(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123493
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】シート包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/62 20060101AFI20240905BHJP
B65B 25/14 20060101ALI20240905BHJP
B65D 83/08 20060101ALI20240905BHJP
A47K 10/20 20060101ALI20240905BHJP
A47K 7/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65B25/14 A
B65D83/08 B
A47K10/20 Z
A47K7/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030952
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】夘野 絢子
【テーマコード(参考)】
3E014
3E028
3E067
【Fターム(参考)】
3E014LB01
3E028AA05
3E028AB01
3E028BB01
3E028CA10
3E028EA01
3E067AA12
3E067AB75
3E067AB76
3E067AB77
3E067AC14
3E067BA11A
3E067BA18A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067CA02
3E067CA24
3E067EA04
3E067EA06
3E067EB03
3E067EB06
3E067EB07
3E067EB29
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB06
3E067FB08
3E067FC02
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】シートの補充が容易なシート包装体を提供すること。
【解決手段】複数枚のシートが積層された直方体状のシート積層体と、前記シート積層体の天面、底面、および対向する一対の側面に巻き付けられた包装部材と、を有し、前記天面に対面する前記包装部材の領域に、取出口を形成する開裂用切目線が設けられている、シート包装体。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートが積層された直方体状のシート積層体と、
前記シート積層体の天面、底面、および対向する一対の側面に巻き付けられた包装部材と、を有し、
前記天面に対面する前記包装部材の領域に、取出口を形成する開裂用切目線が設けられている、
シート包装体。
【請求項2】
前記取出口が、前記シート包装体の長手方向に延びる第1スリットで構成される、
請求項1に記載のシート包装体。
【請求項3】
前記包装部材が、紙で構成されている、
請求項2に記載のシート包装体。
【請求項4】
前記紙の一方の面は艶面であり、
前記艶面が前記シート積層体に対面するように前記包装部材が巻き付けられている、
請求項3に記載のシート包装体。
【請求項5】
前記取出口の形状が、平面視で楕円形である、
請求項3に記載のシート包装体。
【請求項6】
前記取出口が、前記第1スリットの少なくとも一方の端部に連続する開口部を有し、
前記長手方向と直交する幅方向において、前記開口部の幅が前記第1スリットの幅より大きい、
請求項3に記載のシート包装体。
【請求項7】
前記開口部の前記幅方向の幅が、前記長手方向に前記第1スリットから離れるにつれて大きくなる、
請求項6に記載のシート包装体。
【請求項8】
前記開口部が、前記長手方向において、前記第1スリットから離れる方向に凸となる湾曲部を有する、
請求項7に記載のシート包装体。
シート包装体。
【請求項9】
前記取出口が、前記開口部の前記第1スリットが連続する側と反対の側の端部に連続する第2スリットを有する、請求項6乃至8のいずれか一項に記載のシート包装体。
【請求項10】
前記第2スリットが、前記開口部の前記端部から放射状に延びる複数の切込みで構成されている、
請求項9に記載のシート包装体。
【請求項11】
前記第2スリットが、前記開口部の前記端部から放射状に延びる3つの切込みで構成され、
前記3つの切込みのうち真ん中の切込みは、前記長手方向に沿って延びる、
請求項10に記載のシート包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生薄葉紙等のシートは、複数枚のシートが積層されたシート積層体の全幅に包装紙や樹脂フィルム等の包装部材が巻き付けられたシート包装体として製造され、流通するものがある。このようなシート包装体は、使用時に包装部材が取り外され、内包物であるシート積層体がディスペンサー等に収容される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、包装部材が巻き付けられたシート包装体では、ディスペンサーに補充する前に包装部材を破いて内包物を取り出す必要があり、シートを詰め替える際に手間がかかる。
【0005】
本発明の課題は、シートの補充が容易なシート包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の態様は、複数枚のシートが積層された直方体状のシート積層体と、前記シート積層体の天面、底面、および対向する一対の側面に巻き付けられた包装部材と、を有し、前記天面に対面する前記包装部材の領域に、取出口を形成する開裂用切目線が設けられている、シート包装体を提供する。
