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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123531
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/06 20060101AFI20240905BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240905BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B65H7/06
B65H5/06 P
G03G15/00 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031029
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】坂野 昭仁
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F049
【Fターム(参考)】
2H072AA02
2H072AA16
2H072AA24
2H072CA01
2H072CB05
2H072EA14
2H072EA19
2H072JA02
2H072JA03
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA14
3F048BB03
3F048BB04
3F048BD01
3F048CA09
3F048CC03
3F048DA06
3F048DB03
3F048DB07
3F048DC12
3F048EA04
3F048EB22
3F049AA04
3F049DA03
3F049EA22
3F049EA29
3F049LA01
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】 ジャム等によって搬送が停止された残留シートを、その残留シートの停止位置や長さに応じて取り出し可能な位置に残留シートを搬送することができるシート搬送装置を提供することである。
【解決手段】 シートを所定の搬送路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送路の第1の部分を開放することでシートの取り出しが可能な第1の搬送路開放手段と、前記搬送路の第2の部分を開放することでシートの取り出しが可能な第2の搬送路開放手段と、
を備えたシート搬送装置であって、前記搬送路においてシートのジャムが発生した際に、ジャムしたシートの位置よりも上流側で停止した残留シートを検出するシート検出手段を有し、前記搬送手段は、前記残留シートの長さに基づいて、前記搬送路の前記第1の部分及び第2の部分のいずか一方に残留シートを搬送するシート搬送装置。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを所定の搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送路の第1の部分を開放することでシートの取り出しが可能な第1の搬送路開放手段と、
前記搬送路の第2の部分を開放することでシートの取り出しが可能な第2の搬送路開放手段と、
を備えたシート搬送装置であって、
前記搬送路においてシートのジャムが発生した際に、ジャムしたシートの位置よりも上流側で停止した残留シートを検出するシート検出手段を有し、
前記搬送手段は、前記残留シートの長さに基づいて、前記搬送路の前記第1の部分及び第2の部分のいずか一方に残留シートを搬送するシート搬送装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、前記残留シートが所定の長さ以上の場合には前記搬送路の前記第1の部分に搬送し、
前記残留シートが所定の長さよりも短い場合には前記搬送路の前記第2の部分に搬送する請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記第1の搬送路開放手段は、シート搬送方向から残留シートを取り出し可能な第1のシート取出部を有し、
前記第2の搬送路開放手段は、シート搬送方向と直交する方向から残留シートを取り出し可能な第2のシート取出部を有する請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
シートを所定の搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送路内に残された残留シートを検出するシート検出手段と、
前記搬送路の第1の部分を開放する第1の搬送路開放手段と、
前記搬送路の第2の部分を開放する第2の搬送路開放手段と、
を備えたシート搬送装置であって、
前記搬送手段は、前記残留シートの長さに応じて、残留シートを前記搬送路の前記第1の部分から取り出し可能な第1の位置または前記第2の部分から取り出し可能な第2の位置のいずれか一方に搬送するシート搬送装置。
【請求項5】
前記搬送路の前記第2の部分よりも上流の位置で残留シートの長さが所定の長さ以上であるか否かを検出するシート長さ検出手段と、を備え、
前記搬送手段は、前記シート長さ検出手段にて残留シートの長さが所定の長さ以上であることが検出された場合、残留シートを第1の位置に搬送する請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記搬送路のシートを検出する第1のシート検出手段と、前記搬送路の前記第1のシート検出手段の上流に設けられた第2のシート検出手段と、を備え、
