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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123533
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/02 20060101AFI20240905BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B25J19/02
B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031035
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿路川 雄介
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS03
3C707BS10
3C707BS15
3C707CT03
3C707CV05
3C707HS27
3C707KS34
3C707KW03
3C707KX06
3C707LU02
3C707LU08
3C707LV20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】力覚センサの校正の作業効率を向上できるロボットシステム及びロボットシステムの校正方法を提供する。
【解決手段】ロボットシステムは、可動部110と、ツール10と、制御部と、を備える。ツールは、力覚センサ20を介して可動部に装着されている。制御部は、可動部を駆動する。制御部は、力覚センサの校正を行う校正モードを実行可能である。校正モードの実行時に、所定の作用部材にツールが接触した状態で、制御部は、可動部を駆動して力覚センサが検出する検出値に基づいて力覚センサの校正を行う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部と、
力覚センサを介して前記可動部に装着されているツールと、
前記可動部を駆動して前記ツールを移動させる制御部と、を備えるロボットシステムにおいて、
前記制御部は、前記力覚センサの校正を行う校正モードを実行可能であり、
前記校正モードの実行時に、所定の作用部材に前記ツールが接触した状態で、前記制御部は、前記可動部を駆動して前記力覚センサが検出する検出値に基づいて前記力覚センサの校正を行う、ロボットシステム。
【請求項2】
前記校正モードの実行時に、前記制御部は、所定のトルク値で前記作用部材を加圧し、前記トルク値と前記力覚センサが検出した検出値とに基づいて前記力覚センサの校正を行う、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記作用部材は、前記ツールと接触する平面状の押圧面を有し、
前記校正モードの実行時に、前記制御部は、前記押圧面と直交する方向に対して傾いた方向に前記作用部材を加圧する、請求項1又は請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記作用部材が、弾性変形可能な弾性部材を有し、
前記校正モードの実行時に、前記制御部は、前記弾性部材の変形により算出される弾性力と前記力覚センサが検出する検出値とに基づいて前記力覚センサの校正を行う、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記作用部材が、前記ツールに固定された錘であり、
前記校正モードの実行時に、前記制御部は、前記ツールを所定加速度で移動させたときに算出される前記錘に掛かる慣性力と前記力覚センサが検出する検出値とに基づいて前記力覚センサの校正を行う、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記可動部は、相対的に移動可能な少なくとも一対の移動部を有し、
前記ツールは、前記移動部の一方に前記力覚センサを介して装着され、
前記校正モードの実行時に、前記移動部の他方を前記作用部材として機能させる、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記可動部は、互いに直交する3軸方向に移動可能である、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記可動部は、6軸方向に移動可能である、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記校正モードの実行時に、前記制御部は、所定のトルク値で前記作用部材を複数回加圧し、前記力覚センサが検出した検出値の平均値に基づいて前記力覚センサの校正を行う、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項10】
