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特開2024-123592電動弁制御装置および電動弁装置、ならびに、電動弁の制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123592
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】電動弁制御装置および電動弁装置、ならびに、電動弁の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20240905BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20240905BHJP
   H02P 8/08 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F16K31/04 A
F16K37/00 D
H02P8/08
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031150
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 健登
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 貴之
【テーマコード(参考)】
3H062
3H065
5H580
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062BB04
3H062BB06
3H062CC02
3H062FF07
3H062FF10
3H062FF11
3H062HH04
3H062HH08
3H062HH09
3H065AA01
3H065BB11
3H065CA01
3H065CA03
5H580AA10
5H580BB02
5H580BB10
5H580CA02
5H580CA12
5H580CA16
5H580CB04
5H580EE03
5H580FA14
5H580FA22
5H580FA23
5H580FB03
5H580FC06
5H580GG04
5H580HH22
(57)【要約】
【課題】電動弁の初期化動作にかかる時間を短くして騒音を抑制することができる電動弁制御装置および電動弁制御装置を有する電動弁装置、ならびに、電動弁の制御方法を提供する。
【解決手段】電動弁5は、ローター41およびステーター60を有するステッピングモーター66を有している。ステーター60は、スイッチ素子を有する電流回路に接続されている。電動弁制御装置70は、ローター41を第一方向に回転させる駆動電流がステーター60に供給されているときのスイッチ素子のオフ時間を取得する。そして、電動弁制御装置70は、オフ時間に基づいて、電動弁5がローター41の第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁口を有する弁本体と、ローターおよびステーターを有するステッピングモーターと、前記弁口と向かい合い、前記ローターが第一方向に回転すると前記弁口に向けて移動する弁体と、前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構と、を有する電動弁を制御する電動弁制御装置であって、
前記ステーターが、駆動電流を供給する電流回路に接続され、
前記電流回路が、スイッチ素子を有しており、前記駆動電流が目標値より固定値だけ小さい下限値より小さいと前記スイッチ素子がオンされ、前記駆動電流が前記目標値になると前記スイッチ素子がオフされる方式で動作し、
前記電動弁制御装置が、
前記ローターを前記第一方向に回転させる前記駆動電流が前記ステーターに供給されているときの前記スイッチ素子のオフ時間を取得するオフ時間取得部と、
前記オフ時間に基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する状態判定部と、を有することを特徴とする電動弁制御装置。
【請求項2】
前記状態判定部が、前記オフ時間取得部が取得した前記オフ時間の逆数の波形と前記オフ時間の逆数の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記第一回転規制状態であるか否かを判定する、請求項1に記載の電動弁制御装置。
【請求項3】
前記基準波形が、前記ローターを前記第一方向に回転させる前記駆動電流が前記ステーターに供給されたときに取得された前記オフ時間の逆数の波形に基づいて設定され、
前記状態判定部が、前記オフ時間取得部が取得した前記オフ時間の逆数の波形と前記基準波形との相違の度合いを示す相違度指標値を算出し、前記相違度指標値と相違度判定値との比較結果に基づいて、前記電動弁が前記第一回転規制状態であるか否かを判定する、請求項2に記載の電動弁制御装置。
【請求項4】
前記基準波形が、時刻と当該時刻における前記オフ時間の逆数の基準値とが関連付けられたデータテーブルであり、
前記状態判定部が、前記時刻に対応する取得時刻における前記オフ時間取得部が取得した前記オフ時間の逆数と前記時刻と関連付けられた前記基準値との差分値を2乗した値である中間値を算出し、
前記状態判定部が、複数の前記中間値を足し合わせて前記相違度指標値を算出する、請求項3に記載の電動弁制御装置。
【請求項5】
前記電動弁制御装置が、
前記ステッピングモーターにパルスを入力して前記ローターを回転させる回転制御部と、
前記基準波形を設定する基準波形設定部と、をさらに有し、
前記電流回路が、前記ステッピングモーターへのパルスの入力に対応して前記ステーターにパルスに応じた前記駆動電流を供給し、
前記回転制御部が、前記ステッピングモーターに準備数のパルスを入力して前記ローターを第二方向に回転させる準備動作を行い、前記準備動作に続いて、前記ステッピングモーターに前記準備数以下の暖機数のパルスを入力して前記ローターを前記第一方向に回転させる暖機動作を行い、
前記基準波形設定部が、前記暖機動作中に前記オフ時間取得部が取得した前記オフ時間の逆数の波形を前記基準波形として設定する、請求項2に記載の電動弁制御装置。
【請求項6】
前記電動弁と、請求項1に記載の電動弁制御装置と、を有する電動弁装置。
【請求項7】
弁口を有する弁本体と、ローターおよびステーターを有するステッピングモーターと、前記弁口と向かい合い、前記ローターが第一方向に回転すると前記弁口に向けて移動する弁体と、前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構と、を有する電動弁の制御方法であって、
前記ステーターが、駆動電流を供給する電流回路に接続され、
前記電流回路が、スイッチ素子を有しており、前記駆動電流が目標値より固定値だけ小さい下限値より小さいと前記スイッチ素子がオンされ、前記駆動電流が前記目標値になると前記スイッチ素子がオフされる方式で動作し、
前記制御方法が、
前記ローターを前記第一方向に回転させる前記駆動電流が前記ステーターに供給されているときの前記スイッチ素子のオフ時間を取得するオフ時間取得工程と、
前記オフ時間に基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する状態判定工程と、を含むことを特徴とする電動弁の制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁制御装置および電動弁制御装置を有する電動弁装置、ならびに、電動弁の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、従来の電動弁の一例を開示している。このような電動弁は、エアコンの冷凍サイクルに組み込まれる。電動弁は、弁本体と、弁体と、弁体を移動させるためのステッピングモーターと、を有している。ステッピングモーターは、ローターとステーターとを有している。ステッピングモーターにパルスが入力されるとローターが回転する。ローターの回転に応じて弁体が移動する。ローターが基準位置にあるとき、ローターとともに回転する可動ストッパが弁本体に固定された固定ストッパに当接して、ローターの第一方向への回転が規制される。
【0003】
電動弁は、電動弁制御装置によって制御される。電動弁制御装置は、初期化動作において、ステッピングモーターにパルスを入力してローターを第一方向に回転させ、ローターを基準位置に位置付ける。ステッピングモーターに入力するパルスの数は、可動ストッパが固定ストッパに当接するために十分な数(以下、「初期化数」という。)である。ローターが第一方向に回転して可動ストッパが固定ストッパに当接すると、ローターが基準位置に位置付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/130928号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動弁制御装置は、ステッピングモーターに入力したパルス数が初期化数に達するまで、ステッピングモーターにパルスを入力する。そのため、電動弁制御装置は、ローターが基準位置に位置付けられた後もパルスを入力することがあり、初期化動作に長い時間がかかる。また、ローターが基準位置に位置付けられた後にステッピングモーターにパルスが入力されると、可動ストッパが固定ストッパに繰り返し衝突して騒音が発生する。特に、初期化動作直前のローターの位置が基準位置に近い場合、騒音が長い時間発生する。
【0006】
そこで、本発明は、電動弁の初期化動作にかかる時間を短くして騒音を抑制することができる電動弁制御装置および電動弁制御装置を有する電動弁装置、ならびに、電動弁の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ステッピングモーターにパルスを入力するとローターが回転する。具体的には、ステッピングモーターのステーターのコイルにパルスに応じた駆動電流を供給するとローターが回転する。ローターが回転するとコイルを通過する磁束が変化し、コイルに電圧が生じる。この電圧を逆起電力(BEMF:Back Electoromotive Force)という。
【0008】
ステーターは、駆動電流を供給する電流回路に接続される。電流回路は、スイッチ素子を有している。電流回路は、駆動電流の目標値と、目標値より固定値だけ小さい駆動電流の下限値と、を有している。電流回路は、駆動電流が下限値より小さいとスイッチ素子がオン(導通状態)され、駆動電流が目標値になるとスイッチ素子がオフ(非導通状態)される方式(以下、「固定リップル電流制御方式」という。)で動作する。スイッチ素子のオフ時間をToffといい、以下の式(1)で示される。
【0009】
【数1】
【0010】
Iはコイルを流れる電流であり、Rはコイルの抵抗であり、Lはコイルのインダクタンスであり、ΔIは前記固定値である。Toffは、BEMFと関係を有する。
【0011】
本発明者らは、電動弁において、ローターの第一方向への回転が規制される前と後とではローターの回転状態が異なり、BEMFおよびToffも異なることを見出し、本発明に至った。
【0012】
上記目的を達成するために本発明の一態様にかかる電動弁制御装置は、
弁口を有する弁本体と、ローターおよびステーターを有するステッピングモーターと、前記弁口と向かい合い、前記ローターが第一方向に回転すると前記弁口に向けて移動する弁体と、前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構と、を有する電動弁を制御する電動弁制御装置であって、
前記ステーターが、駆動電流を供給する電流回路に接続され、
前記電流回路が、スイッチ素子を有しており、前記駆動電流が目標値より固定値だけ小さい下限値より小さいと前記スイッチ素子がオンされ、前記駆動電流が前記目標値になると前記スイッチ素子がオフされる方式で動作し、
前記電動弁制御装置が、
前記ローターを前記第一方向に回転させる前記駆動電流が前記ステーターに供給されているときの前記スイッチ素子のオフ時間を取得するオフ時間取得部と、
前記オフ時間に基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する状態判定部と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明において、