前記第2のシート検出手段がシートの後端を検出したときに前記第1のシート検出手段がシートを検出すると、前記搬送手段は残留シートを第1の位置に搬送する請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記搬送路のシートを検出する第1のシート検出手段と、前記搬送路の前記第1のシート検出手段の上流に設けられた第2のシート検出手段と、を備え、
前記第1のシート検出手段がシートの先端を検出したときに前記第2のシート検出手段がシートを検出すると、前記搬送手段は残留シートを第1の位置に搬送する請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記第1のシート検出手段は、前記搬送路の前記第2の部分からシートを取り出す第2の位置でシートを検出する請求項6又は7に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記第1の搬送路開放手段は、残留シートをシート搬送方向に取り出し可能に構成され、
前記第2の搬送路開放手段は、シート搬送方向と直交する方向に残留シートを取り出し可能に構成され、
前記搬送手段は、残留シートの長さが所定の長さ以上である場合、前記搬送路の第1の部分から残留シートを取り出し可能な第1の位置に残留シートを搬送し、残留シートの長さが所定の長さよりも短い場合、前記搬送路の第2の部分から残留シートを取り出し可能な第2の位置に残留シートを搬送する請求項4に記載のシート搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを所定の搬送路に沿って搬送するシート搬送装置に関し、詳しくは、搬送路中に停止した残留シートを取り除くための機能を備えたシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートを搬送するための搬送路を備えるシート搬送装置において、シートの搬送路内でシートのジャムが発生した場合、シートの搬送を停止させた後に搬送路を開放してジャムしたシートを取り除くジャム処理方法が知られている。しかしながら、ジャムしたシートの上流側に搬送が停止した残留シートがある場合、ジャムしたシートを取り除いたとしても、前記残留シートが停止した搬送路に留まって、取り出し難い場合があった。これを改善するために、特許文献1には、前記残留シートを取り出しやすい位置まで搬送する手段を備えた装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-73881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等の従来の装置にあっては、シートの搬送方向と直交する幅方向に面したフロント側からシートを取り除く構造となっている。このような構造のものにあっては、搬送路を開放できる区間が限られているため、開放区間よりも長い残留シートはその一部が開放されない搬送路内にある状態で取り除き作業を行わなければならない。このため、残留シートの取り除き作業が煩雑になったり、場合によってはシートを破損したりするおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、ジャム等によって搬送が停止された残留シートを、その残留シートの停止位置や長さに応じて取り出し可能な位置に残留シートを搬送することができるシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシート搬送装置は、シートを所定の搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送路の第1の部分を開放することでシートの取り出しが可能な第1の搬送路開放手段と、前記搬送路の第2の部分を開放することでシートの取り出しが可能な第2の搬送路開放手段と、を備えたシート搬送装置であって、前記搬送路においてシートのジャムが発生した際に、ジャムしたシートの位置よりも上流側で停止した残留シートを検出するシート検出手段を有し、前記搬送手段は、前記残留シートの長さに基づいて、前記搬送路の前記第1の部分及び第2の部分のいずか一方に残留シートを搬送する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシート搬送装置によれば、搬送するシートの長さに基づいて、搬送路中のシートが取り出し可能な第1及び第2の部分のいずか一方に向けてシートを搬送することができる。これによって、ジャム等によって搬送路中に停止している残留シートを破損することなく、容易に取り出すことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】シート搬送装置を備えた画像形成システムの全体構成を示す断面図である。
図2】シート搬送装置(多段収納装置)の外観図である。
図3】多段収納装置の内部構成を示す断面図である。
図4】多段収納装置の制御構成を示すブロック図である。
図5】第1の搬送路開放手段の構成を示す断面図である。
図6】第2の搬送路開放手段の構成を示す断面図である。
図7】共通搬送路における残留シート処理のフロー図である。
図8】中継搬送路における残留シート処理の一実施形態を示すフロー図である。
図9】残留シートの長さに基づく処理手段の一実施形態を示す説明図である。
図10】中継搬送路における残留シート処理の他の実施形態を示すフロー図である。
図11】残留シートの長さに基づく処理手段の他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面に基づいて、本発明のシート搬送装置の詳細を説明する。図1はシート搬送装置を中心とした画像形成システムの一例を概略的に示したものである。画像形成システムは、画像形成装置A1と、画像形成装置A1に接続されたシート搬送装置としての一実施形態である多段収納装置B1と、給送デッキB2とによって構成されている。多段収納装置B1は、後述するように、複数枚のシートを収納可能な複数の収納庫と、手差しトレイB3とを有しており、各収納庫又は手差しトレイB3から画像形成装置A1にシートを給送可能である。また、給送デッキB2も複数枚のシートを収納可能な収納庫を有しており、多段収納装置B1の上流側に配置されている。給送デッキB2又は手差しトレイB3から給送されるシートは、多段収納装置B1に設けられた中継搬送ユニット80を介して画像形成装置A1に搬送される。なお、本発明のシート搬送装置は、上記多段収納装置B1に限定されるものではない。
