(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123572
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20240905BHJP
A47L 5/24 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A47L9/28 N
A47L5/24 A
A47L9/28 U
A47L9/28 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031107
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】土田 駿
(72)【発明者】
【氏名】大沢 章人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大澤 諒平
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057DA04
(57)【要約】
【課題】本体の姿勢に応じて電動送風機を起動する電気掃除機において、持ち上げた状態で本体を傾けた際、電動送風機の駆動を抑制する電気掃除機を提供する。
【解決手段】電気掃除機は、本体の傾きを検出する傾き検出部と吸引具と被清掃面の接地を検出する床面検出部とを備え、傾き検出部と床面検出部の両方の検出によって本体が持ち上がった状態で傾けられた際に電動送風機の駆動を抑制することで、利用者の使い勝手を向上させる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に設置され吸引風を生成する電動送風機と、
前記本体に設置され前記電動送風機に電力を供給する二次電池と、
前記本体に設置され前記二次電池から前記電動送風機に供給される電力を制御する制御部と、
前記本体の傾きを検出する傾き検出部と、
前記本体に着脱可能に設けられ前記電動送風機の駆動により被清掃面上の塵埃を吸引する吸引具と、
前記吸引具と被清掃面の接地を検出する床面検出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記傾き検出部と前記床面検出部の結果に応じて前記電動送風機の動作を制御する自動制御を有している
電気掃除機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記自動制御において、
前記吸引具が被清掃面に接地していないと前記電動送風機の運転を抑制するよう制御し、
前記本体の傾きが起動範囲にあるとき前記電動送風機の運転を起動するよう制御する、
請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記自動制御において、
前記吸引具が被清掃面に接地していない場合、前記本体の傾きを起動範囲に傾けても前記電動送風機を起動しない
請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記自動制御において、
前記本体の傾きが停止範囲にあるとき前記電動送風機の運転を停止するよう制御する、
請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記制御部は、
前記自動制御において、
前記吸引具が被清掃面に接地していないとき、前記本体の傾きを前記停止範囲に傾けても前記電動送風機を停止させない
請求項4に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記本体は、
前記電動送風機の動作を指示する動作指示を入力可能な操作部を備え、
前記制御部は、
前記自動制御を実施中に前記動作指示を取得すると、当該動作指示を優先して前記電動送風機の動作を制御する
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、本体部の姿勢に応じて電動送風機の駆動を制御する電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機において、本体部に設けられた姿勢検知手段を用いて本体部の傾きを検知し、本体部の姿勢によって電動送風機の運転を制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、姿勢検知手段となる本体部の姿勢を検知する加速度センサの検知結果に基づいて行われ、本体部が直立した際に電動送風機を停止するとともに、本体部が直立状態から所定方向に傾斜した際に電動送風機を駆動するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開番号WO2012/077621
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるような従来の電気掃除機においては、使用者が電気掃除機を持ち上げて搬送する際に、本体部が傾斜して電動送風機が駆動してしまい、掃除作業に使用する電池の蓄電量が低下し、掃除可能な時間が減ってしまうという課題があった。
また、従来の電気掃除機においては、使用者が電気掃除機を持ち運んでいる最中に電動送風機が駆動すると、搬送中に近くの物を吸い込んでしまって搬送しにくいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電気掃除機は、上記の課題を解決するものであり、この発明に係る電気掃除機は、本体と、本体に設置され吸引風を生成する電動送風機と、本体に設置され電動送風機に電力を供給する二次電池と、本体に設置され二次電池から電動送風機に供給される電力を制御する制御部と、本体の傾きを検出する傾き検出部と、本体に着脱可能に設けられ電動送風機の駆動により被清掃面上の塵埃を吸引する吸引具と、吸引具と被清掃面の接地を検出する床面検出部と、を備え、制御部は、傾き検出部と床面検出部の結果に応じて電動送風機の動作を制御する自動制御を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、本体を傾けた時に自動で電動送風機を起動する自動制御を有する電気掃除機において、本体を持ち上げた時に傾けても電動送風機の駆動を抑制するので、電池に蓄電された電力の消費抑制と持ち運び性の改善を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る電気掃除機の斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る電気掃除機の本体の斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る電気掃除機を支持するスタンドの斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る電気掃除機をスタンドに載置した状態の斜視図である
【
図5】実施の形態1に係る電気掃除機をスタンドから水平方向に取り外す様子を表す側面図である。
【
図6】実施の形態1に係る電気掃除機をスタンドから鉛直方向に取り外す様子を表す側面図である。
【
図7】実施の形態1に係る電気掃除機の傾斜状態を示す側面図である。
【
図8】実施の形態1に係る電気掃除機の垂直状態を示す側面図である。
【
図9】実施の形態1に係る電気掃除機の制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態1に係る電気掃除機の使用に伴う一連の制御動作を示すフロー図である。
【
図11】実施の形態1に係る電気掃除機の自動制御の動作例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示を実施するための形態について、添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本開示は、以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することができる。
【0010】
実施の形態1.