【0007】
本明細書において、シート積層体は、複数枚のシートが折り畳まれて高さ方向に積層された直方体形状の積層体を示す。直方体形状のシート積層体は、天面、底面、一対の長側面、および一対の短側面を有する。なお、対向する一対の側面は、一対の長側面または一対の短側面を示す。
【0008】
シート積層体は、ディスペンサー等のシートを一枚ずつ取り出せる装置または手段に収容して使用する。なお、ディスペンサーは、シート積層体が収容される本体と、シートを収容する収容口と、シート積層体が収容されたシート積層体からシートを取り出す取出口とを有する。
【0009】
包装部材は、シート積層体に巻き付けられる所定の幅と長さを有する。シート包装体は、シート積層体に包装部材が巻き付けられて該シート積層体が結束された状態を示す。シート積層体の天面、底面、および対向する一対の側面は包装部材で覆われるが、包装紙で覆われる一対の側面が一対の長側面の場合は、シート積層体の一対の短側面は、包装部材で覆われることなく露出する。また、包装紙で覆われる一対の側面が一対の短側面の場合は、シート積層体の一対の長側面が包装紙で覆われることなく露出する。
【0010】
開裂用切目線は、カットとタイ(2つのカット間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイが破断すると両隣のカットが連続したカットになるミシン目等の切目線である。開裂用切目線は、開裂されて取出口を形成する。シート積層体の天面に対面する包装部材の領域は、包装部材がシート積層体に巻き付けられた状態でシート積層体の天面と接する包装部材の一部を示す。
【0011】
第1の態様では、シート積層体に巻き付けられた包装部材においてシート積層体の天面に対面する領域に取出口を形成する開裂用切目線が設けられていることで、シート積層体を包装部材で結束した状態でディスペンサーに収納できるため、シートの補充が容易である。また、開裂用切目線を開裂することで、包装部材に取出口が形成されるため、シート積層体が結束した状態でディスペンサーからシートを取り出すことができる。
【0012】
また、第1の態様では、シート積層体の天面、底面、および対向する一対の側面のみに包装部材が巻き付けられている(シート積層体の別の対向する一対の側面は露出する)ことで、シート積層体の全体が包装部材で覆われていないため、包装部材の使用量を削減することができる。
【0013】
さらに、第1の態様では、包装部材に開裂用切目線が設けられているため、開裂用切目線を開裂して包装部材を破くことで、シート積層体から包装部材を容易に取り外すことができる。そのため、シート積層体を包装部材から取り出した状態でも使用することができる。
【0014】
本発明に係る第2の態様は、取出口が、前記シート包装体の長手方向に延びる第1スリットで構成される、第1の態様に記載のシート包装体を提供する。本明細書において、スリットは、所定の幅を有する切込みを示す。
【0015】
第2の態様では、取出口をシート包装体の長手方向に延びるスリットで構成することで、シート積層体が包装部材で結束された状態で、包装部材に形成された取出口からシートを引き出した際に次のシートが取出口に係止されやすくなる。そのため、包装部材に結束されたシート積層体(シート包装体)がディスペンサーに収容された状態でも、シートを1枚ずつ引き出すことができる。
【0016】
本発明に係る第3の態様は、前記包装部材が、紙で構成されている、第1または第2の態様に記載のシート包装体を提供する。第3の態様では、包装部材を紙で構成することで、プラスチックの使用削減に寄与することができる。そのため、第3の態様によれば、環境負荷を低減するシート包装体を提供することができる。
【0017】
本発明に係る第4の態様は、前記紙の一方の面は艶面であり、前記艶面が前記シート積層体に対面するように前記包装部材が巻き付けられている、第3の態様に記載のシート包装体を提供する。本明細書において、艶面とは、光沢を有し、非艶面(艶面でない面)に対して摩擦抵抗が小さい面を示す。
【0018】
第4の態様では、紙で構成された包装部材において、紙の艶面がシート積層体に対面するように包装部材が巻き付けられていることで、包装部材の取出口からシートを引き出す際に、包装部材のシートに対する摩擦抵抗が小さくなるため、シートが引き出し易くなる。
【0019】
本発明に係る第5の態様は、前記取出口の形状が、平面視で楕円形である、第3または第4の態様に記載のシート包装体を提供する。第5の態様では、紙で構成された包装部材において、取出口の形状を平面視で楕円形にすることで、取出口の長手方向の両端部が円弧状になる。その結果、取出口からシートを引き出す際に、シートが取出口の両端部に引っ掛かりにくくなるため、取出口からシートを引き出す際に、シートが破れにくくなり、また、包装部材も破れにくくなる。
【0020】
本発明に係る第6の態様は、前記取出口が、前記第1スリットの少なくとも一方の端部に連続する開口部を有し、前記長手方向と直交する幅方向において、前記開口部の幅が前記第1スリットの幅より大きい、第3または第4の態様に記載のシート包装体を提供する。
【0021】
本明細書において、スリットの少なくとも一方の端部と連続する開口部とは、開口部がスリットの両端部のうちいずれか一方の端部に設けられて該一方の端部と連続する場合、または開口部がスリットの両端部に設けられて各端部と連続する場合を示す。また、スリット及び開口部の各幅は、いずれも長手方向と交差する幅方向の幅を示す。
【0022】
第6の態様では、紙で構成された包装部材において、包装部材に形成された取出口に、スリットの少なくとも一方の端部と連続する開口部が、スリットの幅より大きな幅を持って設けられていることで、取出口からシートを引き出す際に、シートが取出口に引っかかりにくく、またシートが破れにくい。