前記状態判定部が、前記オフ時間取得部が取得した前記オフ時間の逆数の波形と前記オフ時間の逆数の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記第一回転規制状態であるか否かを判定する、ことが好ましい。
【0014】
本発明において、
前記基準波形が、前記ローターを前記第一方向に回転させる前記駆動電流が前記ステーターに供給されたときに取得された前記オフ時間の逆数の波形に基づいて設定され、
前記状態判定部が、前記オフ時間取得部が取得した前記オフ時間の逆数の波形と前記基準波形との相違の度合いを示す相違度指標値を算出し、前記相違度指標値と相違度判定値との比較結果に基づいて、前記電動弁が前記第一回転規制状態であるか否かを判定する、ことが好ましい。
【0015】
本発明において、
前記基準波形が、時刻と当該時刻における前記オフ時間の逆数の基準値とが関連付けられたデータテーブルであり、
前記状態判定部が、前記時刻に対応する取得時刻における前記オフ時間取得部が取得した前記オフ時間の逆数と前記時刻と関連付けられた前記基準値との差分値を2乗した値である中間値を算出し、
前記状態判定部が、複数の前記中間値を足し合わせて前記相違度指標値を算出する、ことが好ましい。
【0016】
本発明において、
前記電動弁制御装置が、
前記ステッピングモーターにパルスを入力して前記ローターを回転させる回転制御部と、
前記基準波形を設定する基準波形設定部と、をさらに有し、
前記電流回路が、前記ステッピングモーターへのパルスの入力に対応して前記ステーターにパルスに応じた前記駆動電流を供給し、
前記回転制御部が、前記ステッピングモーターに準備数のパルスを入力して前記ローターを第二方向に回転させる準備動作を行い、前記準備動作に続いて、前記ステッピングモーターに前記準備数以下の暖機数のパルスを入力して前記ローターを前記第一方向に回転させる暖機動作を行い、
前記基準波形設定部が、前記暖機動作中に前記オフ時間取得部が取得した前記オフ時間の逆数の波形を前記基準波形として設定する、ことが好ましい。
【0017】
上記目的を達成するために本発明の他の一態様にかかる電動弁装置は、前記電動弁と、前記電動弁制御装置と、を有する。
【0018】
上記目的を達成するために本発明の他の一態様にかかる電動弁の制御方法は、
弁口を有する弁本体と、ローターおよびステーターを有するステッピングモーターと、前記弁口と向かい合い、前記ローターが第一方向に回転すると前記弁口に向けて移動する弁体と、前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構と、を有する電動弁の制御方法であって、
前記ステーターが、駆動電流を供給する電流回路に接続され、
前記電流回路が、スイッチ素子を有しており、前記駆動電流が目標値より固定値だけ小さい下限値より小さいと前記スイッチ素子がオンされ、前記駆動電流が前記目標値になると前記スイッチ素子がオフされる方式で動作し、
前記制御方法が、
前記ローターを前記第一方向に回転させる前記駆動電流が前記ステーターに供給されているときの前記スイッチ素子のオフ時間を取得するオフ時間取得工程と、
前記オフ時間に基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する状態判定工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、電動弁制御装置が、ローターを第一方向に回転させる駆動電流がステーターに供給されているときの電流回路のスイッチ素子のオフ時間を取得し、オフ時間に基づいて、電動弁がローターの第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する。
【0020】
このようにしたことから、電動弁制御装置が、正常動作可能な電動弁について、当該電動弁が第一回転規制状態であると判定したときにローターが基準位置にある。そのため、電動弁制御装置が、電動弁が第一回転規制状態であると判定したときに、ローターの第一方向への回転を停止することで、初期化動作にかかる時間を短くすることができる。また、ローターが基準位置に位置付けられたあとに、騒音が長い時間発生することを抑制できる。
【0021】
また、電動弁制御装置が、電流回路のスイッチ素子のオフ時間に基づいて、電動弁が第一回転規制状態であるか否かを判定する。そのため、回転角度センサーなどのローターの回転に基づいて電動弁の状態を判定するため部品が不要であり、電動弁および電動弁制御装置を簡易な構成にできる。
【0022】
また、例えば、逆起電力に基づいて電動弁の状態を判定する場合、ステーターのコイルに駆動電流が流れていないときに逆起電力を取得するため、逆起電力を取得するタイミングが限られる。一方、オフ時間に基づいて電動弁の状態を判定する場合、ステーターのコイルに駆動電流が流れていてもオフ時間を取得することができる。そのため、電動弁制御装置が、電動弁が第一回転規制状態であるか否かを適時に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】電動弁装置を有するエアコンシステムのブロック図である。
図2図1の電動弁装置の断面図である。
図3図2の電動弁装置が有する弁軸ホルダーを示す図である。
図4図2の電動弁装置が有するガイドブッシュの側面図である。
図5図2の電動弁装置が有するストッパ部材を示す図である。
図6図2の電動弁装置が有する弁軸ホルダー、ストッパ部材、ローターおよびステーターの平面図である。
図7図2の電動弁装置が有するコンピュータ、スイッチ素子を有する電流回路を含むモータードライバおよびステッピングモーターを説明する図である。
図8】ステッピングモーターに入力されるパルスとA相電流目標値およびB相電流目標値との対応関係の一例を示す図である。
図9】A相電流の波形およびB相電流の波形の一例を示す図である。
図10】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP[1]入力時)。
図11】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP[2]入力時)。
図12】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP[3]入力時)。
図13】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP[4]入力時)。
図14】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP[5]入力時)。
図15】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP[6]入力時)。
図16】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP[7]入力時)。
図17】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP[8]入力時)。
図18】B相電流の波形およびB相コイルに生じる逆起電力の波形の一例を示す図である。
図19】ローターの回転角度と、B相電流と、B相コイルに生じる逆起電力と、B相電流に係るスイッチ素子のオフ時間の逆数と、のグラフの一例を示す。
図20】ローターを第一方向に回転させる駆動電流を供給したときのスイッチ素子のオフ時間の逆数の波形の一例を示す(電動弁が第一回転許容状態のとき)。
図21】ローターを第一方向に回転させる駆動電流を供給したときのスイッチ素子のオフ時間の逆数の波形の一例を示す(電動弁が第一回転規制状態のとき)。
図22】オフ時間の逆数の基準波形のデータテーブルの一例を示す図である。
図23】オフ時間の逆数の波形およびオフ時間の逆数の基準波形の一例を示す図である。
図24】本発明の一実施例に係る電動弁制御装置の動作例1を示すフローチャートである。
図25】動作例1を示すフローチャートである(準備動作)。
図26】動作例1を示すフローチャートである(暖機動作)。
図27】動作例1を示すフローチャートである(暖機動作、図26の続き)。
図28】動作例1を示すフローチャートである(基準出し動作)。
図29】本発明の一実施例に係る電動弁制御装置の動作例2を示すフローチャートである。
図30】動作例2を示すフローチャートである(暖機動作)。
図31】動作例2を示すフローチャートである(暖機動作、図30の続き)。
図32】動作例2を示すフローチャートである(暖機動作、図31の続き)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、電動弁装置について、図1図32を参照して説明する。
【0025】
図1は、電動弁装置を有するエアコンシステムのブロック図である。図2は、図1の電動弁装置の断面図である。図3は、図2の電動弁装置が有する弁軸ホルダーを示す図である。図3Aは、弁軸ホルダーの斜視図であり、図3Bは、弁軸ホルダーの平面図である。図4は、図2の電動弁装置が有するガイドブッシュの側面図である。図5は、図2の電動弁装置が有するストッパ部材を示す図である。図5Aは、ストッパ部材の斜視図であり、図5Bは、ストッパ部材の平面図である。図6は、図2の電動弁装置が有する弁軸ホルダー、ストッパ部材、ローターおよびステーターの平面図である。図6において、ステーターを模式的に示している。また、図6において、ローターの磁極を模式的に示している。図7は、図2の電動弁装置が有するコンピュータ、スイッチ素子を有する電流回路を含むモータードライバおよびステッピングモーターを説明する図である。図8は、ステッピングモーターに入力されるパルスとA相電流目標値およびB相電流目標値との対応関係の一例を示す図である。図9は、A相電流の波形およびB相電流の波形の一例を示す図である。
【0026】
図10図17は、ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である。図10図17は、ステッピングモーターにパルスP[1]~P[8]を入力したときを示している。図10図17において、ステーターを模式的に示している。また、図10図17において、ローターの磁極を模式的に示している。
【0027】
図18は、B相電流の波形およびB相コイルに生じる逆起電力の波形の一例を示す図である。図19は、ローターの回転角度と、B相電流と、B相コイルに生じる逆起電力と、B相電流に係るスイッチ素子のオフ時間の逆数と、のグラフの一例を示す。図20図21は、ローターを第一方向に回転させる駆動電流を供給したときのスイッチ素子のオフ時間の逆数の波形の一例を示す。図20は、電動弁がローターの第一方向への回転が許容されている状態の波形を示し、図21は、電動弁がローターの第一方向への回転が規制されている状態の波形を示す。図22は、オフ時間の逆数の基準波形のデータテーブルの一例を示す図である。図23は、オフ時間の逆数の波形(実逆数波形)およびオフ時間の逆数の基準波形の一例を示す図である。
【0028】
図24図28は、本発明の一実施例に係る電動弁制御装置の動作例1を示すフローチャートである。図24は、動作例1のメインフローを示す。図25は、動作例1の準備動作を示す。図26図27は、動作例1の暖機動作を示す。図28は、動作例1の基準出し動作を示す。
【0029】
図29図32は、本発明の一実施例に係る電動弁制御装置の動作例2を示すフローチャートである。図29は、動作例2のメインフローを示す。図30図32は、動作例2の暖機動作を示す。
【0030】
本実施例に係る電動弁装置1は、例えば、エアコンシステムの冷凍サイクルにおいて流体である冷媒の流量を制御する流量制御弁として使用される。
【0031】
図1に、車両に搭載されるエアコンシステム100の一例を示す。エアコンシステム100は、配管105を介して順に接続された圧縮機101、凝縮器102、電動弁装置1(電動弁5)および蒸発器103を有している。電動弁装置1は、膨張弁である。エアコンシステム100は、エアコン制御装置110を有している。エアコン制御装置110は、電動弁装置1と通信可能に接続されている。エアコン制御装置110は、電動弁装置1を用いて配管105を流れる冷媒の流量を制御する。
【0032】
図2に示すように、電動弁装置1は、電動弁5と、電動弁制御装置70と、を有している。
【0033】
電動弁5は、弁本体10と、キャン20と、弁体30と、駆動機構40と、ステーター60と、を有している。
【0034】
