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特開2024-123589加飾積層体、加飾部材、加飾組立体、加飾システム、加飾組立体の製造方法、保護層付きパターン遮光層、及び保護層付き配線シート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123589
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】加飾積層体、加飾部材、加飾組立体、加飾システム、加飾組立体の製造方法、保護層付きパターン遮光層、及び保護層付き配線シート
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G09F13/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031142
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】本間 聡
(72)【発明者】
【氏名】大槻 順司
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA27
5C096BA01
5C096CA13
5C096CB01
5C096CC06
5C096CE02
5C096CJ04
5C096FA05
5C096FA08
5C096FA11
5C096FA12
5C096FA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】接合材の固化に用いられるレーザー光によって、加飾部材にレーザー痕が生じ得る。本開示は、レーザー痕の発生抑制を目的とする。
【解決手段】加飾積層体25は、配線シート30と、保護遮光層35と、パターン可視光遮光層40と、をこの順で含む。配線シートは、パッド及び配線を含む。パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域41と、可視光透過性を有する透過領域42と、を含む。定波長の光についての前記保護遮光層の反射率は、前記特定波長の光についての前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域での反射率よりも大きい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線シートと、保護遮光層と、パターン可視光遮光層と、をこの順で備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
特定波長の光についての前記保護遮光層の反射率は、前記特定波長の光についての前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域での反射率よりも大きい、加飾積層体。
【請求項2】
前記保護遮光層は、前記パターン可視光遮光層の一部分のみと重ねられ、
前記保護遮光層は、前記遮光領域の少なくとも一部と重ねられている、請求項1に記載の加飾積層体。
【請求項3】
意匠を表示する加飾層を更に備え、
前記配線シート、前記保護遮光層、前記パターン可視光遮光層、及び前記加飾層は、この順で配置されている、請求項1に記載の加飾積層体。
【請求項4】
前記加飾層は、前記パターン可視光遮光層からの順で、可視光遮光性を有した可視光遮光層と、意匠を表示する意匠層と、を含む、請求項3に記載の加飾積層体。
【請求項5】
前記特定波長は、780nm以上2000nm以下である、請求項1に記載の加飾積層体。
【請求項6】
前記保護遮光層は、無機粒子を含む層又は金属層である、請求項1~5のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項7】
配線シートと、パターン可視光遮光層と、をこの順で備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域における波長1780nm以上2000nm以下の赤外線透過率の最大値は80%以上である、加飾積層体。
【請求項8】
意匠を表示する加飾層を更に備え、
前記配線シート、前記パターン可視光遮光層、及び前記加飾層は、この順で配置されている、請求項7に記載の加飾積層体。
【請求項9】
配線シートと、保護遮光層と、パターン可視光遮光層と、熱可塑性樹脂層と、を備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
特定波長の光についての前記保護遮光層の反射率は、前記特定波長の光についての前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域での反射率よりも大きく、
前記保護遮光層は、前記配線シート及び前記パターン可視光遮光層の間に位置する、加飾部材。
【請求項10】
可視光遮光性を有した可視光遮光層と、意匠を表示する意匠層と、を含む加飾層を更に備え、
前記可視光遮光層は、前記意匠層及び前記熱可塑性樹脂層の間に位置する、請求項9に記載の加飾部材。
【請求項11】
配線シートと、パターン可視光遮光層と、熱可塑性樹脂層と、を備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域における波長780nm以上2000nm以下の赤外線透過率の最大値は80%以上である、加飾部材。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか一項に記載の加飾部材と、
前記配線シートの前記パッド上に設けられた接合材と、
前記接合材を用いて前記パッドと電気的に接続した状態に維持される電子部品と、を備える、加飾組立体。
【請求項13】
前記電子部品は発光体を含む、請求項12に記載の加飾組立体。
【請求項14】
請求項13に記載された加飾組立体と、
前記発光体に対面して配置された反射部材と、を備える、加飾システム。
【請求項15】
請求項9~11のいずれか一項に記載された前記加飾部材を作製する工程と、
前記加飾部材に電子部品を実装する工程と、を備え、
前記加飾部材を作製する工程は、前記配線シートを含む中間体を収容したキャビティ内に加熱された熱可塑性樹脂を供給して前記熱可塑性樹脂層を作製する射出成形工程を含み、
前記電子部品を前記配線シートに実装する工程は、前記電子部品と前記配線シートとを接合する接合材にレーザー光を照射し前記接合材を固化させる工程を含む、加飾組立体の製造方法。
【請求項16】
前記レーザー光の波長780nm以上2000nm以下である、請求項15に記載の加飾組立体の製造方法。
【請求項17】
保護遮光層と、パターン可視光遮光層と、を備え、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み
特定波長の光についての前記保護遮光層の反射率は、前記特定波長の光についての前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域での反射率よりも大きい、保護層付きパターン遮光層。
【請求項18】
意匠を表示する加飾層を更に備え、
前記保護遮光層、前記パターン可視光遮光層、及び前記加飾層は、この順で配置されている、請求項17に記載の保護層付きパターン遮光層。
【請求項19】
配線シートと、保護遮光層と、を備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記保護遮光層の波長780nm以上2000nm以下の赤外線反射率の最大値は60%以上である、保護層付き配線シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾積層体、加飾部材、加飾組立体、加飾システム、加飾組立体の製造方法、保護層付きパターン遮光層、及び保護層付き配線シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、発光ダイオードや回路素子等の電子部品を含む加飾システムが知られている。特許文献1の加飾システムは、適用対象を装飾する。特許文献1の加飾システムは、発光体および遮光柄を含んでいる。発光体の発光時に、遮光柄によって区画された透光領域が発光する。
【0003】
特許文献1では、遮光柄及び発光体を含むLED基材付きフィルムを用いたインサート成形により、加飾システムが製造される。この製造方法において、発光体等の電子部品は、インサート成形時の熱及び圧力に曝される。電子部品は、インサート成形時の熱及び圧力に対する耐性を有する必要がある。したがって、電子部品の選択に制約が生じる。
【0004】
この不具合は、インサート成形等の射出成形によって得られた加飾部材に電子部品を実装することによって、回避され得る。昨今におけるロボット実装技術の発展に伴い、インサート成形後の加飾部材に電子部品を高精度に位置決めできる。更に、レーザー光照射により半田等の接合材を固化させ、固化した接合材により電子部品を加飾部材に電気的に接続した状態に維持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6695230号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、接合材の固化に用いられるレーザー光によって、加飾部材にレーザー痕が生じ得る。本開示は、レーザー痕の発生抑制を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施の形態による第1の加飾積層体は、
配線シートと、保護遮光層と、パターン可視光遮光層と、をこの順で備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
特定波長の光についての前記保護遮光層の反射率は、前記特定波長の光についての前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域での反射率よりも大きい。
【0008】
本開示の一実施の形態による第2の加飾積層体は、
配線シートと、保護遮光層と、パターン可視光遮光層と、をこの順で備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
特定波長の光についての前記保護遮光層の透過率は、前記特定波長の光についての前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域での透過率よりも小さい。
【0009】
本開示の一実施の形態による第3の加飾積層体は、
配線シートと、パターン可視光遮光層と、をこの順で備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域における波長780nm以上2000nm以下の赤外線透過率の最大値は80%以上である。
【0010】
本開示の一実施の形態による第1の加飾部材は、
配線シートと、保護遮光層と、パターン可視光遮光層と、熱可塑性樹脂層と、を備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
特定波長の光についての前記保護遮光層の反射率は、前記特定波長の光についての前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域での反射率よりも大きく、
前記保護遮光層は、前記配線シート及び前記パターン可視光遮光層の間に位置する。
【0011】
本開示の一実施の形態による第2の加飾部材は、
配線シートと、保護遮光層と、パターン可視光遮光層と、熱可塑性樹脂層と、を備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
特定波長の光についての前記保護遮光層の透過率は、前記特定波長の光についての前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域での透過率よりも小さく、
前記保護遮光層は、前記配線シート及び前記パターン可視光遮光層の間に位置する。
【0012】
本開示の一実施の形態による第3の加飾部材は、
配線シートと、パターン可視光遮光層と、熱可塑性樹脂層と、を備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域における波長780nm以上2000nm以下の赤外線透過率の最大値は80%以上である。
【0013】
本開示の一実施の形態による第1の保護層付きパターン遮光層は、
保護遮光層と、パターン可視光遮光層と、を備え、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み
