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特開2024-123641就業適否判定装置、就業適否判定システム、就業適否判定方法及び就業適否判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123641
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】就業適否判定装置、就業適否判定システム、就業適否判定方法及び就業適否判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0639 20230101AFI20240905BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G06Q10/0639
A61B5/11 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031231
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】上田 一貴
(72)【発明者】
【氏名】吉田 挙忠
(72)【発明者】
【氏名】山崎 元照
(72)【発明者】
【氏名】椴谷 晃平
【テーマコード(参考)】
4C038
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB31
4C038VC09
4C038VC20
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】特定作業従事者が特定作業に就業できる状況であるか否かを事前に判定することが課題。
【解決手段】特定作業従事者が、携帯端末20を身体に装着し、所定の複数のテスト運動を行い、携帯端末20は、特定作業従事者が所定のテスト運動を行っている間、加速度・角速度データを取得する。そして携帯端末20は、取得した加速度・角速度データを適否判定学習済モデル24bに入力し、適否判定学習済モデル24bの出力に基づいて就業適否を判定し、判定結果を操作表示部21に表示するようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定作業従事者による特定作業への就業適否を判定する就業適否判定装置であって、
前記特定作業従事者に携帯端末が装着された状態で、予め定められた所定のテスト運動が行われた場合に、前記携帯端末が備える加速度センサ及び角速度センサの出力値を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記加速度センサ及び角速度センサの出力値に基づいて、前記特定作業従事者による前記特定作業への就業適否を判定する判定手段と
を備えた就業適否判定装置。
【請求項2】
前記判定手段による判定結果を所定の表示部に表示制御する表示制御手段を備えた請求項1に記載の就業適否判定装置。
【請求項3】
前記判定手段により複数の特定作業従事者の就業適否が判定された場合に、就業不適と判定された特定作業従事者に係る情報及び就業不適理由を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された特定作業従事者に係る情報及び就業不適理由を所定の管理者端末に通知する通知手段と
を備えた請求項1に記載の就業適否判定装置。
【請求項4】
前記所定のテスト運動は、
前記特定作業従事者の身体能力及び運動能力に係る複数の項目を測定する運動である請求項1に記載の就業適否判定装置。
【請求項5】
前記判定手段は、
学習データとしての前記加速度センサ及び前記角速度センサの出力値と所定の判定基準とを用いて機械学習された学習済モデルに基づいて、前記特定作業従事者による前記特定作業への就業適否を判定する請求項1乃至4のいずれか一つに記載の就業適否判定装置。
【請求項6】
前記加速度センサに係る第1の基準値と前記角速度センサに係る第2の基準値とを記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定手段は、
前記特定作業従事者についての前記加速度センサの出力値、又は、前記特定作業従事者についての前記角速度センサの出力値の少なくとも一方が各基準値に対して満たない場合は、前記特定作業に就業できないと判定する請求項1乃至4のいずれか一つに記載の就業適否判定装置。
【請求項7】
前記第1の基準値は、前記特定作業従事者の正常時の加速度値であり、前記第2の基準値は、前記特定作業従事者の正常時の角速度値である請求項6に記載の就業適否判定装置。
【請求項8】
