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特開2024-123522透水性シート、板部材、型枠およびコンクリート製品の製造方法
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  • 特開-透水性シート、板部材、型枠およびコンクリート製品の製造方法 図1
  • 特開-透水性シート、板部材、型枠およびコンクリート製品の製造方法 図2
  • 特開-透水性シート、板部材、型枠およびコンクリート製品の製造方法 図3
  • 特開-透水性シート、板部材、型枠およびコンクリート製品の製造方法 図4
  • 特開-透水性シート、板部材、型枠およびコンクリート製品の製造方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123522
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】透水性シート、板部材、型枠およびコンクリート製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 7/34 20060101AFI20240905BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20240905BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240905BHJP
   B32B 27/02 20060101ALI20240905BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20240905BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20240905BHJP
   B28B 11/24 20060101ALI20240905BHJP
   C04B 40/00 20060101ALI20240905BHJP
   E04G 9/10 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B28B7/34 M
B32B5/26
B32B7/023
B32B27/02
B32B27/32 Z
B32B27/36
B28B11/24
C04B40/00
E04G9/10 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031009
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】生田目 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 光男
【テーマコード(参考)】
2E150
4F100
4G053
4G055
4G112
【Fターム(参考)】
2E150AA23
2E150BA02
2E150MA11W
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK07A
4F100AK07B
4F100AK42B
4F100AK52B
4F100BA02
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CA18A
4F100DG01A
4F100DG01B
4F100DG15A
4F100DG15B
4F100GB07
4F100JB05B
4F100JD05A
4F100JD05B
4F100JN21B
4G053DA06
4G055AA01
4G055BA10
4G112RB02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シート内部における水の拡散性が高く、かつ、拡散性の経時的な低下を抑制した透水性シートを提供する。
【解決手段】コンクリート製品を製造するための型枠に用いられる透水性シートであって、上記透水性シートは、第1樹脂繊維を含む第1不織布層1と、上記第1不織布層の一方の面に配置され、第2樹脂繊維を含む第2不織布層2とを有し、5cm×5cmのサイズに切断した上記透水性シートにおける上記第2不織布層側の面に、0.2gの水を滴下し、上記水の質量の経時変化を測定する、1回目の吸水速乾性試験において、30分後の残存水分率が、10%以下であり、2回目の上記吸水速乾性試験、および、3回目の上記吸水速乾性試験において、上記30分後の残存水分率がいずれも10%以下である、透水性シートを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製品を製造するための型枠に用いられる透水性シートであって、
前記透水性シートは、第1樹脂繊維を含む第1不織布層と、前記第1不織布層の一方の面に配置され、第2樹脂繊維を含む第2不織布層と、を有し、
5cm×5cmのサイズに切断した前記透水性シートにおける前記第2不織布層側の面に、0.2gの水を滴下し、前記水の質量の経時変化を測定する、1回目の吸水速乾性試験において、30分後の残存水分率が、10%以下であり、
2回目の前記吸水速乾性試験、および、3回目の前記吸水速乾性試験において、前記30分後の残存水分率が、いずれも10%以下である、透水性シート。
【請求項2】
前記透水性シートにおける前記第2不織布層側の面の60°グロス値が、4.5以上である、請求項1に記載の透水性シート。
【請求項3】
前記透水性シートにおける前記第1不織布層側の面に、0.02g以上0.06g以下の水滴を滴下し、前記水滴の第1不織布層への浸透が完了するまでの浸透時間を測定する浸透性試験において、前記浸透時間が3秒以下である、請求項1に記載の透水性シート。
【請求項4】
前記第1不織布層が、界面活性剤を含有する、請求項3に記載の透水性シート。
【請求項5】
前記第1樹脂繊維が、前記界面活性剤により被覆されている、請求項4に記載の透水性シート。
【請求項6】
前記界面活性剤が、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の少なくとも一種である、請求項4に記載の透水性シート。
【請求項7】
前記第1不織布層が、前記第1樹脂繊維として、ポリオレフィン繊維を含有する、請求項3に記載の透水性シート。
【請求項8】
前記ポリオレフィン繊維が、ポリプロピレンを芯としポリエチレンを鞘とする芯鞘型繊維である、請求項7に記載の透水性シート。
【請求項9】
前記第2不織布層が、親水剤を含有しない、請求項3に記載の透水性シート。
【請求項10】
前記第2不織布層が、親水剤を含有し、
前記親水剤が、前記第2樹脂繊維に練りこまれている、請求項3に記載の透水性シート。
【請求項11】
前記第2不織布層が、前記第2樹脂繊維として、ポリプロピレンを芯としポリエチレンを鞘とする芯鞘型繊維を含有し、
前記第2不織布層が、親水剤として、スクワラン系親水剤およびポリエステル系親水剤の少なくとも一方を含有する、請求項1に記載の透水性シート。
【請求項12】
前記第2不織布層が、前記第2樹脂繊維として、ポリエチレンテレフタレート繊維と、ポリエチレンテレフタレートを芯としポリエチレンを鞘とする芯鞘型繊維と、を含有し、
前記第2不織布層が、親水剤を含有する、請求項1に記載の透水性シート。
【請求項13】
前記親水剤が、非イオン系シリコーンポリマー、スクワラン系親水剤、ポリエステル系親水剤およびオレフィン系親水剤の少なくとも一種である、請求項12に記載の透水性シート。
【請求項14】
前記第2不織布層が、前記第2樹脂繊維として、ポリプロプレン繊維を含有し、
前記第2不織布層が、親水剤として、スクワラン系親水剤、ポリエステル系親水剤およびオレフィン系親水剤の少なくとも一種を含有する、請求項1に記載の透水性シート。
【請求項15】
コンクリート製品を製造するための型枠に用いられる板部材であって、