図1から
図11は、本開示の実施の形態1に係るものである。
図1は、電気掃除機の斜視図である。
図2は、電気掃除機の本体の斜視図である。
図3は、電気掃除機を支持可能なスタンドの斜視図である。
図4は、電気掃除機をスタンドに載置した状態の斜視図である。
図5は、電気掃除機をスタンドから水平方向に取り外す様子を示す側面図である。
図6は、電気掃除機をスタンドから鉛直方向に取り外す様子を示す側面図である。
図7は、電気掃除機の傾斜状態を表す側面図である。
図8は、電気掃除機の垂直状態を表す側面図である。
図9は、電気掃除機の制御系統の構成を示すブロック図である。
図10は、実施の形態1に係る電気掃除機の使用に伴う一連の制御動作を示すフロー図である。
図11は、実施の形態1に係る電気掃除機の自動制御の動作例を示すフロー図である。
【0011】
以下の説明において、塵埃及びその他のゴミは、総称して単に「塵埃」と呼ぶ。また、塵埃が混じった空気は、「含塵空気」と呼ぶ。そして、塵埃が取り除かれた空気は、「清浄空気」と呼ぶ。
【0012】
実施の形態1に係る電気掃除機100は、コードレスタイプの縦型電気掃除機である。
図1に示すように、電気掃除機100は、主な構成要素として、本体1と、吸引用アタッチメントとなる延長管2及び吸込具3と、を備えている。本体1は、
図1及び
図2に示すように、電動送風機4、集塵部5、ハンドル6、吸引管7電池9及び制御部12を備えている。
【0013】
次に、本実施の形態1に係る電気掃除機100の、各構成要素について説明する。
【0014】
延長管2は、
図1に示すように、直線状の外形を有する中空管状の部材である。延長管2の一端側は、本体1と着脱可能に連結される。延長管2の他端側は、吸引具3と着脱可能に連結される。
【0015】
吸込具3は、電気掃除機100の最も被清掃面側に位置するものである。吸込具3は、延長管2の前述した他端側に関節構造を介して連結される。吸込具3は、底面に図示されていない吸込口が形成されている。吸込口は、吸込具3の被掃除面側の面に形成した開口であり、吸込具3の内部に形成された内部空間と連通している。吸込具3は、
図9に示すように、アタッチメントモータ26と回転ブラシ27と物理スイッチ35を備えている。
【0016】
アタッチメントモータ26は、吸込具3の内部に備えられ、本体1から延長管2を介して供給された電力で駆動して回転力を生成する。アタッチメントモータ26が生成した回転力は、ベルトを介して後述する回転ブラシ27に伝達し、回転ブラシ27を回転させる。
【0017】
回転ブラシ27は、吸込具3の吸込口から被清掃面側に一部突出するように設けられ、吸込具3内に設けられたアタッチメントモータ26の駆動によって回転する。回転ブラシ27は、自身が回転することで、被清掃面上の塵埃を吸込具3の内部空間へ掻き上げることにより塵埃を吸引しやすくする。
【0018】
物理スイッチ35は、吸引具3から被清掃面側に突出した物理的なスイッチであり、吸引具3が接地すると吸引具3の内部に移動する構造となっている。物理スイッチ35は、吸引具3から突出している時にアタッチメントモータ26への電力供給をオフ(遮断)し、吸引具3の内部に移動している時にアタッチメントモータ26への電力供給をオン(通電)にする。つまり、物理スイッチ35は、吸引具3が被清掃面側に接地しているときはアタッチメントモータ26への電力供給をオンにし、吸引具3が被清掃面側に接地していないときはアタッチメントモータ26への電力供給をオフにする物理的なスイッチである。
【0019】
電動送風機4は、電気掃除機100の本体1内に設置され、内蔵するファンを駆動することで負圧を生成する。電動送風機4は、後述する電池9と電気的に接続されており、電池9から電力を供給されることにより駆動する。電動送風機4によって生成された負圧は、電動送風機4と連通する吸引具3の吸込口付近に吸引力を発生させるとともに、吸込口から本体1内に吸い込む吸引風を発生させる。
つまり、電気掃除機100は、被清掃面上の塵埃を、吸引力、吸引風、回転ブラシ27による掻き上げによって、内部に吸引する。
【0020】
集塵部5は、本体1内に吸い込まれた含塵空気中の塵埃と空気を分離し、分離した塵埃を捕集する。集塵部5は、全体として円柱状の外観を有するサイクロン分離装置であり、本体1に対し着脱可能に取り付けられている。本体1は、集塵部5を本体1に取り付けると、本体1の吸引口8から集塵部5、電動送風機4、図示していない本体1の排気口まで通じる風路を形成する。
ここで、サイクロン分離装置とは、含塵空気を旋回させることにより空気と塵埃を分離する装置である。また、集塵部5は、含塵空気内に含まれる塵埃を分離して捕集するものであれば、その方法はこれに限定するものではない。例えば、集塵部5は、多層の紙でパック状に形成したフィルタで構成し、当該フィルタによって含塵空気内に含まれる塵埃を分離して捕集するようにしてもよい。
【0021】
ハンドル6は、使用者が電気掃除機100を使用する際に手で握る部位である。使用者は、ハンドル6を握って電気掃除機100の本体1を把持する。また、ハンドル6には、電動送風機4の動作を指示することができる操作部10が設けられている。なお、本実施の形態において、操作部10の指示によって電気掃除機100の動作を制御するものを、掃除工程における通常制御と称する。
【0022】
操作部10は、電動送風機4の運転を開始と終了を指示するメインスイッチと、電動送風機4の能力を切り替えるサブスイッチと、を備えている。電気掃除機100は、メインスイッチによって運転の開始もしくは終了の指示を受けると、電動送風機4だけでなくアタッチメントモータ26の動作も同様に開始と終了を実施する。また、サブスイッチは、電動送風機4で生成する吸引力を変更するスイッチであり、「強運転」、「中運転」及び「弱運転」を選択するためのスイッチを備えている。