【0023】
特に、第6の態様では、包装部材に形成されたスリットに対して取出口の少なくとも一方の端部(開口部)が幅広となるため、取出口が狭くても、シートが取出口の端部に詰まりにくく、取出口の端部とシートの擦れを緩和することができる。そのため、シートを引き出す際に、取出口の端部にシートが引っかかったり、シートが破れたりするのを防ぐことができる。また、取出口の端部とシートの擦れが緩和される結果、包装部材も破れにくくなる。
【0024】
本発明に係る第7の態様は、前記開口部の前記幅方向の幅が、前記長手方向に前記第1スリットから離れるにつれて大きくなる、第6の態様に記載のシート包装体を提供する。本明細書において、長手方向にスリットから離れるにつれて開口部の幅が大きくなることは、包装部材に形成された取出口が、取出口(スリット)側から取出口の端部側に向かって徐々に幅広となることを示す。
【0025】
第7の態様では、さらに長手方向にスリットから離れるにつれて開口部の幅が大きくなることで、取出口を構成するスリット及びその周辺にかかる応力を、緩衝部となる取出口の端部(開口部)に徐々に逃がす(または散らす)ことができる。また、取出口(スリット)等にかかる応力に対して、スリットの周辺がフラップとなって撓むことができる。これにより、シートの取出しを容易にしながら、シートの落ち込みを防ぐことができる。
【0026】
本発明に係る第8の態様は、前記開口部が、前記長手方向において、前記第1スリットから離れる方向に凸となる湾曲部を有する、第6または第7の態様に記載のシート包装体を提供する。本明細書において、スリットから離れる方向に凸となる湾曲部は、包装部材に形成された取出口において、開口部が設けられた取出口の端部が、取出口(スリット)側から取出口の端部側に向かって凸状に湾曲していることを示す。
【0027】
第8の態様では、さらに取出口に設けられた開口部がこのような湾曲部を有することで、取出口の端部でシートがより詰まりにくくなり、取出口の端部とシートの擦れをより緩和することができる。また、第8の態様では、このような湾曲部を有する開口部が形成された部分に摘み代を構成することができため、取出口(スリット)の少なくとも一方の端部に開口部を設けても、開口部の摘み代によって取出口の開封性の低下を防ぐことができる。
【0028】
また、第8の態様では、取出口において開口部が形成された部分が摘み代を構成する場合、開口部の湾曲部に対応して、摘み代にも湾曲部を構成することができる。これにより、取出口を開封する際に、摘み代の湾曲部を摘まむことにより、摘み代が摘みやすくになる。これにより、第8の態様では、取出口においてスリットの少なくとも一方の端部と連続する開口部を設けた場合に、取出口の開封性を向上させることができる。
【0029】
本発明に係る第9の態様は、前記取出口が、前記開口部の前記第1スリットが連続する側と反対の側の端部に連続する第2スリットを有する、第6乃至第8のいずれか1つに記載のシート包装体を提供する。本明細書において、開口部の端部に連続するスリットは、包装部材の端縁まで至らない切込みを示す。
【0030】
第9の態様では、取出口が開口部の第1スリットが連続する側と反対の側の端部に連続する第2スリットを有することで、取出口の長手方向の端部(開口部)の外側にフラップが形成される。これにより、取出口からシートを引き出す際に、第2スリットの近傍(フラップ)が撓むことで、取出口の長手方向の端部にかかる応力を逃がすことができるため、シートが破れにくくなり、また包装部材も破れにくくなる。
【0031】
また、取出口からシートを引き出した後に次のシートは、撓んだ第2スリットの近傍(フラップ)が元に戻ろうとすることで、取出口に係止されやすくなり、落ち込みにくくなる。
【0032】
本発明に係る第10の態様は、前記第2スリットが、前記開口部の前記端部から放射状に延びる複数の切込みで構成されている、第9の態様に記載のシート包装体を提供する。第10の態様では、第2スリットを開口部の端部から放射状に延びる複数の切込みで構成することで、取出口の長手方向の端部(開口部)の外側に複数のフラップを形成することができる。
【0033】
これにより、取出口からシートを引き出す際に、第2スリットの近傍(複数のフラップ)が撓むことで、取出口の長手方向の端部にかかる応力をバランスよく逃がすことができるため、シートがさらに破れにくくなり、また包装部材もさらに破れにくくなる。また、取出口からシートを引き出した後に次のシートは、撓んだ第2スリットの近傍(複数のフラップ)が元に戻ろうとすることで、さらに取出口に係止されやすくなり、落ち込みにくくなる。
【0034】
本発明に係る第11の態様は、前記第2スリットが、前記開口部の前記端部から放射状に延びる3つの切込みで構成され、前記3つの切込みのうち真ん中の切込みは、前記長手方向に沿って延びる、第10の態様に記載のシート包装体を提供する。第11の態様では、開口部の端部から放射状に延びる3つの切込みのうち真ん中の切込みが長手方向に沿って延びることで、取出口の長手方向の端部(開口部)の外側に長手方向と直交する幅方向に並ぶ2つのフラップを形成することができる。
【0035】
これにより、シート積層体がポップアップ式のシート積層体(1枚または1組のシートPが半分に折り返され、折り返されたシートPの半分が別の折り返されたシートPに挟まれた状態で、各シートPが上下に重なるシート積層体)であっても、2つのフラップが交互に撓むことができるため、取出口の長手方向の端部にかかる応力をバランスよく逃がすことができる。
【0036】
