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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123550
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】鍵盤装置
(51)【国際特許分類】
   G10B 3/12 20060101AFI20240905BHJP
   G10H 1/34 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G10B3/12 130
G10H1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031063
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001410
【氏名又は名称】株式会社河合楽器製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昭裕
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478BD05
(57)【要約】
【課題】鍵盤装置の部品の種類を抑制できるとともに、製造工程を簡易化できる技術を提供すること。
【解決手段】鍵盤装置では、白鍵用アクチュエータと黒鍵用アクチュエータとは、前後方向にずれて配置されている。白鍵用ハンマー及び黒鍵用ハンマーには、共通のハンマー用部材が用いられる。ハンマー用部材には、白鍵用アクチュエータによって押圧される白鍵用摺動面と黒鍵用アクチュエータによって押圧される黒鍵用摺動面とが設けられる。白鍵用摺動面と黒鍵用摺動面とは、位置及び/又は形状が異なる。白鍵の押鍵時には、白鍵用アクチュエータによりハンマー用部材の白鍵用摺動面が押圧され、黒鍵の押鍵時には、黒鍵用アクチュエータによりハンマー用部材の黒鍵用摺動面が押圧される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白鍵及び黒鍵からなる複数の鍵が回動可能に設けられた鍵盤と、押鍵時に前記鍵のアクチュエータに押圧されて回動するハンマーと、を備えた鍵盤装置であって、
前記白鍵側の構成として、
前後方向に延びる白鍵用鍵本体と、前記白鍵用鍵本体から下方に延びる白鍵用アクチュエータと、前記押鍵時に前記白鍵用アクチュエータによって押圧される白鍵用ハンマーと、を備え、
前記黒鍵側の構成として、
前記前後方向に延びる黒鍵用鍵本体と、前記黒鍵用鍵本体から下方に延びる黒鍵用アクチュエータと、前記押鍵時に前記黒鍵用アクチュエータによって押圧される黒鍵用ハンマーと、を備え、
前記白鍵用アクチュエータと前記黒鍵用アクチュエータとは、前記前後方向にずれて配置されており、
前記白鍵用ハンマー及び前記黒鍵用ハンマーには、共通のハンマー用部材が用いられるとともに、前記ハンマー用部材には、前記白鍵用アクチュエータによって押圧されるための白鍵用摺動面と前記黒鍵用アクチュエータによって押圧されるための黒鍵用摺動面とが設けられ、且つ、前記白鍵用摺動面と前記黒鍵用摺動面とは、位置及び/又は形状が異なるように設けられ、
さらに、前記白鍵の押鍵時には、前記白鍵用アクチュエータによって、前記ハンマー用部材の前記白鍵用摺動面が押圧されるように構成されるとともに、前記黒鍵の押鍵時には、前記黒鍵用アクチュエータによって、前記ハンマー用部材の前記黒鍵用摺動面が押圧されるように構成された、
鍵盤装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鍵盤装置であって、
前記白鍵用摺動面と前記黒鍵用摺動面とは、傾斜が異なるように構成され、及び/又は、湾曲の形状を有する場合に前記湾曲の形状が異なるように構成された、
鍵盤装置。
【請求項3】
請求項1に記載の鍵盤装置であって、
前記白鍵用摺動面と前記黒鍵用摺動面とは、段差によって区分されて、高さ方向における位置が異なるように設けられている、
鍵盤装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の鍵盤装置であって、
前記白鍵用ハンマー及び前記黒鍵用ハンマーの各前端側に、それぞれ前記共通のハンマー用部材が配置され、前記白鍵用ハンマー及び前記黒鍵用ハンマーの各後端側に、それぞれ錘が配置された、
鍵盤装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の鍵盤装置であって、
前記共通のハンマー用部材の後端側に錘が取り付けられた、