前記板部材は、基板と、請求項1から請求項14までのいずれかの請求項に記載の透水性シートと、を有し、
厚さ方向において、前記基板、前記第1不織布層および前記第2不織布層が、この順に配置されている、板部材。
【請求項16】
コンクリート製品を製造するための型枠であって、
前記型枠は、型枠本体と、請求項1から請求項14までのいずれかの請求項に記載の透水性シートと、を有し、
厚さ方向において、前記型枠本体、前記第1不織布層および前記第2不織布層が、この順に配置されている、型枠。
【請求項17】
前記型枠本体は、複数の基板を組み合わせて構成されている、請求項16に記載の型枠。
【請求項18】
型枠を準備する準備工程と、
前記型枠内に、コンクリート前駆体を投入し、水和反応により前記コンクリート前駆体を硬化させる硬化工程と、
を有するコンクリート製品の製造方法であって、
前記型枠は、型枠本体と、請求項1から請求項14までのいずれかの請求項に記載の透水性シートと、を有し、
厚さ方向において、前記型枠本体、前記第1不織布層および前記第2不織布層が、この順に配置されている、コンクリート製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、透水性シート、板部材、型枠およびコンクリート製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、コンクリート製品は、鉄等の金属または木を用いた型枠を組み立て、組み立てた型枠内にコンクリート前駆体(セメント、骨材および水を含有する混合物)を流し込むことによって製造される。型枠内におけるコンクリート前駆体は、水和反応により硬化し、高い強度を有するコンクリート製品が得られる。コンクリート前駆体を良好に硬化させるためには、水分管理が重要である。
【0003】
コンクリート前駆体を硬化させる際に、コンクリート前駆体の余剰水および気泡が適切に排出されないと、型枠との当接面においてアバタ等の形状不良を有するコンクリート製品が得られる場合がある。一方、余剰水の排出を促進するため、型枠に透水性を有するシートを設ける技術が知られている。例えば、特許文献1には、熱融着された不織布よりなる濾過層(I)と、不織布からなる通気・透水層(II)とが一体化された、型枠用透水性シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-059140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
余剰水の排出を促進するため、透水性シートは、シート内部における水の拡散性が高いことが望まれる。また、シート内部における水の拡散性は、経時的に低下しにくいことが望まれる。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、シート内部における水の拡散性が高く、かつ、上記拡散性の経時的な低下を抑制した透水性シートを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示においては、コンクリート製品を製造するための型枠に用いられる透水性シートであって、上記透水性シートは、第1樹脂繊維を含む第1不織布層と、上記第1不織布層の一方の面に配置され、第2樹脂繊維を含む第2不織布層と、を有し、5cm×5cmのサイズに切断した上記透水性シートにおける上記第2不織布層側の面に、0.2gの水を滴下し、上記水の質量の経時変化を測定する、1回目の吸水速乾性試験において、30分後の残存水分率が、10%以下であり、2回目の上記吸水速乾性試験、および、3回目の上記吸水速乾性試験において、上記30分後の残存水分率が、いずれも10%以下である、透水性シートを提供する。
【0007】
本開示においては、コンクリート製品を製造するための型枠に用いられる板部材であって、上記板部材は、基板と、上述した透水性シートと、を有し、厚さ方向において、上記基板、上記第1不織布層および上記第2不織布層が、この順に配置されている、板部材を提供する。
【0008】
本開示においては、コンクリート製品を製造するための型枠であって、上記型枠は、型枠本体と、上述した透水性シートと、を有し、厚さ方向において、上記型枠本体、上記第1不織布層および上記第2不織布層が、この順に配置されている、型枠を提供する。
【0009】
本開示においては、型枠を準備する準備工程と、上記型枠内に、コンクリート前駆体を投入し、水和反応により上記コンクリート前駆体を硬化させる硬化工程と、を有するコンクリート製品の製造方法であって、上記型枠は、型枠本体と、上述した透水性シートと、を有し、厚さ方向において、上記型枠本体、上記第1不織布層および上記第2不織布層が、この順に配置されている、コンクリート製品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本開示においては、シート内部における水の拡散性が高く、かつ、上記拡散性の経時的な低下を抑制した透水性シートを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示における透水性シートを例示する概略断面図である。
図2】本開示におけるコンクリート製品の製造方法を例示する概略平面図である。
図3図2(b)におけるA-A断面図である。
図4】本開示における透水性シートを例示する概略断面図である。
図5】本開示における板部材を例示する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記に、図面等を参照しながら、実施の形態を説明する。ただし、本開示は、多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定されるべきではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状について模式的に表す場合があるが、これはあくまで一例であり、限定して解釈されるべきではない。
【0013】
本明細書において、ある部材に、他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限り、ある部材に接するように、直上あるいは直下に、他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合と、の両方を含む。また、本明細書において、ある部材の面に、他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面に」と表記する場合、特に断りの無い限り、ある部材に接するように、直上あるいは直下に、他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合と、の両方を含む。
【0014】
以下、本開示における、透水性シート、板部材、型枠およびコンクリート製品の製造方法について、詳細に説明する。
【0015】
A.透水性シート
図1は、本開示における透水性シートを例示する概略断面図である。図1に示すように、透水性シート10は、厚さ方向Dに沿って配置された、第1不織布層1および第2不織布層2を有する。また、本開示においては、透水性シート10における第2不織布層2側の面に、後述する吸水速乾性試験を3回行う。その3回の吸水速乾性試験において、いずれも、30分後の残存水分率が10%以下であることを一つの特徴とする。
【0016】
本開示によれば、所定の吸水速乾性試験が良好であることから、シート内部における水の拡散性が高く、かつ、上記拡散性の経時的な低下を抑制した透水性シートとなる。上述したように、コンクリート前駆体を硬化させる際に、コンクリート前駆体の余剰水および気泡が適切に排出されないと、型枠との当接面においてアバタ等の形状不良を有するコンクリート製品が得られる場合がある。これに対して、本開示における透水性シートは、シート内部における水の拡散性が高く、かつ、上記拡散性の経時的な低下を抑制できるため、コンクリート前駆体における水和反応を、素早く適切に促すことができ、アバタ等の形状不良の発生を抑制することができる。