例えば、使用者が操作部10により「強運転」の運転モードを選択した場合、電機掃除機100は、当該信号を受けた制御部によって電動送風機4を「強運転」の運転モードに応じた出力で駆動するよう制御する。
【0023】
吸引管7は、中空筒状の部材であり、延長管2と着脱可能な構造となっている。吸引管7は、
図2に示すように、その一端側に塵埃を吸い込むための開口となる吸引口8が形成されている。吸引管7の内部には、吸引口8を通過した含塵空気の気流を集塵部5へ導く風路が形成されている。吸引管7の他端には、ハンドル6の一端が外見上連続するようにして配置されている。
【0024】
電池9は、本体1に内蔵される充電可能な二次電池である。電池9は、本体1に接続される外部電源から充電電力を受け、充電用の電力を取得する。電池9は、電動送風機4、後述する制御部12上のマイコン21、アタッチメントモータ26に電力を供給する。
【0025】
制御部12は、マイコン21、電圧判定部22、加速度センサ20、第1の出力調整部23、第1の電流検出部24及び第2の出力調整部25を備えている。制御部12は、操作部10の信号に基づいて電動送風機4などの駆動を制御する通常制御と、後述する本体1の傾きと吸引具3の被清掃面への接地状況とに基づいて電動送風機4などを制御する自動制御と、有する制御部である。また、制御部12は、電池9の充放電の制御もおこなう。
【0026】
マイコン21は、マイクロコンピュータである。すなわち、マイコン21は、プロセッサ及びメモリを備えている。マイコン21は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより、外部から入力された信号に基づいて予め設定された処理を実行する。
【0027】
第1の出力調整部23は、マイコン21から出力された動作指令信号に基づき、電動送風機4への電力供給を調整する。
第1の電流検出部24は、アタッチメントモータ26に流れる電流を検出する。
第2の出力調整部25は、マイコン21から出力された動作指令信号に基づき、アタッチメントモータ26への電力供給を調整する。
【0028】
制御部12は、アタッチメントモータ26に電流が流れていることを第1の電流検出部24が検出した場合、第1の出力調整部23を用いて電動送風機4の出力を80%に低下させる。これは、被清掃面上の塵埃は、回転ブラシ27が接触して掻き上げることにより、より小さな負圧や気流によって電気掃除機100内に取り込むことができるという現象を利用したものである。つまり、電気掃除機100は、回転ブラシ27を動作させると、電動送風機4によって発生する吸引力を減らしても十分な掃除能力を維持することができる。そこで、本開示の電気掃除機100は、回転ブラシ27が動作している時は電動送風機4の能力を減少させて掃除作業にかかる時間当たりの電力量を減らし、一度の充電で使用可能な時間が延びるように制御している。
【0029】
また、制御部12は、電池9から出力される電圧を検出する電圧検出器28を備えている。制御部12は、この電圧検出部28の検出結果に応じて電動送風機4の出力を増加させ、十分な清掃能力を確保する。
【0030】
具体的な動作としては、制御部は、電動送風機4を80%の出力で動作させている際、電圧検出器28により検出された電池9の出力電圧が予め設定された基準値を下回ると、第1の出力調整部23を用いて電動送風機4の出力を90%に増加させる。また、さらに電池9の出力電圧が低下した場合には、制御部は、電動送風機4の出力を100%に増加させる。これにより、電気掃除機100は、電池9から供給される電力の電圧降下による掃除能力の低下を抑制している。
【0031】
また、制御部12は、電動送風機4に流れる電流を検出する第2の電流検出部33を備えている。制御部12は、電動送風機4の出力が100%より低く、且つ第2の電流検出部33にて電動送風機4の電流が予め設定された基準値を下回っていることを検出した場合、電池9の出力電圧が低下したときと同様に電動送風機4の出力を増加させる。これにより、電気掃除機100は、電池9から供給される電力減少による掃除能力の低下を抑制している。
【0032】
更に、制御部12は、電動送風機4の温度を検出する温度検出器32を備えている。温度検出器32は、本体1内の風路中で且つ電動送風機4から一定の距離だけ離れた位置に配置されている。そして、制御部12は、温度検出部32で基準温度以上の温度を検出すると電動送風機4を停止させ、温度上昇による電動送風機4への負荷を抑制する。
【0033】
上記のように構成された本開示の電気掃除機100は、以下のような動作によって掃除作業をおこなう。
電気掃除機100は、ハンドル6に設けられた操作部10の操作に応じて電動送風機4を駆動させて吸引力を発生させる。電気掃除機100は、発生した吸引力を集塵部5、吸引管7、延長管2を介して吸引具3に伝え、吸込具3の底面に形成した吸込口から被清掃面上にある塵埃を吸引する。吸引された含塵空気は、吸引具3、延長管2、吸引管7の内部を通過して集塵部5の内部に取り込まれる。集塵部5では、含塵空気から塵埃と清浄空気を分離し、清浄空気を電動送風機4側に排出するとともに塵埃をその内部に蓄積する。電動送風機4を通過した清浄空気は、前述した排気口から本体1の外部に排出される。
【0034】