鍵盤装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子ピアノ等の鍵盤楽器に用いることができる鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、鍵盤装置を備えた鍵盤楽器が開示されており、鍵盤装置は、鍵盤及び鍵盤を支持する鍵盤シャーシを備えている。この鍵盤楽器では、鍵盤の各鍵の下方にそれぞれハンマーが配置されており、押鍵時に鍵のアクチュエータによってハンマーの先端側が押圧されると、ハンマーが回動して後端側が上昇するように構成されている。
【0003】
詳しくは、黒鍵の下部には、黒鍵用アクチュエータが配置されるとともに、黒鍵の下方には、黒鍵用アクチュエータの位置等に対応した黒鍵用ハンマーが配置されている。そして、黒鍵の押鍵時には、黒鍵用アクチュエータの先端部にて黒鍵用ハンマーの前端側が押圧されるように構成されている。
【0004】
同様に、白鍵の下部には、白鍵用アクチュエータが配置されるとともに、白鍵の下方には、白鍵用アクチュエータの位置等に対応した形状の白鍵用ハンマーが配置されている。そして、白鍵の押鍵時には、白鍵用アクチュエータの先端部にて白鍵用ハンマーの前端側が押圧されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-167722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では、黒鍵に対応した形状の黒鍵用のハンマーを用いるとともに、それとは別に、白鍵に対応した形状の白鍵用のハンマーを用いるので、それによる問題がある。
【0007】
つまり、黒鍵用と白鍵用とで、それぞれ異なる構造の部品(例えば、ハンマー)を製造する必要があるので、部品の種類が多くなるという問題や、製造工程が複雑になるという問題があった。
【0008】
本開示の一局面は、鍵盤装置の部品の種類を抑制できるとともに、製造工程を簡易化できる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本開示の一態様は、白鍵及び黒鍵からなる複数の鍵が回動可能に設けられた鍵盤と、押鍵時に鍵のアクチュエータに押圧されて回動するハンマーと、を備えた鍵盤装置である。
【0010】
この鍵盤装置は、白鍵側の構成として、前後方向に延びる白鍵用鍵本体と、白鍵用鍵本体より下方に延びる白鍵用アクチュエータと、押鍵時に白鍵用アクチュエータによって押圧される白鍵用ハンマーと、を備える。また、黒鍵側の構成として、前後方向に延びる黒鍵用鍵本体と、黒鍵用鍵本体より下方に延びる黒鍵用アクチュエータと、押鍵時に黒鍵用アクチュエータによって押圧される黒鍵用ハンマーと、を備える。
【0011】
さらに、白鍵用アクチュエータと黒鍵用アクチュエータとは、前後方向にずれて配置されているとともに、白鍵用ハンマー及び黒鍵用ハンマーには、共通のハンマー用部材が用いられている。
【0012】
このハンマー用部材には、白鍵用アクチュエータによって押圧されるための白鍵用摺動面と、黒鍵用アクチュエータによって押圧されるための黒鍵用摺動面と、が設けられ、白鍵用摺動面と黒鍵用摺動面とは、位置及び/又は形状が異なるように設けられている。
【0013】
しかも、鍵盤装置は、白鍵の押鍵時には、白鍵用アクチュエータによって、ハンマー用部材の白鍵用摺動面が押圧されるように構成されるとともに、黒鍵の押鍵時には、黒鍵用アクチュエータによって、ハンマー用部材の黒鍵用摺動面が押圧されるように構成されている。
【0014】
このような構成により、鍵盤装置の部品の種類を抑制できるとともに、鍵盤装置の製造工程を簡易化することができる。
詳しくは、白鍵用ハンマーと黒鍵用ハンマーとに、それぞれ共通のハンマー用部材を用いることにより、白鍵用ハンマーに白鍵用摺動面及び黒鍵用摺動面を設けることができるとともに、黒鍵用ハンマーにも白鍵用摺動面及び黒鍵用摺動面を設けることができる。
【0015】
つまり、共通のハンマー用部材を用いることにより、白鍵用摺動面及び黒鍵用摺動面を備えた白鍵用ハンマーと黒鍵用ハンマーとを、容易に実現することができる。
従って、白鍵用ハンマーと黒鍵用ハンマーとを、それぞれ別個に製造する場合に比べて、鍵盤装置の部品の種類を抑制することができるとともに、鍵盤装置の製造工程を簡易化することができる。
【0016】
そして、上述した構成により、白鍵の打鍵時には、白鍵用アクチュエータがハンマー用部材の白鍵用摺動面(即ち、黒鍵用摺動面とは、位置及び/又は形状が異なる白鍵用摺動面)を摺動することにより、所望の白鍵のストロークや鍵タッチ感を実現することができる。なお、この場合には、黒鍵用摺動面は用いられない。
