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特開2024-123499オゾン放出システム及びそれを用いたオゾン放出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123499
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】オゾン放出システム及びそれを用いたオゾン放出方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/00 20060101AFI20240905BHJP
   A01M 1/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61L 2/20 20060101ALI20240905BHJP
   A61L 101/10 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
A01K1/00 Z
A01M1/00 Z
A61L2/20 100
A61L101:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030961
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】390000963
【氏名又は名称】白井松器械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003465
【氏名又は名称】弁理士法人OHSHIMA&ASSOCIATES
(72)【発明者】
【氏名】山下 太郎
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 基樹
【テーマコード(参考)】
2B101
2B121
4C058
【Fターム(参考)】
2B101AA07
2B101BB10
2B121AA01
2B121CC37
2B121EA13
2B121FA13
2B121FA20
4C058AA23
4C058BB07
4C058CC05
4C058JJ14
(57)【要約】
【課題】建物の外部にオゾンを放出することで有害動物の建物内への侵入を忌避可能で、かつ、建物内部へのオゾンの流入を抑制可能なオゾン放出システム及びそれを用いたオゾン放出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】オゾン放出システム1は、建物30の外壁33から離れた位置に設置され、オゾンを放出するオゾン放出装置2と、オゾン放出装置2と外壁33との間に設置され、同期して回転可能に構成された複数のルーバー3を有するルーバー装置4とを備えた構成とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁から離れた位置に設置され、オゾンを放出するオゾン放出装置と、前記オゾン放出装置と前記外壁との間に設置され、同期して回転可能に構成された複数のルーバーを有するルーバー装置とを備えたオゾン放出システム。
【請求項2】
前記オゾン放出装置は、オゾン発生部と、前記オゾン発生部で発生したオゾンを搬送する搬送管部とを備え、前記搬送管の管軸方向に間隔をおいて複数のオゾン放出孔が形成された請求項1に記載のオゾン放出システム。
【請求項3】
前記オゾン放出装置は、間隔をおいて平行に配置された複数の搬送管部を有し、前記オゾン放出孔が前記ルーバー装置に対向する位置に形成された請求項2に記載のオゾン放出システム。
【請求項4】
前記複数の搬送管部は、管軸が水平方向となるように、高さ方向に間隔をおいて平行に配置され、各搬送管部は、地表面に近い位置において隣り合う搬送管部の間隔が、地表面から離れた位置において隣り合う搬送管部の間隔より狭くなるように設置された請求項3に記載のオゾン放出システム。
【請求項5】
前記ルーバー装置及び前記オゾン放出装置を支持する支柱を備え、前記ルーバー装置は、前記支持部材の外周面のうち、前記外壁に対向する面側に設置され、前記オゾン放出装置は、前記支持部材のうち、前記ルーバー装置と反対の面側に設置された請求項1~4のいずれか1項に記載のオゾン放出システム。
【請求項6】
前記建物が家畜飼育用の畜舎である請求項1~4のいずれか1項に記載のオゾン放出システム。
【請求項7】
前記オゾン放出装置は、オゾンに加えてマイナスイオンを放出する請求項1~4のいずれか1項に記載のオゾン放出システム。
【請求項8】
