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特開2024-123609電動式作業機械を制御するためのシステム、電動式作業機械を制御するための方法、及び電動式作業機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123609
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】電動式作業機械を制御するためのシステム、電動式作業機械を制御するための方法、及び電動式作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240905BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240905BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20240905BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240905BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240905BHJP
【FI】
E02F9/00 C
H02J7/00 P
H02J7/00 X
E02F9/20 C
B60L50/60
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031176
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 真
(72)【発明者】
【氏名】石川 凌
(72)【発明者】
【氏名】品田 陽平
【テーマコード(参考)】
2D003
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB07
2D003BA07
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB08
2D003FA02
5G503AA01
5G503AA07
5G503BB01
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB06
5H125AA12
5H125AC12
5H125BA00
5H125BC12
5H125CD02
5H125EE27
5H125EE41
5H125EE47
5H125EE48
(57)【要約】
【課題】バッテリの充電の必要性が高いことをオペレータに認識させること。
【解決手段】バッテリと、バッテリからの電力によって駆動する電動モータと、を備える電動式作業機械を制御するためのシステムは、コントローラと、電動モータを始動させる指令信号を出力するための始動操作スイッチと、を備える。コントローラは、バッテリの蓄電残量を検出し、検出した蓄電残量が予め設定されている設定値以下である場合、オペレータにバッテリの充電を促す報知を行う。コントローラは、報知に対するオペレータからの確認操作信号を受信した場合、始動操作スイッチからの指令信号に基づいて、電動モータを始動させる制御信号を出力する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、前記バッテリからの電力によって駆動する電動モータと、を備える電動式作業機械を制御するためのシステムであって、
コントローラと、
前記電動モータを始動させる指令信号を出力するための始動操作スイッチと、を備え、
前記コントローラは、
前記バッテリの蓄電残量を検出し、
検出した前記蓄電残量が予め設定されている設定値以下である場合、前記バッテリの充電を促す報知を行い、
前記報知に対する確認操作を検出した場合、前記始動操作スイッチからの指令信号に基づいて、前記電動モータを始動させる制御信号を出力する、
システム。
【請求項2】
表示装置を備え、
前記コントローラは、前記報知として前記表示装置に警告を表示させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記蓄電残量が前記設定値以下である場合において、前記確認操作を検出した場合、前記表示装置に状態画面を表示させる、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記設定値は、第1設定値と第2設定値とを含み、
前記第1設定値は、前記第2設定値よりも高く、
前記コントローラは、
前記蓄電残量が前記第1設定値以下である場合、前記充電を促す第1の報知を行い、
前記蓄電残量が前記第2設定値以下である場合、第1の報知と異なる第2の報知を行う、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
ブザーを備え、
前記コントローラは、
前記蓄電残量が前記設定値以下である場合、前記ブザーから警告音を出力させ、前記確認操作を検出した場合、前記ブザーからの出力状態を変更する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記始動操作スイッチは、キースイッチを含み、
前記始動操作スイッチは、キーオフ状態とキーオン状態とモータ始動状態とのいずれか一つに操作され、
前記電動モータを始動させる指令信号は、前記モータ始動状態において出力されるモータ始動信号を含み、
前記コントローラは、
前記蓄電残量が前記設定値以下であり、且つ、前記キーオン状態又は前記モータ始動状態において出力されるキーオン信号を受信した場合、前記表示装置に前記警告を表示させる、
請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記表示装置に前記警告が表示されている状態で、前記確認操作を検出した場合、前記表示装置に前記警告が表示されている状態から前記状態画面が表示される状態に遷移させる、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記表示装置に前記警告が表示されている状態で、前記確認操作を検出し、且つ、前記モータ始動信号を受信した場合、前記電動モータを始動させる、
請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記表示装置に前記警告が表示されている状態で、前記モータ始動信号を受信しても、前記確認操作を検出しない場合、前記電動モータを始動させない、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
バッテリと、前記バッテリからの電力によって駆動する電動モータと、を備える電動式作業機械を制御するためのシステムであって、
表示装置と
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記バッテリの蓄電残量を検出し、
検出した前記蓄電残量が予め設定されている設定値以下である場合、前記表示装置に警告を表示させて、前記バッテリの充電を促す報知を行い、
