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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123603
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/16 20060101AFI20240905BHJP
   E06B 1/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
E06B3/16
E06B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031168
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊野 亘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】小石 恵
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014BA02
2E014BB00
(57)【要約】
【課題】容易に施工することができる建具を提供すること。
【解決手段】室内窓1は、建物の開口部F1の上面F2に固定される上枠2と、上枠2に連結されるとともに、壁開口部F1の下面F3に固定される障子4と、を備え、上枠2は、下方に延びる連結垂下片232を備え、障子4は、連連結垂下片232に対向する第1見付け面部423と、を備え、連結垂下片232および第1見付け面部423は、見込み方向一方側から取り付けられる上框固定ねじ24により固定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部の上面に固定される上枠と、
前記上枠に連結されるとともに、前記開口部の下部に固定される障子と、を備え、
前記上枠は、下方に延びる連結垂下片を備え、
前記障子は、前記連結垂下片に対向する連結対向部を備え、
前記連結垂下片および前記連結対向部は、見込み方向一方側から取り付けられる固定具により固定されている建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具において、
前記障子は、前記連結垂下片が差し込まれる差込孔を備え、
前記連結垂下片は、前記上枠から前記見込み方向一方側に向けて斜め下方に延びる傾斜片部を備え、
前記連結対向部は、前記差込孔に差し込まれた前記連結垂下片よりも前記見込み方向一方側に設けられている建具。
【請求項3】
請求項2に記載の建具において、
前記連結垂下片は、前記傾斜片部から略鉛直下方に延びる鉛直片部を備え、
前記連結対向部は、前記鉛直片部に対向するように設けられ、前記固定具により前記鉛直片部に固定されている建具。
【請求項4】
請求項1に記載の建具において、
前記連結垂下片は、略鉛直下方に延びるように形成された鉛直片部を備え、
前記連結対向部は、前記鉛直片部に対向するように設けられ、
前記鉛直片部および前記連結対向部のうち一方の部位は、他方の部位に対して前記見込み方向一方側に設けられ、
前記一方の部位は、前記固定具としてのねじが挿通される縦長孔状のねじ挿通長孔を備え、
前記他方の部位は、前記ねじが螺合される雌ねじ部を備えている建具。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の建具において、
前記上枠は、前記障子の見込み方向における一方側および他方側において、前記障子の一対の見付け面における上側の部位に対向する障子対向部を備えている建具。
【請求項6】
請求項1に記載の建具において、
前記障子における前記見込み方向一方側の見付け面には、前記固定具を前記連結垂下片および前記連結対向部に取り付けるための固定具取付用開口部と、前記固定具取付用開口部を塞ぐ障子上側カバーと、が設けられている建具。
【請求項7】
請求項1に記載の建具において、
前記連結垂下片を有し、前記上枠に固定される連結部材を備えている建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの窓装置を水平方向に連結して、壁の開口部に設置する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の構成において、各窓装置は、上部フレームと、下部フレームと、中間フレームと、2本の側部フレームと、2枚の透光板と、を備えている。一方の透光板は、上部フレーム、中間フレームおよび2本の側部フレームにより四周が囲まれており、他方の透光板は、中間フレーム、下部フレームおよび2本の側部フレームにより四周が囲まれている。
