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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123583
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】撮像装置および撮像方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/55 20230101AFI20240905BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20240905BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20240905BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240905BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20240905BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20240905BHJP
   H04N 23/12 20230101ALI20240905BHJP
【FI】
H04N23/55
H04N23/56
H04N23/54
G03B15/00 V
G03B15/00 H
G03B15/02
G03B11/00
H04N23/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031126
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 直之
【テーマコード(参考)】
2H083
5C122
【Fターム(参考)】
2H083AA04
2H083AA26
2H083AA32
5C122DA14
5C122DA16
5C122DA30
5C122EA47
5C122EA59
5C122FB02
5C122FB13
5C122FB16
5C122FC01
5C122FC02
5C122FC06
5C122GG04
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】1台のカメラで複数の方向を撮像する。
【解決手段】撮像装置10は、第1波長を有する第1光線12を透過し、第1波長とは異なる第2波長を有する第2光線14を反射するよう構成される光学素子20と、光学素子20を透過する第1光線12および光学素子20で反射する第2光線14が入射する位置に配置され、第1波長を透過する第1フィルタが設けられる複数の画素と、第2波長を透過する第2フィルタが設けられる複数の画素とを備える撮像センサ24と、撮像センサ24の出力信号を用いて、第1光線12を撮像した第1画像と、第2光線14を撮像した第2画像とを生成する画像処理部48と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長を有する第1光線を透過し、前記第1波長とは異なる第2波長を有する第2光線を反射するよう構成される光学素子と、
前記光学素子を透過する前記第1光線および前記光学素子で反射する前記第2光線が入射する位置に配置され、前記第1波長を透過する第1フィルタが設けられる複数の画素と、前記第2波長を透過する第2フィルタが設けられる複数の画素とを備える撮像センサと、
前記撮像センサの出力信号を用いて、前記第1光線を撮像した第1画像と、前記第2光線を撮像した第2画像とを生成する画像処理部と、を備える撮像装置。
【請求項2】
前記第1波長および前記第2波長の一方は、可視光波長域に含まれ、前記第1波長および前記第2波長の他方は、赤外光波長域に含まれる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像装置は、車両の室内に配置され、
前記第1光線および前記第2光線の一方は、前記車両の室外からの可視光線であり、
前記第1光線および前記第2光線の他方は、前記車両の室内からの赤外光線である、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記車両の室内の撮像対象に向けて赤外照明光を照射する照明装置をさらに備える、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
光学素子を透過する第1波長を有する第1光線を、前記第1波長を透過する第1フィルタが設けられる撮像センサの複数の画素を用いて検出し、前記光学素子で反射する前記第1波長とは異なる第2波長を有する第2光線を、前記第2波長を透過する第2フィルタが設けられる前記撮像センサの複数の画素を用いて検出するステップと、