前記報知に対する確認操作を検出した場合、前記表示装置の表示部に前記作業機械の状態を表す状態画面を表示させる、
システム。
【請求項11】
ブザーを備え、
前記コントローラは、
前記蓄電残量が前記設定値以下である場合、前記ブザーから警告音を出力させる、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
バッテリと、前記バッテリからの電力によって駆動する電動モータと、を備える電動式作業機械を制御するための方法であって、
前記バッテリの蓄電残量を検出し、
検出した前記蓄電残量が予め設定されている設定値以下である場合、前記バッテリの充電を促す報知を行い、
前記報知に対する確認操作を検出した場合、前記電動モータを始動させるための始動操作スイッチからの指令信号に基づいて、前記電動モータを始動させる制御信号を出力する、
方法。
【請求項13】
バッテリと、前記バッテリからの電力によって駆動する電動モータと、を備える電動式作業機械であって、
コントローラと、
前記電動モータを始動させる指令信号を出力するための始動操作スイッチと、を備え、
前記コントローラは、
前記バッテリの蓄電残量を検出し、
検出した前記蓄電残量が予め設定されている設定値以下である場合、前記バッテリの充電を促す報知を行い、
前記報知に対する確認操作を検出した場合、前記始動操作スイッチからの指令信号に基づいて、前記電動モータを始動させる制御信号を出力する、
電動式作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動式作業機械を制御するためのシステム、電動式作業機械を制御するための方法、及び電動式作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
電動式作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなバッテリ駆動の油圧作業機械が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-107320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の背景技術においては、バッテリ残量が減少した場合に警報が発せられるが、バッテリ残量が過剰に減少するまで油圧式作業機械の運転を続行できる可能性がある。そのため、オペレータは、バッテリ残量が減少していることを見落とす可能性がある。
【0005】
本開示は、バッテリの充電の必要性が高いことをオペレータに認識させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、バッテリと、バッテリからの電力によって駆動する電動モータと、を備える電動式作業機械を制御するためのシステムを開示する。システムは、コントローラと、電動モータを始動させる指令信号を出力する始動操作スイッチと、を備える。コントローラは、バッテリの蓄電残量を検出し、検出した蓄電残量が予め設定されている設定値以下である場合、オペレータにバッテリの充電を促す報知を行う。コントローラは、報知に対する確認操作を検出した場合、始動操作スイッチからの指令信号に基づいて、電動モータを始動させる制御信号を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、バッテリの充電の必要性が高いことをオペレータに認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る電動式作業機械を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る電動式作業機械の構成を概略的に示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係るコントローラの構成を概略的に示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る電動式作業機械の制御方法を示すフローチャートである。
図5図5は、第1実施形態に係る表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係る表示装置がオペレータによって確認操作されている状態を模式的に示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
図9図9は、第2実施形態に係る電動式作業機械の制御方法を示すフローチャートである。
図10図10は、第3実施形態に係る電動式作業機械の制御方法を示すフローチャートである。
図11図11は、第3実施形態に係る表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
【0011】
<電動式作業機械>
図1は、第1実施形態に係る電動式作業機械1を示す斜視図である。電動式作業機械とは、動力源として電動モータを備える作業機械をいう。電動モータは、バッテリからの電力によって駆動する。本実施形態において、電動式作業機械1は、電動ショベルである。以下の説明において、電動式作業機械1を適宜、電動ショベル1、と称する。
【0012】
電動ショベル1は、走行体2と、旋回体3と、ブレード4と、作業機5と、作業機シリンダ6とを備える。走行体2は、一対の履帯を有する。旋回体3は、走行体2に支持された状態で旋回する。ブレード4は、走行体2の前方において上下方向に移動する。作業機5は、旋回体3の前部に連結される。作業機5は、ブーム5Aと、アーム5Bと、バケット5Cとを含む。作業機5は、作業機シリンダ6が発生する動力により動作する。作業機シリンダ6は、油圧シリンダである。作業機シリンダ6は、ブーム5Aを動作させるブームシリンダ6Aと、アーム5Bを動作させるアームシリンダ6Bと、バケット5Cを動作させるバケットシリンダ6Cとを含む。
【0013】
旋回体3には、シート7、作業機操作レバー8、走行操作レバー9、及び表示装置10が設けられる。作業機操作レバー8及び走行操作レバー9のそれぞれは、電動ショベル1のオペレータに操作される。作業機操作レバー8は、シート7の左方及び右方のそれぞれに配置される。走行操作レバー9は、シート7の前方に配置される。表示装置10は、シート7の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、表示装置10は、シート7の前方に配置される。表示装置10は、支持部材13に支持される。支持部材13は、旋回体3のフロアの前部に固定される。オペレータは、シート7に座った状態で、作業機操作レバー8及び走行操作レバー9を操作することができる。オペレータは、シート7に座った状態で、表示装置10を確認することができる。
【0014】
旋回体3に、支柱11及びキャノピー12が設けられる。支柱11は、旋回体3の後部に固定される。キャノピー12は、支柱11に支持される。キャノピー12は、シート7の上方に配置される。本実施形態において、電動ショベル1は、シート7の周囲の空間が開放されているキャノピー仕様である。