上部フレーム、下部フレーム、中間フレームおよび2本の側部フレームにおける見込み方向の中央には、透光板の端部を受け入れる受入溝が設けられている。受入溝には、透光板の端部を保持するガスケットが嵌め込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-84687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような構成では、固着具を打ち込む工具が透光板に接触するおそれがあり容易に施工することができない。
【0005】
本発明の目的は、容易に施工することができる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、建物の開口部の上面に固定される上枠と、前記上枠に連結されるとともに、前記開口部の下部に固定される障子と、を備え、前記上枠は、下方に延びる連結垂下片を備え、前記障子は、前記連結垂下片に対向する連結対向部を備え、前記連結垂下片および前記連結対向部は、見込み方向一方側から取り付けられる固定具により固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容易に施工することができる建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における室内窓の縦断面図である。
図2】実施形態における室内窓の横断面図である。
図3】実施形態における室内窓を構成する連結部材および上框の斜視図である。
図4】実施形態における障子の建て込み方法の説明図であり、上框の差込孔に連結部材の被固定片を差し込んだ状態を示す。
図5】実施形態における障子の建て込み方法の説明図であり、建て込み時における障子の動きを示す。
図6】変形例における室内窓の要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
〔室内窓の構成〕
以下、本発明の実施形態の建具である室内窓について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の室内窓の縦断面図である。図2は、室内窓の横断面図である。図3は、室内窓を構成する連結部材および上框の斜視図である。
図1および図2に示す室内窓1は、建物の室内空間を第1室内空間と第2室内空間に仕切る躯体である壁Fの開口部としての壁開口部F1に設置される。本実施形態では、1枚の壁Fの壁開口部F1を塞ぐ腰高窓状に設置された室内窓1を例示するが、室内窓1は、左右方向の片側が開放されるように設置される構成(片側オープン納まり型)、下端が床に接触するように設置される構成(床設置型)、片側オープン納まり型と床設置型を組み合わせた構成、または、コーナー方立を介して互い直交するように設置される構成であっても良い。また、室内窓1と同じ構成を、屋外と屋内とを仕切る窓に適用しても良い。
【0010】
室内窓1は、壁開口部F1の上面F2に固定される上枠2と、上枠2に連結されるとともに壁開口部F1の下部としての下面F3に固定される障子ユニット3と、を備えている。障子ユニット3は、見付け方向に連結された一対の障子4を備えている。一対の障子4は、上段に位置する上段FIX窓40Aと、下段に位置する下段FIX窓40Bと、をそれぞれ備えている。なお、一対の障子4は、3段以上のFIX窓を備えていても良い。
なお、壁Fの壁面に沿った水平方向をX軸方向、壁面に沿った上下方向をY軸方向、壁面に直交する方向をZ軸方向とする。そして、X軸方向において、室内窓1を第1空間から見て左側の方向をX1方向、右側の方向をX2方向とし、Y軸方向において、上方向をY1方向、下方向をY2方向とし、Z軸方向において第2空間から第1空間に向かう方向をZ1方向、第1空間から第2空間に向かう方向をZ2方向とする。
【0011】
上枠2のX軸方向(見付け方向)の長さは、上面F2の見付け方向の長さよりも若干短い。図1に示すように、上枠2は、上面F2にねじ止めされる長方形板状の上枠本体21と、上枠本体21のZ軸方向(見込み方向)両側縁から下方に延びる障子対向部22と、を備えている。障子対向部22は、障子4の見付け面の上側の部位に対向する長さに形成されている。