可動部と、
力覚センサを介して前記可動部に装着されているツールと、
前記可動部を駆動する制御部と、を備えるロボットシステムの校正方法において、
前記制御部が、所定の作用部材に前記ツールを接触させた状態で、前記可動部を駆動する作用工程と、
前記作用工程において前記力覚センサが検出した検出値に基づいて前記力覚センサの校正を行う校正工程と、を有する、ロボットシステムの校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロボットシステムは特許文献1に開示されている。このロボットシステムは、ロボットアームと、ツールと、制御部と、を備える。ツールは、力検出部(力覚センサ)を介してロボットアームに装着されている。力検出部は、ロボットアームに対して着脱可能であり、ツールに掛かる力を検出する。
【0003】
出荷時に校正済みとなった力検出部は、実際の使用環境下において、ロボットアームの駆動によりツールに掛かる力と、検出される検出値との間にばらつき(感度のズレ)が発生する可能性があった。このため、力検出部をロボットアームから外して校正装置を用いて校正を行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-146445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に開示されたロボットシステムによると、力検出部の校正の作業効率が悪い可能性があった。
【0006】
本発明は、力覚センサの校正の作業効率を向上できるロボットシステム及びロボットシステムの校正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的なロボットシステムは、可動部と、ツールと、制御部と、を備える。ツールは、力覚センサを介して可動部に装着されている。制御部は、可動部を駆動する。制御部は、力覚センサの校正を行う校正モードを実行可能である。校正モードの実行時に、所定の作用部材にツールが接触した状態で、制御部は、可動部を駆動して力覚センサが検出する検出値に基づいて力覚センサの校正を行う。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明によれば、力覚センサの校正の作業効率を向上できるロボットシステム及びロボットシステムの校正方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るロボットシステムの全体構成図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係るロボットシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係るロボットシステムの校正方法を示すフローチャートである。
図4図4は、本発明の第1実施形態に係るロボットシステムの校正方法を説明する説明図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係るロボットシステムの校正方法を説明する説明図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態に係るロボットシステムの全体構成図である。
図7図7は、本発明の第3実施形態に係るロボットシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図8図8は、本発明の第3実施形態に係るロボットシステムの校正方法を説明する説明図である。
図9図9は、本発明の第4実施形態に係るロボットシステムの全体構成図である。
図10図10は、本発明の第4実施形態に係るロボットシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図11図11は、本発明の第4実施形態に係るロボットシステムの校正方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書では、上下方向は単に説明のための用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。
【0011】
(1.ロボットシステムの構成)
本発明の例示的な一実施形態のロボットシステム100について説明する。図1は、本実施形態に係るロボットシステム100の全体構成図であり、図2は、ロボットシステム100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0012】
ロボットシステム100は、ステージ装置であり、可動部110と、ツール10と、制御部30と、を有する。ツール10は、力覚センサ20を介して可動部110に装着されている。制御部30は、可動部110を駆動してツール10を移動させる。ツール10は、例えば、ワークを保持する。