弁本体10は、本体部材11と、接続部材13と、を有している。本体部材11は、円柱形状を有している。本体部材11は、弁室14と、弁口17と、弁座18と、を有している。本体部材11には、第1導管15および第2導管16が接合されている。第1導管15は、軸線Lと直交する方向(図2の左右方向)に沿って配置され、弁室14に接続されている。第2導管16は、軸線L方向(図2の上下方向)に沿って配置され、弁口17を介して弁室14に接続されている。弁口17は、弁室14において円環形状の弁座18に囲まれている。本体部材11は、円形の嵌合穴11aを有している。嵌合穴11aは、本体部材11の上端面に配置されている。嵌合穴11aの内周面は、図2において左方を向く平面11dを有している。嵌合穴11aの底面には、弁室14に通じる貫通孔11bが設けられている。接続部材13は、円環板形状を有している。接続部材13の内周縁は、本体部材11の上端部に接合されている。本体部材11および接続部材13は、アルミニウム合金、ステンレス、真ちゅうなどの金属製である。
【0035】
キャン20は、ステンレスなどの金属製である。キャン20は、円筒形状を有している。キャン20は、下端部が開口しかつ上端部が塞がれている。キャン20の下端部は、接続部材13の外周縁に接合されている。
【0036】
弁体30は、第1軸部31と、第2軸部32と、弁部33と、を有している。第1軸部31は、円柱形状を有している。第2軸部32は、円柱形状を有している。第2軸部32の径は、第1軸部31の径より小さい。第2軸部32は、第1軸部31の上端部に同軸に接続されている。弁体30は、上方を向く円環状の平面である段部34を有している。段部34は、第1軸部31と第2軸部32との接続部分に配置されている。弁部33は、上方から下方に向かうにしたがって径が小さくなる略円錐形状を有している。弁部33は、第1軸部31の下端部に同軸に接続されている。弁部33は、弁口17に配置される。弁部33と弁口17との間に可変絞り部が形成される。弁部33は、弁口17および弁座18と向かい合っている。弁部33が弁座18に接すると、弁口17が閉じる。弁部33が弁座18から離れると、弁口17が開く。
【0037】
駆動機構40は、弁体30を上下方向(軸線L方向)に移動させる。弁体30の移動によって弁口17が開閉する。駆動機構40は、ローター41と、弁軸ホルダー42と、ガイドブッシュ43と、ストッパ部材44と、固定具45と、を有している。
【0038】
ローター41は、円筒形状を有している。ローター41の外径は、キャン20の内径より若干小さい。ローター41は、キャン20の内側に配置される。ローター41は、弁本体10に対して回転可能である。ローター41は、複数のN極および複数のS極を有している。複数のN極および複数のS極は、ローター41の外周面に配置されている。複数のN極および複数のS極は、上下方向に延在している。複数のN極および複数のS極は、周方向に等角度間隔で交互に配置されている。ローター41は、例えば、N極を12個有し、S極を12個有している。互いに隣り合うN極とS極との間の角度は、15度である。
【0039】
図3は弁軸ホルダー42を示す。弁軸ホルダー42は、円筒形状を有している。弁軸ホルダー42の下端部は、開口している。弁軸ホルダー42の上端部には、上壁部42aが設けられている。上壁部42aは、軸孔42bを有している。弁軸ホルダー42は、ローター41の嵌合孔41aに嵌合されている。弁軸ホルダー42は、ローター41と共に回転する。弁軸ホルダー42の外周面の下端部には、可動ストッパ42sが配置されている。可動ストッパ42sは、径方向外方に突出する突部である。軸孔42bには、弁体30の第2軸部32が軸線L方向に移動可能に配置される。弁軸ホルダー42の上壁部42aの下面にはワッシャー46が配置される。ワッシャー46と弁体30の段部34との間には閉弁ばね47が配置される。閉弁ばね47は、コイルばねであり、弁体30を弁座18に向けて押す。弁軸ホルダー42の内周面には、雌ねじ42cが設けられている。可動ストッパ42sは、ローター41に対して固定されている。
【0040】
図4はガイドブッシュ43を示す。ガイドブッシュ43は、基部43aと、支持部43bと、を有している。基部43aは、円筒形状を有している。基部43aの外周面は、平面43dを有している。基部43aは本体部材11の嵌合穴11aに圧入され、平面43dが嵌合穴11aの平面11dと接する。これにより、本体部材11の中心軸とガイドブッシュ43の中心軸とが軸線L上で一致し、ガイドブッシュ43が本体部材11に対して軸線L周りに正しく位置付けられる。支持部43bは、円筒形状を有している。支持部43bの外径は、基部43aの外径より小さい。支持部43bの内径は、基部43aの内径と同じである。支持部43bは、基部43aの上端部に同軸に接続されている。支持部43bの外周面には、雄ねじ43cが設けられている。雄ねじ43cは、弁軸ホルダー42の雌ねじ42cと螺合される。ガイドブッシュ43の内側には、弁体30の第1軸部31が配置される。ガイドブッシュ43は、弁体30を軸線L方向に移動可能に支持する。
【0041】
図5はストッパ部材44を示す。ストッパ部材44は、ストッパ本体44aを有している。ストッパ本体44aは、円筒形状を有している。ストッパ本体44aの内周面には、雌ねじ44cが設けられている。ストッパ本体44aの外周面には、固定ストッパ44sが配置されている。固定ストッパ44sは、径方向外方に突出する突部である。雌ねじ44cは、ストッパ本体44aがガイドブッシュ43の基部43aに当接するまで雄ねじ43cに螺合されている。これにより、ストッパ部材44は、ガイドブッシュ43に固定される。固定ストッパ44sは、弁本体10に対して固定されている。
【0042】
固定具45は、固定部45aと、フランジ部45bと、を有している。固定部45aは、段付きの円筒形状を有している。固定部45aの内側には、弁体30の第2軸部32が配置される。固定部45aは、第2軸部32に接合される。フランジ部45bは、固定部45aの下端部に接続されている。固定具45の外側には、復帰ばね48が配置される。復帰ばね48は、コイルばねである。
【0043】
電動弁5は、ローター41の回転を減速することなく用いる駆動機構40を有している。電動弁5は、駆動機構40に代えて、ローター41の回転を減速する減速機構を有する駆動機構を有していてもよい。
【0044】
ステーター60は、円筒形状を有している。ステーター60は、A相ステーター61と、B相ステーター62と、を有している。図6において、ステーター60を模式的に示す。
【0045】
A相ステーター61は、複数のクローポール型の極歯61a、61bを内周に有している。極歯61aの先端は下方に向いており、極歯61bの先端は上方に向いている。極歯61aと極歯61bとは、周方向に等角度間隔で交互に配置されている。A相ステーター61は、例えば、極歯61aを12個有し、極歯61bを12個有している。互いに隣り合う極歯61aと極歯61bとの間の角度は、15度である。A相ステーター61は、A相コイル61cを有している。A相コイル61cが通電されると、極歯61aと極歯61bとは互いに異なる極性の磁極となる。
【0046】
B相ステーター62は、複数のクローポール型の極歯62a、62bを内周に有している。極歯62aの先端は下方に向いており、極歯62bの先端は上方に向いている。極歯62aと極歯62bとは、周方向に等角度間隔で交互に配置されている。B相ステーター62は、例えば、極歯62aを12個有し、極歯62bを12個有している。互いに隣り合う極歯62aと極歯62bとの間の角度は、15度である。B相ステーター62は、B相コイル62cを有している。B相コイル62cが通電されると、極歯62aと極歯62bとは互いに異なる極性の磁極となる。
【0047】
A相ステーター61とB相ステーター62とは、同軸に配置されている。A相ステーター61は、B相ステーター62と接している。軸線L方向から見たときに互いに隣り合うA相ステーター61の極歯61aとB相ステーター62の極歯62aとの間の角度は、7.5度である。つまり、B相ステーター62は、極歯61aと極歯62aとが軸線L方向に並ぶ位置からA相ステーター61に対して軸線L周りに7.5度回転した位置にある。
【0048】
ステーター60の内側には、キャン20が配置される。キャン20の内側には、ローター41が配置される。ステーター60とローター41とは、ステッピングモーター66である。
【0049】
ステッピングモーター66は、電動弁制御装置70に接続されている。具体的には、図7に示すように、A相コイル61cの端子A1、A2およびB相コイル62cの端子B1、B2が、電動弁制御装置70のモータードライバ77に接続されている。
【0050】
ステッピングモーター66にパルスP(P[1]~P[8])が入力されることによりローター41が回転する。具体的には、ステッピングモーター66のステーター60にパルスPに応じた駆動電流が供給されることによりローター41が回転する。本明細書において、「ステッピングモーター66にパルスPが入力されること」は、「ステッピングモーター66のステーター60にパルスPに応じた駆動電流が供給されること」と同義である。
【0051】
ステッピングモーター66には、パルスP[1]~P[8]が順番に入力される。パルスPに応じた駆動電流であるA相電流IaがA相ステーター61に供給される。パルスPに応じた駆動電流であるB相電流IbがB相ステーター62に供給される。A相電流IaとB相電流Ibとの組み合わせは、パルスP毎に異なる。組み合わせの数は、8であり、パルスPのパターンの数という。「パターン」は「スイッチングモード」ともいわれる。パルスP[1]~P[8]の数字(1~8)は、パルスP[1]~P[8]を特定するためのパターン番号である。例えば、パルスPの周期は8msであり、パルスP[1]~P[8]を含む1つの期間Xは64msである。ステッピングモーター66の励磁モードは1-2相励磁である。ステッピングモーター66のステップ角は3.75度である。
【0052】
A相電流Iaには、パルスP[1]~P[8]に対応するA相電流目標値Itaが設定される。B相電流Ibには、パルスP[1]~P[8]に対応するB相電流目標値Itbが設定される。図8は、パルスPとA相電流目標値ItaおよびB相電流目標値Itbとの対応関係の一例を示す。
【0053】
パルスP[1]に対して、A相電流目標値Itaとして「+I2」が設定され、B相電流目標値Itbとして「0」が設定される。
パルスP[2]に対して、A相電流目標値Itaとして「+I1」が設定され、B相電流目標値Itbとして「+I1」が設定される。
パルスP[3]に対して、A相電流目標値Itaとして「0」が設定され、B相電流目標値Itbとして「+I2」が設定される。
パルスP[4]に対して、A相電流目標値Itaとして「-I1」が設定され、B相電流目標値Itbとして「+I1」が設定される。
パルスP[5]に対して、A相電流目標値Itaとして「-I2」が設定され、B相電流目標値Itbとして「0」が設定される。
パルスP[6]に対して、A相電流目標値Itaとして「-I1」が設定され、B相電流目標値Itbとして「-I1」が設定される。
パルスP[7]に対して、A相電流目標値Itaとして「0」が設定され、B相電流目標値Itbとして「-I2」が設定される。
パルスP[8]に対して、A相電流目標値Itaとして「+I1」が設定され、B相電流目標値Itbとして「-I1」が設定される。
「+I2」と「-I2」とは、電流の大きさが同じで、電流の向きが異なる。
「+I1」と「-I1」とは、電流の大きさが同じで、電流の向きが異なる。
「+I2」と「+I1」とは、電流の大きさが異なり、電流の向きが同じである。
【0054】
図9は、ステッピングモーター66にパルスPが昇順で入力されるときのA相電流Iaの波形およびB相電流Ibの波形を模式的に示す。図9において、A相電流IaはA相電流目標値Itaと大きさおよび電流の向きが同じ電流であり、B相電流IbはB相電流目標値Itbと大きさおよび電流の向きが同じ電流である。図8図9において、符号(+/-)は電流が流れる向きを示す。「+」は、端子A1から端子A2への向き、または、端子B1から端子B2への向きを示す。「-」は、端子A2から端子A1への向き、または、端子B2から端子B1への向きを示す。「0」は、電流が流れないことを示す。
【0055】
通電期間D(1)は、パルスP[2]、P[3]、P[4]に対応しており、通電期間D(1)においてB相コイル62cに端子B1から端子B2に向かうB相電流Ibが供給される。