【0017】
また、後述するように、コンクリート製品の表面の平滑性は、透水性シートにおける第2不織布層側の面(コンクリートとの当接面)の平滑性によって、大きな影響を受ける。具体的に、上記当接面の平滑性が高いと、コンクリート製品の表面の平滑性も高くなる。上記当接面の平滑性は、例えば、上記当接面のグロス値により規定できる。一方、上記当接面の平滑性を高くするためには、第2不織布層を緻密化する必要があり、第2不織布層を緻密化すると、吸水速乾性が低下しやすい。そのため、第2不織布層の緻密化と、吸水速乾性とを、両立することは困難である。これに対して、本開示においては、後述するように、例えば、第1不織布層の親水性を向上させたり、第2不織布層における第2樹脂繊維および親水剤の組み合わせとして、特定の組み合わせを採用したりすることで、第2不織布層の緻密化と、吸水速乾性と、を両立することができる。
【0018】
1.吸水速乾性試験
本開示における吸水速乾性試験は、5cm×5cmのサイズに切断した透水性シートにおける第2不織布層側の面に、0.2gの水を滴下し、水の質量の経時変化を測定する試験である。「透水性シートにおける第2不織布層側の面」とは、第2不織布層を基準として、第1不織布層とは反対側に位置する、透水性シートの面をいう。シート内部における水の拡散性が高いと、水の蒸発が促進され、残存水分率が小さくなる。逆に、シート内部における水の拡散性が低いと、水の蒸発が促進されず、残存水分率が大きくなる。また、滴下した水により、例えば、後述する親水剤および界面活性剤が透水性シートから流出すると、その後の吸水速乾性試験における残存水分率は大きくなる。
【0019】
吸水速乾性試験の詳細は、以下の通りである。すなわち、透水性シートを5cm×5cmのサイズに切断し、樹脂板上に配置する。この際、透水性シートにおける第1不織布層を樹脂板に対向させる。また、樹脂板の質量Mを予め測定しておき、樹脂板および透水性シートの質量Mから、透水性シートの質量Mを求める(M=M-M)。次に、温度25℃、湿度65%RHの環境において、透水性シートにおける第2不織布層側の面に、先端の開口径が2mmのスポイトを用いて、上記面の中心に0.2gの水を一度に滴下する。次に、滴下後30分経過した時点で、樹脂板および透水性シートの質量Mから、吸水速乾性試験後の透水性シートの質量Mを求める(M=M-M)。次に、MおよびMから、30分後の残存水分率Rを求める(R=(M-M)/0.2)。上記の操作を10回行い、得られた10個の残存水分率Rから、最も大きい値、2番目に大きい値、最も小さい値、および、2番目に小さい値を除き、残った6個の残存水分率Rの平均値を、1回目の残存水分率Rとする。
【0020】
1回目の吸水速乾性試験後に続き、2回目の吸水速乾性試験および3回目の吸水速乾性試験を行う。具体的には、1回目の吸水速乾性試験後に、温度25℃、湿度65%RHの環境に1時間静置する。その後、2回目の吸水速乾性試験を行う。また、2回目の吸水速乾性試験後に、同様の操作を行ったうえで、3回目の吸水速乾性試験を行う。
【0021】
本開示においては、1回目、2回目および3回目の吸水速乾性試験において、30分後の残存水分率が、いずれも10%以下である。上記残存水分率は、いずれも7%以下であってもよく、5%以下であってもよい。
【0022】
2.浸透性試験
本開示における浸透性試験は、透水性シートにおける第1不織布層側の面に、0.02g以上0.06g以下の水滴を滴下し、水滴の第1不織布層への浸透が完了するまでの浸透時間を測定する試験である。「透水性シートにおける第1不織布層側の面」とは、第1不織布層を基準として、第2不織布層とは反対側に位置する、透水性シートの面をいう。また、0.02g以上0.06g以下の水滴は、おおよそ1滴の水滴に該当する。第1不織布層の親水性が高いと、瞬時に(長くても3秒以内に)、水滴の第1不織布層への浸透が完了する。一方、第1不織布層の親水性が低いと、透水性シートの第1不織布層側の面に、長期にわたり、水滴が残存する。
【0023】
浸透性試験の詳細は、以下の通りである。すなわち、透水性シートを5cm×5cmのサイズに切断し、樹脂板上に配置する。この際、透水性シートにおける第2不織布層を樹脂板に対向させる。次に、温度25℃、湿度65%RHの環境において、透水性シートにおける第1不織布層側の面に、先端の開口径が2mmのスポイトを用いて、0.02g以上0.06g以下の水滴(おおよそ一滴の水滴)を、上記面の中心に一度に滴下する。次に、滴下後3秒後に、上記面の水滴が残存しているか否かを目視により確認する。
【0024】
3.透水性シートの層構成
本開示における透水性シートは、第1樹脂繊維を含む第1不織布層と、上記第1不織布層の一方の面に配置された第2不織布層と、を有する。第1不織布層および第2不織布層は、接するように配置されていてもよく、他の層を介して配置されていてもよい。
【0025】
(1)第1不織布層
第1不織布層は、第1樹脂繊維を含み、第2不織布層から移行する余剰水を外部に排出する機能を有する層である。なお、第1不織布層に含まれる樹脂繊維を、第1樹脂繊維と称する。
【0026】
(i)第1樹脂繊維
第1不織布層は、第1樹脂繊維を含む。第1樹脂繊維としては、例えば、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維が挙げられる。ポリオレフィン繊維としては、例えば、ポリエチレン繊維(PE繊維)、ポリプロピレン繊維(PP繊維)、エチレン-プロピレン共重合体繊維(PE-PP繊維)が挙げられる。ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)が挙げられる。
【0027】
第1樹脂繊維は、芯鞘型繊維であってもよい。芯鞘型繊維は、芯部と、芯部の周りを覆う鞘部を有する繊維である。芯部を構成する樹脂の融点は、通常、鞘部を構成する樹脂の融点より高い。また、芯部を構成する樹脂と、鞘部を構成する樹脂とは、通常、異種の樹脂である。
【0028】
芯部を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂が挙げられる。中でも、芯部を構成する樹脂は、ポリエチレンまたはポリプロピレンであることが好ましい。一方、鞘部を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルが挙げられる。
【0029】
芯部を構成する樹脂と、鞘部を構成する樹脂との組み合わせとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを芯部としポリエチレンを鞘部とする芯鞘型繊維(PET/PE)、ポリプロピレンを芯部としポリエチレンを鞘部とする芯鞘型繊維(PP/PE)が挙げられる。中でも、第1不織布層は、第1樹脂繊維として、芯鞘型繊維(PP/PE)、芯鞘型繊維(PET/PE)を有することが好ましい。
【0030】
第1不織布層は、第1樹脂繊維として、1種の樹脂繊維のみを含有していてもよく、2種以上の樹脂繊維を含有していてもよい。第1不織布層が2種以上の樹脂繊維を含有する場合、それらは混紡されていることが好ましい。
【0031】
第1不織布層は、第1樹脂繊維として、ポリプロピレン(PP)を芯としポリエチレン(PE)を鞘とする芯鞘型繊維(PP/PE)が界面活性剤により被覆された高親水芯鞘型繊維(PP/PE)と、ポリプロピレン(PP)を芯としポリエチレン(PE)を鞘とする芯鞘型繊維(PP/PE)とを含有していてもよい。高親水性芯鞘型繊維(PP/PE)および芯鞘型繊維(PP/PE)の合計に対する高親水性芯鞘型繊維(PP/PE)の割合は、例えば、20質量%以上、80質量%以下であり、40質量%以上、60質量%以下であってもよい。
【0032】