また、前述で説明した延長管2及び吸込具3は、本体1に着脱可能に設けられた吸引用アタッチメントであり、以下に記載する他のアタッチメントと取り換えることができる。そして、電気掃除機100は、以下の各アタッチメントを装着した状態でも掃除作業を行うことが出来る。
・布団掃除専用の布団たたき機構を備える布団掃除用アタッチメント
・電動送風機4の排気を利用して吹き飛ばし掃除を行うブロー用アタッチメント
・吸引口8よりも狭い吸込口で隙間を掃除する隙間掃除用アタッチメント
・植毛を備える棚用アタッチメント
また、電気掃除機100は、吸引用アタッチメントである延長管2及び吸込具3を本体1から取り外した状態、つまり延長管2及び吸込具3が無い状態で掃除作業を行うことができる。
【0035】
例えば、電気掃除機100は、吸引用アタッチメントである延長管2及び吸込具3を本体1に取り付けることで、
図1に示すようにスティック型電気掃除機として使用できる。この場合、使用者は、本体1のハンドル6を握り、吸込具3を被清掃面上に載せ、延長管2の長手方向が被清掃面に対して斜め方向となるようにして掃除する。
【0036】
また、電気掃除機100は、吸引用アタッチメントである延長管2及び吸込具3を本体1から取り外し、
図2に示すように本体1だけを用いてハンディ型電気掃除機として使用できる。この場合、使用者は、本体1のハンドル6を握り、本体1の吸引口8を被清掃面上に向けて掃除する。
なお、電気掃除機100は、ハンディ状態で使用する際、本体1の吸引口8に、吸込具3、布団掃除用アタッチメント、ブロー用アタッチメント、隙間掃除用アタッチメント、または棚用アタッチメントを接続して使用することが可能な構造となっている。
【0037】
次に、電気掃除機100に加えて、電気掃除機100を支持するとともに充電機能を有するスタンド200を備えた掃除機システム1000について説明する。
【0038】
スタンド200は、例えば、居室の床面に置かれ、電気掃除機100を所定の保持角度で支持する機能を有する。使用者は、電気掃除機100を使用する際、電気掃除機100をスタンド200から取り外して使用する。また、スタンド200は、電気掃除機100の電池9を充電するための充電台の機能も備えている。使用者は、不使用時に電気掃除機100をスタンド200に置き、電気掃除機100の電池9を充電する。
【0039】
スタンド200は、基台部210、支柱部220及び本体支持部230を備える。基台部210は、スタンド200の最も下方に配置される土台となる部分である。支柱部220は、基台部210の上面から鉛直上向きに直立して形成されている。本体支持部230は、支柱部220の中間部に固定されている。
【0040】
本体支持部230は、電気掃除機100をスタンド200に載置した際に、本体1を下側から支持する部位である。本体支持部230には、管体保持部231が設けられている。管体保持部231は、本体支持部230における支柱部220とは反対に形成された凹部である。
【0041】
電気掃除機100をスタンド200に載置する際、延長管2及び吸引管7から見て、吸込具3の前端側及び集塵部5が配置された側が、スタンド200の支柱部220の方へと向けられる。すなわち、スタンド200は、電気掃除機100の本体1を吸込具3の前端側から支持する。使用者は、掃除が終了した後に、そのまま、吸込具3の前側へと電気掃除機100を移動させながら、スタンド200に電気掃除機100を置くことができる。
【0042】
図4は、電気掃除機100をスタンド200に載置した図である。このような状態では、本体1は、本体支持部230により支持される。また、ハンドル6の操作部10側の端部は、支柱部220の上端部で支持される。そして、吸引管7及び延長管2の接続部分は、管体保持部231の凹部の内側に収まって保持される。このように、電気掃除機100の本体1は、吸引用アタッチメントである延長管2及び吸込具3が本体1に取り付けられた状態で充電台であるスタンド200に支持される。
【0043】
図3に示すように、管体保持部231の凹部の内側には、スタンド側電極16が設けられている。電気掃除機100は、スタンド側電極16に対応する吸引管7と延長管2との接続部分に、本体側電極14が設けられている。電気掃除機100は、スタンド200に適切に載置されると、本体側電極14とスタンド側電極16とが電気的に接続される。電気掃除機100は、本スタンド200と電気的に接続されると、本体1に内蔵された電池9を充電する充電工程を実施する。充電工程は、スタンド200が外部電源から生成した充電電力を電気掃除機100が受け取り、充電電力によって電気掃除機100に内蔵された電池9を充電する工程である。
つまり、スタンド200は、電気掃除機100を支持する支持台であるとともに、電気掃除機100を支持している状態で電気掃除機100に内蔵された電池9を充電する充電器となる。
【0044】
また、掃除機システム1000は、スタンド200から電気掃除機100を取り外す方向によって、電気掃除機100を本体1に吸引用アタッチメント(延長管2及び吸込具3)が接続された状態で使用するのか、又は、本体1のみで使用するのか、を選択することができる。
【0045】
例えば、
図5に示すように電気掃除機100を水平方向に移動させると、電気掃除機100は、本体1と吸引用アタッチメント(延長管2及び吸込具3)とが一体となってスタンド200から取り外される。つまり、電気掃除機100は、スティック型電気掃除機として使用できる(以下、当該形態をスティック状態として記載)。
【0046】
一方、
図6に示すように電気掃除機100を鉛直上方向に移動させると、電気掃除機100は、本体1と延長管2との接続が解除されて吸引用アタッチメント(延長管2及び吸込具3)をスタンド200に残したまま本体1のみが取り外される。つまり、電気掃除機100は、ハンディ型電気掃除機として使用できる(以下、当該形態をハンディ状態として記載)。