特定波長の光についての前記保護遮光層の反射率は、前記特定波長の光についての前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域での反射率よりも大きい。
【0014】
本開示の一実施の形態による第2の保護層付きパターン遮光層は、
保護遮光層と、パターン可視光遮光層と、を備え、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み
特定波長の光についての前記保護遮光層の透過率は、前記特定波長の光についての前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域での前記特定波長の透過率よりも小さい。
【0015】
本開示の一実施の形態による第1の保護層付き配線シートは、
配線シートと、保護遮光層と、を備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記保護遮光層の波長780nm以上2000nm以下の赤外線反射率の最大値は60%以上である。
【0016】
本開示の一実施の形態による第2の保護層付き配線シートは、
配線シートと、保護遮光層と、を備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記保護遮光層の波長780nm以上2000nm以下の赤外線透過率の最小値は40%以下である。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、レーザー痕の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本開示の一実施の形態を説明するための図であって、加飾システム、加飾組立体、及び加飾部材の一例を示す斜視図である。
図2A図2Aは、図1に示された加飾システムを示す平面図である。
図2B図2Bは、図1に示された加飾システムを示す平面図であって、表示を行っている状態を示す図である。
図3図3は、図1図2Bに示された実施の形態の第1態様を説明するための図であって、第1態様による加飾システム、加飾組立体、加飾部材、及び加飾積層体の一例を、図1のIII-III線に沿った断面にて、示す縦断面図である。
図4図4は、図1図2Bに示された実施の形態に適用され得る配線シートの一例を示す部分平面図である。
図5図5は、図3に示された加飾システム、加飾組立体、加飾部材、及び加飾積層体に適用され得るパターン可視光遮光層の一例を示す平面図である。
図6図6は、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材に用いられる中間体の作製方法の一例を示す図である。
図7図7は、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材に用いられる中間体の作製方法の一例を示す図である。
図8図8は、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材に用いられる中間体の作製方法の一例を示す図である。
図9図9は、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材に用いられる中間体の作製方法の他の例を示す図である。
図10A図10Aは、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材に用いられる中間体の予備成形の一例を示す図である。
図10B図10Bは、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材に用いられる中間体の予備成形の一例を示す図である。
図10C図10Cは、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材に用いられる中間体の予備成形の一例を示す図である。
図10D図10Dは、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材に用いられる中間体の予備成形の一例を示す図である。
図11A図11Aは、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材を作製するための射出成形の一例を示す図である。
図11B図11Bは、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材を作製するための射出成形の一例を示す図である。
図11C図11Cは、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材を作製するための射出成形の一例を示す図である。
図11D図11Dは、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材を作製するための射出成形の一例を示す図である。
図12図12は、図11A図11Dに示された射出成形工程によって得られる加飾部材の一例を示す図である。
図13図13は、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材に電子部品を実装する工程の一例を示す図である。
図14図14は、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材に電子部品を実装する工程の一例を示す図である。
図15図15は、図3に示された加飾組立体の製造方法を説明するための図であって、加飾部材に電子部品を実装する工程の一例を示す図である。
図16図16は、図3に対応する断面図であって、第1態様における加飾組立体及び加飾部材の一変形例を示す図である。
図17図17は、図15に対応する断面図であって、図16に示された加飾組立体の作製方法の一例を示す図である。
図18図18は、図3に対応する断面図であって、第1態様における加飾組立体及び加飾部材の他の変形例を示す図である。
図19図19は、図18に示された加飾部材の作製方法の一例を示す図である。
図20図20は、図18に示された加飾部材の作製方法の一例を示す図である。
図21図21は、図18に示された加飾部材の作製方法の他の例を示す図である。
図22図22は、図15に対応する断面図であって、図18に示された加飾組立体の作製方法の一例を示す図である。
図23図23は、図3に対応する断面図であって、第1態様における加飾部材及び加飾積層体に含まれる加飾層の一変形例を示す図である。
図24図24は、図23に示された加飾層の平面図である。
図25図25は、図23に示された加飾層を含む加飾シートの製造方法の一例を示す図である。
図26図26は、図23に示された加飾層を含む加飾シートの製造方法の一例を示す図である。
図27図27は、図3に対応する断面図であって、第1態様における加飾組立体及び加飾部材の更に他の変形例を示す図である。
図28図28は、図3に対応する断面図であって、第1態様における加飾組立体及び加飾部材の更に他の変形例を示す図である。
図29図29は、図3に対応する断面図であって、第1態様における加飾組立体及び加飾部材の更に他の変形例を示す図である。
図30図30は、図1図2Bに示された実施の形態の第2態様を説明するための図であって、第2態様による加飾システム、加飾組立体、加飾部材、及び加飾積層体の一例を、図1のIII-III線に沿った断面にて、示す縦断面図である。
図31図31は、図30に示された加飾部材の作製方法の一例を示す図である。
図32図32は、図15に対応する断面図であって、図30に示された加飾組立体の作製方法の一例を示す図である
図33図33は、図30に対応する断面図であって、第2態様における加飾組立体及び加飾部材の一変形例を示す図である。
図34図34は、図33に示された加飾組立体及び加飾部材の作製方法の一例を示す図である。
図35図35は、図30に対応する断面図であって、第2態様における加飾組立体及び加飾部材の他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の一実施の形態は、次の[1]~[20]に関する。
【0020】
<1> 配線シートと、保護遮光層と、パターン可視光遮光層と、をこの順で備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
特定波長の光についての前記保護遮光層の反射率は、前記特定波長の光についての前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域での反射率よりも大きい、加飾積層体。
【0021】
<2> 前記保護遮光層は、前記パターン可視光遮光層の一部分のみと重ねられ、
前記保護遮光層は、前記遮光領域の少なくとも一部と重ねられている、<1>に記載の加飾積層体。
【0022】
<3> 意匠を表示する加飾層を更に備え、
前記配線シート、前記保護遮光層、前記パターン可視光遮光層、及び前記加飾層は、この順で配置されている、<1>又は<2>に記載の加飾積層体。
【0023】
<4> 前記加飾層は、前記パターン可視光遮光層からの順で、可視光遮光性を有した可視光遮光層と、意匠を表示する意匠層と、を含む、<3>に記載の加飾積層体。
【0024】
<5> 前記特定波長は、780nm以上2000nm以下である、<1>~<4>のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【0025】
<6> 前記保護遮光層は、無機粒子を含む層又は金属層である、<1>~<5>のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【0026】
<7> 配線シートと、パターン可視光遮光層と、をこの順で備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域における波長780nm以上2000nm以下の赤外線透過率の最大値は80%以上である、加飾積層体。
【0027】
<8> 意匠を表示する加飾層を更に備え、
前記配線シート、前記パターン可視光遮光層、及び前記加飾層は、この順で配置されている、<7>に記載の加飾積層体。
【0028】
<9> 配線シートと、保護遮光層と、パターン可視光遮光層と、熱可塑性樹脂層と、を備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
特定波長の光についての前記保護遮光層の反射率は、前記特定波長の光についての前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域での反射率よりも大きく、
前記保護遮光層は、前記配線シート及び前記パターン可視光遮光層の間に位置する、加飾部材。
【0029】
<10> 可視光遮光性を有した可視光遮光層と、意匠を表示する意匠層と、を含む加飾層を更に備え、
前記可視光遮光層は、前記意匠層及び前記熱可塑性樹脂層の間に位置する、<9>に記載の加飾部材。
【0030】
<11> 配線シートと、パターン可視光遮光層と、熱可塑性樹脂層と、を備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み、
前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域における波長780nm以上2000nm以下の赤外線透過率の最大値は80%以上である、加飾部材。
【0031】
<12> <9>~<11>のいずれか一項に記載の加飾部材と、
前記配線シートの前記パッド上に設けられた接合材と、
前記接合材を用いて前記パッドと電気的に接続した状態に維持される電子部品と、を備える、加飾組立体。
【0032】
<13> 前記電子部品は発光体を含む、<12>に記載の加飾組立体。
【0033】
<14> <13>に記載された加飾組立体と、
前記発光体に対面して配置された反射部材と、を備える、加飾システム。
【0034】
<15> <9>~<11>のいずれか一項に記載された前記加飾部材を作製する工程と、
前記加飾部材に電子部品を実装する工程と、を備え、
前記加飾部材を作製する工程は、前記配線シートを含む中間体を収容したキャビティ内に加熱された熱可塑性樹脂を供給して前記熱可塑性樹脂層を作製する射出成形工程を含み、
前記電子部品を前記配線シートに実装する工程は、前記電子部品と前記配線シートとを接合する接合材にレーザー光を照射し前記接合材を固化させる工程を含む、加飾組立体の製造方法。
【0035】