そのため、ポップアップ式のシート積層体を用いても、シートが破れにくくなり、また包装部材もさらに破れにくくなる。また、ポップアップ式のシート積層体を用いても、取出口からシートを引き出した後に次のシートは、撓んだ第2スリットの近傍(複数のフラップ)が元に戻ろうとすることで、さらに取出口に係止されやすくなり、落ち込みにくくなる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の一態様によれば、シートの補充が容易なシート包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図2】シート包装体において開裂用切目線を開裂した後の状態の天面図。
【
図4】ダンベル形状の取出口(両端の外側にそれぞれ1本のスリット)を示す図。
【
図5】ダンベル形状の取出口(両端の外側にそれぞれ2本のスリット)を示す図。
【
図6】ダンベル形状の取出口(両端の外側にそれぞれ3本のスリット)を示す図。
【
図9】直線状の取出口(両端にそれぞれV字形状のスリット)を示す図。
【
図10】直線状の取出口(両端にそれぞれU字形状のスリット)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0040】
また、本明細書において、直交などの方向には、実施形態の作用、効果を損なわない程度のずれが許容される。また、直交には、略直交が含まれてもよい。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。
【0041】
また、各図では、各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。各図において、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、シート包装体の左右方向をX方向とし、前後方向をY方向とし、上下方向をZ方向とする。
【0042】
図1は、実施形態に係るシート包装体の斜視図であり、
図2は、
図1のシート包装体の天面図である。実施形態のシート包装体100は、シート積層体10と包装部材20とを有する。シート包装体100は、本発明に係るシート包装体の一例であり、シート積層体10及び包装部材20は、本発明に係るシート包装体を構成するシート積層体および包装部材の一例である。
【0043】
シート積層体10は、複数枚のシートPが積層されている。シート積層体10は、複数枚のシートPが折り畳まれてシート包装体100の高さ方向(Z方向)に積層された直方体形状の積層体を示す。直方体形状のシート積層体10は、天面11、底面12、一対の長側面13、14、および一対の短側面15、16を有する(
図1)。
【0044】
シート積層体10の形態は、特に限定されず、例えば、1枚(または1組)のシートPが半分に折り返され、折り返されたシートPの半分が別の折り返されたシートPに挟まれた状態で、各シートPが上下に重なるように積層されたものを用いることができる。
【0045】
このようなシート積層体10では、各シートPが折り込まれた状態で互い違いに積層されたるため、シートPを1枚(または1組)引き出すと次の1枚(または1組)のシートPが引き出される。このようにシート積層体からシートが引き出される形式は、ポップアップ式と呼ばれている。なお、シートP(シート積層体10)の形態は、このようなポップアップ式に限定されず、複数枚のシートPが単に積層されたもの、または1枚(または1組)のシートPが半分に折り返した後さらに半分に折り返して(4つ折りにして)複数枚重ねたものを用いてもよい。
【0046】
シート積層体10は、ディスペンサー等のシートPを一枚ずつ取り出せる装置または手段に収容して使用する。ここで、ディスペンサーは、例えば、シート積層体10が収容される本体と、本体を覆う蓋部、シートPを収容する収容口と、シート積層体10が収容されたシート積層体10からシートPを取り出す取出口とを有する(図示せず)。
【0047】
シートP(シート積層体10)の用途は、特に限定されず、ペーパータオル、ワイパー(ウエス)タオル、キッチンペーパー、ティシューペーパー、トイレットペーパー等に用いることができる。また、シートP(シート積層体10)の用途は、産業用、家庭用に限定されない。
【0048】
シートPの材質は、特に限定されないが、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙シートである。なお、シートPが紙シートの場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
【0049】
また、シートP(紙シート)におけるパルプ組成は、例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを任意の比率で使用することができる。特に、広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成であることが好ましい。針葉樹パルプと広葉樹パルプの比は、50:50~80:20であるのが好ましい。なお、シートP(紙シート)のパルプ組成に含まれるパルプには、古紙パルプを用いてもよい。
【0050】
シートPの坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は12~80g/m2、不織布の場合は20~100g/m2のものが好ましい。なお、坪量は、JIS P 8124の規定に準拠して測定される。
【0051】
また、シートP(紙シート)の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、シートPを構成する紙シートの紙厚は、1プライあたり、好ましくは50~500μmであり、より好ましくは60~330μm程度である。
【0052】