特定作業従事者が所持する携帯端末と、前記特定作業従事者による特定作業への就業適否を判定する就業適否判定装置とを通信可能に接続した就業適否判定システムであって、
前記就業適否判定装置は、
前記特定作業従事者に前記携帯端末が装着された状態で、予め定められた所定のテスト運動が行われた場合に、前記携帯端末が備える加速度センサ及び角速度センサの出力値を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記加速度センサ及び角速度センサの出力値に基づいて、前記特定作業従事者による前記特定作業への就業適否を判定する判定手段と
を備えた就業適否判定システム。
【請求項9】
特定作業従事者による特定作業への就業適否を判定する就業適否判定装置における就業適否判定方法であって、
前記特定作業従事者に携帯端末が装着された状態で、予め定められた所定のテスト運動が行われた場合に、前記携帯端末が備える加速度センサ及び角速度センサの出力値を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された前記加速度センサ及び角速度センサの出力値に基づいて、前記特定作業従事者による前記特定作業への就業適否を判定する判定工程と
を含む就業適否判定方法。
【請求項10】
特定作業従事者による特定作業への就業適否を判定する就業適否判定装置において実行される就業適否判定プログラムであって、
前記特定作業従事者に携帯端末が装着された状態で、予め定められた所定のテスト運動が行われた場合に、前記携帯端末が備える加速度センサ及び角速度センサの出力値を取得する取得手順と、
前記取得手順により取得された前記加速度センサ及び角速度センサの出力値に基づいて、前記特定作業従事者による前記特定作業への就業適否を判定する判定手順と
をコンピュータに実行させる就業適否判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が特定作業に就業できる状況であるか否かを事前に判定することができる就業適否判定装置、就業適否判定システム、就業適否判定方法及び就業適否判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重量物の設置、建設現場の作業、警備などの各種の特定作業を作業者が行う場合に、この作業者は特定作業が可能な身体状況でなければならない。このため、作業者の身体状況を測定する技術が知られており、例えば特許文献1には、撮影ボックスに体力検査手段を設け、この体力検査手段によって腕の動きや足の動きを測定し、体力検査データを会員証の発行条件に含め、発行条件に適さない者の会員証の剥奪又はその者への会員証の発行を拒否できるようにした技術が開示されている。
【0003】
ところが、かかる特許文献1のものは、撮影ボックスという設備が必要なため、適用できる状況に大きく制限を受ける。このため、ウェアラブル端末又はモバイルデバイスを用いて作業者の作業状態を推定する技術が知られている。例えば特許文献2には、工場の敷地内等のワークエリアにおいて作業を行う作業者に装着されるウェアラブル端末又はモバイルデバイスにおいて、加速度センサによって計測された作業者に生じる加速度に基づいて、作業者の作業状態を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-318359号公報
【特許文献2】特開2019-197565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2のものは、予め定められた範囲内において作業を行う作業者の状態をリアルタイムで推定するものであり、事前に作業者が特定作業を行える身体状況にあるか否かを判定するものではない。このため、この特許文献1を用いたとしても、作業者の体調や体力が低下しており特定作業に就業できる状態に無い場合であっても、作業者に特定作業をさせ、その結果として重大な事故を招く可能性が考えられる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点(課題)を解決するためになされたものであって、作業者が特定作業に就業できる状況であるか否かを事前に判定することができる就業適否判定装置、就業適否判定システム、就業適否判定方法及び就業適否判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、特定作業従事者による特定作業への就業適否を判定する就業適否判定装置であって、前記特定作業従事者に携帯端末が装着された状態で、予め定められた所定のテスト運動が行われた場合に、前記携帯端末が備える加速度センサ及び角速度センサの出力値を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記加速度センサ及び角速度センサの出力値に基づいて、前記特定作業従事者による前記特定作業への就業適否を判定する判定手段とを備えた。