【0015】
図2は、第1実施形態に係る電動ショベル1の構成を概略的に示す図である。電動ショベル1は、作業機操作レバー8と、走行操作レバー9と、表示装置10と、キースイッチ14と、ブザー15と、バッテリ16と、バッテリ制御回路17と、インバータ18と、電動モータ19と、油圧ポンプ20と、メインバルブ21と、作業機シリンダ6と、走行モータ22と、旋回モータ23と、コントローラ30とを備える。
【0016】
作業機操作レバー8は、作業機5及び旋回体3を制御するためにオペレータによって操作される。走行操作レバー9は、電動ショベル1の走行を制御するためにオペレータによって操作される。作業機操作レバー8及び走行操作レバー9のそれぞれは、オペレータに操作されることにより、操作信号を出力する。作業機操作レバー8から出力された操作信号は、コントローラ30に送信される。走行操作レバー9から出力された操作信号は、コントローラ30に送信される。
【0017】
表示装置10は、オペレータによって各種の指示又は情報が入力される入力部10Aと、各種情報を表示する表示部10Bとを有する。本実施形態において、表示装置10は、タッチスクリーンである。入力部10Aは、オペレータに操作されることにより、操作信号を出力する。入力部10Aから出力された操作信号は、コントローラ30に送信される。表示部10Bは、コントローラ30から送信された各種情報を表示する。表示部10Bは、オペレータに各種情報を提供する。なお、表示装置10は、タッチスクリーンに限定されない。入力部10Aは、ボタン又はキーボードでもよい。
【0018】
ブザー15は、警告音を出力する。ブザー15は、シート7の周囲の少なくとも一部に配置される。ブザー15は、表示装置10と一体でもよい。ブザー15は、オペレータに警告音を提供する。
【0019】
キースイッチ14は、オペレータに操作される。キースイッチ14は、電動モータ19を始動させるために操作される。キースイッチ14は、電動モータ19を始動させる指令信号を出力するための始動操作スイッチである。また、キースイッチ14は、電動モータ19とは別の電動ショベル1に搭載されている電気機器に電力を供給するために操作される。本実施形態において、電動モータ19とは別の電気機器は、少なくとも表示装置10、ブザー15、及びコントローラ30を含む。キースイッチ14は、キーが挿入されるキーシリンダを有する。キースイッチ14は、キーオフ位置14Aとキーオン位置14Bとモータ始動位置14Cとに回転可能である。
【0020】
キースイッチ14がキーオフ位置14Aに配置されている場合、バッテリ16から電気機器及び電動モータ19に電力が供給されない。オペレータは、キースイッチ14がキーオフ位置14Aに配置された状態で、キーシリンダにキーを挿入することができる。
【0021】
オペレータは、電動モータ19を始動させる場合、キーシリンダにキーを挿入して、キースイッチ14がキーオフ位置14Aからキーオン位置14Bを経由してモータ始動位置14Cまで回転するように操作する。キースイッチ14がモータ始動位置14Cまで回転すると、電動モータ19が始動する。なお、キースイッチ14がモータ始動位置14Cまで回転した後にオペレータがキーから手を離すと、キースイッチ14はキーオン位置14Bまで戻るように回転し、キーオン位置14Bに留まる。キースイッチ14がキーオン位置14Bに配置されている状態で、電動モータ19の駆動が継続される。
【0022】
オペレータは、電動モータ19を始動させずに電気機器に電力を供給する場合、キーシリンダにキーを挿入して、キースイッチ14がキーオフ位置14Aからキーオン位置14Bまで回転するように操作する。キースイッチ14がキーオン位置14Bまで回転すると、電気機器に電力が供給される。本実施形態においては、キースイッチ14がキーオン位置14Bまで回転すると、少なくとも表示装置10、ブザー15、及びコントローラ30が起動する。なお、キースイッチ14がキーオン位置14Bまで回転した後にオペレータがキーから手を離すと、キースイッチ14はキーオン位置14Bに留まる。キースイッチ14がキーオン位置14Bに配置されている状態で、電気機器の作動が継続される。
【0023】
以下の説明においては、キースイッチ14がキーオフ位置14Aに配置されることを適宜、キーオフ状態、と称し、キースイッチ14がキーオン位置14Bに配置されることを適宜、キーオン状態、と称し、キースイッチ14がモータ始動位置14Cに配置されることを適宜、モータ始動状態、と称する。キースイッチ14は、キーオフ状態とキーオン状態とモータ始動状態とのいずれか一つに操作される。
【0024】
キースイッチ14は、オペレータに操作されることにより、指令信号を出力する。キースイッチ14から出力された指令信号は、コントローラ30に送信される。指令信号は、電気機器に電力を供給させる指令信号を示すキーオン信号と、電動モータ19を始動させる指令信号を示すモータ始動信号とを含む。キースイッチ14は、キーオン状態又はモータ始動状態において、キーオン信号を出力する。キースイッチ14は、モータ始動状態において、モータ始動信号を出力する。電気機器に電力を供給させる指令信号は、キーオン状態又はモータ始動状態において出力されるキーオン信号を含む。電動モータ19を始動させる指令信号は、モータ始動状態において出力されるモータ始動信号を含む。
【0025】
バッテリ16は、充電式の蓄電装置である充電式バッテリである。バッテリ16は、例えば旋回体3の後部に配置される。バッテリ16は、充電器により充電される。
【0026】
バッテリ制御回路17は、コントローラ30からの制御信号に基づいて、バッテリ16から出力された電力を電動モータ19に供給する。バッテリ制御回路17は、バッテリ16とインバータ18との間に配置される。バッテリ16から出力された電力は、バッテリ制御回路17及びインバータ18を経由して電動モータ19に供給される。また、バッテリ制御回路17は、コントローラ30からの制御信号に基づいて、バッテリ16を充電する。バッテリ16の充電において、バッテリ制御回路17は、充電器からの電力をバッテリ16に供給する。バッテリ制御回路17は、バッテリ16の電圧を検出するために電圧センサ17Aを有する。
【0027】
インバータ18は、バッテリ制御回路17から出力された電力を電動モータ19に供給する。インバータ18は、電動モータ19を駆動するための駆動電流を電動モータ19に供給する。インバータ18は、バッテリ制御回路17から出力された直流電圧を交流電圧に変換して電動モータ19へ出力する。電動モータ19は、インバータ18から出力される電力により駆動する。
【0028】
電動モータ19は、バッテリ16からの電力によって駆動する。電動モータ19は、油圧ポンプ20を駆動する動力を発生する。油圧ポンプ20は、電動モータ19の出力シャフトと接続され、電動モータ19が発生する動力により駆動する。
【0029】
油圧ポンプ20は、作動油を吐出する。油圧ポンプ20は、作業機シリンダ6、走行モータ22、及び旋回モータ23のそれぞれの動力源である。