上枠2の上枠本体21には、連結部材23が固定されている。連結部材23は、上枠本体21にねじ止めされる四角板状の連結部材本体231と、連結部材本体231のZ1方向側の端縁から下方に延びる連結垂下片232と、を備えている。連結垂下片232は、Z1方向側(見込み方向一方側)に向けて斜め下方に延びる傾斜片部233と、傾斜片部233から鉛直下方に延びる鉛直片部234と、を備えている。鉛直片部234には、障子4を上枠2に固定するための固定具としての上框固定ねじ24が螺合される雌ねじ部232Aが設けられている。連結部材23は、例えば、金属性の四角形板を折り曲げ成形することにより、連結部材本体231および連結垂下片232を有する形状に形成されている。
【0012】
このように、連結垂下片232を有する連結部材23を上枠2とは別体で構成することにより、上枠2を容易に製造することができる。また、上枠2を連結部材23を用いない建具にも利用することができる。
【0013】
図1および図2に示すように、障子ユニット3を構成する一対の障子4は、上下に並ぶ四角板状の2枚の面材41と、上側の面材41の上側に位置する上框42と、下側の面材41の下側に位置する下框43と、2枚の面材41の間に位置する中桟44と、をそれぞれ備えている。X1方向側の障子4(以下、左障子4Aと言う場合がある)は、上框42、下框43および中桟44のX1方向側の端部にねじ止めされた外側縦框45と、X2方向側の端部にねじ止めされた連結框46(以下、左連結框46Aと言う場合がある。)と、をさらに備えている。X2方向側の障子4(以下、右障子4Bと言う場合がある)は、上框42、中桟44および下框43のX2方向側の端部にねじ止めされた外側縦框45と、X1方向側の端部にねじ止めされた連結框46(以下、右連結框46Bと言う場合がある。)と、をさらに備えている。
各障子4において、上側の面材41、当該上側の面材41の四周を囲む上框42、中桟44、外側縦框45の上側の部位および連結框46の上側の部位とにより、上段FIX窓40Aが構成され、下側の面材41と、当該下側の面材41の四周を囲む中桟44、下框43、外側縦框45の下側の部位および連結框46の下側の部位とにより、下段FIX窓40Bが構成されている。
左障子4Aの左連結框46Aは、右障子4Bの右連結框46Bに連結されている。
【0014】
面材41は、例えばガラスパネルであるが、樹脂パネルであっても良い。
上框42、下框43、中桟44、外側縦框45および連結框46は、例えばアルミ押出形材であり、本発明の框を構成する。
各框42,43,44,45,46(上框42、下框43、中桟44、外側縦框45および連結框46)は、面材41の外周部が挿入される面材挿入用溝48をそれぞれ有する。各面材挿入用溝48は、各框42,43,44,45,46におけるZ軸方向中央において、同じ形状に形成されている。
各面材挿入用溝48における面材41の各主面にそれぞれ対向する一対の開口縁には、各面材41に近づく方向に突出する隠蔽部481がそれぞれ形成されている。各隠蔽部481は、各框42,43,44,45,46の長手方向の全域にわたって形成されている。
【0015】
各面材挿入用溝48の内部には、面材41の外周部を保持するガスケット49と、当該ガスケット49と面材挿入用溝48の溝底面482との間に配置されたセッティングブロック50と、が収納されている。
ガスケット49は、各框42,43,44,45,46の長手方向の長さとほぼ同じ長さに形成されており、各框42,43,44,45,46の長手方向一端から、隠蔽部481とセッティングブロック50との間の領域に挿入される。面材挿入用溝48内に位置するガスケット49は、隠蔽部481により隠されている。
セッティングブロック50は、面材挿入用溝48の溝底面482に貼り付けられている。
【0016】
図1に示すように、各障子4の上框42は、上面部421、下面部422、連結対向部としての第1見付け面部423、第2見付け面部424および仕切面部425をそれぞれ備えている。第1見付け面部423は、上面部421と下面部422のZ1方向側の端縁を接続する。第2見付け面部424は、上面部421と下面部422のZ2方向側の端縁を接続する。仕切面部425は、上面部421と下面部422のZ軸方向の中央を接続する。
上面部421には、上枠2の各連結垂下片232が差し込まれる差込孔421Aが形成されている。
下面部422には、上述した面材挿入用溝48が設けられている。
第1見付け面部423には、上框固定ねじ24が挿通されるねじ挿通長孔423Aが設けられている。ねじ挿通長孔423Aは、上框固定ねじ24の挿通位置を上下方向に調整できるように、縦長孔状に形成されている。上框42は、ワッシャ241およびねじ挿通長孔423Aに挿通された上框固定ねじ24が、連結部材23の雌ねじ部232Aに螺合されることにより、上枠2に固定されている。