【0017】
同様に、黒鍵の打鍵時には、黒鍵用アクチュエータがハンマー用部材の黒鍵用摺動面(即ち、白鍵用摺動面とは、位置及び/又は形状が異なる黒鍵用摺動面)を摺動することにより、所望の黒鍵のストロークや鍵タッチ感を実現することができる。なお、この場合には、白鍵用摺動面は用いられない。
【0018】
つまり、共通のハンマー用部材における白鍵用摺動面と黒鍵用摺動面とを、位置(例えば、上下方向や前後方向に位置)や形状(即ち、表面形状)が異なるように設けることにより、白鍵や黒鍵の押鍵時のストロークや荷重(従って、鍵タッチ感)を容易に調整することができる。
【0019】
例えば、黒鍵だけストロークを増やしたいという要求や荷重増加を少なくしたいなどの要求に、容易に対応することができる。
(2)本開示の一態様では、白鍵用摺動面と黒鍵用摺動面とは、傾斜が異なるように構成されていてもよく、湾曲の形状を有する場合に湾曲の形状が異なるように構成されていてもよい。
【0020】
このように、白鍵用摺動面や黒鍵用摺動面の傾斜や湾曲の形状が異なることにより、上述したように、白鍵や黒鍵の押鍵時のストロークや鍵タッチ感を容易に調整することができる。
【0021】
(3)本開示の一態様では、白鍵用摺動面と黒鍵用摺動面とは、段差によって区分されて、高さ方向における位置が異なるように設けられていてもよい。
これにより、上述したように、白鍵や黒鍵の押鍵時のストロークや鍵タッチ感を容易に調整することができる。
(4)本開示の一態様では、白鍵用ハンマー及び黒鍵用ハンマーの各前端側に、それぞれ共通のハンマー用部材が配置され、白鍵用ハンマー及び黒鍵用ハンマーの各後端側に、それぞれ錘が配置されていてもよい。
【0022】
このように、白鍵用ハンマー及び黒鍵用ハンマーに、共通のハンマー用部材を用いることにより、白鍵用ハンマー及び黒鍵用ハンマーに、それぞれ白鍵用摺動面及び黒鍵用摺動面を容易に設けることができる。
【0023】
(5)本開示の一態様では、共通のハンマー用部材の後端側に錘が取り付けられていてもよい。
このように、共通のハンマー用部材の後端側に錘を取り付けることにより、簡易な構成で、白鍵用ハンマーと黒鍵用ハンマーとを容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】鍵盤装置を鍵の並び方向から見た側面図である。
図2】(a)は鍵盤を示す斜視図、(b)は鍵盤を分解して示す分解斜視図である。
図3】(a)は白鍵用ハンマーの斜視図、(b)は白鍵用ハンマーをYZ平面に沿って破断した断面図である。
図4】白鍵用ハンマーの構造を示し、図5のIV-IV断面図である。
図5】鍵盤装置のうち白鍵の押鍵前の構成を示す側面図である。
図6】鍵盤装置のうち白鍵の押鍵後の構成を示す側面図である。
図7】白鍵用ハンマーの摺動面の周囲の構成を拡大して示す説明図である。
図8】白鍵用ハンマーの摺動面の傾斜の影響を示す説明図である。
図9】黒鍵用ハンマーをYZ平面に沿って破断した断面図である。
図10】黒鍵用ハンマーの構造を示し、図11のX-X断面図である。
図11】鍵盤装置のうち黒鍵の押鍵前の構成を示す側面図である。
図12】鍵盤装置のうち黒鍵の押鍵後の構成を示す側面図である。
図13】黒鍵用ハンマーの摺動面の周囲の構成を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.全体構成]
図1に示すように、本実施形態の鍵盤装置1は、例えば電子ピアノ等の鍵盤楽器の鍵盤装置1として用いられるものである。
【0026】
鍵盤装置1は、白鍵3W及び黒鍵3Bの各鍵3が回動可能なように複数配置された鍵盤5と、鍵盤5を支持する鍵盤シャーシ7と、を備えている。
なお、以下では、白鍵3W側の部材にはWの記号を付し、黒鍵3B側の部材にはBの符号を付すが、白鍵3Wと黒鍵3Bとを区別しない場合には、WやBの記号を付さないことがある。
【0027】
また、図1等において、前後方向がXYZの直交座標系のY軸方向に対応し、上下方向(即ち、鉛直方向)がZ軸方向に対応し、Y軸及びZ軸に垂直な方向(即ち、鍵3が配列される左右方向)がX軸方向に対応する。なお、図1等の各図においては、鍵盤装置1は水平面上に載置されている状態を示している。
【0028】
図2(a)に鍵盤5の一部を示すように、鍵盤5は、複数の鍵3(即ち、白鍵3Wと黒鍵3B)が左右方向に配列されたものである。
