(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123618
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】コンタクトレンズ提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240905BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031189
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000138082
【氏名又は名称】株式会社メニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】吉村 良佑
(72)【発明者】
【氏名】平田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀樹
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB58
5L030BB63
5L049BB58
5L049BB63
(57)【要約】
【課題】使用者の安全性を確保しつつ、複数種類のコンタクトレンズを適切且つ容易に継続して提供することを可能となし得るコンタクトレンズの新規な提供システムを実現すること。
【解決手段】各会員に関連付けられた複数種類のコンタクトレンズを所定の期間内に提供するコンタクトレンズの組合せ態様を記憶するレンズ組合せ態様記憶手段(22e)を用い、レンズ要求信号を受信した場合(S01)に、当該レンズ組合せ態様記憶手段に記憶された情報に従って当該会員へのコンタクトレンズの提供を許可する(S05~S06)コンタクトレンズ提供システム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズ使用者に対してコンタクトレンズを提供するコンタクトレンズ提供システムであって、
コンタクトレンズ使用者を会員として登録する会員データベースと、
前記会員の処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、
前記会員に対して前記処方箋情報に基づいて複数種類のコンタクトレンズを関連付ける複数レンズ関連付手段と、
該複数レンズ関連付手段で該会員に対して関連付けられた前記複数種類のコンタクトレンズについて、所定の期間内に該会員へ提供するコンタクトレンズの組合せ態様を記憶するレンズ組合せ態様記憶手段と
を、コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置がアクセス可能に備えており、
前記店舗用コンピュータ装置が前記会員へのコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号を受信した場合に、前記レンズ組合せ態様記憶手段に記憶された当該会員へ提供するコンタクトレンズの組合せ態様に従って該会員へのコンタクトレンズの提供を許可するレンズ提供許可信号を出力することを、特徴とするコンタクトレンズ提供システム。
【請求項2】
前記複数レンズ関連付手段で前記会員に対して関連付けられた前記複数種類のコンタクトレンズについて、所定の期間内に該会員へ提供するコンタクトレンズの組合せ態様を提示するレンズ組合せ態様提示手段を有しており、
該レンズ組合せ態様提示手段で提示された該コンタクトレンズの組合せ態様のなかから選択された特定のコンタクトレンズの組合せ態様を前記レンズ組合せ態様記憶手段が記憶する
請求項1に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項3】
前記会員を特定の前記レンズ店舗へ関連付ける情報を記憶する店舗関連付情報記憶手段と、
該レンズ店舗における各種類毎のコンタクトレンズの在庫情報を記憶するレンズ在庫情報記憶手段と、
前記会員へ提供する各種類の前記コンタクトレンズについて、該会員へ提供するコンタクトレンズの組合せ態様に応じて、該会員に関連付けられた前記レンズ店舗における在庫状況を確認する在庫状況確認手段と、
該在庫状況確認手段により在庫不足が確認された場合に、該会員へ提供する種類のコンタクトレンズについて補充を指示する在庫補充指示手段と
を有する請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項4】
前記複数種類のコンタクトレンズについてそれぞれ提供する関連サービスを対応付ける関連サービス対応付け手段を備えており、
前記レンズ組合せ態様記憶手段に記憶されて前記会員へ提供されるコンタクトレンズに応じて、該関連サービス対応付け手段に従って特定の関連サービスの提供を指示する請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項5】
前記会員についての検査情報を取得する検査情報取得手段と、
該検査情報に応じて前記レンズ組合せ態様記憶手段が記憶した前記コンタクトレンズの組合せ態様の変更案を提示する変更案提示手段と
を、有しており、
該変更案提示手段で提示された該コンタクトレンズの組合せ態様の変更案のなかから選択された特定の変更案を、前記レンズ組合せ態様記憶手段に反映して該会員へ提供される複数種類のコンタクトレンズの組合せ態様のパーソナライズ化を進めるパーソナライズ化手段を備える
請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項6】
前記検査情報が、問診式回答情報と画像情報を含む請求項5に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項7】
前記画像情報が前記会員の眼の動画情報を含む請求項6に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項8】
前記問診式回答情報が、前記会員における眼精疲労の症状に関する情報を含んでおり、
眼精疲労の症状が認められた場合に付加度数を考慮したコンタクトレンズを組み合わせた態様の変更案を、前記変更案提示手段において提示する請求項6に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項9】
前記検査情報が、前記会員におけるコンタクトレンズ使用に関するコンプライアンス情報を含み、
コンタクトレンズ使用に関するコンプライアンスレベルが予め設定された基準レベルを満たさない場合に、一回使い捨てタイプのコンタクトレンズを組み合わせた態様の変更案を、前記変更案提示手段において提示する請求項5に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項10】
前記検査情報が、前記会員に関連付けられた前記複数種類のコンタクトレンズ毎の不使用期間情報を含み、
特定のコンタクトレンズの不使用期間が予め設定された基準期間を超えている場合に、当該特定のコンタクトレンズを含まない態様の変更案を、前記変更案提示手段において提示する請求項5に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項11】
前記会員についての検査情報を取得する検査情報取得手段と、
該検査情報に基づいて該会員の眼状態を判定する眼状態判定手段と、
該眼状態判定手段によって得られた眼状態の判定結果を含む判定レポートを作成する判定レポート作成手段と、
該判定レポート作成手段によって作成された該判定レポートを前記会員に提供する判定レポートフィードバック手段と
を、含む請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項12】
前記眼状態判定手段による前記会員の眼状態の判定結果に異常が認められた場合には、該会員に対して眼科医による診察を要求する受診指示手段を備えている請求項11に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項13】
前記複数レンズ関連付手段で前記会員に対して関連付けられた前記複数種類のコンタクトレンズについて、当該会員に対して提供する具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間が予め設定された基準期間を超えるか否かを判定する不使用期間判定手段を備えており、
該不使用期間判定手段によって不使用期間が該基準期間を超えていると判定された場合に、前記眼状態判定手段による眼状態の判定を要求する判定指示手段を備えている請求項11に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項14】
複数レンズ関連付手段で前記会員に対して関連付けられた前記複数種類のコンタクトレンズについて、当該会員に対して提供する具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間が予め設定された基準期間を超えるか否かを判定する不使用期間判定手段を備えており、
該不使用期間判定手段によって不使用期間が該基準期間を超えていると判定された場合に、眼科医による診察を要求する受診指示手段を備えている請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項15】
前記複数レンズ関連付手段が、特定の前記会員に対して複数の前記処方箋情報に基づいて各該処方箋情報による要件を満たす複数種類のコンタクトレンズを関連付ける請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項16】
前記複数レンズ関連付手段が、特定の前記会員に対して特定の前記処方箋情報に基づいて複数種類のコンタクトレンズを関連付ける請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項17】
前記複数レンズ関連付手段において特定の前記会員に対して関連付けられた複数種類のコンタクトレンズが、「パワー」と「付加度数」の少なくとも一方を互いに異ならされることで光学的焦点態様が異ならされたコンタクトレンズを含む請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項18】
前記複数レンズ関連付手段において特定の前記会員に対して関連付けられた複数種類のコンタクトレンズが、レンズカラー及び/又は模様を互いに異ならされることでコスメティック態様が異ならされたコンタクトレンズを含む請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項19】
前記レンズ要求信号が、コンタクトレンズを提供する前記会員を特定すると共に、前記複数レンズ関連付手段によって該会員に対して関連付けられた前記コンタクトレンズを特定する信号である請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項20】
コンタクトレンズの提供を受ける複数の前記会員の利用にそれぞれ供される複数の会員用コンピュータ装置の何れかから、ネットワークシステムを通じて、前記店舗用コンピュータ装置に対して当該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号が入力される請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項21】
前記レンズ組合せ態様記憶手段に記憶された当該会員へ提供するコンタクトレンズの組合せ態様に従って、互いに異なる種類のコンタクトレンズを各別のタイムスケジュールで該会員へのコンタクトレンズの提供を許可する請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項22】
前記レンズ組合せ態様記憶手段に記憶された当該会員へ提供するコンタクトレンズの組合せ態様に従って、互いに異なる種類のコンタクトレンズを組み合わせて同時に該会員への提供を許可する請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズを使用者(ユーザー)に提供するのに用いられるコンタクトレンズ提供システムに係り、特に使用者の安全性を確保しつつ、使用者の生活環境等に対応して複数種類のコンタクトレンズを適切且つ容易に継続して提供することを可能となし得る、コンタクトレンズの新規な提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズは眼の角膜に直接に重ね合わせて装用されるものであり、角膜は繊細な組織であることから外部からの損傷や汚染などを受けやすく、コンタクトレンズの不適切な装用は重篤な疾病につながり易い。
【0003】
そこで、コンタクトレンズは高度管理医療機器の一種とされており、医薬品医療機器等法や、医薬・生活衛生局局長通知(薬生発0926第5号),一般社団法人日本コンタクトレンズ協会のコンタクトレンズ販売自主基準、独立行政法人国民生活センターのコンタクトレンズ情報などにおいて、コンタクトレンズの提供に際しては眼科医による処方箋(コンタクトレンズ指示書などとも称される)を要求等している。
【0004】
しかし、近年では、処方箋の要件が法律に明記されていないこと等を拠り所として、一度の処方箋情報により長期間に亘ってコンタクトレンズを提供し続けたり、処方箋すら必要とせずにコンタクトレンズを提供するインターネット販売店も存在しており、このようなインターネット販売店によるコンタクトレンズ販売量は増加している。そのために、コンタクトレンズの使用に際してのユーザー保護の管理態勢がおろそかになってきている。また、カラーコンタクトレンズ等の視力矯正機能を有しないコスメティック用コンタクトレンズでは、視力矯正用コンタクトレンズと同様に使用されるのに拘わらず医療外品として簡易に販売されることもあり、使用者への適合性の判断が充分になされていなかったり、コンタクトレンズ使用に関して充分な知識を備えない使用者であったりして、重篤な眼疾患に至る可能性がより大きいが、その安全性の管理体制が殆ど整っていない状況である。
【0005】
