(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123497
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】情報隠蔽カード
(51)【国際特許分類】
B42D 25/27 20140101AFI20240905BHJP
【FI】
B42D25/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030957
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝洋
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005HA01
2C005HB04
2C005HB12
2C005JA09
2C005JB21
2C005KA08
2C005KA11
(57)【要約】
【課題】第一基材の第一面の一部領域にだけ第一情報を示す第一印刷層が形成されていても、第一基材の第二面における第二印刷層の濃淡を抑制することができる情報隠蔽カードを提供する。
【解決手段】本発明の情報隠蔽カード1は、シート状の第一基材2と、第一基材2の第一面21の一部領域21aに設けられて第一情報を表示する第一印刷層3と、第一面21と反対側に向く第一基材2の第二面22に設けられて第二情報を表示する第二印刷層4と、第一基材2の第一面21に剥離可能に重ねて設けられ、第一印刷層3を覆って隠蔽するシート状の第二基材5と、を備える。第二印刷層4は、第二面22のうち、第一基材2の厚さ方向において第一印刷層3と重なる第一領域22aと、第一印刷層3と重ならない第二領域22bと、にわたって設けられる。第二基材5は、第一基材2の第一面21のうち、第一基材2の厚さ方向において第一領域22a及び第二領域22bと重なる領域に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の第一基材と、
前記第一基材の第一面の一部領域に設けられて第一情報を表示する第一印刷層と、
前記第一面と反対側に向く前記第一基材の第二面に設けられて第二情報を表示する第二印刷層と、
前記第一基材の第一面に剥離可能に重ねて設けられ、前記第一印刷層を覆って隠蔽するシート状の第二基材と、を備え、
前記第二印刷層は、前記第二面のうち、前記第一基材の厚さ方向において前記第一印刷層と重なる第一領域と、前記第一印刷層と重ならない第二領域と、にわたって設けられ、
前記第二基材は、前記第一基材の第一面のうち、前記第一基材の厚さ方向において前記第一領域及び前記第二領域と重なる領域に設けられる情報隠蔽カード。
【請求項2】
前記第二基材は、前記第一基材の第一面の全体に設けられる請求項1に記載の情報隠蔽カード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報隠蔽カードに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第一基材の第一面の一部領域に、印刷により第一情報(秘匿情報)を表示する第一印刷層(秘匿情報印刷部)を設け、さらに、当該第一基材の第一面の一部領域に対し、第一印刷層を覆って隠蔽する第二基材(スクラッチシール)を、剥離可能に重ねた情報隠蔽カード(スクラッチカード)が開示されている。この種の情報隠蔽カードには、例えば、第一基材の第一面に第一情報としての金銭情報が表示されたプリペイドカードなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような情報隠蔽カードにおいては、第一面と反対側に向く第一基材の第二面に任意の第二情報を表示する第二印刷層を設けることが考えられる。第二情報は、例えばアイドルキャラクターの画像などである。このような第二情報の表示には、例えば情報隠蔽カードの購買意欲を促す効果がある。
しかしながら、特許文献1の情報隠蔽カードでは、第一基材の第一面の一部領域だけに第二基材が設けられている。このため、カードの厚さは、第二基材が重なる部分と重ならない部分とで異なる。このような情報隠蔽カードにおいて、インクの転写によって第二印刷層を第一基材の第二面に設けると、カードの厚さの違いに基づいて、第二印刷層には意図しない濃淡が現れてしまい、好ましくない。以下、この点について説明する。
