(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123629
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】洗浄料
(51)【国際特許分類】
C11D 7/12 20060101AFI20240905BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240905BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240905BHJP
C11D 7/14 20060101ALI20240905BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20240905BHJP
C11D 7/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C11D7/12
A61Q19/10
A61K8/19
C11D7/14
A61K8/25
C11D7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031205
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】木村 元春
(72)【発明者】
【氏名】目野 高嗣
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB311
4C083AB312
4C083AB441
4C083AB442
4C083CC23
4C083DD17
4C083DD21
4C083EE07
4H003BA15
4H003DA02
4H003DC03
4H003EA15
4H003EA16
4H003EA25
4H003EA27
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA28
(57)【要約】
【課題】 排水の汚染がなく、洗浄性および使用感に優れた洗浄料の提供。
【解決手段】 (A)粘土鉱物と、(B)炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、および重炭酸リチウムからなる群から選択される1種類または2種類以上の無機塩と、(C)平均粒子径が4~7μmであるシリカとを含んでなる洗浄料。この洗浄料は、洗浄料の総質量を基準として、有機物質の総含有率が2質量%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)粘土鉱物と、
(B)炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、および重炭酸リチウムからなる群から選択される1種類または2種類以上の無機塩と、
(C)平均粒子径が4~7μmであるシリカと
を含んでなる洗浄料であって、前記洗浄料の総質量を基準として、有機物質の総含有率が2質量%以下である洗浄料。
【請求項2】
(A)成分が、層状ケイ酸塩鉱物である、請求項1に記載の洗浄料。
【請求項3】
(A)成分が、スメクタイトである、請求項1または2に記載の洗浄料。
【請求項4】
(A)成分が、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、スチーブンサイト、ヘクトライトからなる群から選択される、請求項1または2に記載の洗浄料。
【請求項5】
前記洗浄料を105℃で2時間乾燥させたときの重量減少率が9%以下である、請求項1または2に記載の洗浄料。
【請求項6】
有機物質および水を含まない、請求項1または2に記載の洗浄料。
【請求項7】
前記洗浄料の総質量を基準として、(A)成分の含有率が10~90質量%であり、(B)成分の含有率が2~60質量%であり、(C)成分の含有率が5~50質量%である、請求項1または2に記載の洗浄料。
【請求項8】
(A)成分の含有率に対する(B)成分の含有率の比B/Aが、0.05~0.3である、請求項1または2に記載の洗浄料。
【請求項9】
(A)成分の含有率に対する(C)成分の含有率の比C/Aが、0.3~0.7である、請求項1または2に記載の洗浄料。
【請求項10】
洗浄料に対して、質量基準で9倍量の水を加えて均一に混合したとき、20℃における粘度が300~400,000Pa・sである、請求項1または2に記載の洗浄料。
【請求項11】
洗浄料に対して、質量基準で9倍量の水を加えて均一に混合したとき、20℃におけるpHが7~9である、請求項1または2に記載の洗浄料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機炭素を含まない、高い洗浄効果を有する洗浄料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、環境に配慮のある洗剤類の開発が望まれている。これは、合成洗剤などを使用したあとの排水が環境汚染につながるため、それを防ぐことが望ましいからである。このような洗剤は、衣類用あるいは食器・食品用洗剤だけではなく、ボディソープ、シャンプー、または洗顔料などにおいても検討されている。
【0003】