しかも、コンタクトレンズの装用の適否は、規格値によって機械的及び統一的に判断することも適切でなく、たとえレンズ度数やベースカーブなどの処方箋で特定されるレンズ基本情報がユーザーに適合したコンタクトレンズであったとしても、当該ユーザーがコンタクトレンズを使用することに問題がないとは言い切れない。即ち、コンタクトレンズ使用の良否は、ユーザーの生活や生理的な状況の変化、例えば涙液量や涙液組成等を含む健康状態などによっても経時的に変化するものであるし、コンタクトレンズの適合性についても、レンズ基本情報の他にレンズやメーカー毎に異なる材質や周辺部形状等による影響も受ける。事実、コンタクトレンズ使用者の多くは、充血やゴロツキ感、痛み、違和感などを経験している。それ故、コンタクトレンズ使用の適否は、常時気遣うべきであり、何等かの異常に対しては自己判断することなく早期且つ適切に対処することが、眼や健康への重篤な問題発生を避けるのに重要である。
【0006】
加えて、近年では、コンタクトレンズの使用者数の増加と共に、コンタクトレンズの種類が多様化しているだけでなく、コンタクトレンズの使用態様も多様化してきている。例えば生活スタイルの多様化や高齢化などが進むことで、レンズ使用者は複数種類のコンタクトレンズを選択的に使用することを望む状況になりやすい。具体的には、職業ドライバーであり且つ趣味が読書やインターネット(コンピュータ)等で休日を屋内で過ごす生活スタイルであれば、平日の就業中は近視用のコンタクトレンズを装用する一方、休日には老視用や遠近両用のコンタクトレンズを装用することを望む状況も想定され得る。また、軽度の近視の成人で車通勤者であれば、平日は近視用のコンタクトレンズを装用する一方、車を運転しない休日はカラーコンタクトレンズ等のコスメティック用のコンタクトレンズの装用を望む状況も想定される。
【0007】
そして、このようにコンタクトレンズに関する提供側及びユーザー側の多様化した環境の変化に対して、従来のコンタクトレンズに関する管理や保護の体制では、充分に対応することが難しくなってきた。即ち、国内大手のコンタクトレンズメーカーである本出願人は、コンタクトレンズを継続的に使用するに際してのユーザーの安全性の確保等を目的として、ネットワークシステムを利用した会員制のもとで効率的にレンズを提供する会員制のレンズ提供システム(特許文献1)や、眼科医の診断情報を積極的に活用したレンズ提供システム(特許文献2)などを提案してきた。しかし、各ユーザーに対する特定のコンタクトレンズの提供時期等を会員制のもとで管理する従来のレンズ提供システムでは、コンタクトレンズの使用態様の多様化などの環境の変化に充分に対応することが難しく、各レンズユーザーに対して、それぞれが望む多様なコンタクトレンズを効率的に提供することと、各ユーザーの安全性を確保することとを、両立して且つ継続的に達成することのできる、改善された新規なコンタクトレンズ提供システムが必要とされていたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4544763号公報
【特許文献2】特許第4795549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、コンタクトレンズの種類の多様化と共に各ユーザーの生活態様等の多様化に伴って複数種類のコンタクトレンズをユーザーが併用するに際して、かかる複数種類のコンタクトレンズの各ユーザーへの効率的且つ継続的な提供を実現しつつ、各ユーザーの安全と安心を継続して確保することを可能とする、新たなコンタクトレンズ提供システムを実現することにある。
【0010】
ところで、かかる課題の解決のために、例えば、眼に関する専門的知識を有する眼科医によって各レンズユーザーを管理等することも考えられるが、現行の医療制度下では、眼科医は特定のコンタクトレンズについて特定のユーザーへの適合を確認して処方箋を発行するのに止まる。それ故、ユーザーの生活態様の変化に伴う多様なコンタクトレンズの併用などに際して、眼科医だけで対応することは極めて難しい。そもそも眼科医は、医販分離の社会的制限下でコンタクトレンズを販売したり管理することが現実的に難しいことから、レンズユーザーについてコンタクトレンズの提供ひいては使用を管理することが困難である。
一方、コンタクトレンズユーザーも、自身の眼の健康状態を気にかけない筈はないが、多様なコンタクトレンズを併用するに際して、各コンタクトレンズ毎に眼科医に赴いて診察等を受けたり、定期的な検査やアドバイスなどを受けようとすると、一つのコンタクトレンズだけを使用する場合に比して何倍もの時間と労力が必要となって億劫になることは容易に想像できる。かといって、専門的知識を持たない各ユーザーが、複数種類のコンタクトレンズについてそれぞれ購入と管理を行うことに加えて、各コンタクトレンズ毎に異なる使用上の留意点等を含めて自身への適合性、更には自身の健康状態までも管理することは現実的でない。
そして、このような状況下では、複数種類のコンタクトレンズを使用しているユーザーにおいて眼に何等かの異常が発生した場合でも、複数種類のコンタクトレンズの使用状態を専門家が具体的に把握しておらず、専門的知識のないユーザーの判断と対応に委ねざるを得ない。それ故、例えば特定のコンタクトレンズについて、当該ユーザーへの適合性や当該コンタクトレンズの取扱いや使用状況などに問題があって眼に異常が発生した場合でも、かかる問題を推定したり特定することが極めて困難であることから早期の対処ができずに眼や健康に大きな問題が発生することを避け難くなるおそれがある。
【0011】
このようにレンズユーザーに対して複数種類のコンタクトレンズを提供するに際しての特別な問題を解決することを目的として、本発明を為すに至った。特に本発明は、以下の欄に記載の各態様に示されるように、眼科医からの処方箋情報をレンズ店舗を通じて利用して多種多様なコンタクトレンズについて専門知識を有するレンズ店舗を巧く且つ効率的に活用することで、会員制の各ユーザーに対する複数種類のコンタクトレンズの継続的且つ効率的な提供と、複数種類のコンタクトレンズの使用状況の把握のもとでの継続的な健康状態の管理を含むサポートを継続的に実現するという、新規且つ有用な着眼点に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の態様は、以下のとおりである。
コンタクトレンズ使用者に対してコンタクトレンズを提供するコンタクトレンズ提供システムであって、
コンタクトレンズ使用者を会員として登録する会員データベースと、
前記会員の処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、
前記会員に対して前記処方箋情報に基づいて複数種類のコンタクトレンズを関連付ける複数レンズ関連付手段と、
該複数レンズ関連付手段で該会員に対して関連付けられた前記複数種類のコンタクトレンズについて、所定の期間内に該会員へ提供するコンタクトレンズの組合せ態様を記憶するレンズ組合せ態様記憶手段と
を、コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置がアクセス可能に備えており、
前記店舗用コンピュータ装置が前記会員へのコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号を受信した場合に、前記レンズ組合せ態様記憶手段に記憶された当該会員へ提供するコンタクトレンズの組合せ態様に従って該会員へのコンタクトレンズの提供を許可するレンズ提供許可信号を出力することを、特徴とするコンタクトレンズ提供システム。
【0013】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、会員毎に複数種類のコンタクトレンズが関連付けられて、それら複数種類のコンタクトレンズが予め設定された期間と組合せ態様をもって提供され得ることから、複数種類のコンタクトレンズを使い分けている会員に対して、各種類のコンタクトレンズを適切な時期に適切な数だけ効率的に提供することが可能になり、それによって会員は複数種類のコンタクトレンズを効率的に入手して容易に管理および使用することができる。
【0014】
しかも、各会員に提供される複数種類のコンタクトレンズは、何れも、当該会員の処方箋情報に基づいて関連付けられたものであることから、各会員への適合性が確保されることとなり、会員へ安心感も与えられる。特に複数レンズ関連付手段による処方箋情報に基づくコンタクトレンズの関連付けに際しては、レンズ店舗が保有するコンタクトレンズに関する専門知識を反映することができ、例えば処方箋に直接記載されていない情報を考慮することが可能である。具体的には、処方箋に記載された特定のコンタクトレンズに対して、ベースカーブやレンズ度数などの処方箋記載情報だけでなく、眼科医さえも知得が難しい専門的情報として、例えばレンズ材質やサグ値、保存液成分、更には球面や非球面等のレンズ面デザインやレンズ表面処理状態、レンズケア用品の異同や特殊性などの装用感等への影響の可能性のある専門的情報までも把握して、各会員に対して複数種類のコンタクトレンズを関連付けることが可能であり、それによって各会員について関連付けられた複数種類のコンタクトレンズの適合性に関する信頼性や安心感の向上が図られ得る。
【0015】
また、本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、各会員毎における複数種類のコンタクトレンズの使用状況について、レンズ組合せ態様記憶手段の記憶情報やレンズ提供許可信号の出力情報、或いはコンタクトレンズ提供情報などに基づいて継続的に把握することが容易となる。それ故、各会員に対して単に継続的なレンズ提供だけでなく、各会員毎に異なる問題の発生傾向や嗜好性などの個別情報までも考慮して継続的な健康状態確認を含めたサポートも提供することが可能になる。
【0016】
従って、本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、コンタクトレンズ使用者である会員は、会員が利用できるレンズ店舗(インターネット上のレンズ店舗を含む)を通じて、各自の生活スタイル等に応じて複数種類のコンタクトレンズを優れた利便性をもって且つ安心して使用し続けることが可能になるのである。
【0017】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記複数レンズ関連付手段で前記会員に対して関連付けられた前記複数種類のコンタクトレンズについて、所定の期間内に該会員へ提供するコンタクトレンズの組合せ態様を提示するレンズ組合せ態様提示手段を有しており、
該レンズ組合せ態様提示手段で提示された該コンタクトレンズの組合せ態様のなかから選択された特定のコンタクトレンズの組合せ態様を前記レンズ組合せ態様記憶手段が記憶するものである。
【0018】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、各会員毎の生活スタイルや眼状態、或いは費用(会費,料金)などを考慮して、複数のレンズ組合せ態様を具体的に提示することで、複数種類のコンタクトレンズの提供態様を具体的に把握したりレンズ店舗側と理解を容易に共有して会員の理解と同意をより正確に且つ容易に得やすくすることが可能であり、当該会員に一層適した態様で複数種類のコンタクトレンズを提供することが容易となる。
【0019】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記会員を特定の前記レンズ店舗へ関連付ける情報を記憶する店舗関連付情報記憶手段と、
該レンズ店舗における各種類毎のコンタクトレンズの在庫情報を記憶するレンズ在庫情報記憶手段と、
前記会員へ提供する各種類の前記コンタクトレンズについて、該会員へ提供するコンタクトレンズの組合せ態様に応じて、該会員に関連付けられた前記レンズ店舗における在庫状況を確認する在庫状況確認手段と、
該在庫状況確認手段により在庫不足が確認された場合に、該会員へ提供する種類のコンタクトレンズについて補充を指示する在庫補充指示手段とを有するものである。
【0020】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、各レンズ店舗におけるコンタクトレンズの在庫数の増加を抑えつつ、各会員に対して希望するコンタクトレンズを速やかに提供することが容易となる。即ち、近年のコンタクトレンズの種類の増加によってレンズ店舗でのコンタクトレンズの在庫数も増えている状況下で、更に、各会員への複数種類のコンタクトレンズの提供に対応しようとすると、レンズ店舗におけるレンズ在庫数の増加による負担が大きくなり、物理的な在庫スペースの制限等によって会員からのコンタクトレンズの要求にも速やかな対応が難しくなるおそれがある。ここにおいて、本態様のコンタクトレンズ提供システムでは、例えば在庫補充指示手段による指示を待って必要なコンタクトレンズの在庫を持つことで、在庫するコンタクトレンズの種類や数を少なく抑えつつ、会員からの特定のコンタクトレンズの要求に対して速やかに提供する対応が可能になる。
【0021】
本発明の第四の態様は、前記第一~三の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記複数種類のコンタクトレンズについてそれぞれ提供する関連サービスを対応付ける関連サービス対応付け手段を備えており、
前記レンズ組合せ態様記憶手段に記憶されて前記会員へ提供されるコンタクトレンズに応じて、該関連サービス対応付け手段に従って特定の関連サービスの提供を指示するものである。
【0022】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、複数種類のコンタクトレンズを使用する会員に対して、各コンタクトレンズに適合した関連サービスを提供することで、複数種類のコンタクトレンズの使用の利便性の更なる向上を図ることが可能になる。例えばコンタクトレンズの具体的種類に適合したレンズ保存液や点眼薬等を選択して提供したり、コンタクトレンズの具体的種類に適合した期間毎の眼科検診を促す情報を提供したり等することも可能である。
【0023】
本発明の第五の態様は、前記第一~四の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記会員についての検査情報を取得する検査情報取得手段と、
該検査情報に応じて前記レンズ組合せ態様記憶手段が記憶した前記コンタクトレンズの組合せ態様の変更案を提示する変更案提示手段と
を、有しており、
該変更案提示手段で提示された該コンタクトレンズの組合せ態様の変更案のなかから選択された特定の変更案を、前記レンズ組合せ態様記憶手段に反映して該会員へ提供される複数種類のコンタクトレンズの組合せ態様のパーソナライズ化を進めるパーソナライズ化手段を備えるものである。