前記ルーバー装置のルーバーを回転させる駆動部と、前記駆動部の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記オゾン放出装置運転時に、前記外壁に対する前記ルーバーの傾斜角度が小さくなるように前記駆動部を作動させて前記外壁近傍のオゾン濃度の上昇を抑制し、前記オゾン放出装置停止時に、前記外壁に対する前記ルーバーの傾斜角度が大きくなるように前記駆動部を作動させて前記ルーバー装置の通風性を高めるようにした請求項1~4のいずれか1項に記載のオゾン放出システム。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載のオゾン放出システムを用いたオゾン放出方法であって、前記オゾン放出装置運転時に、前記外壁に対する前記ルーバーの傾斜角度が小さくなるように前記ルーバーを回転させて前記外壁近傍のオゾン濃度の上昇を抑制し、前記オゾン放出装置停止時に、前記外壁に対する前記ルーバーの傾斜角度が大きくなるように前記ルーバーを回転させて前記ルーバー装置の通風性を高めるようにしたオゾン放出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜の畜舎等の建物の周りに設置して、害虫、害獣、害鳥等の有害動物を忌避可能なオゾン放出システム及びそれを用いたオゾン放出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有害動物を忌避するためにオゾンが有効であることが知られている。例えば、特許文献1では、建築物の下部材に、オゾン発生手段と、オゾン発生手段を備えた害虫忌避装置を設置することが開示されている。
【0003】
近年では、鶏舎等の家畜の畜舎において、外部から侵入した有害動物を介して鳥インフルエンザ等の病気を発症することの危険性が問題視されている。そのような問題に対して、特許文献2では、鶏舎に、オゾン発生装置と、このオゾン発生装置からのオゾンを鶏舎内外に散布する多数の細孔を有する配管とを備えたことを特徴とする鶏舎用鳥インフルエンザ感染予防装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-321055号公報
【特許文献2】特開2009-142204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、作業環境基準としてのオゾン許容濃度は0.1ppmとされている。しかしながら、オゾンは空気中に微量(0.02ppm程度)含まれているだけでも臭気を感じる。したがって、通気口や窓等の開口部からオゾンが建物内に流れ込むことで人や家畜がストレスを感じ、特に家畜に対してはその生育に影響を及ぼすことが懸念される。特許文献1及び特許文献2では、建物の下部又は外部にオゾンを発生させることについては記載されているものの、発生したオゾンが建物内に入り込むことの問題については何ら言及されていない。
【0006】
建物内への有害動物の侵入を防止する方法としては、建物の周囲に消石灰を散布することも考えられるが、この方法では降雨時に消石灰が容易に流失しその効果が失われるとともに、その効果は平面的なもので跳躍あるいは飛翔する動物に対しては効果が低いいう問題があった。
【0007】
そこで、本発明においては、上記問題に鑑み、建物の外部にオゾンを放出することで有害動物の建物内への侵入を忌避可能で、かつ、建物内部へのオゾンの流入を抑制可能なオゾン放出システム及びそれを用いたオゾン放出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様としてのオゾン放出システムは、建物の外壁から離れた位置に設置され、オゾンを放出するオゾン放出装置と、前記オゾン放出装置と前記外壁との間に設置され、同期して回転可能に構成された複数のルーバーを有するルーバー装置とを備えた構成とする。
【0009】
前記オゾン放出装置は、オゾン発生部と、前記オゾン発生部で発生したオゾンを搬送する搬送管部とを備え、前記搬送管に間隔をおいて複数のオゾン放出孔が形成された構成としてもよい。
【0010】
前記オゾン放出装置は、間隔をおいて平行に配置された複数の搬送管部を有し、前記オゾン放出孔が前記ルーバー装置に対向する位置に形成された構成としてもよい。
【0011】
前記複数の搬送管部は、管軸が水平方向となるように、高さ方向に間隔をおいて平行に配置され、各搬送管部は、地表面に近い位置において隣り合う搬送管部の間隔が、地表面から離れた位置において隣り合う搬送管部の間隔より狭くなるように設置された構成としてもよい。
【0012】
