(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123525
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20240905BHJP
F24F 11/84 20180101ALI20240905BHJP
【FI】
F25B1/00 311C
F25B1/00 101E
F24F11/84
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031019
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 賢
(72)【発明者】
【氏名】浅利 峻
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB03
3L260BA03
3L260CB13
3L260CB26
3L260CB62
3L260EA07
3L260FB07
(57)【要約】
【課題】冷媒の吐出温度を適切に抑制するインジェクションが可能な空気調和装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る空気調和装置は、室外ユニットと、複数の室内ユニットと、主流路と、分岐路と、分岐路膨張弁と、制御ユニットとを備える。分岐路膨張弁は、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する。制御ユニットは、室外熱交換器が蒸発器として機能し、かつ分岐路膨張弁の開度が上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、その時点で暖房運転している室内ユニットの室内膨張弁の開度、もしくはその時点で暖房運転を一時停止している室内ユニットの室内膨張弁の開度を拡大させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する室外熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室外膨張弁と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する室内熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室内膨張弁と、を有し、冷房運転もしくは暖房運転する複数の室内ユニットと、
前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する主流路と、
前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く分岐路と、
下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する分岐路膨張弁と、
前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、および前記分岐路膨張弁の各々の動作を制御する制御ユニットと、を備えた空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記室外熱交換器が前記蒸発器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、その時点で暖房運転している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度、もしくは前記時点で暖房運転を一時停止している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度を拡大させる
空気調和装置。
【請求項2】
吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する室外熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室外膨張弁と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する室内熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室内膨張弁と、を有し、冷房運転もしくは暖房運転する複数の室内ユニットと、
前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する主流路と、
前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く分岐路と、
下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する分岐路膨張弁と、
前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、および前記分岐路膨張弁の各々の動作を制御する制御ユニットと、を備えた空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記室外熱交換器が前記凝縮器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、前記室外膨張弁の開度を拡大させる
空気調和装置。
【請求項3】
吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する室外熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室外膨張弁と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する室内熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室内膨張弁と、を有し、冷房運転もしくは暖房運転する複数の室内ユニットと、
前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する主流路と、
前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く分岐路と、
下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する分岐路膨張弁と、
前記室外ユニットと複数の前記室内ユニットとの間で冷房および暖房の二系統の流路のいずれかに前記主流路における前記冷媒の流れを切り替える切替ユニットと、
前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、前記分岐路膨張弁、および前記切替ユニットの各々の動作を制御し、複数の前記室内ユニットの各々を冷房および暖房のいずれかの運転に切り替える制御ユニットと、を備えた空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記室外熱交換器が前記蒸発器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、その時点で暖房運転している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度、もしくは前記時点で暖房運転を一時停止している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度を拡大させる
空気調和装置。
【請求項4】
吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する室外熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室外膨張弁と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する室内熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室内膨張弁と、を有し、冷房運転もしくは暖房運転する複数の室内ユニットと、
前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する主流路と、
前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く分岐路と、
下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する分岐路膨張弁と、
前記室外ユニットと複数の前記室内ユニットとの間で冷房および暖房の二系統の流路のいずれかに前記主流路における前記冷媒の流れを切り替える切替ユニットと、
前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、前記分岐路膨張弁、および前記切替ユニットの各々の動作を制御し、複数の前記室内ユニットの各々を冷房および暖房のいずれかの運転に切り替える制御ユニットと、を備えた空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記室外熱交換器が前記凝縮器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、前記室外膨張弁の開度を拡大させる
空気調和装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記吐出管を流れる前記冷媒の圧力、前記吸込管を流れる前記冷媒の圧力、前記圧縮機の周波数、および前記冷媒の吸込過熱度の少なくとも一つに応じて前記分岐路膨張弁の前記上限開度を算出する
請求項1から4のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置において、圧縮機から吐出される温度(吐出温度)の上昇が問題となりやすい冷媒を使用する場合、インジェクションによる吐出温度の抑制が有効である。インジェクション流路を流れる冷媒の流量(インジェクション流量)は、該インジェクション流路に設けた膨張弁の開度で調整する方法が一般的である。
【0003】