【0024】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、レンズ組合せ態様記憶手段に設定された会員毎のコンタクトレンズの組合せ態様を、会員における事後の状況に応じて変更することができるだけでなく、変更案提示手段において、レンズ店舗の専門知識を反映して当該会員に一層適切に変更されたレンズ組合せ態様を具体的に提示することで、会員の安心感を確保しつつ、優れた適合性をもったコンタクトレンズを容易に会員へ提供することが可能になる。特に、処方箋情報記憶手段やレンズ組合せ態様記憶手段等における情報に基づいて、当該会員のレンズ適合性や過去のレンズ装用状況などを具体的に且つ効率的に把握することができることから、例えば会員についての検査情報として、生活環境の変化などの他に、コンタクトレンズ装用に際しての見え方や装用感についての違和感などがあった場合にも、レンズ店舗の専門知識情報等と併せて活用することで、問題となるコンタクトレンズの種類を特定したり、改善案を反映して、変更案提示手段においてコンタクトレンズの組合せ態様の変更案を提案し、コンタクトレンズの組合せ態様をパーソナライズ化することが可能になる。
【0025】
本発明の第六の態様は、前記第五の態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記検査情報が、問診式回答情報と画像情報を含むものである。
【0026】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、会員におけるレンズ使用状況や眼状態について、当該会員について一層適合したコンタクトレンズの組合せ態様を検討するに際して有用な情報を効率的に取得することが可能である。特に問診式回答情報と画像情報との何れについても、例えばWeb等の通信回線を利用することで会員等の時間や労力の負担を軽減しつつ、有意な情報取得が実現可能である。特に眼検査情報として画像情報を含ませることで、眼検査情報による判定レベルのばらつきを抑えたり、そこに客観的評価の指標を与えたりすることが可能になる。即ち、例えば眼検査情報として会員の主観的乃至は自己申告の情報や眼科医等の専門家による診察乃至は観察情報などを採用し得るが、主観的な評価を含んだ主観的情報では情報提供主体間の感覚差や能力差,経験差等による精度やばらつきが存在する。かかる状況下、本態様では、例えば画像情報としての眼の外観を撮影した画像データを取得し、画素レベルで色相や彩度,明度などを所定基準下で客観的に評価することで、眼の状態や障害程度を段階評価する評価プログラムを、眼状態判定用のプログラムとして採用することも可能であり、それによって、定量的評価に基づいて客観的な判定を行うことも可能になる。
【0027】
本発明の第七の態様は、前記第六の態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記画像情報が前記会員の眼の動画情報を含むものである。
【0028】
本態様によれば、動画を採用することにより、例えばコンタクトレンズの動き量や瞬目不良,BUT(Tear film break up time : 涙液層破壊時間)なども評価対象とすることが可能になり、眼状態判定の精度や信頼性の向上が図られ得る。なお、眼の動画は、コンタクトレンズの装用状態と非装用状態との両方の動画を含むことが望ましい。また、かかる動画は、例えばレンズ店舗に備え付けのカメラや会員所有のカメラ(会員用コンピュータとしても機能するスマートフォン等の携帯端末が装備する撮像装置を含む)を使って、眼を正面等から自身又は他者が撮像することによって取得できる。
【0029】
本発明の第八の態様は、前記第六の態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記問診式回答情報が、前記会員における眼精疲労の症状に関する情報を含み、
眼精疲労の症状が認められた場合に付加度数を考慮したコンタクトレンズを組み合わせた態様の変更案を、前記変更案提示手段において提示するものである。
【0030】
本態様によれば、付加度数の設定された例えば多焦点(2焦点や累進焦点を含む)のコンタクトレンズの場合には、使用者の生活環境や体質的差異等による装用感への影響を考慮して、特定の使用者への適合性が向上したコンタクトレンズの組合せ態様の変更案をより効率的に提示することが可能になる。
【0031】
本発明の第九の態様は、前記第五~八の何れかの態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
前記検査情報が、前記会員におけるコンタクトレンズ使用に関するコンプライアンス情報を含み、
コンタクトレンズ使用に関するコンプライアンスレベルが予め設定された基準レベルを満たさない場合に、一回使い捨てタイプのコンタクトレンズを組み合わせた態様の変更案を、前記変更案提示手段において提示するものである。
【0032】
本態様によれば、例えば問診式回答情報としてコンタクトレンズの取扱方法やコンタクトレンズの保存方法,コンタクトレンズの使用期限乃至は使用期間の遵守状況などの予め取り決められたコンタクトレンズ使用に関するコンプライアンス情報について、当該会員の眼状態への悪影響を事前に考慮して、会員の眼の健康状態を護ることが可能になる。例えば、ハードコンタクトレンズの他に一週間や二週間等の特定使用期間を定めた頻回使用のコンタクトレンズ等を使用する会員であって、使用規定の遵守状況が規定以下の会員に対しては、よりリスクの少ない一回使い捨てタイプのコンタクトレンズを少なくとも一つの種類として組み合わせるように変更を提案することで、会員の眼の健康状態の維持に有効となる。
【0033】
本発明の第十の態様は、前記第五~九の何れかの態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
前記検査情報が、前記会員に関連付けられた前記複数種類のコンタクトレンズ毎の不使用期間情報を含み、
特定のコンタクトレンズの不使用期間が予め設定された基準期間を超えている場合に、当該特定のコンタクトレンズを含まない態様の変更案を、前記変更案提示手段において提示するものである。
【0034】
本態様によれば、例えば会員の生活環境等の変化によって、当該会員が使用しなくなった種類のコンタクトレンズの組み合せを除外する提案を行って、不要なコンタクトレンズの提供を省略し、必要に応じて新たな種類のコンタクトレンズを組み合わせて提供する提案などを行うことも可能となる。これにより、会員の視力状況やライフスタイル等の変化に対して速やかに且つ適切に対応して、会員の現況により適した組合せ態様をもって複数種類のコンタクトレンズを提供し続けることが容易となる。
【0035】
本発明の第十一の態様は、前記第一~十の何れかの態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
前記会員についての検査情報を取得する検査情報取得手段と、
該検査情報に基づいて該会員の眼状態を判定する眼状態判定手段と、
該眼状態判定手段によって得られた眼状態の判定結果を含む判定レポートを作成する判定レポート作成手段と、
該判定レポート作成手段によって作成された該判定レポートを前記会員に提供する判定レポートフィードバック手段と
を、含むものである。
【0036】
本態様によれば、例えば会員に対して定期的に又は要求に応じて眼状態の判定レポートを提供することが可能になり、かかる判定レポートを見た会員に対して自主的な注意喚起をしたり、何らかの異常を早期発見することなども可能になる。なお、検査情報としては、例えば前述の第六~七の態様に記載の如き問診式回答情報と画像情報(静止画情報や動画情報を含む)を採用することができる。
【0037】
本発明の第十二の態様は、前記第十一の態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
前記眼状態判定手段による前記会員の眼状態の判定結果に異常が認められた場合には、該会員に対して眼科医による診察を要求する受診指示手段を備えているものである。
【0038】
本態様によれば、眼状態等に異常が認められた場合に、眼科医による診察を要求することで、早期の対応を実現すると共に、会員に対して眼の健康状態を見守っていることをアピールして安心感を抱かせることもできる。なお、本態様では、眼科医による診察を要求することに加えて、コンタクトレンズの提供を拒否する処置も可能であり、物理的にコンタクトレンズを使用できない状況にすることで、レンズ使用者の眼の健康状態の悪化の進行をより確実に抑えることが可能になる。なお、本態様に従って眼状態の判定に異常が認められた場合には、例えば眼科医による診察結果としてコンタクトレンズ装用に支障ないことを示す診察結果情報が入力されることを要件として、当該会員へのコンタクトレンズの提供を許可することも好適である。
【0039】
本発明の第十三の態様は、前記第一~十の何れかの態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
前記複数レンズ関連付手段で前記会員に対して関連付けられた前記複数種類のコンタクトレンズについて、当該会員に対して提供する具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間が予め設定された基準期間を超えるか否かを判定する不使用期間判定手段を備えており、
該不使用期間判定手段によって不使用期間が該基準期間を超えていると判定された場合に、前記第十一又は十二の態様に係る前記眼状態判定手段による眼状態の判定を要求する判定指示手段を備えているものである。
【0040】
本態様によれば、長期間に亘って使用していない種類のコンタクトレンズが存在していた場合に、例えば会員の生活環境や体調、体質などの変化によって当該種類のコンタクトレンズへの適正等が異なっている可能性を考慮して、かかる種類のコンタクトレンズを提供して使用に供する前に、当該種類のコンタクトレンズへの適正を、眼状態判定結果を考慮して、再確認することが可能になる。
【0041】
本発明の第十四の態様は、前記第一~十三の何れかの態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
複数レンズ関連付手段で前記会員に対して関連付けられた前記複数種類のコンタクトレンズについて、当該会員に対して提供する具体的種類のコンタクトレンズの不使用期間が予め設定された基準期間を超えるか否かを判定する不使用期間判定手段を備えており、
該不使用期間判定手段によって不使用期間が該基準期間を超えていると判定された場合に、眼科医による診察を要求する受診指示手段を備えているものである。
【0042】
本態様によれば、長期間に亘って使用していない種類のコンタクトレンズが存在していた場合に、例えば会員の生活環境や体調、体質などの変化によって当該種類のコンタクトレンズへの適正等が異なっている可能性を考慮して、かかる種類のコンタクトレンズを提供して使用に供する前に、当該種類のコンタクトレンズへの適正を、眼科医による診察結果を考慮して、再確認することが可能になる。
【0043】
本発明の第十五の態様は、前記第一~十四の何れかの態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
前記複数レンズ関連付手段が、特定の前記会員に対して複数の前記処方箋情報に基づいて各該処方箋情報による要件を満たす複数種類のコンタクトレンズを関連付けるものである。
【0044】
本態様によれば、例えば複数種類のコンタクトレンズのそれぞれについて、各別の処方箋情報をもって、共通する特定会員に関連付けて、管理することができる。
【0045】
本発明の第十六の態様は、前記一~十四の何れかの態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
前記複数レンズ関連付手段が、特定の前記会員に対して特定の前記処方箋情報に基づいて複数種類のコンタクトレンズを関連付けるものである。
【0046】
本態様によれば、例えば特定会員における一つの処方箋情報に基づいて、複数種類のコンタクトレンズを当該特定会員へ関連付けて、管理することができる。
【0047】
なお、会員の使用するコンタクトレンズの種類や、会員が利用する眼科医などによって、前記第十五の態様のように複数種類のコンタクトレンズを各別の処方箋情報に基づいて管理する態様と、前記第十六の態様のように複数種類のコンタクトレンズを一つの処方箋情報に基づいて管理する態様とを、システムにおいて併せて採用することも可能である。また、処方箋情報に基づく複数種類のコンタクトレンズの関連付けは、視力の矯正機能を有するコンタクトレンズに限らずに視力の矯正機能を有しないコスメティック用コンタクトレンズにまで、処方箋情報の直接的な適用をもって行うことが望ましく、それによって、会員の使用する全ての種類のコンタクトレンズについての安全管理体制の徹底が図られ得る。
【0048】
本発明の第十七の態様は、前記第一~十六の何れかの態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
前記複数レンズ関連付手段において特定の前記会員に対して関連付けられた複数種類のコンタクトレンズが、「パワー」と「付加度数」の少なくとも一方を互いに異ならされることで光学的焦点態様が異ならされたコンタクトレンズを含むものである。
【0049】
本態様によれば、例えば勤務時とプライベート時や特定の趣味活動時、車両運転時とそれ以外などで、環境変化に対応して各環境に適した見え方を提供し得る複数種類のコンタクトレンズを、本発明に従って効率的に提供することが可能になり、本発明がコンタクトレンズを使用する各ユーザーの生活の質の向上等にも資することとなる。
【0050】
本発明の第十八の態様は、前記第一~十七の何れかの態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
前記複数レンズ関連付手段において特定の前記会員に対して関連付けられた複数種類のコンタクトレンズが、レンズカラー及び/又は模様を互いに異ならされることでコスメティック態様が異ならされたコンタクトレンズを含むものである。
【0051】
本態様によれば、例えば視力矯正機能の高い透明なコンタクトレンズとコスメティック機能の高い有色領域をもったコンタクトレンズなど、カラーの異なるコンタクトレンズを組み合わせて会員へ複数種類のコンタクトレンズを、本発明に従って提供することが可能になり、各ユーザーのコンタクトレンズに関する広い要求にも柔軟に対応することが可能になる。
【0052】
本発明の第十九の態様は、前記第一~十八の何れかの態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