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記判定手段による判定結果を所定の表示部に表示制御する表示制御手段を備えた。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記判定手段により複数の特定作業従事者の就業適否が判定された場合に、就業不適と判定された特定作業従事者に係る情報及び就業不適理由を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された特定作業従事者に係る情報及び就業不適理由を所定の管理者端末に通知する通知手段とを備えた。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記所定のテスト運動は、前記特定作業従事者の身体能力及び運動能力に係る複数の項目を測定する運動である。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記判定手段は、学習データとしての前記加速度センサ及び前記角速度センサの出力値と所定の判定基準とを用いて機械学習された学習済モデルに基づいて、前記特定作業従事者による前記特定作業への就業適否を判定する。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記加速度センサに係る第1の基準値と前記角速度センサに係る第2の基準値とを記憶する記憶部をさらに備え、前記判定手段は、前記特定作業従事者についての前記加速度センサの出力値、又は、前記特定作業従事者についての前記角速度センサの出力値の少なくとも一方が各基準値に対して満たない場合は、前記特定作業に就業できないと判定する。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記第1の基準値は、前記特定作業従事者の正常時の加速度値であり、前記第2の基準値は、前記特定作業従事者の正常時の角速度値である。
【0014】
また、本発明は、特定作業従事者が所持する携帯端末と、前記特定作業従事者による特定作業への就業適否を判定する就業適否判定装置とを通信可能に接続した就業適否判定システムであって、前記就業適否判定装置は、前記特定作業従事者に前記携帯端末が装着された状態で、予め定められた所定のテスト運動が行われた場合に、前記携帯端末が備える加速度センサ及び角速度センサの出力値を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記加速度センサ及び角速度センサの出力値に基づいて、前記特定作業従事者による前記特定作業への就業適否を判定する判定手段とを備えた。
【0015】
また、本発明は、特定作業従事者による特定作業への就業適否を判定する就業適否判定装置における就業適否判定方法であって、前記特定作業従事者に携帯端末が装着された状態で、予め定められた所定のテスト運動が行われた場合に、前記携帯端末が備える加速度センサ及び角速度センサの出力値を取得する取得工程と、前記取得工程により取得された前記加速度センサ及び角速度センサの出力値に基づいて、前記特定作業従事者による前記特定作業への就業適否を判定する判定工程とを含む。
【0016】
また、本発明は、特定作業従事者による特定作業への就業適否を判定する就業適否判定装置において実行される就業適否判定プログラムであって、前記特定作業従事者に携帯端末が装着された状態で、予め定められた所定のテスト運動が行われた場合に、前記携帯端末が備える加速度センサ及び角速度センサの出力値を取得する取得手順と、前記取得手順により取得された前記加速度センサ及び角速度センサの出力値に基づいて、前記特定作業従事者による前記特定作業への就業適否を判定する判定手順とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、作業者が特定作業に就業できる状況であるか否かを事前に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明に係る就業適否判定装置の概要を示す図である。
図2図2は、本実施形態1に係る携帯端末の概要を示す図である。
図3図3は、図2に示した携帯端末の構成を示す機能ブロック図である。
図4図4は、学習済モデルの生成を説明するための説明図である。