しかしながら、例えば冷凍サイクル回路の液管がフラッシュした場合、インジェクション流量が確保できず、圧縮機に対する冷却能力が不足するおそれがある。その際、不足する冷却能力の程度によっては、冷媒の吐出温度の抑制効果が十分に得られない場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これを踏まえてなされたものであり、その目的は、冷媒の吐出温度を適切に抑制するインジェクションが可能な空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る空気調和装置は、室外ユニットと、複数の室内ユニットと、主流路と、分岐路と、分岐路膨張弁と、制御ユニットとを備える。前記室外ユニットは、圧縮機と、室外熱交換器と、室外膨張弁とを有する。前記圧縮機は、吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する。前記室外熱交換器は、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する。前記室外膨張弁は、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する。複数の前記室内ユニットの各々は、室内熱交換器と、室内膨張弁とを有し、冷房運転もしくは暖房運転する。前記室内熱交換器は、室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する。前記室内膨張弁は、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する。前記主流路は、前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する。前記分岐路は、前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く。前記分岐路膨張弁は、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する。前記制御ユニットは、前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、および前記分岐路膨張弁の各々の動作を制御する。前記制御ユニットは、前記室外熱交換器が前記蒸発器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、その時点で暖房運転している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度、もしくは前記時点で暖房運転を一時停止している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度を拡大させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る空気調和装置を概略的に示す回路図である。
【
図2】第1の実施形態に係る空気調和装置における開度調整処理時の制御フロー図である。
【
図3】第2の実施形態に係る空気調和装置を概略的に示す回路図である。
【
図4】第2の実施形態に係る空気調和装置における開度調整処理時の制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る空気調和装置1を概略的に示す回路図である。
図1に示すように、空気調和装置1は、冷媒が流れる流路(以下、主流路という)6によって接続された一つの室外ユニット2と複数の室内ユニット4、およびこれらの室外ユニット2および室内ユニット4の動作を制御する制御ユニット8を備える。
図1には、一つの室外ユニット2に対して三つの室内ユニット4(4a,4b,4c)が接続された構成例が示されているが、室内ユニット4の数はこれに限定されない。
【0009】
主流路6は、複数の配管が接続されて構成されている。これらの配管は、室外ユニット2側の流路を構成する配管(以下、室外側配管という)201と、室内ユニット4の流路を構成する配管(以下、室内側配管という)401とを含む。室外側配管201と室内側配管401とは、継手50,51を介して連結されている。継手50,51は、例えばパックドバルブである。空気調和装置1は、冷房運転もしくは暖房運転が可能である。
図1に示す破線の白抜き矢印は、空気調和装置1が冷房運転する場合の主流路6における冷媒の流れを示し、実線の白抜き矢印は、空気調和装置1が暖房運転する場合の主流路6における冷媒の流れを示す。
【0010】
室外ユニット2は、主たる要素として、圧縮機202、室外熱交換器203、室外送風機204、室外膨張弁205などを有する。
【0011】
圧縮機202は、吸込管201aから冷媒を吸い込んで圧縮し、圧縮した冷媒を吐出管201bに吐出する。圧縮機202は、例えば圧縮機構、該圧縮機構を収容するとともに圧縮機構を潤滑する冷凍機油を貯留する筐体(密閉容器)、回転軸、電動機構などを備えて構成される。圧縮機202は、運転中の回転数の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット8に付与する。吸込管201aおよび吐出管201bは、主流路6に含まれ、室外側配管201の一部をそれぞれ構成する。吸込管201aは、一端が気液分離器206に接続され、他端が圧縮機202の吸込口に接続されている。吐出管201bは、一端が圧縮機202の吐出口に接続され、他端がオイルセパレータ207に接続されている。
【0012】
気液分離器206は、後述するアキュムレータ209で気液分離された冷媒をさらに気液分離させる。気液分離器206で気液分離された冷媒は、吸込管201aから圧縮機202に吸い込まれる。これにより、圧縮機202が液相冷媒を圧縮することが抑制される。蒸発器は、暖房運転時は室外熱交換器203であり、冷房運転時は後述する室内熱交換器402である。
【0013】
オイルセパレータ207は、圧縮機202から吐出された冷媒から冷凍機油を分離する。分離された冷凍機油は、例えば図示しない配管によって圧縮機202の吸込口に戻される。冷凍機油が分離された冷媒は、主流路6の配管201cを流れて四方弁208に至る。四方弁208は、圧縮機202から吐出された冷媒を凝縮器に導き、蒸発器で蒸発された冷媒をアキュムレータ209に導く。アキュムレータ209は、蒸発器で蒸発された冷媒を気液分離させる。アキュムレータ209で気液分離された冷媒は、主流路6の配管201dで気液分離器(第2のアキュムレータ)206に導かれる。
【0014】
主流路6において、蒸発器で蒸発された冷媒をアキュムレータ209に導く配管201eには、該冷媒の温度を検出する冷媒温度検出部210と、該冷媒の圧力を検出する冷媒圧力検出部211が配置されている。冷媒温度検出部210は、例えば感温素子が前記流路の配管内に配置されて吐出温度を検出する温度センサ(サーミスタ)などである。冷媒温度検出部210は、検出した冷媒温度の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット8に付与する。冷媒圧力検出部211は、例えば感圧素子が前記流路の配管内に配置されて吐出圧力を検出する圧力センサなどである。冷媒圧力検出部211は、検出した冷媒圧力の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット8に付与する。
【0015】
吸込管201aには、吸込管201aを流れて圧縮機202に吸い込まれる冷媒の圧力(以下、吸込圧力という)を検出する吸込圧力検出部218が配置されている。吸込圧力検出部218は、例えば感圧素子が吸込管201aの配管内に配置されて吸込圧力を検出する圧力センサなどである。吸込圧力検出部218は、検出した吸込圧力の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット8に付与する。
【0016】
吐出管201bには、圧縮機202から吐出されて吐出管201bを流れる冷媒の温度(以下、吐出温度という)を検出する吐出温度検出部212と、該冷媒の圧力(以下、吐出圧力という)を検出する吐出圧力検出部213が配置されている。吐出温度検出部212は、吐出温度、つまり圧縮機202から吐出された高温・高圧の気相冷媒の温度を検出する。吐出温度検出部212は、例えば感温素子が吐出管201bの配管内に配置されて吐出温度を検出する温度センサ(サーミスタ)などである。吐出温度検出部212は、検出した吐出温度の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット8に付与する。吐出圧力検出部213は、吐出圧力、つまり圧縮機202から吐出された高温・高圧の気相冷媒の圧力を検出する。吐出圧力検出部213は、例えば感圧素子が吐出管201bの配管内に配置されて吐出圧力を検出する圧力センサなどである。吐出圧力検出部213は、検出した吐出圧力の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット8に付与する。
【0017】
室外熱交換器203は、室外の空気と冷媒との間で熱交換を行う。室外ユニット2、端的には空気調和装置1が冷房運転する場合、室外熱交換器203は凝縮器として機能する。この場合、室外熱交換器203は、圧縮機202から吐出された高温・高圧の気相冷媒を空気との熱交換により凝縮し、高圧の液相冷媒に変化させる。これに対し、室外ユニット2、端的には空気調和装置1が暖房運転する場合、室外熱交換器203は蒸発器として機能する。この場合、室内ユニット4の室内熱交換器402で熱交換された液相冷媒や気液二相冷媒などを空気との熱交換により蒸発させ、低温・低圧の気相冷媒や気液二相冷媒に変化させる。
【0018】
本実施形態において、室外熱交換器203は一対をなして構成されている。
図1に示す例では、一方の室外熱交換器203aの容量(交換熱量)が相対的に大きく、他方の室外熱交換器203bの容量(交換熱量)が相対的に小さい。
【0019】
室外熱交換器203に冷媒が流出入する流出入口の近傍には、該冷媒の温度を検出する冷媒温度検出部214,215が配置されている。