通電期間D(2)は、パルスP[4]、P[5]、P[6]に対応しており、通電期間D(2)においてA相コイル61cに端子A2から端子A1に向かうA相電流Iaが供給される。
通電期間D(3)は、パルスP[6]、P[7]、P[8]に対応しており、通電期間D(3)においてB相コイル62cに端子B2から端子B1に向かうB相電流Ibが供給される。
通電期間D(4)は、パルスP[8]、P[1]、P[2]に対応しており、通電期間D(4)においてA相コイル61cに端子A1から端子A2に向かうA相電流Iaが供給される。
【0056】
図10図17に、パルスP[1]~P[8]が入力されたときのローター41とステーター60との位置関係の例を示す。図10図17において、ローター41とステーター60(A相ステーター61、B相ステーター62)との位置関係を把握しやすくするため、基準となる極歯61aおよび基準となるローター41の磁極(S極)に黒丸を付している。
【0057】
ローター41を第一方向(図10図17において時計方向)に回転させる場合、ステッピングモーター66にパルスPを昇順(パルスP[1]~P[8]の順番)で循環的に入力する。ローター41が第一方向に回転すると、弁軸ホルダー42の雌ねじ42cとガイドブッシュ43の雄ねじ43cとのねじ送り作用によってローター41および弁軸ホルダー42が下方に移動する。ローター41(弁軸ホルダー42)が、閉弁ばね47を介して弁体30を下方に押す。弁体30が下方に移動して弁部33が弁座18に接する。このときのローター41の位置は、閉弁位置Rcである。この状態からローター41を第一方向にさらに回転させると、閉弁ばね47が圧縮されてローター41が下方にさらに移動する。弁体30は下方に移動しない。そして、弁軸ホルダー42の可動ストッパ42sがストッパ部材44の固定ストッパ44sに接すると、ローター41の第一方向への回転が規制される。このときのローター41の位置は、基準位置Rxである。可動ストッパ42sおよび固定ストッパ44sは、ローター41の第一方向への回転を規制するストッパ機構49である。
【0058】
ローター41を第一方向と反対の第二方向(図10図17において反時計方向)に回転させる場合、ステッピングモーター66にパルスPを降順(パルスP[8]~P[1]の順番)で循環的に入力する。ローター41が第二方向に回転すると、弁軸ホルダー42の雌ねじ42cとガイドブッシュ43の雄ねじ43cとのねじ送り作用によってローター41および弁軸ホルダー42が上方に移動する。ローター41(弁軸ホルダー42)が固定具45を上方に押す。固定具45とともに弁体30が上方に移動して、弁体30が弁座18から離れる。所定の流量測定環境において弁口17における流体の流量(弁口17の開度)が所定の設定値であるときのローター41の位置を開弁位置Roとする。設定値は、電動弁装置1の構成や用途などに応じて適宜設定される。ローター41が第二方向に回転して全開位置Rzに至ると、弁体30が弁口17から最も離れ、弁口17が最大開度になる。
【0059】
全開位置Rzから基準位置Rxまでローター41を回転させるためのパルスPの数を、ストローク数Nsという。すなわち、ローター41が全開位置Rzにある電動弁5のステッピングモーター66にストローク数NsのパルスPを入力すると、ローター41が基準位置Rxに位置づけられる。例えば、ストローク数Nsは、500である。基準位置Rxから全開位置Rzまでローター41を回転させるためのパルスPの数も、ストローク数Nsである。
【0060】
ストローク数Nsに基づいて、初期化数Niが設定される。初期化数Niは、全開位置Rzから基準位置Rxまでローター41を回転させるために十分なパルスPの数である。すなわち、ローター41がいずれの位置にあってもステッピングモーター66に初期化数NiのパルスPを入力すると、ローター41が基準位置Rxに位置づけられる。初期化数Niは、例えば、ストローク数Nsの1.05~1.3倍の数である。
【0061】
ストローク数Nsに基づいて、準備数Npおよび暖機数Nwが設定される。準備数Npおよび暖機数Nwは、ローター41を基準位置Rxに位置づける動作(初期化動作)で用いられる。準備数Npは、例えば、ストローク数Nsの0.05~0.3倍の数である。暖機数Nwは、準備数Npと同じである。暖機数Nwは、準備数Npより小さくてもよく、準備数Npの0.8~1倍の数であることが好ましい。
【0062】
電動弁5において、弁口17、弁座18、キャン20、弁体30、ローター41、弁軸ホルダー42、ガイドブッシュ43、ステーター60(A相ステーター61、B相ステーター62)は、それぞれの中心軸が軸線Lに一致する。
【0063】
電動弁制御装置70は、複数の電子部品(図示なし)が実装された基板71を有している。電動弁制御装置70は、図1に示すように、不揮発性メモリ75と、通信装置76と、モータードライバ77と、コンピュータ80と、を有している。電動弁制御装置70は、エアコン制御装置110からの命令に基づいて、電動弁5を制御する。
【0064】
不揮発性メモリ75は、電源が切断された場合でも保持する必要があるデータを記憶する。不揮発性メモリ75は、例えば、EEPROMやフラッシュメモリである。
【0065】
通信装置76は、有線通信バス120を介してエアコン制御装置110と通信可能に接続されている。エアコンシステム100は、例えば、Local Interconnect Network(LIN)やController Area Network(CAN)などの通信方式を採用している。なお、通信装置76は、エアコン制御装置110と無線通信可能に接続されていてもよい。
【0066】
モータードライバ77は、コンピュータ80によって制御され、ステッピングモーター66のステーター60に駆動電流(A相電流Ia、B相電流Ib)を供給する。
【0067】
モータードライバ77は、ステーター60と接続されている。具体的には、図7に示すように、モータードライバ77は、A相コイル61cおよびB相コイル62cと接続されている。モータードライバ77は、A相コイル61cにA相電流Iaを供給し、B相コイル62cにB相電流Ibを供給する。
【0068】
モータードライバ77は、コンピュータ80からパルス信号(PULSE)および方向信号(DIR)が入力される。モータードライバ77に第一方向に対応する方向信号が入力されているときにパルス信号が入力されることは、ステッピングモーター66にパルスPが昇順で入力されることに相当する。モータードライバ77に第二方向に対応する方向信号が入力されているときにパルス信号が入力されることは、ステッピングモーター66にパルスPが降順で入力されることに相当する。
【0069】
図7に示すように、モータードライバ77はHブリッジ回路77A、77Bと、電流制御部77Cと、を有している。Hブリッジ回路77A、77Bは電流回路である。モータードライバ77は、ステッピングモーター66をバイポーラ方式で駆動する。
【0070】
Hブリッジ回路77Aは、A相コイル61cに接続されている。Hブリッジ回路77Aは、スイッチ素子であるスイッチSW11、SW12、SW13、SW14を有している。A相コイル61cの端子A1から端子A2に電流を流すとき、スイッチSW11、SW14をオン(導通状態)にし、スイッチSW12、SW13をオフ(非導通状態)にする。A相コイル61cの端子A2から端子A1に電流を流すとき、スイッチSW12、SW13をオンにし、スイッチSW11、SW14をオフにする。スイッチSW11、SW12、SW13、SW14は、例えば、Nチャネル型MOSFETまたはPチャネル型MOSFETであり、両方が混在していてもよい。
【0071】
A相コイル61cにA相電流Iaを供給したあと、スイッチSW11、SW13をオフにし、スイッチSW12、SW14をオンにする。そして、スイッチSW12、SW14およびA相コイル61cが形成する回路においてエネルギーを減衰させたあと、スイッチSW12、SW14をオフにする。
【0072】
Hブリッジ回路77Bは、B相コイル62cに接続されている。Hブリッジ回路77Bは、スイッチ素子であるスイッチSW21、SW22、SW23、SW24を有している。B相コイル62cの端子B1から端子B2に電流を流すとき、スイッチSW21、SW24をオンにし、スイッチSW22、SW23をオフにする。B相コイル62cの端子B2から端子B1に電流を流すとき、スイッチSW22、SW23をオンにし、スイッチSW21、SW24をオフにする。スイッチSW21、SW22、SW23、SW24は、例えば、Nチャネル型MOSFETまたはPチャネル型MOSFETであり、両方が混在していてもよい。
【0073】
B相コイル62cにB相電流Ibを供給したあと、スイッチSW21、SW23をオフにし、スイッチSW22、SW24をオンにする。そして、スイッチSW22、SW24およびB相コイル62cが形成する回路においてエネルギーを減衰させたあと、スイッチSW22、SW24をオフにする。
【0074】
電流制御部77Cは、コンピュータ80から入力されるパルス信号および方向信号に応じてHブリッジ回路77A、77Bを制御する。電流制御部77Cは、Hブリッジ回路77AのスイッチSW11、SW12、SW13、SW14の状態を示すA相スイッチ状態信号(A-STATE)を出力する。電流制御部77Cは、Hブリッジ回路77BのスイッチSW21、SW22、SW23、SW24の状態を示すB相スイッチ状態信号(B-STATE)を出力する。A相スイッチ状態信号およびB相スイッチ状態信号は、二値信号である。二値信号は、第一値(例えばH値)と第二値(例えばL値)とを有している。
【0075】
電流制御部77Cは、固定リップル電流制御方式でHブリッジ回路77A、77Bを制御する。
【0076】
A相コイル61cに端子A1から端子A2に流れるA相電流Iaを供給するとき:
(1)電流制御部77Cは、スイッチSW12、SW13をオフにする。
(2)電流制御部77Cは、A相電流Iaの大きさを判定する。
(2-1)電流制御部77Cは、A相電流IaがA相電流下限値Isaより小さいとスイッチSW11、SW14をオンにする。A相電流下限値Isaは、A相電流目標値Itaより固定値ΔIだけ小さい。
(2-2)電流制御部77Cは、A相電流IaがA相電流目標値ItaになるとスイッチSW11、SW14をオフにする。
(3)電流制御部77Cは、スイッチSW11、SW14がオンのとき、A相スイッチ状態信号を第一値とし、スイッチSW11、SW14がオフのとき、A相スイッチ状態信号を第二値とする。
【0077】
A相コイル61cに端子A2から端子A1に流れるA相電流Iaを供給するとき:
(1)電流制御部77Cは、スイッチSW11、SW14をオフにする。
(2)電流制御部77Cは、A相電流Iaの大きさを判定する。
(2-1)電流制御部77Cは、A相電流IaがA相電流下限値Isaより小さいとスイッチSW12、SW13をオンにする。
(2-2)電流制御部77Cは、A相電流IaがA相電流目標値ItaになるとスイッチSW12、SW13をオフにする。
(3)電流制御部77Cは、スイッチSW12、SW13がオンのとき、A相スイッチ状態信号を第一値とし、スイッチSW12、SW13がオフのとき、A相スイッチ状態信号を第二値とする。
【0078】
B相コイル62cに端子B1から端子B2に流れるB相電流Ibを供給するとき:
(1)電流制御部77Cは、スイッチSW22、SW23をオフにする。
(2)電流制御部77Cは、B相電流Ibの大きさを判定する。
(2-1)電流制御部77Cは、B相電流IbがB相電流下限値Isbより小さいとスイッチSW21、SW24をオンにする。B相電流下限値Isbは、B相電流目標値Itbより固定値ΔIだけ小さい。
(2-2)電流制御部77Cは、B相電流IbがB相電流目標値ItbになるとスイッチSW21、SW24をオフにする。
(3)電流制御部77Cは、スイッチSW21、SW24がオンのとき、B相スイッチ状態信号を第一値とし、スイッチSW21、SW24がオフのとき、B相スイッチ状態信号を第二値とする。
【0079】
B相コイル62cに端子B2から端子B1に流れるB相電流Ibを供給するとき:
(1)電流制御部77Cは、スイッチSW21、SW24をオフにする。
(2)電流制御部77Cは、B相電流Ibの大きさを判定する。
(2-1)電流制御部77Cは、B相電流IbがB相電流下限値Isbより小さいとスイッチSW22、SW23をオンにする。