【0010】
画像形成システムは、画像形成装置A1に接続された原稿読取装置A2又は画像形成装置A1に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)をシートに形成する。本実施形態の場合、原稿読取装置A2は、画像形成装置A1の上側に配置されている。原稿読取装置A2は、原稿を読み取る際には、プラテンガラス3の上に載置された原稿に走査光学系光源によって光を照射すると共に、反射光を光電変換素子CCDに入力することにより原稿画像を読み取るようにしている。また、原稿読取装置A2は、原稿搬送装置A3を備えており、トレイ5上に載置された原稿を原稿搬送装置A3により自動的に原稿読取装置A2の読み取り部に搬送して、原稿画像を読み取ることも可能である。
【0011】
画像形成装置A1は、画像形成部11、複数のシート給送部12、13等を備える。画像形成装置A1は、制御部CON1により各部が制御される。制御部CON1は、CPU、ROM、RAMを有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0012】
画像形成装置A1には、複数の搬送路と、各搬送路に沿って設けられる複数の搬送ローラ対からなる搬送手段と、シートを収納する複数の給紙カセット12a、13aと、各給紙カセット12a、13aからシートを1枚ずつ分離して給紙する給紙機構12b、13bとが設けられている。複数の搬送ローラ対15により搬送路16を通過した後、画像形成部11に送り込まれる。また、多段収納装置B1、給送デッキB2、手差しトレイB3から搬送されるシートは、接続路17を介して搬送路16に合流した後、搬送ローラ15を介して画像形成部11に送り込まれる。
【0013】
また、前記画像形成装置A1の各搬送路には複数のシートセンサ(図示せず)が設けられ、各搬送路を搬送するシートの位置情報を基にジャムが発生したことを検出する。制御部CON1では、ジャムが検出されると、搬送中のシートを停止するように制御される。
【0014】
画像形成部11は、感光ドラム20、帯電器21、レーザスキャナ22、現像器23、転写装置24、クリーナ25等を備えている。画像形成時には、感光ドラム20が回転駆動され、まず、帯電器21により感光ドラム20の表面が一様に帯電される。そして、画像信号に応じて発光されるレーザスキャナ22からのレーザ光が帯電された感光ドラム20に照射されることで、感光ドラム20上に静電潜像が形成される。さらに、このようにして感光ドラム20上に形成された静電潜像は、この後、現像器23によってトナー像として顕像化される。この後、感光ドラム20上のトナー像は、転写装置24によりシートに転写される。さらに、このようにトナー像が転写されたシートは、定着装置27に搬送されてトナー像の定着が行われ、この後、排出ローラ対18によって排出トレイ19に排出される。シートの裏面にトナー像を形成する場合には、定着装置27から排出されたシートを反転搬送路26に搬送する。そして、反転搬送路26により表裏を反転した状態で、シートを再度、画像形成部11の転写装置24に搬送する。裏面にトナー像が転写されたシートは、定着装置27に搬送され、トナー像の定着が行われた後、排出ローラ対18により排出トレイ19に排出される。なお、転写後に感光ドラム20上に残った転写残トナーは、クリーナ25により除去される。
【0015】
図2は多段収納装置B1の外観図、図3は多段収納装置B1の概要断面図、図4は多段収納装置B1の制御系の構成を示すブロック図である。図2に示したように、多段収納装置B1は、操作ボタン97によって、図中手前側に引き出し可能な上段、中断、下段の収納庫30、31、32を備えている。また、シート搬送方向の下流側(図中左側)には後述する共通搬送路39を開放する第1開放カバーCA1を備え、前記中段と下段の収納庫31、32の間には、後述する中継搬送ユニット80が開放可能な第2開放カバーCA2を備えている。
【0016】
多段収納装置B1は、図3に示したように、上段収納庫30、中段収納庫31、下段収納庫32、中継搬送ユニット80等を備える。本実施形態では、中段収納庫31と下段収納庫32との間に中継搬送ユニット80を配置している。上段収納庫30、中段収納庫31、下段収納庫32には、それぞれにシートを積載する上段積載トレイ30a、中段積載トレイ31a、下段積載トレイ32aが設けられている。この上段積載トレイ30a、中段積載トレイ31a、下段積載トレイ32aはそれぞれ上段積載モータMT12、中段積載モータMT13、下段積載モータMT14の駆動によって昇降し、上段積載トレイ30a、中段積載トレイ31a、下段積載トレイ32aを給紙位置や補充位置に移動するように構成されている。上段収納庫30のシートは上段搬送路33に給紙され、中段収納庫31のシートは中段搬送路34に給紙され、下段収納庫32のシートは下段搬送路35に給紙される。また、中継搬送ユニット80から搬送されたシートは、中継搬送路36に搬送される。上段搬送路33と中段搬送路34は、第1合流路37に合流する。さらに第1合流路37、中継搬送路36、下段搬送路35は第2合流路38に合流し、共通搬送路39に接続される。これによって、第1合流路37、中継搬送路36、下段搬送路35からのシートはそれぞれ共通搬送路39に搬送され、共通搬送路39に設けられる複数の搬送ローラ対52、53にて共通搬送路39を通って画像形成装置A1に搬送される。