図1に示す例では、対をなす室外熱交換器203a,203bに対してそれぞれ二つずつ冷媒温度検出部214a,214b,215a,215bが配置されている。冷媒温度検出部214aは室外熱交換器203aの一方の流出入口の近傍に配置され、冷媒温度検出部215aは室外熱交換器203aの他方の流出入口の近傍に配置されている。冷媒温度検出部214bは室外熱交換器203bの一方の流出入口の近傍に配置され、冷媒温度検出部215bは室外熱交換器203bの他方の流出入口の近傍に配置されている。
【0020】
室外熱交換器203a,203bの一方の流出入口は、室外熱交換器203a,203bが凝縮器として機能する場合の冷媒の流入口であり、蒸発器として機能する場合の冷媒の流出口である。室外熱交換器203a,203bの他方の流出入口は、室外熱交換器203a,203bが凝縮器として機能する場合の冷媒の流出口であり、蒸発器として機能する場合の冷媒の流入口である。冷媒温度検出部214,215は、例えば感温素子が室外熱交換器203の冷媒の流出入口に配置されて冷媒温度を検出する温度センサ(サーミスタ)などである。冷媒温度検出部214,215は、検出した冷媒温度の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット8に付与する。
【0021】
室外送風機204は、室外の空気(以下、外気という)を吸い込み、室外熱交換器203で熱交換された空気を室外に吹き出す。室外送風機204によって吸い込まれた外気は、室外熱交換器203に吹き付けられる。これにより、かかる外気と室外熱交換器203を流れる冷媒との間で熱交換がなされる。室外送風機204は、室外熱交換器203の近傍、
図1に示す例では室外熱交換器203aの近傍に配置されている。
【0022】
室外膨張弁205は、室外熱交換器203を流れる冷媒の流量を開度に応じて調整する。室外膨張弁205は、例えば下限開度と上限開度との間で弁の開度を制御することで冷媒の絞り量が調整される弁構造を有し、供給される駆動パルスの数に応じて開度が連続的に変化するPMV(Pulse Motor Valve)として構成されている。室外膨張弁205は、制御ユニット8に開度調整され、現在の開度(実開度)の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット8に付与する。
【0023】
図1に示す例では、対をなす室外熱交換器203a,203bに対してそれぞれ一つずつ室外膨張弁205a,205bが設けられている。室外膨張弁205aは室外熱交換器203aを流れる冷媒の流量を調整し、室外膨張弁205bは室外熱交換器203bを流れる冷媒の流量を調整する。室外膨張弁205a,205bは、主流路6において液相冷媒や気液二相冷媒が流れる流路(以下、液管という)90に配置されている。液管90は、例えば複数の配管が継手(一例としてパックドバルブ)50で連結されて構成され、一端が分岐されて室外膨張弁205a,205bにそれぞれ接続され、他端が後述する各室内ユニット4の室内膨張弁404に接続されている。液管90は、室外側配管201および室内側配管401の一部を構成する。
【0024】
液管90の室外膨張弁205の近傍には、室外膨張弁205に流出入する冷媒の温度を検出する冷媒温度検出部216が配置されている。
図1に示す例では、対をなす室外膨張弁205a,205bの近傍にそれぞれ一つずつ冷媒温度検出部216a,216bが配置されている。冷媒温度検出部216aは室外膨張弁205aの近傍に配置され、冷媒温度検出部216bは室外膨張弁205bの近傍に配置されている。室外熱交換器203a,203bが凝縮器として機能する場合、冷媒温度検出部216a,216bは、室外膨張弁205,205bから流出した冷媒の温度を検出する。室外熱交換器203a,203bが蒸発器として機能する場合、冷媒温度検出部216a,216bは、室外膨張弁205,205bに流入する冷媒の温度を検出する。
【0025】
また、液管90の継手50の近傍には、継手50を通過する冷媒の温度を検出する冷媒温度検出部217が配置されている。室外熱交換器203a,203bが凝縮器として機能する場合、冷媒温度検出部217は、室外膨張弁205,205bから流出して合流した冷媒の温度を検出する。室外熱交換器203a,203bが蒸発器として機能する場合、冷媒温度検出部217は、分流して室外膨張弁205,205bに流入する冷媒の分流前の温度を検出する。
【0026】
冷媒温度検出部216a,216b,217は、例えば感温素子が液管90の配管内に配置されて冷媒温度を検出する温度センサ(サーミスタ)などである。冷媒温度検出部216a,216b,217は、検出した冷媒温度の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット8に付与する。
【0027】
次に、複数の室内ユニット4の各々の構成について説明する。これら室内ユニット4の各々は、主たる要素として、室内熱交換器402、室内送風機403、室内膨張弁404、室内温度検出部405などを有する。
図1に示す例においては三つの室内ユニット4a,4b,4cが備えられており、これら室内ユニット4a,4b,4cの各々の構成要素については、必要に応じてそれぞれ対応する添え字a,b,cを付して説明する。
【0028】
室内熱交換器402(402a,402b,402c)は、室外の空気と冷媒との間で熱交換を行う。室内ユニット4、端的には空気調和装置1が冷房運転する場合、室内熱交換器402は蒸発器として機能する。この場合、室外ユニット2の室外熱交換器203で熱交換された液相冷媒や気液二相冷媒などを空気との熱交換により蒸発させ、低温・低圧の気相冷媒や気液二相冷媒に変化させる。これに対し、室内ユニット4、端的には空気調和装置1が暖房運転する場合、室内熱交換器402は凝縮器として機能する。この場合、室内熱交換器402は、圧縮機202から吐出された高温・高圧の気相冷媒を空気との熱交換により凝縮し、高圧の液相冷媒に変化させる。
【0029】
室内送風機403(403a,403b,403c)は、室内の空気(以下、内気という)を吸い込み、室内熱交換器402で熱交換された空気を室内に吹き出す。室内送風機403によって吸い込まれた外気は、室内熱交換器402に吹き付けられる。これにより、かかる内気と室内熱交換器402を流れる冷媒との間で熱交換がなされる。室内送風機403は、室内熱交換器402の近傍に配置される。
【0030】
室内膨張弁404(404a,404b,404c)は、室内熱交換器402を流れる冷媒の流量を開度に応じて調整する。室内膨張弁404は、例えば下限開度と上限開度との間で弁の開度を制御することで冷媒の絞り量が調整される弁構造を有し、供給される駆動パルスの数に応じて開度が連続的に変化するPMVとして構成されている。室内膨張弁404は、制御ユニット8に開度調整され、現在の開度(実開度)の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット8に付与する。
【0031】
室内膨張弁404は、液管90に配置されている。
図1に示す例において、室内膨張弁404aは、液管90から分岐する第1の分岐管90aに配置されている。室内膨張弁404bは、液管90から分岐する第2の分岐管90bに配置されている。室内膨張弁404cは、液管90から分岐する第3の分岐管90cに配置されている。第3の分岐管90cは、液管の他端部に相当する。
【0032】
室内ユニット4が冷房サーモオン状態および暖房サーモオン状態である場合、室内膨張弁404は開く。一方、室内ユニット4が冷房サーモオフ状態および暖房サーモオフ状態である場合、室内膨張弁404は閉じる。また、室内ユニット4が停止している場合、室内膨張弁404は閉じる。サーモオン状態は、室内ユニット4がその時点で実際に冷房運転もしくは暖房運転を行っている状態である。サーモオフ状態は、例えば室内、つまり室内ユニット4によって空調される空調対象空間が冷房の設定温度に達して冷房運転が一時停止されている状態、もしくは室内が暖房の設定温度に達して暖房運転が一時停止されている状態である。室内ユニット4が停止している状態は、サーモン状態およびサーモオフ状態の二つの状態以外の状態であり、例えば室内ユニット4が電源投入されずに停止(運転終了)している状態などである。
【0033】
室内温度検出部405(405a,405b,405c)は、室内の空気の温度である室内温度、つまり内気温度を検出する。室内温度検出部405は、例えば感温素子が室内ユニット4の筐体などに配置されて室内温度を検出する温度センサ(サーミスタ)などである。室内温度検出部405は、検出した室内温度の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット8に付与する。
図1に示す例では、三つの室内ユニット4a,4b,4cの各々に対してそれぞれ一つずつ室内温度検出部405a,405b,405cが備えられている。
【0034】
本実施形態においては、
図1に示すように、空気調和装置1は、主流路6に加えて分岐路を備えている。分岐路60は、凝縮器から蒸発器へ流れる冷媒の一部を凝縮器の下流で主流路6から分流させて圧縮機202に導く。換言すれば、主流路6は、凝縮器から蒸発器へ流れる冷媒の流れ方向の凝縮器の下流で分岐路60により分岐され、圧縮機202にバイパスされる。
【0035】
空気調和装置1が冷房運転する場合、室外熱交換器203で凝縮された液相冷媒や気液二相冷媒の一部が主流路6から分岐路60で分流されて圧縮機202に注入される。また、空気調和装置1が暖房運転する場合、室内熱交換器402で凝縮された液相冷媒や気液二相冷媒の一部が主流路6から分岐路60で分流され、圧縮機202に注入される。これにより、圧縮機202が冷却され、圧縮機202が吐出する冷媒の吐出温度が低下する。すなわち、分岐路60はインジェクション流路として機能する。
図1に示す例では、分岐路60は、室外膨張弁205と継手50との間で液管90から分岐し、圧縮機202に至る配管として構成されている。
【0036】