第1不織布層は、第1樹脂繊維として、ポリプロプレン繊維(PP)と、ポリプロピレン(PP)を芯としポリエチレン(PE)を鞘とする芯鞘型繊維(PP/PE)とを含有していてもよい。ポリプロプレン繊維(PP)および芯鞘型繊維(PP/PE)の合計に対する芯鞘型繊維(PP/PE)の割合は、例えば、20質量%以上、80質量%以下であり、40質量%以上、60質量%以下であってもよい。
【0033】
第1樹脂繊維は、膨潤性の繊維(OH基を有する繊維)ではないことが好ましい。例えば、レーヨン等の繊維はOH基を有するため、水を吸収して膨潤する。水を吸収して膨潤すると、第1不織布層の目が狭くなり、透水性が低下する。第1樹脂繊維は、通常、非膨潤性の繊維(OH基を有しない繊維)である。
【0034】
第1樹脂繊維は、各繊維同士が部分的に熱溶着しており、不織布を構成している。不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、エアレイド不織布、フラッシュ紡糸不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、ステッチボンド不織布、サーマルボンド不織布、バーストファイバー不織布が挙げられる。
【0035】
(ii)界面活性剤
第1不織布層は、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤は、通常、親水性領域と、疎水性領域とを有する化合物である。第1樹脂繊維は、通常、疎水性であるため、界面活性剤における疎水性領域が、第1樹脂繊維の表面側に配置され、界面活性剤における親水性領域が露出する。そのため、第1不織布層の親水性が向上する。界面活性剤は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いられる。一方、後述する実施例に記載するように、第1不織布層は、界面活性剤を含有していなくてもよい。
【0036】
界面活性剤としては、例えば、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられる。陽イオン性界面活性剤は、水中で解離した時に陽イオンとなる界面活性剤であり、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩が挙げられる。また、陰イオン性界面活性剤は、水中で解離した時に陰イオンとなる界面活性剤であり、例えば、脂肪酸ナトリウム塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩が挙げられる。
【0037】
両性界面活性剤は、分子内にアニオン性部位とカチオン性部位の両方を有する界面活性剤であり、溶液のpHに応じて、陽イオン、両性または陰イオンとなり、例えば、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタインが挙げられる。また、非イオン性界面活性剤は、イオン化しない親水性部分を有する界面活性剤であり、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテルが挙げられる。
【0038】
第1不織布層における界面活性剤の含有量は、例えば、0.1g/m以上、300g/m以下である。また、界面活性剤は、第1樹脂繊維を被覆していることが好ましい。例えば、第1樹脂繊維を表面処理加工することにより、第1樹脂繊維の表面を被覆するように、界面活性剤が付着する。表面処理加工としては、例えば、界面活性剤を蒸留水で希釈した処理液に浸漬する方法、界面活性剤を蒸留水で希釈した処理液を塗布する方法が挙げられる。
【0039】
(iii)第1不織布層
第1不織布層が界面活性剤を含有する場合、第2不織布層は、親水剤を含有しなくてもよい。第1不織布層の親水性を高くすることで、第2不織布層が親水剤を含有しなくても、第2不織布層の吸水性を向上させることができる。また、第1不織布層が界面活性剤を含有し、さらに、第2不織布層は、親水剤を含有していてもよい。この場合、親水剤は、第2樹脂繊維に練りこまれていてもよく、第2樹脂繊維を被覆していてもよい。一方、第1不織布層が界面活性剤を含有しない場合、第2不織布層が親水剤を含有することが好ましい。この場合も、親水剤は、第2樹脂繊維に練りこまれていてもよく、第2樹脂繊維を被覆していてもよい。
【0040】
第1不織布層の厚さは、例えば、0.5mm以上、3.0mm以下であり、1.0mm以上、2.0mm以下であってもよい。また、第1不織布層の坪量は、例えば、100g/m以上、300g/m以下であり、150g/m以上、250g/m以下であってもよい。
【0041】
(2)第2不織布層
第2不織布層は、上記第1不織布層の一方の面に配置され、第2樹脂繊維を含む層であり、セメント微粒子を保持しつつ、余剰水を透水する機能を有する。なお、第2不織布層に含まれる樹脂繊維を、第2樹脂繊維と称する。
【0042】
(i)第2樹脂繊維
第2不織布層は、第2樹脂繊維を含む。第2樹脂繊維としては、例えば、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維が挙げられる。ポリオレフィン繊維としては、例えば、ポリエチレン繊維(PE繊維)、ポリプロピレン繊維(PP繊維)、エチレン-プロピレン共重合体繊維(PE-PP繊維)が挙げられる。ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)が挙げられる。
【0043】
第2樹脂繊維は、芯鞘型繊維であってもよい。芯鞘型繊維の詳細については、上述した第1樹脂繊維における芯鞘型繊維と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0044】
第2不織布層は、第2樹脂繊維として、1種の樹脂繊維のみを含有していてもよく、2種以上の樹脂繊維を含有していてもよい。第2不織布層が2種以上の樹脂繊維を含有する場合、それらは混紡されていることが好ましい。
【0045】
第2不織布層は、第2樹脂繊維として、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)と、ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯としポリエチレン(PE)を鞘とする芯鞘型繊維(PET/PP)と、を含有していてもよい。PET繊維および芯鞘型繊維(PET/PP)の合計に対する芯鞘型繊維(PET/PE)の割合は、例えば、50質量%以上、90質量%以下であり、60質量%以上、80質量%以下であってもよい。
【0046】
(ii)親水剤
第2不織布層は、親水剤を含有していてもよい。親水剤を添加することで、コンクリート前駆体からの余剰水を通過させやすくなる。また、第2樹脂繊維および親水剤において、両者の溶解パラメータの差が小さいと、親水剤が第2樹脂繊維に絡みつきやすく、親水性が向上しやすい。一方、両者の溶解パラメータの差が大きいと、親水剤が第2樹脂繊維に絡みつきにくく、親水性が低下しやすいと推測される。親水剤は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いられる。一方、後述する実施例に記載するように、第2不織布層は、親水剤を含有していなくてもよい。
【0047】
親水剤としては、例えば、スクワラン系親水剤、ポリエステル系親水剤、オレフィン系親水剤、非イオン系シリコーンポリマーが挙げられる。スクワラン系親水剤は、スクワランまたはその誘導体を含有する親水剤である。スクワランは保湿剤としても知られており、サメの肝油から抽出された動物性スクワラン、および、オリーブ等の植物から抽出された植物性スクワランが知られている。スクワラン系親水剤としては、例えば、コタニ化学社製のクインセッターSSQ-2が挙げられる。
【0048】
ポリエステル系親水剤としては、例えば、日華化学社製のナイスポールPR-99が挙げられる。また、オレフィン系親水剤としては、例えば、日華化学社製、ナイスポールNW-543が挙げられる。また、非イオン系シリコーンポリマーとしては、例えば、クインセットPSO-7000が挙げられる。