前記撮像センサの出力信号を用いて、前記第1光線を撮像した第1画像と、前記第2光線を撮像した第2画像とを生成するステップと、を備える撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の周囲を撮像するドライブレコーダが一般的に用いられている。ドライブレコーダでは、車両の前方を撮像するカメラに加えて、車両の後方を撮像する別のカメラが用いられることがある。1台のカメラで車両の前後を撮像する構成として、例えば、カメラで直接撮像される方向と、反射ミラーで反射して撮像される方向とを組み合わせる構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-313950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、1台のカメラの撮像範囲を分割して用いるため、複数台のカメラを用いる場合に比べて撮像範囲が狭くなってしまう。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、1台のカメラで複数の方向を撮像する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の撮像装置は、第1波長を有する第1光線を透過し、第1波長とは異なる第2波長を有する第2光線を反射するよう構成される光学素子と、光学素子を透過する第1光線および光学素子で反射する第2光線が入射する位置に配置され、第1波長を透過する第1フィルタが設けられる複数の画素と、第2波長を透過する第2フィルタが設けられる複数の画素とを備える撮像センサと、撮像センサの出力信号を用いて、第1光線を撮像した第1画像と、第2光線を撮像した第2画像とを生成する画像処理部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、撮像方法である。この方法は、光学素子を透過する第1波長を有する第1光線を、第1波長を透過する第1フィルタが設けられる撮像センサの複数の画素を用いて検出し、光学素子で反射する第1波長とは異なる第2波長を有する第2光線を、第2波長を透過する第2フィルタが設けられる撮像センサの複数の画素を用いて検出するステップと、撮像センサの出力信号を用いて、第1光線を撮像した第1画像と、第2光線を撮像した第2画像とを生成するステップと、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、1台のカメラで複数の方向を撮像できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る撮像装置が設置され車両を模式的に示す図である。
図2】実施の形態に係る撮像装置の構成を模式的に示す図である。
図3】波長フィルタの構成の一例を模式的に示す図である。
図4】波長フィルタの構成の別の一例を模式的に示す図である。
図5】実施の形態に係る撮像方法の一例を示すフローチャートである。
図6】変形例に係る撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。かかる実施の形態に示す具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、図面において、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
本実施の形態の概要を説明する。本実施の形態は、1台のカメラを用いて複数の方向を撮像するための撮像装置である。撮像装置は、第1波長を有する第1光線を透過し、第1波長とは異なる第2波長を有する第2光線を反射するよう構成される光学素子と、光学素子を透過する第1光線および光学素子で反射する第2光線が入射する位置に配置され、第1波長を透過する第1フィルタが設けられる複数の画素と、第2波長を透過する第2フィルタが設けられる複数の画素とを備える撮像センサと、を備える。本実施形態によれば、光学素子を透過して見える第1方向からの第1光線と、光学素子で反射して見える第2方向からの第2光線とを波長で分離して撮像することができる。
【0013】
図1は、実施形態に係る撮像装置10が設置される車両16を模式的に示す図である。撮像装置10は、車両16の室内に配置され、例えば、車両16の前方のウィンドシールドの近傍に配置される。撮像装置10は、車両16の室外からの第1光線12と、車両16の室内からの第2光線14とを撮像するように構成される。撮像装置10は、第1光線12を撮像することにより、車両の室外の映像を生成する。撮像装置10は、第2光線14を撮像することにより、車両の室内の映像を生成する。