【0005】
一般に、インクの転写によって第二印刷層を第一基材の第二面に設ける際には、第一基材の第一面側を支持する支持部(例えば圧胴)と第一基材の第二面にインクを転写するための版(例えば版胴)との間にカードを挟む。ここで、第一基材の第二面のうち第二印刷層を形成する形成領域においてカードの厚さが異なると、当該形成領域においてカードを支持部と版との間に挟む圧力が均等にならない。このため、第二印刷層に意図しない濃淡が現れてしまう。具体的に、第二基材が第一基材に重なる部分では、カードを挟む圧力が比較的高くなるため、第二印刷層が比較的濃くなる。一方、第二基材が第一基材に重ならない部分では、カードを挟む圧力が比較的低くなるため、第二印刷層が比較的淡く(薄く)なる。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、第一基材の第一面の一部にだけ第一情報を示す第一印刷層が形成されていても、第一基材の第二面における第二印刷層の濃淡を抑制することができる情報隠蔽カードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シート状の第一基材と、前記第一基材の第一面の一部領域に設けられて第一情報を表示する第一印刷層と、前記第一面と反対側に向く前記第一基材の第二面に設けられて第二情報を表示する第二印刷層と、前記第一基材の第一面に剥離可能に重ねて設けられ、前記第一印刷層を覆って隠蔽するシート状の第二基材と、を備える情報隠蔽カードである。前記第二印刷層は、前記第二面のうち、前記第一基材の厚さ方向において前記第一印刷層と重なる第一領域と、前記第一印刷層と重ならない第二領域と、にわたって設けられる。前記第二基材は、前記第一基材の第一面のうち、前記第一基材の厚さ方向において前記第一領域及び前記第二領域と重なる領域に設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第一基材の第一面の一部にだけ第一情報を示す第一印刷層が形成されていても、第一基材の第二面における第二印刷層の濃淡を抑制することができる情報隠蔽カードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報隠蔽カードを模式的に示す断面図である。
【
図2】本発明の他の実施形態に係る情報隠蔽カードを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、情報隠蔽カード1は、第一基材2と、第一印刷層3と、第二印刷層4と、第二基材5と、を備える。
【0011】
第一基材2は、シート状に形成されている。第一基材2の材質は、特に制限されることはなく、例えば樹脂や紙などであってよい。
【0012】
第一印刷層3は、第一基材2の第一面21の一部領域に設けられて第一情報を表示している。第一情報は、暗証番号、金銭情報(例えば1000円、2000円など金額を表す情報)などに対応する秘匿情報である。第一情報は、文字、数字、バーコードなどであってよい。
【0013】
前述した第一基材2の第一面21のうち、第一印刷層3が設けられる一部領域は、印刷領域21aである。また、第一基材2の第一面21のうち、第一印刷層3が設けられない残りの領域は、非印刷領域21bである。
【0014】
第二印刷層4は、第一面21と反対側に向く第一基材2の第二面22に設けられて第二情報を表示する。第二情報は、写真などの画像、文字、記号などであってよい。第二情報は、例えばアイドルキャラクターの画像、キャンペーンのお知らせなど、情報隠蔽カード1の広告効果を高めて購買意欲を促す情報であることが好ましい。
第二印刷層4は、第二面22のうち、第一基材2の厚さ方向(
図1において上下方向)において第一印刷層3と重なる第一領域22aと、第一印刷層3と重ならない第二領域22bと、にわたって設けられる。
図1において、第二印刷層4は第二面22の一部領域に設けられているが、例えば第二面22の全体に設けられてもよい。
【0015】
第二基材5は、シート状に形成されている。第二基材5の材質は、例えば第一基材2と同じ樹脂や紙などであってよい。