【0047】
このようにすることで、使用者は、直接的に吸引用アタッチメントを本体1に着脱することなく、スタンド200から本体1を取り外す方向を選択すれば、電気掃除機100をハンディ状態として使用するか、スティック状態として使用するかを選択することができる。
【0048】
次に、スタンド200を用いた電気掃除機100の電池9を充電する充電工程について、
図9を参照しながら説明する。
【0049】
まず、スタンド200には、電圧変換部17が備えられている。また、スタンド200には、電源プラグが設けられている。スタンド200の電源プラグは、外部電源に接続される。電圧変換部17は、スタンド200の電源プラグを介して供給される外部電源の交流電圧(例えばAC100V)から電池9を充電するのに適した充電電力へ変換する。本開示のスタンド200は、充電電力として直流電圧(例えばDC30V)に変換する。
【0050】
電圧変換部17で変換された直流電圧は、スタンド側電極16から出力される。また、電気掃除機100は、スタンド200の適切な位置に載置すると、本体側電極14がスタンド側電極16に電気的に接続する。その後、電気掃除機100は、スタンド200側から充電電力の供給を確認すると、電池9の充電を行う充電工程を実施する。なお、制御部12は、電池9の残量が十分であったり、電池9の温度が高温だったり、した場合には、電池9の充電を行わない場合がある。したがって、電気掃除機100がスタンド200に載置された際に、必ず電池9を充電するとは限らない。
【0051】
制御部12は、本体側電極14に入力されている電圧を判定する電圧判定部22とマイコン21とによって構成された充電器接続検出部30を備えている。
充電器接続検出部30は、本体側電極14の電圧Xに基づいて、充電台であるスタンド200に本体1が接続されているか否かを検出する。
次に、制御部12が、スタンド200に接続されているか否かを判定する手順について説明する。
【0052】
制御部12は、電圧判定部22によって検出された本体側電極14の電圧Xと予め設定された閾値A及び閾値Bとの比較を行い、充電台であるスタンド200に接続されているか否かを判定する。
例えば、マイコン21は、電圧X<閾値Aである場合、本体1がスタンド200に接続されていないと判定する。一方、マイコン21は、電圧X>閾値Bである場合、本体1が異常な充電機器に接続されたと判定する。更に、マイコン21は、閾値A<電圧X<閾値Bである場合、本体1がスタンド200に接続されたと判定する。
【0053】
また、制御部12は、本体1がスタンド200に接続された後も、電圧判定部22によって検出された本体側電極14の電圧Xと閾値A及び閾値Bとの比較を行い、スタンド200との接続が切り離されたかを判定する。
電圧X<閾値Aである場合、マイコン21は、本体1がスタンド200から取り外されたと判定する。電圧X>閾値Bである場合、マイコン21は、本体1が異常な充電機器に接続されたと判定する。閾値A<電圧X<閾値Bである場合、マイコン21は、本体1がスタンド200に接続された状態が継続していると判定する。
【0054】
次に、電気掃除機100が有する自動制御について説明する。自動制御とは、掃除工程において、操作部10の入力によらず電気掃除機100の状態によってその動作を自動に制御するものである。
【0055】
自動制御は、本体1の傾きによる傾き起動判定および傾き停止判定と、吸引具3の被清掃面への接地状況による接地判定と、によって、電気掃除機100の状態を検知する。そして、自動制御は、電気掃除機100の状態におうじて、電動送風機4の動作を制御する。なお、以下の説明では、傾き起動判定と傾き停止判定に使用する傾き検出部31と接地判定に使用する床面検出部34についても、説明する。
【0056】
最初に、傾き検出部31を用いた傾き起動判定と傾き停止判定について説明する。
傾き検出部31は、
図9に示すように、制御部12上に設けられた加速度センサ20とマイコン21とで構成されており、加速度センサ20が検出する重力加速度の方向から本体1の傾きを検出する。
加速度センサ20は、例えばX軸・Y軸・Z軸の3つの軸方向の加速度を検出するものであり、それぞれの軸方向の加速度を電気信号としてマイコン21に送信する。マイコン21は、加速度センサ20から出力された信号に基づいて、本体1の傾きの大きさを検知する。
【0057】
加速度センサ20における軸方向について、さらに詳細に説明する。
加速度センサ20の軸方向は、センサ自身が持つ固有の軸であり、加速度センサ20の取り付け角度によって本体1との関係性が決められる。例えば、Z軸は、本体1から延長管2及び吸込具3に向かう方向が軸方向となるように設置されており、
図8において上方向を正、下方向を負としている。Y軸は、Z軸の鉛直方向となり、
図5における本体1を含む電気掃除機100を取り外す方向が軸方向となるように設置されており、
図8において、右方向を正、左方向を負としている。X軸は、Y軸及びZ軸と鉛直方向となるものであり、
図5における本体1の左右方向が軸方向となるように設置されており、
図8において、手前方向が正、奥方向を負としている。
【0058】
加速度センサ20は、重力加速度だけでなく、使用者が電気掃除機100を動かした時に発生する加速度も検出し、マイコン21にその合算値を出力する。マイコン21は、加速度センサ20から受信した少なくともY軸方向の出力とZ軸方向の出力から、電気掃除機100の姿勢を判断する。