前記ルーバー装置および前記オゾン放出装置を支持する支柱を備え、前記ルーバー装置は、前記支持部材の外周面のうち、前記外壁に対向する面側に設置され、前記オゾン放出装置は、前記支持部材のうち、前記ルーバー装置と反対の面側に設置された構成としてもよい。
【0013】
前記建物は、家畜飼育用の畜舎であってもよい。
【0014】
前記オゾン放出装置は、オゾンに加えてマイナスイオンを放出するものであってもよい。
【0015】
また、前記オゾン放出システムは、前記ルーバー装置のルーバーを回転させる駆動部と、前記駆動部の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記オゾン放出装置運転時に、前記外壁に対する前記ルーバーの傾斜角度が小さくなるように前記駆動部を作動させて前記外壁近傍のオゾン濃度の上昇を抑制し、前記オゾン放出装置停止時に、前記外壁に対する前記ルーバーの傾斜角度が大きくなるように前記駆動部を作動させて前記ルーバー装置の通風性を高めるようにしてもよい。
【0016】
また、前記オゾン放出システムを用いたオゾン放出方法として、前記オゾン放出装置運転時に、前記外壁に対する前記ルーバーの傾斜角度が小さくなるように前記ルーバーを回転させて前記外壁近傍のオゾン濃度の上昇を抑制し、前記オゾン放出装置停止時に、前記外壁に対する前記ルーバーの傾斜角度が大きくなるように前記ルーバーを回転させて前記ルーバー装置の通風性を高めるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、建物の外壁から離れた位置に設置されたオゾン放出装置と、外壁との間にルーバー装置を設けたため、ルーバー装置を通過可能な空気量を調整することが可能となる。これにより、オゾン放出装置運転時に、ルーバー装置のルーバーを回転させてルーバー装置を通過可能な空気量を制限することで、空気より比重が大きいオゾンはルーバー装置下部に滞留し、外部からの有害動物の建物への侵入を効果的に抑制することができるとともに、外壁近傍のオゾン濃度の上昇を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態のオゾン放出システムの設置状況を示す概略図
図2図1のA-A断面図
図3図2のオゾン放出システム部分の拡大図
図4図3の一部を示す拡大図
図5】ルーバー装置の回転機構を示す概略図
図6図1中、二点鎖線の枠Bで囲まれた部分の拡大図
図7図6のC-C断面図であり、ルーバーと外壁とが平行な状態を示す。
図8図6のC-C断面図であり、外壁に対してルーバーが傾斜した状態を示す。
図9図6のC-C断面図であり、外壁に対してルーバーが直交した状態を示す。
図10】第2実施形態のルーバー装置の回転機構を示す概略図
図11】第2実施形態のオゾン放出システムの制御ブロック図
図12】ルーバーの変形例を示す断面図
図13】ルーバーのその他の変形例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を基に説明する。なお、本実施形態では、建物が鶏舎である場合にその外壁の周りに設置するオゾン放出システムについて説明する。図1は、本実施形態のオゾン放出システムの設置状況を示す概略図であり、図2図1のA-A断面図であり、図3図2のオゾン放出システム部分の拡大図であり、図4図3の一部を示す拡大図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施形態の建物30は、いわゆるセミウインドレスタイプと呼ばれるタイプの鶏舎である。具体的に、鶏舎30は細長い形状であり、鶏舎30内には、鶏を収容するケージ31を鶏舎の長手方向に並べて配置したケージ列が高さ方向に複数段形成されたラック32が設置される。鶏舎30の長手方向の外壁33の下部には開口部34が形成される。鶏舎30内では鶏の体温により上昇気流が発生し、上昇した空気は、屋根中央部に設けられた排気口35から外部に排気され、新鮮な空気が開口部34から導入され、これにより換気を行う構造とされる。なお、開口部34及び排気口35は、図示しない金網で覆われている。
【0021】
上述のごとく、鶏舎30は、外壁33に開口部34を有しており、この開口部34から有害動物の侵入を抑制するためにオゾン放出システム1が設置される。本実施形態のオゾン放出システム1は、建物30の外壁33から離れた位置に設置され、オゾンを放出するオゾン放出装置2と、オゾン放出装置2と外壁33との間に設置され、同期して回転可能に構成された複数のルーバー3を有するルーバー装置4と、ルーバー装置4及びオゾン放出装置2を支持する支柱5とを備える。複数のルーバー3は、互いに平行な姿勢で同一平面上に等間隔に配置される。以降、外壁33に直交する方向を前後方向Yとし(支柱5から見て外壁33側の方向を後方向とする。)、外壁33が水平に延びる方向を横方向Xとし、外壁33が垂直に延びる方向を高さ方向Zとして説明する。