第1見付け面部423の上縁および下縁には、Z1方向に延びる上框カバー取付片部426が、上框42の長手方向の全体にわたってそれぞれ設けられている。一対の上框カバー取付片部426の間の空間は、上框固定ねじ24を第1見付け面部423および連結垂下片232に固定するための固定具取付用開口部427を構成している。一対の上框カバー取付片部426の先端側には、固定具取付用開口部427全体を塞ぐ障子上側カバーとしての上框カバー428が着脱可能に取り付けられている。上框カバー428は、室内窓1の意匠性の観点から上框42と同じ色かつ同じ材料で形成されていることが好ましい。
【0017】
各障子4の下框43は、壁開口部F1の下面F3にそれぞれねじ止めされている。
図2に示すように、左障子4Aの外側縦框45は、壁開口部F1のX1方向側の第1側面F4にねじ止めされ、右障子4Bの外側縦框45は、壁開口部F1のX2方向側の第2側面F5にねじ止めされている。
【0018】
左連結框46Aは、Z1方向側から取り付けられる第1連結框固定ねじ31と、Z2方向側から取り付けられる第2連結框固定ねじ32とにより、右連結框46Bに連結されている。左連結框46Aと右連結框46BのZ1方向側の連結部位は、右連結框46Bに着脱可能に取り付けられた第1連結部位カバー33により隠されている。左連結框46Aと右連結框46BのZ2方向側の連結部位は、左連結框46Aに着脱可能に取り付けられた第2連結部位カバー34により隠されている。
【0019】
図3に示すように、連結部材23は、上枠2の上枠本体21におけるX軸方向に並ぶ複数箇所に固定されている。
連結部材23が差し込まれる上框42の差込孔421Aおよび上框固定ねじ24が挿通されるねじ挿通長孔423Aは、上面部421および第1見付け面部423のそれぞれにおける連結部材23の固定位置に対応する複数箇所に形成されている。
なお、本実施形態では、連結部材23、差込孔421Aおよびねじ挿通長孔423Aが、それぞれ2個ずつ設けられた構成を例示するが、1個ずつまたは3個以上ずつ設けられても良い。
【0020】
〔室内窓の施工方法〕
次に、室内窓1の施工方法における障子4の建て込み方法について、図面を参照して説明する。
図4は、障子の建て込み方法の説明図であり、上框の差込孔に連結部材の被固定片を差し込んだ状態を示す。図5は、障子の建て込み方法の説明図であり、建て込み時における障子の動きを示す。
【0021】
作業者は、障子4を第1空間からけんどん式で壁開口部F1に建て込む。
まず、作業者は、障子4を第1空間から第2空間に向けて斜め上方に移動させて、図4に示すように、連結部材23の鉛直片部234を上框42の差込孔421A内に差し込む。
次に、作業者は、図5に一点鎖線で示すように、連結部材23の傾斜片部233が差込孔421A内に位置するまで、第1見付け面部423を連結垂下片232に摺接させつつ、障子4をさらに第2空間に向けて斜め上方に移動させる。
この後、作業者は、図5に二点鎖線で示すように、第1見付け面部423と連結垂下片232との接触位置を中心にして、障子4の下端が第2空間側に移動するように障子4を回動させて、壁開口部F1の下面F3に載置する。
る。
そして、作業者は、図5に実線で示すように、第1見付け面部423と鉛直片部234とが面接触するように、障子4の位置を調整する。
【0022】
障子4が下面F3に載置された状態では、障子対向部22の下端が上框42の上端よりも下側に位置し、障子対向部22が上框42の上側の部位に対向している。
このため、作業者が障子4から手を離しても、障子対向部22により障子4が倒れることを防止することができる。また、室内窓1の施工後においては、障子対向部22により、障子4よりも上側の部位から光が漏れることを抑制することができる。
【0023】
次に、作業者は、Z1方向側からワッシャ241およびねじ挿通長孔423Aに挿通された上框固定ねじ24を、図示しない工具としてのドライバーを用いて、鉛直片部234の雌ねじ部232Aに仮螺合することにより、障子4を連結部材23に仮連結する。
そして、作業者は、下框43を下面F3にねじ止めした後、上框固定ねじ24をさらに螺合して、障子4を連結部材23に本連結する。なお、作業者は、障子4を連結部材23に仮連結しないで下框43を下面F3にねじ止めしても良い。
【0024】
このように、鉛直片部234を備える連結垂下片232と障子4の第1見付け面部423とを、Z1方向側から螺合される上框固定ねじ24により固定することにより、障子4を上枠2に連結することができる。