【0059】
例えば、マイコン21は、電気掃除機100がスタンド200に保持されている時の保持角度を基準値として記憶している。本実施の形態では保持角度を垂直状態としているので、当該状態の時の加速度センサ20の出力値は、X軸方向とY軸方向はほぼゼロの値であり、Z軸方向に重力加速度と同程度の値となる。したがって、マイコン21は、当該値を基準値として記憶している。
そして、マイコン21は、加速度センサ20のY軸方向、Z軸方向の出力が基準値に近い値であるとき、電気掃除機100がスタンド200に保持され直立状態の姿勢である判断する。
また、マイコン21は、当該基準値と加速度センサ20の出力との差から、本体1の傾きの大きさを推測する。具体的には、マイコン21は、使用者が電気掃除機100を動かす際に大きく影響を受けるY軸方向の出力値だけでなく、当該影響を受けにくいZ軸方向の出力値の基準値からの変化量から、電気掃除機100の本体1の傾斜角度を推測する。このように本体1の傾きの大きさを推測することにより、制御部12は、使用者によって発生する加速度の影響を抑えつつ、電気掃除機100の本体1の傾きの大きさを推測する。
【0060】
次に、傾き検出部31を利用した、傾き起動判定および傾き停止判定について説明する。
制御部12は、自動制御として、本体1の角度が起動範囲であることを検知すると電動送風機4を起動する傾き起動判定と、本体1の角度が停止範囲であると検知すると電動送風機4を停止する傾き停止判定と、を有している。なお、制御部12は、傾き起動判定および傾き停止判定において、傾き検出部31にて検出された本体1の角度が所定時間のあいだ当該範囲に含まれる場合に、本体1の角度が当該範囲内にあると判定する。
【0061】
ここで、傾き起動判定に用いられる起動範囲は、電気掃除機100がスタンド200に設置されているときの保持角度に近い側の値を閾値にしたものでもよい。また、起動範囲は、電気掃除機100が床面の角度と推定される床面角度に近い範囲を除外している。これにより、使用者が意図せず電気掃除機100を床面に倒しても、電気掃除機100は、自動制御によって電動送風機4の駆動を開始してしまうことを防止する。
また、傾き停止判定に用いられる停止範囲も、電気掃除機100を使用する際に傾ける方向が決まっているので、その方向の角度範囲に限定することができる。
なお、本実施の形態では、保持角度は床面から垂直方向となるよう構成されており、例えば保持角度を0度とすると床面角度は90度となるよう設定されている。
【0062】
また、制御部12は、角度条件に範囲を持たせ且つ所定時間のあいだ当該範囲に含まれることを条件としていることにより、加速度センサ20の出力値に含まれる使用者が電気掃除機100を動かした時の影響を、抑制することができる。
【0063】
次に、床面検出部34利用した接地判定について説明する。
電気掃除機100は、吸引具3の被清掃面側が被清掃面に接地しているか否かという接地状況を検出する床面検出部34を備えている。床面検出部34は、
図9に示すように、マイコン21と、アタッチメントモータ26への電力供給を検出する第1の電流検出部24と、吸引具3の被清掃面側となる裏面に設けられた物理スイッチ35と、で構成している。
【0064】
以下に、床面検出部34の動作についてもう少し説明する。
吸引具3は、床面に置かれると、物理スイッチ35が床面に押されて吸引具3内の位置に移動する。物理スイッチ35は、オンの位置に該当する吸引具3内の位置に移動すると、アタッチメントモータ26に電力が供給される回路を通電状態にする。アタッチメントモータ26は、電力が供給されると回転駆動を開始し、ベルトを介して回転ブラシ27に伝達させる。回転ブラシ27は、ベルトから伝達された回転動作を利用し、自身を回転させる。
【0065】
また、吸引具3は、使用者に持ち上げられて床面から離れると、物理スイッチ35が吸引具3の裏面から突出する位置に移動する。物理スイッチ35は、オフの位置に該当する吸引具3の裏面から突出する位置に移動すると、アタッチメントモータ26へ電力が供給される回路の一部を遮断状態にする。アタッチメントモータ26は、電力の供給が停止されると回転駆動を停止する。回転ブラシ27は、アタッチメントモータ26の回転停止を受け、自身の回転を停止する。
【0066】
床面検出部34は、上記のようなアタッチメントモータ26への電力供給の有無を第1の電流検出部24によって検出し、吸引具3の裏面と被清掃面との接地状況を検知する。
なお、本実施の形態では、床面検出部34を上記のような構成としたが、床面検出部34は吸引具3が床面に接しているかを検出できれば良いものであり、例えば物理スイッチ35の代わりに距離センサや画像センサを利用しても良い。
【0067】
また、制御部12は、床面検出部34の検出結果にて、吸引具3の被清掃面への接地を検知すると電動送風機4を駆動可能に制御し、吸引具3の被清掃面への接地を検知できないと電動送風機4を停止するよう制御する。
【0068】
次に、傾き起動判定と傾き停止判定と接地判定を含んだ自動制御について、その動作を説明する。
【0069】
制御部12は、本体1の傾きが起動範囲にあることを傾き検出部31によって検出すると、操作部10の入力が無くても自動で電動送風機4を駆動させる。つまり、制御部12は、上記の傾き起動判定によって本体1を傾けるだけで掃除作業を開始できる状態になるよう制御する。また、制御部12は、本体1の傾きが停止範囲にあることを傾き検出部31によって検出すると、操作部10の入力が無くても自動で電動送風機4を停止させる。つまり、制御部12は、上記の傾き停止判定によって本体1を傾けるだけで掃除作業を一時停止できる状態になるよう制御する。