図5図5は、図3に示した携帯端末の処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、図5に示したデータ取得処理の処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、変形例1の概要を示す図である。
図8図8は、本実施形態2に係る就業適否判定システムの概要を示す図である。
図9図9は、本実施形態2に係る就業適否判定システムのシステム構成を示す図である。
図10図10は、図9に示した携帯端末の構成を示す機能ブロック図である。
図11図11は、図9に示した就業適否判定サーバの構成を示す機能ブロック図である。
図12図12は、図9に示した就業適否判定システムの処理手順を示すシーケンスである。
図13図13は、変形例2の概要を示す図である。
図14図14は、変形例3の概要を示す図である。
図15図15は、ハードウエア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る就業適否判定装置、就業適否判定システム、就業適否判定方法及び就業適否判定プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る就業適否判定装置の概念を示す図である。図1に示すように、警備員、建設現場作業者及び消防員などの特定作業を行う者(以下、「特定作業従事者」と言う)が特定作業を行うためには、特定作業への就業適否を判定することが望ましい。例えば、特定作業従事者の当日の体調が悪い場合には、特定作業を円滑に実施できず、トラブルを招く可能性があるためである。このため、本発明は、就業適否判定装置が、特定作業従事者による特定作業への就業適否を判定する。
【0021】
そして、特定作業従事者による特定作業の実施に先立って、該特定作業従事者に複数のテスト運動を行わせ、テスト運動に伴う加速度を加速度センサで取得し、テスト運動に伴う角速度を角速度センサで取得する。特定作業従事者が俊敏性、筋力、持久力、瞬発力、走力、跳力、投力、バランス力等をテストするテスト運動を行ったならば、このテスト運動の結果が加速度及び角速度に反映されるからである。そして、就業適否判定装置は、加速度センサ及び角速度センサの出力値に基づいて、特定作業従事者による特定作業への就業適否を判定する。
【0022】
上記一連の処理を行うことにより、特定作業従事者が特定作業を行うに足りる身体的な状態にあるか否かを判定し、特定作業に適さないと判定された場合には、他の特定作業従事者に特定作業をさせ、もってケガ又は事故などのトラブルを防止することができる。
【0023】
ここで、就業適否判定装置がスマートフォンである場合には、スマートフォンに実装された加速度センサ及び角速度センサを用いて加速度及び角速度を検知し、スマートフォン単体で就業適否を判定することになる。判定結果をスマートフォンの表示部に表示することもできる。
【0024】
また、就業適否判定装置がタブレット又はノートパソコンである場合には、スマートフォンに実装された加速度センサ及び角速度センサを用いて加速度及び角速度を検知し、検知データをスマートフォンからタブレット又はノートパソコンに送信し、タブレット又はノートパソコンにおいて就業適否を判定することになる。
【0025】
また、就業適否判定装置がサーバ装置又はクラウドである場合には、スマートフォンに実装された加速度センサ及び角速度センサを用いて加速度及び角速度を検知し、検知データをスマートフォンからサーバ装置又はクラウドに送信し、サーバ装置又はクラウドにおいて就業適否を判定することになる。
【0026】
なお、以下に示す実施形態1は、就業適否判定装置がスマートフォン(携帯端末)である場合について説明し、実施形態2は、就業適否判定装置がサーバ装置である場合について説明する。
【0027】
[実施形態1]
本実施形態1に係る携帯端末20の概要について説明する。図2は、本実施形態1に係る携帯端末20の概要を示す図である。ここで、携帯端末20は、加速度センサ及び角速度センサを有する。携帯端末20は、就業適否を判定するために所定のサーバ装置等より就業適否判定アプリがダウンロードされ、携帯端末20にインストールされているものとする。
【0028】
携帯端末20は、機械学習により生成した適否判定学習済モデルを用いて加速度及び角速度に基づいて就業適否を判定する。ここでは、機械学習としてLightGBM(登録商標)を用いるものとする。LightGBM(登録商標)は、決定木アルゴリズムに基づいた勾配ブースティングの機械学習フレームワークである。なお、ニアレストネイバー法、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、XGBoost、深層学習などを用いることもできる。