したがって、ドライバーが障子4に接触することを心配しなくて良いので、室内窓1を容易に施工することができる。
【0025】
また、第1見付け面部423を連結垂下片232に摺接させつつ、障子4を壁開口部F1に建て込むことができるため、室内窓1をより容易に施工することができる。
さらに、鉛直下方に延びる鉛直片部234と当該鉛直片部234に対向する第1見付け面部423とを固定する上框固定ねじ24を、Z1方向側から水平方向に取り付けることができ、室内窓1をより容易に施工することができる。
【0026】
さらに、ねじ挿通長孔423Aが縦長孔状に形成されているため、連結垂下片232、障子4および壁開口部F1のうち少なくとも1つの上下方向の形状が設計値からずれていても、ねじ挿通長孔423A内に雌ねじ部232Aを位置させた状態で、障子4を壁開口部F1の下面F3に接触させることができる。
したがって、障子4を壁開口部F1の下面F3に確実に接触させた状態で、障子4を上枠2に連結することができる。
【0027】
最後に、作業者は、上框カバー428を上框42の上框カバー取付片部426に取り付けて、固定具取付用開口部427を塞ぐ。
このように、固定具取付用開口部427を上框カバー428により塞ぐことにより、室内窓1の意匠性が低下することを抑制できる。
【0028】
[変形例]
連結部材23の連結垂下片232が差し込まれる差込孔421Aを上框42の上面部421に形成する構成を例示したが、差込孔を図6に示すように構成しても良い。
図6に示す障子6の上框62は、上面部621、下面部422、第1見付け面部423、第2見付け面部424、仕切面部425および上框カバー取付片部426を備えている。上面部621は、第2見付け面部424と仕切面部425のY1方向側の端縁を接続する点で、第1見付け面部423と第2見付け面部424のY1方向側の端縁を接続する上記実施形態の上面部421と異なっている。連結垂下片232が差し込まれる差込孔621Aは、第1見付け面部423と仕切面部425のY1方向側の端縁により構成されている。
開口部を有する壁を躯体に設置し、前記開口部の上面に上枠2を固定し、前記開口部の下部に障子4を固定しても良い。
また、上框に差込孔を設けなくても良く、例えば、図6に示す構成において、上框62に、第2見付け面部424、仕切面部425および上面部621を設けなくても良い。
【0029】
連結垂下片232を、鉛直下方に延びて第1見付け面部423のZ2方向側の面に対向する鉛直片部のみで構成し、当該鉛直片部に雌ねじ部232Aを設けても良い。
また、連結垂下片232を、傾斜片部233と同様にZ1方向側に向けて斜め下方に延びる傾斜片部のみで構成しても良い。この場合、傾斜片部に雌ねじ部232Aを設けるとともに、第1見付け面部423を傾斜片部に対向するように斜めに形成して、上框固定ねじ24をZ1方向側から斜め下方に取り付けるようにすれば良い。
また、鉛直片部234が延びる方向は、鉛直方向に対して5°以内の範囲で傾く方向であっても良く、この場合、第1見付け面部423を鉛直片部234に対向するように斜めに設ければ良い。
【0030】
第1見付け面部423に、ねじ挿通長孔423Aの代わりに、上框固定ねじ24の雄ねじ部よりも若干直径が大きい真円状の挿通孔を設けても良い。
また、例えば、上述したように、連結垂下片232を、鉛直片部のみで構成する場合、当該鉛直面部を第1見付け面部423のZ1方向側の面に対向するように設けても良く、この場合、鉛直面部にねじ挿通長孔423Aを設けるとともに、第1見付け面部423に雌ねじ部232Aを設けても良い。
【0031】
上枠2に障子対向部22を設けなくても良い。また、障子対向部22を、その下端が上框42の上端と同じ高さ位置、または、上框42の上端よりも上側に位置するように形成し、上框42の上側の部位に対向しないように構成しても良い。
障子4に、上框カバー428を設けなくても良い。
上枠2の上枠本体21と連結垂下片232とを一体的に製造しても良い。
【0032】
障子4を上枠2に固定するための固定具として、上框固定ねじ24の代わりにリベットを用いても良い。
障子を面材のみで構成して、当該面材における上側の部位に、上記実施形態の差込孔421A、第1見付け面部423に対応する連結対向部、固定具取付用開口部427、および、上框カバー428に対応する障子上側カバーを設けても良い。
【0033】
[本発明のまとめ]
