部753を有する。このため、1つのボックス分割体75だけが保持部753を有する場合と比較して、吸熱部81をボックス7の内側においてより安定に保持することができる。
【0042】
また、本実施形態の投写型表示装置1において、保持部753は、ボックス分割体75の内面から突出し、複数のヒートパイプ82がボックス7の開口73を通る方向において吸熱部81を挟む2つの保持用突起754を有する。これら2つの保持用突起754により、複数のヒートパイプ82がボックス7の開口73を通る方向において、吸熱部81をボックス7に対して位置決めすることができる。これにより、複数のヒートパイプ82がボックス7の開口73を通る方向において、支持部84をボックス7の開口73に対して簡単に位置決めすることができる。
【0043】
また、本実施形態の投写型表示装置1において、ヒートシンク8は、ボックス7の外側に配置される放熱部83を有する。放熱部83は、複数のヒートパイプ82に接続され、ボックス7の外側において発熱体である光変調装置4の熱を放出する。これにより、ヒートシンク8が放熱部83を有さない場合と比較して、光変調装置4の熱をボックス7の外側において効率よく放出することができる。
【0044】
また、本実施形態の投写型表示装置1では、ボックス7の内部空間71に、発熱体冷却ファン11から吹き出された空気を光変調装置4と吸熱部81とに順番に通過させた上で、発熱体冷却ファン11まで戻す循環流路77が設けられている。これにより、光変調装置4の熱を効率よく吸熱部81に伝えることができる。したがって、光変調装置4を効率よく冷却することができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 投写型表示装置
4 光変調装置(発熱体)
7 ボックス
8 ヒートシンク
11 発熱体冷却ファン(冷却ファン)
71 内部空間
72 壁部
73 開口
75 ボックス分割体
77 循環流路
81 吸熱部
82 ヒートパイプ
83 放熱部
84 支持部
751 接触端面
752 窪み部
753 保持部
754 保持用突起
841 支持部本体
842 弾性体
843 挿通孔