このように、使用者は、自動制御を使用することにより、本体1の傾きにより電動送風機4の駆動状態を切り替えることができるので、掃除作業の開始や一時停止のときに操作部10による入力作業を省略することができる。
【0070】
また、制御部12は、電動送風機4の駆動中に接地判定によって吸引具3が床面から離れたことを検出すると、電動送風機4の駆動を停止させる。更に、制御部12は、接地判定により吸引具3が床面から離れていると検知している状況において、傾き起動判定と傾き停止判定を実施しない。つまり、制御部12は、起動判定と傾き停止判定による指示より、接地判定による指示を優先する。例を挙げると、制御部12は、接地判定により吸引具3が床面から離れていると検知している状況では、傾き起動判定による判定を行わないので電動送風機4の停止が維持される。このように制御することにより、電気掃除機100は、床面から塵埃を吸えないタイミングで電池9に蓄電された電力の消費を抑制できるので、電池に蓄電された電力で掃除作業を実施できる時間を延ばすことができる。加えて、電気掃除機100は、使用者が電気掃除機100を持ち運ぶ際に、吸引具3がカーテンなど周囲の物を吸い込むことを抑制することができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、制御部12は、接地判定によって吸引具3の裏面が床面から離れたと判定すると電動送風機4の駆動を停止させるが、例えばものを吸い込まない程度の少ない電力で電動送風機4を駆動するように制御しても良い。このように制御することで、電池9の蓄電量の消費を抑制しつつ、電動送風機4のオンオフが繰り返されることによる電源回路などの負荷を軽減することができる。
【0072】
また、電気掃除機100は、前述したように、スタンド200に支持されている本体1を鉛直上方向に移動させると、吸引用アタッチメントが本体1から取り外されたハンディ状態で使用することができる。同様に、電気掃除機100は、スティック状態で使用している途中で吸引用アタッチメントを取り外し、吸引具3が付いていないハンディ状態での使用に変更することができる。
【0073】
このように電機掃除機100を吸引具3が付いていない状態で使用する場合、電気掃除機100は、アタッチメントモータ26に供給する電流が検出されないので吸引具3が床面から離れていると判定する。したがって、電気掃除機100は、傾き検出部31で本体の傾斜が起動範囲と判定しても、電動送風機4の停止状態を維持する。また、吸引具3が付いていない状態で操作部10入力により電動送風機4を駆動し掃除作業を行っている際、本体1の傾きが停止範囲と判定しても、電動送風機4の駆動を維持する。つまり、電気掃除機100は、吸引具3が付いていないハンディ状態で使用している状況では、接地判定により吸引具3が被清掃面に接地していないと判定し傾き起動判定や傾き停止判定を実施しない。これにより、電気掃除機100は、使用者が意図しない電動送風機4の起動や停止を防止することができる。
使用者は、ハンディ状態で使用している際に本体1を傾けても、誤って電動送風機4が動作して周囲のものを吸い込む、意図せず電動送風機4が停止する、という状況を回避することができるので、使い勝手が良くなる。
【0074】
なお、ハンディ状態にて電気掃除機100を使用する場合は、操作部10を操作して電動送風機4を駆動させる。つまり、電気掃除機100は、掃除工程において、ハンディ状態で使用する場合は、通常制御となる操作部10の操作によって電動送風機4を駆動させて掃除作業をおこなう。
【0075】
このように電気掃除機100の自動制御は、持ち運び中の本体1の傾きによる電動送風機4の意図しない動作を抑制することで無駄な電力消費を削減し、1回の電池9の充電での運転可能時間を長くすることが可能である。
【0076】
次に、本実施の形態の電気掃除機100における、使用者の掃除作業に伴う一連の制御動作について、
図10、
図11のフロー図を参照しながら説明する。
【0077】
電気掃除機100は、充電器接続検出部30によってスタンド200に接続されているか否かを判定する(ステップS1)。
電気掃除機100は、本体1がスタンド200に取り付けられて充電可能な状態である場合(ステップS1:Yes)、電動送風機4などの動作を停止して充電作業を行う充電工程を開始する(ステップS2)。なお、充電工程は、電池9が満充電に近い状態になり、電池9への電力供給を停止している期間も含む。
一方、電気掃除機100は、本体1がスタンド200に取り付けられていない場合は(ステップS1:No)、通常制御と自動制御によって電動送風機4などの動作を制御する掃除工程を開始する。電気掃除機100は、ステップS3の掃除工程を開始すると、操作部10への入力に応じて行う電動送風機4などを制御する通常制御と、本体1の傾きや吸引具3の接地状況によって電動送風機4などを制御する自動制御と、を実施する。
【0078】
次に、本実施の形態における、掃除工程(ステップS3)の自動制御について、
図11を用いてさらに説明する。なお、電気掃除機100は、掃除工程において、定期的に
図11に示す電気掃除機100が自動制御において制御部が実施するフローを繰り返し実施することにより、電動送風機4などを適切に制御している。
【0079】
電気掃除機100は、床面検出部34によって吸引具3が床面と接地しているかを判定する(ステップS21)。つまり、電気掃除機100の自動制御は、接地判定による判定を先に実施する。
【0080】