また、シートPを構成する紙シートには、エンボス加工が施されていてもよい。このようなエンボス加工は、加圧エンボス付与方法により紙シートを押圧するもの、ピンエンボス付与方法によりピンを紙シートに刺して紙シートの一方の面上に凹凸または孔を形成するもの、ヒートエンボス付与方法により水溶性の接着剤(デンプン等)を加熱融解して積層された紙シートを接着するもの等がある。
【0053】
シートPのプライ数は、特に限定されないが、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライ(シングルタイプ)または2プライ(ダブルタイプまたは2枚重ね)である。なお、2プライ(2枚重ね)以上のシートPにエンボス加工を行う場合は、紙シートを2プライ(2枚重ね)にした状態でエンボスを付与してもよいし、1プライにエンボスを付与してその後2プライにしてもよい。
【0054】
また、シート積層体10の寸法は、シート包装体100の長手方向(X方向)の長さL1を150mm以上350mm以下、短手方向(Y方向)の幅W1を50mm以上150mm以下、高さ方向(Z方向)の高さH1を40mm以上150mm以下とすることができる(
図2)。このようなシート積層体10は、例えば、ロータリー式又はマルチスタンド式インターフォルダによって製造することができる。
【0055】
包装部材20は、シート積層体10に巻き付けられる所定の幅と長さを有する。シート包装体100では、包装部材20がシート積層体10の天面11、底面12、および一対の長側面13、14に巻き付けられた状態で、包装部材20の長手方向(シート包装体100の幅方向(Y方向))の両端部(図示せず)が接合されている。これにより、シート積層体10が包装部材20によって結束されている。なお、包装部材20の接合態様は、特に限定されず、例えば、ホットメルト、ヒートシール(酢酸ビニル)、接着剤、圧着等を用いることができる。
【0056】
本実施形態では、シート積層体10の天面11、底面12、および一対の長側面13、14は包装部材20で覆われ、シート積層体10の一対の短側面15、16は、包装部材で覆われることなく露出する(
図1、
図2)。この場合、包装紙20は、天面(領域21)がシート積層体10の天面11に対面し、底面(領域21と高さ方向(Z方向)に対向する面)がシート積層体10の底面12に対面し、一方の長側面がシート積層体10の一方の長側面13に対面し、他方の長側面がシート積層体10の他方の長側面14に対面する(
図1、
図2)。
【0057】
なお、本実施形態のシート包装体100では、
図1、
図2に示すように、シート積層体10の天面11、底面12、および一対の長側面13、14が包装紙20で覆われる(シート積層体10の一対の短側面15、16は包装紙20で覆われずに露出する)が、この包装形態に限定されない。例えば、シート積層体10の天面11、底面12、および一対の短側面15、16が包装紙20で覆われる(シート積層体10の一対の長側面13、14は包装紙20で覆われずに露出する)ものでもよい。
【0058】
包装部材20の材質は、特に限定されない。包装部材20は、例えば、樹脂製にすることができる。ここで、樹脂製とは、材質がポリエチレン等の樹脂であることを示す。また、プラスチックの使用削減、マイクロプラスチック等の海洋汚染の抑制等の観点から、包装部材20は紙製にするのが好ましい。ここで、紙製とは、材質が紙であることを示す。
【0059】
包装部材20に用いられる紙の材質は、特に限定されないが、例えば、シート積層体10の形態保持性、収容性の観点から、例えば、クラフト紙、フィルムラミ紙(クラフト紙とポリエチレン等の樹脂フィルムを貼合したもの)等の用紙を用いることができる。
【0060】
また、クラフト紙であり、好ましくは片艶クラフト紙である。ここで、クラフト紙は、クラフトパルプを原料とする紙である。また、片艶クラフト紙は、クラフト紙を白色まで漂白し、片面をヤンキードライヤーにて乾燥し抄紙したものである。
【0061】
なお、片艶クラフト紙では、紙の一方の面(片側の面)は艶面を構成する。ここで、艶面は、光沢を有し、非艶面(艶面でない面)に対して摩擦抵抗が小さい面を示す。このような片艶クラフト紙を包装部材20に用いる場合、艶面がシート積層体10に対面するように包装部材20が巻き付けられていることが好ましい。
【0062】
包装部材20を構成する用紙のパルプ組成は、限定されないが、例えば、0:100~80:20であり、好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率が低いパルプ組成である。また、包装部材20に含まれるパルプには、古紙パルプを用いてもよい。
【0063】
包装部材20を構成する用紙の坪量は、特に限定されず、例えば、20g/m2以上200g/m2以下である。ここで、坪量は、JIS P 8124の規定に準拠して測定することができる。また、包装部材20を構成する用紙の紙厚は、特に限定されず、例えば、20μm以上200μm以下である。ここで、紙厚は、JIS P 8111(1998)の環境下で測定することができる。
【0064】
包装部材20を構成する用紙の強度は、縦方向の引張強度が1.5kN/m以上10kN/m以下、横方向の引張強度が1kN/m以上8kN/m以下で、縦方向の引裂強度が100mN以上1500mN以下、横方向の引裂強度が120mN以上2100mN以下である。ここで、縦方向は、用紙のMD方向を示し、横方向は、用紙のCD方向を示す。用紙の強度は、JIS P 8113(2006)の環境下で測定することができる。
【0065】
なお、包装部材20を形成する用紙は、上述したクラフト紙、フィルムラミ紙の他にも、麻、非木材パルプ(バガス、ケナフ等)、生分解性材料(生分解性プラスチック、生分解性紙等)、バイオマス材料(バイオマスフィルム等の再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの)を用いて製造された用紙でもよい。