【0014】
第1光線12は、例えば、車両16の前方からの可視光線である。撮像装置10は、第1光線12を撮像することにより、車両16の前方の可視光映像またはカラー映像を生成する。第2光線14は、例えば、車両16の室内からの赤外光線である。撮像装置10は、第2光線14を撮像することにより、車両16の室内に存在する乗員18の赤外光映像を生成する。
【0015】
図面において、車両16の前後方向をz方向とし、車両16の左右方向をx方向とし、車両16の上下方向をy方向としている。特に、車両16の前方を+x方向とし、車両16の後方を-z方向としている。これらの方向は、実施の形態の理解を助けるために便宜上設定されるものであり、撮像装置10の使用時における方向を何ら制限するものではない。
【0016】
図2は、実施の形態に係る撮像装置10の構成を模式的に示す図である。撮像装置10は、光学素子20と、カメラ22と、画像処理部48とを備える。
【0017】
光学素子20は、第1波長を有する第1光線12を透過し、第1波長とは異なる第2波長を有する第2光線14を反射するよう構成される。光学素子20は、例えば、ダイクロイックミラーであり、第1波長を選択的に透過し、第2波長を選択的に反射するよう構成される。光学素子20は、例えば、誘電体多層膜ミラーである。第1光線12に含まれる第1波長成分は、光学素子20を透過してカメラ22に入射する。第1光線12に含まれる第2波長成分は、光学素子20で反射するためカメラ22に入射しない。第2光線14に含まれる第2波長成分は、光学素子20で反射してカメラ22に入射する。第2光線14に含まれる第1波長成分は、光学素子20を透過するためカメラ22に入射しない。光学素子20は、光学素子20を透過した第1光線12の光軸と、光学素子20で反射した第2光線14の光軸とが一致する向きで配置される。
【0018】
例えば、第1波長は、可視光波長域に含まれ、第2波長は、赤外光波長域に含まれる。この場合、第1光線12に含まれる可視光成分は、光学素子20を透過してカメラ22に入射する。第1光線12に含まれる赤外光成分は、光学素子20で反射するためカメラ22に入射しない。第2光線14に含まれる赤外光成分は、光学素子20で反射してカメラ22に入射する。第2光線14に含まれる可視光成分は、光学素子20を透過するためカメラ22に入射しない。
【0019】
なお、第1波長と第2波長のそれぞれの波長域は、特に限られず、例えば、200nm~2000nm程度の波長範囲から選択される任意の波長であってもよい。例えば、第1波長が赤外光波長域であり、第2波長が可視光波長域であってもよい。第1波長および第2波長の少なくとも一方が紫外光波長域であってもよい。第1波長および第2波長の双方が可視光波長域であってもよい。
【0020】
カメラ22は、光学素子20を透過する第1光線12が入射し、かつ、光学素子20で反射する第2光線14が入射する位置に配置される。したがって、カメラ22は、光学素子20を透過する第1光線12を撮像するとともに、光学素子20で反射する第2光線14を撮像する。カメラ22は、撮像センサ24と、波長フィルタ26と、撮像レンズ28とを含む。カメラ22は、撮像センサ24の出力信号を画像処理部48に供給する。
【0021】
撮像センサ24は、第1光線12および第2光線14を撮像するための複数の画素を備える。撮像センサ24の複数の画素は、二次元アレイ状に配置される。撮像センサ24は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの二次元画像センサである。
【0022】
波長フィルタ26は、撮像センサ24の前面に設けられる。波長フィルタ26は、撮像センサ24の複数の画素のそれぞれに対応して配置される複数のフィルタを有する。複数のフィルタは、撮像センサ24の複数の画素と同様に二次元アレイ状に配置される。
【0023】
撮像レンズ28は、波長フィルタ26の前面に設けられる。撮像レンズ28は、カメラ22に入射する第1光線12および第2光線14を撮像センサ24の受光面に結像させるよう構成される。撮像レンズ28は、一以上の任意の数の光学レンズを含むことができる。
【0024】
図3は、波長フィルタ26の構成の一例を模式的に示す図である。波長フィルタ26は、第1波長を透過する複数の第1フィルタ44と、第2波長を透過する複数の第2フィルタ46とを備える。複数の第1フィルタ44および複数の第2フィルタ46は、撮像センサ24の複数の画素に対応するように配置され、画素ごとに交互に配置される。複数の第1フィルタ44のそれぞれは、例えば、可視光を透過する可視光フィルタVである。複数の第2フィルタ46のそれぞれは、例えば、赤外光を透過する赤外光フィルタNである。この場合、撮像センサ24は、第1フィルタ44(または可視光フィルタV)が設けられる複数の第1画素と、第2フィルタ46(または赤外光フィルタN)が設けられる複数の第2画素とを備える。