<16> 前記レーザー光の波長780nm以上2000nm以下である、<15>に記載の加飾組立体の製造方法。
【0036】
<17> 保護遮光層と、パターン可視光遮光層と、を備え、
前記パターン可視光遮光層は、可視光遮光性を有する遮光領域と、可視光透過性を有する透過領域と、を含み
特定波長の光についての前記保護遮光層の反射率は、前記特定波長の光についての前記パターン可視光遮光層の前記遮光領域での反射率よりも大きい、保護層付きパターン遮光層。
【0037】
<18> 意匠を表示する加飾層を更に備え、
前記保護遮光層、前記パターン可視光遮光層、及び前記加飾層は、この順で配置されている、<17>に記載の保護層付きパターン遮光層。
【0038】
<19> 配線シートと、保護遮光層と、を備え、
前記配線シートは、パッド及び配線を含み、
前記保護遮光層の波長780nm以上2000nm以下の赤外線反射率の最大値は60%以上である、保護層付き配線シート。
【0039】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。一部の図において示された構成等が、他の図において省略されていることもある。図面間で、縮尺および縦横の寸法比等が異なることもある。
【0040】
本明細書において、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に限定されることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0041】
本明細書において、「シート」、「フィルム」及び「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されない。例えば「配線シート」は、配線フィルム又は配線板と呼ばれる部材等と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。例えば「加飾シート」は、加飾フィルム又は加飾板と呼ばれる部材等と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
【0042】
「抑制」とは、実現や発生等をおさえとどめることや、実現や発生等を妨げることを意味する。「抑制」とは、実現や発生等を完全に防止することだけでなく、実現や発生等の可能性を低減することや実現や発生等を起こりにくくすること等も意味する。
【0043】
本明細書において、あるパラメータに関して複数の上限値の候補及び複数の下限値の候補が挙げられている場合、そのパラメータの数値範囲は、任意の1つの上限値の候補と任意の1つの下限値の候補とを組み合わせることによって構成されてもよい。例えば、「パラメータBは、例えばA1以上でもよく、A2以上でもよく、A3以上でもよい。パラメータBは、例えばA4以下でもよく、A5以下でもよく、A6以下でもよい。」と記載されている場合を考える。この場合、パラメータBの数値範囲は、A1以上A4以下でもよく、A1以上A5以下でもよく、A1以上A6以下でもよく、A2以上A4以下でもよく、A2以上A5以下でもよく、A2以上A6以下でもよく、A3以上A4以下でもよく、A3以上A5以下でもよく、A3以上A6以下でもよい。
【0044】
方向の関係を図面間で明確にするため、いくつかの図面には、共通する符号を付した矢印により共通する第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3を示している。矢印の先端側が、各方向の第1側となる。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を、例えば図2Aに示すように、円の中に点を設けた記号により示した。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印を、例えば図3に示すように、円の中に×を設けた記号により示した。
【0045】
図1図35は一実施の形態を説明する図である。図1図35は、本実施の形態による加飾システム10、加飾組立体15、加飾部材20、及び加飾積層体25の複数の態様の具体例を示している。
【0046】
図1図3に示すように、加飾システム10は、加飾組立体15を含む。加飾組立体15は加飾部材20を含む。加飾組立体15及び加飾部材20は、装飾機能を有してもよい。加飾組立体15及び加飾部材20は、適用対象を装飾してもよい。加飾組立体15及び加飾部材20は、適用対象の意匠性を向上させてもよい。加飾組立体15は、加飾部材20、電子部品16、及び接合材18を含んでもよい。接合材18は、電子部品16を加飾部材20に固定し且つ電子部品16を加飾部材20に電気的に接続した状態に維持する。加飾システム10及び加飾組立体15は、電子部品16を利用して何らかの機能を発揮してもよい。加飾部材20は、加飾積層体25と、加飾積層体25に接合した熱可塑性樹脂層21と、を含んでもよい。熱可塑性樹脂層21は、射出成形によって、作製されてもよい。熱可塑性樹脂層21の成形時における熱や圧力の影響を回避するため、電子部品16は、熱可塑性樹脂層21の成形後に加飾部材20に固定されてもよい。接合材18は、レーザー光の照射によって固化し、電子部品16を加飾部材20に固定してもよい。接合材18は、レーザー光の照射によって焼結してもよい。
【0047】
本実施の形態では、レーザー光の照射によって固化した接合材を用いて固定された電子部品を含む加飾組立体において、加飾部材や加飾積層体に含まれる構成要素へのレーザー痕の発生を抑制するための工夫がなされている。レーザー痕は、レーザー光の照射によって生じる損傷である。レーザー痕は、表面の焦げ、表層の剥がれ、表層の膨れ等の損傷を含む。レーザー痕は、加飾組立体の意匠性を害し得る。レーザー痕は、加飾組立体の装飾機能を劣化させる。
【0048】
加飾システム10及び加飾組立体15は、種々の用途に適用可能である。加飾システム10及び加飾組立体15は、移動体の内装に適用してもよい。移動体は、移動可能な装置である。移動体として、自動車、船、飛行機、ドローン等が例示される。加飾システム10及び加飾組立体15は、自動車のセンターコンソールに適用されてもよい。加飾システム10及び加飾組立体15は、建物の内装や外装に適用されてもよい。加飾システム10及び加飾組立体15は、壁、扉、天井等に適用されてもよい。加飾システム10及び加飾組立体15は、広告や表示に適用されてもよい。加飾システム10及び加飾組立体15は、家具、家電製品等の各種装置に適用されてもよい。加飾システム10及び加飾組立体15は、家電製品等の操作入力部に適用されてもよい。加飾システム10及び加飾組立体15は、家具として、机や収容具に適用されてもよい。加飾システム10及び加飾組立体15は、家電製品として、冷蔵庫や炊飯器に適用されてもよい。
【0049】
以下、図面に示された具体例を参照して本実施の形態をいくつかの態様を説明する。図1図29を参照して、第1態様について説明する。
【0050】
図1図3に示すように、加飾システム10は、加飾部材20及び反射部材11を含んでもよい。図示された例において、反射部材11は、光を反射する。反射部材11は、光を加飾部材20に向ける。反射部材11は、加飾部材20に第3方向D3から対面してもよい。第3方向D3は、加飾部材20において、加飾部材20の構成要素が重ねられた積層方向である。加飾部材20は、反射部材11から反射される光を利用して、表示を行ってもよい。反射部材11での反射は、正反射又は鏡面反射でもよく、拡散反射でもよい。反射部材11での拡散反射は、等方性拡散反射でもよく、異方性拡散反射でもよい。反射部材11は、表面に金属蒸着膜を含んでもよい。反射部材11は、無機粒子を含む層を表面に含んでもよい。反射部材11の表面は、曲面や折れ面でもよい。
【0051】
加飾組立体15は、加飾部材20、接合材18、及び電子部品16を含んでもよい。接合材18は、レーザー光の照射によって固化してもよい。接合材18は、固化した状態において、電子部品16を加飾部材20に固定する。接合材18は、固化した状態において、電子部品16が加飾部材20に電気的に接続した状態、言い換えると電子部品16が加飾部材20に導通した状態を、維持してもよい。接合材18は、導電性を有してもよい。接合材18は、金属でもよい。接合材18は、銀、銅、錫、及び鉛の一以上を含んでもよい。接合材18は、いわゆる半田でもよい。接合材18は、レーザー光の照射によって、ペースト状から固化してもよい。接合材18は、レーザー光の照射によって、焼結してもよい。銀及び銅の少なくとも一方を含んだ半田としての接合材18は、未固化状態であるペースト状から、レーザー光の照射によって焼結し得る。
【0052】
加飾組立体15は、二以上の電子部品16を含んでもよい。加飾組立体15は、二種以上の電子部品16を含んでもよい。電子部品16は、特に限定されない。電子部品16は、抵抗でもよく、コンデンサでもよく、LEDとも表記される発光ダイオードでもよい。電子部品16は、三以上の端子を含んでもよい。端子は、加飾部材20に直接接触して、又は導電性を有した接合材18を経由して、加飾部材20と電気的に接続する。電子部品16は、パッケージでもよい。電子部品16は、SOP(Small Outline Package)、SSOP(Shrink SOP)、TSOP(Thin SOP)、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)でもよい。
【0053】
後に参照する図4に点線で示されているように、図示された加飾積層体25は、電子部品16として、複数の発光体16Aと、パッケージ16Bと、を含んでいる。パッケージ16Bは、複数の端子(例えば、12個の端子)とICチップとを含んでもよい。パッケージ16Bは、発光体16Aの点灯状態を制御するマイコンでもよい。パッケージ16Bは、発光体16Aへの電力供給を制御するドライバでもよい。
【0054】
加飾部材20は、三次元形状を有してもよい。加飾部材20は、三次元形状により装飾機能を発揮してもよい。加飾部材20は、偏平状の積層体を曲げた形状を有してもよい。図1に示された例のように、加飾部材20は、第1方向D1における両側で屈曲又は湾曲した形状を有してもよい。加飾部材20は、第1方向D1における中央部において、第1方向D1及び第1方向D1に直交する第2方向D2に広がっている。図示された例に限られず、種々の形状を有してもよい。加飾部材20は、熱可塑性樹脂層21及び配線シート30を含んでもよい。熱可塑性樹脂層21及び配線シート30は、第3方向D3に重ねられている。図3に示すように、加飾部材20に含まれる構成要素は、第3方向D3に重ねられてもよい。図示された例において、第3方向D3は第1方向D1と直交し、第3方向D3は第2方向D2に直交している。
【0055】
熱可塑性樹脂層21は、配線シート30に接触してもよいし、配線シート30に接触していなくてもよい。熱可塑性樹脂層21は、直接的又は間接的に、配線シート30に接合してもよい。熱可塑性樹脂層21は、射出成形によって作製された射出成形部でもよい。熱可塑性樹脂層21の材料は、射出成形に適した材料でもよい。熱可塑性樹脂層21の材料として、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン共重合体)等が例示される。熱可塑性樹脂層21の厚みは、0.5μm以上でもよく、1μm以上でもよく、2μm以上でもよい。熱可塑性樹脂層21の厚みは、5μm以下でもよく、4μm以下でもよく、3μm以下でもよい。熱可塑性樹脂層21は透明でもよい。熱可塑性樹脂層21は着色されてもよい。熱可塑性樹脂層21は、顔料や染料等の着色材を含んでもよい。
【0056】
「透明」とは、全光線透過率が、30%以上であることを意味し、50%以上でもよく、80%以上でもよい。全光線透過率は、JIS K 7361-1:1997に準拠して測定される値とする。「透明」は、可視光透過性と同義である。「可視光遮光性」とは、全光線透過率が、5%以下であることを意味し、1%以下でもよく、0.1%以下でもよい。
【0057】
配線シート30は、電子部品16と電気的に接続される。図3及び図4に示すように、配線シート30は、パッド32を含んでもよい。パッド32は、電子部品16の端子と電気的に接続されてもよい。パッド32は、電子部品16の端子と接触してもよい。図3に示すように、接合材18はパッド32上に設けられてもよい。接合材18は、パッド32と電気的に接続してもよい。図4に示すように、配線シート30は、パッド32と電気的に接続した配線33を含んでもよい。図4に示すように、配線シート30は、複数の電子部品16の各々に対応した複数のパッド32と、複数のパッド32に電気的に接続した配線33と、を含んでもよい。図4に示された例において、配線シート30は、三個の発光体16Aに電気的に接続する三対のパッド32と、一個のパッケージ16Bに電気的に接続する12個のパッド32と、これらのパッド32と電気的に接続した配線33と、を含んでいる。