【0066】
なお、包装紙20をシート積層体に巻き付ける態様は、限定されない。例えば、個々のシート積層体に包装紙20を巻き付けることで、複数のシート包装体を製造することができる。また、製造コストを低減する観点から、バンドル(インターフォルダで原反を交互に折り重ねて積層したシートの集積体)に包装紙の原反を巻き付けた状態で、これを長手方向に所定の間隔で切断して、複数のシート包装体を製造してもよい。
【0067】
また、バンドルに包装紙の原反を巻き付けたものを長手方向に所定の間隔で切断して得られたシート包装体では、包装紙20のMD方向がシートPのCD方向となるように、包装紙20がシート積層体10に巻き付けられている。また、1枚(または1組)のシートPを4つ折りにして複数枚重ねたシート積層体に包装紙20を巻き付ける場合は、包装紙20のMD方向がシートPのCD方向となる。ここで、MD方向は、包装紙またはシートを構成する繊維の流れ方向を示す。また、CD方向は、MD方向と直交する方向を示す。
【0068】
本実施形態のシート包装体100では、包装部材20に開裂用切目線Mが形成されている。ここで、開裂用切目線Mは、カットCとタイT(2つのカットC間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイTが破断すると両隣のカットCが連続したカットになる切目線(例えば、ミシン目)である(
図1)。
【0069】
開裂用切目線Mは、シート積層体10の天面11に対面する包装部材20の領域21に形成され、開裂することで取出口OPを形成する。ここで、包装部材20においてシート積層体10の天面11に対面する領域21は、包装部材20がシート積層体10に巻き付けられた状態でシート積層体10の天面11と接する包装部材20の一部である。
【0070】
開裂用切目線Mは、開裂することで取出口OPを形成する(
図1、
図2)。取出口OPは、シート包装体100の長手方向(X方向)に延びるスリット30で構成されている。スリット30は、所定の幅を有する切込みである。スリット30は、本発明のシート包装体における第1スリットの一例である。
【0071】
取出口OPは、さらにスリット30の長手方向(X方向)の両端部31、32に連続する開口部40、50を有する(
図1、
図2)。また、開口部40、50の幅は、シート包装体100の長手方向(X方向)と直交する幅方向(Y方向)において、スリット30の幅より大きい(
図2)。なお、このようなスリット30と開口部40、50を組み合わせた形状をダンベル形状(または瓢箪形状)という場合がある。
【0072】
ここで、スリット30の両端部31、32に連続する開口部40、50は、本発明のシート包装体におけるスリットの少なくとも一方の端部と連続する開口部の一例である。また、スリット30及び開口部40、50の各幅は、いずれも長手方向(X方向)と交差する幅方向(Y方向)の幅を示す。
【0073】
また、開口部40、50の幅は、長手方向(X方向)にスリット30から離れるにつれて大きくなる。すなわち、包装部材20に形成された取出口OPは、取出口OPを構成するスリット30側から取出口OPの端部E1、E2側に向かって徐々に幅広となる(
図2、
図3)。
【0074】
さらに、開口部40、50は、長手方向(X方向)において、スリット30から離れる方向に凸となる湾曲部CPを有する(
図2、
図3)。湾曲部CPは、包装部材20に形成された取出口OPにおいて、開口部40、50が設けられた取出口OPの端部が、取出口OPを構成するスリット30側から取出口OPの端部E1、E2側に向かって凸状に湾曲していることを示す。
【0075】
なお、取出口OPの長手方向(X方向)の寸法は、任意であるが、包装部材20が使用前に破れないように、包装部材20の幅方向(X方向)の寸法に対して95%以下であることが好ましく、より好ましくは93%以下、さらに好ましくは90%以下である。
【0076】
取出口OPは、さらに開口部40、50のスリット30が連続する側と反対の側の端部(取出口OPの端部E1、E2)に連続するスリット60、70を有する。スリット60、70は、包装部材20の端縁22、23まで至らない切込みである(
図1、
図2)。スリット60、70は、本発明のシート包装体における第2スリットの一例である。
【0077】
第2スリット(スリット60、70)は、取出口OPの両端部E1、E2に1つずつ切込みを形成したものでもよく(
図4)、複数の切込みで構成したものでもよい(
図2、
図5、
図6)。
【0078】
複数の切込みで構成するスリット60、70は、開口部40、50の端部(取出口OPの端部E1、E2)から放射状に延びる複数の切込み(スリット61、62、71、72)で構成することができる(
図5)。
【0079】
また、複数の切込みで構成するスリット60、70は、開口部40、50の端部(取出口OPの端部E1、E2)から放射状に延びる3つの切込み(スリット61、62、63、71、72、73)で構成してもよい。この場合、3つの切込みのうち真ん中の切込み(スリット62、72)が長手方向(X方向)に沿って延びるように形成することが好ましい(
図6)。
【0080】
なお、取出口OPの形状は、上述のダンベル形状に限定されず、直線形状(
図7)、楕円形状(
図8)でもよい。また、取出口OPの形状を直線形状にする場合は、直線形状のスリット30の両端部31、32にV字形状のスリット80、90が連続する形状(
図9)、直線形状のスリット30の両端部31、32にU字形状(またはチャンネル形状)のスリット80、90が連続する形状(
図10)でもよい。
【0081】