【0022】
図3及び図4に示すように、本実施形態では、支柱5として金属製の四角筒状の構造部材が用いられており、外壁33から離れた位置で、横方向Xに間隔をおいて地表面に複数本立設される。支柱5は、外周面のうち、一面が外壁と平行となるように設置される。支柱5の外周面のうち、外壁33に対向する後面側にルーバー装置4が取り付けられ、支柱の5外周面のうち、ルーバー装置4の設置面と反対の前面側にオゾン放出装置2が取り付けられる。これにより、同じ支柱5を用いながら、オゾン放出装置2とルーバー装置4とを支持しつつ、オゾン放出装置2と外壁33との間にルーバー装置4を配置することができる。
【0023】
具体的には、ルーバー3を回転可能に支持する支持部6が支柱5から外壁33の方向に向かって突設される。支持部6は、ひとつの支柱において、同じ高さの位置に、横方向Xに間隔をおいて2つ形成されており、これを1組として支柱5の高さ方向に間隔をおいて複数組形成される。そして、隣り合う支柱5の同じ高さに対向配置された一対の支持部6、6によってルーバー3の長さ方向両端部に形成された図示しない回転軸が軸支される。このようにして、地表面に立設された複数の支柱5のそれぞれ隣り合う支柱5、5の間で、同じ高さに横並びでルーバー3の列が配置され、このルーバー3の列が高さ方向Zに複数段形成される。これにより、横方向X及び高さ方向Zに、外壁33の開口部35を覆う大きさのルーバー装置4が構築される。
【0024】
図5は、ルーバー装置4のルーバー3を同期して回転させる回転機構の一例を示す概略図である。なお、図5では、横方向Xの一番端に配置された支柱5に支持された複数段のルーバー3の一部を表しており、便宜上、構成部材の寸法を一部変えて模式的に示している。各段のルーバー3の長さ方向一端部には、ルーバー3を回転させる回転アーム7の一端部が固定される。回転アーム7の他端部には回転アーム7の長さ方向に沿って長孔8が形成される。
【0025】
回転アーム7の他端側にはルーバー3の回転を操作する操作桿9が設置される。操作桿9は高さ方向に延びる棒状部材であり、高さ方向Zに間隔をおいて横方向Xに複数の小径の棒状部11が突出形成される。棒状部11は回転アーム7の長孔8に挿入され、長孔8内をスライド可能とされる。操作桿9にはラック12が形成されており、ラック12はハンドル13の回転操作により回転するギア14と歯合する。上記構成の回転機構では、ハンドル13を回転させることにより、操作桿9及び棒状部11が上下動し、それに応じて回転アーム7が回転する。なお、各段の同じ高さで横方向に並んだルーバー3は図示しない連結部材によって互いに連結される。これにより、ルーバー装置4の各ルーバー3は同期して回転可能とされる。
【0026】
図6は、図1中、二点鎖線の枠Bで囲まれた部分の拡大図であり、図7図9は、図6のC-C断面図であり、ルーバーが回転した状態を示している。図中、二点鎖線は外壁と平行な仮想面15を示す。図7は、ルーバー3と外壁33(=外壁と平行な仮想面15)とが平行な状態を示す。ルーバー3をこのような姿勢とすることで、オゾン放出装置2と外壁33との間にルーバー3による一種の壁を形成することができる。図8は、外壁33に対するルーバー3の傾斜角度がα(0°<α<90°)の状態を示す。このような状態とすることで、前方から外壁33に向けて吹く風の風量を適宜調整することができる。図9は、外壁33に対するルーバー3の傾斜角度α=90°の状態を示す。このような状態とすることで、前方から外壁33に向けて吹く風をそのまま外壁33に流すことが可能となる。
【0027】
図1図3及び図4に示すように、オゾン放出装置2は、オゾン発生部17と、オゾン発生部17で発生したオゾンを搬送する搬送管部18とを備え、搬送管部18には管軸方向に間隔をおいて複数のオゾン放出孔19が形成される。オゾン発生部17は、通風路を有する筐体と、通風路内に設置されたオゾン発生装置と、外部から取り入れた空気を通風路に送入するファンとを備え、通風路の下流側は搬送管部に接続される(図示せず)。オゾン発生装置としては、公知のものであれば特に制限なく使用でき、たとえば、特開平5-116906や、特開平8-2903に記載された構成のオゾン発生装置を使用することができる。
【0028】