【0029】
具体的には、加速度及び角速度の学習用データと、該学習用データに対する正しい出力とを含む訓練データを用いて機械学習の訓練を行う。その結果得られた適否判定学習済モデルに対して特定作業従事者の複数のテスト運動を行った場合の加速度及び角速度のデータを適用することにより、就業適否の判定結果が得られる。なお、所定のサーバ装置において、かかる適否判定学習済モデルの生成が行われたならば、携帯端末20が、あらかじめ適否判定学習済モデルをサーバ装置からダウンロードすることになる。
【0030】
特定作業従事者は、携帯端末20を身体に装着し、所定のテスト運動を行う。そして、携帯端末20は、特定作業従事者が所定のテスト運動を行っている間、加速度データ及び角速度データ(以下、「加速度・角速度データ」と言う)を取得する。
【0031】
携帯端末20は、加速度・角速度データを学習済モデルに入力する。そして、携帯端末20は、該学習済モデルからの出力に基づいて就業適否を判定し、その判定結果データを表示する。特定作業の管理者は、特定作業を開始する前に、特定作業従事者が特定作業を行うに足りる身体的な状態にあるか否かを確認することが可能であり、携帯端末20の表示結果が特定作業の就業不適である場合には、他の特定作業従事者に特定作業をさせ、もってケガ又は事故などのトラブルを防止することができる。
【0032】
<携帯端末20の構成>
次に、図2に示した携帯端末20の構成について説明する。図3は、図2に示した携帯端末20の構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、携帯端末20は、操作表示部21と、加速度センサ22と、角速度センサ23と、記憶部24と、制御部25とを有する。操作表示部21は、タッチパネル式液晶ディスプレイ等の入力デバイスである。
【0033】
加速度センサ22は、バネと重りが一体化したものに加速度が加わった時の位置変化を捉え外部からの力により取り付けた重りが移動することでその位置変化を測定する。変異の計測は、周波数の変化、静電容量の変化、ピエゾ効果による電気抵抗の変化等を利用する。角速度センサ23は、コリオリ力を利用して物体の回転や向きの変化を角速度として検知し、電気信号で出力するセンサである。角速度センサには、機械式、光学式、振動式等がある。
【0034】
記憶部24は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、加速度・角速度データ24aと、適否判定学習済モデル24bとを記憶する。加速度・角速度データ24aは、特定作業従事者が所定のテスト運動を行った場合の加速度・角速度データである。
【0035】
適否判定学習済モデル24bは、図示しないサーバ装置等からダウンロードされた学習済モデルである。図4に示すように、図示しないサーバ装置等において特定作業従事者の正常時のテスト運動の加速度・角速度データ及び就業適否判定基準に基づいて就業適否を判定するための機械学習を行う(S1)。この機械学習による訓練を行うことにより、就業適否を判定するための適否判定学習済モデルを生成する(S2)。そして、携帯端末20は、該適否判定学習済モデル24bをサーバ装置等からダウンロードし、インストールしている。
【0036】
制御部25は、携帯端末20の全体を制御する制御部であり、就業適否判定アプリ26を有する。就業適否判定アプリ26は、あらかじめサーバ装置等から携帯端末20にダウンロードされ、インストールされている。就業適否判定アプリ26は、データ取得処理部26aと、就業適否判定部26bと表示処理部26cとを有する。
【0037】
データ取得処理部26aは、制御部25に接続されている加速度センサ22から出力される加速度データ及び角速度センサ23から出力される角速度データを取得し、加速度・角速度データ24aとして、記憶部24に記憶する処理部である。
【0038】
就業適否判定部26bは、記憶部24から加速度・角速度データ24aを読出し、適否判定学習済モデル24bに入力する。そして、適否判定学習済モデル24bの出力に基づいて就業適否を判定する処理部である。表示処理部26cは、就業適否判定部26bの判定結果を操作表示部21に表示制御する処理部である。
【0039】
<携帯端末20の処理手順>
次に、携帯端末20の処理手順について説明する。図5は、図3に示した携帯端末20の処理手順を示すフローチャートである。図5に示すように、携帯端末20は、加速度・角速度データを取得するためにデータ取得処理を行う(ステップS101)。そして、携帯端末20は、加速度・角速度データを適否判定学習済モデル24bに入力する(ステップS102)。その後、携帯端末20は、適否判定学習済モデル24bから出力データを取得する(ステップS103)。