【0030】
メインバルブ21は、流路を介して油圧ポンプ20に接続される。油圧ポンプ20から吐出された作動油は、メインバルブ21を経由して、作業機シリンダ6、走行モータ22、及び旋回モータ23のそれぞれに供給される。メインバルブ21は、作業機シリンダ6、走行モータ22、及び旋回モータ23のそれぞれに供給される作動油の流量及び方向を制御する。コントローラ30は、作業機操作レバー8からの操作信号及び走行操作レバー9からの操作信号に基づいて、メインバルブ21を制御する制御信号を出力する。
【0031】
作業機シリンダ6は、作業機5を動作させるための油圧シリンダである。作業機シリンダ6は、メインバルブ21を介して油圧ポンプ20から供給された作動油に基づいて伸縮する。作業機シリンダ6が伸縮することにより、作業機5が動作する。
【0032】
走行モータ22は、電動ショベル1を走行させるための油圧モータである。走行モータ22は、メインバルブ21を介して油圧ポンプ20から供給された作動油に基づいて回転する。走行モータ22が回転することにより、電動ショベル1が走行する。
【0033】
旋回モータ23は、走行体2に対して旋回体3を旋回させるための油圧モータである。旋回モータ23は、メインバルブ21を介して油圧ポンプ20から供給された作動油に基づいて回転する。旋回モータ23が回転することにより、走行体2に対して旋回体3が旋回する。
【0034】
<コントローラ>
図3は、第1実施形態に係るコントローラ30の構成を概略的に示す図である。コントローラ30は、コンピュータシステムを含む。コントローラ30は、少なくとも1つのプロセッサ30Aと、メインメモリ30Bと、ストレージ30Cと、インタフェース30Dとを有する。プロセッサ30Aは、CPU(Central Processing Unit)である。メインメモリ30Bは、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含む。ストレージ30Cとして、ハード・ディスク・ドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD:Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、及びDVD-ROMが例示される。インタフェース30Dは、入出力回路を含む。プロセッサ30Aの機能は、プログラムとしてストレージ30Cに記憶されている。プロセッサ30Aは、プログラムをストレージ30Cから読み出してメインメモリ30Bに展開し、プログラムに従って処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコントローラ30に配信されてもよい。
【0035】
プロセッサ30Aは、少なくとも1つの機能部を有する。本実施形態において、プロセッサ30Aは、モータ状態判定部31と、キー信号受信部32と、蓄電残量検出部33と、蓄電残量判定部34と、表示制御部35と、ブザー制御部36と、操作信号受信部37と、モータ制御部38とを有する。ストレージ30Cは、設定値記憶部39を有する。
【0036】
モータ状態判定部31は、電動モータ19の駆動状態を判定する。モータ状態判定部31は、電動モータ19が駆動しているか否かを判定する。モータ状態判定部31は、インバータ18の動作状態を監視する。モータ状態判定部31は、インバータ18の動作状態に基づいて、電動モータ19が駆動しているか否かを判定する。インバータ18から電動モータ19に駆動電流が供給されている場合、モータ状態判定部31は、電動モータ19が駆動していると判定することができる。インバータ18から電動モータ19に駆動電流が供給されていない場合、モータ状態判定部31は、電動モータ19が停止していると判定することができる。
【0037】
なお、電動モータ19の出力シャフトの回転を検出する回転センサが設けられている場合、モータ状態判定部31は、回転センサの検出信号に基づいて、電動モータ19が駆動しているか否かを判定してもよい。電動モータ19の出力シャフトが回転している場合、モータ状態判定部31は、電動モータ19が駆動していると判定することができる。電動モータ19の出力シャフトが回転していない場合、モータ状態判定部31は、電動モータ19が停止していると判定することができる。
【0038】
キー信号受信部32は、キースイッチ14からの指令信号を受信する。キー信号受信部32は、キースイッチ14からの指令信号に基づいて、キースイッチ14の操作状態を判定することができる。キーオン信号を受信した場合、キー信号受信部32は、キースイッチ14がキーオン状態又はモータ始動状態であると判定することができる。モータ始動信号を受信した場合、キー信号受信部32は、キースイッチ14がモータ始動状態であると判定することができる。
【0039】
蓄電残量検出部33は、バッテリ16の蓄電残量を示す充電状態(SOC:State Of Charge)を検出する。バッテリ16の蓄電残量は、バッテリ16の満充電容量に対する残存容量の割合を含む。すなわち、バッテリ16の蓄電残量は、バッテリ16の充電率を含む。
【0040】
蓄電残量検出部33は、電圧センサ17Aの検出信号に基づいて、バッテリ16の蓄電残量を算出することができる。
【0041】
蓄電残量判定部34は、蓄電残量検出部33が検出した蓄電残量が予め設定されている設定値以下であるか否かを判定する。設定値は、設定値記憶部39に記憶されている。蓄電残量判定部34は、蓄電残量検出部33が検出したバッテリ16の蓄電残量が設定値記憶部39に記憶されている設定値以下であるか否かを判定する。
【0042】
バッテリ16が満充電状態である場合、バッテリ16の蓄電残量は100%である。バッテリ16が完全放電状態である場合、バッテリ16の蓄電残量は0%である。一例として、設定値は20%である。
【0043】
表示制御部35は、表示部10Bに所定の情報を表示させる。ブザー制御部36は、ブザー15から警告音を出力させる。表示制御部35及びブザー制御部36の少なくとも一方は、バッテリ16の蓄電残量が予め設定されている設定値以下であると判定された場合、オペレータにバッテリの充電を促す報知を行う。本実施形態において、表示制御部35は、バッテリ16の蓄電残量が設定値以下であると判定された場合、バッテリの充電を促す情報を表示部10Bに表示させて報知する。ブザー制御部36は、バッテリ16の蓄電残量が設定値以下であると判定された場合、バッテリの充電を促す警告音をブザー15に出力させて報知する。
【0044】
操作信号受信部37は、入力部10Aから出力された操作信号を受信する。上述のように、入力部10Aは、オペレータに操作されることにより、操作信号を出力する。
【0045】
オペレータは、バッテリ16の充電を促す報知を確認した場合、入力部10Aを操作する。以下の説明において、オペレータがバッテリ16の充電を促す報知を確認したときの入力部10Aの操作を適宜、確認操作、と称する。また、確認操作により入力部10Aから出力される操作信号を適宜、確認操作信号、と称する。