【0058】
図3及び図4に示すように、配線シート30は、基材31を含んでもよい。パッド32及び配線33は、基材31上に配置されてもよい。基材31は、絶縁性を有してもよい。基材31のパッド32及び配線33を支持する面は、絶縁性を有してもよい。基材31は、透明でもよい。基材31の材料は、特に限定されない。基材31の材料は樹脂でもよい。基材31の材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、及びポリエチレンの一以上でもよい。基材31は、複数の層を含んでもよい。
【0059】
配線シート30は、基材31をなす樹脂フィルム上に導電性インキを塗布することによって、作製され得る。基材31上で固化した導電性インキによって、パッド32や配線33が構成され得る。
【0060】
配線シート30は、他の構成要素とともに、加飾積層体25を構成してもよい。加飾積層体25は、加熱された熱可塑性樹脂が供給されたキャビティ内に配置されてもよい。この例によれば、加飾積層体25と、加飾積層体25に接合した熱可塑性樹脂層21と、を含む加飾部材20が加飾成形品として得られ得る。図3に示された例のように、加飾積層体25は、配線シート30、保護遮光層35、及びパターン可視光遮光層40をこの順で含んでもよい。加飾部材20は、配線シート30、保護遮光層35、パターン可視光遮光層40、及び熱可塑性樹脂層21をこの順で含んでもよい。
【0061】
配線シート30は、保護遮光層35とともに、保護層付き配線シート30Lを構成してもよい。配線シート30及び保護遮光層35を含む保護層付き配線シート30Lは、電子部品16を固定するためのレーザー光の照射時に、加飾部材20に含まれる他の構成要素を保護する機能を有している。
【0062】
なお、本実施の形態における第1態様は、保護遮光層35を特徴としている。
【0063】
パターン可視光遮光層40は、遮光領域41及び透過領域42を含んでもよい。パターン可視光遮光層40は、遮光領域41で可視光を遮光し、透過領域42で可視光を透過させる。パターン可視光遮光層40によれば、透過領域42の形状と同一形状のパターンを表示できる。透過領域42は、加飾システム10及び加飾組立体15によって表示したいパターンと同一の形状としてもよい。後述するように、発光体16Aからの光が、反射部材11で反射されて、パターン可視光遮光層40の透過領域42を透過する。加飾システム10は、透過領域42の形状と同一形状のパターンを表示できる。
【0064】
遮光領域41は可視光遮光性を有する。遮光領域41は、黒色顔料を含有した樹脂層でもよい。黒色顔料として、カーボンブラックやチタンブラックが例示される。加飾システム10及び加飾組立体15が静電容量型のタッチパネル機能を有する場合、パターン可視光遮光層40は、導電性を有するカーボンブラックを含まず、導電性を有さない複数の顔料の組合せにより可視光遮光性を付与されてもよい。透過領域42は、可視光透過性を有する。透過領域42は、可視光遮光性のパネルに形成された開口部43でもよい。開口部43には、透明な樹脂が充填されてもよい。
【0065】
図5は、パターン可視光遮光層40の一具体例を示す平面図である。図示された例において、十字形状を有した開口部43、三角形形状を有した開口部43、および四角形形状を有した開口部43が設けられおり、これらの開口部43が透過領域42を形成している。開口部43は、遮光領域41を構成する部分によって全周を取り囲まれている必要はない。開口部43は、パターン可視光遮光層40の縁部に位置し、全周の一部分のみを遮光領域41を構成する部分によって区画されてもよい。
【0066】
透過領域42に相当する部分に開口部43を、可視光遮光性を有するパネルに形成することによって、パターン可視光遮光層40は作製されてもよい。このようにして作製されるパターン可視光遮光層40を、当該パターン可視光遮光層40に隣接する部分(図示された例では、保護遮光層35)に貼り合わせてもよい。他の製法として、パターン可視光遮光層40は、当該パターン可視光遮光層40に隣接する部分(図示された例では、保護遮光層35)に、可視光遮光性を有するインキを塗布することにより、作製されてもよい。
【0067】
パターン可視光遮光層40の厚みは、1μm以上でもよく、5μm以上でもよく、10μm以上でもよい。パターン可視光遮光層40の厚みは、100μm以下でもよく、50μm以下でもよく、30μm以下でもよい。
【0068】
保護遮光層35は、特定波長の光に対して遮光性を有している。保護遮光層35は、第3方向D3において、パターン可視光遮光層40及び配線シート30の間に位置する。保護遮光層35によれば、配線シート30を透過した特定波長の光のパターン可視光遮光層40への入射を抑制できる。保護遮光層35によれば、特定波長の光からパターン可視光遮光層40を保護できる。
【0069】
パターン可視光遮光層40は、可視光遮光性を有した遮光領域41と、可視光透過性を有した透過領域42と、を含んでいる。遮光領域41は、可視光を高効率で吸収する。可視光遮光性を有した遮光領域41は、多くの場合、紫外線や赤外線等の可視光以外の光も吸収し易い。したがって、遮光領域41は、種々の波長の光を高効率で吸収し得る。特定波長の高強度の光が遮光領域41に入射すると、遮光領域41は、当該光を吸収して、融解や燃焼により損傷し得る。保護遮光層35を設置することにより、パターン可視光遮光層40の損傷を抑制できる。
【0070】
特定波長の光についての保護遮光層35の透過率は、特定波長の光についてのパターン可視光遮光層40の遮光領域41での透過率よりも小さくてもよい。つまり、特定波長の光に対する保護遮光層35の遮光性は、特定波長の光に対するパターン可視光遮光層40の遮光領域41での遮光性よりも大きくてもよい。特定波長の光についての保護遮光層35の透過率(%)は、40%以下でもよく、30%以下でもよく、20%以下でもよく、10%以下でもよい。特定波長の光についての保護遮光層35の透過率(%)の下限は特に制限されない。特定波長の光についての保護遮光層35の透過率(%)は、例えば、0%以上でもよいし、1%以上でもよい。
【0071】
特定波長の光についての保護遮光層35の反射率は、特定波長の光についてのパターン可視光遮光層40の遮光領域41での反射率よりも大きくてもよい。特定波長の光についての保護遮光層35の反射率(%)は、60%以上でもよく、70%以上でもよく、80%以上でもよく、90%以上でもよい。特定波長の光についての保護遮光層35の反射率(%)の上限は特に制限されない。特定波長の光についての保護遮光層35の反射率(%)は、例えば、100%以下でもよく、99%以下でもよい。
【0072】
特定波長の光についての反射率(%)及び透過率(%)は、日本分光株式会社製の紫外可視近赤外分光光度計V-670を用いた測定した値とする。
【0073】
特定波長は、可視光域内の波長でもよい。可視光の波長は、380nm以上780nm以下である。波長380nm以上780nm以下の光に対する保護遮光層35の反射率(%)の最大値は、50%以上より大きくてもよく、60%以上でもよく、70%以上でもよく、80%以上でもよく、90%以上でもよい。特定波長が可視光域外の波長である場合、波長380nm以上780nm以下の光に対する保護遮光層35の反射率(%)の最大値は、特に制限されない。特定波長が可視光域外の波長である場合、波長380nm以上780nm以下の光に対する保護遮光層35の反射率(%)の最大値は、4%以上でもよく、10%以上でもよく、60%以上でもよく、80%以上でもよい。波長380nm以上780nm以下の光に対する保護遮光層35の反射率(%)の最大値の上限は、特に設定されない。波長380nm以上780nm以下の光に対する保護遮光層35の反射率(%)の最大値は、例えば、100%以下でもよく、99%以下でもよい。
【0074】
特定波長は、赤外線領域の波長でもよい。波長780nm以上2000nm以下の光に対する保護遮光層35の反射率(%)の最大値は、50%より大きくてもよく、60%以上でもよく、70%以上でもよく、80%以上でもよく、90%以上でもよい。波長780nm以上2000nm以下の光に対する保護遮光層35の反射率(%)の最大値は、例えば、100%以下でもよく、99%以下でもよい。波長780nm以上1500nm以下の光に対する保護遮光層35の反射率(%)の最大値は、50%より大きくてもよく、60%以上でもよく、70%以上でもよく、80%以上でもよく、90%以上でもよい。波長780nm以上1500nm以下の光に対する保護遮光層35の反射率(%)の最大値は、例えば、100%以下でもよく、99%以下でもよい。波長780nm以上1000nm以下の光に対する保護遮光層35の反射率(%)の最大値は、50%より大きくてもよく、60%以上でもよく、70%以上でもよく、80%以上でもよく、90%以上でもよい。波長780nm以上1000nm以下の光に対する保護遮光層35の反射率(%)の最大値は、例えば、100%以下でもよく、99%以下でもよい。
【0075】
特定波長は、接合材18の固化に用いられるレーザー光の波長を含んでもよい。特定波長は、接合材18の固化に用いられるレーザー光の波長でもよい。
【0076】
保護遮光層35は、パターン可視光遮光層40の遮光領域41及び透過領域42の全域と、第3方向D3に重ねられてもよい。言い換えると、第3方向D3からの観察において、すなわち第3方向D3に直交する面への投影において、保護遮光層35は、パターン可視光遮光層40の遮光領域41及び透過領域42の全域と重なるように、広がっていてもよい。保護遮光層35は、パターン可視光遮光層40の一部分のみと、第3方向D3に重ねられてもよい。保護遮光層35は、配線シート30の全域と、第3方向D3に重ねられてもよい。保護遮光層35は、配線シート30の一部分のみと、第3方向D3に重ねられてもよい。
【0077】
保護遮光層35は、パターン可視光遮光層40の遮光領域41の全域と、第3方向D3に重ねられてもよい。言い換えると、第3方向D3からの観察において、すなわち第3方向D3に直交する面への投影において、保護遮光層35は、パターン可視光遮光層40の遮光領域41の全域と重なるように、広がっていてもよい。これらの例によれば、保護遮光層35によってパターン可視光遮光層40の遮光領域41を安定して保護できる。
【0078】
遮光領域41の一部分のみに特定波長の光が高強度で照射される可能性がある場合、保護遮光層35は遮光領域41の全域に重ねられていなくてもよい。保護遮光層35は、遮光領域41の少なくとも一部と第3方向D3に重ねられてもよい。
【0079】
遮光領域41は、透過領域42と第3方向D3に重なっていなくてもよい。すなわち、遮光領域41は、遮光領域41及び透過領域42のうちの遮光領域41のみと第3方向D3に重ねられてもよい。透過領域42を通過すべき可視光の保護遮光層35での反射を抑制できる。
【0080】
保護遮光層35は、アルミニウムや銀等の金属層でもよい。保護遮光層35を構成する金属層は、アルミニウムや銀等の金属の蒸着膜でもよい。保護遮光層35は、無機粒子を含む層でもよい。保護遮光層35は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂に保持された無機粒子と、を含む層でもよい。無機粒子として、アルミニウム、銅、銀等の金属粒子、酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ケイ素等が例示される。バインダー樹脂として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(四フッ化エチレン・エチレン共重合体)等のフッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル系樹脂等が例示される。保護遮光層35は、配線シート30上に金属膜を蒸着することや、配線シート30上にインキを塗布することにより、作製され得る。加飾システム10及び加飾組立体15が静電容量型のタッチパネル機能を有する場合、保護遮光層35は、導電性を有する材料を含まず、所定の透過特性や反射特性を付与されてもよい。
【0081】