【0040】
そして、携帯端末20は、適否判定学習済モデル24bの出力が適合か否かを判定する(ステップS104)。携帯端末20は、出力が適合である場合は(ステップS104:Yes)、就業適否を「適合」と判定し(ステップS105)、操作表示部21に「適合」を表示制御し(ステップS106)、一連の処理を終了する。
【0041】
一方、携帯端末20は、出力が適合でない場合は(ステップS104:No)、就業適否を「不適合」と判定し(ステップS107)、操作表示部21に「不適合」を表示制御し(ステップS108)、一連の処理を終了する。
【0042】
次に、データ取得処理部の処理手順について説明する。図6は、図5に示したデータ取得処理の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、携帯端末20は、重力や他のノイズを除去する(ステップS201)。そして、携帯端末20は、加速度の強度が閾値より大きいか否かを判定する(ステップS202)。加速度の強度が閾値よりも大きくない場合は(ステップS202:No)、加速度の強度が閾値よりも大きくなるまで待機する。
【0043】
一方、携帯端末20は、加速度の強度が閾値よりも大きくなったならば(ステップS202:Yes)、加速度データを取得する(ステップS203)。その後、角速度データを取得する(ステップS204)。そして、携帯端末20は、加速度の強度が閾値より小さいか否かを判定する(ステップS205)。加速度の強度が閾値よりも小さくない場合は(ステップS205:No)、ステップS203に移行する。
【0044】
一方、携帯端末20は、加速度の強度が閾値より小さいならば(ステップS205:Yes)、角速度の強度が閾値より小さいか否かを判定する(ステップS206)。角速度が閾値より小さくない場合は(ステップS206:No)、ステップS203に移行する。一方、携帯端末20は、角速度の強度が閾値より小さいならば(ステップS206:Yes)、図5のステップS102に移行する。
【0045】
上述してきたように、本実施形態1では、特定作業従事者が、携帯端末20を装着し、所定の複数のテスト運動を行い、携帯端末20は、特定作業従事者が所定のテスト運動を行っている間、加速度・角速度データを取得する。そして携帯端末20は、取得した加速度・角速度データを適否判定学習済モデル24bに入力し、適否判定学習済モデル24bの出力に基づいて就業適否を判定し、判定結果を操作表示部21に表示するようにしたので、特定作業従事者が特定作業に就業できる状況であるか否かを事前に判定することができる。
【0046】
<変形例1>
ところで、上記実施形態1では、就業適否判定の判定結果を携帯端末20の操作表示部21に表示する場合について説明したが、変形例1では、判定結果を管理者端末50に送信し、管理者端末50に表示する場合について説明する。
【0047】
図7は、変形例1の概要を示す図である。図7に示すように、特定作業従事者A、特定作業従事者B、特定作業従事者Cは、それぞれ携帯端末20を身体に装着している。そして、各特定作業従事者は、所定のテスト運動を行い、携帯端末20は、所定のテスト運動における加速度・角速度データに基づいて、就業適否判定を行い、就業適否判定の判定結果データを管理者端末50に送信する。
【0048】
管理者端末50は、各特定作業従事者からの判定結果データを受信し、各特定作業従事者の判定結果を表示する。ここでは、管理者端末50における表示は、一例として特定作業従事者A;適合、特定作業従事者B;適合、特定作業従事者C;不適合のように、複数の特定作業従事者の一覧表の形式の場合を表している。なお、管理者端末50の表示形式として、就業適否の判定結果データが、「不適合」である特定作業従事者のみを表示させるようにしてもよい。
【0049】
[実施形態2]
ところで、上記実施形態1では、就業適否判定を携帯端末20において行う場合について説明したが、実施形態2では、携帯端末30から加速度・角速度データを就業適否判定サーバ40に送信し、就業適否判定サーバ40において、就業適否の判定を行う場合について説明する。なお、実施形態1と同様の部位については、同一の符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
【0050】
<就業適否判定システムの概要>