(2-2)電流制御部77Cは、B相電流IbがB相電流目標値ItbになるとスイッチSW22、SW23をオフにする。
(3)電流制御部77Cは、スイッチSW22、SW23がオンのとき、B相スイッチ状態信号を第一値とし、スイッチSW22、SW23がオフのとき、B相スイッチ状態信号を第二値とする。
【0080】
図18は、固定リップル電流制御方式におけるB相電流Ibの波形およびB相コイル62cに生じる逆起電力(BEMF)の波形の一例を示す。逆起電力は、ローター41の回転によってB相コイル62cに生じる電圧である。B相電流Ibは、端子B1から端子B2に向かって流れる。期間T(1)~T(3)において、B相電流IbがB相電流下限値Isbより小さいと、スイッチSW21、SW24がオンになり、B相電流Ibが上昇する(Ton)。B相電流IbがB相電流目標値ItbになるとスイッチSW21、SW24がオフになり、B相電流Ibが低下する(Toff)。B相電流Ibの大きさに応じてスイッチSW21、SW24のオン/オフを繰り返す。スイッチSW21、SW24のオン時間およびオフ時間は可変である。スイッチSW21、SW24のオフ時間であるToffは、以下の式(1)で示される。
【0081】
【数2】
【0082】
IはB相コイル62cに供給されるB相電流Ibであり、RはB相コイル62cの抵抗であり、LはB相コイル62cのインダクタンスであり、ΔIは固定値である。式(1)は、ToffがBEMFと関係を有することを示す。すなわち、図18に示すように、BEMFが低いとToffが短く、BEMFが高いとToffが長い。B相電流Ibの向きが端子B2から端子B1への向きでも、式(1)が成立する。また、A相電流Iaに係るスイッチ素子のオフ時間についても、式(1)が成立する。
【0083】
コンピュータ80は、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースおよびA/D変換器などが1つのパッケージに組み込まれた組込機器用のマイクロコンピュータである。コンピュータ80は、不揮発性メモリ75、通信装置76およびモータードライバ77を含んでいてもよい。コンピュータ80は、CPUがROMに格納されたプログラムを実行することにより、回転制御部81、オフ時間取得部82、状態判定部83および基準波形設定部84として機能する。
【0084】
回転制御部81は、ステッピングモーター66にパルスPを入力してローター41を第一方向または第二方向に回転させる。具体的には、回転制御部81は、エアコン制御装置110から受信した命令に基づいてモータードライバ77を制御し、ステーター60(A相コイル61c、B相コイル62c)にA相電流IaおよびB相電流Ibを供給する。
【0085】
オフ時間取得部82は、ローター41を第一方向に回転させるA相電流IaおよびB相電流Ibがステーター60に供給されているときのスイッチ素子のオン時間およびオフ時間を取得する。
【0086】
オフ時間取得部82は、通電期間D(1)、D(3)において、B相スイッチ状態信号に基づいてB相電流Ibに係るスイッチ素子のオン時間およびオフ時間を取得する。オフ時間取得部82は、通電期間D(2)、D(4)において、A相スイッチ状態信号に基づいてA相電流Iaに係るスイッチ素子のオン時間およびオフ時間を取得する。オフ時間取得部82は、通電期間D(1)~D(4)において取得したオフ時間の逆数を算出する。
【0087】
通電期間D(1)は、オン時間およびオフ時間を有する連続した期間T(1)~T(n)を含む。期間T(h)(h=1~n)におけるオフ時間は、Toff(h)である。図18は、期間T(1)~T(3)の一例を示す。オフ時間取得部82は、通電期間D(1)が終了すると、期間T(h)におけるオフ時間の逆数を1/Toff(h)とする。オフ時間取得部82は、例えば、期間T(1)におけるオフ時間の逆数を1/Toff(1)とし、期間T(2)におけるオフ時間の逆数を1/Toff(2)とし、期間T(3)におけるオフ時間の逆数を1/Toff(3)とする。そして、オフ時間取得部82は、通電期間D(1)の始期から終期まで、所定の時間間隔でオフ時間の逆数を取得する。所定の時間間隔は、例えば、400μsである。通電期間D(1)は、パルスP[2]、P[3]、P[4]に対応しており、24msである。オフ時間取得部82は、通電期間D(1)において60個のオフ時間の逆数を取得する。オフ時間取得部82は、B相電流Ibが比較的不安定であるパルスPの切替タイミングに対応する期間Tおよび切替タイミングに近い期間Tをオフ時間の逆数の取得対象から除外してもよい。オフ時間取得部82が取得した複数のオフ時間の逆数は、通電期間D(1)におけるオフ時間の逆数の波形である。以下の説明において、オフ時間取得部82が取得したオフ時間の逆数の波形を、「実逆数波形」ともいう。
【0088】
本明細書において、「波形」とは、1定点における物理量の時間的変化である。物理量は、オフ時間の逆数を含む。「波形」を可視化する場合は、物理量を縦軸とし、時間を横軸とした座標面に表現される。また、コンピュータ80のRAMや不揮発性メモリ75において物理量データと時間データとが関連付けられて記憶されたデータテーブルなどの不可視のものも「波形」に含まれる。また、「波形の面積」とは、当該波形を、物理量を縦軸とし時間を物理量0に対応する横軸とする座標面に表現したときに、当該波形と横軸とによって囲まれる領域の面積である。
【0089】
オフ時間取得部82は、通電期間D(2)~D(4)においても通電期間D(1)と同じ方法で実逆数波形を取得する。
【0090】
状態判定部83は、初期化動作において、オフ時間取得部82によって取得されたオフ時間の逆数に基づいて、電動弁5の状態を判定する。電動弁5は、第一回転許容状態Sp1と第一回転規制状態Sr1とを有している。第一回転許容状態Sp1は、ローター41が基準位置Rxに到達しておらず、ローター41の第一方向への回転が許容される状態である。第一回転規制状態Sr1は、ローター41が基準位置Rxに到達し、可動ストッパ42sが固定ストッパ44sに当接してローター41の第一方向への回転が規制される状態である。
【0091】
図19は、ローター41の回転角度と、B相電流Ibと、B相コイル62cに生じる逆起電力(BEMF)と、B相電流Ibに係るスイッチ素子のオフ時間の逆数(1/Toff)と、のグラフ(波形)の一例を示す。図19において、一点鎖線で囲んだ波形は、B相電流Ibの波形の一部を拡大したものである。
【0092】
図19においてローター41の回転角度が増加するとローター41が基準位置Rxに近づく。そして、時刻txにおいてローター41が基準位置Rxに到達してローター41の第一方向への回転が規制される。時刻txより前は電動弁5が第一回転許容状態Sp1であり、時刻txより後は電動弁5が第一回転規制状態Sr1である。
【0093】
図19は、BEMFの波形に関して次の事項を示す。
時刻txより前の通電期間D(1)におけるBEMF波形が同じである。
時刻txより前の通電期間D(3)におけるBEMF波形が同じである。
時刻txより後の通電期間D(1)におけるBEMF波形が同じである。
時刻txより後の通電期間D(3)におけるBEMF波形が同じである。
時刻txより後の通電期間D(1)におけるBEMF波形が、時刻txより前の通電期間D(1)におけるBEMF波形と異なる。
時刻txより後の通電期間D(3)におけるBEMF波形が、時刻txより前の通電期間D(3)におけるBEMF波形と異なる。
【0094】
図19は、1/Toffの波形(実逆数波形)に関して次の事項を示す。
時刻txより前の通電期間D(1)における実逆数波形が同じである。
時刻txより前の通電期間D(3)における実逆数波形が同じである。
時刻txより後の通電期間D(1)における実逆数波形が同じである。
時刻txより後の通電期間D(3)における実逆数波形が同じである。
時刻txより前の通電期間D(1)における実逆数波形が、時刻txより前の通電期間D(3)における実逆数波形と同じである。
時刻txより後の通電期間D(1)における実逆数波形が、時刻txより後の通電期間D(3)における実逆数波形と異なる。
時刻txより後の通電期間D(1)における実逆数波形が、時刻txより前の通電期間D(1)における実逆数波形と異なる。
時刻txより後の通電期間D(3)における実逆数波形が、時刻txより前の通電期間D(3)における実逆数波形と異なる。
【0095】
上記事項は、A相コイル61cに生じる逆起電力の波形、および、A相電流Iaに係るスイッチ素子のオフ時間の逆数の波形、にも当てはまる。
【0096】
そのため、状態判定部83は、オフ時間の逆数に基づいて電動弁5の状態を判定できる。
【0097】
また、キャン20の内側に冷媒が導入される。冷媒は冷凍機油を含んでいる。冷凍機油は、冷媒の温度が低いとき粘度が高く、冷媒の温度が高いとき粘度が低い。そのため、電動弁5の動作開始直後は冷媒の温度が低く、ローター41の回転に対する抵抗が大きい。電動弁5の動作が進み、ステーター60の熱によって冷媒が暖まると抵抗が小さくなる。逆起電力はローター41の回転によって生じるため、スイッチ素子のオフ時間の逆数の波形(実逆数波形)は電動弁5(冷媒)の温度上昇に応じて変化することがある。
【0098】
このことから、次の事項が推測される。
電動弁5が冷えているときの実逆数波形と、電動弁5が暖まったときの実逆数波形と、が異なる。
電動弁5が十分に暖まるまでは実逆数波形が徐々に変化していき、電動弁5が十分に暖まると実逆数波形が安定する。
【0099】
そのため、電動弁5の初期化動作において、ローター41を回転させて電動弁5を暖めることにより、安定した実逆数波形を取得できる。
【0100】
図20に、第一回転許容状態Sp1の電動弁5においてローター41を第一方向に回転させたときの通電期間D(1)における実逆数波形の一例を示す。図21に、第一回転規制状態Sr1の電動弁5においてローター41を第一方向に回転させたときの通電期間D(1)における実逆数波形の一例を示す。
【0101】
状態判定部83は、実逆数波形をオフ時間の逆数の基準波形と比較して、電動弁5の状態を判定する。以下の説明において、オフ時間の逆数の基準波形を、単に「基準波形」ともいう。
【0102】
また、状態判定部83は、実逆数波形を基準波形と比較して、実逆数波形が基準波形と似ているか否かを判定する。
【0103】
基準波形設定部84は、基準波形を設定する。基準波形は、オフ時間取得部82が取得したオフ時間の逆数に基づいて設定される。基準波形設定部84は、不揮発性メモリ75に基準波形を格納する。基準波形設定部84は、コンピュータ80のRAMに基準波形を格納してもよい。
【0104】
基準波形は、通電期間D(1)~D(4)に対して1つずつ設定される。
【0105】
通電期間D(1)における基準波形は、ローター41を第一方向に回転させるときにステッピングモーター66に入力されるパルスP[2]、P[3]、P[4]に応じてB相コイル62cにB相電流Ibが供給されたときの実逆数波形に基づいて設定される。
【0106】
通電期間D(2)における基準波形は、ローター41を第一方向に回転させるときにステッピングモーター66に入力されるパルスP[4]、P[5]、P[6]に応じてA相コイル61cにA相電流Iaが供給されたときの実逆数波形に基づいて設定される。
【0107】
通電期間D(3)における基準波形は、ローター41を第一方向に回転させるときにステッピングモーター66に入力されるパルスP[6]、P[7]、P[8]に応じてB相コイル62cにB相電流Ibが供給されたときの実逆数波形に基づいて設定される。
【0108】
通電期間D(4)における基準波形は、ローター41を第一方向に回転させるときにステッピングモーター66に入力されるパルスP[8]、P[1]、P[2]に応じてA相コイル61cにA相電流Iaが供給されたときの実逆数波形に基づいて設定される。
【0109】
基準波形は、データテーブルとして不揮発性メモリ75に格納される。不揮発性メモリ75には、通電期間D(1)~D(4)における基準波形である基準波形テーブルC[1]~C[4]が格納される。
【0110】
図22に、基準波形テーブルC[1]の一例を示す。基準波形テーブルC[1]では、通電期間D(1)の始期(時刻0)から所定の時間おきの時刻tと、当該時刻tにおけるオフ時間の逆数の基準値rvと、が関連付けられている。時刻tの間隔は、オフ時間取得部82がオフ時間の逆数を取得する時間間隔(400μs)と同じである。時刻tは、オフ時間取得部82がオフ時間の逆数を取得する時刻(取得時刻)と対応している。基準波形テーブルC[1]は、時刻tと基準値rvとの組を60個有している。図22において、時刻tの単位はμsである。基準値rvの単位はない。時刻tの単位および基準値rvの単位は、独自の単位であってもよい。基準波形テーブルC[2]~D[4]も、基準波形テーブルC[1]と同じ構造を有する。