この鍵盤5は、図2(b)に示すように、例えば、3本の白鍵3Wが一体になった白鍵部材11と、4本の白鍵3Wが一体になった他の白鍵部材13と、5本の黒鍵3Bが一体になった黒鍵部材15とを組み合わせて構成することができる。
【0029】
白鍵部材11、13及び黒鍵部材15は、それぞれ樹脂(例えば、ABS樹脂)により一体に構成されている。また、白鍵部材11、13には、それぞれ後端側に左右方向に延びる長尺の略板状の固定部17、19が設けられており、それぞれの固定部17、19に各白鍵3Wの後端側が一体に接続されている。同様に、黒鍵部材15には、後端側に左右方向に延びる長尺の略板状の固定部21が設けられており、その固定部21に各黒鍵3Bの後端側が一体に接続されている。
【0030】
なお、各固定部17~21は、上下方向に重ね合わされて、ボルト22等の固定部材によって、鍵盤シャーシ7に対して一体に固定される(図1参照)。
図1に示すように、鍵盤5の下方には、各鍵3毎に、各鍵3の押鍵動作に伴って、回動支点K1を中心に回動する各ハンマー23が配置されている。即ち、白鍵3Wの押鍵時に用いられる白鍵用ハンマー23Wと、黒鍵3Bの押鍵時に用いられる黒鍵用ハンマー23B(図11参照)とが、それぞれ配置されている。
【0031】
また、白鍵3Wの下側には、押鍵時に白鍵用ハンマー23Wを押圧する白鍵用アクチュエータ45Wが設けられ、黒鍵3Bの下側には、押鍵時に黒鍵用ハンマー23Bを押圧する黒鍵用アクチュエータ45Bが設けられている。なお、後述するように、X軸方向から見て、白鍵用アクチュエータ45Wは、黒鍵用アクチュエータ45Bより後端側に配置されている。
【0032】
図3及び図4に示すように、白鍵用ハンマー23Wは、樹脂製(例えば、ポリアセタール製)の長尺のハンマー本体27Wと、ハンマー本体27Wの後端側に取り付けられた金属製(例えば、鉄製)の錘29Wと、を有する。なお、ハンマー本体27Wが、共通するハンマー用部材である。
【0033】
白鍵用ハンマー23Wの前端側には、後に詳述するように、上方及び前方が開口した溝部31Wが設けられており、溝部31Wの底部33Wには、白鍵用アクチュエータ45Wが接して摺動する摺動面(以下、全摺動面)37Wが設けられている。なお、黒鍵用ハンマー23Bについても、後述するように、ほぼ同様な構成を有する。
【0034】
[2.白鍵側の構成]
次に、白鍵3W側の構成について、図5及び図6に基づいて説明する。なお、ここでは、白鍵部材13を例に挙げて説明する。
【0035】
図5は白鍵3Wの押鍵前の状態を示しているので、白鍵用ハンマー23Wの後端側の錘29Wは下に下がった状態である。一方、図6は押鍵後の状態を示しているので、錘29Wは上に上がった状態である。
【0036】
図5及び図6に示すように、白鍵3Wは、前後方向に延びる白鍵用鍵本体41Wと、鍵盤シャーシ7に固定される前記固定部19と、白鍵用鍵本体41Wの後端側と固定部19の前端側とを接続する接続部43Wと、を備える。なお、図5及び図6では、黒鍵3B側の構成は省略してある。
【0037】
接続部43Wは、X軸方向から見た場合に、白鍵用鍵本体41Wの上面41Waを含む平面よりも上方に突出するように曲がった形状(即ち、下側が開口するように台形状に屈曲する形状)を有している。また、接続部43Wの後端側に、弾性を有する薄肉で板状のヒンジ部51Wを備えている。
【0038】
白鍵用鍵本体41Wの下面側には、白鍵用鍵本体41Wに対して垂直に、白鍵用鍵本体41Wから下方に向かって突出するように白鍵用アクチュエータ45Wが設けられている。白鍵用アクチュエータ45Wは、白鍵用鍵本体41Wから下方に突出する柱状の柱本体47Wと、柱本体47Wの先端側(即ち、下端側)に取り付けられた半球状の先端部49Wと、を備える。
【0039】
先端部49Wの半球状の表面は、押鍵前は、白鍵用ハンマー23Wの全摺動面37Wに接触しており、押鍵動作に伴って、全摺動面37W上を摺動するとともに、白鍵用ハンマー23Wの前端側を押し下げる機能を有する。
【0040】
そして、図6に示すように、白鍵用ハンマー23Wの前端側が押し下げられると、白鍵用ハンマー23Wは回動支点K1を中心に回動(即ち、左回転方向に回動)することにより、白鍵用ハンマー23Wの後端側(即ち、錘29W)が押し上げられる。
【0041】
<ハンマーの駆動部分の構成>
ここで、白鍵用ハンマー23Wを回動させる部分の構成について詳細に説明する。
図7に示すように、白鍵用ハンマー23Wの全摺動面37Wは、X軸方向から見た場合に、前端側の前摺動面(即ち、黒鍵用摺動面)37Waと後端側の後摺動面(即ち、白鍵用摺動面)37Wbとを備えている。
【0042】