【0046】
入力部10Aは、オペレータに確認操作されることにより、確認操作信号を出力する。操作信号受信部37は、入力部10Aから出力される確認操作信号を受信することにより、バッテリ16の充電を促す報知に対する確認操作を検出する。
【0047】
モータ制御部38は、キースイッチ14からのキー信号と入力部10Aからの操作信号とに基づいて、電動モータ19を制御する制御信号を出力する。モータ制御部38は、報知に対する確認操作を操作信号受信部37が検出した場合、電動モータ19を始動させるキースイッチ14からのモータ始動信号に基づいて、電動モータ19を始動させる制御信号を出力する。モータ制御部38は、少なくともインバータ18に制御信号を出力する。インバータ18は、モータ制御部38からの制御信号に基づいて、電動モータ19が始動するように、バッテリ16からの駆動電流を電動モータ19に供給する。
【0048】
モータ制御部38は、操作信号受信部37が報知に対する確認操作を検出した場合、電動モータ19の始動を許可する。モータ制御部38は、操作信号受信部37が報知に対する確認操作を検出しない場合、電動モータ19の始動を禁止する。モータ制御部38は、操作信号受信部37が報知に対する確認操作を検出し、且つ、キー信号受信部32がモータ始動信号を受信した場合、電動モータ19を始動させる。モータ制御部38は、キー信号受信部32がモータ始動信号を受信しても、操作信号受信部37が報知に対する確認操作を検出しない場合、電動モータ19を始動させない。
【0049】
<制御方法>
次に、電動ショベル1の制御方法について説明する。本実施形態において、コントローラ30は、電動モータ19が始動していないキーオン状態において、バッテリ16の蓄電残量が設定値以下である場合、オペレータにバッテリ16の充電を促す報知を行う。コントローラ30は、報知に対する確認操作をオペレータが行った場合、電動モータ19の始動を許可する。コントローラ30は、報知に対する確認操作をオペレータが行わない場合、電動モータ19の始動を禁止する。バッテリ16の充電を促す報知に対する確認操作をオペレータが行わない場合、電動モータ19は始動せず、充電を促す報知が継続されるため、コントローラ30は、バッテリ16の充電の必要性が高いことをオペレータに認識させることができる。
【0050】
図4は、第1実施形態に係る電動ショベル1の制御方法を示すフローチャートである。以下、停止状態の電動モータ19を始動させる方法について説明する。上述のように、モータ状態判定部31は、電動モータ19が駆動しているか否かを判定することができる。図4は、モータ状態判定部31により電動モータ19が停止していると判定された場合の制御方法を示すフローチャートである。
【0051】
電動ショベル1が停止している状態で、オペレータは、電動ショベル1を起動するために、キースイッチ14のキーシリンダにキーを挿入する。オペレータは、キーシリンダにキーを挿入した後、キースイッチ14がキーオフ位置14Aからキーオン位置14Bに回転するように操作する。キースイッチ14がキーオン状態になることにより、少なくとも表示装置10、ブザー15、及びコントローラ30が起動する。キースイッチ14がキーオン状態において、電動モータ19は始動しない。
【0052】
キースイッチ14は、キーオフ状態からキーオン状態になることにより、キーオン信号を出力する。キーオン信号を受信した後、コントローラ30は、バッテリ16の蓄電残量を検出する。蓄電残量検出部33は、バッテリ16の蓄電残量を検出する(ステップSA1)。
【0053】
コントローラ30は、ステップSA1において検出したバッテリ16の蓄電残量が予め定められている設定値以下であるか否かを判定する。一例として、設定値は20%である。蓄電残量判定部34は、ステップSA1において検出されたバッテリ16の蓄電残量が設定値を上回るか否かを判定する(ステップSA2)。
【0054】
ステップSA2において、バッテリ16の蓄電残量が設定値を上回ると判定した場合(ステップSA2:Yes)、コントローラ30は、表示部10Bに電動ショベル1の状態を表す状態画面を表示させる。表示制御部35は、表示部10Bに電動ショベル1の状態を表す状態画面を表示させる(ステップSA3)。
【0055】
図5は、第1実施形態に係る表示装置10に表示される画面の一例を示す図である。本実施形態において、状態画面は、少なくともバッテリ16の蓄電残量を示す情報を含む。図5に示す例において、状態画面は、バッテリ16の蓄電残量を示すインジケータ40を含む。
【0056】
本実施形態において、状態画面は、バッテリ16の蓄電残量に係る第1指標マーク41、第2指標マーク42、及び第3指標マーク43を含む。一例として、第1指標マーク41は、バッテリ16の蓄電残量が30%であることを示す。第2指標マーク42は、バッテリ16の蓄電残量が20%であることを示す。第3指標マーク43は、バッテリ16の蓄電残量が1%であることを示す。バッテリ16の蓄電残量が30%を上回る場合、インジケータ40の一端部が第1指標マーク41を超えるように表示され、インジケータ40が緑色で表示される。バッテリ16の蓄電残量が30%以下であり20%を上回る場合、インジケータ40の一端部が第1指標マーク41と第2指標マーク42との間に配置されるように表示され、インジケータ40が黄色で表示される。バッテリ16の蓄電残量が20%以下である場合、インジケータ40の一端部が第2指標マーク42と第3指標マーク43との間に配置されるように表示され、インジケータ40が赤色で表示される。
【0057】
また、状態画面は、消費電力を示すインジケータ44と、電動ショベル1の累積稼働時間を示す数値データ45と、電動ショベル1の稼働可能時間を示す数値データ46と、電動ショベル1の作業モードを示すシンボル47とを含む。電動ショベル1の稼働可能時間は、電動ショベル1が稼働可能な予想時間であり、消費電力の実績値と、バッテリ16の蓄電残量と、作業モードとに基づいて算出される。本実施形態において、作業モードは、電動モータ19を高出力で駆動させることを優先するPモードと、電動モータ19による電力消費を抑制することを優先するEモードと、電動モータ19の出力をある程度高めつつ電力消費を抑制するMモードとを含む。
【0058】
図4に戻り、コントローラ30は、電動モータ19の始動を許可する。モータ制御部38は、電動モータ19の始動を許可する(ステップSA4)。
【0059】
電動モータ19の始動を許可した後、コントローラ30は、モータ始動信号を受信したか否かを判定する。キー信号受信部32は、モータ始動信号を受信したか否かを判定する(ステップSA5)。
【0060】
ステップSA5において、モータ始動信号を受信していないと判定した場合(ステップSA5:No)、コントローラ30は、ステップSA4の処理に戻る。ステップSA5において、モータ始動信号を受信したと判定した場合(ステップSA5:Yes)、コントローラ30は、キースイッチ14からのモータ始動信号に基づいて、電動モータ19を始動させる制御信号を出力する。モータ制御部38は、キースイッチ14からのモータ始動信号に基づいて、電動モータ19を始動させる制御信号を出力する(ステップSA6)。