保護遮光層35の厚みは、10nm以上でもよく、20nm以上でもよく、50nm以上でもよい。保護遮光層35の厚みは、15μm以下でもよく、10μm以下でもよく、8μm以下でもよい。蒸着によって形成される保護遮光層35の厚みは、10nm以上でもよく、20nm以上でもよく、50nm以上でもよい。蒸着によって形成される保護遮光層35の厚みは、500nm以下でもよく、400nm以下でもよく、300nm以下でもよい。スクリーン印刷によって形成される保護遮光層35の厚みは、1μm以上でもよく、2μm以上でもよく、3μm以上でもよい。保護遮光層35の厚みは、15μm以下でもよく、10μm以下でもよく、8μm以下でもよい。
【0082】
加飾部材20は更に他の層を含んでもよい。図3に示すように、加飾部材20は、加飾層60を更に含んでもよい。図示された例において、加飾部材20は、加飾層60、熱可塑性樹脂層21、パターン可視光遮光層40、保護遮光層35、及び配線シート30を、この順で含む。加飾層60には、意匠が形成されている。
【0083】
加飾層60は、図形、パターン、デザイン、色彩、絵、写真、キャラクター、マーク、ピクトグラム、文字や数字などの絵柄を、意匠として含んでもよい。加飾層60は、背景を表示する意匠表現を行ってもよい。例えば、加飾システム10が設けられる周辺環境と加飾システム10を調和させることができる意匠として、木目調や大理石調の絵柄、金属調の質感、幾何学模様を、加飾層60が表示してもよい。加飾層60は、絵柄を含んでいなくてもよい。加飾層60は、マット調等の質感を表示してもよい。
【0084】
加飾層60は、印刷によって形成されてもよい。加飾層60は、熱可塑性樹脂層21に直接印刷されてもよい。加飾層60は、透明な樹脂製基材に印刷することによって形成されてもよい。この例において、基材及び加飾層60を含む加飾層シート50が、熱可塑性樹脂層21に転写や貼り合わせにより積層されてもよい。加飾層60の厚みは、1μm以上50μm以下でもよい。
【0085】
加飾層60は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂に分散した色材と、を有してもよい。色材は、顔料でもよく、染料でもよく、顔料と染料の組合せでもよい。バインダー樹脂として、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が例示される。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0086】
次に、以上の構成を有する加飾システム10の使用時の作用について説明する。
【0087】
図3に示された加飾部材20は、観察者側からの順で、すなわち第3方向D3における第1側から第2側へ向けて、加飾層60、熱可塑性樹脂層21、パターン可視光遮光層40、保護遮光層35、及び配線シート30を含んでいる。観察者は、加飾層60によって表示される意匠を観察する。加飾層60は、印刷等の豊かな表現力により、優れた意匠を表示できる。図2Aに示された例において、加飾層60は、木目柄を表示している。加飾層60による意匠表現により、加飾システム10の適用対象、例えば自動車の内装や外装、構造物の内装や外装、家電製品や家具等の生活資材の意匠性を向上させる。
【0088】
加飾システム10において、加飾層60は必須ではなく、省いてもよい。加飾システム10は、自動車の内装や外装、構造物の内装や外装等の適用において、移動体や構造物の内部構造を隠蔽し得る。加飾層60が積極的に絵柄を表示しなくとも、加飾システム10、加飾組立体15及び加飾部材20は、適用対象の意匠性を向上できる。また、加飾層60や熱可塑性樹脂層21は、絵柄を表示することなく、マット調やグロス調の質感を表現してもよい。このような加飾層60や熱可塑性樹脂層21を含む加飾システム10によっても、加飾システム10、加飾組立体15及び加飾部材20の適用対象の意匠性を向上できる。
【0089】
発光体16Aの点灯時には、発光体16Aから放出された光が、反射部材11で反射する。反射部材11での反射光は、背面側から、言い換えると第3方向D3における第2側から、加飾組立体15を照明する。加飾組立体15に入射した光は、パターン可視光遮光層40の遮光領域41で遮光される。加飾組立体15に入射した光は、パターン可視光遮光層40の透過領域42を透過する。透過領域42を透過した光は、更に、加飾層60を透過する。これにより、加飾組立体15のうちの透過領域42と第3方向D3に対面する領域が、明るく発光する。図2Bに示された例によれば、十字形状、三角形形状、及び四角形形状が表示される。パターン可視光遮光層40の透過領域42の形状を変更することにより、図形、キャラクター、マーク、ピクトグラム、文字や数字などの絵柄を、表示できる。図2Bに示すように、適時に加飾層60の意匠上に表示を行うことにより、加飾システム10は優れた意匠性を発揮する。
【0090】
なお、図示された例において、保護遮光層35は、パターン可視光遮光層40の遮光領域41と第3方向D3に対面する領域のみに位置している。したがって、赤外線や特定波長の光を遮光する保護遮光層35によって、表示のための光が遮光されることを抑制できる。
【0091】
次に、図6図15を主に参照して、加飾組立体15の製造方法について説明する。以下に説明する加飾組立体15の製造方法は、加飾部材20を作製する工程と、作製された加飾部材20の配線シート30に電子部品16を実装する工程と、を含む。加飾部材20を作製する工程は、配線シート30を含む中間体22Aを収容したキャビティ内に加熱された熱可塑性樹脂を供給する射出成形工程を含む。すなわち、加飾組立体15の製造方法では、射出成形工程により加飾成型品として作製された加飾部材20に、電子部品16を実装する。したがって、電子部品16は射出成形工程における熱や圧力に曝されない。これにより、熱や圧力に対する高い耐性が電子部品16に要求されない。結果として、所望の機能を有する電子部品16を用いて加飾組立体15を安価に安定して製造できる。以下、各工程について説明する。
【0092】
加飾部材20を作製する工程について説明する。まず、図6に示すように、配線シート30を用意する。上述したように、透明な基材に導電性インキを印刷することによって、パッド32及び配線33を含む配線シート30を作製してもよい。図6に示すように、配線シート30は、第3方向D3における第2側を向く面に、パッド32及び配線33を含む。
【0093】
次に、図7に示すように、配線シート30の第3方向D3における第1側を向く面に、保護遮光層35を形成する。上述したように、保護遮光層35を構成する金属膜を、蒸着により、配線シート30上に形成してもよい。保護遮光層35を形成するためのインキを、配線シート30上に印刷することによって、保護遮光層35を形成してもよい。
【0094】
以上により、図7に示すように、配線シート30及び保護遮光層35を含む保護層付き配線シート30Lが得られる。保護層付き配線シート30Lにおいて、保護遮光層35は、上述した透過特性(又は遮光特性)および反射特性を有し、特定波長の光に対する遮光性を呈してもよい。例えば、保護遮光層35の波長780nm以上2000nm以下の赤外線透過率の最小値は40%以下でもよい。保護層付き配線シート30Lにおいて、保護遮光層35の波長780nm以上2000nm以下の赤外線の反射率の最大値は60%以上でもよい。
【0095】
その後、図8に示すように、保護遮光層35の第3方向D3における第1側を向く面に、パターン可視光遮光層40を形成する。上述したように、パターン可視光遮光層40の遮光領域41を形成するためのインキを、保護遮光層35上に印刷することによって、パターン可視光遮光層40の遮光領域41を形成してもよい。あるいは、透過領域42を構成する部分に開口部43が形成された遮光パネルを、保護遮光層35上に貼り付けることによって、パターン可視光遮光層40を保護遮光層35に積層してもよい。以上により、図8に示すように、配線シート30、保護遮光層35、パターン可視光遮光層40をこの順で含む加飾積層体25が得られる。
【0096】
なお、図7に示された工程を経ずに、図8に示された加飾積層体25を作製してもよい。図9に示すように、保護遮光層35と、パターン可視光遮光層40と、を含む保護層付きパターン遮光層40Lを用意してもよい。例えば、パターン可視光遮光層40を構成する開口部43を有するパネル上に、保護遮光層35を形成することによって、保護層付きパターン遮光層40Lが得られる。保護層付きパターン遮光層40Lと配線シート30とを貼り合わせることにより、加飾積層体25を作製してもよい。
【0097】
保護層付きパターン遮光層40Lにおいて、保護遮光層35は、上述した透過特性(又は遮光特性)および反射特性を有し、特定波長の光に対する遮光性を呈してもよい。例えば、特定波長の光についての保護遮光層35の透過率は、特定波長の光についてのパターン可視光遮光層40の遮光領域41での特定波長の透過率よりも小さくてもよい。特定波長の光についての保護遮光層35の反射率は、特定波長の光についてのパターン可視光遮光層40の遮光領域41での特定波長の反射率よりも大きくてもよい。
【0098】
上述したように、保護遮光層35は、パターン可視光遮光層40の遮光領域41の少なくとも一部と第3方向D3に対面する領域に位置してもよい。図示された例のように、保護遮光層35は、遮光領域41の全域に対面するように位置してもよい。上述したように、保護遮光層35は、パターン可視光遮光層40の透過領域42の少なくとも一部と第3方向D3に対面しない領域に位置してもよい。図示された例のように、保護遮光層35は、透過領域42の全域に対面しないように位置してもよい。図示された例において、保護遮光層35は、パターン可視光遮光層40の遮光領域41と対面する領域のみ位置してもよい。
【0099】
このようにして得られた加飾積層体25を中間体22Aとして用いて、射出成形工程としてのインモールド成形を行ってもよい。インモールド成形では、中間体22Aがキャビティ内に配置され、射出成形工程が実施される。これにより、射出成形工程によって形成される射出成形部としての熱可塑性樹脂層21と、加飾積層体25と、を含む加飾成型品としての加飾部材20が得られてもよい。インモールド成形で得られた加飾部材20は、キャビティの形状に合わせて三次元形状が付与されてもよい。
【0100】
以下に説明するように、射出成形工程の前に、加飾積層体25を予備成形してもよい。予備成形された加飾積層体25を用いて、インサート成形してもよい。
【0101】
図10A図10Dには、予備成形の一例が示されている。予備成形では、加飾積層体25を塑性変形させ、加飾積層体25に所望の形状を付与する。加飾積層体25が予備成形後に所望の形状を維持できるよう、加飾積層体25は、熱可塑性樹脂を含むバッカー層を含んでもよい。予備成形後の加飾積層体25は、目的とする加飾部材20の形状に近い形状を有する。図10A図10Dに示された例において、予備成形として真空成形が実施される。この例に限られず、予備成形として、圧空成形、TOM成形、曲げ成形等の種々の成形加工が実施されてもよい。
【0102】
図示された加飾積層体25の真空成形では、図10Aに示すように、加飾積層体25を真空成形装置95のヒーター96により加熱して軟化させる。次に、図10Bに示すように、加飾積層体25を金型97に設けられた多数の微小の孔(図示省略)から真空吸引する。加飾積層体25は金型97に吸着される。加飾積層体25は金型97の形状に沿った形状に成形される。その後、加飾積層体25の温度が低下すると、加飾積層体25は成形後の形状で固化する。次に、図10Cに示すように、加飾積層体25が金型97から取り出される。その後、図10Dに示すように、金型97から取り出された加飾積層体25から不要な部分は除去される。
【0103】
図10Dに示された予備成形工程のトリミングまで、ロール・トゥ・ロールにより複数の加飾積層体25が分離されていない長尺のシート状物として製造されてもよい。ロール・トゥ・ロールでの製造方法によれば、予備成形工程に長尺の加飾積層体25を供給できる。したがって、歩留まりを改善でき、製造コストを低減できる。ただし、以上の説明と異なり、成形工程のトリミングまで、加飾積層体25が枚葉で作製されてもよい。
【0104】
次に、予備成形された加飾積層体25を用いて加飾部材20を製造する。まず、図11Aに示すように、射出成形装置90を準備する。射出成形装置90は、成形型91を有している。成形型91は、第1型91A及び第2型91Bを含んでいる。図11Dに示すように、第1型91A及び第2型91Bが互いに接触した閉型状態において、第1型91A及び第2型91Bの間にキャビティ92が形成される。ゲート93を通じてキャビティ92内に、射出樹脂21Rが供給される。第1型91A及び第2型91Bは、図示しないヒーターによって加熱され、高温に維持される。