前記レンズ要求信号が、コンタクトレンズを提供する前記会員を特定すると共に、前記複数レンズ関連付手段によって該会員に対して関連付けられた前記コンタクトレンズを特定する信号とされるものである。
【0053】
本態様によれば、レンズ要求信号が、会員に関連付けられた複数種類のコンタクトレンズのなかで特定種類のコンタクトレンズを指定することから、その都度に必要とする種類のコンタクトレンズの要求に対して容易に対応することが可能になる。それ故、例えば予め複数種類のコンタクトレンズを提供する順序やタイミング等がある程度設定されていたとしても、生活環境等の変化によって当初の設定とは異なる特定種類のコンタクトレンズが必要になったような場合にも、当該コンタクトレンズの要求に対応することが容易となる。
【0054】
本発明の第二十の態様は、前記第一~十九の何れかの態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
コンタクトレンズの提供を受ける複数の前記会員の利用にそれぞれ供される複数の会員用コンピュータ装置の何れかから、ネットワークシステムを通じて、前記店舗用コンピュータ装置に対して当該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号が入力されるものである。
【0055】
本態様によれば、予め関連付けられたレンズ店舗に対して各会員がコンタクトレンズの提供を要求することになり、コンタクトレンズの提供の処理をよりスムーズに行うことも可能になる。また、予め関連付けられたレンズ店舗において各会員の状況(各種類のコンタクトレンズの提供状況や各会員の健康状況等を含む)を効率的且つ容易に把握してコンタクトレンズ提供に反映しやすくなる。
【0056】
本発明の第二十一の態様は、前記第一~二十の何れかの態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
前記レンズ組合せ態様記憶手段に記憶された当該会員へ提供するコンタクトレンズの組合せ態様に従って、互いに異なる種類のコンタクトレンズを各別のタイムスケジュールで該会員へのコンタクトレンズの提供を許可するものである。
【0057】
本態様によれば、会員に対して複数種類のコンタクトレンズの提供の時期や数を予め管理しやすくなる。それ故、例えばレンズ店舗など、当該会員に対して提供する所において、コンタクトレンズの在庫管理を効率化できると共に、各会員へのコンタクトレンズの提供を遅れなく安定して行うことも可能になる。また、各会員にとっても、各時期に必要なコンタクトレンズだけを入手することが可能になって、自宅で自己が管理するコンタクトレンズの効率化が図られ得る。
【0058】
本発明の第二十二の態様は、前記第一~二十一の何れかの態様に記載のコンタクトレンズ提供システムであって、
前記レンズ組合せ態様記憶手段に記憶された当該会員へ提供するコンタクトレンズの組合せ態様に従って、互いに異なる種類のコンタクトレンズを組み合わせて同時に該会員への提供を許可するものである。
【0059】
本態様によれば、互いに異なる種類のコンタクトレンズを同時に提供できることから、レンズ店舗等の提供側の主体にとって複数種類のコンタクトレンズの提供の管理等が簡略化され得る。また、会員も複数種類のコンタクトレンズを同時に取得できることから、例えば一日で複数種類のコンタクトレンズを使い分ける場合など、実質的に同時期に使用するコンタクトレンズを同時に効率的に取得することができて、利便性に優れる。
【発明の効果】
【0060】
本発明によれば、コンタクトレンズの使用適合性に関する情報に関して眼科医からの処方箋情報を利用すると共に専門知識を有するレンズ店舗を活用することが可能になるのであり、そして、会員制とすることで各レンズ使用者における複数種類のコンタクトレンズの使用状況を把握して、各レンズ使用者について眼の健康状態の管理を含むサポートを継続的に実現しつつ、各レンズ使用者に対して複数種類のコンタクトレンズを効率的に提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】本発明の実施形態に係るコンタクトレンズ提供システムの構成上の概要を示す説明図。
【
図2】
図1に示されたコンタクトレンズ提供システムにおけるコンタクトレンズ提供の全体処理の一具体例の概要を示すフローチャート。
【
図3】
図2に示されたフローチャートに従うコンタクトレンズ提供に際して用いられる情報の一つであるレンズ関連付け・組合せ態様の設定処理の一具体例の概要を示すフローチャート。
【
図4】
図2に示されたフローチャートに従うコンタクトレンズ提供に際しての提供適否判定にも利用することのできるレンズ使用状態の適否判定処理の一具体例の概要を示すフローチャート。
【
図5】
図4に示されたフローチャートに従うレンズ使用状態の適否判定に際して利用することのできる眼精疲労の判定を含む眼状態判定の処理の一具体例の概要を示すフローチャート。
【
図6】
図4に示されたフローチャートに従うレンズ使用状況の適否判定に際して利用することのできるコンプライアンス遵守レベルの判定を含むレンズ使用状況判定の処理の一具体例の概要を示すフローチャート。
【
図7】
図4に示されたフローチャートに従うレンズ使用状況の適否判定に際して利用することのできる不使用リスクレベルの判定を含むレンズ使用状況判定の処理の一具体例の概要を示すフローチャート。
【
図8】
図1に示されたコンタクトレンズ提供システムにおけるコンタクトレンズの在庫処理の一具体例の概要を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0063】
先ず、
図1には、本発明に従うコンタクトレンズの提供システムの一実施形態に係る全体構成が、モデル的な概略図として示されている。
【0064】
[1]主要なコンピュータ装置
本実施形態のコンタクトレンズ提供システムは、各レンズ店舗によって管理されて用いられる複数の店舗用コンピュータ装置12と、レンズ使用者である各会員によって用いられる複数の会員用コンピュータ装置14とを含んでいる。これら複数の店舗用コンピュータ装置12と複数の会員用コンピュータ装置14とは、インターネット回線などのネットワークシステム16によって相互に情報の送受信が可能とされている。
【0065】
なお、店舗用コンピュータ装置12を使用するレンズ店舗は、会員からのコンタクトレンズの要求に対してコンタクトレンズを提供する機能を有していれば良く、独立したレンズ店舗やチェーン展開されたレンズ店舗、眼科医並設型のレンズ店舗などの事業形態には限定されない。また、かかるレンズ店舗は、店舗を構えてコンタクトレンズを販売する実店舗に限定されず、例えばインターネット上の仮想的な店舗を含む。実店舗や仮想店舗等の何れであっても、コンタクトレンズの提供を受付及び/又は指示等する者であれば良く、実際にレンズを発送する発送主体(例えばメーカーや卸売店など)は別にあっても良い。また、インターネット上の店舗が単に注文を受けるサイト等だけを有しており、そこで受け付けた注文信号によってレンズメーカーや中間流通を担うレンズ卸売業者などがコンタクトレンズの受注と発送の処理を実質的に担っているような場合であっても良く、例えば、インターネット上の店舗がソフトウェアを自動実行するコンピュータ装置のみからなる実質上架空のものであって、実体的には当該ソフトウェアの実行を指示又は管理等するレンズメーカーやレンズ卸売業者がレンズ店舗と見做される態様であっても良い。また、業態によっては、インターネット上の店舗又は実店舗(リアル店舗)と、レンズメーカーやレンズ卸売業者等とを、機能的に一体的に把握することで全体としてレンズ店舗と見做される態様であっても良い。
【0066】
また、店舗用コンピュータ装置12としては、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。尤も、物理的に単一のコンピュータである必要はなく、データの保存管理や演算処理の効率,設備管理や設備コストなどを考慮して、例えば図示されているようにネットワークシステム16で相互に接続された店舗用クライアント装置18とサーバー20を含んで、店舗用コンピュータ装置12が構成され得る。
【0067】
かかる店舗用クライアント装置18は、例えばノートパソコンやタブレットなどによって構成され得る。サーバー20も、例えば情報を記憶する記憶装置22を備えたデータベースの他、演算処理を行う演算装置24を備えたものであっても良い。サーバー20を備える場合でも、記憶装置22や演算装置24の一部を店舗用クライアント装置18に負担させることができる。複数の店舗用コンピュータ装置12で1台のサーバー20を共用することもできるし、サーバー20は、例えば付加分散装置を介してネットワークシステム16に接続されて要求される処理を協働して分散処理する複数台のコンピュータ等で構成されていても良い。なお、サーバー20は、構成を限定されるものでなく、例えばオンプレミスサーバーでも共用サーバーでも良いし、共用タイプやクラウドタイプのサーバーでも良く、レンタルサーバーやVPS(Virtual Private Server)などで構成しても良い。サーバー20は、店舗用クライアント装置18からアクセス可能であれば良く、具体的な設置場所を限定されることもない。
【0068】
一方、会員用コンピュータ装置14としては、ノートパソコンやタブレットの他、携帯電話型端末装置等も利用可能である。かかる会員用コンピュータ装置14は、店舗用コンピュータ装置12との間で各種情報の送受信が可能なものであり、それによってコンタクトレンズ等の商品や各種情報のサービスの提供を受けることができるようになっている。例えば、店舗用コンピュータ装置12が、インターネット上でWebページを提供するWWWサーバーで構成されている場合には、会員用コンピュータ装置14が、インターネット上でWebページを閲覧するWWWブラウザが導入されて構成されることが望ましく、それによってコンタクトレンズ提供等のサービスを効率的に行うことが可能になる。
【0069】
また、
図1に明示されていないが、会員に対して診察等の医療サービスを提供する複数の眼科医について、各眼科医の利用に供される眼科医用コンピュータ装置を含めてシステムを構成することも可能である。これら眼科医用コンピュータ装置は、ネットワークシステム16を通じて店舗用コンピュータ装置12との間で各種情報の送受信を可能とされることによって、例えばサーバー20のデータベースにアクセスして、データベースに記憶された情報を閲覧したり、処方箋等を電子データとして提供したり、データベースへ書き込みなどを行うシステムとして機能するようにしても良い。眼科医用コンピュータ装置へのWWWブラウザの導入等は、会員用コンピュータ装置14と同様に好適である。
【0070】
なお、店舗用コンピュータ装置12に対して会員用コンピュータ装置14や眼科医用コンピュータは、E-Mail等の通信ソフトが導入される等して、所定の通信プロトコルのもとで双方向の通信を行うサーバ・アンド・クライアントシステムとして相互に動作し得るようになっていることが望ましく、必要に応じて暗号化送受信ソフトが採用されて、相互の情報通信の便宜やセキュリティの向上が図られ得る。
【0071】
[2]コンピュータ装置における記憶装置
上述の各コンピュータ装置は、何れも、RAMやROM等の記憶手段やCPU等の演算手段などのハードウェア資源を用いて、インストールされたプログラムに従って処理をすることで、コンタクトレンズの提供などの各種サービスを実行することとなる。特に店舗用コンピュータ装置12は、サービス提供をするために記憶手段において以下の如き各種のデータベースを備えており、各データベースに記憶された情報は、必要に応じて更新されたり外部から参照等できるようになっている。
(i)会員情報データベース22a,店舗関連付情報データベース22b
本実施形態におけるコンタクトレンズ提供システムを利用してコンタクトレンズの提供を受けるレンズ使用者は、予め会員としてシステム上に情報登録されることを想定している。即ち、会員登録されたレンズ使用者は、コンタクトレンズ提供システムを利用してコンタクトレンズの提供を継続的に受けて使用し続けることを想定しており、コンタクトレンズを継続的に使用し続けるに際して、当該会員に関する個人情報を含む各種情報が、店舗用コンピュータ装置12(本実施形態ではサーバー20における記憶装置22を用いたデータベース)に蓄積されることとなる。
【0072】
なお、会員となるための登録手続きは、インターネット等のネットワークシステム16を介して店舗用コンピュータ装置12と会員用コンピュータ装置14との間での通信処理により、会員登録に必要な情報を店舗用コンピュータ装置12へ登録することによって行うことも可能である。尤も、新規に会員となるに際しては、過去にコンタクトレンズを使用していたか否かに拘わらず、少なくとも一回の眼科医による検診を要求して、店舗用コンピュータ装置12への処方箋情報の登録を要求することが望ましい。
【0073】
しかし、会員登録に際して、眼科医の検診乃至は診察を必須の要件としなくても良い。例えば、必要に応じて過去のコンタクトレンズ使用履歴やトラブル履歴等を参照しつつ、入会希望者について取得した問診票回答情報や眼の撮像情報及び/又は検査情報などに基づいて、会員登録に際して眼科医の診察等を要件とするか否かを判定しても良いし、入会希望者が入会前の所定期間内(例えば入会日や前日等)に眼科医の診察結果や処方箋を取得している場合に眼科医の診察等を要件とせずに会員登録するようにしても良い。
【0074】
また、新規に会員になるに際しては、必要に応じてコンタクトレンズの使用履歴なども考慮して、実店舗への来店による対面形式での対話やインターネット上の仮想店舗への来店等によるネットワークシステム16を介しての画像での対面形式での対話を要求して、コンタクトレンズの使用説明を担当者が直接に会員登録希望者へ行うようにしても良い。
【0075】
このような対面形式での対話を採用することで、単にテキストや画像で説明するよりも必要事項を確実且つ効率的に伝達できるし、各会員に対して精神的な信頼感や安心感を抱かせつつ、取得情報の信頼性の向上を図ることもできる。また、会員登録に際してのレンズ店舗による対応では、コンタクトレンズについて、眼科医では説明困難な情報や知識を会員へ提供することも可能であり、例えば好ましい着脱方法や好ましい保存液や洗浄方法、装用感を考慮したレンズの素材や商品名の提案なども、個別の会員に対して、店舗の保有する情報や知識に基づいて、対面形式で効率的に且つ不安感を払拭しつつ提供することも可能である。
【0076】