前摺動面37Waと後摺動面37Wbとは、段差38を挟んで異なる位置(即ち、上下方向及び前後方向において異なる位置)及び異なる表面形状となっている。なお、図7において、WBは前摺動面37Waの範囲を示し、WWは後摺動面37Wbの範囲を示す。
【0043】
具体的には、後摺動面37Wbは、白鍵3Wの押鍵時に、白鍵用アクチュエータ45Wの先端部49Wが摺動するとともに、白鍵用ハンマー23Wの前端側を下方に押圧する面である。つまり、この後摺動面37Wbが、白鍵用アクチュエータ45Wの先端部49Wが実際に摺動する白鍵用摺動面、即ち、白鍵3Wの押鍵時に実際に使用される摺動面である。
【0044】
この後摺動面37Wbの表面の形状(例えば、傾斜や湾曲の形状等)は、白鍵3Wの押鍵の際のストロークや荷重(従って、鍵タッチ感)を、所望の状態にするように設定されている。なお、後摺動面37Wbのうち、実際に先端部49Wが摺動するのは、その一部である。
【0045】
本実施形態では、白鍵用ハンマー23Wの全摺動面37Wは、前摺動面37Waと後摺動面37Wbとを備えているが、上述したように、白鍵3Wの押鍵の際には、後摺動面37Wbしか使用しない。つまり、前摺動面37Waは、黒鍵用ハンマー23Bに対応した形状を有する摺動面であるので、白鍵3Wの押鍵の際には、後摺動面37Wbしか使用しない。
【0046】
このように、白鍵用ハンマー23Wの全摺動面37Wに、白鍵3Wの押鍵の際に使用しない前摺動面37Waを備えている理由は、後述するように(例えば、図9参照)、黒鍵用ハンマー23Bのハンマー本体27Bとして、白鍵用ハンマー23Wのハンマー本体27Wと同一の形状を有するもの(即ち、ハンマー用部材)を使用するからである。
【0047】
つまり、白鍵用ハンマー23Wのハンマー本体27Wは、黒鍵用ハンマー23Bのハンマー本体27Bと同一の形状を有するので、白鍵用ハンマー23Wの全摺動面37Wと黒鍵用ハンマー23Bの全摺動面37B(図11参照)とは、それぞれ同様な形状を有する。
【0048】
詳しくは、白鍵用ハンマー23Wの前摺動面37Waと黒鍵用ハンマー23Bの前摺動面37Ba(図13参照)とは、同様な形状を有するとともに、白鍵用ハンマー23Wの後摺動面37Wbと黒鍵用ハンマー23Bの後摺動面37Bb(図13参照)とは、同様な形状を有する。
【0049】
また、白鍵用アクチュエータ45Wと黒鍵用アクチュエータ45Bとは、前後方向においてずれている。そのため、同じ形状の各ハンマー本体27W、27Bが同一形状の全摺動面37W、37Bを有していたとしても、白鍵用アクチュエータ45Wを用いて白鍵用ハンマー23Wを押圧して回動させることができ、また、黒鍵用アクチュエータ45Bを用いて黒鍵用ハンマー23Bを押圧して回動させることができる。
【0050】
なお、後述するように、前摺動面37Wa、37Baの表面の形状(例えば、傾斜や湾曲の形状等)は、黒鍵3Bのストロークや鍵タッチ感を所望の状態にするように設定されている。また、前摺動面37Wa、37Baのうち、実際に先端部49Bが摺動するのは、その一部である。
【0051】
<摺動面の傾斜の影響>
次に、各全摺動面37W、37B(詳しくは、各全摺動面37W、37Bにおける前摺動面37Wa、37Baや後摺動面37Wb、37Bb)の傾斜の影響について説明する。なお、各全摺動面37W、37Bの傾斜の影響は同様であるので、ここでは、白鍵用ハンマー23Wの全摺動面37W(詳しくは、後摺動面37Wb)を例に挙げて説明する。
【0052】
図8(a)に模式的に示すように、例えば、後摺動面37Wbの傾斜が緩やか場合、即ち、後方に向かって緩やかに下がる後摺動面37Wbの場合には、下記(A)~(C)の特徴がある。
【0053】
(A)傾斜が急な場合に比べて、白鍵用ハンマー23Wの回動量(即ち、後端側の移動量)が増加する。
(B)傾斜が急な場合に比べて、白鍵3Wのストロークが減少する。
【0054】
(C)傾斜が急な場合に比べて、白鍵3Wのストロークに対する荷重の増加が大きい。
一方、図8(b)に模式的に示すように、例えば、後摺動面37Wbの傾斜が前記図8(a)に示す傾斜より急な場合、即ち、後方に向かって急に下がる後摺動面37Wbの場合には、下記(D)~(F)の特徴がある。
【0055】
(D)傾斜が緩やかな場合に比べて、白鍵用ハンマー23Wの回動量(即ち、後端側の移動量)が減少する。
(E)傾斜が緩やかな場合に比べて、白鍵3Wのストロークが増加する。
【0056】
(F)傾斜が緩やかな場合に比べて、白鍵3Wのストロークに対する荷重の増加が小さい。
<白鍵の動作>
次に、白鍵3Wの全体の動作について、前記図5及び図6に基づいて説明する。
【0057】