【0013】
力覚センサ20は、本実施形態では、3軸力覚センサーである。力覚センサ20は、、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向の三軸上の力の大きさを検出する。なお、力覚センサ20は、X方向、Y方向、Z方向の各軸周りの力の大きさを検出する6軸力覚センサーであってもよいし、他の構成のものであってもよい。
【0014】
本実施形態では、可動部110は、相対的に移動可能な第1移動部111と、第2移動部112と、第3移動部113と、で構成されている。第1移動部111は、第1ステージ111aと第1テーブル111bとを有する。第1ステージ111aは、作業台に固定される。第1テーブル111bは、モータ(不図示)の駆動によって第1ステージ111a上をX方向に往復移動する。
【0015】
第2移動部112は、第2ステージ112aと第2テーブル112bとを有する。第2ステージ112aは、第1テーブル111b上に固定される。第2テーブル112bは、モータ(不図示)の駆動によって第2ステージ112a上をY方向に往復移動する。
【0016】
第3移動部113は、第3ステージ113aと第3テーブル113bとを有する。第3ステージ113aは、第2テーブル112b上に固定される。第3テーブル113bは、モータ(不図示)の駆動によって第3ステージ113a上をZ方向に往復移動する。第3ステージ113a上には力覚センサ20を介してツール10が搭載されている。本実施形態では、Z方向が鉛直方向となっている。
【0017】
第1移動部111、第2移動部112及び第3移動部113の各モータ(不図示)は、制御部30に接続されている。制御部30は、モータの回転速度及び加速度を制御する。これにより、制御部30は、ツール10を所望の位置に移動させることができる。ツール10は、例えば、ワーク(不図示)を保持できる。制御部30は、力覚センサ20を介してワークに作用する力をモニタリングしながらモータを制御する。
【0018】
なお、本実施形態では、可動部110は、第1移動部111、第2移動部112及び第3移動部113で構成され、互いに直交する3軸方向にツール10を移動させているが、本発明は、この構成に限定されない。例えば、第1移動部111、第2移動部112及び第3移動部113のいずれかを減らして1軸方向又は2軸方向にツール10を移動させてもよい。また、移動部を増やして4軸以上の方向にツール10を移動させてもよい。また、移動部の移動軸に対して周方向に回転する移動部を増やしてもよい。
【0019】
(2.校正モードの構成)
図3は、ロボットシステム100の校正モードの一例を示すチャート図であり、図4は、ロボットシステム100の校正方法を説明する説明図である。ロボットシステム100は、ツール10が保持するワーク(不図示)を移動させる通常動作モードに加え、校正モードを備えている。校正モードの実行により、力覚センサ20の感度のズレを校正できる。
【0020】
校正モードを実行する前に、ツール10に作用部材40を接触させる(図4参照)。本実施形態では、作用部材40は、作業台(不図示)に固定された押圧板41である。押圧板41は、X方向に直交する押圧面41aを有する。すなわち、作用部材40は、ツール10と接触する平面状の押圧面41aを有する。
【0021】
校正モードが実行されると、ステップS1において、制御部30は、可動部110を駆動してY方向に所定のトルク値でツール10を押圧板41に押し付ける。
【0022】
ステップS2では、制御部30が、可動部110を駆動する際に出力したモータのトルク値と力覚センサ20の検出値とに基づいて力覚センサ20の校正を行う。例えば、可動部110が出力したトルク値から得られる推力と、力覚センサ20が検出する加圧力の検出値とが同一でない場合に、制御部30は、力覚センサ20の感度にズレが発生していると判断する。このとき、制御部30は、出力したトルク値と力覚センサ20の検出値とに基づいて力覚センサ20の検出値を補正する関数を作成する。次回以降の通常動作モードの実行時において、制御部30は、作成した関数によって補正された検出値に基づいて動作する。
【0023】
以上より、ロボットシステム100の力覚センサ20の校正方法は、作用工程(ステップS1)と、校正工程(ステップS2)と、を有する。作用工程は、制御部30が、所定の作用部材40にツール10を接触させた状態で、可動部110を駆動する。校正工程は、作用工程において力覚センサ20が検出した検出値に基づいて力覚センサ20の校正を行う。
【0024】