【0105】
図11Bに示すように、成形型91内のキャビティ92に中間体22Aとしての加飾積層体25を収容する。図示された例において、配線シート30が第2型91Bに接触し、パターン可視光遮光層40がキャビティ92内に露出するようにして、中間体22Aはキャビティ92内に配置される。次に図11Cに示すように、溶融した射出樹脂21Rが、ゲート93を通過して、キャビティ92内に射出される。射出樹脂21Rは、キャビティ92内で冷却され、加飾積層体25に溶着して固化する。固化した射出樹脂21Rによって、熱可塑性樹脂層21が形成される。熱可塑性樹脂層21は、加飾積層体25に接合している。熱可塑性樹脂層21の材料や厚みは、上述した通りである。
【0106】
その後、図11Dに示すように、第1型91A及び第2型91Bが互いから離れる。加飾積層体25及び熱可塑性樹脂層21を含む加飾成型品としての加飾部材20が、キャビティ92から取り出される。以上により、図12に示された加飾部材20が得られる。製造された加飾部材20は、配線シート30、保護遮光層35、パターン可視光遮光層40、及び熱可塑性樹脂層21を、この順で含む。
【0107】
以上が、加飾部材20を作製する工程の説明である。次に、配線シート30に電子部品16を実装する工程について説明する。配線シート30に電子部品16を電気的に接続させる工程は、配線シート30に未固化接合材18Pを供給する工程と、配線シート30上に電子部品16を配置する工程と、未固化接合材18Pを固化させる工程と、を含む。
【0108】
図13は、配線シート30のパッド32上に未固化接合材18Pを供給する工程を示している。供給装置81は、未固化接合材18Pとして、上述した材料を供給する。供給装置81は、配線シート30のパッド32上に未固化接合材18Pを供給してもよい。図示された例では、ディスペンサとしての供給装置81が、ペースト状の未固化接合材18Pをパッド32上に塗布している。
【0109】
図14は、配線シート30のパッド32上に電子部品16を配置する工程を示している。搬送装置82が、電子部品16を保持して、電子部品16を配線シート30上の所定位置に配置する。電子部品16の図示しない端子がパッド32に対面するようにして、電子部品16は、配線シート30上に配置される。搬送装置82は、パーツフィーダー等から供給される電子部品16を吸着保持し、電子部品16を配線シート30まで搬送してもよい。
【0110】
図15は、未固化接合材18Pを固化させる工程を示している。この工程において、レーザー光照射装置80から放出されたレーザー光L15が、電子部品16を配線シート30に接合するための未固化接合材18Pに照射される。未固化接合材18Pは、照射されることによって固化する。例えば、銀及び銅の少なくとも一方を含んだ半田としての接合材18は、未固化状態であるペースト状から、レーザー光の照射によって焼結し得る。固化した接合材18によって、電子部品16が配線シート30に固定される。電子部品16の端子が配線シート30のパッド32に接触することによって、電子部品16は配線シート30と電気的に接続した状態に維持される。導電性を有する接合材18によれば、電子部品16と配線シート30のパッド32との電気的接続状態をより安定して維持できる。
【0111】
接合材18の固化に用いられるレーザー光の波長は、特に制限されない。レーザー光は、可視光でもよい。レーザー光は紫外線でもよい。レーザー光は赤外線でよい。赤外線のレーザー光の波長は、780nm以上2000nm以下でもよく、780nm以上1500nm以下でもよく、780nm以上1000nm以下でもよい。赤外線のレーザー光によれば、接合材18に効率的に熱を伝達できる。したがって、接合材18の固化に要する加工時間を短縮できる。
【0112】
以上により、電子部品16を含む加飾組立体15が得られる。得られた加飾組立体15に加飾層60を更に積層することにより、図3に示された加飾組立体15が得られる。加飾層60は、予め作製した加飾層シート50を、熱可塑性樹脂層21に貼り合わせることや熱可塑性樹脂層21に転写することによって、熱可塑性樹脂層21に積層できる。図13図15に二点鎖線で示すように、熱可塑性樹脂層21への加飾層60の積層は、電子部品16を配線シート30に実装する工程の前に実施されてもよいし、実装する工程の後に実施されてもよいし、実装する工程と並行して実施されてもよい。
【0113】
以上に説明した製造方法によれば、射出成形工程により加飾成型品として作製された加飾部材20に、電子部品16が実装される。したがって、電子部品16は射出成形工程における熱や圧力に曝されない。これにより、熱や圧力に対する高い耐性が電子部品16に要求されない。結果として、所望の機能を有する電子部品16を用いて加飾組立体15を安価に安定して製造できる。つまり、加飾組立体15に所望の電気回路を組み込むことができ、加飾組立体15とは別途に回路を用意する必要もない。
【0114】
ところで、パターン可視光遮光層等の加飾のための構成要素を含んだ加飾部材に対してレーザー光を用いた加工を実施した場合、加飾部材の構成要素にレーザー痕が生じることがあった。レーザー痕は、レーザー光の照射によって生じる損傷である。レーザー痕は、表面の焦げ、表層の剥がれ、表層の膨れ等の損傷を含む。このようなレーザー痕の発生は、加飾組立体及び加飾部材の意匠性を大きく害する。レーザー痕は、加飾組立体の装飾機能を劣化させる。
【0115】
このような不具合の発生について検討を重ねたところ、次のことが確認された。ペースト状の未固化接合材をレーザー光によって固化させると、固化した接合材は鏡面状の表面を有し易い。特に金属を含む接合材、例えば銀及び銅の少なくとも一方を含んだ半田としての接合材は、レーザー光照射による焼結直後から光沢表面を含む。高強度のレーザー光が、接合材の光沢表面にて高反射率で反射し得る。その一方で、可視光遮光性を有した加飾部材の構成要素、例えばパターン可視光遮光層等は、多くの場合、可視光だけでなく紫外線や赤外線も高効率で吸収し得る。可視光遮光性を有した加飾部材の構成要素が接合材の固化に用いられるレーザー光を吸収することが、レーザー痕の発生原因と推定された。
【0116】
このような推定原因から、レーザー光の照射時間を短くすることを試みた。言い換えると、接合材が固化した直後にレーザー光の照射を停止することを試みた。しかしながら、接合材が固化した後の僅かの時間、例えば0.数秒間の照射によっても、レーザー痕が生じた。接合材を確実に固化して電子部品と配線シートとの安定した電気的接続を確保する観点から、レーザー光の照射時間の調節だけではレーザー痕の発生に対処できない。
【0117】
また、他の対応として、配線シートに含まれるパッドの面積を大きくすることも検討した。しかしながら、電子部品が二個の端子を有する場合、すなわち、一個の電子部品に対して二個のパッドが必要となる場合には、パッドの面積を大きくすることによって、固化した接合材の表面での反射光が第3方向に進むことを或る程度遮光できた。しかしながら、三個以上の端子を有するパッケージとしての電子部品に対しては、多数のパッドを高密度で配置する必要がある。このため、一個あたりのパッドの面積を十分に大きくできない。すなわち、配線シートのパッドの面積による調節も、レーザー痕の対策とならなかった。
【0118】
これに対し、本実施の形態の第1態様では、加飾積層体25及び加飾部材20は、配線シート30と、保護遮光層35と、パターン可視光遮光層40と、をこの順で含む。言い換えると、第3方向D3における配線シート30とパターン可視光遮光層40との間に、保護遮光層35が位置している。保護遮光層35は、レーザー光の反射面となる配線シート30からパターン可視光遮光層40を覆う。保護遮光層35は、レーザー光を放出するレーザー光照射装置80からパターン可視光遮光層40を覆う。そして、特定波長の光についての保護遮光層35の反射率は、特定波長の光についてのパターン可視光遮光層40の遮光領域41での反射率よりも大きい。したがって、未固化接合材18Pの固化に使用されるレーザー光の波長を特定波長とすることにより、保護遮光層35が、レーザー光を高効率で反射できる。これにより、パターン可視光遮光層40へのレーザー光の照射量が大幅に低減され、パターン可視光遮光層40へのレーザー痕の発生を効果的に抑制できる。また、保護遮光層35自体のレーザー光の吸収量も十分に低減できる。したがって、保護遮光層35自体がレーザー光の照射によって加熱されることを抑制でき、これにより、保護遮光層35の加熱によってパターン可視光遮光層40が加熱されることも抑制できる。以上により、パターン可視光遮光層40へのレーザー痕の発生を効果的に抑制できる。
【0119】
特定波長の光についての保護遮光層35の反射率の最大値を上述した範囲に設定してもよい。この例によれば、接合材18の固化に使用されるレーザー光の波長を、保護遮光層35の反射率の最大値が得られる波長とすることにより、パターン可視光遮光層40の遮光領域41へのレーザー光の照射量を十分に低減できる。また、レーザー光照射による保護遮光層35の加熱を十分に抑制できる。これらにより、パターン可視光遮光層40へのレーザー痕の発生を効果的に抑制できる。
【0120】
また、特定波長の光についての保護遮光層35の透過率は、特定波長の光についてのパターン可視光遮光層40の遮光領域41での透過率よりも小さくてもよい。したがって、未固化接合材18Pの固化に使用されるレーザー光の波長を特定波長とすることにより、保護遮光層35が、高効率で遮光する。これにより、パターン可視光遮光層40へのレーザー光の照射量が大幅に低減され、パターン可視光遮光層40へのレーザー痕の発生を効果的に抑制できる。
【0121】
特定波長の光についての保護遮光層35の透過率の最小値を上述した範囲に設定してもよい。この例によれば、接合材の固化に使用されるレーザー光の波長を、保護遮光層35の透過率の最小値が得られる波長とすることにより、パターン可視光遮光層40の遮光領域41へのレーザー光の照射量を十分に低減できる。これにより、パターン可視光遮光層40へのレーザー痕の発生を効果的に抑制できる。
【0122】
以上に説明してきた本実施の形態の第1態様において、加飾積層体25は、配線シート30と、保護遮光層35と、パターン可視光遮光層40と、をこの順で含む。加飾部材20は、配線シート30と、保護遮光層35と、パターン可視光遮光層40と、熱可塑性樹脂層21と、を含み、配線シート30、保護遮光層35、及びパターン可視光遮光層40は、この順で重ねられている。配線シート30は、パッド32及び配線33を含む。パターン可視光遮光層40は、可視光遮光性を有する遮光領域41と、可視光透過性を有する透過領域42と、を含む。特定波長の光についての保護遮光層35の反射率は、特定波長の光についてのパターン可視光遮光層40の遮光領域41での反射率よりも大きくてもよい。特定波長の光についての保護遮光層35の透過率は、特定波長の光についてのパターン可視光遮光層40の遮光領域41での透過率よりも小さくてもよい。このような本実施の形態の第1態様によれば、加飾部材20及び加飾積層体25を用いた加飾組立体15へのレーザー痕の発生を抑制できる。
【0123】
以上に説明してきた本実施の形態の第2態様において、加飾組立体15の製造方法は、加飾部材20を作製する工程と、加飾部材20に電子部品を実装する工程と、を含む。加飾部材20を作製する工程は、配線シート30を含む中間体22Aを収容したキャビティ92内に加熱された熱可塑性樹脂21Rを供給して熱可塑性樹脂層21を作製する射出成形工程を含む。電子部品16を配線シート30に実装する工程は、電子部品16と配線シート30とを接合する接合材18にレーザー光を照射し接合材18を固化させる工程を含む。この製造方法によれば、電子部品16を高い自由度で選択できる。加飾部材20及び加飾積層体25を用いた加飾組立体15へのレーザー痕の発生を抑制できる。
【0124】
具体例を参照しながら第1態様を説明してきたが、上述の具体例が第1態様を限定しない。上述した一実施の形態の第1態様は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
【0125】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用い、重複する説明を省略する。
【0126】