図5に示すように、白鍵3Wの押鍵前の状態では、白鍵用アクチュエータ45Wの先端部49Wが、白鍵用ハンマー23Wの全摺動面37W(詳しくは、後摺動面37Wb)に接触している。
【0058】
この状態で、例えば白鍵3Wの前端側が、矢印P1や矢印P2の位置にて押されると(即ち、押鍵の開始時には)、白鍵3Wを押す力が白鍵用アクチュエータ45Wを介して、白鍵用ハンマー23Wの全摺動面37W(詳しくは、後摺動面37Wb)を押圧する。これにより、白鍵用ハンマー23Wは回動支点K1を中心にして回動し、白鍵用ハンマー23Wの後端側が上昇する。
【0059】
なお、矢印P1の位置とは、白鍵用アクチュエータ45Wが設けられた位置より前側の位置であり、矢印P2の位置とは、白鍵用アクチュエータ45Wが設けられた位置より後側の位置である。
【0060】
次に、図6に示すように、白鍵3Wの押鍵が下端までなされた場合には、白鍵用アクチュエータ45Wによって白鍵用ハンマー23Wの全摺動面37W(詳しくは、後摺動面37Wb)が下端まで押し下げられるので、白鍵用ハンマー23Wの後端側が上昇し、ストッパ25に当たって、その上昇が規制される。
【0061】
[3.黒鍵側の構成]
次に、黒鍵3B側の構成について、図9図13に基づいて説明するが、白鍵3Wと同様な構成については、説明を省略又は簡易化する。
【0062】
図9及び図10に示すように、各黒鍵3B毎に配置される黒鍵用ハンマー23Bは、白鍵用ハンマー23Wと同様に、ハンマー本体27Bと錘29Bとを備える。
ハンマー本体27Bは、ハンマー本体27Wと同様な形状であり、ハンマー本体27Bの前端側に、ハンマー本体27Wの溝部31Wや底部33Wや全摺動面37Wと同じ形状の溝部31Bや底部33Bや全摺動面37Bを備える。なお、この全摺動面37B(詳しくは、前摺動面37Ba)は、黒鍵用アクチュエータ45Bの先端部49Bが摺動する摺動面である。
【0063】
なお、錘29Bの形状は、図10に示すように、錘29Wの形状と若干異なっており、錘29Bの上端は錘29Wの上端よりも高さが低くなっている。
また、図11に示すように、黒鍵3Bは、前後方向に延びる黒鍵用鍵本体41Bと、鍵盤シャーシ7に固定される前記固定部21と、黒鍵用鍵本体41Bの後端側と固定部21の先端側とを接続する接続部43Bと、備える。なお、図11及び図12では、白鍵3W側の構成は省略してある。
【0064】
黒鍵用鍵本体41Bの下面側には、黒鍵用鍵本体41Bに対して垂直に、黒鍵用鍵本体41Bから下方に向かって突出するように黒鍵用アクチュエータ45Bが設けられている。
【0065】
黒鍵用アクチュエータ45Bは、黒鍵用鍵本体41Bから突出する柱状の柱本体47Bと、柱本体47Bの先端側(即ち、下端側)に取り付けられた半球状の先端部49Bと、を備える。
【0066】
先端部49Bは、押鍵前は、黒鍵用ハンマー23Bの全摺動面37Bに接触しており、押鍵動作に伴って、全摺動面37B上を摺動するとともに、黒鍵用ハンマー23Bの先端側を押し下げる機能を有する。
【0067】
そして、図12に示すように、黒鍵用ハンマー23Bの先端側が矢印P3の位置で押し下げられると、黒鍵用ハンマー23Bは回動支点K1を中心に回動することにより、黒鍵用ハンマー23Bの後端側(即ち、錘29B)が押し上げられる。
【0068】
また、接続部43Bは、白鍵3Wと同様に、上方に突出するように曲がった形状を有している。つまり、接続部43Bは、X軸方向から見た場合には、白鍵3Wの接続部43Wと同様の形状であり、接続部43Bの周囲の上面41Baより上方に突出している。また、接続部43Bの後端側に、弾性を有する薄肉で板状のヒンジ部51Bを備えている。
【0069】
<ハンマーの駆動部分の構成>
ここで、黒鍵用ハンマー23Bを回動させる部分の構成について詳細に説明するが、基本的には、白鍵用ハンマー23Wを回動させる部分の構成と同様である。
【0070】
上述したように、黒鍵用ハンマー23Bのハンマー本体27Bは、白鍵用ハンマー23Wのハンマー本体27Wと同一の形状を有する。
従って、図13に示すように、黒鍵用ハンマー23Bの全摺動面37Bは、白鍵用ハンマー23Wの全摺動面37Wと同様に、X軸方向から見た場合に、前端側の前摺動面37Baと後端側の後摺動面37Bbとを備えており、前摺動面37Baと後摺動面37Bbとは、段差38を挟んで異なる表面形状となっている。なお、図13において、BBは前摺動面37Baの範囲を示し、BWは後摺動面37Bbの範囲を示す。
【0071】