本実施形態のシート包装体100では、上述のように、シート積層体10に巻き付けられた包装部材20においてシート積層体10の天面11に対面する領域21に取出口OPを形成する開裂用切目線Mが設けられていることで、シート積層体10を包装部材20で結束した状態でディスペンサーに収納できるため、シートPの補充が容易である。また、開裂用切目線Mを開裂することで、包装部材20に取出口OPが形成されるため、シート積層体10が結束した状態でディスペンサーからシートPを取り出すことができる。
【0082】
また、シート包装体100では、シート積層体10の天面11、底面、および対向する一対の側面(本実施形態では長側面13、14)のみに包装部材20が巻き付けられている(シート積層体10の一対の短側面15、16は露出する)ことで、シート積層体10の全体が包装部材20で覆われていないため、包装部材20の使用量を削減することができる。
【0083】
さらに、シート包装体100では、包装部材20に開裂用切目線Mが設けられているため、開裂用切目線Mを開裂して包装部材20を破くことで、シート積層体10から包装部材20を容易に取り外すことができる。そのため、シート積層体10を包装部材20から取り出した状態でも使用することができる。
【0084】
本実施形態のシート包装体100では、取出口OPをシート包装体100の長手方向(X方向)に延びるスリットで構成することで、シート積層体10が包装部材20で結束された状態で、包装部材20に形成された取出口OPからシートPを引き出した際に次のシートが取出口OPに係止されやすくなる。そのため、包装部材20に結束されたシート積層体10(シート包装体100)がディスペンサーに収容された状態でも、シートPを1枚ずつ引き出すことができる。
【0085】
本実施形態のシート包装体100では、包装部材20を紙で構成することで、プラスチックの使用削減に寄与することができる。そのため、シート包装体100によれば、環境負荷を低減するシート包装体を提供することができる。
【0086】
本実施形態のシート包装体100では、紙で構成された包装部材20において、紙の艶面がシート積層体10に対面するように包装部材20が巻き付けられていることで、包装部材20の取出口OPからシートPを引き出す際に、包装部材20のシートPに対する摩擦抵抗が小さくなるため、シートPが引き出し易くなる。
【0087】
本実施形態のシート包装体100では、紙で構成された包装部材20において、取出口OPの形状を平面視で楕円形にすることで、取出口OPの長手方向(X方向)の両端部E1、E2が円弧状になる。その結果、取出口OPからシートPを引き出す際に、シートPが取出口OPの両端部E1、E2に引っ掛かりにくくなるため、取出口OPからシートPを引き出す際に、シートPが破れにくくなり、また、包装部材20も破れにくくなる。
【0088】
本実施形態のシート包装体100では、紙で構成された包装部材20において、包装部材20に形成された取出口OPに、スリット30(第1スリット)の端部31、32と連続する開口部40、50が、スリット30の幅より大きな幅を持って設けられていることで、取出口OPからシートPを引き出す際に、シートPが取出口OPに引っかかりにくく、またシートPが破れにくい。
【0089】
特に、シート包装体100では、包装部材20に形成されたスリット30に対して取出口OPの少なくとも一方の端部(開口部40、50)が幅広となるため、取出口OPが狭くても、シートPが取出口OPの端部E1、E2に詰まりにくく、取出口OPの端部E1、E2とシートPの擦れを緩和することができる。そのため、シートPを引き出す際に、取出口OPの端部E1、E2にシートPが引っかかったり、シートPが破れたりするのを防ぐことができる。また、取出口OPの端部E1、E2とシートPの擦れが緩和される結果、包装部材20も破れにくくなる。
【0090】
本実施形態のシート包装体100では、さらに長手方向(X方向)にスリット30から離れるにつれて開口部40、50の幅が大きくなることで、取出口OPを構成するスリット30及びその周辺にかかる応力を、緩衝部となる取出口OPの端部(開口部40、50)に徐々に逃がす(または散らす)ことができる。また、取出口OP(スリット30)等にかかる応力に対して、スリット30の周辺がフラップF11、F22となって撓むことができる。これにより、シートPの取出しを容易にしながら、シートPの落ち込みを防ぐことができる。
【0091】
本実施形態のシート包装体100では、さらに取出口OPに設けられた開口部40、50がこのような湾曲部CPを有することで、取出口OPの端部E1、E2でシートPがより詰まりにくくなり、取出口OPの端部E1、E2とシートPの擦れをより緩和することができる。また、シート包装体100では、このような湾曲部CPを有する開口部40、50が形成された部分に摘み代を構成することができため、取出口OP(スリット30)の少なくとも一方の端部(端部31、32)に開口部40、50を設けても、開口部40、50の摘み代によって取出口OPの開封性の低下を防ぐことができる。
【0092】
また、シート包装体100では、取出口OPにおいて開口部40、50が形成された部分が摘み代を構成する場合、開口部40、50の湾曲部CPに対応して、摘み代にも湾曲部CPを構成することができる。これにより、取出口OPを開封する際に、摘み代の湾曲部CPを摘まむことにより、摘み代が摘みやすくになる。これにより、シート包装体100では、取出口OPにおいてスリット30の端部31、32と連続する開口部40、50を設けた場合に、取出口OPの開封性を向上させることができる。
【0093】
本実施形態のシート包装体100では、取出口OPが開口部40、50のスリット30が連続する側と反対の側の端部(取出口OPの端部E1、E2)に連続する第2スリット(スリット60、70)を有することで、取出口OPの長手方向(X方向)の端部E1、E2(開口部40、50の外側にフラップF21、F22、F23、F24が形成される(