また、オゾン発生装置としては、オゾンのほか、マイナスイオンを発生させるものであってもよい。マイナスイオンには、ウイルスの不活化作用や、病原菌の除菌作用があることが知られている。従って、オゾンに加えてマイナスイオンを放出することによって、有害動物の忌避効果に加えて衛生向上効果が期待できる。オゾン及びマイナスイオンを発生する装置としては、たとえば、特開平10-291807に記載された構成の装置を使用することができる。また、オゾン発生装置とマイナスイオン発生装置を併用することも可能である。この場合、マイナスイオン発生装置としては、マイナスイオンを発生させるものであれば特に制限なく使用でき、たとえば、特開2016-215162に記載された構成の装置を使用することができる。なお、マイナスイオン発生装置は、オゾン発生装置とともに、オゾン発生部17の通風路内に設置すればよい。
【0029】
オゾン発生部17は、支柱5の前面側に取り付けられる。本実施形態では、各支柱5において、高さ方向に間隔をおいて複数のオゾン発生部17が配置されている。隣り合う支柱5、5の同じ高さに設置されたオゾン発生部17が搬送管部18で接続される。これにより、複数の搬送管部18が、管軸が水平方向となるように、高さ方向Zに間隔をおいて平行に配置される。すなわち、搬送管部18の長さ方向両端部は隣り合うオゾン発生部17、17に接続されており、搬送管部18の両端部からオゾンを含む空気が搬送される。搬送管部18には、管軸方向に間隔をおいて複数のオゾン放出孔19が形成されている。これにより、どのオゾン放出孔19からも勢いよくオゾンを含む空気を放出することが可能となる。
【0030】
また、オゾン発生部17に接続される搬送管部18は、1本又は複数本とされる。本実施形態では、地表面に近い位置に配置されたオゾン発生部17に接続される搬送管部18は横方向Xの一側の方向に3本、他側の方向に3本の合計6本とされる。オゾン発生部17の位置が地表面から離れるに従い、横方向Xの一側の方向に接続される搬送管部18の本数は2本から1本と少なくなっている。また、高さ方向Zに隣り合うオゾン発生部17の間隔も適宜調整可能とされる。
【0031】
すなわち、各搬送管部18は、地表面に近い位置において隣り合う搬送管部18の間隔が、地表面から離れた位置において隣り合う搬送管部18の間隔より狭くなるように設置される。害虫や害獣は地表面近くを移動するものが多く、このような構成とすることで、地表面に近いほど、オゾン放出量が多くなり、害虫や害獣を効果的に忌避することが可能となる。
【0032】
オゾン放出孔19は、搬送管部18の周方向のどの位置に形成してもよいが、図4に示すように、ルーバー装置4に対向する位置に形成するのが好ましい。これにより、オゾンはルーバー装置4に向って放出されるが、ルーバー3の表面と外壁33との間の傾斜角度が小さくなるようにしておくことで、オゾンはルーバー3に正面から当たる。オゾンの比重は空気よりも重いため、ルーバー3に当たったオゾンは下方に流れて、ルーバー装置4の下部に滞留するため、害虫や害獣を効果的に忌避することが可能となる。
【0033】
なお、ルーバー装置4及びオゾン放出装置2はそれぞれ別の支柱5で支持することも可能であるが、本実施形態では、ルーバー装置4及びオゾン放出装置2は同じ支柱5を使って支持するようにしている。これにより、オゾン放出システム1全体としての構造を簡素化することができ、オゾン放出システム1設置の作業時間を短縮することができる。
【0034】
上記構成のオゾン放出システム1は、前述のごとく、オゾン放出装置2運転時に、外壁33に対するルーバー3の傾斜角度が小さくなるようにルーバー3を回転させることで、オゾン放出装置2と外壁33との間にルーバー3による一種の壁を形成することが可能となる。これにより、オゾンが外壁33に接近するのを抑止して、外壁33近傍のオゾン濃度の上昇を抑制することが可能となる。その結果、建物30内の人や家畜等に対し、オゾンを原因とするストレスの発生を防止することができる。
【0035】
また、オゾン放出システム1は、オゾン放出装置2停止時に、外壁33に対するルーバー3の傾斜角度が大きくなるようにルーバー3を回転させることで、ルーバー装置4の通風性を高めることができる。特に、鳥インフルエンザ流行の危険性が低い夏場などオゾン放出装置2を停止する間は、ルーバー装置4の通風性を高めることで、風通しを良くし建物内に清涼な風を取り込むことが可能となる。
【0036】
[第2実施形態]
本実施形態では、オゾン放出システム1のルーバー装置4のルーバー3を自動で回転させるようにした点、及び、オゾン放出装置2の運転状況に応じてルーバー装置4のルーバー3の回転を制御するようにした点が特徴とされる。その他の構成は第1実施形態と同様とされる。なお、本実施形態では第1実施形態と同じ名称の部材には便宜上同じ符号を付している。