【0017】
また、多段収納装置B1には、上流から下流に至る搬送路の共通搬送路39の一部(第1の部分)を開放することで、シート搬送方向に沿ったシート長方向からシートの取り出しが可能な第1の搬送路開放手段61と、前記共通搬送路39より上流側に位置する中継搬送路36の一部(第2の部分)を開放することで、シート搬送方向と直交するシート幅方向からシートの取り出しが可能な第2の搬送路開放手段62とを有している。制御部CON2は、画像形成装置A1と通信することでシートの給送タイミングや搬送するシートの種類、サイズ(シート長)、搬送中の位置等の情報を取得する。多段収納装置B1には、搬送されるシートを検出するための複数のシート検出手段(シートセンサ)S1~S13、各搬送路33~39に配置された各ローラを駆動するための複数のモータMT1~MT14が備えられている。制御部CON2は、複数のシートセンサS1~S13によるシートの検出状態によって、各モータMT1~MT14を制御し、シートの搬送動作を実行する。また、画像形成装置A1からジャムが検出されると、制御部CON2にその情報が伝達され、多段収納装置B1内でのシートの搬送及びシート給送装置B2、手差しトレイB3からのシートの給送を停止する。そして、この停止によって取り残されたシート(残留シート)が後述するシートセンサS1~S7によって検出され、その結果に基づいて、前記残留シートを第1又は第2の搬送路開放手段61、62に向けて搬送するように制御される。また、制御部CON2は、複数のシート検出手段(シートセンサ)S1~S13のシートの検出状態からジャムを検出し、多段収納装置B1内でのシートの搬送及びシート給送装置B2、手差しトレイB3からのシートの給送を停止する。
【0018】
多段収納装置B1には、上段収納庫30からシートを給紙する上段給送部41、中段収納庫31からシートを給紙する中段給送部42、下段収納庫32からシートを給紙する下段給送部43が上下方向に設けられている。上段給送部41、中段給送部42、下段給送部43には、それじれピックアップローラ41a、42a、43a、給紙ローラ41b、42b、43b、リタードローラ41c、42c、43cを有している。上段給送部41のピックアップローラ41a、給紙ローラ41b、リタードローラ41cは、上段給送モータMT1の正転駆動によってシートを給紙する。中段給送部42のピックアップローラ42a、給紙ローラ42b、リタードローラ42cは、中段給送モータMT2の正転駆動によってシートを給紙する。下段給送部43のピックアップローラ43a、給紙ローラ43b、リタードローラ43cは、下段給送モータMT3の正転駆動によってシートを給紙する。なお、上段給送部41、中段給送部42、下段給送部43の構成は同一であるため、ここでは上段給送部41について説明し、中段給送部42、下段給送部43の詳細については省略する。
【0019】
上段給送部41は、ピックアップローラ41a、給紙ローラ41b、リタードローラ41cを有する。ピックアップローラ41a、給紙ローラ41b、リタードローラ41cは、幅方向略中央に配置されている。ピックアップローラ41aは、上段収納庫30に収納されたシートを給送する。具体的には、ピックアップローラ41aは、上昇した積載トレイ30aに積載されたシートの最上位シートと当接して給送する。このためにピックアップローラ41aは、図3に示したように、シート搬送方向に関してシートの先端部近傍に、積載トレイ30a上の最上位シートに適宜の力で圧接可能となるように配置されている。そして、ピックアップローラ41aは、駆動源としての上段給送モータMT1の駆動により回転することで、最上位のシートを送り出す。
【0020】
給紙ローラ41bとリタードローラ41cは、ピックアップローラ41aから2枚以上のシートが重なって給送された場合に、分離して1枚のみのシートを搬送する。即ち、給紙ローラ41bは、上段給送モータMT1の駆動によりシートを搬送する方向に回転し、ピックアップローラ41aから給送されたシートを搬送する。一方、リタードローラ41cは、給紙ローラ41bとは逆方向に回転して、ピックアップローラ41aから送られた2枚以上のシートのうち、最上位のシート以外のシートを積載トレイ30a側に押し戻す。なお、リタードローラ41cにはトルクリミッタ(図示せず)が内蔵されており、ピックアップローラ41aから送られたシートが1枚のみの場合には、給紙ローラ41bにより搬送されるシートによって連れ回るようになっている。
【0021】
上段給送部41にて給紙されたシートは、搬送ローラ対46によって上段搬送路33に搬送される。また、中段収納庫31内のシートは搬送ローラ対47によって中段搬送路34に、下段収納庫32内のシートは搬送ローラ対48によって下段搬送路35に搬送される。そして、前記上段搬送路33、中段搬送路34、下段搬送路35を経て搬送されたシートは、下流側の共通搬送路39を介して画像形成装置A1に搬送される。
【0022】
上段搬送路33には、第1の上段搬送ローラ対46、第2の上段搬送ローラ対56、第3の上段搬送ローラ対57が設けられている。第1の上段搬送ローラ対46は第1の給送モータMT1の逆転駆動で回転し、第2の上段搬送ローラ対56、第3の上段搬送ローラ対57は、第1の搬送モータMT4の駆動にて回転してシートを上段搬送路33に沿って搬送する。中段搬送路34には、中段搬送ローラ対47が設けられている。第1の上段搬送ローラ対46は第1の給送モータMT1の逆転駆動で回転してシートを中段搬送路34に沿って搬送する。第1合流路37には、第1、第2の合流ローラ対49、50が設けられている。この第1、第2の合流ローラ対49、50は第2の搬送モータMT5の駆動にて回転してシートを第1合流路37に沿って搬送し、上段搬送路33及び中段搬送路34からのシートを共通搬送路39に搬送する。さらに下段搬送路35には、第1の下段搬送ローラ対48、第2の下段搬送ローラ対51が設けられている。第1の下段搬送ローラ対48は第3の給送モータMT1の逆転駆動で回転し、第2の下段搬送ローラ対51は第3の搬送モータMT6の駆動にて回転する。第1、第2の下段搬送ローラ対48、51によってシートは下段搬送路35から共通搬送路39に搬送される。