このように会員を対象とするコンタクトレンズを提供する本実施形態のシステムでは、店舗用コンピュータ装置12(店舗用クライアント装置18と協働して店舗用コンピュータ装置12を構成するサーバー20)は、記憶装置22において、会員情報データベース22aを備えている。この会員情報データベース22aは、会員登録されたレンズ使用者の氏名,住所,生年月日,電話番号やメールアドレス等の連絡先,コンタクトレンズ配送先などの個人情報を記憶する。また、当該会員情報データベース22aは、会員用コンピュータ装置14から店舗用コンピュータ装置12へアクセスする際に必要となるIDやパスワード等も記憶することが望ましい。
【0077】
さらに、利用することができるレンズ店舗として、システム上で登録された複数のレンズ店舗が存在していることから、各会員への適切且つ速やかな対応を実現する等の目的を考慮すると、各会員を特定店舗と紐付けておくことが望ましい。それ故、各会員を特定のレンズ店舗と紐付けるための店舗関連付け情報を、会員情報の一つとして会員情報データベース22aに記憶させたり、或いは、各店舗毎に紐付けられた会員を特定する情報として店舗関連付情報データベース22bを採用することが望ましい。
【0078】
また、会員は、コンタクトレンズ提供などのサービスを継続的に受けることで安全にコンタクトレンズの使用を続けることができたり、必要なコンタクトレンズを速やかに入手できるようにするために、会費の支払いを義務とすることも考えられる。その際、会費の徴収や管理については、例えばシステム外の信販会社やクレジットカード会社を利用することも可能である。
【0079】
(ii)処方箋情報データベース22c
店舗用コンピュータ装置12は、記憶装置22において、処方箋情報データベース22cを備えている。この処方箋情報データベース22cには、各会員について眼科医の作成した処方箋の情報を記憶する。処方箋の名称や具体的記載の体裁等は、眼科医によって異なることから限定されないが、一般に当該会員について装用に問題ないとの診察所見が得られたコンタクトレンズについて、種類や規格(例えばベースカーブ,パワー,DIA)が記された書面(電子データを含む)とされる。処方箋情報は、一般に処方箋の作成者や作成日の他、有効期限も含み、処方箋情報データベース22cに記憶される。
【0080】
(iii)複数レンズ関連付情報データベース22d
店舗用コンピュータ装置12は、記憶装置22において、複数種類のコンタクトレンズを同一の会員に対して関連付けた複数レンズ関連付情報データベース22dを備えている。即ち、各会員について、眼科医によって使用が差し支えないことを確認された、上述の処方箋で特定されるコンタクトレンズは単一である必要はない。例えば一つの処方箋により又は異なる処方箋により、異なる種類及び/又は規格のコンタクトレンズが処方箋情報として記憶されても良い。そして、当該会員に対して提供可能なコンタクトレンズが同時期に複数種類ある場合には、それら複数種類のコンタクトレンズが同一の会員に対して関連付けられる。
【0081】
ここにおいて、同一の会員に対して関連付けられて同時期に提供可能とされる複数種類のコンタクトレンズは、一つの処方箋によって提供を許容される場合と、複数の処方箋によって提供を許容される場合との何れも含む。また、同一の会員に関連付けられる複数種類のコンタクトレンズは、処方箋で特定される種類や規格(例えばベースカーブ,パワー,DIA)が異なるものの他、処方箋で特定されない相違点を有するものを含ませても良い。具体的には、「レンズ材質」と「サグ値」と「保存液成分」とについて、たとえ処方箋では区別されていなくとも、これらの少なくとも一つが相違することで、同一会員について処方箋情報による要件を満たすが種類の異なるコンタクトレンズとして同時に関連付けて把握することも可能であり、このような相違点を区別して種類の異なるコンタクトレンズとして使用や提供等を管理することにより、当該会員におけるコンタクトレンズ使用状況の把握や健康管理の精度および信頼性の更なる向上が図られ得る。
【0082】
なお、上述の説明から理解できるように、複数レンズ関連付情報データベース22dは、例えば同一の会員に提供可能とされる複数種類のコンタクトレンズが一つの処方箋によって特定される場合には処方箋情報データベース22cによって構成することも可能であり、複数の処方箋によって特定される場合には該当する複数の処方箋を関連付けることによって構成することも可能である。
【0083】
さらに、同一の会員に対して関連付けられて同時期に提供可能とされる複数種類のコンタクトレンズは、処方箋情報の要件に厳格に縛られる必要はない。例えば事後的に眼科医による診察を受けることを要件として、既存の処方箋情報による要件の一部を充足しないものを含ませ得る。
【0084】
尤も、複数レンズ関連付情報データベース22dに登録される複数種類のコンタクトレンズは、各会員の生活状況等に応じて各会員の要求にこたえるべきである。それ故、複数レンズ関連付情報データベース22dへの複数種類のコンタクトレンズの登録に際しては、後述する処理フロー(
図3)にも例示するように、各会員による登録前の確認及び/又は登録後の変更などに対応することが望ましい。
【0085】
(iii)レンズ組合せ態様データベース
店舗用コンピュータ装置12は、記憶装置22において、同一の会員に関連付けられた複数種類のコンタクトレンズについて、それら各種類のコンタクトレンズを所定期間内に当該会員へ提供する態様を情報として記憶するレンズ組合せ態様データベース22eを備えている。
【0086】
具体的には、例えば各会員について、複数レンズ関連付情報データベース22dに登録される複数種類のコンタクトレンズの中から、どの種類のレンズを、どのタイミングで、どの程度の数量をもって提供するのかを、特定するレンズ提供態様に関する情報を予め作成して、レンズ組合せ態様データベース22eに登録することが考えられる。具体的な提供態様は限定されるものでなく、例えば予め定められた特定の日時に特定種類のコンタクトレンズを特定数だけ自動的に発送等して提供するようにスケジュールしておくことも可能であるし、或いは、所定の期間を特定して、当該期間内に会員からの要求に応じて提供することのできる各種類のコンタクトレンズの最大数量だけを登録しておくことも可能である。
【0087】
尤も、レンズ組合せ態様データベース22eに登録されるコンタクトレンズの提供態様は、各会員の生活状況等に応じて各会員の要求にこたえるべきである。それ故、レンズ組合せ態様データベース22eへのコンタクトレンズの提供態様の登録に際しては、前述の複数レンズ関連付情報データベース22dへの情報登録と同様、後述する処理フロー(
図3)にも例示するように、各会員による登録前の確認及び/又は登録後の変更などに対応することが望ましい。
【0088】
なお、レンズ組合せ態様データベース22eの登録情報に基づいて、実際に各会員へ提供したコンタクトレンズの記録は、会員情報データベース22a等にレンズ提供履歴情報として記憶することが望ましい。かかるレンズ提供履歴情報は、各会員に対して過去に提供したコンタクトレンズに関する情報として、過去に提供したコンタクトレンズの具体的種類を特定し得る情報の他に、時や数量,提供方法(店舗窓口か、宅配か等)などを含むものであり、例えばレンズ提供履歴情報データベースとして、会員情報データベース22aとは別に情報を管理しても良い。
【0089】
また、複数レンズ関連付情報データベース22dやレンズ組合せ態様データベース22e,レンズ提供履歴情報データベース等における記憶情報は、上述の例示によって限定されるものでない。例えば、ウエアラブルDDS(Drag Delivery System)に用いられるコンタクトレンズでは、装用状態で放出する薬液などのレンズ保持成分の情報も含ませることができる。また、コンタクトレンズの流通や保存に用いられるレンズ保存液や洗浄液などの組成も、コンタクトレンズに付属する情報として、含ませることができる。
【0090】
(iv)眼検査情報データベース
店舗用コンピュータ装置12は、記憶装置22において、眼検査情報データベース22fを備えている。この眼検査情報データベース22fには、会員からレンズ店舗(店舗用コンピュータ装置12)へ提供された当該会員の眼検査情報を記憶する。かかる情報は、問診形式やチェック形式(○×形式を含む)による自己申告情報からなる眼検査情報と、眼を撮影した静止画や動画の画像情報からなる客観的な眼検査情報とを、含むことが望ましい。これら眼検査情報は、例えばレンズ店舗内で会員から直接的に紙や電子媒体等を介して取得して店舗用コンピュータ装置12へ入力しても良いし、会員用コンピュータ装置14からネットワークシステム16を介して店舗用コンピュータ装置12へ送信入力しても良い。
【0091】
自己申告情報を含む眼検査情報は、コンタクトレンズの継続的な使用に際しての悪影響の有無の確認に資する情報であって適宜に設定可能である。例えば、レンズ装用時における異物感の有無や程度、装用時の見え方について眩しさやかすみ等の有無や程度、従来と比較した近時における装用時の見え方の変化の有無や程度、昼間装用時と夜間装用時とにおける見え方の違いや程度、装用時における近方視,中間視,遠方視での見え方の違いや程度、充血や目脂などの主観的な眼状態の認識の有無や程度、肩こりや頭痛などを含む身体的な健康状態に関する主観的な認識の有無や程度、近時における通院の有無や理由,近時における服薬の有無や理由などを項目として、眼検査情報を取得することが考えられる。
【0092】
画像情報からなる客観的な眼検査情報は、例えばレンズ店舗や会員が利用可能な各種施設、眼科医などにおいて撮影された画像情報を店舗用コンピュータ装置12へ入力する他、会員自身が所有する会員用コンピュータ装置14を用いて自身で撮影した画像情報を店舗用コンピュータ装置12へ送信しても良い。かかる画像情報は、例えばレンズ装用状態の左右各眼の静止画や、レンズ非装用状態の左右各眼の静止画の他、瞬目をした際の動画や、視線移動した際の動画などを含むことができる。このような動画は、例えばレンズ装用状態での動画を利用してレンズの動きについて異常がないか等を確認したり、レンズ非装用状態での動画を利用して涙液層破壊時間検査(BUT)等を行うこともできて望ましい。また、起床時やレンズ装着直後の画像、所定時間に亘って装着した後の画像など、条件を特定して撮影した画像を含むようにしても良い。また、画像情報の取得に際しては、必要に応じて色素等の点眼や光学スリット等を利用した特定の撮像条件を設定するようにしても良い。
【0093】
(v)関連サービス提供情報データベース
店舗用コンピュータ装置12は、記憶装置22において、関連サービス提供情報データベース22gを備えている。この関連サービス提供情報データベース22gは、コンタクトレンズの提供に関連して各会員が提供を希望するサービスに関する情報として、サービスの具体的内容の他、サービスの提供の方法や時期、サービスの提供の履歴などの情報を、会員毎に記憶する。
【0094】
かかるサービスは具体的に限定されるものでなく、例えば提供するコンタクトレンズに適した保存液や洗浄液、レンズケースなどのコンタクトレンズの取り扱いに直接関係するものの他、点眼薬などのアイケア商品などの関連商品であっても良い。また、例えば近視抑制コンタクトレンズの場合に定期的な視力検査やレンズ適合性の検査などを手配したり提供したり通知等するなど、コンタクトレンズの使用をサポートするようなサービスであっても良い。或いは、会員からの要求に応じて又は定期的に、会員の眼科検診を促したり、適した眼科医を紹介したり、更には眼科医の受診予約を手配するなどのサービスを提供することも可能である。
【0095】
(vi)店舗在庫状況データベース
店舗用コンピュータ装置12は、記憶装置22において、店舗在庫状況データベース22hを備えている。この店舗在庫状況データベース22hは、各店舗について、在庫しているコンタクトレンズの数が、具体的種類ごとに把握できるように記憶する。
【0096】
かかる店舗在庫状況データベース22hは、略リアルタイム(毎日のデータ更新等による対応を含む)にコンタクトレンズ在庫の状況を記憶することに加えて、既に発注済みのコンタクトレンズや、その入庫予定時期の情報も併せて記憶することが望ましく、例えば定期的な発注をかけているコンタクトレンズについては発注予定の情報も記憶することが望ましい。更に、各種類のコンタクトレンズについて、会員へのコンタクトレンズの提供予定情報について記憶するようにしても良い。
【0097】
また、店舗在庫状況データベース22hでは、コンタクトレンズの他、各会員に対して関連サービスとして提供する商品等がある場合には、かかる商品等の在庫状況についても把握できるように記憶するようにしても良い。
【0098】
[3]コンピュータ装置における演算装置
本実施形態のコンタクトレンズ提供システムにおいて、会員へのコンタクトレンズの提供処理の実行は、上述の各種データベースを活用し、各コンピュータ装置のハードウェア資源を用いて所定のプログラムに従う処理を行うことによって実現される。特に店舗用コンピュータ装置12は、必要に応じてネットワークシステム16を通じての会員用コンピュータ装置14との通信による情報送受信を行ないつつ、ハードウェア資源を用いたプログラム処理の実行によって、
図1に例示される如き各種の演算装置24a~iを構成及び利用して、会員へのコンタクトレンズやサービスの提供処理を行う。
このようなプログラム処理の実行によって実現される演算装置24については、以下に具体的な処理のフローチャートを例示しつつ説明する。
【0099】
[4]コンタクトレンズ提供システムの作動例(フローチャートの例示)
(i)メインフロー(
図2)
本実施形態のコンタクトレンズ販売システムにより、各会員に対してコンタクトレンズを提供する販売方法を実現する基本的な作動例が、
図2にフロー図として示されている。
【0100】
先ず、レンズ使用者が予め会員登録されたコンタクトレンズを販売するレンズ店舗の店舗用コンピュータ装置12において、会員IDで特定される会員へのコンタクトレンズの提供アクションが開始される。即ち、ステップ01においてレンズ提供アクションが開始されると、演算装置のコンタクトレンズ提供判定手段24aによって、ステップ01からステップS04又はステップS09にまで至るコンタクトレンズ提供の適否の処理が開始される。
【0101】