分岐路60には、分岐路膨張弁61が配置されている。分岐路膨張弁61は、分岐路60を流れる冷媒の流量を開度に応じて調整する。すなわち、分岐路膨張弁61は、インジェクション流路のインジェクション流量を調整する膨張弁である。例えば、分岐路膨張弁61は、下限開度と上限開度との間で弁の開度を制御することで冷媒の絞り量が調整される弁構造を有し、供給される駆動パルスの数に応じて開度が連続的に変化するPMVとして構成されている。分岐路膨張弁61は、制御ユニット8に開度調整され、現在の開度(実開度)の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット8に付与する。
【0037】
制御ユニット8は、室外ユニット2、複数(
図1に示す例では三つ)の室内ユニット4、および分岐路膨張弁61の各々の動作を制御する。
【0038】
制御ユニット8は、CPU、メモリ、記憶装置(不揮発メモリ)、入出力回路、タイマなどを含み、所定の演算処理を実行する。例えば、制御ユニット8は、各種データを入出力回路により読み込み、記憶装置からメモリに読み出したプログラムを用いてCPUで演算処理し、処理結果に基づいて圧縮機202、室外送風機204、室外膨張弁205、四方弁208、冷媒温度検出部210,214,216,217、冷媒圧力検出部211、吐出温度検出部212、吐出圧力検出部213、室内送風機403、室内膨張弁404、および分岐路膨張弁61などの動作制御を行う。
【0039】
制御ユニット8は、このような動作制御を行う動作制御部81を有する。動作制御部81は、上述した各々の構成要素(動作制御対象)の動作、例えば起動(運転開始)と停止などを制御するための所定の演算処理をCPUに実行させるプログラム(動作制御プログラム)として構成されている。動作制御部81は、例えば制御ユニット8の記憶装置(不揮発メモリ)に記憶されて実行時にメモリに読み出される。動作制御部81は、動作制御対象との間で制御信号やデータ信号を有線もしくは無線を介して送受信する。すなわち、動作制御部81と動作制御対象とは、有線もしくは無線により電気的に接続されている。
【0040】
また、制御ユニット8は、上述したように分岐路膨張弁61および室内膨張弁404の開度をそれぞれ制御する。かかる制御(以下、開度調整処理という)を行うため、制御ユニット8は、開度調整部82を有する。開度調整部82は、例えば開度調整処理をCPUに実行させるプログラム(開度調整プログラム)として構成されている。開度調整部82は、例えば制御ユニット8の記憶装置(不揮発メモリ)に記憶されて実行時にメモリに読み出される。
【0041】
開度調整処理において、開度調整部82は、分岐路膨張弁61の上限開度を設定する。上限開度は、例えば分岐路膨張弁61がとり得る開度の最大値よりも小さく、該最大値に至るまでに余裕を持たせた運用上の開度の上限値である。また、開度調整処理において、開度調整部82は、空気調和装置1が冷房運転もしくは暖房運転のいずれであるか、つまり空気調和装置1の運転モード(運転態様)に応じて所定の室内ユニット4の室内膨張弁404の開度を拡大させるように補正する。
【0042】
以下、このような開度調整処理について、制御ユニット8(動作制御部81および開度調整部82)の制御フローに従ってさらに説明する。
図2には、開度調整処理の実行時における制御ユニット8の制御フローを示す。制御ユニット8は、開度調整処理を行う際、例えば動作制御部81である動作制御プログラムおよび開度調整部82である開度調整プログラムを記憶装置(不揮発メモリ)からメモリに読み出し、CPUで実行する。
【0043】
開度調整処理にあたって、空気調和装置1は、運転を開始する(S101)。具体的には、動作制御部81が圧縮機202を起動し、室外膨張弁205や室内膨張弁404などを開いて主流路6(室外側配管201および室内側配管401)に冷媒を循環させる。これにより、空気調和装置1は、室外ユニット2および室内ユニット4が冷房運転する冷房運転モードもしくは室外ユニット2および室内ユニット4が暖房運転する暖房運転モードのいずれかの運転態様となる。
【0044】
このように運転を開始すると、空気調和装置1は、インジェクションを開始する(S102)。具体的には、動作制御部81が分岐路膨張弁61を開き、冷媒の一部を主流路6から分岐路60に分流させる。これにより、液相冷媒や気液二相冷媒の一部が圧縮機202に注入され、圧縮機202の冷却が開始される。なお、インジェクションを開始させるタイミングは任意である。例えば、空気調和装置1の開始直後でなく、所定時間に亘って運転が継続され、冷媒の吐出温度が上昇したタイミングで開始させてもよい。本実施形態では、開始のタイミングを問わず、インジェクションが行われている状況で開度調整処理が実行される。
【0045】
続けて、開度調整部82は、分岐路膨張弁61の上限開度を算出する(S103)。その際、分岐路膨張弁61の上限開度は、所定のパラメータを用いて算出される。本実施形態では、パラメータとして冷媒の吐出圧力、吸込圧力、圧縮機202の周波数(回転数)、冷媒の吸込過熱度の少なくとも一つ以上に応じて、分岐路膨張弁61の上限開度が算出される。算出にあたって、開度調整部82は、吐出圧力検出部213が検出した冷媒の吐出圧力、吸込圧力検出部218が検出した冷媒の吸込圧力、運転中の圧縮機202から周波数(回転数)をそれぞれ取得する。取得された吐出圧力、吸込圧力、周波数は、制御ユニット8のメモリに保持され、分岐路膨張弁61の上限開度の算出時のパラメータとして読み出される。冷媒の吸込過熱度は、例えば冷媒の吸込圧力から算出した冷媒の低圧飽和温度と冷媒の吸込温度との差により算出される。
【0046】
分岐路膨張弁61の上限開度を算出すると、開度調整部82は、開度調整条件を判定する。開度調整条件は、室外膨張弁205および室内膨張弁404の開度調整に対する所定の判定条件であり、第1の開度調整条件と第2の開度調整条件を含む。ここでは、開度調整部82は、第1の開度調整条件を判定する。第1の開度調整条件は、分岐路膨張弁61の現在の開度(実開度)が上限開度閾値以上であるか否かの判定条件である。すなわち、開度調整部82は、分岐路膨張弁61の現在の開度(実開度)が上限開度閾値以上であるか否かを判定する(S104)。
【0047】
上限開度閾値は、例えば上限開度よりもさらに小さく、該上限開度に至るまでに余裕を持たせた既定値である。例えば、上限開度閾値は、算出された上限開度を所定の係数で補正した値である。所定の係数は0.9から0.95程度の値に任意に設定可能である。これにより、上限開度閾値は、算出された上限開度の算出値の90%から95%程度に設定される。かかる係数の値は、例えば制御ユニット8の記憶装置(不揮発メモリ)に記憶され、上限開度の算出時に読み出されて上限開度の算出値を補正するために適宜使用される。ただし、かかる係数の値は上記範囲には限定されず、例えば1.0として上限開度閾値を上限開度の算出値と一致させることも可能である。
【0048】
分岐路膨張弁61の実開度が上限開度閾値未満であると判定した場合(S103においてNo)、開度調整部82は、分岐路膨張弁61の上限開度を再び算出する(S103)。
これに対し、分岐路膨張弁61の実開度が上限開度閾値以上であると判定した場合(S103においてYes)、開度調整部82は、第2の開度調整条件を判定する。第2の開度調整条件は、空気調和装置1が暖房運転しているか否かの判定条件である。すなわち、開度調整部82は、空気調和装置1が暖房運転しているか否かを判定する(S105)。
【0049】
開度調整部82は、液管90における冷媒の流れ方向、室外ユニット2の操作パネルや室内ユニット4のリモコン等から設定された運転モードの情報などに基づいて、空気調和装置1の運転モードを把握し、空気調和装置1が暖房運転しているか否かを判定する。例えば、液管90において冷媒が室内ユニット4から室外ユニット2へ向かって流れている場合、開度調整部82は、空気調和装置1が暖房運転していると判定する。この場合、室外熱交換器203は蒸発器として機能し、室内熱交換器402は凝縮器として機能している。一方、液管90において冷媒が室外ユニット2から室内ユニット4へ向かって流れている場合、開度調整部82は、空気調和装置1が暖房運転していない、つまり冷房運転していると判定する。この場合、室外熱交換器203は凝縮器として機能し、室内熱交換器402は蒸発器として機能している。
【0050】
空気調和装置1が暖房運転していると判定した場合(S105においてYes)、開度調整部82は、暖房サーモオン状態の室内ユニット4の室内膨張弁404の開度、もしくは暖房サーモオフ状態の室内ユニット4の室内膨張弁404の開度を拡大させる(S106)。すなわち、開度調整部82は、複数の室内ユニット4のうち、その時点で暖房運転している室内ユニット4もしくはその時点で暖房運転を一時停止している室内ユニット4において、室内膨張弁404の開度を拡大させるように該開度を補正する。したがって、その時点で室内熱交換器402が凝縮器として機能している室内ユニット4において、室内膨張弁404の開度が拡大される。
【0051】
これに対し、空気調和装置1が暖房運転していない、つまり冷房運転していると判定した場合(S105においてNo)、開度調整部82は、室外ユニット2の室外膨張弁205の開度を拡大させる(S107)。すなわち、開度調整部82は、冷房運転している室外ユニット2において、室外膨張弁205の開度を拡大させるように該開度を補正する。
【0052】
そして、開度調整部82は、空気調和装置1の運転停止条件を判定する(S108)。運転停止条件は、空気調和装置1を運転停止させるか否かの判定条件である。運転停止条件は、例えば動作制御部81が空気調和装置1の運転停止を示す信号を受信したか否かなどに応じて判定される。運転停止を示す信号は、例えば室外ユニット2の操作パネルや室内ユニット4のリモコンなどからユーザ等が運転停止を選択することで発信される。動作制御部81は、発信された信号を受信すると、開度調整部82にその旨を通知する。
【0053】
運転停止条件が成立する場合(S108においてYes)、動作制御部81は、空気調和装置1の運転を停止する(S109)。停止した空気調和装置1がその後に再び運転を開始した場合、別途新たに開度調整処理が実行される。
【0054】
これに対し、運転停止条件が成立しない場合(S108においてNo)、開度調整部82は、分岐路膨張弁61の上限開度を再び算出する(S103)。そして、分岐路膨張弁61の実開度が上限開度閾値以上であるか否かに応じて以降の処理(S104~S107)を選択的に実行する。