【0023】
また、中継搬送路36には、第1、第2の中継搬送ローラ対54、55と、搬送ベルト81が設けられ、第1、第2の中継搬送ローラ対54、55はそれぞれ第6、第7の搬送モータMT9、MT10の駆動で回転し、搬送ベルト81はベルト搬送モータMT11の駆動で回転する。第1、第2の中継搬送ローラ対54、55及び搬送ベルト81によって、給送デッキB2及び手差しトレイB3から多段収納装置B1を経由したシートは、共通搬送路39に搬送される。共通搬送路39に設けられた第1、第2の共通搬送ローラ対52、53もそれぞれ第4、第5の搬送モータの駆動で回転し、各搬送路37、36、35からのシートを共通搬送路39から画像形成装置A1に搬送する。
【0024】
図3に示したように、中継搬送ユニット80は、搬送ベルト81、複数の球体82、搬送ベルト81の上流側と下流側に位置する搬送ローラ対55、54を有する。搬送ベルト81は、一対のプーリ86、87に掛け渡された無端状のベルトである。片方のプーリ86は、ベルト搬送モータMT11の駆動によって回転する。この搬送ベルト81によって、上流側の搬送ローラ対55から受け渡されたシートを下流側の搬送ローラ対54に向けて搬送する。球体82は、搬送ベルト81の搬送面と対向する位置に搬送ベルト81の回転方向に沿って複数配置されている。複数の球体82は、搬送ベルト81の上方で、搬送ベルト81の回転方向に沿って等間隔に配置されている。複数の球体82は、保持板88に任意方向に回転自在に保持されており、搬送ベルト81の搬送面 との間でシートを挟持しつつ、任意方向に回転する。
【0025】
次に、多段収納装置B1における搬送路開放手段について説明する。本実施形態の多段収納装置B1には、第1の搬送路開放手段61及び第2の搬送路開放手段62を有し、それぞれに第1のシート取出部としての第1の取出口61aと、第2のシート取出部としての第2の取出口62aと、を備えている。図5(a),(b)は第1の搬送路開放手段61を示したものである。第1の搬送路開放手段61は、主に共通搬送路39において残留したシートを取り出すことができるように構成されている。この第1の搬送路開放手段61は、下段搬送路35及び共通搬送路39の一部を開放する位置に移動可能に配置されたガイドユニット70を備えている。このガイドユニット70は、下段搬送路35及び共通搬送路39の一部を形成する第1搬送ガイド39aと、下段搬送路35における搬送ローラ対51の従動ローラ51bと、共通搬送路39における搬送ローラ対53の従動ローラ53bとを有している。ガイドユニット70には、ロック爪73と、手動によって回動操作される操作レバー74とを有している。通常は、図5(a)に示したように、ロックピン75にロック爪73が係合しており、手動で操作レバー74を操作することで、図5(b)に示したように、ロックピン75との係合が解除される。ロック爪73とロックピン75との係合が解除されることで、ガイドユニット70は、回動軸76を中心に回動可能となる。多段収納装置B1では、ガイドユニット70が回動軸76を中心に回動することで、第1搬送ガイド39aが対向する第2搬送ガイド39bから離間すると共に、従動ローラ51b、53bもそれぞれ駆動ローラ51a、53aから離間する。これによって、下段搬送路35及び共通搬送路39の一部が開放可能となる。
【0026】
ジャムの発生によって、下段搬送路35又は共通搬送路39で搬送が停止したシートを取り除く場合、図2に示した第1開放カバーCA1を画像形成装置A1側の端部を支点に装置フロント側(図中手前側)に回動し、多段収納装置B1の下流側を露出させた後、操作レバー74を手動で操作する。これによって、図5(b)のようにガイドユニット70が回動軸76を中心に回動し、下段搬送路35と共通搬送路39の一部が開放され、下段搬送路35又は共通搬送路39に残留しているシートを取り除くことができる。
【0027】
図6は第2の搬送路開放手段を示したものである。この第2の搬送路開放手段は、中継搬送ユニット80内に残留したシートを取り出すことができるように構成されている。図6(a),(b)は、図3に示した中継搬送ユニット80の内部をシート搬送方向から見た概略図である。搬送ベルト81はシートPの幅方向の中央に配置され、その両側に中継搬送路36の一部を形成する平板状の一対のガイド部材90、91が設けられている。一対のガイド部材90、91のうち、多段収納装置B1の前面カバー側(図中左側)のガイド部材90は、後述するように共通搬送路39を形成する搬送位置(図6(a))と、この搬送位置よりも下方で、中継搬送路36を開放する取出位置(図6(b))との間で移動可能に構成される。ガイド部材90は、前記搬送位置と取出位置とで移動可能とするリンク機構93を備えている。このリンク機構93は、アーム状のリンク部材92と、このリンク部材92の両端部を支持するピン92a、92bとを有する平行リンク機構である。リンク部材92はピン92aによって中継搬送ユニット80の下側の筐体94に回転自在に支持されている。ガイド部材90は、ピン92bによってリンク部材92に回転自在に支持されている。このリンク機構93は、ガイド部材90におけるシート搬送方向の一端側(図中手前側)の側部の2箇所と、図示しないが他端側(図中奥側)の側部の2箇所に取り付けられている。すなわち、ガイド部材90は4つのリンク機構によって支持され、搬送位置から取出位置との間を移動するようになっている。
【0028】