かかるレンズ提供アクションの開始は、会員からレンズ店舗への要求によることも可能である。このような要求は、例えばレンズ店舗を会員が現実に訪れて口頭や書面で行ったり、レンズ店舗に対して電話で会員ID番号等を伝えることで、担当者が店舗用コンピュータ装置12へレンズ提供アクションの開始信号を入力することによる他、会員用コンピュータ装置14からレンズ要求信号を店舗用コンピュータ装置12へレンズ提供アクションの開始信号を送信することで行うことも可能である。なお、複数のレンズ店舗が存在する場合には、コンタクトレンズ販売システムの総合サイトに会員をアクセスさせて、会員ID等によって特定のレンズ店舗へ案内するようにしても良い。また、店舗用コンピュータ装置12において、予め組み込まれたプログラムにより、所定の期間毎に特定会員へのレンズ提供を要求する信号を発生させてレンズ提供アクションを開始させても良い。
【0102】
そして、レンズ提供アクションの開始により、ステップS02,03で、会員情報データベース22a等から該当する会員の情報を取得して、当該会員が現時点において特定のレンズ店舗の会員としての要件を充足しているかを確認する。かかる会員要件の確認に際して、会員へ会費の支払い義務を課している場合には、例えば店舗用コンピュータ装置12とクレジットカード会社PC30との情報送受信を利用する等して、対象会員について、会費の支払い等の要件を充足して会員資格を有効に保持していることを確認しても良い。
【0103】
ステップS03で会員要件を満たしていなければ、ステップS04でコンタクトレンズ提供を拒否する信号を出力して終了する。その際、会員要件を満たさない理由などを併せて出力し、必要に応じて該当する会員へ送信することが望ましい。
【0104】
一方、ステップS03で会員要件の充足が確認されれば、ステップS05で、該当する会員に対して関連付けられて提供が予定されるコンタクトレンズの具体的な提供態様に関する情報を、例えばレンズ組合せ態様データベース22eから取得する。そして、ステップS06において、要求されたコンタクトレンズを提供することが、当該会員に関連付けられたコンタクトレンズの具体的種類の要件を満たし、且つ、時期的にも提供が許容されているものであるか否かを判定する。
【0105】
ステップS06でレンズ提供要件を待たしていないと判定されると、ステップS04でコンタクトレンズ提供を拒否する信号を出力して終了する。その際、レンズ提供要件を満たさない理由などを併せて出力し、必要に応じて該当する会員へ送信することが望ましい。
【0106】
一方、ステップS06でレンズ提供要件の充足が確認されてコンタクトレンズの提供要求の適正が確認されると、必要に応じてステップS07,08において関連サービス判定手段24dによる処理が実行される。かかる関連サービス判定手段24dは、関連サービス提供情報データベース22gの情報を参照し、関連サービス提供の有無を確認して、後述の如き関連サービスの提供を実行する。
【0107】
そして、関連サービス提供の有無に拘わらず、ステップS09において、ステップS06でレンズ提供要件の充足が確認された当該会員へは、特定のコンタクトレンズの提供の指示が出力されて、かかるコンタクトレンズの提供の処理が進められることとなる。なお、会員へのコンタクトレンズの提供の具体的態様は限定されるものでなく、例えば実在するレンズ店舗の窓口で直接に会員へ手渡して行うことも可能であるし、店舗用コンピュータ装置12からコンタクトレンズの物流センターPC32へ配達指示信号を送信することで、物流センターから会員へコンタクトレンズを配達することによって行うことなども可能であり、その他に例えばコンタクトレンズのメーカーから会員へ直接に配達して提供しても良い。
【0108】
(ii)関連付けと提供態様の処理フロー(
図3)
図2に示すメインフローにおけるステップS05~S06でのレンズ提供要件適否の判定に際しては、予め、当該会員について複数種類のコンタクトレンズとの関連付けが行われて複数レンズ関連付情報データベース22dに情報登録されると共に、それらの関連付けられた複数種類のコンタクトレンズを当該会員へ提供する時期や数、手段などの態様が設定されてレンズ組合せ態様データベース22eに情報登録されていることが望ましい。また、これら複数レンズ関連付情報データベース22dやレンズ組合せ態様データベース22eの登録情報は、会員の状況などを考慮して必要に応じて変更設定されることが望ましい。
【0109】
かかる複数レンズ関連付情報データベース22dやレンズ組合せ態様データベース22eへの情報の登録や変更などは、店舗用コンピュータ装置12において、例えば
図3に示すフローに従って実現されるコンタクトレンズ組合せ設定/変更判定手段24bやコンタクトレンズ関連付け手段24cによって処理することができる。
【0110】
図3において、特定会員についての複数レンズ関連付情報データベース22d及び/又はレンズ組合せ態様データベース22eの情報の登録等の処理がステップSa01で開始されると、ステップSa02,Sa03において該当会員についての会員情報と処方箋情報を取得する。そして、取得したそれらの情報に基づいて、続くステップSa04において、当該会員に適合する複数種類のコンタクトレンズを関連付けコンタクトレンズの候補として提示すると共に、かかる関連付けられた複数種類のコンタクトレンズについて、当該会員へ提供する具体的な数や時期、方法などの提供条件を提示する。なお、会員へのコンタクトレンズの提供時期を含むレンズ組合せ態様を提示するに際しては、処方箋情報における有効期限を含む処方箋要件を考慮することが望ましい。
【0111】
また、ステップSa04で提示するコンタクトレンズは、コンタクトレンズのメーカーや銘柄(商品名)の他に、レンズ度数や付加度数,ベースカーブ,パワー,DIAなど、具体的にコンタクトレンズを特定できる情報をもって提示することが望ましい。更に、コンタクトレンズの材質や硬度、デザイン情報、カラー情報などの参考的情報も含ませることが望ましい。また、ステップSa04で提示するコンタクトレンズの選定方法は限定されるものでなく、例えば処方箋情報に依存して、処方箋で特定される種類のコンタクトレンズだけを提示することも可能であるし、処方箋で特定されるコンタクトレンズの中から当該会員の使用履歴において適さない可能性があるものを除いて提示しても良い。また、処方箋情報を参照して、コンタクトレンズ販売店の専門知識により、当該会員に適合すると判定された種類のコンタクトレンズを提示することも可能であり、これにより、例えば医療外品であるコストティック用コンタクトレンズを含めて、多くの選択肢を関連付けて提示することが可能になる。
【0112】
また、多数のコンタクトレンズの中から特定の会員に関連付けられる種類のコンタクトレンズを選択するに際しては、取り扱う多数のコンタクトレンズについて規格値を含む諸元情報を表示することで、レンズ販売店の専門知識等に基づいて関連付けられるコンタクトレンズを選択設定することも可能である。その他、例えば取り扱う多数のコンタクトレンズのそれぞれの規格値や特徴的な情報を予めデータベース化したものを用い、入力される選択条件に適合するものを個別に抽出する演算処理を採用することで、効率化することも可能である。或いは、取り扱う多数のコンタクトレンズを予め相互に関連付けておいて、一つのコンタクトレンズを指定することで関連付けられた複数のコンタクトレンズを同時に選択する演算処理なども採用することができる。
【0113】
また、特定の会員に提示するコンタクトレンズを選定して提示するに際しては、例えば会員の年齢を参照して低年齢者に対しては、コンタクトレンズの取り扱いや使用等に関する規定の理解や遵守を図るコンプライアンス的な趣旨から一日使い捨てタイプのコンタクトレンズを優先的に選択することが好ましい。また、既にコンタクトレンズの使用経験があって保存や洗浄等に用いるケア用品を所有している会員については、当該ケア用品が適合するコンタクトレンズを優先的に選択することが好ましい。関連付けられる複数種類のコンタクトレンズ間でケア用品を共用化できるようにすることは、単に複数種類のケア用品を取り揃えて管理する手間を省くことができるだけでなく、意図しないケア用品の適用間違いを回避してコンプライアンス遵守の向上にも資することとなる。
【0114】
そして、ステップSa04において画面表示や印刷表示などで提示された具体的なコンタクトレンズの種類や提供態様について、ステップSa05で確認を行い、会員又はレンズ店舗による承諾の信号が入力されると、続くステップSa06において、承諾されたコンタクトレンズの具体的な種類が当該会員における複数レンズ関連付情報データベース22dの情報として登録又は変更されると共に、各コンタクトレンズの当該会員への提供態様が当該会員におけるレンズ組合せ態様データベース22eの情報として登録又は変更される。
【0115】
一方、ステップSa04で提示された具体的なコンタクトレンズの種類や提供態様について、ステップSa05において、会員又はレンズ店舗による承諾が得られなければ、再度、当該会員へ提供するコンタクトレンズの種類や提供態様について変更して、ステップ04で変更後のコンタクトレンズの種類及び/又は提供態様を提示することで、ステップSa05での承諾とステップSa06での情報の登録又は変更を目指す。
【0116】
(iii)関連サービス等としての判定の処理フロー(
図4~7)
(iii-a)判定サービス
図2に示すメインフローに従ってコンタクトレンズの提供を処理するに際しては、ステップS07,08で関連サービスの提供の有無を確認し、コンタクトレンズに関連するサービスの提供処理を行うことも可能である。かかる関連サービスは、関連サービス提供情報データベース22gの情報から取得することができる。例えば、ステップS08において、該当する会員が関連サービスとして特定の保存液の提供を望んでいることが確認された場合には、ステップS08において当該特定の保存液の提供指示信号が出力される。
【0117】
かかる関連サービスとして、レンズ店舗の保有する専門的知識を活用して会員の眼状態を判定するサービスやコンタクトレンズの使用状況の適否を判定するサービスなどを実施することも可能である。かかる処理を実行する判定レポート作成手段24hの具体例としての判定処理フローを、
図4~7に示す。なお、以下に記載する眼状態の判定サービス及び/又はコンタクトレンズの使用状況の適否の判定サービスなどは、コンタクトレンズ提供の処理フローとは別に、会員からの要求に対応して適時に実行することも可能である。
【0118】
(iii-b)眼状態の判定(
図4)
図4において、ステップSb01で、コンタクトレンズ提供フローにおいて或いは会員からの要求や定期的なタスクの立ち上げなどによって判定処理が開始されると、ステップSb02において、該当する会員の情報が、会員情報データベース22aや処方箋情報データベース22c,複数レンズ関連付情報データベース22dなどから、必要に応じて、過去の履歴情報を含めて取得される。
【0119】
また、ステップSb03において、当該会員における眼検査情報が取得されて眼検査情報データベース22fに記憶される。かかる眼検査情報は、会員の自己申告情報を含む眼検査情報(1)と、会員の眼の画像情報を含む眼検査情報(2)とを、有することが望ましい。これら眼検査情報(1),(2)は、例えば会員用コンピュータ装置14から店舗用コンピュータ装置12への情報送信等によって実現されることは、前述のとおりである。
【0120】
続くステップSb04で、店舗用コンピュータ装置12は、眼検査情報(1),(2)に基づいて、対象会員における眼状態が正常であるか否かを判定する。かかる判定は、例えばソフトウェアの実行によって実現される眼状態判定手段24eにより、例えば前記眼検査情報(1),(2)に基づいて行われ得る。特に会員の眼を撮像した画像情報を含む眼検査情報(2)を対象に眼状態(例えば充血の程度やレンズ位置など)を判定することで、客観的情報に基づいて判定精度や信頼性の向上が図られ得、更に、動画情報を対象に眼状態を判定することで、例えば瞬目時のレンズの動きや安定性など、静止画像では判定し難い項目まで対象にすることが可能になる。
【0121】
ここにおいて、眼状態判定手段24eは、会員の眼状態の良否を判定して、会員が提供を要求しているコンタクトレンズの使用に関する支障の有無を判定する。具体的には、例えば前述の眼検査情報(1)に基づいて、自己申告された対象会員における具体的な状態(例えば異物感やかすみ、見え方など)が、予め設定された評価基準に比して、継続的なコンタクトレンズ使用に際して問題ない程度か、注意すべき程度か、差し支える程度かなどを判定することによって行うことができる。
【0122】
また、前述の眼検査情報(2)に基づいて、撮像された対象会員における具体的な状態(例えば充血の程度や瞬目時のレンズ動き量など)が、予め設定された評価基準に比して、継続的なコンタクトレンズ使用に際して問題ない程度か、注意すべき程度か、差し支える程度かなどを判定することによって行うことができる。
【0123】
なお、眼状態の判定に際しての評価基準は、限定されるものでないが、例えば眼検査情報(1)について自己申告データを段階数値とした場合に閾値等をもって設定することができるし、該当チェックポイントの総数等をもって設定することもできる。また、眼検査情報(2)について撮像した画像レベルを対象として評価することで定量的で一層客観的な評価も可能になる。具体的には、例えば撮像した眼の色の程度や領域(画素数)の大きさ、動画では視線移動や瞬目に伴うレンズの動き,涙液層破壊時間(BUT)なども判定の評価対象となり得る。また、評価に際しては、眼科を含む医療分野において提案されている症状の評価スコアリング手法(例えば特開2021-81977号公報等参照)を利用して眼検査情報である画像やテキストの情報を評価することも可能であり、かかる評価基準としては、例えば有害事象共通用語基準(CTCAE)における眼障害グレード等に倣ってグレード評価の各閾値を設定するようにしても良い。また、多数の具体的な事例を対象として学習させたAIモデルを利用することで、眼検査情報(1),(2)に基づいて、眼状態の正常か否かを、必要に応じて複数段階で評価することも可能である。なお、眼状態の判定に際しての評価基準は、会員毎に、過去のトラブル等の発生状況や、持病の有無、レンズ使用の期間、使用中のレンズの具体的種類などを考慮して、個別に設定することも可能である。
【0124】
また、眼状態の判定に際しては、該当会員における比較的に近い過去から現在におけるコンタクトレンズの使用状況を対象に含めることができる。具体的には、例えば一日当たり及び/又は所定期間内のコンタクトレンズ装用時間や、所定期間内のレンズ装用日数の他、所定期間内の平均睡眠時間の他、目薬等の使用程度や、眼科検診の有無などをレンズ使用情報として、例えば前述の眼検査情報(1)に含めて取得し、かかるレンズ使用情報に基づいて、対象会員におけるレンズ使用状況が適切であるか否かを判定する。かかる判定は、例えば一日当たりのコンタクトレンズ装用時間の長さや睡眠時間の長さなどの複数項目をポイント式に評価してポイント総数をもって判定することが可能である。