上述した第1態様の具体例において、加飾部材20は、配線シート30、保護遮光層35、パターン可視光遮光層40、熱可塑性樹脂層21、及び加飾層60をこの順で含んでいた。しかしながら、加飾部材20を構成する構成要素の積層順は、変更可能である。また、上述した第1態様の具体例において、加飾積層体25が、配線シート30、保護遮光層35及びパターン可視光遮光層40を含んでいた。加飾積層体25は、中間体22Aとして、射出成形工程において、成形型91のキャビティ92内に配置された。第1態様は、この例に限られない。
【0127】
図16に示された例のように、加飾部材20は、配線シート30、保護遮光層35、熱可塑性樹脂層21、パターン可視光遮光層40、及び加飾層60をこの順で含んでもよい。図16に示された例では、配線シート30及び保護遮光層35を含む保護層付き配線シート30Lが、中間体22Aとして、射出成形工程において、成形型91のキャビティ92内に配置されてもよい。これにより、配線シート30及び保護遮光層35を含む保護層付き配線シート30Lに対して、射出成形物としての熱可塑性樹脂層21が接合する。この例において、図17に示すように、電子部品16の実装工程の前に、パターン可視光遮光層40を熱可塑性樹脂層21に積層しても、上述したように、保護遮光層35によって、パターン可視光遮光層40へのレーザー痕の発生を抑制できる。
【0128】
図17に示すように、第3方向D3において、保護遮光層35は、配線シート30とパターン可視光遮光層40との間に位置している。したがって、特定波長のレーザー光がパターン可視光遮光層40に意図せず照射されることを抑制できる。すなわち、図16に示された例においても、加飾組立体15へのレーザー痕の発生を抑制できる。
【0129】
図18に示された例のように、加飾部材20は、配線シート30、熱可塑性樹脂層21、保護遮光層35、パターン可視光遮光層40、及び加飾層60をこの順で含んでもよい。図18に示された例では、配線シート30が単体で、中間体22Aとして、射出成形工程において、成形型91のキャビティ92内に配置されてもよい。これにより、図19に示すように、配線シート30に対して、射出成形物としての熱可塑性樹脂層21が接合する。この例において、図20に示すように、電子部品16の実装工程の前に、保護遮光層35及びパターン可視光遮光層40を含む保護層付きパターン遮光層40Lが、熱可塑性樹脂層21に第3方向D3における第1側から積層されてもよい。図21に示すように、電子部品16の実装工程の前に、保護遮光層35、パターン可視光遮光層40、及び加飾層60を含む保護層付きパターン遮光層40Lが、熱可塑性樹脂層21に第3方向D3における第1側から積層されてもよい。
【0130】
図22に示すように、第3方向D3において、保護遮光層35は、配線シート30とパターン可視光遮光層40との間に位置している。したがって、特定波長のレーザー光がパターン可視光遮光層40に意図せず照射されることを抑制できる。すなわち、図18図21に示された例においても、加飾組立体15へのレーザー痕の発生を抑制できる。
【0131】
上述した第1態様の具体例において、加飾層60は、加飾成型品としての加飾部材20に積層された。この例に限れられない。ゲート93の位置を調整する等して、加飾層60も成形型91のキャビティ92内に配置されてもよい。所謂、ダブルインサート成形や、ダブルインモールド成形による、射出成形工程が実施されてもよい。この例によれば、射出成形工程において、熱可塑性樹脂層21は、第3方向D3における第2側において、配線シート30を含む中間体22Aと接合する。熱可塑性樹脂層21は、第3方向D3における第1側において、加飾層60や、保護層付きパターン遮光層40Lと接合してもよい。
【0132】
また、加飾層60の構成は特に限定されない。図23及び図24に示すように、光の透過を可能とする穴63が加飾層60に設けられてもよい。加飾層60は、意匠を形成する加飾部61Aと、加飾部61Aの非形成部としての透過部61Bと、を含んでいる。加飾部61Aは、加飾層60のうちの穴63が設けられていない領域によって構成される。透過部61Bは、加飾層60のうちの穴63が設けられている領域によって構成される。図23及び図24に示された例において、加飾部61Aは、加飾層60が形成されている部分である。透過部61Bは、加飾層60のうち光が透過する部分となる。
【0133】
図24に示すように、平面視における加飾層60は、加飾部61A及び透過部61Bのいずれかに区分けされてもよい。穴63の平面視形状は、特に限定されない。穴63の平面視形状として、円形状、楕円形状、三角形形状や四角形形状等の多角形形状、多角形形状の角を面取りした形状等が、例示される。
【0134】
平面視における加飾層60の面積に対する穴63が占める面積の割合を、加飾層60又は加飾層60についての開口率と定義する。各穴63の面積は、第3方向D3への投影において加飾層60を貫通している部分の面積とする。すなわち、第3方向D3の全厚みに亘って加飾層60を貫通している領域であって、第3方向D3に進む光が加飾部61Aに入射することなく加飾層60を通過し得る領域の面積を、各穴63の面積とする。開口率の特定は、株式会社キーエンス社製のデジタルマイクロスコープVHX-6000を用いて行う。具体的には、裏面側から光を照射した状態で、透過モードで、画像を撮影し、光が抜けてくる部分を穴として、特定する。穴が或る一定周期をもって配列された円もしくは円に近い形状の場合は、円の直径の平均値および、穴の周期を用いて、開口率を求めることができる。
【0135】
開口率の下限値は、発光体16Aの点灯時に表示パターンを十分明瞭に観察し得るよう決定されてもよい。開口率は、5%以上でもよく、10%以上でもよく、15%以上でもよい。開口率の上限値は、発光体16Aの消灯時に十分明瞭に加飾層60の意匠を観察し得るよう決定されてもよい。開口率は、50%以下でもよく、45%以下でもよく、40%以下でよい。
【0136】
図23に示された加飾層60は、意匠を表示する意匠層65と、意匠層65と第3方向D3に重ねられた可視光遮光層68と、を含む。意匠層65及び可視光遮光層68は、第3方向D3に重ねられている。可視光遮光層68は、第3方向D3において意匠層65と配線シート30との間に位置する。加飾層60によって表現される意匠は意匠層65に形成されている。意匠層65は、上述した加飾層の意匠を形成されてもよい。意匠層65は、バインダー樹脂部と、バインダー樹脂部に保持された色材と、を含んでもよい。色材として、染料や顔料を用いてもよい。意匠層65は、印刷によって形成されてもよい。意匠層65の厚みは、0.5μm以上50μm以下でもよい。
【0137】
可視光遮光層68は、意匠層65の背後に配置されている。可視光遮光層68は、反射部材11からの反射光の入光側となる第3方向D3における第2側から、意匠層65を覆っている。可視光遮光層68は、可視光遮光性を有する。可視光遮光層68は、反射部材11からの反射光を遮光して、反射光の意匠層65への入射を抑制する。これにより、発光体16Aが点灯して表示をおこなっている際に、意匠層65の意匠が表示領域に重ねて明るく観察されることを抑制できる。可視光遮光層68は、黒色顔料を含有した樹脂層でもよい。黒色顔料として、カーボンブラックやチタンブラックが例示される。加飾システム10及び加飾組立体15が静電容量型のタッチパネル機能を有する場合、可視光遮光層68は、導電性を有するカーボンブラックを含まず、導電性を有さない複数の顔料の組合せにより可視光遮光性を付与されてもよい。可視光遮光層68は、印刷によって形成されてもよい。意匠層65の厚みは、0.5μm以上50μm以下でもよい。
【0138】
図23に示された例において、加飾層シート50が熱可塑性樹脂層21に積層されている。加飾層シート50は、第3方向D3における熱可塑性樹脂層21側からの順で、基材55、可視光遮光層68及び意匠層65を含む。図25及び図26は、加飾層シート50の製造方法の一例を示している。まず、図25に示すように、基材55上に、可視光遮光層68及び意匠層65を順に作製する。可視光遮光層68及び意匠層65は、印刷によって基材55上に形成されてもよいし、基材55に積層されてもよい。図25に示された可視光遮光層68及び意匠層65は、穴63を有していない。図26に示すように、穴63は、レーザー光L26の照射によって、形成できる。図26に示された例において、加工装置85がレーザー光L26を放出する。レーザー光L26は、基材55を透過して、可視光遮光層68に照射される。可視光遮光層68は、高い吸収率で、レーザー光L26を吸収し、隣接する意匠層65とともに溶融して飛散する。これにより、可視光遮光層68及び意匠層65のレーザー光L26を照射された部分に、穴63が形成される。
【0139】
穴63が形成された加飾層60を用いる場合においても、加飾部材20における熱可塑性樹脂層21の位置を変更可能である。図23に示すように、熱可塑性樹脂層21は、加飾層シート50と、パターン可視光遮光層40又は加飾積層体25と、の間に位置してもよい。図27に示すように、熱可塑性樹脂層21は、保護遮光層35とパターン可視光遮光層40との間に位置してもよい。図28に示すように、熱可塑性樹脂層21は、配線シート30と保護遮光層35との間に位置してもよい。
【0140】
上述した第1態様の具体例と異なり、図29に示すように、加飾積層体25が加飾層60を含んでもよい。図29に示された例のように、加飾積層体25が、配線シート30、保護遮光層35、パターン可視光遮光層40、及び加飾層60を、この順で含んでもよい。この加飾積層体25は、加飾部材20を作製するための中間体22Aでもよい。図29に示すように、加飾部材20が、配線シート30、保護遮光層35、パターン可視光遮光層40、加飾層60、及び熱可塑性樹脂層21をこの順で含んでもよい。図29に示された例において、加飾層60は、図23及び図24に示された穴63を含む加飾層60でもよい。上述した第1態様の具体例と異なり、加飾部材20及び加飾組立体15から加飾層60を省いてもよい。
【0141】
上述した第1態様の具体例において、保護遮光層35が、パターン可視光遮光層40の遮光領域41と同一のパターンで設けられ、遮光領域41と第3方向D3に対面していた。保護遮光層35の配置パターンがこの限りでないことは既に説明した通りである。保護遮光層35は、パターン可視光遮光層40の遮光領域41及び透過領域42の両方と対面する全領域に設けられてもよい。この例において、特定波長は不可視光の波長とし、可視光についての保護遮光層35の透過率は50%以上でもよい。すなわち、保護遮光層35は、可視光透過性を有してもよい。これにより、加飾システム10は、反射部材11からの反射光によって、透過領域42と同一形状のパターンを明るく表示できる。
【0142】
次に、図30図35を主に参照して、一実施の形態における第2態様について説明する。本実施の形態における第2態様は、特定波長を遮光する保護遮光層35を用いることに代えて、パターン可視光遮光層45の遮光領域41が特定波長の光を透過可能となっていることを特徴とする。第2態様に関する以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1態様と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用い、重複する説明を省略する。
【0143】
第2態様における加飾システム10、加飾組立体15及び加飾部材20は、第1態様と同様の適用対象に、適用され得る。図1及び図2に示された加飾システム10、加飾組立体15及び加飾部材20は、第1態様だけでなく、第2態様にも該当する。
【0144】
図30は、図3に対応する図であって、第2態様による加飾システム10、加飾組立体15、加飾部材20、及び加飾積層体25の一例を示す図である。図30に示すように、加飾システム10は、加飾部材20及び反射部材11を含んでもよい。図30に示すように、加飾部材20は、反射部材11からの順で、配線シート30、パターン可視光遮光層45、熱可塑性樹脂層21、及び加飾層60を含んでもよい。パターン可視光遮光層45以外の構成要素は、第1態様の対応する構成と同一に構成され得る。
【0145】
パターン可視光遮光層45は、遮光領域46及び透過領域42を含んでもよい。パターン可視光遮光層45は、遮光領域46で可視光を遮光し、透過領域42で可視光を透過させる。パターン可視光遮光層45によれば、透過領域42の形状と同一形状のパターンを表示できる。透過領域42は、加飾システム10及び加飾組立体15によって表示したいパターンと同一の形状としてもよい。発光体16Aからの光が、反射部材11で反射されて、パターン可視光遮光層45の透過領域42を透過する。加飾システム10は、透過領域42の形状と同一形状のパターンを表示できる。図5は、パターン可視光遮光層45の一具体例を示す平面図でもある。