【0061】
ステップSA2において、バッテリ16の蓄電残量が設定値以下であると判定した場合(ステップSA2:No)、コントローラ30は、表示部10Bに警告を表示させ、ブザー15から警告音を出力させる。表示制御部35は、表示部10Bに警告を表示させ、ブザー制御部36は、ブザー15から警告音を出力させる(ステップSA7)。
【0062】
すなわち、コントローラ30は、蓄電残量が設定値以下であり、且つ、キーオン信号を受信した場合、表示部10Bに警告を表示させる。
【0063】
図6は、第1実施形態に係る表示装置10の表示される画面の一例を示す図である。本実施形態において、コントローラ30は、表示装置10の表示部10Bに警告を表示させて、オペレータにバッテリ16の充電を促す報知を行う。図6に示す例において、コントローラ30は、バッテリ16の充電を促す報知として、表示部10Bにメッセージ48を表示させる。また、コントローラ30は、入力部10Aとして、報知に対する確認ボタン49を表示部10Bに表示させる。
【0064】
なお、表示部10Bに表示される報知は、図6に示すようなメッセージ48に限定されない。コントローラ30は、バッテリ16の充電を促す報知として、表示部10Bにアイコン又は記号などの絵図を表示させてもよい。状態画面において第1色彩の背景色が表示される場合、コントローラ30は、バッテリ16の充電を促す報知として、第1色彩とは異なる第2色彩の背景色を表示させてもよい。
【0065】
図7は、第1実施形態に係る表示装置10がオペレータによって確認操作されている状態を模式的に示す図である。オペレータは、バッテリ16の充電を促す報知を確認した場合、確認操作として、確認ボタン49をタッチする。確認ボタン49がタッチされることにより、入力部10Aは、報知に対する確認操作を示す確認操作信号を出力する。
【0066】
図4に戻り、コントローラ30は、報知に対する確認操作を検出したか否かを判定する。操作信号受信部37は、報知に対する確認操作を検出したか否かを判定する(ステップSA8)。
【0067】
ステップSA8において、報知に対する確認操作を検出していないと判定した場合(ステップSA8:No)、コントローラ30は、ステップSA7の処理に戻る。ステップSA8において、報知に対する確認操作を検出したと判定した場合(ステップSA8:Yes)、コントローラ30は、ステップSA3の処理に進む。表示制御部35は、入力部10Aからの確認操作信号に基づいて、表示部10Bに状態画面を表示させる(ステップSA3)。
【0068】
すなわち、本実施形態において、コントローラ30は、報知に対する確認操作を検出した場合、表示部10Bに状態画面を表示させる。コントローラ30は、表示部10Bに警告が表示されている状態で、報知に対する確認操作を検出した場合、表示部10Bに警告が表示されている状態から状態画面が表示される状態に遷移させる。
【0069】
また、ブザー制御部36は、入力部10Aからの確認操作信号に基づいて、ブザー15からの警告音の出力状態を変更する。すなわち、コントローラ30は、報知に対する確認操作を検出した場合、ブザー15からの警告音の出力状態を変更する。警告音の出力状態を変更することは、警告音の出力パターンを変更すること、及び警告音を停止することの一方又は両方を含む。ステップSA7においてブザー15から警告音が第1出力パターンで出力される場合において、報知に対する確認操作が検出された場合、コントローラ30は、ブザー15から警告音を第2出力パターンで出力させてもよい。例えば、ステップSA7においてブザー15から警告音が連続的に出力される場合において、報知に対する確認操作が検出された場合、ブザー制御部36は、ブザー15から警告音を断続的に出力させてもよい。本実施形態においては、報知に対する確認操作が検出された場合、ブザー制御部36は、ブザー15からの警告音を停止させる。
【0070】
図8は、第1実施形態に係る表示装置10に表示される画面の一例を示す図である。図8に示す状態においては、バッテリ16の蓄電残量が20%以下なので、インジケータ40が赤色で表示される。
【0071】
ステップSA8からステップSA3の処理に進んだ後、コントローラ30は、ステップSA4からステップSA6の処理を順次実行する。コントローラ30は、表示部10Bに警告が表示されている状態で、報知に対する確認操作を検出し(ステップSA8:Yes)、且つ、モータ始動信号を受信した場合(ステップSA5:Yes)、電動モータ19を始動させる(ステップSA6)。
【0072】
コントローラ30は、表示部10Bに警告が表示されている状態で、モータ始動信号を受信しても、報知に対する確認操作を検出しない場合、電動モータ19を始動させない。すなわち、図7に示したように、表示部10Bに警告が表示されている状態で、オペレータが確認ボタン49を操作しない場合、キースイッチ14がモータ始動位置14Cへ操作されても、電動モータ19は始動しない。
【0073】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、電動ショベル1は、バッテリ16と、バッテリ16からの電力によって駆動する電動モータ19と、コントローラ30と、電動モータ19を始動させる指令信号であるモータ始動信号を出力するキースイッチ14と、を備える。コントローラ30は、バッテリ16の蓄電残量を検出し、検出した蓄電残量が予め設定されている設定値以下である場合、オペレータにバッテリ16の充電を促す報知を行う。コントローラ30は、報知に対する確認操作を検出した場合、キースイッチ14からのモータ始動信号に基づいて、電動モータ19を始動させる制御信号を出力する。
【0074】
バッテリ16の蓄電残量が設定値以下である場合、オペレータにバッテリ16の充電を促す報知が行われる。報知に対する確認操作をオペレータが行わない場合、コントローラ30は、電動モータ19を始動させないので、バッテリ16の充電の必要性が高いことをオペレータに認識させることができる。
【0075】
コントローラ30は、表示装置10の表示部10Bに警告を表示させて、バッテリ16の充電を促す報知を行う。これにより、コントローラ30は、バッテリ16の充電の必要性が高いことをオペレータに認識させることができる。
【0076】
コントローラ30は、蓄電残量が設定値を上回る場合、表示部10Bに状態画面を表示させ、蓄電残量が設定値以下である場合、表示部10Bに充電を促す警告を表示させる。コントローラ30は、報知に対する確認操作を検出した場合、表示部10Bに状態画面を表示させる。表示部10Bに警告が表示されることにより、オペレータは、バッテリ16の充電の必要性が高いことを認識することができる。報知に対する確認操作をオペレータが行った場合、表示部10Bに状態画面が表示されることにより、オペレータは、状態画面を確認しながら電動ショベル1を用いる作業を実施することができる。