ジャムの発生によって、中継搬送ユニット80の中継搬送路36で搬送が停止したシートを取り除く場合、図2に示した第2開放カバーCA2の下端側を支点に装置フロント側(図中手前側)に回動し、中継搬送路36内を露出させた後、把手96を装置フロント側(図中左側)に引く。これによって、ガイド部材90が搬送位置(図6(a))から取出位置(図6(b))に移動することで中継搬送路36が開放され、中継搬送ユニット80内に残留したシートを第2開放カバーCA2側に引き出すようにして取り出すことができる。
【0029】
本実施形態では、画像形成装置A1でジャムが発生した場合、多段収納装置B1はその動作を一旦停止する。これによって、多段収納装置B1内の各搬送路におけるシートの搬送は一旦停止するため、各搬送路内に取り残されたシートは残留シートとなる。画像形成装置A1においてジャムしたシートが取り除かれ、画像形成装置A1のジャムが解除されると、多段収納装置B1内に残留シートがあるか否かを検出する。残留シートがあるか否かは、複数のシートセンサS1~S7の検出結果によって判定でき、また、シートが停止した場所についても特定することができる。一方、多段収納装置B1でジャムが発生した場合は、ジャムが発生した位置よりも上流側の搬送路内にあるシートを停止する。
【0030】
次に、ジャムが発生した際の動作について説明する。図3に示したように、ジャムした際に発生する残留シートは、第1の搬送路開放手段61に設けられている第1の取出口61a又は第2の搬送路開放手段62に設けられている第2の取出口62aのいずれかから取り出し可能となっている。第2の搬送路開放手段62に対して第1の搬送路開放手段61は、前述したように、共通搬送路39が大きく下方向に開口できる構造となっており、第2の搬送路開放手段62より長い残留シートも取り出し可能となっている。残留シートは画像形成装置A1のCON1との通信を介して設定された残留シート長に応じて、第1の搬送路開放手段61又は第2の搬送路開放手段62のいずれかに搬送される。つまり、設定された残留シート長が第2の取出口62aから取り出し可能の場合は第2の搬送路開放手段62に向けて残留シートを搬送し、設定された残留シート長が第2の取出口62aから取り出し不可能な場合は第1の搬送路開放手段61に向けて残留シートを搬送する。
【0031】
本実施形態では、前記残留シートの長さや位置を検出する手段として、複数のシートセンサS1~S7を備えている。共通搬送路39には第1~第3のシートセンサS1、S2、S3が配置され、中継搬送路36上には第4、第5のシートセンサS4、S5が配置され、中継搬送路36の上流側には第6、第7のシートセンサS6、S7が配置されている。なお、本実施の形態では、シートセンサS4は、開放される中継搬送路36の一部におけるシート搬送方向の下流端の位置でシートを検出するように配置するが、シート搬送方向の下流端の位置よりも若干下流側または上流側に配置してもよい。さらに、本実施の形態では、シートセンサS5は、開放される中継搬送路36の一部におけるシート搬送方向の上流端の位置でシートを検出するように配置するが、シート搬送方向の下流端の位置よりも若干下流側または上流側に配置してもよい。
【0032】
以下、図7図8及び図3を参照して残留シートの検出及び排除処理の一実施形態について説明する。図7は共通搬送路39における残留シートの検出及び取り出し処理の流れを示したものである。画像形成装置A1でジャムの発生を検知しまたは上段搬送路33、中段搬送路34、下段搬送路35、第1合流路37、共通搬送路39のいずれかでジャムが発生し、ジャムしたシートを取り除き、ジャム解除がなされた際に、残留シートの検出及び取り出し処理が実行される。共通搬送路39上に残留シートがあるか否かは、第1~第3のシートセンサS1、S2、S3によって検出される(ST11)。第1~第3のシートセンサS1、S2、S3のいずれかが検出(ON)していれば、残留シートがあると判定される。続いて、第1、第2のシートセンサS1、S2が非検出(OFF)、第3のシートセンサS3のみが検出(ON)している場合(ST12)は、搬送ローラ対53、54を正転駆動して残留シートを下流側に送る(ST13、ST14)。一方、ST12で第1、第2のシートセンサS1、S2のいずれかが(ON)であれば、そのまま第1の取出口61aから残留シートを取り除くように報知する(ST16)。前記ステップ(ST14)において、第2のシートセンサS2が残留シートの先端を検出すると、その時点で搬送ローラ対53、54の駆動を停止する(ST15)。これによって、残留シートの先端が第2のシートセンサS2の位置(第1の位置)まで移動する。この状態となった時点で、第1の取出口61aから残留シートを取り除くように報知する(ST16)。
【0033】
図8は中継搬送路36における残留シートの検出及び取り出し処理の流れを示したものである。中継搬送路36における残留シート処理においては、中継搬送路36の下流側に残留シートがないことが前提とされる。このため、共通搬送路39においてジャムが発生した場合は、上記図7に示した共通搬送路39の残留シート処理が終了した後に本処理が開始される。最初に中継搬送ユニット80内に残留シートがあるか否かを検出する(ST41)。残留シートがあるか否かは、ジャム発生時にシートを停止させた時点で、第4、第5のシートセンサS4、S5のいずれか一方が検出(ON)していれば、中継搬送ユニット80内に残留シートがあると判定される。また、第4、第5のシートセンサS4、S5が非検出(OFF)であっても、搬送ベルト81を所定量駆動し、第4、第5のシートセンサS4、S5のいずれか一方が検出(ON)すれば残留シートありと判定される。
【0034】