【0111】
状態判定部83は、実逆数波形と基準波形との相違の度合いを示す値(相違度指標値sv)を算出する。相違度指標値svが大きいほど、実逆数波形と基準波形との相違の度合いが大きい。
【0112】
状態判定部83は、通電期間D(k)(k=1~4)が終了すると、オフ時間取得部82が取得したオフ時間の逆数vと、基準波形テーブルC[k]において逆数vの取得時刻tvに対応する時刻tと関連付けられた基準値rvと、を取得する。状態判定部83は、逆数vから基準値rvを減算した値(差分値dv)を算出する。状態判定部83は、差分値dvを2乗した値(中間値dv2)を算出する。状態判定部83は、通電期間D(k)について算出された複数の中間値dv2を足し合わせて相違度指標値sv[k]を算出する。
【0113】
図23は、通電期間D(1)における実逆数波形(実線)および基準波形(破線)の一例を示す。図23において、実逆数波形と基準波形とを接続する縦線の長さは、相違度指標値sv[1]の算出に用いる差分値dvに対応する。
【0114】
通電期間Dの始期t1から終期t2までの間の取得時刻tvにおいて取得したオフ時間の逆数vをv[tv]とし、基準波形テーブルCにおいて取得時刻tvに対応する時刻tに関連付けられた基準値rvをrv[tv]としたとき、相違度指標値svは以下の式(2)で示される。
【0115】
【数3】
【0116】
状態判定部83は、相違度指標値sv[k]に基づいて電動弁5の状態を判定する。具体的には、状態判定部83は、相違度指標値sv[k]を所定の相違度判定値Hと比較する。状態判定部83は、相違度指標値sv[k]と相違度判定値Hとの比較結果に基づいて、電動弁5が第一回転許容状態Sp1または第一回転規制状態Sr1であるかを判定する。電動弁制御装置70は、相違度指標値sv[k]に対応する相違度判定値H[k]を有していてもよい。各相違度判定値H[k]は、同じ値でもよく、互いに異なる値でもよい。
【0117】
また、状態判定部83は、相違度指標値sv[k]の算出に用いた実逆数波形と基準波形とが似ているか否かを判定する。具体的には、状態判定部83は、相違度指標値sv[k]を所定の類似度判定値Gと比較する。状態判定部83は、相違度指標値sv[k]と類似度判定値Gとの比較結果に基づいて、実逆数波形と基準波形とが似ているか否かを判定する。電動弁制御装置70は、相違度指標値sv[k]に対応する類似度判定値G[k]を有していてもよい。各類似度判定値G[k]は、同じ値でもよく、互いに異なる値でもよい。
【0118】
次に、電動弁制御装置70の初期化動作の例(動作例1)を、図24図28を参照して説明する。
【0119】
電動弁制御装置70(具体的には、コンピュータ80)は、エアコン制御装置110から初期化命令を受信すると(S100)、不揮発性メモリ75に格納されている基準波形を無効にしたのち、初期化動作を行う。初期化動作は、準備動作(S200)、暖機動作(S400)および基準出し動作(S600)を含む。準備動作、暖機動作および基準出し動作は、準備工程、暖機工程および基準出し工程に対応する。
【0120】
(準備動作)
準備動作において、電動弁制御装置70は、ステッピングモーター66へのパルスPの降順での入力を開始して(S210、S220でY)、ローター41を第二方向に回転させる。電動弁制御装置70は、準備動作においてステッピングモーター66に入力したパルスPの数が準備数Npに至ると(S220でN)、ステッピングモーター66へのパルスPの入力を停止する(S230)。電動弁制御装置70は、準備動作を終了して、暖機動作を開始する。
【0121】
(暖機動作)
暖機動作を開始するとき、基準波形は未設定である。「未設定」とは、基準波形が一度も設定されていないこと、基準波形が設定されているが、一度も使用されずに新たに設定される基準波形で上書きされるものであること、および、基準波形が設定されているが、無効と認識されているものであることを含む。
【0122】
暖機動作において、電動弁制御装置70は、ステッピングモーター66へのパルスPの昇順での入力を開始して(S410、S420でY)、ローター41を第一方向に回転させる。電動弁制御装置70は、暖機動作においてステッピングモーター66に入力したパルスPの数がK個に至ると(S420でN)、実逆数波形を取得し(S430)、基準波形を設定する(S440)。実逆数波形の取得は、暖機動作においてK個目に入力したパルスPの後の最初の通電期間Dから開始する。Kは1以上の1つの自然数である。電動弁制御装置70においてK=1である。Kは、暖機数Nwの半分以下の値が好ましい。
【0123】
ステップS430、S440において、電動弁制御装置70は、通電期間D(k)(k=1~4)において実逆数波形を取得し、通電期間D(k)における実逆数波形を基準波形(基準波形テーブルC[k])として不揮発性メモリ75に格納する。すなわち、電動弁制御装置70は、基準波形を設定する。
【0124】
電動弁制御装置70は、基準波形が設定されると、判定動作(S450~S500)を開始する。
【0125】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形を取得する(S450)。電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形と基準波形(基準波形テーブルC[k])とを用いて相違度指標値sv[k]を算出する(S460)。
【0126】
電動弁制御装置70は、実逆数波形と基準波形とが似ているか否かを判定する(S470)。
【0127】
具体的には、電動弁制御装置70は、相違度指標値sv[k]と類似度判定値Gとを比較する。電動弁制御装置70は、相違度指標値sv[k]が類似度判定値G以下であるとき、通電期間D(k)における実逆数波形が基準波形と似ていると判定する。電動弁制御装置70は、相違度指標値sv[k]が類似度判定値Gより大きいとき、通電期間D(k)における実逆数波形が基準波形と似ていないと判定する。
【0128】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形が基準波形と似ていると判定したとき(S480でY)、当該実逆数波形を新たな基準波形(基準波形テーブルC[k])として不揮発性メモリ75に格納する(S490)。
【0129】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形が基準波形と似ていないと判定したとき(S480でN)、現在の基準波形(基準波形テーブルC[k])を維持する。すなわち、電動弁制御装置70は、基準波形を更新しない。
【0130】
電動弁制御装置70は、暖機動作においてステッピングモーター66に入力したパルスPの数が暖機数Nwより小さいとき(S500でY)、上記動作(S450~S500)を繰り返す。
【0131】
電動弁制御装置70は、暖機動作においてステッピングモーター66に入力したパルスPの数が暖機数Nwに至ったとき(S500でN)、暖機動作を終了し、基準出し動作を開始する。
【0132】
(基準出し動作)
基準出し動作において、電動弁制御装置70は、暖機動作に続いて、ステッピングモーター66にパルスPを昇順で入力して、ローター41を第一方向に回転させる。
【0133】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形を取得する(S610)。電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形と基準波形(基準波形テーブルC[k])とを用いて相違度指標値sv[k]を算出する(S620)。
【0134】
電動弁制御装置70は、電動弁5の状態を判定する(S630)。
【0135】
具体的には、電動弁制御装置70は、相違度指標値sv[k]と相違度判定値Hとを比較し、相違度指標値sv[k]の直前に算出した相違度指標値sv[j](k=2、3、4のときj=k-1、k=1のときj=4)と相違度判定値Hとを比較する。電動弁制御装置70は、相違度指標値sv[k]が相違度判定値H以上でありかつ相違度指標値sv[j]が相違度判定値H以上であるとき、電動弁5が第一回転規制状態Sr1であると判定する。電動弁制御装置70は、相違度指標値sv[k]が相違度判定値Hより小さいとき、または、相違度指標値sv[j]が相違度判定値Hより小さいとき、電動弁5が第一回転許容状態Sp1であると判定する。
【0136】
または、電動弁制御装置70は、相違度指標値sv[k]のみ相違度判定値Hと比較して、電動弁5の状態を判定してもよい。具体的には、電動弁制御装置70は、パルスP[1]~P[8]を含む期間X[n](nは自然数)に係る相違度指標値sv[k]と相違度判定値Hとを比較し、当該期間X[n]の直前の期間X[n-1]に係る相違度指標値sv[k]と相違度判定値Hとを比較する。電動弁制御装置70は、期間X[n]に係る相違度指標値sv[k]が相違度判定値H以上でかつ期間X[n-1]に係る相違度指標値sv[k]が相違度判定値H以上であるとき、電動弁5が第一回転規制状態Sr1であると判定する。なお、電動弁制御装置70は、3つ以上の連続した期間Xに係る複数の相違度指標値sv[k]がすべて相違度判定値H以上であるとき、電動弁5が第一回転規制状態Sr1であると判定してもよい。電動弁制御装置70は、期間X[n]に係る相違度指標値sv[k]が相違度判定値Hより小さいとき、または、期間X[n-1]に係る相違度指標値sv[k]が相違度判定値Hより小さいとき、電動弁5が第一回転許容状態Sp1であると判定する。
【0137】
電動弁制御装置70は、電動弁5が第一回転規制状態Sr1であるとき(S640でY)、ローター41が基準位置Rxに位置づけられたと判定する。そして、電動弁制御装置70は、エアコン制御装置110に初期化動作の成功を通知し(S660)、ステッピングモーター66へのパルスPの入力を停止する(S680)。電動弁制御装置70は、基準出し動作(初期化動作)を終了する。
【0138】
電動弁制御装置70は、電動弁5が第一回転許容状態Sp1でありかつ暖機動作および基準出し動作においてステッピングモーター66に入力したパルスPの数が初期化数Ni以下であるとき(S640でN、S650でN)、上記動作(S610~S650)を繰り返す。
【0139】
電動弁制御装置70は、電動弁5が第一回転許容状態Sp1でありかつ暖機動作および基準出し動作においてステッピングモーター66に入力したパルスPの数が初期化数Niを超えたとき(S640でN、S650でY)、電動弁5が故障していると判定する。そして、電動弁制御装置70は、エアコン制御装置110に初期化動作の失敗を通知し(S670)、ステッピングモーター66へのパルスPの入力を停止する(S680)。電動弁制御装置70は、基準出し動作(初期化動作)を終了する。なお、電動弁制御装置70は、基準出し動作において、上記判定動作を行ってもよい。具体的には、基準出し動作のステップS620の直前に暖機動作のステップS460~S490と同じ動作を行う。
【0140】
初期化動作が成功すると、ローター41が基準位置Rxに位置付けられる。電動弁制御装置70は、基準位置Rxにあるローター41を第二方向に回転させるとき、ステッピングモーター66にパルスPを降順で入力する。
【0141】
動作例1において、ステップS430、S450およびS610がオフ時間取得工程に対応し、ステップS440およびS490が基準波形設定工程に対応し、ステップS630が状態判定工程に対応する。
【0142】
次に、電動弁制御装置70の初期化動作の他の例(動作例2)を、図29図30を参照して説明する。
【0143】
動作例2において、不揮発性メモリ75には、基準波形(基準波形テーブルC[k])と、第一基準波形(第一基準波形テーブルC1[k])と、第二基準波形(第二基準波形テーブルC2[k])と、が格納される。第一基準波形テーブルC1[k]および第二基準波形テーブルC2[k]は、基準波形テーブルC[k]と同じ構成を有する。
【0144】