【0049】
親水剤は、熱架橋型であってもよい。熱架橋型の親水剤は、熱による架橋反応により高分子化して水に溶けない網状の分子構造になるため繊維と絡み、流出しにくくなり、透水性シートとして繰り替えし使用することが可能になる。
【0050】
第2不織布層における親水剤の含有量は、例えば、0.1g/m以上、100g/m以下である。また、親水剤は、第2樹脂繊維を被覆していてもよい。例えば、第2樹脂繊維を親水処理加工することにより、第2樹脂繊維の表面を被覆するように、親水剤が付着する。親水処理加工としては、例えば、親水剤を蒸留水で希釈した親水処理液に浸漬する方法、親水剤を蒸留水で希釈した親水処理液を塗布する方法が挙げられる。一方、親水剤は、第2樹脂繊維に練りこまれていてもよい。すなわち、第2樹脂繊維の内部に親水剤が存在していてもよい。
【0051】
第2不織布層が親水剤を含有する場合、第2樹脂繊維および親水剤の組み合わせは、特に限定されず、例えば、上述した第2樹脂繊維および親水剤の任意の組み合わせを採用することができる。一方、第2樹脂繊維および親水剤の好ましい組み合わせとして、例えば、以下の組み合わせを挙げることができる。
【0052】
(第1の組み合わせ)
第2不織布層が、第2樹脂繊維として、ポリプロピレンを芯としポリエチレンを鞘とする芯鞘型繊維(PP/PE)を含有する場合、第2不織布層は、親水剤として、スクワラン系親水剤およびポリエステル系親水剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。第1の組み合わせにおいて、第2不織布層に含まれる全ての第2樹脂繊維に対する芯鞘型繊維(PP/PE)の割合は、例えば、50質量%以上であり、70質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。また、第1の組み合わせにおいて、第2樹脂繊維は、親水剤により被覆されていることが好ましい。
【0053】
(第2の組み合わせ)
第2不織布層が、第2樹脂繊維として、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)と、ポリエチレンテレフタレートを芯としポリエチレンを鞘とする芯鞘型繊維(PET/PE)と、を含有する場合、第2不織布層は、任意の親水剤を含有することが好ましい。中でも、親水剤は、非イオン系シリコーンポリマー、スクワラン系親水剤、ポリエステル系親水剤およびオレフィン系親水剤の少なくとも一種であることが好ましい。第2の組み合わせにおいて、第2不織布層に含まれる全ての第2樹脂繊維に対する、PET繊維および芯鞘型繊維(PET/PE)の合計の割合は、例えば、50質量%以上であり、70質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。また、第2の組み合わせにおいて、第2樹脂繊維は、親水剤により被覆されていることが好ましい。
【0054】
(第3の組み合わせ)
第2不織布層が、第2樹脂繊維として、ポリプロプレン繊維(PP繊維)を含有する場合、第2不織布層は、親水剤として、スクワラン系親水剤、ポリエステル系親水剤およびオレフィン系親水剤の少なくとも一種を含有することが好ましい。第3の組み合わせにおいて、第2不織布層に含まれる全ての第2樹脂繊維に対する、PP繊維の割合は、例えば、50質量%以上であり、70質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。また、第3の組み合わせにおいて、第2樹脂繊維は、親水剤により被覆されていることが好ましい。
【0055】
(iii)第2不織布層
透水性シートにおける第2不織布層側の面(コンクリートとの当接面)は、平滑であることが好ましい。コンクリート製品の表面の平滑性を向上させることができるからである。上記当接面の60°グロス値は、例えば4.5以上であり、10以上であってもよく、20以上であってもよい。
【0056】
第2不織布層の厚さは、例えば、0.03mm以上、0.5mm以下であり、0.05mm以上、0.3mm以下であってもよい。また、第2不織布層の坪量は、例えば、15g/m以上、100g/m以下であり、20g/m以上、80g/m以下であってもよい。第2不織布層の坪量が小さすぎると、コンクリート粒子の浸入が起きやすく、第2不織布層の坪量が大きすぎると、余剰水を吸水しにくくなる。また、第2不織布層の坪量は、第1不織布層の坪量より少ないことが好ましい。第1不織布層の坪量と、第2不織布層の坪量との差は、例えば50g/m以上であり、100g/m以上であってもよい。
【0057】
本開示において、第1不織布層および第2不織布層は、直接接触していてもよい。この場合、第1不織布層および第2不織布層は、両層の界面で溶着していることが好ましい。一方、第1不織布層および第2不織布層は、接着層を介して積層されていてもよい。接着層は、パターン状であることが好ましい。接着層は、例えば、ホットメルト接着剤を含有することが好ましい。
【0058】
(3)その他の層
図4に示すように、透水性シート10は、第1不織布層1の第2不織布層2とは反対側の面に、粘着層3を有していてもよい。粘着層3を基板または型枠本体(例えば図2(a)における基板11または型枠本体21)に貼着することが好ましい。
【0059】
粘着層に用いられる粘着剤としては、例えば、アクリル樹脂系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤、塩化ビニル樹脂系、ゴム系粘着剤が挙げられる。また、粘着層は、中実層であってもよく、多孔質層であってもよい。粘着層の厚さは、特に限定されないが、例えば1μm以上、100μm以下である。
【0060】
図4に示すように、透水性シート10は、粘着層3の第1不織布層1とは反対側の面に、離型層4を有していてもよい。離型層4を設けることで、粘着層3を基板または型枠本体(例えば図2(a)における基板11または型枠本体21)に貼着するまで、粘着層3を保護することができる。離型層4の材料としては、例えば、紙、樹脂、金属が挙げられる。また、粘着層の形成方法の一例としては、離型層4上に粘着層形成用組成物を塗工し、乾燥した後に、第1不織布層1の第2不織布層2とは反対側の面をラミネートする方法が挙げられる。また、粘着層の形成方法の他の例としては、第1不織布層1の第2不織布層2とは反対側の面に、シート状の粘着層を貼着する方法が挙げられる。
【0061】
4.透水性シート
本開示における透水性シートの厚さは、特に限定されないが、例えば、0.5mm以上、3.0mm以下であり、1.0mm以上、2.0mm以下であってもよい。また、透水性シートは、コンクリート製品を製造するための型枠に用いられる。
【0062】
B.板部材
本開示における板部材は、コンクリート製品を製造するための型枠に用いられる板部材であって、上記板部材は、基板と、上述した透水性シートと、を有し、かつ、厚さ方向において、上記基板、上記第1不織布層および上記第2不織布層を、この順に有する。
【0063】
具体的には、図5に示すように、板部材20は、基板11と、透水性シート10と、を有する。また、板部材20は、厚さ方向Dにおいて、基板11、第1不織布層1および第2不織布層2を、この順に有する。また、図5に示す透水性シート10は、第1不織布層1の第2不織布層2とは反対側の面に粘着層3を有し、粘着層3および基板11が対向するように配置されている。また、特に図示しないが、透水性シートおよび基板を貼り合わせる際に、透水性シートおよび基板の少なくとも一方に、接着層を設けてもよい。
【0064】
本開示によれば、上述した透水性シートを用いることで、アバタ等の形状不良を抑制可能な型枠となる。なお、透水性シートについては、上記「A.透水性シート」に記載した内容と同様である。
【0065】
本開示における基板は、特に限定されないが、例えば木質基板、金属基板が挙げられる。木質基板としては、例えば、木材単板、木材合板、パーティクルボード、木質繊維板が挙げられる。金属基板としては、例えば、鉄板、鋼板が挙げられる。