しかし、その多くは合成材料ではなく、天然材料を多く使用したものである。このような洗剤類は、合成材料を使用した洗浄剤に比較して環境負荷が低い。しかしながら、天然成分であっても有機物を含むものであるから、それを使用した後の排水には有機物が含まれる。この結果、排水中の栄養価は低いとはいえず、細菌類の繁殖が起こることがある。排水の汚染の度合いは、生物化学的酸素要求量(BOD)や化学的酸素要求量(COD)により評価されるが、排水中で細菌類が繁殖するとBODやCODが上昇してしまう。したがって、排水中のBODやCODの上昇を抑制するためには排水中の有機材料の含有率を低くすることが必要である。しかし、ボディソープ等の汚れ除去は界面活性剤等の有機材料によって実現されるのが一般的であり、有機材料を用いずに洗浄効果を実現することは困難であった。
【0004】
一方、環境に優しい洗浄剤として、サモイロフ(Samoilov)の提唱する負の水和をするイオンを含む結晶を溶解させた溶液を用いることを特徴とする化粧料が知られている(特許文献1)。この文献は、有機物による安全性阻害の課題を解決するために有機物含有率を低くするために、負の水和イオン、すなわち、カリウムイオン、ルビジウムイオン、アンモニウムイオンのようなイオンを含む塩を用いることで十分な効果が得られるが、ナトリウムイオンなどではカリウムイオンなどで得られる効果が得られないとしている。また、この化粧料は例えばEDTA等の有機物を用いることも記載されており、有機物を含まない組成物としては不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みて、有機炭素の含有率が極めて低いにもかかわらず、十分な洗浄力と使用感とを実現した洗浄料を提供しようとするものである。
【0007】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]
(A)粘土鉱物と、
(B)炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、および重炭酸リチウムからなる群から選択される1種類または2種類以上の無機塩と、
(C)平均粒子径が4~7μmであるシリカと
を含んでなる洗浄料であって、前記洗浄料の総質量を基準として、有機物質の総含有率が2質量%以下である洗浄料。
[2]
(A)成分が、層状ケイ酸塩鉱物である、[1]に記載の洗浄料。
[3]
(A)成分が、スメクタイトである、[1]または[2]に記載の洗浄料。
[4]
(A)成分が、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、スチーブンサイト、ヘクトライトからなる群から選択される、[1]または[2]に記載の洗浄料。
[5]
前記洗浄料を105℃で2時間乾燥させたときの重量減少率が9%以下である、請求項[1]~[4]のいずれかに記載の洗浄料。
[6]
有機物質および水を含まない、[1]~[5]のいずれかにに記載の洗浄料。
[7]
前記洗浄料の総質量を基準として、(A)成分の含有率が10~90質量%であり、(B)成分の含有率が2~60質量%であり、(C)成分の含有率が5~50質量%である、[1]~[6]のいずれかに記載の洗浄料。
[8]
(A)成分の含有率に対する(B)成分の含有率の比B/Aが、0.05~0.3である、[1]~[7]のいずれかに記載の洗浄料。
[9]
(A)成分の含有率に対する(C)成分の含有率の比C/Aが、0.3~0.7である、[1]~[8]のいずれかに記載の洗浄料
[10]
洗浄料に対して、質量基準で9倍量の水を加えて均一に混合したとき、20℃における粘度が300~400,000Pa・sである[1]~[9]のいずれかに記載の洗浄料。
[11]
洗浄料に対して、質量基準で9倍量の水を加えて均一に混合したとき、20℃におけるpHが7~9である、[1]~[10]のいずれかに記載の洗浄料。
【0008】
本発明によれば、排水の汚染、具体的にはBODやCODやCODの上昇を実質的になくしながら、十分な洗浄力を実現することができる洗浄料が提供される。そして、本発明による洗浄料は、使用時の垂れ落ちなどが少なく、組成物の水への溶解性が高い、使用感に優れたものである。
【発明の具体的説明】
【0009】
本発明による洗浄料は、
(A)粘土鉱物と、
(B)炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、および重炭酸リチウムからなる群から選択される1種類または2種類以上の無機塩と、
(C)平均粒子径が4~7μmであるシリカと
を含んでなる。さらに、洗浄料の総質量に対する有機物質の総含有率が2質量%以下である。
【0010】
本発明において、「有機物質」とは、炭素を含む化合物を意味するが、炭素を含む単純化合物および炭素同素体は包含しない。ここで炭素を含む単純化合物とは、例えば一酸化炭素、二酸化炭素、炭酸金属塩、重炭酸金属塩、などであり、炭素同素体とは、黒鉛、ダイヤモンド、炭素クラスター(フラーレンなど)である。一方、「無機物質」とは有機物質以外の物質である。
【0011】
本発明による洗浄料は、有機物質の含有率が、洗浄料の総質量に対して2質量%以下であり、好ましくは1質量%以下であり、最も好ましくは水を含まない。水を含むと、保存時に細菌の発生が起こりやすくなり、またそれを防ぐためには防腐剤(すなわち有機物)も必要となるが、本発明による洗浄料は、使用時にだけ水を配合して使用するので、保存時に細菌が発生することがなく、また水が配合されてから排出されるまでの時間が短いために、細菌が繁殖する時間が無いので排水が汚染されないのである。