すなわち、空気調和装置1が運転されている間、一連の開度調整処理が繰り返される。そして、空気調和装置1の運転が停止されると、一連の開度調整処理も終了する。
【0055】
このように本実施形態によれば、分岐路膨張弁61の開度が上限開度閾値以上になった場合であっても、インジェクション流量を確保し、圧縮機202の冷却能力を適切に維持できる。
【0056】
本実施形態においては、冷媒の吐出圧力、吸込圧力、圧縮機202の周波数(回転数)、冷媒の吸込過熱度の少なくとも一つ以上に応じて、分岐路膨張弁61の上限開度が算出される。これにより、例えば液管90を流れる冷媒が気液二相から液相に変化した際、圧縮機202に対して過度な液インジェクションが行われることを抑止できる。すなわち、液管90を流れる冷媒が液相状態であっても、分岐路60のインジェクション流量を適切に保ち、圧縮機202の冷却能力を十分に確保できる。
【0057】
ここで、分岐路膨張弁61の開度が上限開度閾値以上になった場合、液管90のかわき度の上昇が予測される。このため、空気調和装置1が暖房運転されている際に分岐路膨張弁61の開度が上限開度閾値以上になった場合には、暖房サーモオン状態の室内ユニット4の室内膨張弁404の開度を拡大させる、もしくは暖房サーモオフ状態の室内ユニット4の室内膨張弁404の開度を拡大させる。これにより、暖房サーモオン状態の室内ユニット4もしくは暖房サーモオフ状態の室内ユニット4の室内熱交換器402に溜まった冷媒を液管90に回収することができる。その結果、液管90のかわき度を低下させることが可能となる。これに対し、空気調和装置1が冷房運転されている際に分岐路膨張弁61の開度が上限開度閾値以上になった場合には、室外ユニット2の室外膨張弁205の開度を拡大させる。これにより、室外ユニット2の室外熱交換器203に溜まった冷媒を液管90に回収することができる。その結果、液管90のかわき度を低下させることが可能となる。
【0058】
したがって、本実施形態によれば、空気調和装置1の運転中、冷媒の吐出温度を適切に抑制するインジェクションを継続して行うことができる。このため、例えば液管90のかわき度の上昇によりインジェクション流量が低下し、冷媒の吐出温度が過度に上昇するような事態を回避できる。
【0059】
なお、上述したような開度調整処理によって適切にインジェクションを行うことが可能な空気調和装置の構成は、
図1に示す空気調和装置1には限定されない。例えば、
図3に示すような構成を備えた空気調和装置11であっても、開度調整処理によって適切にインジェクションを行うこと、つまり空気調和装置1と同様の作用効果を奏することが可能である。以下では、
図3に示す構成を備えた空気調和装置11を第2の実施形態として説明する。なお、第2の実施形態における空気調和装置11は、
図1に示す第1の実施形態の空気調和装置1と同様の構成を含む。したがって、以下では、空気調和装置1と異なる構成について詳述する。空気調和装置1と同一もしくは類似の構成については、図面上で同一符号を付して説明を省略もしくは簡略化する。
【0060】
(第2の実施形態)
図3は、本実施形態に係る空気調和装置11を概略的に示す回路図である。
図3に示すように、空気調和装置11は、室外ユニット2と複数の室内ユニット4の各々との間で冷房および暖房の二系統の流路のいずれかに冷媒の流れを切り替える複数の切替ユニット7を備えている。複数の切替ユニット7の各々は、複数の室内ユニット4の各々に対して一つずつ備えられている。
図3に示す例では、三つの室内ユニット4の各々に対して一つずつ、三つの切替ユニット7(7a,7b,7c)が備えられた構成例が示されている。切替ユニット7の数は、室内ユニット4の数と一致していればよい。これにより、複数の室内ユニット4の各々に対応して所定の切替ユニット7が紐付けられる。
【0061】
これらの切替ユニット7を備えることで、空気調和装置11は、冷暖同時運転(冷暖混在運転)が可能とされている。冷暖同時運転は、複数の室内ユニット4の各々が冷房運転もしくは暖房運転のいずれかを任意に選択して動作することが可能な空気調和装置11の運転態様である。このため、複数の室内ユニット4において、冷房運転サーモオン状態のものと暖房運転サーモオン状態のものとが同時に存在(混在)し得る。すなわち、空気調和装置11は、すべての室内ユニット4が冷房運転(冷房サーモオン状態もしくは冷房サーモオフ状態)あるいは暖房運転(暖房サーモオン状態もしくは暖房サーモオフ状態)である運転態様の他、冷房運転のものと暖房運転のものとが存在(混在)する運転態様にもなり得る。
【0062】
図3に示す例では、三つの室内ユニット4a,4b,4cのうち、室内ユニット4aは暖房運転サーモオン状態、室内ユニット4bは暖房運転サーモオフ状態、室内ユニット4cは冷房運転サーモオン状態である。冷暖同時運転時、空気調和装置11は、室外ユニット2が冷房運転する冷房運転主体、もしくは室外ユニット2が暖房運転する暖房運転主体のいずれかの運転態様となる。
図3に示す例では、室外ユニット2が暖房運転しており、空気調和装置11は暖房運転主体の運転態様(冷暖同時運転)となっている。この場合、
図3に実線の白抜き矢印で示すように冷媒が主流路6を流れる。なお、
図3に示す破線の白抜き矢印は、三つの室内ユニット4a,4b,4cが上記状態で、室外ユニット2が冷房運転する冷房運転主体の運転態様(冷暖同時運転)である場合の主流路6における冷媒の流れを示す。
【0063】
複数の切替ユニット7の各々は、室外ユニット2と複数の室内ユニット4の各々との間で冷房および暖房の二系統の流路のいずれかに冷媒の流れを切り替える。各々の切替ユニット7は、複数の室内ユニット4の各々に対応して一つずつ備えられている。
図3に示す例では、三つの室内ユニット4a,4b,4cに対応して一つずつ、三つの切替ユニット7a,7b,7cが設けられている。なお、以下の説明では、これら三つの切替ユニット7a,7b,7cの共通事項である場合、切替ユニット7と記し、各々の切替ユニット7a,7b,7cの構成要素については対応する添え字a,b,cを付す。
【0064】
このように冷媒の流れを切り替えるべく、各々の切替ユニット7は、二つの切替弁71,72を有している。
二つの切替弁のうちの一方(以下、第1の切替弁71という)は、室内熱交換器402への冷媒の流入と遮断とを切り替える。第1の切替弁71は、対応する室内ユニット4が暖房運転サーモオン状態および暖房運転サーモオフ状態である場合に開く。一方、第1の切替弁71は、対応する室内ユニット4が冷房運転サーモオン状態および冷房運転サーモオフ状態である場合に閉じる。
【0065】
これに対し、二つの切替弁のうちの他方(以下、第2の切替弁72という)は、室内熱交換器402からの冷媒の流出と遮断とを切り替える。第2の切替弁72は、対応する室内ユニット4が冷房運転サーモオン状態および冷房運転サーモオフ状態である場合に開く。一方、第2の切替弁72は、対応する室内ユニット4が暖房運転サーモオン状態および暖房運転サーモオフ状態である場合に閉じる。
【0066】
なお、第1の切替弁71および第2の切替弁72は、対応する室内ユニット4が停止している場合、例えば少なくとも一方が閉じる。
【0067】
図3に示す例では、暖房運転サーモオン状態の室内ユニット4aに対応する切替ユニット7aの第1の切替弁71aおよび暖房運転サーモオフ状態の室内ユニット4bに対応する切替ユニット7bの第1の切替弁71bは開いている。一方、これら室内ユニット4a,4bに対応する切替ユニット7a,7bの第2の切替弁72a,72bは閉じている。
これに対し、冷房運転サーモオン状態の室内ユニット4cに対応する切替ユニット7cの第2の切替弁72cは開いている。一方、かかる室内ユニット4cに対応する切替ユニット7cの第1の切替弁71cは閉じている。
【0068】
第1の切替弁71および第2の切替弁72は、例えば弁の開度を制御することで冷媒の流れを遮断可能な弁構造を有し、供給される駆動パルスの数に応じて開度が連続的に変化するPMVとして構成されている。第1の切替弁71および第2の切替弁72は、制御ユニット8に動作制御、例えば開度調整され、開度の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット8に付与する。換言すれば、制御ユニット8は、複数の切替ユニット7の動作を制御し、複数の室内ユニット4の各々を冷房および暖房のいずれかの運転に切り替える。
【0069】
図3に示す例において、第1の切替弁71は、圧縮機202から吐出された高温・高圧の気相冷媒が流れる流路(以下、第1のガス管という)91に配置されている。第1のガス管91は、例えば複数の配管が継手(一例としてパックドバルブ)52で連結されて構成され、一端が四方弁219およびオイルセパレータ207を経由して吐出管201bに接続され、他端が各室内ユニット4の室内熱交換器402に接続されている。第1のガス管91は、室外側配管201および室内側配管401の一部を構成する。
図3に示す例において、四方弁219は、四つのポートのうちの一つが閉塞されており、実質的に三方弁として機能する。
【0070】
室外ユニット2が暖房運転する暖房運転主体の冷暖同時運転時、圧縮機202から吐出された高温・高圧の気相冷媒は、四方弁219で第1のガス管91に導かれ、暖房運転サーモオン状態の室内ユニット4の室内熱交換器402に流入する。かかる室内熱交換器402で熱交換された液相冷媒や気液二相冷媒などは、液管90を流れて室外熱交換器203に流入する。
【0071】
これに対し、室外ユニット2が冷房運転する冷房運転主体の冷暖同時運転時、圧縮機202から吐出された高温・高圧の気相冷媒は、例えば四方弁220で導かれて室外熱交換器203bに流入し、圧縮機202から吐出された高温・高圧の気相冷媒の一部が四方弁219で第1のガス管91に導かれる。この場合、四方弁220は、
図3に破線で示すようにポートが接続される。これにより、液管90には室外熱交換器203bで熱交換された液相冷媒や気液二相冷媒などが流れる。このように室外熱交換器203aに比べて容量(交換熱量)の小さな室外熱交換器203bのみを使用することで、暖房運転サーモオン状態の室内ユニット4において冷気が送出されることなく、適切に暖房を行うことが可能となる。ただし、冷房運転主体の冷暖同時運転時、室外熱交換器203bに代えてもしくは加えて、圧縮機202から吐出された高温・高圧の気相冷媒を四方弁208で室外熱交換器203aに流入させることも可能である。