すなわち、制御部30は、力覚センサ20の校正を行う校正モードを実行可能であり、校正モードの実行時に、押圧板41(作用部材40)にツール10が接触した状態で、制御部30は、可動部110を駆動し、力覚センサ20が検出する検出値に基づいて力覚センサ20の校正を行う。
【0025】
これにより、力覚センサ20を可動部110に装着した状態で力覚センサ20を校正できる。従って、力覚センサ20の校正の作業効率を向上できる。また、ツール10を保持するワークに応じて取り換える場合に、取り換えたツール10に応じて力覚センサ20を容易に校正できる。これにより、力覚センサ20の校正の作業効率をより向上できる。
【0026】
また、校正モードの実行時に、制御部30は、所定のトルク値で押圧板41(作用部材40)を加圧し、トルク値と力覚センサ20が検出した検出値とに基づいて力覚センサ20の校正を行う。これにより、力覚センサ20の校正精度を向上できる。
【0027】
なお、校正モードの実行時に、制御部30は、可動部110が出力するトルク値に基づかずに力覚センサ20の校正を行ってもよい。例えば、所定のトルク値で押圧板41(作用部材40)を複数回(例えば、15分間に5000回)繰り返し加圧し、力覚センサ20が検出した検出値のみに基づいて力覚センサ20の校正を行う。このとき、検出された検出値のズレの平均値を算出し、平均値に基づいて力覚センサ20を校正してもよい。すなわち、校正モードの実行時に、制御部30は、所定のトルク値で作用部材40を複数回加圧し、力覚センサ20が検出した検出値の平均値に基づいて力覚センサ20の校正を行う。これにより、力覚センサ20の校正精度を向上できる。
【0028】
また、本実施形態では、可動部110の構造上、押圧板41(作用部材40)に対してY方向にツール10を押圧して力覚センサ20の校正を行ったが、X方向又はZ方向にツール10を押圧して各方向の力覚センサ20の校正を行ってもよい。可動部110が、互いに直交する3軸方向に移動可能であるため、3軸方向における力覚センサ20の感度を効率よく構成できる。
【0029】
また、校正モードの実行時に、制御部30は、押圧面41aと直交する方向に対して傾いた方向に作用部材40を加圧して、力覚センサ20の校正を行ってもよい。これにより、複数方向における力覚センサ20の感度を効率よく構成できる。
【0030】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係るロボットシステム100の校正方法を説明する説明図である。説明の便宜上、前述の図1図4に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付す。第2実施形態では作用部材40は、押圧板41と、一対の弾性変形可能なバネ(弾性部材)42とを有する。バネ42は、Y方向に延び、バネ42の一端は押圧板41に固定される。また、バネ42の他端は、例えば、作業台に固定されたベース部43に固定されている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0031】
バネ42のバネ定数は予め決まっており、押圧板41のY方向の移動量と弾性力との関係を示す基準データは、内部メモリ(不図示)に予め記憶されている。
【0032】
校正モードが実行されると、ステップS1において、制御部30は、可動部110を駆動してY方向に所定のトルク値でツール10を押圧板41に押し付ける。これにより、バネ42が縮んで押圧板41がY方向に移動する。
【0033】
ステップS2では、制御部30は、予め記憶された基準データに基づいて押圧板41の移動量からツール10に掛かる弾性力を算出する。また、制御部30は、算出された弾性力と力覚センサ20の検出値とに基づいて力覚センサ20の校正を行う。例えば、算出された弾性力と力覚センサ20の検出値とが同一でない場合に、制御部30は、力覚センサ20の感度にズレが発生している判断する。このとき、制御部30は、算出された弾性力と検出値とに基づいて力覚センサ20の検出値を補正する関数を作成する。
【0034】
すなわち、校正モードの実行時に、制御部30は、バネ(弾性部材)42の変形により算出される弾性力と力覚センサ20が検出する検出値とに基づいて力覚センサの校正を行う。バネ(弾性部材)42の弾性力を基準にして力覚センサ20の校正を行うことにより、力覚センサ20の校正精度をより向上できる。
【0035】
なお、本実施形態では、可動部110の構造上、押圧板41(作用部材40)に対してY方向にツール10を押圧して力覚センサ20の校正を行ったが、X方向又はZ方向にツール10を押圧して各方向の力覚センサ20の校正を行ってもよい。このとき、押圧板41をX方向に押圧する場合には、X方向に延びるバネ42を用いる。また、押圧板41をZ方向に押圧する場合には、Z方向に延びるバネ42を用いる。
【0036】