【0012】
本発明による洗浄料は、粘土鉱物(以下、(A)成分ということがある)を含む。本発明において、粘土鉱物(A)とは一般的に天然鉱物に含まれる微細な層状ケイ酸塩鉱物を主体とするものであり、化粧品などの用途に適用されるものから任意に選択することができる。このような粘土鉱物のうち、不純物が取り除かれた高純度の粘土や、合成された粘土鉱物を用いることもできる。
【0013】
層状ケイ酸塩鉱物に分類される粘土鉱物は、さらにカオリナイトなどの1:1型鉱物、スメクタイトなどの2:1型鉱物、緑泥石などの2:1:1鉱物に分類されるが、このうちスメクタイトを用いることが好ましい。さらにスメクタイトのうち、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、スチーブンサイト、ヘクトライトからなる群から選択されるものが好ましく用いられる。
【0014】
具体的にはモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等の天然または合成のモンモリロナイト群(ビーガム(商品名、バンダービルド社製)、クニピア(商品名、クニミネ工業株式会社製)、ラポナイト(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等)を用いることができる。また、サポナイトのマグネシウムの一部をアルミニウムに置換した合成サポナイトも知いることができる。なお、粘土鉱物を有機材料で変性した変性粘土鉱物も知られているが、これらは有機炭素をふくむので、用いないことが好ましい。
【0015】
粘土鉱物((A)成分)の含有率は、目的に応じて任意に選択することができるが、十分な洗浄性を実現するために、洗浄料の総質量を基準として10~90質量%であることが好ましく、30~60質量%であることがより好ましい。
【0016】
また、本発明による洗浄料は、無機塩(以下、(B)成分ということがある)を含む。この無機塩は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、および重炭酸リチウムからなる群から選択されるものであり、1種類または2種類以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明においては、無機塩であっても、これ以外の水溶性無機塩を含まないことが好ましい。
【0017】
無機塩((B)成分)の含有率は、目的に応じて任意に選択することができるが、十分な洗浄性を実現するために、洗浄料の総質量を基準として2~60質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましい。
【0018】
また、(A)成分と(B)成分の配合比によって、洗浄性や使用感を調整することができる。洗浄性と使用感とを両立するためには、(A)成分の含有率に対する(B)成分の含有率の比B/Aが、0.05~0.3であることが好ましい。
【0019】
本発明による洗浄料は、さらに 平均粒子径が4~7μmであるシリカ(以下、(C)成分ということがある)を含む。
【0020】
(C)成分は、いわゆるスクラブ効果を実現して、洗浄性が改良されるものと考えられる。(C)成分の粒子径は、十分なスクラブ効果を得るために4μm以上であることが必要であり、4.5μm以上であることが好ましい。また、使用時に高い水溶性を発揮して優れた使用感を実現するために7μ以下である必要があり、6.5μm以下であることが好ましい。ここで平均粒子径は、レーザー回折/散乱法により測定したものである。具体的には、本発明においては「平均粒子径」は、レーザー回折・散乱法によって求められた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
【0021】
シリカには各種のものが知られているが、目的に応じて任意のものを用いることができる。
【0022】
例えば、シリカには多孔性シリカ、無孔性シリカ、中空無孔シリカなどが知られているが、いずれを用いることもできる。これらのうち多孔性シリカは汚れ等を吸着しやすいので好ましく用いられる。また、シリカの吸油量は特に限定されないが、例えば、スクワランを用いて測定した給油量が、10~1000(ml/100gシリカ)であるものを用いることができる。一般に吸油量が多い方が汚れ除去効果が高く、吸油量は50~300(ml/100gシリカ)であることが好ましい。シリカの比表面積も特に限定されず、例えば0.5~1000m2/gのものが用いられる。
【0023】
また、シリカの表面を疎水化処理や親水化処理したものも知られているが、処理に際して有機材料を使用した無機粒子は、本発明による洗浄料には使用するべきではない。
【0024】
本発明による洗浄料は、(C)成分に加えて、さらに別の無機粉末を含むこともできる。このような無機粉末を用いることで、洗浄性をさらに改良することができる。
【0025】
このような無機粉末は、(C)成分と同様にスクラブ効果を実現して、洗浄性が改良されるものと考えられる。無機粉末としては、一般的に化粧料や医薬品分野で用いられるものから任意に選択することができるが、例えば、ゼオライト、アルミナ、酸化チタン、ゼオライト、マイカ、およびタルクからなる群から選択されるものが好ましい。これらの無機粉末の粒子径は特に限定されないが、洗浄時の使用感を改良するために、1mm以下であることが好ましく、700μm以下であることがより好ましい。なお、平均粒子径が4μm未満のシリカ、平均粒子径が7μmを超えるシリカを用いることもできるが、十分なスクラブ効果を得られないことがあったり、十分な水溶性が得られずに使用感を損なうことがあったりするので注意が必要である。