【0072】
第1の切替弁71aは、第1のガス管91から分岐する第1の分岐管91aに配置されている。第1の切替弁71bは、第1のガス管91から分岐する第2の分岐管91bに配置されている。第1の切替弁71cは、第1のガス管91から分岐する第3の分岐管91cに配置されている。第3の分岐管91cは、第1のガス管91の他端部に相当する。
【0073】
第2の切替弁72は、冷房サーモオン状態の室内ユニット4の室内熱交換器402から流出する冷媒、例えば該室内熱交換器402で蒸発された気相冷媒や気液二相冷媒が流れる流路(以下、第2のガス管という)92に配置されている。第2のガス管92は、例えば複数の配管が継手(一例としてパックドバルブ)51で連結されて構成され、一端が各室内ユニット4の室内熱交換器402に接続され、他端がアキュムレータ(第1のアキュムレータ)209に接続されている。第2のガス管92は、室内熱交換器402と切替ユニット7(第1の切替弁71および第2の切替弁72)との間で第1のガス管91と合流する。第2のガス管92は、室外側配管201および室内側配管401の一部を構成する。
【0074】
第2の切替弁72aは、第2のガス管92から分岐する第1の分岐管92aに配置されている。第2の切替弁72bは、第2のガス管92から分岐する第2の分岐管92bに配置されている。第2の切替弁72cは、第2のガス管92から分岐する第3の分岐管92cに配置されている。第3の分岐管92cは、第2のガス管92の一端部に相当する。
【0075】
なお、切替ユニット7は、複数の切替えユニット7a,7b,7cが各々備える切替弁71,72、分岐管91a,91b,91c,92a,92b,92cを一つの筐体に収容した所謂マルチタイプの切替ユニットでもよい。
【0076】
以下、本実施形態の空気調和装置11における開度調整処理について、制御ユニット8(動作制御部81および開度調整部82)の制御フローに従って説明する。
図4には、開度調整処理の実行時における制御ユニット8の制御フローを示す。なお、
図4に示す本実施形態の開度調整処理の制御フローは、第1の実施形態の制御フロー(
図2)の一部を本実施形態に特有の制御に付加、変更するものである。したがって、上述した第1の実施形態と同等の制御については同一のステップ番号を付して説明を省略し、以下では本実施形態に特有の制御について詳述する。
【0077】
開度調整処理にあたって、空気調和装置11は、運転を開始する(S101)。本実施形態において、空気調和装置11は、すべての室内ユニット4が冷房運転(冷房サーモオン状態もしくは冷房サーモオフ状態)あるいは暖房運転(暖房サーモオン状態もしくは暖房サーモオフ状態)である運転態様、冷房運転のものと暖房運転のものとが存在(混在)する運転態様(冷暖同時運転)のいずれかとなる。冷暖同時運転である場合、空気調和装置11は、室外ユニット2が冷房運転する冷房運転主体、あるいは室外ユニット2が暖房運転する暖房運転主体のいずれかの運転態様となる。
【0078】
これらいずれかの運転態様で運転を開始すると、空気調和装置11は、第1の実施形態と同様にインジェクションを開始する(S102)。続けて、第1の実施形態と同様に、開度調整部82は、分岐路膨張弁61の上限開度を算出し(S103)、分岐路膨張弁61の実開度が上限開度閾値以上であるか否か(第1の開度調整条件)を判定する(S104)。分岐路膨張弁61の実開度が上限開度閾値未満であると判定した場合(S103においてNo)、開度調整部82は、分岐路膨張弁61の上限開度を再び算出する(S103)ことも同様である。
【0079】
これに対し、分岐路膨張弁61の実開度が上限開度閾値以上であると判定した場合(S103においてYes)、開度調整部82は、第2の開度調整条件を判定する。第2の開度調整条件は、空気調和装置11が暖房運転しているか否かの判定条件であるが、ここでの第2の開度調整条件は、空気調和装置11が次のいずれかの運転態様であるか否かの判定条件である。
【0080】
具体的には、空気調和装置11が暖房運転しているか、および空気調和装置11が暖房運転主体の冷暖同時運転しているかを、第2の開度調整条件として開度調整部82は判定する(S205)。空気調和装置11が暖房運転している場合、つまりすべての室内ユニット4が暖房運転(暖房サーモオン状態もしくは暖房サーモオフ状態)している場合、あるいは室外ユニット2が暖房運転する暖房運転主体の冷暖同時運転である場合、開度調整部82は第2の開度調整条件が成立すると判定する。一方、空気調和装置11が冷房運転している場合、つまりすべての室内ユニット4が冷房運転している場合、あるいは室外ユニット2が冷房運転する冷房運転主体の冷暖同時運転である場合、開度調整部82は第2の開度調整条件が成立しないと判定する。
【0081】
すべての室内ユニット4が暖房運転している、あるいは室外ユニット2が暖房運転する暖房運転主体の冷暖同時運転であると判定した場合(S205においてYes)、開度調整部82は、暖房サーモオン状態の室内ユニット4の室内膨張弁404の開度、もしくは暖房サーモオフ状態の室内ユニット4の室内膨張弁404の開度を拡大させる(S106)。
【0082】
これに対し、すべての室内ユニット4が冷房運転している、あるいは室外ユニット2が冷房運転する冷房運転主体の冷暖同時運転であると判定した場合(S205においてNo)、開度調整部82は、室外ユニット2の室外膨張弁205の開度を拡大させる(S107)。
【0083】
そして、開度調整部82は、空気調和装置1の運転停止条件を判定する(S108)。運転停止条件が成立する場合(S108においてYes)、動作制御部81は、空気調和装置1の運転を停止する(S109)。これに対し、運転停止条件が成立しない場合(S108においてNo)、開度調整部82は、分岐路膨張弁61の上限開度を再び算出し(S103)、分岐路膨張弁61の実開度が上限開度閾値以上であるか否かに応じて以降の処理(S104~S107)を選択的に実行する。すなわち、空気調和装置11が運転されている間は一連の開度調整処理が繰り返され、運転が停止されると一連の開度調整処理も終了する。
【0084】
このように本実施形態によれば、空気調和装置11が冷房運転もしくは暖房運転している場合に加えて、冷暖同時運転している場合であっても、室外膨張弁205もしくは室内膨張弁404の開度を拡大させるように該開度を補正できる。すなわち、室外ユニット2が暖房運転する暖房運転主体の冷暖同時運転時、および室外ユニット2が冷房運転している冷房運転主体の冷暖同時運転時においても、室外膨張弁205もしくは室内膨張弁404の開度を拡大させることができる。
【0085】
これにより、暖房運転主体の冷暖同時運転時には、暖房サーモオン状態の室内ユニット4もしくは暖房サーモオフ状態の室内ユニット4の各室内熱交換器402に溜まった冷媒を液管90に回収できる。これに対し、冷房運転主体の冷暖同時運転時には、室外ユニット2の室外熱交換器203に溜まった冷媒を液管90に回収できる。このため、いずれの冷暖同時運転時であっても、液管90のかわき度を低下させることが可能となる。したがって、本実施形態によれば、空気調和装置1と同様に、空気調和装置11の運転中、冷媒の吐出温度を適切に抑制するインジェクションを継続して行うことができる。
【0086】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。かかる新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1,11…空気調和装置、2…室外ユニット、4,4a,4b,4c…室内ユニット、6…主流路、7,7a,7b,7c…切替ユニット、8…制御ユニット、50,51,52…継手、60…分岐路、61…分岐路膨張弁、71,71a,71b,71c…第1の切替弁、72,72a,72b,72c…第2の切替弁、81…動作制御部、82…開度調整部、90…液管、90a…第1の分岐管、90b…第2の分岐管、90c…第3の分岐管、91…第1のガス管、91a…第1の分岐管、91b…第2の分岐管、91c…第3の分岐管、92…第2のガス管、92a…第1の分岐管、92b…第2の分岐管、92c…第3の分岐管、201…室外側配管、201a…吸込管、201b…吐出管、201c,201d,201e…配管、202…圧縮機、203,203a,203b…室外熱交換器、204…室外送風機、205,205a,205b…室外膨張弁、206…気液分離器(第2のアキュムレータ)、207…オイルセパレータ、208,219,220…四方弁、209…アキュムレータ(第1のアキュムレータ)、210…冷媒温度検出部、211…冷媒圧力検出部、212…吐出温度検出部、213…吐出圧力検出部、214,214a,214b…冷媒温度検出部、215,215a,215b…冷媒温度検出部、216,216a,216b…冷媒温度検出部、217…冷媒温度検出部、218…吸込圧力検出部、401…室内側配管、402,402a,402b,402c…室内熱交換器、403,403a,403b,403c…室内送風機、404,404a,404b,404c…室内膨張弁、405,405a,405b,405c…室内温度検出部。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する室外熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室外膨張弁と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する室内熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室内膨張弁と、を有し、冷房運転もしくは暖房運転する複数の室内ユニットと、
前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する主流路と、