また校正モードの実行時に、制御部30は、弾性力を算出せずに力覚センサ20の校正を行ってもよい。例えば、押圧板41の押圧を複数回繰り返し、力覚センサ20が検出した検出値のみに基づいて力覚センサ20の校正を行う。例えば、検出された検出値のズレの平均値を算出し、平均値に基づいて力覚センサ20を校正できる。
【0037】
また、弾性部材の変形量と弾性力との関係が予め算出可能であれば、例えば、バネ42以外の弾性部材(例えば、ゴム等)を用いてもよい。
【0038】
また、本実施形態では。バネ42が縮む方向に押圧板41を押圧したが、押圧板41とツール10を固定してバネ42が延びる方向に押圧板41を引っ張ってもよい。このとき、制御部30は、バネ(弾性部材)42の変形により算出される弾性力と力覚センサ20が検出する検出値とに基づいて力覚センサ20の校正を行うことができる。
【0039】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図6は、第3実施形態に係るロボットシステム200の全体構成図であり、図7は、ロボットシステム200の校正方法を説明する説明図である。説明の便宜上、前述の図1図4に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付す。第2実施形態では、ロボットシステム200は、ロボットアームであり、可動部210と、ツール10と、制御部30と、を有する。
【0040】
本実施形態では、可動部210は、例えば、作業台に固定されるベース部211と、相対的に移動可能な複数の回転体212、213、214、215と、腕部217と、で構成されている。また、作用部材40は、錘44から成る。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0041】
回転体212、213、214、215は、360°以上回転する。回転体212は、ベース部211に対して相対的に回転可能に連結され、鉛直方向(Z方向)の延びる回転軸を中心として回転する。回転体213は、回転体212に対して相対的に回転可能に連結される。回転体213は、腕部217の一端に固定され、腕部217の他端には回転体214が連結される。
【0042】
回転体214は、腕部217に対して相対的に回転可能に連結される。回転体215は、回転体214に対して相対的に回転可能に連結される。
【0043】
ツール10は、力覚センサ20を介して最終段の回転体215に連結される。すなわち、ツール10は、力覚センサ20を介して可動部110に装着されている。
【0044】
力覚センサ20は、本実施形態では、6軸力覚センサである。力覚センサ20は、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向の三軸上の力の大きさと、X方向、Y方向、Z方向の周りを回転する力を検出する。なお、力覚センサ20は、3軸力覚センサであってもよいし、他の構成のものであってもよい。
【0045】
回転体210は、212、213、214、215を回転させることにより、ツール10の位置及び向きを変更することができる。なお、本実施形態では、可動部210は、5個の回転体及び1個の腕部で構成されているが、本発明は、これらの数に限定されない。
【0046】
図8は、ロボットシステム200の校正方法を説明する説明図である。本実施形態では、校正モードを実行する前に、ツール10に錘44を固定する。すなわち、作用部材40が、ツール10に固定された錘44である。
【0047】
錘44の質量は予め決まっており、ツール10のZ方向の加速度と錘44に掛かる慣性力との関係を示す基準データは、内部メモリ(不図示)に予め記憶されている。
【0048】
校正モードが実行されると、ステップS1において、制御部30は、可動部110を駆動してZ方向(鉛直上方向)に所定加速度でツール10を移動させる。
【0049】
ステップS2では、制御部30は、予め記憶された基準データに基づいてツール10の加速度からツール10に掛かる慣性力を算出する。また、制御部30は、算出された慣性力と力覚センサ20の検出値とに基づいて力覚センサ20の校正を行う。例えば、算出された慣性力と力覚センサ20の検出値とが同一でない場合に、制御部30は、力覚センサ20の感度にズレが発生している判断する。このとき、制御部30は、算出された慣性力と力覚センサ20の検出値とに基づいて力覚センサ20の検出値を補正する関数を作成する。
【0050】
すなわち、校正モードの実行時に、制御部30は、ツール10を所定加速度で移動させたときに算出される錘44に掛かる慣性力と力覚センサ20が検出する検出値とに基づいて力覚センサ20の校正を行う。錘44の慣性力を基準にして力覚センサ20の校正を行うことにより、力覚センサ20の校正精度をより向上できる。
【0051】