【0066】
C.型枠
本開示における型枠は、コンクリート製品を製造するための型枠であって、上記型枠は、型枠本体と、上述した透水性シートと、を有し、かつ、厚さ方向において、上記型枠本体、上記第1不織布層および上記第2不織布層を、この順に有する。
【0067】
具体的には、図2(a)に示すように、型枠30は、型枠本体21と、透水性シート10と、を有する。また、型枠30は、厚さ方向において、型枠本体21と、第1不織布層1と、第2不織布層2とを、この順に有する。すなわち、型枠本体21および第2不織布層2の間に第1不織布層1が配置される。
【0068】
本開示によれば、上述した透水性シートを用いることで、アバタ等の形状不良を抑制可能な型枠となる。なお、透水性シートについては、上記「A.透水性シート」に記載した内容と同様である。
【0069】
本開示における型枠本体は、特に限定されないが、例えば、木質型枠、金属型枠が挙げられる。図2(a)に示すように、型枠本体21は、複数の基板21を組み合わせて構成されていてもよい。すなわち、型枠30は、複数の板部材(基板21および透水性シート10を有する部材)を組み合わせて構成されていてもよい。
【0070】
D.コンクリート製品の製造方法
本開示におけるコンクリート製品の製造方法は、型枠を準備する準備工程と、上記型枠内に、コンクリート前駆体を投入し、水和反応により上記コンクリート前駆体を硬化させる硬化工程と、を有するコンクリート製品の製造方法であって、上記型枠は、型枠本体と、上述した透水性シートと、を有し、かつ、厚さ方向において、上記型枠本体、上記第1不織布層および上記第2不織布層を、この順に有する。
【0071】
具体的には、図2(a)に示すように、まず、型枠30を準備する(準備工程)。型枠30は、型枠本体21と、透水性シート10と、を有し、かつ、厚さ方向において、型枠本体21、第1不織布層1および第2不織布層2を、この順に有する。次に、図2(b)に示すように、型枠30内に、コンクリート前駆体51を投入し、水和反応によりコンクリート前駆体51を硬化させ、コンクリート製品50を得る(硬化工程)。
【0072】
本開示によれば、上述した透水性シートを用いることで、アバタ等の形状不良を抑制したコンクリート製品が得られる。
【0073】
1.準備工程
本開示における準備工程は、型枠を準備する工程である。型枠については、上記「C.型枠」に記載した内容と同様である。
【0074】
2.硬化工程
本開示における硬化工程は、上記型枠内に、コンクリート前駆体を投入し、水和反応により上記コンクリート前駆体を硬化させる工程である。
【0075】
コンクリート前駆体は、セメント、骨材および水を含有する。セメントとしては、例えばポルトランドセメントが挙げられる。骨材としては、例えば、砂、砂利、砕石、砕砂が挙げられる。また、コンクリート前駆体は、減水剤等の混和剤を含有していてもよい。また、コンクリート前駆体を型枠内に投入する方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。
【0076】
3.コンクリート製品
本開示におけるコンクリート製品の製造方法は、硬化工程の後に、コンクリート製品から型枠を剥離する剥離工程を有していてもよい。また、本開示におけるコンクリート製品の用途は、特に限定されないが、例えば、建築物、道路、ダム、高架橋、トンネル、港湾設備が挙げられる。
【0077】
本開示は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
【実施例0078】
[実施例1]
第1不織布層に用いられる不織布シートとして、ポリプロピレン(PP)を芯としポリエチレン(PE)を鞘とする芯鞘型繊維(PP/PE)が界面活性剤により被覆された高親水性芯鞘型繊維(PP/PE)50質量%と、ポリプロピレン(PP)を芯としポリエチレン(PE)を鞘とする芯鞘型繊維(PP/PE)50質量%と、を有する不織布シート(ツジトミ社製、FTPP220、坪量220g/m、厚さ1.366mm)を準備した。また、第2不織布層に用いられる不織布シートとして、ポリエチレンテレフタレート繊維(サーマルボンドPET繊維)30質量%と、ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯としポリエチレン(PE)を鞘とする芯鞘型繊維(PET/PE)70質量%と、を有する不織布シート(ツジトミ社製、SF4070-E、坪量40g/m、厚さ0.083mm)を準備した。
【0079】
これらの不織布シートを、それぞれ5cm×10cmのサイズに切断し、積層した。得られた積層体を、第1不織布層が金属板と対向するように配置し、積層体の第2不織布層側の面に、厚さ25μmのPETフィルムを配置した。この状態で、加熱したゴムロールにより、PETフィルム側から、積層体に対して、加熱(ロール温度160℃)および加圧(10kgf)を行った。搬送速度は1.5m/分であった。これにより、第1不織布層および第2不織布層を有する透水性シートを得た。
【0080】
[実施例2]
第2不織布層に用いられる不織布シートとして、PPを芯としPEを鞘とする芯鞘型繊維(サーマルボンドPP/PE、シンワ社製、9540FOF、坪量40g/m、厚さ0.169mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、透水性シートを得た。
【0081】
[実施例3]
第2不織布層に用いられる不織布シートとして、親水剤が練りこまれたPP繊維(シンワ社製、6620-1W、坪量20g/m、厚さ0.114mm)を含む不織布シートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、透水性シートを得た。
【0082】
[比較例1]
第1不織布層に用いられる不織布シートとして、PP繊維50質量%と、PPを芯としPEを鞘とする芯鞘型繊維(PP/PE)50質量%と、を有する不織布シート(ツジトミ社製、NP2511、坪量220g/m、厚さ1.327mm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、透水性シートを得た。
【0083】
[比較例2]
第1不織布層に用いられる不織布シートとして、PE発泡体シート(イノアック社製、CP-3、厚さ0.7mm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、透水性シートを得た。
【0084】
[比較例3]
第1不織布層に用いられる不織布シートとして、PETを芯としPEを鞘とする芯鞘型繊維(PET/PE)を含む不織布シート(ユニチカ社製、AN100 BGO-1850、坪量100g/m、厚さ0.4mm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、透水性シートを得た。
【0085】
[比較例4]
第1不織布層に用いられる不織布シートとして、PET繊維を含む不織布シート(東レ社製、D5100、厚さ0.8mm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、透水性シートを得た。
【0086】
[評価]
(吸水速乾性試験)
各実施例および各比較例で得られた透水性シートに対して、吸水速乾性試験を3回行った。吸水速乾性試験の詳細については、上述した通りである。30分後の残存水分率が10%以下である場合を〇と評価し、30分後の残存水分率が10%より大きい場合を×と評価した。その結果を表1に示す。
【0087】
(浸透性試験)
各実施例および各比較例で得られた透水性シートに対して、浸透性試験を行った。浸透性試験の詳細については、上述した通りである。水滴の第1不織布層への浸透が完了するまでの浸透時間が3秒以下である場合を〇と評価し、上記浸透時間が3秒より長い場合を×と評価した。その結果を表1に示す。