【0125】
(iii-c)眼精疲労の愁訴処理(
図5)
前述の眼検査情報(1)等において会員から眼精疲労の愁訴があった場合には、単にステップSb04で眼状態異常としてステップSb05,06で眼科受診を指示等することに加えて又は代えて、レンズ店舗等で可能な対策を提案することも可能である。
【0126】
かかる対策の具体例を、
図5に示す。即ち、
図4のステップSb04での眼状態判定に際して、或いは会員からの適時の連絡等によって、眼精疲労の愁訴があった場合には、ステップSc01で開始される眼状態の判定フローにおいて、ステップSc02で眼精疲労に相当するか否かが判定される。眼精疲労の症状と認められない場合には、ステップSc03で、眼精疲労なしとの判定結果を出力して処理を終了する。
【0127】
一方、ステップSc02で眼精疲労の存在が認められると、続くステップSc04において、当該会員についてレンズ組合せ態様データベース22eに設定されたコンタクトレンズの組合せ態様の変更を検討する。
【0128】
なお、コンタクトレンズ使用に伴う眼精疲労は、多様な症状を含み、例えば前述の眼検査情報(1)として、眼の痛みやかすみ、熱感、疲れや渇き、見えにくさなどの訴えの他にも、瞼の痙攣や涙量、更には頭痛や肩こり、嘔吐感、眠気などの症例として現れる症状を含む。生活環境の変化の程度なども考慮して、眼精疲労の程度によっては、前述の
図4に示すステップSb06で眼科受診を指示することも必要になる。眼精疲労を理由とする眼科医受診の指示に代えて又は加えて、例えばコンタクトレンズの処方の変更等によって改善を図ることが有意な場合もある。
【0129】
具体的には、例えばステップSc04において、眼精疲労の愁訴があった場合に視力検査を行ない、乱視の進行や近視の進行などの視力変化が認められた場合には、球面レンズ度数の適合性を改善するなどして、関連付けられたコンタクトレンズの変更を検討することが適切な場合がある。また、例えばコンピュータ端末の操作性を考慮して近視矯正度数を弱くした(小さくした)履歴が認められた場合等においては、携帯端末の使用等の更なる近方視に際しての1適切な近視矯正度数に付加レンズ度数が設定された多焦点等の遠近両用型のコンタクトレンズへの関連付けの変更を検討することが適切な場合がある。
【0130】
そして、ステップSc04で、眼精疲労に対する処置としてコンタクトレンズの組合せ態様の変更について検討の必要がないと判定されると、ステップSc05で眼精疲労の愁訴があったことを含む眼状態の異常についての判定結果を出力する。一方、ステップSc04で、眼精疲労に対する処置としてコンタクトレンズの組合せ態様の変更について検討すべきと判定されると、続くステップSc6において、当該会員について、眼精疲労の症状や生活環境及び視力の変化、使用しているコンタクトレンズの変更履歴などを考慮したうえで、関連付けられたコンタクトレンズの具体的種類の変更処理を行う。
【0131】
かかる変更処理は、会員情報や処方箋情報も参照して、前述の
図3に示すコンタクトレンズ組合せ態様の変更フローに従うことが望ましい。そして、変更処理が終了すると、複数レンズ関連付情報データベース22dやレンズ組合せ態様データベース22eの情報が書き換えられると共に、ステップSc05において、眼精疲労の異常の存在と、関連付けられたコンタクトレンズ変更の結果を含んで、眼状態の判定結果を出力する。
【0132】
なお、眼精疲労に関する判定が、前述の
図4に示す判定フローにおけるステップSb04での眼状態判定処理の一部として行われる場合には、上述のステップSc03,Sc05における眼精疲労に関する判定結果を含んで、かかる
図4に示された判定処理においてステップSb07で作成される判定レポートの一部に含まれることとなる。また、関連付けられたコンタクトレンズの具体的種類の変更があった場合には、
図4のステップSb05,Sb06に示すように、眼科受診を指示して判定レポートを作成し、処方箋情報を変更することが望ましい。
【0133】
(iii-d)使用状況の判定
本実施形態の判定サービスでは、
図4に示された判定の処理フローに示すように、ステップSb04等における上述の眼精疲労の愁訴対応を含む眼状態判定の処理の他に、ステップSb08等においてコンタクトレンズの使用状況判定の処理が実行される。
【0134】
本実施形態における使用状況の判定サービスを実行する使用状況判定手段24fは、例えば
図6に示す処理フローに従うコンプライアンスに関する使用状況判定(1)と、
図7に示す処理フローに従う不使用期間に関する使用状況判定(2)とを、含む。
(iii-e)コンプライアンスの判定(
図6)
コンタクトレンズの使用に際しては、手指で取り扱う際に清潔さに務めることは言うまでもなく、コンタクトレンズの種類毎に定められた規定(例えば装用に際しての時間や間隔、交換時期、メンテナンス、保存や洗浄に際しての方法や使用薬液など)を遵守することが重要である。このようなコンタクトレンズの使用に際しての規定の遵守がおろそかになると、眼を含む健康に対して悪影響が生ずる原因になる。一方、コンタクトレンズ使用者は多様で、生活習慣や考え方、経験などに個人差があり、コンタクトレンズの使用に際しての規定の遵守についての意識や対応も異なるのが現実である。
【0135】
そこで、コンタクトレンズの使用に際しての規定の遵守(コンプライアンス)の程度について、会員毎に情報を取得し、コンプライアンス遵守の程度に応じて、提供するコンタクトレンズの具体的種類を検討し、必要に応じて当該会員へ関連付けられるコンタクトレンズの種類を選択又は変更することが望ましい。かかる処理フローの一例を、使用状況判定(1)として
図6に示す。
【0136】
先ず、ステップSd01において、コンプライアンス遵守を判定する使用状況判定(1)の処理が開始されると、ステップSd02において、当該会員における履歴情報を取得する。かかる履歴情報は、当該会員におけるコンプライアンス遵守の程度を判定するのに有意な情報であって、例えば
図4に示す判定サービスのフローにおいてステップSb03で取得される前述の眼検査情報(1)として、コンタクトレンズの取扱状況、装着や取外す際の環境や方法、装用時間や装用間隔、装用したままでの眠りの有無、一時的な取り外しへの対応、レンズ交換時期、点眼薬の種類と使用や頻度、保存や洗浄の方法や頻度、使用する保存液や洗浄液の種類、違和感等への対応状況、使用環境への対応状況(埃や風,乾燥等の環境対策としてのゴーグル使用)などの情報を含ませることが有効である。また、かかる履歴情報として、当該会員における過去のレンズ使用状況(レンズ提供の時期や数量を含む)や、眼状態(充血等の有無を含む)の情報の他に、過去のコンプライアンス遵守に関する指導的なアドバイス等の指示や対応の状況に関する情報などを含ませることが有効である。また、年齢が低い場合には、遵守すべき規定の理解や対応が困難になることも多いことから、コンプライアンス遵守の程度判定項目として、コンタクトレンズを使用している会員の年齢を採用しても良い。
【0137】
ステップSd02で得られた情報に基づいて、続くステップSd03において、当該会員のコンプライアンス遵守のレベルを判定する。かかるレベルの判定は、例えば前述のステップSb04での眼状態の判定と同様に、各情報として得られた複数の項目をポイント式に評価してポイント総数をもって判定したり、多数の具体的な事例を対象として学習させたAIモデルを利用して複数段階で評価することなどによって行うことができる。
【0138】
そして、ステップSd03での判定結果において、コンプライアンスの遵守に関して問題がないと判定されると、ステップSd04においてコンプライアンス上の問題がない旨の判定結果が出力される。一方、ステップSd03でコンプライアンスの遵守が不十分と判定されると、ステップSd05に進んで、当該会員に関連付けられて提供されるコンタクトレンズの組合せ態様の変更を検討する。
【0139】
例えばステップSd05においては、レンズ組合せ態様データベース22e等の情報から当該会員が使用している具体的なコンタクトレンズを把握して、使用に際して遵守すべき規定が一層緩やかなコンタクトレンズへの変更の余地があるか否かを判定する。具体的には、例えば当該会員が1週間や2週間などの使用期限のコンタクトレンズを使用している場合には、一回使い捨てタイプのコンタクトレンズへの変更によって、コンタクトレンズの保存や洗浄などの取り扱いに関するコンプライアンスを緩やかにして、会員がコンプライアンスを遵守し易いようにすることが可能になる。また、コンタクトレンズの材質などによって取り扱いに際して要求される規定が異なる場合には、当該会員に適したものに変更することで、会員がコンプライアンスを遵守しやすいようにすることも可能である。同様に、使用期限のある頻回使用や定期交換タイプのコンタクトレンズを使用している会員については、コンタクトレンズの洗浄や保存に用いるケア用品について、共用できる種類のコンタクトレンズの組み合わせに変更することで、ケア用品の適用間違いによるコンプライアンス違反を未然に防止できるようにすることも可能である。
【0140】
そして、ステップSd05で、コンプライアンス上の問題に対する処置としてコンタクトレンズの組合せ態様の変更について検討の余地がないと判定されると、ステップSd06でコンプライアンス遵守に関する問題が存在することを指摘した使用状況の判定結果を出力する。一方、ステップSd05で、コンプライアンスについて存在する問題に改善の余地があると判定されると、続くステップSd07において、当該会員について、コンプライアンス上の問題点を考慮したうえで、関連付けられたコンタクトレンズの具体的種類の変更処理を行う。
【0141】
かかる変更処理は、会員情報や処方箋情報も参照して、前述の
図3に示すコンタクトレンズ組合せ態様の変更フローに従うことが望ましい。そして、変更処理が終了すると、複数レンズ関連付情報データベース22dやレンズ組合せ態様データベース22eの情報が書き換えられると共に、ステップSd06において、コンプライアンス遵守に関する問題の存在と、関連付けられたコンタクトレンズ変更の結果を含んで、使用状況の判定結果を出力する。
【0142】
なお、コンプライアンス遵守に関する判定が、前述の
図4に示す判定フローにおけるステップSb08での使用状況判定処理において行われる場合には、上述のステップSd04,Sd06におけるコンプライアンス遵守に関する判定結果が、かかる
図4に示された判定処理においてステップSb07で作成される判定レポートの一部に含まれることとなる。また、関連付けられたコンタクトレンズの具体的種類の変更があった場合には、
図4のステップSb05,Sb06に示すように、眼科受診を指示して判定レポートを作成し、処方箋情報を変更することが望ましい。
【0143】
(iii-f)不使用期間の判定(
図7)
コンタクトレンズの使用状況の判定に際しては、コンタクトレンズの不使用期間に関する情報を利用することも可能である。当該会員に適合するとして登録された具体的種類のコンタクトレンズについて、長期間に亘る不使用な状況があった場合には、そこに何等かのレンズ使用上の問題が存在していると推定できるし、また、長期間に亘って使用されていない状況では、レンズ適合性の判断時から眼状態を含む体調が変化して適合性の再確認が好ましいと考えられるケースもあるからである。特に複数種類のコンタクトレンズを並行して提供されている会員では、不使用期間の情報やかかる不使用の理由などについて、コンタクトレンズの種類毎に情報を取得することで、各種類のコンタクトレンズにおける当該会員への適正の判定、更にはコンタクトレンズ組合せ態様の変更に際しての情報として有意な場合がある。かくの如きコンタクトレンズの不使用期間判定の処理フローの一例を、使用状況判定(2)として
図7に示す。
【0144】
先ず、ステップSe01において、コンタクトレンズの不使用期間を判定する使用状況判定(2)の処理が開始されると、ステップSe02において不使用期間を推定すると共に、ステップSe03において不使用の理由を取得する。
【0145】
これらステップSe02,Se03での処理は、例えば前述の眼検査情報(1)として問診への回答等として取得することができる。所定期間に特定の又は全ての種類のコンタクトレンズの不使用期間が存在する場合には、当該期間におけるコンタクトレンズ不使用の理由を、自己申告情報として取得することで、レンズ不使用の理由が、例えば単に視力矯正が不要な状況(体調不良で床に就いていた等の生活環境の一時的変化など)で一時的にレンズ使用を控えていたのか、見え方等に違和感を感じるようになったことによるものなのか、或いは、充血などのレンズ装用を懸念する何らかの体調異常があったのかなどの情報を取得することが好ましい。また、レンズ不使用期間の情報は、例えば該当する会員に対する過去のコンタクトレンズの提供日や数等の情報を、前述のレンズ提供情報データベースから取得することによって推定して取得することも可能である。
【0146】
そして、続くステップSe04において、上述の如きコンタクトレンズ不使用の期間や理由を考慮して、不使用のリスクレベルを判定する。かかる判定は、不使用対象のコンタクトレンズを使用し続けることに支障がないか、使用し続けるリスクを考慮してレンズ種類の変更を検討すべきかの判定を含む。具体的には、例えば不使用の理由が見え方の違和感によるものであって、その理由が乱視や近視、老視の進行などの眼機能の変化に起因する場合には、当該会員に関連付けられたコンタクトレンズの具体的種類の変更を検討するべきである。また、不使用の理由が体調異常によるものであって、その理由が特定のコンタクトレンズの使用に伴う充血等の場合には、該当するコンタクトレンズの当該会員への適正を再検討して、コンタクトレンズの具体的種類の変更も検討する価値がある。一方、コンタクトレンズ不使用が単なる一時的な生活環境の変化によるものであれば、その後の当該コンタクトレンズの使用にリスクが認められず、関連付けられたコンタクトレンズの変更を検討する必要もないと考えられる。
【0147】
かかるステップSe04におけるコンタクトレンズ不使用のリスクレベルの判定は、例えば前述のステップSb04での眼状態の判定と同様に、各情報として得られた複数の項目をポイント式に評価してポイント総数をもって判定したり、多数の具体的な事例を対象として学習させたAIモデルを利用して複数段階で評価することなどによって行うことができる。
【0148】