なお、本実施形態では、ツール10に掛かる慣性力の算出が容易であるため、ツール10をZ方向(鉛直上方向)に所定加速度で移動させたが、慣性力の算出ができればツールの移動方向は特に限定されない。
【0052】
校正モードの実行時に、制御部30は、慣性力を算出せずに力覚センサ20の校正を行ってもよい。例えば、所定の加速度でツール10を複数回繰り返し加速させ、力覚センサ20が検出した検出値のみに基づいて力覚センサ20の校正を行う。例えば、検出された検出値のズレの平均値を算出し、平均値に基づいて力覚センサ20を校正できる。
【0053】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図9は、第4実施形態に係るロボットシステム300の全体構成図であり、図10は、ロボットシステム300の校正方法を説明する説明図である。説明の便宜上、前述の図1図4に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付す。第4実施形態では、ロボットシステム300は、ステージ装置であり、可動部310と、ツール10と、制御部30と、を有する。
【0054】
本実施形態では、可動部310は、相対的に移動可能な第1移動部311と、第2移動部312と、第3移動部313と、で構成されている。第1移動部311は、第1ステージ311aと第1テーブル311bとを有する。第1ステージ311aは、X方向に延び、作業台314上に固定される。第1テーブル311bは、モータ(不図示)の駆動によって第1ステージ311a上をX方向に往復移動する。
【0055】
第2移動部312は、第2ステージ312aと第2テーブル312bとを有する。第2ステージ312aは、アーチ状に形成され、第1移動部311を跨いでY方向に延びる。第2ステージ312aの両端は作業台314に固定されている。第2テーブル312bは、モータ(不図示)の駆動によって第2ステージ312a上をY方向に往復移動する。
【0056】
第3移動部313は、第3ステージ313aと第3テーブル313bとを有する。第3ステージ313aは、第2テーブル312bの側面に固定される。第3テーブル313bは、モータ(不図示)の駆動によって第3ステージ313a上をZ方向に往復移動する。第3ステージ313aの底面には力覚センサ20を介してツール10が搭載されている。
【0057】
第1移動部311、第2移動部312及び第3移動部313の各モータ(不図示)は、制御部30に接続されている。制御部30は、モータの回転速度及び加速度を制御する。これにより、制御部30は、第1テーブル311b上に配置されたワーク(不図示)をX方向の所望の位置に移動させることができる。また、制御部30は、ツール10をY方向及びZ方向の所望の位置に移動させることができる。制御部30は、第1移動部311、第2移動部312及び第3移動部313を駆動し、ワークとツール10とを相対的に移動させることができる。このとき、制御部30は、力覚センサ20を介してワークに作用する力をモニタリングしながらモータを制御する。
【0058】
図11は、ロボットシステム200の校正方法を説明する説明図である。本実施形態では、校正モードを実行する前に、ツール10に第1テーブル311bを接触させる。すなわち、可動部310は、相対的に移動可能な第1移動部311及び第3移動部313(少なくとも一対の移動部)を有し、ツール10は、第3移動部313(移動部の一方)に力覚センサ20を介して装着され、校正モードの実行時に、第1移動部311(移動部の他方)を作用部材40として機能させている。
【0059】
また、第1テーブル311bの上面が、作用部材40の押圧面41aとして機能している。押圧面41aは、Z方向に直交し、校正モードの実行時にツール10と接触する。校正モードが実行されると、ステップS1において、制御部30は、可動部110を駆動してZ方向に所定のトルク値でツール10を押圧板41に押し付ける。ステップS2では、制御部30が、可動部110を駆動する際に出力したトルク値と力覚センサ20の検出値とに基づいて力覚センサ20の校正を行う。
【0060】
第1移動部311を作用部材40として利用することにより、部品点数を減らすことができる。
【0061】
<3.その他>
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、上記実施形態とその変形例は適宜任意に組み合わせることができる。例えば、第1実施形態のロボットシステム100において、第3実施形態の校正方法で力覚センサ20を校正してもよい。また、第3実施形態のロボットシステム200において、第1実施形態又は第2実施形態の校正方法で力覚センサ20を構成してもよい。
【0062】
また、ロボットシステムは、ロボットアーム又はステージ装置に限定されず、スカラロボットでもよい。