電動弁制御装置70は、エアコン制御装置110から初期化命令を受信すると(S100)、不揮発性メモリ75に格納されている基準波形、第一基準波形および第二基準波形を無効にしたのち、初期化動作を行う。初期化動作は、準備動作(S200)、暖機動作(S700)および基準出し動作(S600)を含む。動作例2において、準備動作および基準出し動作は動作例1と同じであるため、詳細説明を省略する。
【0145】
(暖機動作)
暖機動作を開始するとき、基準波形と、第一基準波形と、第二基準波形と、は未設定である。
【0146】
暖機動作において、電動弁制御装置70は、ステッピングモーター66へのパルスPの昇順での入力を開始して(S710、S720でY)、ローター41を第一方向に回転させる。電動弁制御装置70は、暖機動作においてステッピングモーター66に入力したパルスPの数がK個に至ると(S720でN)、実逆数波形を取得し(S730)、第一基準波形を設定する(S740)。実逆数波形の取得は、暖機動作においてK個目に入力したパルスPの後の最初の通電期間Dから開始する。
【0147】
ステップS730、S740において、電動弁制御装置70は、通電期間D(k)において実逆数波形を取得し、通電期間D(k)における実逆数波形を第一基準波形(第一基準波形テーブルC1[k])として不揮発性メモリ75に格納する。すなわち、電動弁制御装置70は、第一基準波形を設定する。
【0148】
電動弁制御装置70は、第一基準波形が設定されると、第一判定動作(S750~S930)を開始する。
【0149】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形を取得する(S750)。電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形と第一基準波形(第一基準波形テーブルC1[k])とを用いて第一相違度指標値sv1[k]を算出する(S760)。電動弁制御装置70は、相違度指標値sv[k]と同じ方法で第一相違度指標値sv1[k]を算出する。
【0150】
電動弁制御装置70は、実逆数波形と第一基準波形とが似ているか否かを判定する(S770)。
【0151】
具体的には、電動弁制御装置70は、第一相違度指標値sv1[k]と類似度判定値Gとを比較する。電動弁制御装置70は、第一相違度指標値sv1[k]が類似度判定値G以下であるとき、通電期間D(k)における実逆数波形が第一基準波形と似ていると判定する。電動弁制御装置70は、第一相違度指標値sv1[k]が類似度判定値Gより大きいとき、通電期間D(k)における実逆数波形が第一基準波形と似ていないと判定する。
【0152】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形が第一基準波形と似ていると判定したとき(S780でY)、当該実逆数波形を新たな第一基準波形(第一基準波形テーブルC1[k])として不揮発性メモリ75に格納する(S790)。
【0153】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形が第一基準波形と似ていないと最初に判定したとき(S780でN)、当該実逆数波形を第二基準波形(第二基準波形テーブルC2[k])として不揮発性メモリ75に格納する(S820)。すなわち、電動弁制御装置70は、第二基準波形を設定する。
【0154】
電動弁制御装置70は、暖機動作においてステッピングモーター66に入力したパルスPの数が暖機数Nwより小さいとき(S800でY)、上記動作(S750~S800)を繰り返す。
【0155】
電動弁制御装置70は、暖機動作においてステッピングモーター66に入力したパルスPの数が暖機数Nwに至ったとき(S800でN)、第一基準波形(第一基準波形テーブルC1[k])を基準波形(基準波形テーブルC[k])として設定する(S810)。電動弁制御装置70は、暖機動作を終了し、基準出し動作を開始する。
【0156】
電動弁制御装置70は、第二基準波形が設定されると、第二判定動作(S830~S930)を開始する。
【0157】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形を取得する(S830)。電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形と第一基準波形(第一基準波形テーブルC1[k])とを用いて第一相違度指標値sv1[k]を算出し、通電期間D(k)における実逆数波形と第二基準波形(第二基準波形テーブルC2[k])とを用いて第二相違度指標値sv2[k]を算出する(S840)。電動弁制御装置70は、相違度指標値sv[k]と同じ方法で第一相違度指標値sv1[k]および第二相違度指標値sv2[k]を算出する。
【0158】
電動弁制御装置70は、実逆数波形と第一基準波形とが似ているか否かを判定し、実逆数波形と第二基準波形とが似ているか否かを判定する(S850)。
【0159】
具体的には、電動弁制御装置70は、第一相違度指標値sv1[k]と類似度判定値Gとを比較する。電動弁制御装置70は、第一相違度指標値sv1[k]が類似度判定値G以下であるとき、通電期間D(k)における実逆数波形が第一基準波形と似ていると判定する。電動弁制御装置70は、第一相違度指標値sv1[k]が類似度判定値Gより大きいとき、通電期間D(k)における実逆数波形が第一基準波形と似ていないと判定する。
【0160】
電動弁制御装置70は、第二相違度指標値sv2[k]と類似度判定値Gとを比較する。電動弁制御装置70は、第二相違度指標値sv2[k]が類似度判定値G以下であるとき、通電期間D(k)における実逆数波形が第二基準波形と似ていると判定する。電動弁制御装置70は、第二相違度指標値sv2[k]が類似度判定値Gより大きいとき、通電期間D(k)における実逆数波形が第二基準波形と似ていないと判定する。
【0161】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形が第一基準波形と似ていると判定し、かつ、通電期間D(k)における実逆数波形が第二基準波形と似ていないと判定したとき(S860でY、S870でN)、当該実逆数波形を新たな第一基準波形(第一基準波形テーブルC1[k])として不揮発性メモリ75に格納する(S900)。
【0162】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形が第一基準波形と似ていないと判定し、かつ、通電期間D(k)における実逆数波形が第二基準波形と似ていると判定したとき(S860でN、S880でY)、当該実逆数波形を新たな第二基準波形(第二基準波形テーブルC2[k])として不揮発性メモリ75に格納する(S910)。
【0163】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形が第一基準波形と似ていないと判定し、かつ、通電期間D(k)における実逆数波形が第二基準波形と似ていないと判定したとき(S860でN、S880でN)、現在の第一基準波形(第一基準波形テーブルC1[k])を維持し、かつ、現在の第二基準波形(第二基準波形テーブルC2[k])を維持する。
【0164】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形が第一基準波形と似ていると判定し、かつ、通電期間D(k)における実逆数波形が第二基準波形と似ていると判定したとき(S860でY、S870でY)、当該実逆数波形が第一基準波形と第二基準波形のどちらに似ているか判定する(S890)。
【0165】
具体的には、電動弁制御装置70は、第一相違度指標値sv1[k]と第二相違度指標値sv2[k]とを比較する。電動弁制御装置70は、第一相違度指標値sv1[k]が第二相違度指標値sv2[k]以下のとき(sv1[k]≦sv2[k])、通電期間D(k)における実逆数波形が第二基準波形より第一基準波形に似ていると判定する。電動弁制御装置70は、第一相違度指標値sv1[k]が第二相違度指標値sv2[k]より大きいとき(sv1[k]>sv2[k])、通電期間D(k)における実逆数波形が第一基準波形より第二基準波形に似ていると判定する。
【0166】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形が第二基準波形より第一基準波形に似ていると判定したとき(S890でY)、当該実逆数波形を新たな第一基準波形(第一基準波形テーブルC1[k])として不揮発性メモリ75に格納する(S900)。
【0167】
電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形が第一基準波形より第二基準波形に似ていると判定したとき(S890でN)、当該実逆数波形を新たな第二基準波形(第二基準波形テーブルC2[k])として不揮発性メモリ75に格納する(S910)。
【0168】
なお、電動弁制御装置70は、通電期間D(k)における実逆数波形が第一基準波形と似ていると判定し、かつ、通電期間D(k)における実逆数波形が第二基準波形と似ていると判定したとき(S860でY、S870でY)、当該実逆数波形を新たな第一基準波形(第一基準波形テーブルC1[k])として不揮発性メモリ75に格納し、かつ、当該実逆数波形を新たな第二基準波形(第二基準波形テーブルC2[k])として不揮発性メモリ75に格納してもよい。
【0169】
電動弁制御装置70は、暖機動作においてステッピングモーター66に入力したパルスPの数が暖機数Nwより小さいとき(S920でY)、上記動作(S830~S920)を繰り返す。
【0170】
電動弁制御装置70は、暖機動作においてステッピングモーター66に入力したパルスPの数が暖機数Nwに至ったとき(S920でN)、第一基準波形および第二基準波形のうち設定回数の多い方を基準波形として設定する(S930)。第一基準波形の設定回数は、ステップS740、S790およびS900において実逆数波形が第一基準波形として設定された回数である。第二基準波形の設定回数は、ステップS820およびS910において実逆数波形が第二基準波形として設定された回数である。電動弁制御装置70は、暖機動作を終了し、基準出し動作を開始する。
【0171】
動作例2において、ステップS730、S750およびS830がオフ時間取得工程に対応し、ステップS740、S790、S810、S820、S900、S910およびS930が基準波形設定工程に対応し、ステップS630が状態判定工程に対応する。
【0172】
電動弁装置1は、電動弁5と、電動弁制御装置70と、を有する。電動弁5が、弁口17を有する弁本体10と、ローター41およびステーター60を有するステッピングモーター66と、弁口17と向かい合い、ローター41が第一方向に回転すると弁口17に向けて移動する弁体30と、ローター41が基準位置Rxにあるときにローター41の第一方向への回転を規制するストッパ機構49と、を有する。ステーター60が、駆動電流を供給する電流回路であるHブリッジ回路77A、77Bに接続される。Hブリッジ回路77A、77Bは、スイッチ素子を有している。Hブリッジ回路77Aは、A相電流IaがA相電流下限値Isaより小さいとスイッチ素子がオンされ、A相電流IaがA相電流目標値Itaになるとスイッチ素子がオフされる方式で動作する。Hブリッジ回路77Bは、B相電流IbがB相電流下限値Isbより小さいとスイッチ素子がオンされ、B相電流IbがB相電流目標値Itbになるとスイッチ素子がオフされる方式で動作する。
【0173】
電動弁制御装置70が、ローター41を第一方向に回転させるA相電流IaおよびB相電流Ibがステーター60に供給されているときのHブリッジ回路77A、77Bのスイッチ素子のオフ時間を取得する(オフ時間取得部82)。電動弁制御装置70が、オフ時間に基づいて、電動弁5が第一回転規制状態Sr1であるか否かを判定する(状態判定部83)。
【0174】
このようにしたことから、電動弁制御装置70が、正常動作可能な電動弁5について、当該電動弁5が第一回転規制状態Sr1であると判定したときにローター41が基準位置Rxにある。そのため、電動弁制御装置70が、電動弁5が第一回転規制状態Sr1であると判定したときに、ローター41の第一方向への回転を停止することで、初期化動作にかかる時間を短くすることができる。また、ローター41が基準位置Rxに位置付けられたあとに、騒音が長い時間発生することを抑制できる。
【0175】