前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く分岐路と、
下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する分岐路膨張弁と、
前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、および前記分岐路膨張弁の各々の動作を制御する制御ユニットと、を備えた空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記吸込管を流れる前記冷媒の圧力、前記圧縮機の周波数、および前記冷媒の吸込過熱度の少なくとも一つに応じて前記分岐路膨張弁の前記上限開度を算出して、前記室外熱交換器が前記蒸発器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、その時点で暖房運転している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度、もしくは前記時点で暖房運転を一時停止している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度を拡大させる
空気調和装置。
【請求項2】
吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する室外熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室外膨張弁と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する室内熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室内膨張弁と、を有し、冷房運転もしくは暖房運転する複数の室内ユニットと、
前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する主流路と、
前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く分岐路と、
下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する分岐路膨張弁と、
前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、および前記分岐路膨張弁の各々の動作を制御する制御ユニットと、を備えた空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記吸込管を流れる前記冷媒の圧力、前記圧縮機の周波数、および前記冷媒の吸込過熱度の少なくとも一つに応じて前記分岐路膨張弁の前記上限開度を算出して、前記室外熱交換器が前記凝縮器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、前記室外膨張弁の開度を拡大させる
空気調和装置。
【請求項3】
吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する室外熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室外膨張弁と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する室内熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室内膨張弁と、を有し、冷房運転もしくは暖房運転する複数の室内ユニットと、
前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する主流路と、
前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く分岐路と、
下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する分岐路膨張弁と、
前記室外ユニットと複数の前記室内ユニットとの間で冷房および暖房の二系統の流路のいずれかに前記主流路における前記冷媒の流れを切り替える切替ユニットと、
前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、前記分岐路膨張弁、および前記切替ユニットの各々の動作を制御し、複数の前記室内ユニットの各々を冷房および暖房のいずれかの運転に切り替える制御ユニットと、を備えた空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記吸込管を流れる前記冷媒の圧力、前記圧縮機の周波数、および前記冷媒の吸込過熱度の少なくとも一つに応じて前記分岐路膨張弁の前記上限開度を算出して、前記室外熱交換器が前記蒸発器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、その時点で暖房運転している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度、もしくは前記時点で暖房運転を一時停止している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度を拡大させる
空気調和装置。
【請求項4】
吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する室外熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室外膨張弁と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する室内熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室内膨張弁と、を有し、冷房運転もしくは暖房運転する複数の室内ユニットと、
前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する主流路と、
前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く分岐路と、
下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する分岐路膨張弁と、
前記室外ユニットと複数の前記室内ユニットとの間で冷房および暖房の二系統の流路のいずれかに前記主流路における前記冷媒の流れを切り替える切替ユニットと、
前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、前記分岐路膨張弁、および前記切替ユニットの各々の動作を制御し、複数の前記室内ユニットの各々を冷房および暖房のいずれかの運転に切り替える制御ユニットと、を備えた空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記吸込管を流れる前記冷媒の圧力、前記圧縮機の周波数、および前記冷媒の吸込過熱度の少なくとも一つに応じて前記分岐路膨張弁の前記上限開度を算出して、前記室外熱交換器が前記凝縮器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、前記室外膨張弁の開度を拡大させる
空気調和装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
一実施形態に係る空気調和装置は、室外ユニットと、複数の室内ユニットと、主流路と、分岐路と、分岐路膨張弁と、制御ユニットとを備える。前記室外ユニットは、圧縮機と、室外熱交換器と、室外膨張弁とを有する。前記圧縮機は、吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する。前記室外熱交換器は、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する。前記室外膨張弁は、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する。複数の前記室内ユニットの各々は、室内熱交換器と、室内膨張弁とを有し、冷房運転もしくは暖房運転する。前記室内熱交換器は、室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する。前記室内膨張弁は、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する。前記主流路は、前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する。前記分岐路は、前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く。前記分岐路膨張弁は、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する。前記制御ユニットは、前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、および前記分岐路膨張弁の各々の動作を制御する。前記制御ユニットは、前記吸込管を流れる前記冷媒の圧力、前記圧縮機の周波数、および前記冷媒の吸込過熱度の少なくとも一つに応じて前記分岐路膨張弁の前記上限開度を算出して、前記室外熱交換器が前記蒸発器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、その時点で暖房運転している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度、もしくは前記時点で暖房運転を一時停止している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度を拡大させる。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する室外熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室外膨張弁と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する室内熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室内膨張弁と、を有し、冷房運転もしくは暖房運転する複数の室内ユニットと、