具体的には、前摺動面37Baは、黒鍵3Bの押鍵時に、黒鍵用アクチュエータ45Bの先端部49Bが摺動するとともに、黒鍵用ハンマー23Bの前端側を下方に押圧する面である。つまり、この前摺動面37Baが、黒鍵用アクチュエータ45Bの先端部49Bが実際に摺動する黒鍵用摺動面、即ち、黒鍵3Bの押鍵時に実際に使用される摺動面である。
【0072】
<黒鍵の動作>
次に、黒鍵3Bの全体の動作について、前記図11及び図12に基づいて説明する。
図11に示すように、黒鍵3Bの押鍵前の状態では、黒鍵用アクチュエータ45Bの先端部49Bが、黒鍵用ハンマー23Bの全摺動面37B(詳しくは、前摺動面37Ba)に接触している。
【0073】
この状態で、例えば黒鍵3Bが矢印P3の位置にて押されると(即ち、押鍵の開始時には)、黒鍵3Bを押す力が黒鍵用アクチュエータ45Bを介して、黒鍵用ハンマー23Bの全摺動面37B(詳しくは、前摺動面37Ba)を押圧する。それにより、黒鍵用ハンマー23Bが回動支点K1を中心にして回動し、黒鍵用ハンマー23Bの後端側が上昇する。
【0074】
次に、図12に示すように、黒鍵3Bの押鍵が下端までなされた場合には、黒鍵用アクチュエータ45Bによって黒鍵用ハンマー23Bの全摺動面37B(詳しくは、前摺動面37Ba)が下端まで押し下げられるので、黒鍵用ハンマー23Bの後端側が上昇し、ストッパ25に当たって、その上昇が規制される。
【0075】
[4.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(4a)本実施形態では、鍵盤装置1は、白鍵用アクチュエータ45Wと黒鍵用アクチュエータ45Bとは、前後方向にずれて配置されている。また、白鍵用ハンマー23W及び黒鍵用ハンマー23Bには、共通のハンマー用部材である(即ち、同じ形状を有する)ハンマー本体27W、27Bが用いられている。ハンマー本体27W、27Bには、それぞれ、白鍵用アクチュエータ45Wによって押圧されるための後摺動面(以下、白鍵用摺動面)37Wb、37Bbと、黒鍵用アクチュエータ45Bによって押圧されるための前摺動面(以下、黒鍵用摺動面)37Wa、37Baとが、位置や形状が異なるように設けられている。なお、前記位置及び/又は前記形状を異なるようにすることができる。
【0076】
さらに、鍵盤装置1は、白鍵3Wの押鍵時には、白鍵用アクチュエータ45Wによって、ハンマー本体27Wの白鍵用摺動面37Wbが押圧されるように構成されるとともに、黒鍵3Bの押鍵時には、黒鍵用アクチュエータ45Bによって、ハンマー本体27Bの黒鍵用摺動面37Baが押圧されるように構成されている。
【0077】
このような構成により、鍵盤装置1の部品の種類を抑制できるとともに、鍵盤装置1の製造工程を簡易化することができる。
詳しくは、白鍵用ハンマー23Wと黒鍵用ハンマー23Bとに、それぞれ共通のハンマー用部材であるハンマー本体27W、27Bを用いることにより、白鍵用ハンマー23Wに白鍵用摺動面37Wbと黒鍵用摺動面37Waとを設けることができるとともに、黒鍵用ハンマー23Bにも白鍵用摺動面37Bbと黒鍵用摺動面Baとを設けることができる。
【0078】
つまり、共通のハンマー用部材を用いることにより、白鍵用摺動面37Wb及び黒鍵用摺動面37Waを備えた白鍵用ハンマー23Wと、白鍵用摺動面37Bb及び黒鍵用摺動面37Baを備えた黒鍵用ハンマー23Bとを、容易に実現することができる。なお、共通のハンマー用部材において、全摺動面37Wにおける白鍵用摺動面37Wbと黒鍵用摺動面37Waや、全摺動面37Bにおける白鍵用摺動面37Bbと黒鍵用摺動面37Baは、白鍵用アクチュエータ45Wと黒鍵用アクチュエータ45Bとの位置に合わせて、前後方向にずれて配置されている。
【0079】
従って、白鍵用ハンマー23Wと黒鍵用ハンマー23Bとを、それぞれ別個に製造する場合に比べて、鍵盤装置1の部品の種類を抑制することができるとともに、鍵盤装置1の製造工程を簡易化することができる。
【0080】
そして、上述した構成により、白鍵3Wを押圧した場合には、白鍵用アクチュエータ45Wがハンマー本体27Wの白鍵用摺動面37Wbを摺動することにより、所望の白鍵3Wのストロークや鍵タッチ感を実現することができる。なお、この場合には、ハンマー本体27Wの黒鍵用摺動面37Waは用いられない。
【0081】
同様に、黒鍵3Bを押圧した場合には、黒鍵用アクチュエータ45Bがハンマー本体27Bの黒鍵用摺動面37Baを摺動することにより、所望の黒鍵3Bのストロークや鍵タッチ感を実現することができる。なお、この場合には、ハンマー本体27Bの白鍵用摺動面37Bbは用いられない。
【0082】