前記中継搬送路36上で残留シートありと判定され(ST41)、第5のシートセンサS5が残留シートを検出しているか否かを確認する(ST42)。第5のシートセンサS5が検出(ON)している場合、搬送ローラ対55及び搬送ベルト81を駆動して残留シートを下流側に送る(ST42、ST43)。そして、残留シートの後端が第5のシートセンサS5によって検出されると、その検出された時点から残留シートを所定量搬送して搬送ローラ対55及び搬送ベルト81の駆動を停止する(ST46、ST47)。これによって、残留シートはその後端が第5のシートセンサS5から所定距離tの下流の位置(第2の位置)で停止する(図9(a)、(b)参照)。そして、第4のシートセンサS4が残留シートを検出しているか否かを確認する(ST48)。
【0035】
第4のシートセンサS4が残留シートを検出しているか否かを確認した結果(ST48)、図9(a)に示すように第4のシートセンサS4が残留シートP1を検出していない(OFF)場合は、残留シートP1の長さ(L1)が第2の取出口62aから取り出し可能な長さであるとして、第2の取出口62aから残留シートP1を取り除くように報知する(ST49)。一方、図9(b)に示すように第4のシートセンサS4が残留シートP2を検出(ON)している場合は、残留シートP2の長さ(L2)が第2の取出口62aから取り出し不可能な長さであるとして、搬送ローラ対55、搬送ベルト81、搬送ローラ対53、54を駆動する。これによって、残留シートP2はさらに下流側に向けて搬送され(ST50)、図9(c)に示すように第2のシートセンサS2が残留シートP2の先端を検出(ON)(ST51)すると、搬送ローラ対55、搬送ベルト81、搬送ローラ対53、54の駆動を停止する(ST52)。これによって、残留シートの先端が第2のシートセンサS2の位置(第1の位置)まで移動し、その後に第1の取出口61aから残留シートを取り除くように報知する(ST53)。
【0036】
なお、ステップ42(ST42)で、第5のシートセンサS5が残留シートを検出していない場合、すなわち第4のシートセンサS4のみが残留シートを検出している場合、第2の取出口62aから取り出しできない位置あるシートとして、搬送ローラ対55、搬送ベルト81、搬送ローラ対53、54を駆動し、残留シートを搬送する(ST50)。そして、第2のシートセンサS2が残留シートの先端を検出(ON)(ST51)すると、搬送ローラ対55、搬送ベルト81、搬送ローラ対53、54の駆動を停止する(ST52)。これによって、残留シートの先端が第2のシートセンサS2の位置(第1の位置)まで移動し、その後に第1の取出口61aから残留シートを取り除くように報知する(ST53)。
【0037】
ステップ45(ST45)で残留シートの後端が第5のシートセンサS5に検出される前に第2のシートセンサS2が残留シートの先端を検出した場合(ST44)、残留シートの搬送を停止し、第1の取出口61aから残留シートを取り除くように報知する(ST54、ST55)。
【0038】
ここで、中継搬送路36における残留シート処理の他の実施形態について説明する。図10は中継搬送路36における残留シートの検出及び取り出し処理の他の実施形態の流れを示したものである。この中継搬送路36における残留シート処理においても、中継搬送路36の下流側に残留シートがないことが前提とされる。このため、共通搬送路39においてジャムが発生した場合は、上記図7に示した共通搬送路39の残留シート処理が終了した後に本処理が開始される。最初に中継搬送ユニット80内に残留シートがあるか否かを検出する(ST21)。残留シートがあるか否かは、ジャム発生時にシートを停止させた時点で、第4、第5のシートセンサS4、S5のいずれか一方が検出(ON)していれば、中継搬送ユニット80内に残留シートがあると判定される。また、第4、第5のシートセンサS4、S5が非検出(OFF)であっても、搬送ベルト81を所定量駆動し、第4、第5のシートセンサS4、S5のいずれか一方が検出(ON)すれば残留シートありと判定される。
【0039】
前記中継搬送路36上で残留シートありと判定され(ST21)、第4のシートセンサS4が残留シートを検出しているか否かを確認する(ST22)。第4のシートセンサS4が非検出(OFF)、すなわち第5のシートセンサS5のみが検出(ON)している場合、搬送ローラ対55及び搬送ベルト81を駆動して残留シートを下流側に送る(ST23、ST24)。そして、残留シートが第4のシートセンサS4によって検出されると搬送ローラ対55及び搬送ベルト81の駆動を停止する(ST25)。これによって、残留シートはその先端がシートセンサS4の位置(第2の位置)で停止し、次に第5のシートセンサS5が残留シートを検出しているか否かを確認する(ST26)。なお、前記ステップ(ST22)で第4のシートセンサS4が残留シートを検出(ON)している場合は、次に第5のシートセンサS5が残留シートを検出しているか否かを確認するように動作する。
【0040】
第5のシートセンサS5が残留シートを検出しているか否かを確認した結果(ST26)、図11(a)に示すように第5のシートセンサS5が残留シートP1を検出していない(OFF)場合は、残留シートP1の長さ(L1)が第2の取出口62aから取り出し可能な長さであるとして、第2の取出口62aから残留シートP1を取り除くように報知する(ST27)。一方、図11(b)に示すように第5のシートセンサS5が残留シートP2を検出(ON)している場合は、残留シートP2の長さ(L2)が第2の取出口62aから取り出し不可能な長さであるとして、搬送ローラ対55、搬送ベルト81、搬送ローラ対53、54を駆動する。これによって、残留シートP2はさらに下流側に向けて搬送され(ST28)、図11(c)に示すように第2のシートセンサS2が残留シートP2の先端を検出(ON)(ST29)すると、搬送ローラ対55、搬送ベルト81、搬送ローラ対53、54の駆動を停止する(ST30)。これによって、残留シートの先端が第2のシートセンサS2の位置(第1の位置)まで移動し、その後に第1の取出口61aから残留シートを取り除くように報知する(ST31)。
【0041】