【0063】
<4.付記>
以上のように、本開示の一態様に係るロボットシステム(100、200、300)は、可動部(110、210、310)と、力覚センサ(20)を介して前記可動部に装着されているツール(10)と、前記可動部を駆動して前記ツールを移動させる制御部(30)と、を備えるロボットシステム(100、200、300)において、前記制御部は、前記力覚センサの校正を行う校正モードを実行可能であり、前記校正モードの実行時に、所定の作用部材(40)に前記ツールが接触した状態で、前記制御部は、前記可動部を駆動して前記力覚センサが検出する検出値に基づいて前記力覚センサの校正を行う(第1の構成)。
【0064】
また、上記第1の構成において、前記校正モードの実行時に、前記制御部は、所定のトルク値で前記作用部材を加圧し、前記トルク値と前記力覚センサが検出した検出値とに基づいて前記力覚センサの校正を行う、構成としてもよい(第2の構成)。
【0065】
また、上記第1又は第2の構成において、前記作用部材は、前記ツールと接触する平面状の押圧面を有し、前記校正モードの実行時に、前記制御部は、前記押圧面と直交する方向に対して傾いた方向に前記作用部材を加圧する、構成としてもよい(第3の構成)。
【0066】
また、上記第1から第3のいずれか構成において、前記作用部材が、弾性変形可能な弾性部材(42)を有し、前記校正モードの実行時に、前記制御部は、前記弾性部材の変形により算出される弾性力と前記力覚センサが検出する検出値とに基づいて前記力覚センサの校正を行う、構成としてもよい(第4の構成)。
【0067】
また、上記第1から第4のいずれか構成において、前記作用部材が、前記ツールに固定された錘であり、前記校正モードの実行時に、前記制御部は、前記ツールを所定加速度で移動させたときに算出される前記錘に掛かる慣性力と前記力覚センサが検出する検出値とに基づいて前記力覚センサの校正を行う、構成としてもよい(第5の構成)。
【0068】
また、上記第1から第5のいずれか構成において、前記可動部は、相対的に移動可能な少なくとも一対の移動部(311、313)を有し、前記ツールは、前記移動部の一方に前記力覚センサを介して装着され、前記校正モードの実行時に、前記移動部の他方を前記作用部材として機能させる、構成としてもよい(第6の構成)。
【0069】
また、上記第1から第6のいずれか構成において、前記可動部は、互いに直交する3軸方向に移動可能である、構成としてもよい(第7の構成)。
【0070】
また、上記第1から第6のいずれか構成において、前記可動部は、6軸方向に移動可能である、構成としてもよい(第8の構成)。
【0071】
また、上記第1から第8のいずれか構成において、前記校正モードの実行時に、前記制御部は、所定のトルク値で前記作用部材を複数回加圧し、前記力覚センサが検出した検出値の平均値に基づいて前記力覚センサの校正を行う、構成としてもよい(第9の構成)。
【0072】
また、本開示の一態様に係るロボットシステム(100、200、300)の校正方法は、可動部(110、210、310)と、力覚センサ(20)を介して前記可動部に装着されているツール(10)と、前記可動部を駆動する制御部(30)と、を備えるロボットシステムの校正方法において、前記制御部が、所定の作用部材に前記ツールを接触させた状態で、前記可動部を駆動する作用工程と、前記作用工程において前記力覚センサが検出した検出値に基づいて前記力覚センサの校正を行う校正工程と、を有する(第10の構成)。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によると、力覚センサを介して可動部に装着されたツールを有するロボットシステムに利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10 ツール
20 力覚センサ
30 制御部
40 作用部材
41 押圧板
41a 押圧面
42 バネ(弾性部材)
43 ベース部
44 錘
100、200、300 ロボットシステム
110、210、310 可動部
111 第1移動部
111a 第1ステージ
111b 第1テーブル
112 第2移動部
112a 第2ステージ
112b 第2テーブル
113 第3移動部
113a 第3ステージ
113b 第3テーブル
211 ベース部
212、213、214、215 回転体
217 腕部
310 可動部
311 第1移動部
311a 第1ステージ
311b 第1テーブル
312 第2移動部
312a 第2ステージ
312b 第2テーブル
313 第3移動部
313a 第3ステージ
313b 第3テーブル
314 作業台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11