【0025】
図4は、波長フィルタ26の構成の別の一例を模式的に示す図である。波長フィルタ26は、赤色光を透過する複数の赤色フィルタ44Rと、緑色光を透過する複数の緑色フィルタ44Gと、青色光を透過する複数の青色フィルタ44Bと、赤外光を透過する複数の赤外光フィルタ46とを備える。赤色フィルタ44R、緑色フィルタ44Gおよび青色フィルタ44Bは、第1波長(可視光)を透過する第1フィルタであり、赤外光フィルタ46は、第2波長(赤外光)を透過する第2フィルタである。赤色フィルタ44R、緑色フィルタ44G、青色フィルタ44Bおよび赤外光フィルタ46は、例えば、撮像センサ24の複数の画素に対応するようにベイヤ配列で配置される。この場合、撮像センサ24は、赤色フィルタ44Rが設けられる複数の第1画素と、緑色フィルタ44Gが設けられる複数の第2画素と、青色フィルタ44Bが設けられる複数の第3画素と、赤外光フィルタ46が設けられる複数の第4画素とを備える。
【0026】
撮像装置10は、筐体30を備えてもよい。筐体30は、光学素子20およびカメラ22を内部に収容する。筐体30は、第1光線12が入射する第1入射口32と、第2光線14が入射する第2入射口34とを有する。第1入射口32は、筐体30の前面36に設けられ、第2入射口34は、筐体30の前面36とは反対側の背面38に設けられる。第1入射口32は、例えば、カメラ22の前方に配置される。第2入射口34は、例えば、カメラ22の後方に配置される。ここで、カメラ22の前方とは、カメラ22の撮像方向に相当し、カメラ22の後方とはカメラ22の撮像方向とは反対方向に相当する。
【0027】
撮像装置10は、筐体30の内部に収容される追加の光学素子をさらに備えてもよい。撮像装置10は、第1入射口32と光学素子20の間に配置され、第1光線12の光路を折り返すための追加のミラーを備えてもよい。撮像装置10は、第2入射口34と光学素子20の間に配置され、第2光線14の光路を折り返すための追加のミラーを備えてもよい。撮像装置10は、光学素子20とカメラ22の間に配置され、光学素子20からカメラ22に向かう第1光線12および第2光線14の光路を折り返すための追加のミラーを備えてもよい。
【0028】
撮像装置10は、照明装置40をさらに備えてもよい。照明装置40は、撮像装置10の撮像対象に照明光42を照射するよう構成される。照明装置40は、例えば、照明光を生成するためのLED(Light Emitting Diode)などの光源と、照明光の照度分布や配向などを調整するための光学素子とを備える。照明装置40は、例えば、第2光線14によって撮像される撮像対象に向けて照明光42を照射するよう構成され、第2光線14の入射方向とは反対側に向けて第2波長を有する照明光42を照射する。照明装置40は、例えば、車両16の室内の乗員18に向けて赤外の照明光42を照射するよう構成される。
【0029】
本実施形態によれば、撮像装置10は、第1方向(例えば前方)から入射する第1光線12を撮像した第1画像と、第2方向(例えば後方)から入射する第2光線14を撮像した第2画像とを生成できる。本実施の形態によれば、単一のカメラ22を用いて、前方画像と後方画像の双方を同期させて生成することができ、複数のカメラを用いる場合に比べて、撮像装置10のコストを低減できる。
【0030】
図3に示される波長フィルタ26を用いる場合、第1方向(例えば前方)を撮像した第1画像は、第1フィルタ44(または可視光フィルタV)が設けられる複数の画素のそれぞれの画素値から構成される可視光画像である。また、第2方向(例えば後方)を撮像した第2画像は、第2フィルタ46(または赤外光フィルタN)が設けられる複数の画素のそれぞれの画素値から構成される赤外光画像である。
【0031】
図4に示される波長フィルタ26を用いる場合、第1方向(例えば前方)を撮像した第1画像は、赤色フィルタ44R、緑色フィルタ44Gおよび青色フィルタ44Bが設けられる複数の画素のそれぞれの画素値から構成されるカラー画像である。また、第2方向(例えば後方)を撮像した第2画像は、赤外光フィルタ46が設けられる複数の画素のそれぞれの画素値から構成される赤外光画像である。
【0032】