つまり、白鍵用摺動面37Wb、37Bbと黒鍵用摺動面37Wa、37Baとを、位置や形状が異なるように設けることにより、白鍵3Wや黒鍵3Bの押鍵時のストロークや荷重(従って、押鍵時の感覚である鍵タッチ感)を容易に調整することができる。
【0083】
(4b)本実施形態では、全摺動面37Wにおける白鍵用摺動面37Wbと黒鍵用摺動面37Waや、全摺動面37Bにおける白鍵用摺動面37Bbと黒鍵用摺動面37Baは、その傾斜や湾曲の形状が異なるように構成されている。なお、前記傾斜及び/又は前記湾曲の形状は異なるようにすることができる。
【0084】
このように、全摺動面37Wの白鍵用摺動面37Wbと黒鍵用摺動面37Waや、全摺動面37Bの白鍵用摺動面37Bbと黒鍵用摺動面37Baについては、その傾斜や湾曲の形状が異なることにより、上述したように、白鍵3Wや黒鍵3Bの押鍵時のストロークや鍵タッチ感を容易に調整することができる。
【0085】
(4c)本実施形態では、全摺動面37Wにおける白鍵用摺動面37Wbと黒鍵用摺動面37Waや、全摺動面37Bにおける白鍵用摺動面37Bbと黒鍵用摺動面37Baは、それぞれ段差38によって区分されて、高さ方向における位置が異なるように設けられている。
【0086】
これにより、上述したように、白鍵3Wや黒鍵3Bの押鍵時のストロークや鍵タッチ感を容易に調整することができる。
(4d)本実施形態では、白鍵用ハンマー23W及び黒鍵用ハンマー23Bの各前端側に、それぞれ共通のハンマー用部材が配置され、白鍵用ハンマー23W及び黒鍵用ハンマー23Bの各後端側に、それぞれ錘29W、29Bが配置されている。
【0087】
このように、白鍵用ハンマー23W及び黒鍵用ハンマー23Bに、共通のハンマー用部材を用いることにより、白鍵用ハンマー23Wに白鍵用摺動面37Wb及び黒鍵用摺動面37Waを容易に設けることができ、黒鍵用ハンマー23Bに白鍵用摺動面37Bb及び黒鍵用摺動面37Baを容易に設けることができる。
【0088】
(4e)本実施形態では、共通のハンマー用部材の後端側に錘29W、29Bが取り付けられている。
このように、共通のハンマー用部材の後端側に錘29W、29Bを取り付けることにより、簡易な構成で、白鍵用ハンマー23Wと黒鍵用ハンマー23Bとを容易に実現することができる。
【0089】
[5.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0090】
(5a)例えば、黒鍵用アクチュエータは、白鍵用アクチュエータより前方に配置する方法以外に、白鍵用アクチュエータより後方に配置することも可能である。
(5b)白鍵用摺動面や黒鍵用摺動面は、それぞれ単一の表面形状(例えば、平板形状)であってもよいが、複数の表面形状を組み合わせてもよい。例えば、前方を平板形状にし、後方を湾曲した形状としてもよい。
【0091】
(5c)前記実施形態では、白鍵用ハンマーと黒鍵用ハンマーとに、共通のハンマー用部材として、同じ形状のハンマー本体を用いたが、それとは別の構成であってもよい。例えば、ハンマー本体の先端側に、白鍵用摺動面と黒鍵用摺動面とを備えた共通のハンマー用部材を別途取り付けてもよい。
【0092】
(5d)前記実施形態では、白鍵用ハンマーと黒鍵用ハンマーとの一部に、共通のハンマー用部材を用いたが、白鍵用ハンマーと黒鍵用ハンマーとの全体を、共通のハンマー用部材で構成することも可能である。この場合は、白鍵用ハンマーと黒鍵用ハンマーとの回動支点や重さの調整を適宜行うことが好ましい。
【0093】
(5e)白鍵用摺動面や黒鍵用摺動面は、鍵の並び方向(即ち、左右方向)において、位置や表面形状等を変更してもよい。例えば、鍵盤の高音側と低音側とでは、表面形状等を変更してもよい。これによって、鍵盤の高音側と低音側とでは、ストロークや鍵タッチ感を変更することができる。
【0094】
また、白鍵用摺動面や黒鍵用摺動面の位置及び/又は形状は、音域、音階ごとに異ならせることもできる。
(5f)前記実施形態では、白鍵用摺動面と黒鍵用摺動面との間に段差を設けたが、白鍵用摺動面と黒鍵用摺動面とを区別して設けることができれば、段差はなくともよい。
【0095】
(5g)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…鍵盤装置、3…鍵、3W…白鍵、3B…黒鍵、5…鍵盤、23W…白鍵用ハンマー、23B…黒鍵用ハンマー、27W…白鍵用鍵本体、27B…黒鍵用鍵本体、37Wa、37Ba…前摺動面(黒鍵用摺動面)、37Wb、37Bb…後摺動面(白鍵用摺動面)、45W…白鍵用アクチュエータ、45B…黒鍵用アクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13