また、無機粉末の粒子形状は真球に近いことが好ましい。なお、無機粒子の表面を疎水化処理や親水化処理したものも知られているが、処理に際して有機材料を使用した無機粒子は、本発明による洗浄料には使用するべきではない。
【0026】
本発明による洗浄料は、上記の各成分を含むものである。必要に応じて、その他の成分として無機物質を配合することができるが、有機物質は配合されない。また、水は細菌類の繁殖を助長する可能性があるため、水も配合しないことが好ましい。本発明による洗浄料は、水がない乾燥状態で保存した場合には菌類の繁殖が起こらないので、使用時に水を配合しても、排水のBODやCODが上昇することはない。したがって、本発明による洗浄料の水分含有率は、低いことが好ましい。具体的には、洗浄料を105℃で2時間乾燥させたときの重量減少率が9%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましい。
【0027】
本発明による洗浄料は、一般に乾燥状態で保存され、使用時に水で希釈して洗浄に利用する。使用時の希釈率は限定されないが、一般に2~20倍で、好ましくは5~15倍で使用される。このとき、特に粘土鉱物の種類によって、その粘度やpHが変動する。ここで、使用時の使いやすさの観点から、水で希釈したときの粘土が特定の範囲にあることが好ましい。具体的には、洗浄料に対して、質量基準で9倍量の水を加えて均一に混合したとき、20℃における粘度が300~400,000Pa・sであることが好ましい。ここで、粘度とは、VDA型粘度計(芝浦システム株式会社 DIGITAL VISMETRON VDA)を用いて、25℃、回転数10rpm、適切なローターを用いて測定したものである。
【0028】
また、水で希釈したときのpHが高すぎたり低すぎたりした場合、肌に過度の刺激を与える可能性がある。このために、洗浄料に対して、質量基準で9倍量の水を加えて均一に混合したとき、20℃におけるpHが7~9であることが好ましい。
【実施例0029】
本発明を諸例を用いて説明すると以下のとおりである。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。また、含有率は特に断りのない限り総量に対する質量%である。
【0030】
[実施例1~5および比較例1~3]
ベントナイト(クニピアG(クニミネ工業株式会社製))60g、重炭酸ナトリウム30g、およびシリカ30gを混合して、洗浄料を調製した。シリカは、表1に記載したものを用いた。得られた洗浄料について、以下のとおり物性を評価した。
【0031】
[pH]
洗浄料に対して、質量基準で9倍量の水を加えて均一に混合し、25℃におけるpHを測定した。
【0032】
さらに、表中に記載した割合で希釈して、下記の基準で組成物の性能を評価した。
【0033】
[組成物の水溶性]
洗浄料に対して、質量基準で9倍量の水を加えて1分間分散させ、希釈した洗浄料を手に取り状態を以下の基準で評価した。
A: 洗浄料が均一にきれいに分散する
B: 分散後に洗浄料の小さな凝集物(ダマ)が残る
C: 分散後に洗浄料の大きな凝集物(ダマ)が残る
【0034】
[皮膚洗浄性]
スクワランを塗り広げた腕の内側に、希釈した洗浄料を塗布し、指で20回こすったのちに洗い流した。洗い流したのち、腕に残っているスクワランの感触および外観観察(光沢具合)により、皮膚洗浄性を評価した。
A: スクワラン残存は完全に認められない
B: スクワラン残存はほとんど認められない
C: スクワラン残存が認められる
【0035】
【0036】
[洗浄排水の全有機炭素および生物化学的酸素要求量の測定]
実施例1の洗浄料について、それを使用したときの全有機炭素(TOC)および生物化学的酸素要求量(BOD)を測定した。
【0037】
1g(規定量)の洗浄料を用いてヒトの洗顔を行い、その後すすぎ水ですすいで使用後のすすぎ水を回収した。
【0038】
回収したすすぎ水を均一になるように攪拌した後、TOCについてはJIS K 0102 22.1 0.5 燃焼酸化-赤外線式TOC分析法(C換算)に従って、BODについてはJIS K0102 21及び32.3隔膜電極法に従って測定を行った。
【0039】
ここで、使用後すすぎ水の量は4.5Lを標準量とした。回収したすすぎ水が4.5L未満である場合には、4.5Lまで水を追加してから測定を行った。また、回収したすすぎ水が4.5Lを超えた場合には、その回収したすすぎ水について測定を行い、下記式によって補正した。
補正TOC = (回収したすすぎ水量[L]/4.5[L])×実測TOC
補正BOD = (回収したすすぎ水量[L]/4.5[L])×実測BOD
【0040】
この操作を12人が行い、それぞれについて回収したすすぎ水のTOCおよびBODを測定して、その平均値を求めた。
【0041】
求められた平均TOCは4mg/L、平均BODは4mg/Lであった。環境省が定めた一般排水基準の日間平均はBOD120mg/Lであり、本発明による洗浄料を用いた場合の環境への有機物汚染は非常に軽微である。