【0088】
(グロス値)
各実施例および各比較例で得られた透水性シートにおける第2不織布層側の面の60°グロス値を測定した。60°グロス値は、グロスメーター(BYK社製 micro-TRI-gloss光沢計)を用い、JIS Z8741:1997に準拠した方法により測定した。具体的には、透水性シートにおける第2不織布層側の面を上に向け、グロスメーターを置き60°の光沢値を読み取ることによって行った。また、60°グロス値は、任意の10箇所において測定した値の平均値を採用した。その結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
表1に示すように、実施例1~3では、いずれも、吸水速乾性試験の結果が3回とも良好であった。また、実施例1~3では、いずれも、浸透性試験の結果が良好であった。特に、実施例1、2では、第2不織布層が親水剤を含有せず、第2不織布層の第1不織布層とは反対側の面の60°グロス値が高く(平滑性が高く)、吸水が生じにくい状況であるにも関わらず、吸水速乾性試験の結果が3回とも良好であった。これは、第1不織布層の親水性が高いため、第2不織布層の吸水性を向上させることができたためであると推測される。一方、比較例1~4では、いずれも、吸水速乾性試験の結果が悪かった。これは、第2不織布層の吸水性が低く、さらに、第1不織布層の親水性も低いためであると推測される。
【0091】
[実施例4]
第1不織布層に用いられる不織布シートとして、PP繊維50質量%と、PPを芯としPEを鞘とする芯鞘型繊維(PP/PE)50質量%と、を有する不織布シート(ツジトミ社製、NP2511、坪量220g/m、厚さ1.327mm)を準備した。また、第2不織布層に用いられる不織布シートとして、PPを芯としPEを鞘とする芯鞘型繊維(サーマルボンドPP/PE、シンワ社製、9540FOF、坪量40g/m、厚さ0.169mm)を準備した。親水剤としてスクワラン系親水剤(コタニ化学社製、クインセッターSSQ-2)を濃度20質量%で含有する水溶液を蒸留水で7.0質量%に希釈し、第2不織布層に用いられる不織布シートにディッピング処理した。ディッピング処理は常温で10分処理し、100℃で1時間乾燥させた。
【0092】
これらの不織布シートを、それぞれ5cm×10cmのサイズに切断し、積層した。得られた積層体を、第1不織布層が金属板と対向するように配置し、積層体の第2不織布層側の面に、厚さ25μmのPETフィルムを配置した。この状態で、加熱したゴムロールにより、PETフィルム側から、積層体に対して、加熱(ロール温度160℃)および加圧(10kgf)を行った。搬送速度は1.5m/分であった。これにより、第1不織布層および第2不織布層を有する透水性シートを得た。
【0093】
[実施例5]
親水剤としてポリエステル系親水剤(日華化学社製、ナイスポールPR-99)を濃度10質量%で含有する水溶液を蒸留水で5.0質量%に希釈し、第2不織布層に用いられる不織布シートにディッピング処理したこと以外は、実施例4と同様にして、透水性シートを得た。
【0094】
[比較例5]
親水剤を用いなかったこと以外は、実施例4と同様にして、透水性シートを得た。
【0095】
[比較例6]
親水剤としてオレフィン系親水剤(日華化学社製、ナイスポールNW-543)を濃度70質量%で含有する水溶液を蒸留水で10.0質量%に希釈し、第2不織布層に用いられる不織布シートにディッピング処理したこと以外は、実施例4と同様にして、透水性シートを得た。
【0096】
[評価]
各実施例および各比較例で得られた透水性シートに対して、上記と同様に、吸水速乾性試験、浸透性試験およびグロス値の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】
表2に示すように、実施例4、5では、いずれも、吸水速乾性試験の結果が3回とも良好であった。また、実施例4、5では、第2不織布層の第1不織布層とは反対側の面の60°グロス値が比較的高く(平滑性が比較的高く)、吸水が生じにくい状況であるにも関わらず、吸水速乾性試験の結果が3回とも良好であった。これは、第2不織布層が所定の親水剤を含有し、第2不織布層の吸水性を向上させることができたためであると推測される。一方、比較例5、6では、いずれも、吸水速乾性試験の結果が悪かった。これは、第2不織布層の吸水性が低いためであると推測される。
【0099】
[実施例6]
第1不織布層に用いられる不織布シートとして、PP繊維50質量%と、PPを芯としPEを鞘とする芯鞘型繊維(PP/PE)50質量%と、を有する不織布シート(ツジトミ社製、NP2511、坪量220g/m、厚さ1.327mm)を準備した。また、第2不織布層に用いられる不織布シートとして、PET繊維(サーマルボンドPET繊維)30質量%と、PETを芯としポリエチレンPEを鞘とする芯鞘型繊維(PET/PE)70質量%と、を有する不織布シート(ツジトミ社製、SF4070-E、坪量40g/m、厚さ0.083mm)を準備した。親水剤として熱架橋型非イオン系シリコーンポリマー(コタニ化学工業社製、PSO-7000)を濃度7.5質量%で含有する水溶液を蒸留水で4.0質量%に希釈し、第2不織布層に用いられる不織布シートにディッピング処理した。ディッピング処理は常温で10分処理し、100℃で1時間乾燥させた。
【0100】
これらの不織布シートを、それぞれ5cm×10cmのサイズに切断し、積層した。得られた積層体を、第1不織布層が金属板と対向するように配置し、積層体の第2不織布層側の表面に、厚さ25μmのPETフィルムを配置した。この状態で、加熱したゴムロールにより、PETフィルム側から、積層体に対して、加熱(ロール温度160℃)および加圧(10kgf)を行った。搬送速度は1.5m/分であった。これにより、第1不織布層および第2不織布層を有する透水性シートを得た。
【0101】
[実施例7]
親水剤としてスクワラン系親水剤(コタニ化学社製、クインセッターSSQ-2)を濃度20質量%で含有する水溶液を蒸留水で7.0質量%に希釈し、第2不織布層に用いられる不織布シートにディッピング処理(常温で10分処理)し、その後、100℃で1時間乾燥させたこと以外は、実施例6と同様にして、透水性シートを得た。
【0102】
[実施例8]
親水剤としてポリエステル系親水剤(日華化学社製、ナイスポールPR-99)を濃度10質量%で含有する水溶液を蒸留水で5.0質量%に希釈し、第2不織布層に用いられる不織布シートにディッピング処理したこと以外は、実施例6と同様にして、透水性シートを得た。
【0103】
[実施例9]
親水剤としてオレフィン系親水剤(日華化学社製、ナイスポールNW-543)を濃度70質量%で含有する水溶液を蒸留水で10.0質量%に希釈し、第2不織布層に用いられる不織布シートにディッピング処理したこと以外は、実施例6と同様にして、透水性シートを得た。
【0104】
[比較例7]
親水剤を用いなかったこと以外は、実施例6と同様にして、透水性シートを得た。
【0105】
[評価]
各実施例および各比較例で得られた透水性シートに対して、上記と同様に、吸水速乾性試験、浸透性試験およびグロス値の測定を行った。その結果を表3に示す。
【0106】
【表3】
【0107】
表3に示すように、実施例6~9では、いずれも、吸水速乾性試験の結果が3回とも良好であった。これは、第2不織布層が所定の親水剤を含有し、第2不織布層の吸水性を向上させることができたためであると推測される。一方、比較例7では、吸水速乾性試験の結果が悪かった。これは、第2不織布層の吸水性が低いためであると推測される。
【0108】
[実施例10]