【0037】
図10は、本実施形態のルーバー装置4のルーバー3の回転機構の一例を示す概略図であり、図11は、本実施形態のオゾン放出システム1の制御ブロック図である。なお、図11では、横方向Xの一番端に配置された支柱5に支持された複数段のルーバー3の一部を表しており、便宜上、構成部材の寸法を一部変えて模式的に示している。図に示すように、各段のルーバー3の長さ方向一端部には、プーリー21が固定される。また、支柱5には、プーリー21と同じ高さの位置に二連プーリー22が設置される。二連プーリー22の1段目と、プーリー21との間には二連プーリー22とプーリー21を連動させる第1歯付ベルト23が架設され、二連プーリー22の2段目には、二連プーリー22同士を連動させる第2歯付ベルト24が架設される。
【0038】
第2歯付ベルト24が架け渡された二連プーリー22の1つには二連プーリー22を回転させる駆動部としてステップモーター25が連結される。これにより、モーター25の回転に連動してルーバー装置4の各ルーバー3は同期して回転可能とされる。また、本実施形態のオゾン放出システム1は、図11に示すように、モーター25の動作及びオゾン放出装置2の動作を制御する制御部26と、情報入力部27とを備える。制御部26は、CPU、メモリ等を備えたマイコンから構成される。
【0039】
情報入力部27は、たとえば、リモコンを用いることができ、オゾン放出装置2の運転開始と運転停止を入力可能なほか、オゾン放出装置2運転時における外壁33に対するルーバー3の傾斜角度及びオゾン放出装置2停止時における外壁33に対するルーバー3の傾斜角度を設定可能とされる。情報入力部27には、予め、オゾン放出装置2運転時における外壁33に対するルーバー3の傾斜角度が小さくなるように設定し、オゾン放出装置2停止時における外壁33に対するルーバー3の傾斜角度が大きくなるように設定しておくことができる。
【0040】
上記構成のオゾン放出システム1において、情報入力部27にオゾン放出装置2の運転開始を入力すると、制御部26は、外壁33に対するルーバー3の傾斜角度が小さくなるように駆動部であるモーター25を作動させる。これにより、外壁33近傍のオゾン濃度の上昇を抑制することが可能となる。また、情報入力部27にオゾン放出装置2の運転停止を入力すると、制御部26は、外壁33に対するルーバー3の傾斜角度が大きくなるようにモーター25を作動させる。これにより、ルーバー装置2の通風性を高めることが可能となる。なお、情報入力部27には、運転の予約ができるようにしてもよい。これにより、所定の時間にオゾン放出装置2の運転のON/OFFと、それに合わせてルーバー装置4のルーバー3の回転の制御が可能となる。
【0041】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。たとえば、上記実施形態では、ルーバー3の形状が平板状である場合について説明したが、これに限らず、ルーバー3の断面形状がS字状であってもよいし、図12に示すように、断面が緩やかなU字状であってもよいし、図13に示すように、断面が緩やかなΩ字状であってもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、ルーバー装置4のルーバーは回転軸方向が水平方向となるように配置されているが、これに限らず、管軸方向が垂直方向となるように配置することも可能である。ルーバーとしてはできるだけ軽量であることが望まれるため、樹脂製ルーバーが好ましい一方、樹脂製ルーバーでは長さが長くなるほど、撓みやすいという問題が生じるが、ルーバーを回転軸方向が垂直方向となるように配置することで撓みにくいという利点を有する。
【0043】
実施形態及び上記変形例に開示されている構成要件は互いに組合せ可能であり、組合せることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 オゾン放出システム
2 オゾン放出装置
3 ルーバー
4 ルーバー装置
5 支柱
6 支持部
7 回転アーム
8 長孔
9 操作桿
11 棒状部
12 ラック
13 ハンドル
14 ギア
15 外壁と平行な仮想面
17 オゾン発生部
18 搬送管部
19 オゾン放出孔
21 プーリー
22 二連プーリー
23 第1歯付ベルト
24 第2歯付ベルト
25 ステップモーター
26 制御部
27 情報入力部
30 建物(鶏舎)
31 ケージ
32 ラック
33 外壁
34 開口部
35 排気口
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