【0077】
コントローラ30は、蓄電残量が設定値以下である場合、ブザー15から警告音を出力させ、報知に対する確認操作を検出した場合、ブザー15からの警告音の出力状態を変更する。コントローラ30がブザー15から警告音を出力させることにより、オペレータは、バッテリ16の充電の必要性が高いことを認識することができる。実施形態においては、報知に対する確認操作をオペレータが行った場合、コントローラ30がブザー15からの警告音を停止させることにより、オペレータは、警告音の煩わしさを感じることなく、電動ショベル1を用いる作業を実施することができる。
【0078】
キースイッチ14は、キーオフ状態とキーオン状態とモータ始動状態とのいずれか一つに操作される。コントローラ30は、蓄電残量が設定値以下であり、且つ、キーオン信号を受信した場合、表示部10Bに警告を表示させる。これにより、電動ショベル1の起動時において、オペレータは、バッテリ16の充電の必要性が高いことを認識することができる。
【0079】
コントローラ30は、表示部10Bに警告が表示されている状態で、報知に対する確認操作を検出した場合、表示部10Bに警告が表示されている状態から状態画面が表示される状態に遷移させる。オペレータが確認ボタン49を確認操作することにより、表示部10Bに警告が表示されている状態から状態画面が表示される状態に遷移するので、オペレータは、状態画面を確認しながら電動ショベル1を用いる作業を実施することができる。
【0080】
コントローラ30は、表示部10Bに警告が表示されている状態で、報知に対する確認操作を検出し、且つ、モータ始動信号を受信した場合、電動モータ19を始動させる。これにより、コントローラ30は、バッテリ16の充電の必要性が高いことをオペレータに認識させた状態で、電動モータ19を始動させることができる。
【0081】
コントローラ30は、表示部10Bに警告が表示されている状態で、モータ始動信号を受信しても、報知に対する確認操作を検出しない場合、電動モータ19を始動させない。オペレータが確認ボタン49を確認操作しない場合、キースイッチ14がモータ始動状態になるように操作されても、電動モータ19は始動せず、充電を促す報知が継続されるので、オペレータは、バッテリ16の充電の必要性が高いことを認識することができる。
【0082】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0083】
上述の第1実施形態においては、停止状態の電動モータ19を始動させるときのバッテリ16の充電を促す報知について説明した。第2実施形態においては、電動モータ19が既に駆動しているときのバッテリ16の充電を促す報知について説明する。
【0084】
図9は、第2実施形態に係る電動ショベル1の制御方法を示すフローチャートである。上述のように、モータ状態判定部31は、電動モータ19が駆動しているか否かを判定することができる。図9は、モータ状態判定部31により電動モータ19が駆動していると判定された場合の制御方法を示すフローチャートである。
【0085】
電動モータ19が駆動している状態で、コントローラ30は、バッテリ16の蓄電残量を検出する(ステップSB1)。
【0086】
コントローラ30は、ステップSB1において検出したバッテリ16の蓄電残量が予め定められている設置値以下であるか否かを判定する(ステップSB2)。
【0087】
ステップSB2において、バッテリ16の蓄電残量が設定値を上回ると判定した場合(ステップSB2:Yes)、図5を参照して説明したように、コントローラ30は、表示部10Bに状態画面を表示させる(ステップSB3)。電動モータ19の駆動は継続される。
【0088】
ステップSB2において、バッテリ16の蓄電残量が設定値以下であると判定した場合(ステップSB2:No)、図6を参照して説明したように、コントローラ30は、表示部10Bに警告を表示させ、ブザー15から警告音を出力させる(ステップSB4)。電動モータ19の駆動は継続される。
【0089】
コントローラ30は、報知に対する確認操作を検出したか否かを判定する(ステップSB5)。
【0090】
ステップSB5において、報知に対する確認操作を検出していないと判定した場合(ステップSB5:No)、コントローラ30は、ステップSB4の処理に戻る。ステップSB5において、報知に対する確認操作を検出したと判定した場合(ステップSB5:Yes)、コントローラ30は、ステップSB3の処理に進む。図8を参照して説明したように、コントローラ30は、入力部10Aからの確認操作信号に基づいて、表示部10Bに状態画面を表示させる(ステップSA4)。
【0091】
また、コントローラ30は、入力部10Aからの確認操作信号に基づいて、ブザー15からの警告音の出力状態を変更する。
【0092】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0093】
上述の実施形態においては、バッテリ16の蓄電残量が設定値(20%)以下である場合、オペレータにバッテリ16の充電を促す報知を行うこととした。第3実施形態においては、設定値が、第1設定値(20%)と第2設定値(1%)とを含む例について説明する。第1設定値は、第2設定値よりも高い。コントローラ30は、蓄電残量が第1設定値(20%)以下である場合、充電を促す第1の報知を行い、蓄電残量が第2設定値(1%)以下である場合、第1の報知と異なる第2の報知を行う。
【0094】
図10は、第3実施形態に係る電動ショベル1の制御方法を示すフローチャートである。第3実施形態においては、停止状態の電動モータ19を始動させるときのバッテリ16の充電を促す報知について説明する。
【0095】
電動モータ19が停止している状態で、オペレータは、キーシリンダにキーを挿入した後、キースイッチ14がキーオフ位置14Aからキーオン位置14Bに回転するように操作する。
【0096】
キースイッチ14は、キーオフ状態からキーオン状態になることにより、キーオン信号を出力する。キーオン信号を受信した後、コントローラ30は、バッテリ16の蓄電残量を検出する(ステップSC1)。
【0097】
コントローラ30は、ステップSC1において検出したバッテリ16の蓄電残量が予め定められている第1設定値を上回るか否かを判定する(ステップSC2)。
【0098】
ステップSC2において、バッテリ16の蓄電残量が第1設定値を上回ると判定した場合(ステップSC2:Yes)、図5を参照して説明したように、コントローラ30は、表示部10Bに状態画面を表示させる(ステップSC3)。
【0099】
コントローラ30は、電動モータ19の始動を許可する(ステップSC4)。
【0100】
コントローラ30は、モータ始動信号を受信したか否かを判定する(ステップSC5)。
【0101】
ステップSC5において、モータ始動信号を受信していないと判定した場合(ステップSC5:No)、コントローラ30は、ステップSC4の処理に戻る。ステップSC5において、モータ始動信号を受信したと判定した場合(ステップSC5:Yes)、コントローラ30は、キースイッチ14からのモータ始動信号に基づいて、電動モータ19を始動させる制御信号を出力する(ステップSC6)。
