特開 2024-123559 電池

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024123559

(43)【公開日】2024-09-12

(54)【発明の名称】電池

(51)【国際特許分類】

   H01M 50/591 20210101AFI20240905BHJP

   H01M 50/548 20210101ALI20240905BHJP

   H01M 50/588 20210101ALI20240905BHJP

   H01M 50/545 20210101ALI20240905BHJP

   H01M 50/559 20210101ALI20240905BHJP

   H01M 50/56 20210101ALI20240905BHJP

   H01M 50/184 20210101ALI20240905BHJP

   H01M 50/107 20210101ALI20240905BHJP

   H01M 50/152 20210101ALI20240905BHJP

   H01M 50/124 20210101ALI20240905BHJP

   H01M 50/121 20210101ALI20240905BHJP

【ＦＩ】

H01M50/591

H01M50/548 201

H01M50/588

H01M50/545

H01M50/559

H01M50/56

H01M50/184 D

H01M50/107

H01M50/152

H01M50/124

H01M50/121

【審査請求】未請求

【請求項の数】3

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023031083

(22)【出願日】2023-03-01

(71)【出願人】

【識別番号】000237721

【氏名又は名称】ＦＤＫ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002147

【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】安西 晋吾

(72)【発明者】

【氏名】植原 友太郎

(72)【発明者】

【氏名】國谷 繁之

【テーマコード（参考）】

5H011

5H043

【Ｆターム（参考）】

5H011AA09

5H011CC06

5H011FF03

5H011GG02

5H043AA19

5H043BA04

5H043CA03

5H043DA03

5H043GA23

5H043GA25

5H043JA11D

5H043KA22D

(57)【要約】

【課題】正極缶と負極端子板との短絡を防ぎつつ部品点数の削減を図ることができる電池。
【解決手段】電池１は、一端に正極端子１７が形成され、他端に負極端子２０が形成された筒形の電池本体２と、電池本体２の周囲を囲む絶縁性のカバー６と、を備える。電池本体２は、筒形の第１の筒部１５と第１の筒部１５の一端側を塞ぐとともに正極端子１７が形成された底部１６とを有する正極缶１１と、第１の筒部１５の他端側の開口に設けられて負極端子２０が形成された負極端子板１８と、第１の筒部１５の他端側の開口の縁と負極端子板１８との間に設けられたガスケット１９と、を有する。カバー６は、筒形の第２の筒部７と、第２の筒部７の他端側の開口の縁から内周に向けて突出して形成された環状の環状部８と、を有する。環状部８は、少なくとも第１の筒部１５の他端側となる端面１５ａを覆っている。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

一端に正極端子が形成され、他端に負極端子が形成された筒形の電池本体と、
前記電池本体の周囲を囲む絶縁性のカバーと、を備え、
前記電池本体は、
筒形の第１の筒部と前記第１の筒部の一端側を塞ぐとともに前記正極端子が形成された底部とを有する正極缶と、
前記第１の筒部の他端側の開口に設けられて前記負極端子が形成された負極端子板と、
前記第１の筒部の他端側の開口の縁と前記負極端子板との間に設けられたガスケットと、を有し、
前記カバーは、
筒形の第２の筒部と、
前記第２の筒部の他端側の開口の縁から内周に向けて突出して形成された環状の環状部と、を有し、
前記第２の筒部の一端側の開口に前記負極端子側から前記電池本体が差し込まれており、
前記環状部は、少なくとも前記第１の筒部の他端側となる端面を覆っている電池。

【請求項2】

前記環状部は、前記第１の筒部の他端側となる端面と前記負極端子板とに跨って設けられている請求項１に記載の電池。

【請求項3】

前記カバーは、シリコンで形成されている請求項１または２に記載の電池。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明の実施形態は、電池に関する。

【背景技術】

【0002】

アルカリ乾電池は、筒形の一端が底部で塞がれた有底筒状の正極缶と、正極缶の他端側の開口に設けられた負極端子板とを備える。正極缶の底部には正極端子が設けられている。負極端子板には負極が設けられている。正極缶はその全体で極性が正極となっている。そのため、正極缶の他端側と負極端子板とが導通されると短絡状態となってしまう。そこで、正極缶の他端側の端部を覆って正極缶と負極端子板とが短絡されることを防止するワッシャを設けた電池が知られている（例えば特許文献１参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１４－２０７０６３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、正極缶と負極端子板との短絡を防ぐためにワッシャを設けることで部品点数が増加してしまう。

【0005】

開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、正極缶と負極端子板との短絡を防ぎつつ部品点数の削減を図ることができる電池を得ることを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示の一態様による電池は、一端に正極端子が形成され、他端に負極端子が形成された筒形の電池本体と、電池本体の周囲を囲む絶縁性のカバーと、を備える。電池本体は、筒形の第１の筒部と第１の筒部の一端側を塞ぐとともに正極端子が形成された底部とを有する正極缶と、第１の筒部の他端側の開口に設けられて負極端子が形成された負極端子板と、第１の筒部の他端側の開口の縁と負極端子板との間に設けられたガスケットと、を有する。カバーは、筒形の第２の筒部と、第２の筒部の他端側の開口の縁から内周に向けて突出して形成された環状の環状部と、を有する。第２の筒部の一端側の開口に負極端子側から電池本体が差し込まれており、環状部は、少なくとも第１の筒部の他端側となる端面を覆っている。

【発明の効果】

【0007】

本願の開示する電池の一態様によれば、正極缶と負極端子板との短絡を防ぎつつ部品点数の削減を図ることができる電池を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】図１は、実施の形態１の電池の斜視図である。