画像処理部48は、例えば、ハードウェアによる信号処理または画像処理を実行するためのDSP(Digital Signal Processor)またはISP(Image Signal Processor)などの電子回路によって構成されることができる。画像処理部48は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現されてもよい。画像処理部48のハードウェアは、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリといった素子や機械装置で実現されてもよい。画像処理部48のソフトウェアは、コンピュータプログラム等によって実現されてもよい。画像処理部48の機能はハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0033】
画像処理部48は、撮像センサ24の出力信号を用いて第1画像および第2画像を生成する。画像処理部48は、撮像センサ24の複数の画素によって同一フレームで検出される画素値を用いることにより、撮像時刻が同期した第1画像および第2画像を生成する。
【0034】
図3に示される波長フィルタ26を用いる場合、画像処理部48は、撮像センサ24の出力信号のうち、第1フィルタ44が設けられる複数の第1画素にて検出される画素値のみを抽出して第1画像を生成する。画像処理部48は、撮像センサ24の出力信号のうち、第2フィルタ46が設けられる複数の第2画素にて検出される画素値のみを抽出して第2画像を生成する。
【0035】
図4に示される波長フィルタ26を用いる場合、画像処理部48は、撮像センサ24の出力信号のうち、赤色フィルタ44R、緑色フィルタ44G、青色フィルタ44Bが設けられる複数の第1画素、複数の第2画素および複数の第3画素にて検出される画素値のみを抽出して第1画像を生成する。画像処理部48は、撮像センサ24の出力信号のうち、第2フィルタ46が設けられる複数の第4画素にて検出される画素値のみを抽出して第2画像を生成する。
【0036】
図5は、実施の形態に係る撮像方法の一例を示すフローチャートである。まず、光学素子20を透過する第1波長を有する第1光線12と、光学素子20で反射する第1波長とは異なる第2波長を有する第2光線14とを一つの撮像センサ24に入射させる(ステップS10)。撮像センサ24は、第1波長を透過する第1フィルタ44(または44R,44G,44B)が設けられる複数の画素を用いて第1光線12を検出し、第2波長を透過する第2フィルタ46が設けられる複数の画素を用いて第2光線14を検出する(ステップS12)。ここで、ステップS10とステップS12は同時に実行されてもよい。画像処理部48は、撮像センサ24の出力信号を用いて、第1光線12を撮像した第1画像と、第2光線14を撮像した第2画像とを生成する(ステップS14)。ステップS10~S14の処理は、撮像装置10の動作中において繰り返し実行される。
【0037】
本実施形態によれば、図1に示されるように撮像装置10を車両16に配置することにより、車両の室外を撮像した可視光画像と、車両の室内を撮像した赤外光画像とを生成できる。車両の室外を撮像した可視光画像は、例えば、ドライブレコーダ用の画像として用いることができる。車両の室内を撮像した赤外光画像は、例えば、車両16の乗員18の状態をモニタリングするためのドライバモニタ用の画像として用いることができる。車両の室外が撮像される第1画像を可視光画像とすることにより、車両16や他の車両のヘッドライトなどの照明を利用して、夜間でも鮮明な室外画像を得ることができる。また、車両の室内が撮像される第2画像を照明装置40を用いた赤外光画像とすることにより、夜間でも鮮明な室内画像を得ることができる。
【0038】
図6は、変形例に係る撮像装置10Aの構成を模式的に示す図である。変形例では、撮像装置10Aの配置の前後関係が上述の実施形態とは逆になっている。本変形例について、上述の実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については適宜説明を省略する。
【0039】
撮像装置10Aは、光学素子20Aと、カメラ22と、画像処理部48とを備える。カメラ22および画像処理部48は、上述の実施形態と同様に構成される。
【0040】
光学素子20Aは、第1波長を有する第1光線12Aを透過し、第1波長とは異なる第2波長を有する第2光線14Aを反射するよう構成される。光学素子20Aは、例えば、ダイクロイックミラーであり、第1波長を選択的に透過し、第2波長を選択的に反射するよう構成される。
【0041】
カメラ22は、光学素子20Aを透過する第1光線12Aが入射し、光学素子20Aで反射する第2光線14Aが入射する位置に配置される。カメラ22は、光学素子20Aを透過する第1光線12Aを撮像するとともに、光学素子20Aで反射する第2光線14Aを撮像する。
【0042】