第1不織布層に用いられる不織布シートとして、PP繊維50質量%と、PPを芯としPEを鞘とする芯鞘型繊維(PP/PE)50質量%と、を有する不織布シート(ツジトミ社製、NP2511、坪量220g/m、厚さ1.327mm)を準備した。また、第2不織布層に用いられる不織布シートとして、PP繊維(スパンボンドPP繊維)を含む不織布シート(ツジトミ社製、LP0302D、坪量30g/m、厚さ0.215mm)を準備した。親水剤としてスクワラン系親水剤(コタニ化学社製、クインセッターSSQ-2)を濃度20質量%で含有する水溶液を蒸留水で7.0質量%に希釈し、第2不織布層に用いられる不織布シートにディッピング処理した。ディッピング処理は常温で10分処理し、100℃で1時間乾燥させた。
【0109】
これらの不織布シートを、それぞれ5cm×10cmのサイズに切断し、積層した。得られた積層体を、第1不織布層が金属板と対向するように配置し、積層体の第2不織布層側の表面に、厚さ25μmのPETフィルムを配置した。この状態で、加熱したゴムロールにより、PETフィルム側から、積層体に対して、加熱(ロール温度160℃)および加圧(10kgf)を行った。搬送速度は1.5m/分であった。これにより、第1不織布層および第2不織布層を有する透水性シートを得た。
【0110】
[実施例11]
親水剤としてポリエステル系親水剤(日華化学社製、ナイスポールPR-99)を濃度10質量%で含有する水溶液を蒸留水で5.0質量%に希釈し、第2不織布層に用いられる不織布シートにディッピング処理したこと以外は、実施例10と同様にして、透水性シートを得た。
【0111】
[実施例12]
親水剤としてオレフィン系親水剤(日華化学社製、ナイスポールNW-543)を濃度70質量%で含有する水溶液を蒸留水で10.0質量%に希釈し、第2不織布層に用いられる不織布シートにディッピング処理したこと以外は、実施例10と同様にして、透水性シートを得た。
【0112】
[比較例8]
親水剤を用いなかったこと以外は、実施例10と同様にして、透水性シートを得た。
【0113】
[比較例9]
親水剤として熱架橋型非イオン系シリコーンポリマー(コタニ化学工業社製、PSO-7000)を濃度7.5質量%で含有する水溶液を蒸留水で4.0質量%に希釈し、第2不織布層に用いられる不織布シートにディッピング処理(常温で10分処理)し、その後、100℃で1時間乾燥させたこと以外は、実施例10と同様にして、透水性シートを得た。
【0114】
[比較例10]
第2不織布層に用いられる不織布シートとして、PP繊維(シンワ社製、6620-1A、坪量20g/m、厚さ0.115mm)を用いたこと以外は、比較例8と同様にして、透水性シートを得た。
【0115】
[評価]
各実施例および各比較例で得られた透水性シートに対して、上記と同様に、吸水速乾性試験、浸透性試験およびグロス値の測定を行った。その結果を表4に示す。
【0116】
【表4】
【0117】
表4に示すように、実施例10~12では、いずれも、吸水速乾性試験の結果が3回とも良好であった。これは、第2不織布層が所定の親水剤を含有し、第2不織布層の吸水性を向上させることができたためであると推測される。一方、比較例8~10では、吸水速乾性試験の結果が悪かった。これは、第2不織布層の吸水性が低いためであると推測される。
【0118】
以上のように、本開示においては、例えば、以下の発明が提供される。
【0119】
[1]
コンクリート製品を製造するための型枠に用いられる透水性シートであって、
上記透水性シートは、第1樹脂繊維を含む第1不織布層と、上記第1不織布層の一方の面に配置され、第2樹脂繊維を含む第2不織布層と、を有し、
5cm×5cmのサイズに切断した上記透水性シートにおける上記第2不織布層側の面に、0.2gの水を滴下し、上記水の質量の経時変化を測定する、1回目の吸水速乾性試験において、30分後の残存水分率が、10%以下であり、
2回目の上記吸水速乾性試験、および、3回目の上記吸水速乾性試験において、上記30分後の残存水分率が、いずれも10%以下である、透水性シート。
【0120】
[2]
上記透水性シートにおける上記第2不織布層側の面の60°グロス値が、4.5以上である、[1]に記載の透水性シート。
【0121】
[3]
上記透水性シートにおける上記第1不織布層側の面に、0.02g以上0.06g以下の水滴を滴下し、上記水滴の第1不織布層への浸透が完了するまでの浸透時間を測定する浸透性試験において、上記浸透時間が3秒以下である、[1]または[2]に記載の透水性シート。
【0122】
[4]
上記第1不織布層が、界面活性剤を含有する、[1]から[3]までのいずれかに記載の透水性シート。
【0123】
[5]
上記第1樹脂繊維が、上記界面活性剤により被覆されている、[4]に記載の透水性シート。
【0124】
[6]
上記界面活性剤が、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の少なくとも一種である、[4]または[5]に記載の透水性シート。
【0125】
[7]
上記第1不織布層が、上記第1樹脂繊維として、ポリオレフィン繊維を含有する、[1]から[6]までのいずれかに記載の透水性シート。
【0126】
[8]
上記ポリオレフィン繊維が、ポリプロピレンを芯としポリエチレンを鞘とする芯鞘型繊維である、[7]に記載の透水性シート。
【0127】
[9]
上記第2不織布層が、親水剤を含有しない、[1]から[8]までのいずれかに記載の透水性シート。
【0128】
[10]
上記第2不織布層が、親水剤を含有し、
上記親水剤が、上記第2樹脂繊維に練りこまれている、[1]から[8]までのいずれかに記載の透水性シート。
【0129】
[11]
上記第2不織布層が、上記第2樹脂繊維として、ポリプロピレンを芯としポリエチレンを鞘とする芯鞘型繊維を含有し、
上記第2不織布層が、親水剤として、スクワラン系親水剤およびポリエステル系親水剤の少なくとも一方を含有する、[1]から[10]までのいずれかに記載の透水性シート。
【0130】
[12]
上記第2不織布層が、上記第2樹脂繊維として、ポリエチレンテレフタレート繊維と、ポリエチレンテレフタレートを芯としポリエチレンを鞘とする芯鞘型繊維と、を含有し、
上記第2不織布層が、親水剤を含有する、[1]から[10]までのいずれかに記載の透水性シート。
【0131】
[13]
上記親水剤が、非イオン系シリコーンポリマー、スクワラン系親水剤、ポリエステル系親水剤およびオレフィン系親水剤の少なくとも一種である、[12]に記載の透水性シート。
【0132】
[14]
上記第2不織布層が、上記第2樹脂繊維として、ポリプロプレン繊維を含有し、
上記第2不織布層が、親水剤として、スクワラン系親水剤、ポリエステル系親水剤およびオレフィン系親水剤の少なくとも一種を含有する、[1]から[10]までのいずれかに記載の透水性シート。
【0133】
[15]
コンクリート製品を製造するための型枠に用いられる板部材であって、
上記板部材は、基板と、[1]から[14]までのいずれかに記載の透水性シートと、を有し、
厚さ方向において、上記基板、上記第1不織布層および上記第2不織布層が、この順に配置されている、板部材。
【0134】
[16]
コンクリート製品を製造するための型枠であって、
上記型枠は、型枠本体と、[1]から[14]までのいずれかに記載の透水性シートと、を有し、
厚さ方向において、上記型枠本体、上記第1不織布層および上記第2不織布層が、この順に配置されている、型枠。
【0135】
[17]
上記型枠本体は、複数の基板を組み合わせて構成されている、[16]に記載の型枠。
【0136】
[18]
型枠を準備する準備工程と、
上記型枠内に、コンクリート前駆体を投入し、水和反応により上記コンクリート前駆体を硬化させる硬化工程と、
を有するコンクリート製品の製造方法であって、
上記型枠は、型枠本体と、[1]から[14]までのいずれかに記載の透水性シートと、を有し、
厚さ方向において、上記型枠本体、上記第1不織布層および上記第2不織布層が、この順に配置されている、コンクリート製品の製造方法。
【符号の説明】
【0137】
1 … 第1不織布層
2 … 第2不織布層
3 … 粘着層
4 … 離型層
10 … 透水性シート
20 … 板部材
30 … 型枠
図1
図2
図3
図4
図5