そして、ステップSe04での判定結果において、コンタクトレンズ不使用の存在が継続したコンタクトレンズの使用に際して問題がないと判定されると、ステップSe05においてレンズ不使用に関する問題がない旨の判定結果が出力される。一方、ステップSe04でレンズ不使用期間の存在からコンタクトレンズの継続した使用に際してのリスクがあると判定されると、ステップSe06に進んで、当該会員に関連付けられて提供されるコンタクトレンズの組合せ態様の変更を検討する。
【0149】
例えばステップSe06においては、レンズ組合せ態様データベース22e等の情報から当該会員が使用している具体的なコンタクトレンズを把握して、コンタクトレンズ不使用の理由を解消乃至は軽減し得るコンタクトレンズへの変更の余地があるか否かを判定する。具体的には、例えば見え方の違和感がレンズ不使用の理由の場合には、視力検査等を参照にしてより適した光学特性のコンタクトレンズへの変更を提案して変更する。また、特定種類のコンタクトレンズによる刺激や充血などの装用上の問題がレンズ不使用の理由とされている場合には、前述の眼検査情報(2)の画像情報によるレンズの動きや安定性等を含めて検討して、コンタクトレンズの材質や周辺形状の相違を考慮してコンタクトレンズの変更を提案して変更することも可能である。
【0150】
ステップSe06でのレンズ組合せ態様の変更処理は、会員情報や処方箋情報も参照して、前述の
図3に示すコンタクトレンズ組合せ態様の変更フローに従うことが望ましい。そして、変更処理が終了すると、複数レンズ関連付情報データベース22dやレンズ組合せ態様データベース22eの情報が書き換えられると共に、ステップSe07において、レンズ不使用に関する問題の存在と、関連付けられたコンタクトレンズ変更の結果を含んで、使用状況の判定結果を出力する。
【0151】
なお、レンズ不使用に関する判定が、前述の
図4に示す判定フローにおけるステップSb08での使用状況判定処理において行われる場合には、上述のステップSe05,Se07におけるレンズ不使用に関する判定結果が、かかる
図4に示された判定処理においてステップSb07で作成される判定レポートの一部に含まれることとなる。また、関連付けられたコンタクトレンズの具体的種類の変更があった場合には、
図4のステップSb05,Sb06に示すように、眼科受診を指示して判定レポートを作成し、処方箋情報を変更することが望ましい。
【0152】
(iii-g)処方箋要件の判定
本実施形態の判定サービスでは、
図4に示された判定の処理フローに示すように、ステップSb04等における眼状態判定の処理と、ステップSb08等における使用状況判定の処理の他に、処方箋要件判定手段24gを構成するステップSb09,Sb10等において処方箋要件判定の処理が実行される。
【0153】
具体的には、例えば
図4のステップSb09で処方箋情報データベース22cから該当会員の処方箋情報を取得し、続くステップSb10において、処方箋の有効期限を確認したり、ステップSb02で取得した会員情報等に基づいて、現時点において当該会員に関連付けられて提供される予定の各種コンタクトレンズについて処方箋要件との関係や、処方箋要件の充足性などを確認することができる。
【0154】
そして、ステップSb10において、処方箋要件の期限切れや期限切れ直前などの会員に対して警告すべき事情が確認された場合には、処方箋要件に関して予め設定された基準を充足しないとして、ステップSb07において処方箋要件についての警告を含む判定レポートが作成される。その場合には、
図4のステップSb05,Sb06に示すように、眼科受診等の対応を指示して判定レポートを作成することも可能である。
【0155】
(iv)レンズ在庫処理(
図8)
上述のように、必要に応じて各種の判定サービスを含めて、
図2に従うコンタクトレンズ提供の処理が行われて、レンズ店舗に対して、当該会員へ特定のコンタクトレンズを提供する旨の指示が発せられると、前記(i)欄に記載したように例えば会員が希望する態様でコンタクトレンズが当該会員へ提供されることとなる。例えばかかるコンタクトレンズの提供が、コンタクトレンズ在庫をもったレンズ店舗から会員への提供によって行われる場合もある。その際、当該会員に関連付けられたレンズ店舗が、該当する種類のコンタクトレンズを在庫していない場合には、会員へのコンタクトレンズの提供に遅延が生ずる。一方、どのような種類のコンタクトレンズの提供指示が出された場合でも、会員がレンズ店舗を通じての提供を希望した場合に速やかに対応するためには、各レンズ店舗が多数のコンタクトレンズを在庫する必要があり、特に各会員が複数種類のコンタクトレンズを並行して使用するために在庫が必要なコンタクトレンズの種類が一層多くなってしまい、在庫用スペースの確保や在庫管理の労力負担が極めて大きくなる。
【0156】
そこで、本態様では、会員制であって且つ予め各会員へ提供するコンタクトレンズの時期や数を予定した情報をレンズ組合せ態様データベース22eとして備えていることを利用して、特定の在庫管理システムを採用することで、各レンズ店舗の在庫スペースや在庫管理の負担軽減を図っている。かかる在庫管理システムを実行するコンタクトレンズ在庫処理手段24iによる処理フローの具体例を
図8に示す。
【0157】
先ず、コンタクトレンズの在庫管理アクションは、会員からのコンタクトレンズの提供をトリガーとして開始しても良いし、予めプログラムされた間隔で自動的に開始しても良い。或いは、レンズ店舗において、在庫管理アクションの開始を指示する信号を適宜に入力することで在庫管理アクションを開始させても良い。
【0158】
図8のステップSf01で在庫管理アクションが開始されると、ステップSf02において、対象とする会員の情報と提供するコンタクトレンズの情報を会員情報データベース22aやレンズ組合せ態様データベース22eなどから取得する。なお、在庫管理アクションは、特定の会員に関連付けられて提供される予定のコンタクトレンズについて実行することも可能であるし、全ての会員に関連付けられて提供される予定のコンタクトレンズについて順次に実行することも可能である。また、特定のレンズ店舗について、当該レンズ店舗に関連付けられた会員へ提供されるコンタクトレンズを対象として在庫管理アクションを実行することも可能である。
【0159】
次に、ステップSf03,Sf04において、在庫管理の対象となるレンズ店舗を特定して、当該レンズ店舗の在庫情報を取得する。そして、続くステップSf05では、直近又は所定期間内において当該レンズ店舗から会員へ提供が予定される具体的種類のコンタクトレンズを対象として、それらのコンタクトレンズの当該レンズ店舗における在庫が足りるか否かを確認する。かかる在庫の確認は、例えばレンズ店舗において常備する下限数がレンズ種類毎に規定されている場合には、該当する種類のコンタクトレンズが提供されても常備下限数が満たされるか否かを確認することとなる。また、例えばレンズ店舗における常備下限数の規定されていない場合には、該当する種類のコンタクトレンズの在庫の有無のみを確認するようにしても良い。
【0160】
ステップSf05での確認の結果、当該レンズ店舗における該当する種類のコンタクトレンズの在庫数に不足がみとめられずに適数であると判定されると、ステップS07において在庫管理アクションを終了する。
【0161】
一方、ステップSf05で、コンタクトレンズの在庫数が不足すると判定されると、ステップSf08において、不足する種類のコンタクトレンズを当該レンズ店舗へ発送して在庫要件を満たすように指示を出すことで、コンタクトレンズ在庫の調整処理が行われることとなる。
【0162】
かかるコンタクトレンズの発送指示は、限定されるものでなく、例えば店舗用コンピュータ装置12において該当する種類のコンタクトレンズの在庫が不足する旨の警告を出力するだけでも良いし、或いは、コンタクトレンズのメーカーや物流センター、コンタクトレンズ倉庫などのコンピュータへ該当するコンタクトレンズの補充指示信号を送信することで、該当するコンタクトレンズを特定のレンズ店舗へ配達するようにしても良い。また、レンズ店舗へのコンタクトレンズの補充処理が行われるのに伴い、店舗在庫状況データベース22hの記憶情報も更新される。かかる店舗在庫状況データベース22hの情報更新は、例えば不足するコンタクトレンズの発注処理の日時や、当該コンタクトレンズの入庫予定日時などを記録するようにしても良いし、実際に当該コンタクトレンズをレンズ店舗が受領した時点で情報入力して更新するようにしても良い。
【0163】
このようなレンズ在庫処理を行うことにより、特に会員が複数種類のコンタクトレンズを並行的に使い分けて使用する場合に、取り扱うコンタクトレンズの種類が増加することに起因して増大する各レンズ店舗における在庫の管理や在庫スペース確保の負担が軽減され得る。特にレンズ組合せ態様データベース22eの情報によって各レンズ店舗に関連付けられた各会員に対して近い将来に提供するコンタクトレンズの具体的種類と時期を精度良く把握することが可能である。それ故、上述の如きレンズ在庫処理を行うことで、各会員への提供時期が近づいたコンタクトレンズだけを効率的に在庫させることが可能になって、レンズ店舗の在庫負担が軽減されると共に、各会員も必要となる適切な時期に遅れることなく希望する種類のコンタクトレンズを入手することが可能になる。なお、上述の如きレンズ店舗の在庫処理は、当該レンズ店舗が店舗外のレンズ倉庫を有する場合に、当該レンズ倉庫もレンズ店舗と見做すことができ、それによって当該レンズ倉庫におけるコンタクトレンズの在庫管理として適用することも可能である。
【0164】
また、レンズ在庫処理は、例えば会員からのコンタクトレンズの提供の要求があった場合に実行することも可能であり、それによって、例えば
図2~7に示す如きコンタクトレンズの提供に際しての処理を行うだけで、レンズ店舗における特別な操作を必要とすることなく、自動的にコンタクトレンズの在庫処理が実行され得る。その際、必要なコンタクトレンズの在庫がレンズ店舗に無かった場合には、レンズ在庫処理のステップSf08における発注処理に際して、該当するコンタクトレンズの配達先をレンズ店舗に代えて会員自宅に設定することで、一層速やかにコンタクトレンズを会員へ提供することも可能になる。
【0165】
[4]付記
以上、本発明に従うコンタクトレンズの提供システムについて、具体的な実施形態を示しつつ詳述してきたが、本発明はかかる実施形態に限定して解釈されるものでない。
【0166】
例えば、
図4に例示する判定処理においてステップSb04,Sb08,Sb10に示された眼状態の判定(
図5)や使用状況の判定(
図6)、不使用判定(
図7)、処方箋要件判定などは、各別に独立して処理することも可能であるし、併せて処理する場合でも判定の順序は限定されない。
【0167】
また、本発明が適用されるコンタクトレンズは、具体的種類について限定されるものでなく、近視用や老視用,近視抑制用,カラーコンタクトレンズ,コスメティックレンズなど、各種のコンタクトレンズが対象とされ得る。
【0168】
また、本発明の対象とされる会員は、会員情報データベース22aに予め情報登録されることで、継続してコンタクトレンズの提供を受けて使用するレンズ使用者とされるが、会員登録の継続要件として会費の設定は任意である。例えば商品やサービスの提供の都度に会員に料金支払い義務を発生させて、継続的な会費を不要とすることも可能であるが、会員の便宜とレンズ店舗による会員の管理を効率化するには、継続的な会費(例えば月会費や年会費等)の支払いを要件とすることが望ましい。勿論、基本会費と商品提供時に支払う代金とを組み合わせて採用することも可能である。更に、会員継続に必要な会費を要求する場合に、各会員が関連付けされた店舗に対して必要な会費を支払うようにしても良いし、会費の支払いを、クレジットカード会社等を介して行わせて会費管理の軽減を図るようにしても良い。
【0169】
また、本発明は他のサービスと組合せて実行することも可能であり、例えば複数の眼科医について場所や営業時間、得意分野、過去の経歴などを記憶させた眼科医データベースを備え、ステップSb06等において眼科医受診を指示するに際して、該当する会員に適切な眼科医の情報を提供するようにしても良い。更には、眼科医が利用する眼科医用コンピュータ装置に対して店舗用コンピュータ装置12がアクセスすることで、例えば現状での当該眼科医の組み具合等の情報を取得して会員へ送信したり、当該眼科医の受診を希望する会員についての履歴や症状などの情報を眼科医へ送信したり、当該眼科医の予約を入れたりするようにしても良い。
【0170】
また、コンタクトレンズの提供に際して処方箋要件を満足することは眼の健康を維持するのに有効であるが、処方箋要件に関する法的効力は時間的に流動的であり、提供するコンタクトレンズの種類や国などによっても異なることから、本発明に従うコンタクトレンズの提供に際して処方箋要件を満足することは必須でなく、処方箋要件を参考にして、或いは処方箋要件を参照することなく、会員に関連付ける具体的なコンタクトレンズを設定や変更することも可能である。
【0171】
また、上述の説明から明らかなように、前記実施形態では、
図2~8に例示された各フローを順次に実行するための各コンピュータ装置におけるハードウェアとソフトウェアの協働によって、各情報の送受信手段や特定条件の判定手段などが構成されており、ハードウェアとしては前述の如きコンピュータや携帯端末等の情報記憶手段を備えた各種のプログラム実行処理装置が具体的構造によって限定されることなく採用され得る。
【0172】
その他、一々列挙はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様は、本発明の趣旨を逸脱しないかぎり、何れも、本発明の範囲内に含まれるものである。
【符号の説明】
【0173】
12 店舗用コンピュータ装置
14 会員用コンピュータ装置
16 ネットワークシステム
18 店舗用クライアント装置
20 サーバー
22 記憶装置
22a 会員情報データベース
22b 店舗関連付情報データベース
22c 処方箋情報データベース
22d 複数レンズ関連付情報データベース
22e レンズ組合せ態様データベース
22f 眼検査情報データベース
22g 関連サービス提供情報データベース
22h 店舗在庫状況データベース
24 演算装置
24a コンタクトレンズ提供判定手段
24b コンタクトレンズ組合せ設定/変更判定手段
24c コンタクトレンズ関連付け手段
24d 関連サービス判定手段
24e 眼状態判定手段
24f 使用状況判定手段
24g 処方箋要件判定手段
24h 判定レポート作成手段
24i コンタクトレンズ在庫処理手段
30 カード会社PC
32 物流センターPC