本変形例では、例えば、第1波長は、赤外光波長域に含まれ、第2波長は、可視光波長域に含まれる。この場合、第1光線12Aに含まれる赤外光成分は、光学素子20Aを透過してカメラ22に入射する。第1光線12Aに含まれる可視光成分は、光学素子20Aで反射するためカメラ22に入射しない。第2光線14Aに含まれる可視光成分は、光学素子20Aで反射してカメラ22に入射する。第2光線14Aに含まれる赤外光成分は、光学素子20Aを透過するためカメラ22に入射しない。
【0043】
本変形例においても、第1波長と第2波長のそれぞれの波長域は、特に限られず、例えば、200nm~2000nm程度の波長範囲から選択される任意の波長であってもよい。例えば、第1波長が可視光波長域であり、第2波長が赤外光波長域であってもよい。第1波長および第2波長の少なくとも一方が紫外光波長域であってもよい。第1波長および第2波長の双方が可視光波長域であってもよい。
【0044】
第1光線12Aは、例えば、車両16の室内からの赤外光線である。撮像装置10は、第1光線12Aを撮像することにより、車両16の室内に存在する乗員18の赤外光映像を生成する。第2光線14Aは、例えば、車両16の前方からの可視光線である。撮像装置10は、第2光線14Aを撮像することにより、車両16の前方の可視光映像またはカラー映像を生成する。
【0045】
撮像装置10Aは、筐体30Aを備えてもよい。筐体30Aは、光学素子20Aおよびカメラ22を内部に収容する。筐体30Aは、第1光線12Aが入射する第1入射口32Aと、第2光線14Aが入射する第2入射口34Aとを有する。第1入射口32Aは、筐体30Aの背面38に設けられ、第2入射口34Aは、筐体30の前面36に設けられる。第1入射口32Aは、例えば、カメラ22の前方に配置される。第2入射口34は、例えば、カメラ22の後方に配置される。
【0046】
撮像装置10Aは、照明装置40をさらに備えてもよい。照明装置40は、撮像装置10の撮像対象に照明光42を照射するよう構成される。照明装置40は、例えば、第1光線12Aによって撮像される撮像対象に向けて照明光42を照射するよう構成され、第1光線12Aの入射方向とは反対側に向けて第1波長を有する照明光42を照射する。照明装置40は、例えば、車両16の室内の乗員18に向けて赤外の照明光42を照射するよう構成される。
【0047】
本変形例によれば、撮像装置10Aは、第1方向(例えば後方)から入射する第1光線12Aを撮像した第1画像と、第2方向(例えば前方)から入射する第2光線14Aを撮像した第2画像とを生成できる。本実施の形態によれば、単一のカメラ22を用いて、前方画像と後方画像の双方を同期させて生成することができ、複数のカメラを用いる場合に比べて、撮像装置10Aのコストを低減できる。
【0048】
図2および図6の構成例では、照明装置40および画像処理部48が筐体30,30Aの外部に設けられているが、照明装置40および画像処理部48の少なくとも一方は、筐体30,30Aの内部に設けられてもよい。また、撮像装置10,10Aは、照明装置40および画像処理部48の少なくとも一方を備えない構成であってもよく、照明装置40および画像処理部48の少なくとも一方は、撮像装置10,10Aとは別の装置に設けられてもよい。
【0049】
本実施形態および変形例に係る撮像装置10,10Aの使用方法は、図1の配置に限られない。撮像装置10,10Aは、例えば、車両16の後方のウィンドシールドの近傍に配置されてもよい。撮像装置10,10Aは、車両向け以外の用途で使用されてもよく、車両16とは異なる任意の場所に配置されてもよい。例えば、撮像装置10,10Aは、自転車用のヘルメットの頭頂部や側部に設けられ、自転車に乗車するユーザの前方の可視光画像と後方の赤外光画像の双方を同期させて生成してもよい。撮像装置10,10Aは、拡張現実(AR;Augmented Reality)型のヘッドマウントディスプレイやスマートグラスに設けられ、ユーザの前方の可視光画像と、後方の(例えばユーザの両眼を含む範囲の)赤外光画像とを同期させて生成してもよい。
【0050】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、各表示例に示す構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
10,10A…撮像装置、12,12A…第1光線、14,14A…第2光線、16…車両、20,20A…光学素子、22…カメラ、24…撮像センサ、26…波長フィルタ、28…撮像レンズ、30,30A…筐体、32,32A…第1入射口、34,34A…第2入射口、40…照明装置、42…照明光、48…画像処理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6