また、電動弁制御装置70が、Hブリッジ回路77A、77Bのスイッチ素子のオフ時間に基づいて、電動弁5が第一回転規制状態Sr1であるか否かを判定する。そのため、回転角度センサーなどのローター41の回転に基づいて電動弁5の状態を判定するため部品が不要であり、電動弁5および電動弁制御装置70を簡易な構成にできる。
【0176】
また、例えば、逆起電力に基づいて電動弁5の状態を判定する場合、ステーター60に駆動電流が流れていないときに逆起電力を取得するため、逆起電力を取得するタイミングが限られる。一方、オフ時間に基づいて電動弁5の状態を判定する場合、ステーター60に駆動電流が流れていてもオフ時間を取得することができる。そのため、電動弁制御装置70が、電動弁5が第一回転規制状態Sr1であるか否かを適時に判定できる。
【0177】
また、電動弁制御装置70が、オフ時間の逆数の波形(実逆数波形)を取得し、実逆数波形とオフ時間の逆数の基準波形との相違の度合いに基づいて、電動弁5が第一回転規制状態Sr1であるか否かを判定する。そのため、実逆数波形の面積または実逆数波形の最大振幅に基づいて電動弁5の状態を判定する構成に比べて、電動弁5の状態をより高い精度で判定できる。
【0178】
また、基準波形が、ローター41を第一方向に回転させるA相電流IaおよびB相電流Ibがステーター60に供給されたときに取得された実逆数波形に基づいて設定される。そして、電動弁制御装置70が、実逆数波形と基準波形との相違の度合いを示す相違度指標値svを算出し、相違度指標値svと相違度判定値Hとの比較結果に基づいて、電動弁5が第一回転規制状態Sr1であるか否かを判定する。このようにすることで、電動弁制御装置70は、電動弁5の状態をより高い精度で判定できる。
【0179】
また、基準波形が、時刻tと当該時刻tにおけるオフ時間の逆数の基準値rvとが関連付けられたデータテーブルである。電動弁制御装置70が、時刻tに対応する取得時刻tvにおけるオフ時間の逆数vと時刻tと関連付けられた基準値rvとの差分値を2乗した値である中間値dv2を算出する。電動弁制御装置70が、複数の中間値dv2を足し合わせて相違度指標値svを算出する。このようにしたことから、相違度指標値svは、波形の面積および波形の最大振幅とは異なり、波形の形状の相違の度合いが適切に反映されている。そのため、電動弁制御装置70は、電動弁5の状態をより高い精度で判定できる。
【0180】
なお、相違度指標値svは、上記式(2)を用いて算出されるものに限定されない。相違度指標値は、例えば、取得時刻tvにおける逆数vの大きさの推移に係るものであってもよい。具体的には、電動弁制御装置70が、時刻tに対応する取得時刻tvにおけるオフ時間の逆数vと時刻tと関連付けられた基準値rvとの差分値dvを算出する。差分値dvは絶対値として算出される。電動弁制御装置70は、通電期間Dについて算出された複数の差分値dvのうち所定の差分判定値以上のものの個数を相違度指標値とする。このような相違度指標値も、波形の形状の相違の度合いが適切に反映されている。
【0181】
また、電動弁制御装置70が、ステッピングモーター66にパルスPを入力してローター41を回転させる(回転制御部81)。電動弁制御装置70が、基準波形を設定する(基準波形設定部84)。Hブリッジ回路77A、77Bが、ステッピングモーター66へのパルスPの入力に対応してステーター60にパルスPに応じたA相電流IaおよびB相電流Ibを供給する。電動弁制御装置70が、ステッピングモーター66に準備数NpのパルスPを入力してローター41を第二方向に回転させる準備動作を行う。電動弁制御装置70が、準備動作に続いて、ステッピングモーター66に暖機数NwのパルスPを入力してローター41を第一方向に回転させる暖機動作を行う。暖機数Nwは、準備数Npと同じである。電動弁制御装置70が、暖機動作中に取得した実逆数波形を基準波形として設定する。このようにすることで、電動弁制御装置70が、電動弁5が動作を開始してからしばらく経過した時点において取得した実逆数波形を基準波形として設定する。そのため、実際に電動弁5を用いて取得した比較的安定した実逆数波形を基準波形とすることができ、電動弁5の状態をより高い精度で判定できる。
【0182】
また、電動弁制御装置70が動作例1において暖機動作を開始するとき、基準波形が未設定である。電動弁制御装置70が、暖機動作中に取得した実逆数波形と基準波形との相違の度合いに基づいて、当該実逆数波形と基準波形とが似ているか否かを判定する判定動作を行う。電動弁制御装置70が、基準波形を設定したあと、判定動作を開始する。電動弁制御装置70が、暖機動作においてステッピングモーター66に入力されたパルスPの数がK個に至ると、電動弁制御装置70が取得した実逆数波形を基準波形として設定する。電動弁制御装置70が、判定動作において実逆数波形と基準波形とが似ていると判定したとき、当該判定に係る実逆数波形を基準波形として設定する。電動弁制御装置70が、判定動作において実逆数波形と基準波形とが似ていないと判定したとき、基準波形を維持する。このようにすることで、電動弁制御装置70が、電動弁5に適した基準波形を設定することができる。
【0183】
また、電動弁制御装置70が、判定動作において、実逆数波形と基準波形との相違の度合いを示す相違度指標値svを算出し、相違度指標値svと類似度判定値Gとの比較結果に基づいて、実逆数波形と基準波形とが似ているか否かを判定する。このようにすることで、電動弁制御装置70が、電動弁5により適した基準波形を設定することができる。
【0184】
また、電動弁制御装置70が動作例2において暖機動作を開始するとき、第一基準波形と、第二基準波形と、が未設定である。電動弁制御装置70が、暖機動作中に取得した実逆数波形と第一基準波形との相違の度合いに基づいて、実逆数波形と第一基準波形とが似ているか否かを判定する第一判定動作を行う。電動弁制御装置70が、暖機動作中に取得した実逆数波形と第二基準波形との相違の度合いに基づいて、実逆数波形と第二基準波形とが似ているか否かを判定する第二判定動作を行う。電動弁制御装置70が、第一基準波形を設定したあと、第一判定動作を開始する。電動弁制御装置70が、第二基準波形を設定したあと、第二判定動作を開始する。電動弁制御装置70が、暖機動作においてステッピングモーター66に入力されたパルスPの数がK個に至ると、電動弁制御装置70が取得した実逆数波形を第一基準波形として設定する。電動弁制御装置70が、第一判定動作において実逆数波形と第一基準波形とが似ていると判定したとき、当該判定に係る実逆数波形を第一基準波形として設定する。電動弁制御装置70が、第一判定動作において実逆数波形と第一基準波形とが似ていないと判定したとき、第一基準波形を維持する。電動弁制御装置70が、第一判定動作において実逆数波形と第一基準波形とが似ていないと最初に判定したとき、当該判定に係る実逆数波形を第二基準波形として設定する。電動弁制御装置70が、第二判定動作において実逆数波形と第二基準波形とが似ていると判定したとき、当該判定に係る実逆数波形を第二基準波形として設定する。電動弁制御装置70が、第二判定動作において実逆数波形と第二基準波形とが似ていないと判定したとき、第二基準波形を維持する。電動弁制御装置70が、暖機動作が終了する前に、第一基準波形および第二基準波形のうち設定回数の多い方を基準波形として設定する。このようにすることで、電動弁制御装置70が、電動弁5に適した基準波形を設定することができる。
【0185】
また、電動弁制御装置70が、第一判定動作において実逆数波形と第一基準波形とが似ていると判定しかつ第二判定動作において当該実逆数波形と第二基準波形とが似ていると判定したとき、当該判定に係る実逆数波形を第一基準波形および第二基準波形のうち当該実逆数波形により似ている方として設定する。このようにすることで、1つの実逆数波形が第一基準波形および第二基準波形として設定されてしまうことを回避できる。
【0186】
また、電動弁制御装置70が、第一判定動作において、実逆数波形と第一基準波形との相違の度合いを示す第一相違度指標値sv1を算出し、第一相違度指標値sv1と類似度判定値Gとの比較結果に基づいて、実逆数波形と第一基準波形とが似ているか否かを判定する。電動弁制御装置70が、第二判定動作において、実逆数波形と第二基準波形との相違の度合いを示す第二相違度指標値sv2を算出し、第二相違度指標値sv2と類似度判定値Gとの比較結果に基づいて、実逆数波形と第二基準波形とが似ているか否かを判定する。このようにすることで、電動弁制御装置70が、電動弁5により適した第一基準波形、第二基準波形および基準波形を設定することができる。
【0187】
また、電動弁制御装置70が、準備動作および暖機動作を複数回行い、最後の暖機動作中に取得した実逆数波形を基準波形として設定してもよい。このようにすることで、電動弁5を十分に暖めることができ、より安定した実逆数波形を基準波形として設定することができる。
【0188】
また、電動弁制御装置70が、暖機動作に続いて、ステッピングモーター66にパルスPを入力してローター41を第一方向に回転させる基準出し動作を行う。電動弁制御装置70が、基準出し動作中に電動弁5が第一回転規制状態Sr1であると判定したとき、ステッピングモーター66へのパルスPの入力を停止する。電動弁制御装置70が、暖機動作および基準出し動作においてステッピングモーター66に入力されたパルスPの数が初期化数Niを超えたとき、電動弁5が故障していると判定する。このようにすることで、例えば、電動弁5が第一回転規制状態Sr1であることをエアコン制御装置110に通知し、エアコン制御装置110から停止命令を受信して、初期化動作を停止する構成に比べて、電動弁制御装置70は、簡易かつ迅速にローター41の第一方向への回転を停止することができる。また、電動弁制御装置70が、電動弁5が故障したことを検出できる。
【0189】
電動弁制御装置70は、初期化動作において取得した実逆数波形を基準波形として設定する。電動弁制御装置70は、例えば、電動弁5を用いて工場出荷時に取得した実逆数波形が基準波形としてあらかじめ設定されていてもよい。この構成を有する電動弁制御装置70は、初期化動作において、準備動作および暖機動作を行わずにステッピングモーター66へのパルスPの昇順での入力を開始し、基準出し動作を行う。
【0190】
本明細書において、「円筒」や「円柱」等の形状を示す各用語は、実質的にその用語の形状を有する部材や部材の部分にも用いられている。例えば、「円筒形状の部材」は、円筒形状の部材と実質的に円筒形状の部材とを含む。また、本明細書において、「同じ」との用語は、厳密に同じ場合と、実質的に同じ場合を含むことがある。
【0191】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例に限定されるものではない。前述の実施例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0192】
1…電動弁装置、5…電動弁、10…弁本体、11…本体部材、11a…嵌合穴、11b…貫通孔、11d…平面、13…接続部材、14…弁室、15…第1導管、16…第2導管、17…弁口、18…弁座、20…キャン、30…弁体、31…第1軸部、32…第2軸部、33…弁部、34…段部、40…駆動機構、41…ローター、41a…嵌合孔、42…弁軸ホルダー、42a…上壁部、42b…軸孔、42c…雌ねじ、42s…可動ストッパ、43…ガイドブッシュ、43a…基部、43b…支持部、43c…雄ねじ、43d…平面、44…ストッパ部材、44a…ストッパ本体、44c…雌ねじ、44s…固定ストッパ、45…固定具、45a…固定部、45b…フランジ部、46…ワッシャー、47…閉弁ばね、48…復帰ばね、49…ストッパ機構、60…ステーター、61…A相ステーター、61a…極歯、61b…極歯、61c…A相コイル、62…B相ステーター、62a…極歯、62b…極歯、62c…B相コイル、66…ステッピングモーター、70…電動弁制御装置、71…基板、75…不揮発性メモリ、76…通信装置、77…モータードライバ、77A…Hブリッジ回路、77B…Hブリッジ回路、77C…電流制御部、80…コンピュータ、81…回転制御部、82…オフ時間取得部、83…状態判定部、84…基準波形設定部、100…エアコンシステム、101…圧縮機、102…凝縮器、103…蒸発器、105…配管、110…エアコン制御装置、120…有線通信バス、L…軸線

図1
図2
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