図4)。これにより、取出口OPからシートPを引き出す際に、スリット60、70の近傍(フラップF21~F24)が撓むことで、取出口OPの長手方向(X方向)の端部E1、E2にかかる応力を逃がすことができるため、シートPが破れにくくなり、また包装部材20も破れにくくなる。
【0094】
また、取出口OPからシートPを引き出した後に次のシートPは、撓んだスリット60、70の近傍(フラップF21~F24)が元に戻ろうとすることで、取出口OPに係止されやすくなり、落ち込みにくくなる。
【0095】
本実施形態のシート包装体100では、スリット60、70を開口部40、50の端部(取出口OPの端部E1、E2)から放射状に延びる複数の切込み(例えば、2本の切込み)で構成することで、取出口OPの長手方向(X方向)の端部E1、E2(開口部40、50)の外側に複数のフラップ(フラップF21、F22、F23、F24、F25、F26)を形成することができる(
図5)。
【0096】
これにより、取出口OPからシートPを引き出す際に、スリット60、70の近傍(フラップF21~F26)が撓むことで、取出口OPの長手方向(X方向)の端部E1、E2にかかる応力をバランスよく逃がすことができるため、シートPがさらに破れにくくなり、また包装部材20もさらに破れにくくなる。また、取出口OPからシートPを引き出した後に次のシートPは、撓んだスリット60、70の近傍(フラップF21~F26)が元に戻ろうとすることで、さらに取出口OPに係止されやすくなり、落ち込みにくくなる。
【0097】
本実施形態のシート包装体100では、上述のように、開口部40、50の端部(取出口OPの端部E1、E2)から放射状に延びる3つの切込み(スリット61、62、63およびスリット71、72、73)のうち真ん中の切込み(スリット62、72)が長手方向(X方向)に沿って延びることで、取出口OPの長手方向(X方向)の端部E1、E2(開口部40、50)の外側に長手方向(X方向)と直交する幅方向(Y方向)に並ぶ4つのフラップ(フラップF21、F22、F23、F24およびF25、F26、F27、F28)を形成することができる。
【0098】
これにより、シート積層体10がポップアップ式のシート積層体10(1枚または1組のシートPが半分に折り返され、折り返されたシートPの半分が別の折り返されたシートPに挟まれた状態で、各シートPが上下に重なるシート積層体10)であっても、4つのフラップ(フラップF21~F24およびフラップF25~F28)が交互に撓むことができるため、取出口OPの長手方向(X方向)の端部E1、E2にかかる応力をバランスよく逃がすことができる。
【0099】
そのため、ポップアップ式のシート積層体10を用いても、シートPが破れにくくなり、また包装部材20もさらに破れにくくなる。また、ポップアップ式のシート積層体10を用いても、取出口OPからシートPを引き出した後に次のシートPは、撓んだ第2スリットの近傍(複数のフラップ)が元に戻ろうとすることで、さらに取出口OPに係止されやすくなり、落ち込みにくくなる。
【実施例0100】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の条件で行った。シート包装体の条件および評価結果を表1に示す。
【0101】
[シート包装体(サンプル)]
シートPが交互に折り畳まれてポップアップ式に1組ずつ引き出せるように積層されたシート積層体10としてペーパータオル(大王製紙社製、エリエール PAPER TOWEL スマートタイプ シングル、200枚、シート寸法:縦170mm、横210mm)の天面11、底面12、一対の長側面13、14を、各種材質の包装部材20(幅210mm)で巻き付け包装したシート包装体100を用意した(
図1、
図2参照)。なお、表1中の包装部材の素材は、以下の通りである。
A:片艶クラフト紙
B:クラフト紙
C:ポリエチレンフィルム
【0102】
[取出口の破れ]
1~10組目のシートPを取り出したときに、取出口が破れるか評価した。1つのサンプルにつき3回実施し、1回でも破れれば「不可」、1回も破れなければ「優」とした。
【0103】
[取出性]
1~10組目のシートPを取り出したときに、シートPが取出口に引っ掛かり、サンプルが持ち上がった回数を評価した。評価は3回実施し、平均の回数で評価した。評価基準は以下のとおりである。
〔評価基準〕
優:0回
良:1~2回
可:3~4回
不可:5回以上
【0104】
[詰め替え性]
比較例(包装部材20を剥がして、シート積層体10をディスペンサーに補充するまでの一連の動作)を基準に、実施例について5段階の相対評価を5人で行い、平均点を算出し、5点「満足である」、4点「やや満足である」、3点「同じ」、2点「あまり満足でない」、1点「満足でない」として、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
優:4.1以上
良:3.5以上4.0未満
可:3.0以上3.5未満
不可:3.0未満
【0105】
【0106】
表1より、シート積層体の天面、底面、および一対の長側面(対向する一対の側面)に巻き付けられた包装部材においてシート積層体の天面に対面する領域に、取出口を形成する開裂用切目線(第1スリット)が設けられたシート包装体は、いずれも取出口の破れは生じなかった(実施例1~3)。
【0107】
また、包装部材に開裂用切目線(第1スリット)が設けられたシート包装体は、取出性、詰め替え性がいずれも「可」以上であった(実施例1、4~10)。
【0108】
一方、包装部材に開裂用切目線(第1スリット)が設けられていないシート包装体は、詰め替え性がいずれも「不可」であった(比較例1)。
【0109】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。