【0102】
ステップSC2において、バッテリ16の蓄電残量が第1設定値以下であると判定した場合(ステップSC2:No)、コントローラ30は、ステップSC1において検出したバッテリ16の蓄電残量が予め定められている第2設定値を上回るか否かを判定する(ステップSC7)。
【0103】
ステップSC7において、バッテリ16の蓄電残量が第2設定値を上回ると判定した場合(ステップSC7:Yes)、図6を参照して説明したように、コントローラ30は、第1の報知として、表示部10Bに第1の警告を表示させ、ブザー15から警告音を出力させる(ステップSC8)。
【0104】
コントローラ30は、報知に対する確認操作を検出したか否かを判定する(ステップSC9)。
【0105】
ステップSC9において、報知に対する確認操作を検出していないと判定した場合(ステップSC9:No)、コントローラ30は、ステップSC8の処理に戻る。ステップSC9において、報知に対する確認操作を検出したと判定した場合(ステップSC9:Yes)、コントローラ30は、ステップSC3の処理に進む。図8を参照して説明したように、コントローラ30は、入力部10Aからの確認操作信号に基づいて、表示部10Bに状態画面を表示させる(ステップSC3)。
【0106】
また、コントローラ30は、報知に対する確認操作を検出した場合、ブザー15からの警告音の出力状態を変更する。
【0107】
ステップSC9からステップSC3の処理に進んだ後、コントローラ30は、ステップSC4からステップSC5の処理を順次実行する。コントローラ30は、表示部10Bに第1の警告が表示されている状態で、報知に対する確認操作を検出し(ステップSC9:Yes)、且つ、モータ始動信号を受信した場合(ステップSC5:Yes)、電動モータ19を始動させる(ステップSC6)。
【0108】
ステップSC7において、バッテリ16の蓄電残量が第2設定値以下であると判定した場合(ステップSC7:No)、コントローラ30は、第2の報知として、表示部10Bに第2の警告を表示させ、ブザー15から警告音を出力させる(ステップSC10)。
【0109】
図11は、第3実施形態に係る表示装置10に表示される画面の一例を示す図である。第3実施形態において、第2の警告は、オペレータにメンテナンスを促す報知を含む。図11に示す例において、コントローラ30は、メンテナンスを促す報知として、表示部10Bにメッセージ51を表示させる。また、コントローラ30は、入力部10Aとして、報知に対する確認ボタン52を表示部10Bに表示させる。オペレータは、メンテナンスを促す報知を確認した場合、確認ボタン52を操作する。確認ボタン52が操作されることにより、コントローラ30は、ブザー15からの警告音の出力状態を変更する。
【0110】
なお、表示部10Bに表示される報知は、図11に示すようなメッセージ48に限定されない。コントローラ30は、メンテナンスを促す報知として、表示部10Bにアイコン又は記号などの絵図を表示させてもよい。状態画面において第1色彩の背景色が表示される場合、コントローラ30は、メンテナンスを促す報知として、第1色彩とは異なる第3色彩の背景色を表示させてもよい。
【0111】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、始動操作スイッチはキースイッチ14としたが、これに限定されない。始動操作スイッチは、例えば、オペレータにより押下された時にモータ始動信号を出力するスイッチであってもよい。また、始動操作スイッチは、例えば、オペレータが所持する携帯式操作機器であってもよく、オペレータが携帯式操作機器を操作することにより、携帯式操作機器とコントローラ30との間で無線通信を行い、通信の成立を条件として、モータ始動信号が送信されてもよい。携帯式操作機器は、例えば、電子チップが内蔵されたリモコンキーであってもよいし、スマートフォンや携帯情報端末等のポータブルコンピュータデバイスであってもよい。
【0112】
上述の実施形態において、電動ショベル1は、キャノピー仕様でなくてもよい。電動ショベル1は、シート7の周囲の空間が閉鎖されているキャビン仕様でもよい。
【0113】
上述の実施形態において、作業機シリンダ6は、油圧シリンダであり、走行モータ22及び旋回モータ23のそれぞれは、油圧モータであることとした。作業機シリンダ6は、バッテリ16からの電力によって駆動する電動シリンダでもよい。走行モータ22及び旋回モータ23のそれぞれは、バッテリ16からの電力によって駆動する電動モータでもよい。
【0114】
上述の実施形態において、電動式作業機械1は電動ショベルに限定されない。電動式作業機械1は、例えば、電動フォークリフトでもよいし、電動ホイールローダでもよいし、電動ブルドーザでもよい。
【0115】
上述の実施形態において、プロセッサ30Aが有する複数の機能部が、別々のハードウエア(プロセッサ)に設けられてもよい。例えば、表示制御部35が表示装置10に設けられてもよい。
【0116】
上述の実施形態において、電動式作業機械1は、遠隔操作されてもよい。すなわち、電動式作業機械1は、作業現場の遠隔地に設けられている遠隔操作装置からの操作指令に基づいて動作してもよい。
【0117】
上述の実施形態において、オペレータによって始動操作スイッチが操作され、電動モータ19が始動した後、電動式作業機械1は、自律して動作してもよい。
【符号の説明】
【0118】
1…電動ショベル(電動式作業機械)、2…走行体、3…旋回体、4…ブレード、5…作業機、5A…ブーム、5B…アーム、5C…バケット、6…作業機シリンダ、6A…ブームシリンダ、6B…アームシリンダ、6C…バケットシリンダ、7…シート、8…作業機操作レバー、9…走行操作レバー、10…表示装置、10A…入力部、10B…表示部、11…支柱、12…キャノピー、13…支持部材、14…キースイッチ(始動操作スイッチ)、14A…キーオフ位置、14B…キーオン位置、14C…モータ始動位置、15…ブザー、16…バッテリ、17…バッテリ制御回路、17A…電圧センサ、18…インバータ、19…電動モータ、20…油圧ポンプ、21…メインバルブ、22…走行モータ、23…旋回モータ、30…コントローラ、30A…プロセッサ、30B…メインメモリ、30C…ストレージ、30D…インタフェース、31…モータ状態判定部、32…キー信号受信部、33…蓄電残量検出部、34…蓄電残量判定部、35…表示制御部、36…ブザー制御部、37…操作信号受信部、38…モータ制御部、39…設定値記憶部、40…インジケータ、41…第1指標マーク、42…第2指標マーク、43…第3指標マーク、44…インジケータ、45…数値データ、46…数値データ、47…シンボル、48…メッセージ、49…確認ボタン、51…メッセージ、52…確認ボタン。
図1
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