【図2】図２は、実施の形態１の電池の側面図である。

【図3】図３は、図１に示したＩＩＩ－ＩＩＩ線に沿って切断した断面図である。

【図4】図４は、実施の形態１におけるカバーの斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下に、本願の開示する電池の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態によって、本願の開示する電池が限定されるものではない。

【0010】

（実施の形態１）
図１は、実施の形態１の電池の斜視図である。図２は、実施の形態１の電池の側面図である。電池１は、電池本体２とカバー６とを備える。なお、以下の説明において、電池本体２がカバー６に覆われた状態で、正極端子１７が設けられた側を一端側とし、負極端子２０が設けられた側を他端側とする。

【0011】

図３は、図１に示したＩＩＩ－ＩＩＩ線に沿って切断した断面図である。電池本体２は、正極缶１１と負極端子板１８とガスケット１９とを備える。正極缶１１は、金属に例示される導体から形成されている。正極缶１１は、第１の筒部１５と底部１６とを備えた有底筒状の形状となっている。第１の筒部１５は、軸３０を中心軸とする筒形に形成されている。底部１６は、概ね円板状に形成され、第１の筒部１５の一端側の開口を塞ぐ。底部１６は、第１の筒部１５と一体に形成されている。底部１６には、正極端子１７が形成されている。

【0012】

負極端子板１８は、金属に例示される導体から形成され、概ね円板状に形成されている。負極端子板１８は、正極缶１１の第１の筒部１５の他端側の開口に設けられている。負極端子板１８は、電池１の負極端子２０として機能する。

【0013】

ガスケット１９は、第１の筒部１５の他端側の開口の縁と負極端子板１８との間に設けられる。ガスケット１９が設けられることで、正極缶１１と負極端子板１８とに囲まれた内部空間が密閉される。電池本体２の内部空間には、正極剤、負極剤、セパレータ等が封入されているが、詳細な構成の図示および説明は省略する。

【0014】

図４は、実施の形態１におけるカバー６の斜視図である。カバー６は、シリコンで形成されている。なお、カバー６は絶縁性の材料で形成されていればよく、その材料はシリコンに限定されない。例えば、カバー６はゴムで形成されていてもよい。カバー６は、第２の筒部７と、環状部８とを備える。第２の筒部７は筒形の形状である。環状部８は、第２の筒部７の他端側の開口の縁から内周に向けて突出して形成されて、環状の形状に形成されている。環状部８の内周側は貫通穴９となっている。

【0015】

カバー６は、第２の筒部７の一端側の開口が、電池本体２を負極端子板１８側から差し込み可能である差込口１０となっている。カバー６の差込口１０に差し込まれた電池本体２は、負極端子２０側の端部がカバー６の環状部８に当接する。カバー６に差し込まれた電池本体２は、負極端子２０が環状部８の内周側の貫通穴９から露出する。これにより、電池本体２がカバー６に覆われた状態であっても、他の電池の正極端子または電池１が使用される機器の接続端子が負極端子２０に接触可能となる。

【0016】

電池本体２がカバー６に差し込まれた状態で、環状部８は少なくとも第１の筒部１５の他端側となる端面１５ａを覆っている。環状部８は、さらに内周側に突出して端面１５ａと負極端子板１８とに跨って設けられていてもよい。

【0017】

以上説明したように、電池１は、一端に正極端子１７が形成され、電池本体２と、絶縁性のカバー６と、を備えている。電池本体２は、第１の筒部１５と底部１６とを有する正極缶１１と、負極端子２０が形成された負極端子板１８と、ガスケット１９と、を有する。カバー６は、第２の筒部７と、環状の環状部８と、を有する。第２の筒部７の一端側の開口に負極端子２０側から電池本体２が差し込まれており、環状部８は、少なくとも第１の筒部１５の他端側となる端面１５ａを覆っている。電池本体２の他端側で第１の筒部１５の端面１５ａが環状部８に覆われているので、正極缶１１と負極端子２０とが短絡されてしまうことが環状部８によって防がれる。したがって、正極缶１１と負極端子２０とが短絡されることを防ぐためのワッシャを設ける必要がなくなり、部品点数の削減を図ることができる。

【0018】

また、電池１のうち正極端子１７と負極端子２０とを備えて放電する機能は電池本体２に集約されているためカバー６を交換することができる。そのため、デザインの異なるカバー６を用意すれば、カバー６を交換することで電池１を好みのデザインに変更することができる。

【0019】

また、環状部８は、第１の筒部１５の他端側となる端面１５ａと負極端子板１８とに跨って設けられていることが好ましい。電池本体２の内部で圧力が上昇した際に破裂を防ぐためにガスケット１９が破断する場合がある。ガスケット１９が破断すると、端面１５ａと負極端子板１２との隙間から、電池本体２内部のガスが放出される場合がある。ワッシャと異なり第２の筒部７と一体に形成された環状部８が、端面１５ａと負極端子板１２とに跨って設けられていれば、放出されたガスの飛散を防止することができるし、放出したガスに押し出されて飛散することもない。

【0020】

また、カバー６が絶縁性の材料、特にシリコンで形成されているので、カバー６によって第１の筒部１５の他端側となる端面１５ａと負極端子板１８とが短絡されてしまうことがない。

【符号の説明】

【0021】

１ 電池
２ 電池本体
６ カバー
７ 第２の筒部
８ 環状部
１１ 正極缶
１５ 第１の筒部
１５ａ 端面
１６ 底部
１７ 正極端子
１８ 負極端子板
１９ ガスケット
２０ 負極端子

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】