第二基材5は、第一基材2の第一面21に剥離可能に重ねて設けられる。第二基材5は、第一印刷層3を覆って隠蔽する。第二基材5は、例えば、一度剥がしたら再び接着できない疑似接着糊によって第一基材2の第一面21に接着されてよい。また、第二基材5は、例えば第一印刷層3を隠蔽するスクラッチ層を有するスクラッチシールであってもよい。スクラッチ層は、削ることで第一基材2の第一面21から剥離することができる。
【0016】
第二基材5は、第一基材2の第一面21のうち、第一基材2の厚さ方向において第二面22の第一領域22a及び第二領域22bと重なる領域に設けられる、すなわち、第二印刷層4と重なる領域全体に設けられる。本実施形態において、第二基材5は、第一基材2の第一面21の全体に設けられる。
【0017】
上記した第二基材5が第一基材2の第一面21から剥離されることで、第一印刷層3が露出する。これにより、第一印刷層3に表示された第一情報を、視認したり所定の装置で読み取ったりすることができる。
【0018】
以上説明したように、本実施形態の情報隠蔽カード1において、第二基材5は、第一基材2の第一面21のうち、第一基材2の厚さ方向において第二印刷層4と重なる領域全体に設けられている。このため、情報隠蔽カード1のうち第二印刷層4が設けられる領域全体にわたって、第二印刷層4を除くカードの厚さが均一となる。これにより、インクの転写によって第二印刷層4を第一基材2の第二面22に設ける際には、カードを支持部と版との間に挟む圧力が均等となる。したがって、第一基材2の第二面22における第二印刷層4の濃淡を抑制することができる。
【0019】
また、本実施形態の情報隠蔽カード1では、第二基材5が第一基材2の第一面21の全体に設けられている。このため、インクの転写によって第二印刷層4を第一基材2の第二面22全体に形成しても、第二印刷層4に意図しない濃淡が現れることを防ぐことができる。
また、第一基材2の第二面22のうち当該第二面22に形成される第二印刷層4の領域がカードごとに異なっても、第二印刷層4に意図しない濃淡が現れることを防ぐことができる。すなわち、第二印刷層4を形成する前のカードの汎用性の向上を図ることができる。
【0020】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0021】
本発明においては、例えば
図2に示すように、第一基材2の第一面21に設けられた第二基材5のうち、第一印刷層3を隠蔽した部分(印刷隠蔽部分51)だけが剥離可能であってもよい。以下、
図2についてさらに説明する。
【0022】
図2の情報隠蔽カード1Dにおいて、第二基材5は、第一基材2の第一面21の印刷領域21aに重なる印刷隠蔽部分51と、第一基材2の第一面21の非印刷領域21bに重なる非印刷隠蔽部分52と、を有する。印刷隠蔽部分51は、第一基材2の印刷領域21aに対して剥離可能に重ねて設けられる。一方、非印刷隠蔽部分52は、接着剤によって第一基材2の非印刷領域21bに接着され、非印刷領域21bから剥離することを防いでいる。
印刷隠蔽部分51と非印刷隠蔽部分52との境界には、第二基材5の厚さ方向に貫通するスリット53が形成されている。
【0023】
スリット53は、例えば第一基材2の第一面21に沿って連続的に延びてよい。すなわち、第二基材5のうち、印刷隠蔽部分51と非印刷隠蔽部分52との境界には、印刷隠蔽部分51と非印刷隠蔽部分52とを完全に分離する切断線が形成されてよい。この場合、印刷隠蔽部分51は、例えば疑似接着糊によって第一基材2の第一面21に剥離可能に接着されるとよい。
【0024】
また、スリット53は、例えば第一基材2の第一面21に沿って断続的に多数配列されてよい。すなわち、第二基材5のうち、印刷隠蔽部分51と非印刷隠蔽部分52との境界には、印刷隠蔽部分51と非印刷隠蔽部分52とを断続的に接続するミシン目が形成されてよい。この場合、ミシン目(境界)は、第二基材5の縁に到達しないように印刷隠蔽部分51を囲むとよい。これにより、印刷隠蔽部分51が疑似接着糊によって第一基材2に接着されなくても、印刷隠蔽部分51によって第一印刷層3を隠蔽した状態を維持できる。
【符号の説明】
【0025】
1,1D 情報隠蔽カード
2 第一基材
3 第一印刷層
4 第二印刷層
5 第二基材
21 第一面
21a 印刷領域(一部領域)
22 第二面
22a 第一領域
22b 第二領域