前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する主流路と、
前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く分岐路と、
下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する分岐路膨張弁と、
前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、および前記分岐路膨張弁の各々の動作を制御する制御ユニットと、を備えた空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記吸込管を流れる前記冷媒の圧力および前記圧縮機の周波数の少なくとも一つに応じて前記分岐路膨張弁の前記上限開度を算出して、前記室外熱交換器が前記蒸発器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、その時点で暖房運転している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度、もしくは前記時点で暖房運転を一時停止している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度を拡大させる
空気調和装置。
【請求項2】
吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する室外熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室外膨張弁と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する室内熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室内膨張弁と、を有し、冷房運転もしくは暖房運転する複数の室内ユニットと、
前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する主流路と、
前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く分岐路と、
下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する分岐路膨張弁と、
前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、および前記分岐路膨張弁の各々の動作を制御する制御ユニットと、を備えた空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記吸込管を流れる前記冷媒の圧力および前記圧縮機の周波数の少なくとも一つに応じて前記分岐路膨張弁の前記上限開度を算出して、前記室外熱交換器が前記凝縮器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、前記室外膨張弁の開度を拡大させる
空気調和装置。
【請求項3】
吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する室外熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室外膨張弁と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する室内熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室内膨張弁と、を有し、冷房運転もしくは暖房運転する複数の室内ユニットと、
前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する主流路と、
前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く分岐路と、
下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する分岐路膨張弁と、
前記室外ユニットと複数の前記室内ユニットとの間で冷房および暖房の二系統の流路のいずれかに前記主流路における前記冷媒の流れを切り替える切替ユニットと、
前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、前記分岐路膨張弁、および前記切替ユニットの各々の動作を制御し、複数の前記室内ユニットの各々を冷房および暖房のいずれかの運転に切り替える制御ユニットと、を備えた空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記吸込管を流れる前記冷媒の圧力および前記圧縮機の周波数の少なくとも一つに応じて前記分岐路膨張弁の前記上限開度を算出して、前記室外熱交換器が前記蒸発器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、その時点で暖房運転している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度、もしくは前記時点で暖房運転を一時停止している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度を拡大させる
空気調和装置。
【請求項4】
吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する室外熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室外膨張弁と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する室内熱交換器と、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する室内膨張弁と、を有し、冷房運転もしくは暖房運転する複数の室内ユニットと、
前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する主流路と、
前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く分岐路と、
下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する分岐路膨張弁と、
前記室外ユニットと複数の前記室内ユニットとの間で冷房および暖房の二系統の流路のいずれかに前記主流路における前記冷媒の流れを切り替える切替ユニットと、
前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、前記分岐路膨張弁、および前記切替ユニットの各々の動作を制御し、複数の前記室内ユニットの各々を冷房および暖房のいずれかの運転に切り替える制御ユニットと、を備えた空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記吸込管を流れる前記冷媒の圧力および前記圧縮機の周波数の少なくとも一つに応じて前記分岐路膨張弁の前記上限開度を算出して、前記室外熱交換器が前記凝縮器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、前記室外膨張弁の開度を拡大させる
空気調和装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
一実施形態に係る空気調和装置は、室外ユニットと、複数の室内ユニットと、主流路と、分岐路と、分岐路膨張弁と、制御ユニットとを備える。前記室外ユニットは、圧縮機と、室外熱交換器と、室外膨張弁とを有する。前記圧縮機は、吸込管から冷媒を吸い込み、吸い込んだ前記冷媒を圧縮して吐出管に吐出する。前記室外熱交換器は、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う蒸発器もしくは凝縮器として機能する。前記室外膨張弁は、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室外熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する。複数の前記室内ユニットの各々は、室内熱交換器と、室内膨張弁とを有し、冷房運転もしくは暖房運転する。前記室内熱交換器は、室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う凝縮器もしくは蒸発器として機能する。前記室内膨張弁は、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記室内熱交換器を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する。前記主流路は、前記吸込管および前記吐出管を含み、前記圧縮機、前記凝縮器、前記蒸発器を経由して前記冷媒が循環する。前記分岐路は、前記凝縮器から前記蒸発器へ流れる前記冷媒の一部を前記凝縮器の下流で前記主流路から分流させて前記圧縮機に導く。前記分岐路膨張弁は、下限開度と上限開度との間で開度が制御され、前記分岐路を流れる前記冷媒の流量を開度に応じて調整する。前記制御ユニットは、前記室外ユニット、複数の前記室内ユニット、および前記分岐路膨張弁の各々の動作を制御する。前記制御ユニットは、前記吸込管を流れる前記冷媒の圧力および前記圧縮機の周波数の少なくとも一つに応じて前記分岐路膨張弁の前記上限開度を算出して、前記室外熱交換器が前記蒸発器として機能し、かつ前記分岐路膨張弁の開度が前記上限開度に基づいて設定した閾値以上である場合、その時点で暖房運転している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度、もしくは前記時点で暖房運転を一時停止している前記室内ユニットの前記室内膨張弁の開度を拡大させる。