本発明の建具は、建物の開口部の上面に固定される上枠と、前記上枠に連結されるとともに、前記開口部の下部に固定される障子と、を備え、前記上枠は、下方に延びる連結垂下片を備え、前記障子は、前記連結垂下片に対向する連結対向部を備え、前記連結垂下片および前記連結対向部は、見込み方向一方側から取り付けられる固定具により固定されていることを特徴とする。
本発明によれば、上枠の連結垂下片と、障子の連結対向部とを、見込み方向一方側から取り付けられる障子上側固定具により固定することにより、障子を上枠に連結することができる。
したがって、障子上側固定具を取り付けるための工具が障子に接触することを心配しなくて良いので、建具を容易に施工することができる。
【0034】
本発明の建具において、前記障子は、前記連結垂下片が差し込まれる差込孔を備え、前記連結垂下片は、前記上枠から前記見込み方向一方側に向けて斜め下方に延びる傾斜片部を備え、前記連結対向部は、前記差込孔に差し込まれた前記連結垂下片よりも前記見込み方向一方側に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、連結垂下片を差込孔に差し込んだ後、連結対向部を連結垂下片に摺接させつつ、障子を見込み方向他方側に向けて斜め上方に移動させ、障子を開口部の下部に載置することができる。このため、建具をより容易に施工することができる。
【0035】
本発明の建具において、前記連結垂下片は、前記傾斜片部から略鉛直下方に延びる鉛直片部を備え、前記連結対向部は、前記鉛直片部に対向するように設けられ、前記固定具により前記鉛直片部に固定されていることが好ましい。
本発明によれば、障子上側固定具を見込み方向一方側から水平方向に取り付けることができ、建具をより容易に施工することができる。また、障子を鉛直に施工できるため、障子の位置決めを容易に行うことができる。
なお、本発明の鉛直片部が延びる方向は、厳密な意味での鉛直下方でなくても良い。
【0036】
本発明の建具において、前記連結垂下片は、略鉛直下方に延びるように形成された鉛直片部を備え、前記連結対向部は、前記鉛直片部に対向するように設けられ、前記鉛直片部および前記連結対向部のうち一方の部位構成は、他方の部位構成に対して前記見込み方向一方側に設けられ、前記一方の部位構成は、前記障子上側固定具としてのねじが挿通される縦長孔状のねじ挿通長孔を備え、前記他方の部位構成は、前記ねじが螺合される雌ねじ部を備えていることが好ましい。
本発明によれば、連結垂下片、障子、連結対向部および開口部のうち少なくとも1つの上下方向の形状が設計値からずれていても、ねじ挿通長孔内に雌ねじ部を位置させた状態で、障子を開口部の下部に接触させることができる。
したがって、障子を開口部の下部に確実に接触させた状態で、障子を上枠に連結することができる。
【0037】
本発明の建具において、前記上枠は、前記障子の見込み方向における一方側および他方側において、前記障子の一対の見付け面における上側の部位に対向する障子対向部を備えていることが好ましい。
本発明によれば、施工時に障子を開口部の下部に載置した後に、作業者が障子から手を離しても、障子対向部により障子が倒れることを防止することができる。また、障子対向部により、障子よりも上側の部位から光が漏れることを抑制することができる。
【0038】
本発明の建具において、前記障子における前記見込み方向一方側の見付け面には、前記障子上側固定具を前記連結垂下片および前記連結対向部に取り付けるための固定具取付用開口部と、前記固定具取付用開口部を塞ぐ障子上側カバーと、が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、障子上側固定具取付用開口部をカバーにより隠すことで、建具の意匠性が低下することを抑制できる。
【0039】
本発明の建具において、前記連結垂下片を有し、前記上枠に固定される連結部材を備えていることが好ましい。
本発明によれば、連結垂下片と上枠を一体的に製造する必要がないので、上枠を容易に製造することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…室内窓(建具)、2…上枠、4,6…障子、22…障子対向部、23…連結部材、42,62…上框、232…連結垂下片、232A…雌ねじ部、233…傾斜片部、234…鉛直片部、24…上框固定ねじ(固定具)、421…上面部、421A,621A…差込孔、423…第1見付け面部(連結対向部)、423A…ねじ挿通長孔、427…固定具取付用開口部、428…上框カバー(障子上側カバー)、F1…壁開口部(開口部)、F2…上面、F3…下面(下部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6