【0146】
遮光領域46は可視光遮光性を有している。遮光領域46における波長780nm以上2000nm以下の赤外線透過率の最大値は、80%以上でもよく、85%以上でもよく、90%以上でもよく、95%以上でもよい。遮光領域46における波長780nm以上2000nm以下の赤外線透過率の最大値は、例えば、100%以下でもよく、99%以下でもよい。遮光領域46は可視光遮光性を有している。遮光領域46における波長780nm以上1500nm以下の赤外線透過率の最大値は、80%以上でもよく、85%以上でもよく、90%以上でもよく、95%以上でもよい。遮光領域46における波長780nm以上1500nm以下の赤外線透過率の最大値は、例えば、100%以下でもよく、99%以下でもよい。遮光領域46は可視光遮光性を有している。遮光領域46における波長780以上1000nm以下の赤外線透過率の最大値は、80%以上でもよく、85%以上でもよく、90%以上でもよく、95%以上でもよい。遮光領域46における波長780nm以上1000nm以下の赤外線透過率の最大値は、例えば、100%以下でもよく、99%以下でもよい。
【0147】
遮光領域46は、可視光遮光性および赤外線透過性を有する色材を含有した樹脂層でもよい。色材は、顔料でもよく、染料でもよい。このような顔料の一例が、WO2012/091083やWO2012/169506に開示されている。加飾システム10及び加飾組立体15が静電容量型のタッチパネル機能を有する場合、パターン可視光遮光層45は、導電性を有する色材を含まず、導電性を有さない複数の色材の組合せにより赤外線透過性及び可視光遮光性を付与されてもよい。
【0148】
透過領域42は、可視光透過性を有している。透過領域42における波長780以上2000nm以下の赤外線透過率の最大値は、85%以上でもよく、90%以上でもよく、95%以上でもよく、99%以上でもよい。透過領域42における波長1000以上3000nm以下の赤外線透過率の最大値は、100%以下でもよく、99%以下でもよい。透過領域42は、可視光遮光性のパネルに形成された開口部43でもよい。開口部43には、透明な樹脂が充填されてもよい。
【0149】
パターン可視光遮光層45は、赤外線透過性及び可視光遮光性を有するパネルから、透過領域42に相当する部分に開口部43を形成することにより、作製されてもよい。このようにして作製されるパターン可視光遮光層45を、当該パターン可視光遮光層45に隣接する部分(図示された例では、配線シート30)に貼り合わせてもよい。他の製法として、パターン可視光遮光層45は、当該パターン可視光遮光層45に隣接する部分(図示された例では、配線シート30)に、赤外線透過性及び可視光遮光性を有するインキを塗布することにより、作製されてもよい。
【0150】
パターン可視光遮光層45の厚みは、1μm以上でもよく、5μm以上でもよく、10μm以上でもよい。パターン可視光遮光層45の厚みは、100μm以下でもよく、50μm以下でもよく、30μm以下でもよい。
【0151】
第2態様の加飾システム10によっても、第1態様の加飾システムで説明した作用効果を奏することができる。加飾層60に形成された意匠を表示できる。加飾層60による意匠表現により、加飾システム10の適用対象、例えば自動車の内装や外装、構造物の内装や外装、家電製品や家具等の生活資材の意匠性を向上させる。発光体16Aの点灯時、加飾システム10は、透過領域42の形状と同一形状のパターンを表示できる。適時に加飾層60の意匠上に表示を行うことにより、加飾システム10は優れた意匠性を発揮する。
【0152】
第2態様による加飾組立体15は、上述した第1態様による加飾組立体15と同様の製造方法にて製造できる。第2態様による加飾組立体15の製造方法は、加飾部材20を作製する工程と、作製された加飾部材20に電子部品16を実装する工程と、を含む。加飾部材20を作製する工程は、配線シート30を含む中間体22Aを収容したキャビティ内に加熱された熱可塑性樹脂を供給する射出成形工程を含む。すなわち、加飾組立体15の製造方法では、射出成形工程により加飾成型品として作製された加飾部材20に、電子部品16を実装する。したがって、電子部品16は射出成形工程における熱や圧力に曝されない。これにより、熱や圧力に対する高い耐性が電子部品16に要求されない。結果として、所定の機能を有する電子部品16を用いて加飾組立体15を安価に安定して製造できる。
【0153】
図30に示された加飾部材20は、図31に示すように、加飾積層体25を射出成形工程に用いることによって、作製され得る。加飾積層体25は、配線シート30及びパターン可視光遮光層45を含んでもよい。加飾積層体25は、配線シート30上にパターン可視光遮光層45を形成することによって、または、配線シート30上にパターン可視光遮光層45を積層することによって、作製され得る。加飾積層体25は、射出成形工程の前に予備成形されてもよい。予備成形工程は、上述した第1態様の予備成形工程と同様にできる。射出成形工程は、上述した第1態様の射出成形工程と同様にできる。
【0154】
射出成形工程によって得られた加飾成型品としての加飾部材20に、電子部品16の実装工程が実施される。電子部品16の配線シート30への実装工程は、上述の第1態様で説明した実装工程と同様にできる。配線シート30に電子部品16を電気的に接続させる工程は、配線シート30に未固化接合材18Pを供給する工程と、配線シート30上に電子部品16を配置する工程と、未固化接合材18Pを固化させる工程(図32参照)と、を含んでもよい。
【0155】
第1態様で説明したように、配線シートに未固化接合材を供給する工程において、加飾部材にレーザー痕が発生し得る。第2態様において、パターン可視光遮光層45の遮光領域46は、可視光遮光性とともに赤外線透過性を有している。具体的には、遮光領域46における波長780nm以上2000nm以下の赤外線透過率の最大値は80%以上としてもよい。このとき、接合材18の固化に使用されるレーザー光の波長を、780nm以上2000nm以下とすればよい。接合材18の固化に使用されるレーザー光の波長は、遮光領域46での赤外線透過率の最大値が得られる波長でもよい。この例によれば、従来技術においてレーザー光を吸収し易かった遮光領域46、すなわち従来技術においてレーザー痕が生じ易かった遮光領域46を、接合材18の固化に使用されるレーザー光は高い透過率にて透過できる。したがって、遮光領域46でのレーザー光の吸収量が低減され、パターン可視光遮光層45へのレーザー痕の発生を効果的に抑制できる。
【0156】
図32に二点鎖線で示すように、熱可塑性樹脂層21への加飾層60の積層は、電子部品16を配線シート30に実装する工程の前に実施されてもよいし、後に実施されてもよいし、並行して実施されてもよい。
【0157】
以上に説明してきた本実施の形態の第2態様において、加飾積層体25は、配線シート30と、パターン可視光遮光層45と、を含む。加飾部材20は、配線シート30と、パターン可視光遮光層45と、熱可塑性樹脂層21と、を含み、パターン可視光遮光層45及び熱可塑性樹脂層21の一方は、配線シート30と、パターン可視光遮光層45及び熱可塑性樹脂層21の他方と、の間に位置する。配線シート30は、パッド32及び配線33を含む。パターン可視光遮光層45は、可視光遮光性を有する遮光領域46と、可視光透過性を有する透過領域42と、を含む。パターン可視光遮光層45の遮光領域46における波長780nm以上2000nm以下の赤外線透過率の最大値は(80%以上である。このような本実施の形態の第2態様によれば、加飾部材20及び加飾積層体25を用いた加飾組立体15へのレーザー痕の発生を抑制できる。
【0158】
以上に説明してきた本実施の形態の第2態様において、加飾組立体15の製造方法は、加飾部材20を作製する工程と、加飾部材20に電子部品を実装する工程と、を含む。加飾部材20を作製する工程は、配線シート30を含む中間体22Aを収容したキャビティ92内に加熱された熱可塑性樹脂21Rを供給して熱可塑性樹脂層21を作製する射出成形工程を含む。電子部品16を配線シート30に実装する工程は、電子部品16と配線シート30とを接合する接合材18にレーザー光を照射し接合材18を固化させる工程を含む。この製造方法によれば、電子部品16を高い自由度で選択できる。加飾部材20及び加飾積層体25を用いた加飾組立体15へのレーザー痕の発生を抑制できる。
【0159】
具体例を参照しながら第2態様を説明してきたが、上述の具体例が第2態様を限定しない。上述した第2態様は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
【0160】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用い、重複する説明を省略する。
【0161】
上述した第2態様の具体例において、加飾部材20は、配線シート30、パターン可視光遮光層45、熱可塑性樹脂層21、及び加飾層60をこの順で含んでいた。しかしながら、加飾部材20を構成する構成要素の積層順は、変更可能である。また、上述した第2態様の具体例において、配線シート30及びパターン可視光遮光層45を含む加飾積層体25が、中間体22Aとして、射出成形工程において、成形型91のキャビティ92内に配置された。第2態様は、この例に限られない。
【0162】
図33に示された例のように、加飾部材20は、配線シート30、熱可塑性樹脂層21、パターン可視光遮光層45、及び加飾層60をこの順で含んでもよい。図33に示された例では、配線シート30が単体で、中間体22Aとして、射出成形工程において、成形型91のキャビティ92内に配置されてもよい。これにより、図33に示すように、配線シート30に対して、射出成形物としての熱可塑性樹脂層21が接合する。この例において、図34に示すように、電子部品16の実装工程の前に、パターン可視光遮光層45及び加飾層60を含む中間体22Bが作製され、中間体22Bが熱可塑性樹脂層21に第3方向D3における第1側から積層されてもよい。或いは、パターン可視光遮光層45及び加飾層60は、順次、熱可塑性樹脂層21に積層されてもよい。いずれの場合においても、パターン可視光遮光層45の遮光領域46がレーザー光を高効率で透過させることにより、遮光領域46へのレーザー痕の発生を抑制できる。すなわち、図33図34に示された例においても、加飾組立体15へのレーザー痕の発生を抑制できる。
【0163】
上述した第2態様の具体例と異なり、図35に示すように、加飾積層体25が加飾層60を含んでもよい。図35に示された例のように、加飾積層体25が、配線シート30、パターン可視光遮光層45、及び加飾層60を、この順で含んでもよい。この加飾積層体25は、加飾部材20を作製するための中間体22Aでもよい。図35に示すように、加飾部材20が、配線シート30、パターン可視光遮光層45、加飾層60、及び熱可塑性樹脂層21をこの順で含んでもよい。図35に示された例において、加飾層60は、図23及び図24に示された穴63を含む加飾層60でもよい。上述した第2態様の具体例と異なり、加飾部材20及び加飾組立体15から加飾層60を省いてもよい。
【符号の説明】
【0164】
D1:第1方向、D2:第2方向、D3:第3方向、10:加飾システム、11:反射部材、15:加飾組立体、16:電子部品、16A:発光体、16B:パッケージ、18:接合材、18P:未固化接合材、20:加飾部材、21:熱可塑性樹脂層、21R:射出樹脂、22A:中間体、22B:中間体、25:加飾積層体、30:配線シート、30L:保護層付き配線シート、31:基材、32:パッド、33:配線、35:保護遮光層、40:パターン可視光遮光層、40L:保護層付きパターン遮光層、41:遮光領域、42:透過領域、43:開口部、45:パターン可視光遮光層、46:遮光領域、50:加飾層シート、55:基材、60:加飾層、61A:加飾部、61B:透過部、63:穴、65:意匠層、68:可視光遮光層、80:レーザー光照射装置、81:供給装置、82:搬送装置、85:加工装置、90:射出成形装置、91:成形型、91A:第1型、91B:第2型、92:キャビティ、93:ゲート、95:真空成形装置、96:ヒーター、97:金型
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35