前記中継搬送路36の残留シート処理を実行する前には必ず共通搬送路の残留シート処理が実行される。このため、中継搬送路36の残留シート処理する際には、第1~第3のシートセンサS1、S2、S3のいずれかによって検出されるシートは取り除かれており、共通搬送路39にシートがない状態で中継搬送路36の残留シート処理が実行される。
【0042】
なお、第6のシートセンサS6は給送デッキB2から給紙されるシートの先端を検出し、第7のシートセンサS7は手差しトレイB3から給紙されるシートの先端を検出する。ジャムが検出され、且つ、前記第6、第7のシートセンサS6又はS7が検出された場合は、前記給送デッキB2又は手差しトレイB3からシートを取り出すように報知する。
【0043】
上記実施形態では、第1の取出口61a又は第2の取出口62aのいずれかから残留シートを取り除くことが可能であることを画像形成装置A1に備えられた表示パネルA4にて報知する構成となっているが、多段収納装置B1にLED等の表示手段を設け、残留シートの取り除きを報知するようにしてもよい。
【0044】
また、中継搬送路36の残留シート処理では、残留シートの後端が第5のシートセンサS5によって検出されると残留シートを一旦停止し、第4のシートセンサS4が残留シートを検出しているか否かを確認するようになっている。これに対して、残留シートの後端が第5のシートセンサS5に検出された時点で残留シートの先端が第4のシートセンサS4によって検出されていれば、残留シートを停止させることなく、共通搬送路39のシートセンサS5が残留シートの先端を検出するまで搬送するようにしてもよい。また、他の実施形態でも残留シートの先端が第4のシートセンサS4によって検出されると残留シートを一旦停止し、第5のシートセンサS5が残留シートを検出しているか否かを確認するようになっているが、残留シートの先端が第4のシートセンサS4に検出された時点で、残留シートの後端が第5のシートセンサS5で検出されていなければ、残留シートを停止させることなく、共通搬送路39の第5のシートセンサS5が残留シートの先端を検出するまで搬送するようにしてもよい。
【0045】
さらに、給送デッキB2に自動でシートサイズが検出できるシート長さ検出手段を備えている場合には、給送デッキB2から中継搬送路36に搬送された残留シートに対して、給送デッキB2で検出されたシートサイズにおけるシートの長さよって、第1の取出口61a、第2の取出口62aのいずれかを選択して残留シートを搬送してもよい。つまり、給送デッキB2で検出されたシートの長さが、第2の取出口62aより取り出し可能な所定の長さ以下のシートであれば、第2の取出口62aを選択し、所定の長さよりも長い場合は、第1の取出口61aを選択する。そして、給送デッキB2に自動でシートサイズが検出できる機能がある場合では、手差しトレイB3から中継搬送路36に搬送された残留シートに対してのみ上述の中継搬送路36の残留シート処理を実行するようにすればよい。なお、給送デッキB2では、自動でシートサイズが検出できる手段として、収納庫内のシートの後端を規制する後端規制板の位置によって収納庫内のシートの長さ検出するものがある。
【0046】
上記実施形態によれば、シート搬送方向と直交する方向にシートを取り出す第2の取出口62aで取り出しできない長さのシートであっても、シートの搬送方向にシートを取り出し可能な第1の取出口61aにシートを搬送し、第1の取出口61aで取り出すようにしたので、シートの長さに係わらず多段収納装置B1内の残留シートが容易に取り出すことができる。また、第2の取出口62aでシートを取り出す取り出し位置までシートを搬送して、シートが取り出し可能な長さか否かを判断し、取り出しできない長さである場合は、第1の取出口61aに搬送するようにしたので、取り扱い可能なシートの長さを自動で検出ができないものであっても、支障なく中継搬送路36内の残留シートを処理することができる。
【0047】
なお、上述した残留シート処理は、シートジャムの発生時の残留シートだけでなく、電源投入時のイニシャライズ時に残留シートが搬送経路内に検出された場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
A1 画像形成装置
A2 原稿読取装置
A3 原稿搬送装置
A4 表示パネル
B1 多段収納装置
B2 給送デッキ
B3 手差しトレイ
CA1 第1開放カバー
CA2 第2開放カバー
CON1 制御部
CON2 制御部
S1~S13 シートセンサ
MT1~MT14 モータ
P シート
11 画像形成部
15 搬送ローラ
16 搬送路
17 接続路
18 排出ローラ対
19 排出トレイ
30 上段収納庫
31 中段収納庫
32 下段収納庫
33 上段搬送路
34 中段搬送路
35 下段搬送路
36 中継搬送路
37 第1合流路
38 第2合流路
39 共通搬送路
39a 第1搬送ガイド
39b 第2搬送ガイド
41 上段給送部
41a,42a,43a ピックアップローラ
41b,42b,43b 給紙ローラ
41c,42c,43c リタードローラ
42 中段給送部
43 下段給送部
46,47,48 搬送ローラ対
49,50 合流ローラ対
51、52、53、54、55、56、57 搬送ローラ対
61 第1の搬送路開放手段
61a 第1の取出口(第1のシート取出部)
62 第2の搬送路開放手段
62a 第2の取出口(第2のシート取出部)
70 ガイドユニット
73 ロック爪
74 操作レバー
75 ロックピン
76 回動軸
80 中継搬送ユニット
81 搬送ベルト
82 球体
86,87 プーリ
88 保持板
90,91 ガイド部材
92 リンク部材
92a,92b ピン
93 リンク機構
94 筐体
96 把手
97 操作ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11