電気掃除機100は、吸引具3が床面と接地していないと判定すると(ステップS21:No)、電動送風機4を停止状態にする(ステップS22)。ステップS22の際、電気掃除機100が既に停止状態の場合は、その停止状態を維持する。そして、所定の間隔後に、再度ステップS21を実施する。
一方、吸引具3が床面と接地している判定した場合(ステップS21:Yes)、電気掃除機100は、電動送風機4の運転状態を判定する(ステップS23)。
【0081】
ステップS23において電動送風機4が停止中と判定した場合(ステップS23:Yes)、電気掃除機100は、本体1の傾きが電動送風機4の駆動を開始するべき条件となる起動範囲に含まれるものかを判定する傾き起動判定に移行する(ステップS24)。
一方、ステップS23において電動送風機4が駆動中と判定した場合(ステップS23:No)、電気掃除機100は、本体1の傾きが電動送風機4の駆動を停止するべき条件となる停止範囲に含まれるものかを判定する傾き停止判定に移行する(ステップS25)。
つまり、自動制御は、接地判定にて吸引具3が床面と接地している場合に、傾き起動判定と傾き停止判定のステップに移行する。
【0082】
まずは、電動送風機4が停止中の時に実施する傾き起動判定となるステップS24について説明する。
ステップS24において本体1の角度が起動範囲に含まれると判定した場合(ステップS24:Yes)、電気掃除機100は、電動送風機4を駆動させ(ステップS26)、使用者が掃除作業を実施することができる状態にする。
一方、ステップS24において本体1の角度が起動範囲に含まれないと判定した場合(ステップS24:No)、電気掃除機100は、電動送風機4を停止状態のまま維持し、所定の間隔後に再度ステップS21を実施する。
なお、本実施の形態における起動範囲は、電気掃除機100がスタンド200に取り付けられている状態である垂直方向を0度としたときの30度から70度としている。このように、起動の条件に範囲を持たせることで、使用者が電気掃除機100を動かすことによって発生する加速度の影響を抑制することが出来る。
【0083】
次に、電動送風機4が駆動中の時に実施する傾き停止判定となるステップS25について説明する。
ステップS25において本体1の角度が停止範囲に含まれると判定した場合(ステップS25:Yes)、電気掃除機100は、電動送風機4を停止させ(ステップS27)、その後、所定の間隔後に再度ステップS21を実施する。
一方、ステップS24において本体1の角度が停止範囲に含まれないと判定した場合(ステップS25:No)、電気掃除機100は、電動送風機4の駆動を維持し、その後、所定の間隔後に再度ステップS21を実施する。
なお、本実施の形態における停止範囲は、電気掃除機100がスタンド200に取り付けられている状態である垂直方向を0度としたときの+15度から-15度としている。
【0084】
ここで、停止範囲と起動範囲は、互いに重複したり接したりせず、離れた範囲となっている。このように、停止条件の角度範囲の切り替わり角度と起動条件の角度範囲の切り替わり角度を異なる値にすることにより、使用者が掃除作業によって本体1の角度が大きく変動した際に、電動送風機4の停止と起動が頻繁に繰り返されることを抑制することができる。
【0085】
つまり、本開示における電気掃除機100は、自動制御において、以下のような構造や機能を有することで、他に無い特別な効果を奏することができる。
電気掃除機100は、自動制御として、吸引具3が被清掃面に接地していないと電動送風機4の運転を抑制する接地判定と本体の傾きが起動範囲にあるとき電動送風機4の運転を起動する傾き起動判定とを有するので、本体1が持ち上がった時に傾いても電動送風機4の駆動を抑制できる。これにより電気掃除機100は、持ち運び時における電力消費が抑制され、一回の充電電力で掃除可能な時間を延ばすことができる。また、持ち運び時に電動送風機4の吸引力を抑制するので、カーテンなど不要なものを吸い込むことが無いので持ち運び性が向上する。
また、電気掃除機100は、傾き起動判定より接地判定による判定の結果を優先するので、吸引具3が被清掃面に接地していないときに本体1を起動範囲に傾けても電動送風機4を起動しない。したがって、電気掃除機100は、本体1が持ち上がった際、自動制御による電動送風機4の駆動を抑制できるので、上記効果を確実に実施することができる。
更に、電気掃除機100は、傾き停止判定より接地判定による判定の結果を優先するので、吸引具3が被清掃面に接地していないときに本体1を停止範囲に傾けても電動送風機4を停止させない。したがって、電気掃除機100は、吸引具3を外したハンディ状態で使用している際、自動制御によって電動送風機4が停止することを防止できるので、使用者の使い勝手を向上することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 本体、
2 延長管、
3 吸込具、
4 電動送風機、
5 集塵部、
6 ハンドル、
7 吸引管、
8 吸引口、
9 電池、
10 操作部、
12 制御部、
14 本体側電極、
16 スタンド側電極、
17 電圧変換部、
20 加速度センサ、
21 マイコン、
22 電圧判定部、
23 第1の出力調整部、
24 第1の電流検出部、
25 第2の出力調整部、
26 アタッチメントモータ、
27 回転ブラシ、
28 電圧検出器、
30 充電器接続検出部、
31 傾き検出部、
32 温度検出器、
33 第2の電流検出部、
34 床面検出部、
35 物理スイッチ、
100 電気掃除機、
200 スタンド、
210 基台部、
220 支柱部、
230 本体支持部、
231 管体保持部、
1000 掃除機システム、