図8は、本実施形態2に係る就業適否判定システムの概要を示す図である。図8に示すように、就業適否判定システムは、携帯端末30と、就業適否判定サーバ40を有する。携帯端末30は、加速度センサ22及び角速度センサ23を有し、就業適否の判定を表示するための就業適否判定アプリがダウンロードされ、携帯端末30にインストールさている。
【0051】
携帯端末30は、後述する就業適否判定サーバ40において就業適否を判定するため、特定作業従事者が複数の所定のテスト運動を行った場合の加速度・角速度データを取得し、加速度・角速度データを就業適否判定サーバ40に送信する。そして、携帯端末30は、就業適否判定サーバ40において判定された就業適否の判定結果データを受信し、操作表示部21に表示制御する。
【0052】
就業適否判定サーバ40は、携帯端末30から受信した加速度・角速度データを適否判定学習済モデル24bに入力し、適否判定学習済モデル24bの出力に基づいて就業適否の判定を行う。そして就業適否判定サーバ40は、就業適否の判定結果データを携帯端末30に送信する。
【0053】
なお、就業適否判定サーバ40は、実施形態1と同様に機械学習により生成した適否判定学習済モデル24bを用いており、機械学習として教師有り学習及決定木を利用したアルゴリズム(LightGBM(登録商標))を採用している。
【0054】
特定作業従事者は、携帯端末30を身体に装着し、所定のテスト運動を行う。そして、携帯端末30は、特定作業従事者が所定のテスト運動を行っている間の加速度・角速度データを取得する。そして、携帯端末30は、加速度・角速度データを就業適否判定サーバ40に送信する。
【0055】
就業適否判定サーバ40は、携帯端末30から送信された加速度・角速度データを受信し、適否判定学習済モデル24bに入力する。そして、就業適否判定サーバ40は、適否判定学習済モデル24bの出力に基づいて、特定作業従事者の就業適否を判定する。その後、就業適否判定サーバ40は、就業適否の判定結果データを携帯端末30に送信する。
【0056】
携帯端末30は、就業適否判定サーバ40から送信された判定結果データを受信し、判定結果を表示制御する。特定作業の管理者は、特定作業を開始する前に、特定作業従事者が特定作業を行うに足りる身体的な状態にあるか否かを確認することが可能であり、携帯端末30の表示結果が特定作業の就業不適である場合には、他の特定作業従事者に特定作業をさせ、もってケガ又は事故などのトラブルを防止することができる。
【0057】
<就業適否判定システムの構成>
次に、就業適否判定システムのシステム構成について説明する。図9は、本実施形態2に係る就業適否判定システムのシステム構成を示す図である。図9に示すように、就業適否判定システムは、複数の携帯端末30a、30b、30c(以下、「携帯端末30」と総称する場合がある)と就業適否判定サーバ40とがネットワークNに接続される。
【0058】
携帯端末30は、特定作業従事者が所定のテスト運動を行っている間の加速度・角速度データを取得し、就業適否判定サーバ40に送信する。そして、就業適否判定サーバ40からの就業適否の判定結果データを受信し、表示する。
【0059】
就業適否判定サーバ40は、携帯端末30から加速度・角速度データを受信し、加速度・角速度データを適否判定学習済モデル24bに入力し、適否判定学習済モデル24bの出力に基づいて就業適否の判定を行い、判定結果を判定結果データとして携帯端末30に送信する装置である。
【0060】
<携帯端末30の構成>
次に、図9に示した携帯端末30の構成について説明する。図10は、図9に示した携帯端末30の構成を示す機能ブロック図である。図10に示すように、携帯端末30は、操作表示部21と、加速度センサ22と、角速度センサ23と、通信I/F部33と、記憶部34と、制御部35とを有する。
【0061】
通信I/F部33は、就業適否判定サーバ40と通信を行うためのインターフェース部で、通信方式として移動通信規格である第3世代移動通信方式、第4世代移動通信方式又は第5世代移動通信方式等による無線通信、無線LAN(Local Area Network)等による近距離無線通信などを行う。
【0062】
記憶部34は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、加速度・角速度データ24aと、判定結果データ34aとを記憶する。判定結果データ34aは、後述する就業適否判定サーバ40から送信された特定作業従事者の就業適否を判定した判定結果のデータである。
【0063】
制御部35は、制御部35は、携帯端末30の全体を制御する制御部であり、就業適否判定アプリ36を有する。就業適否判定アプリ36は、あらかじめサーバ装置等から携帯端末30にダウンロードされ、インストールされている。就業適否判定アプリ36は、データ取得処理部26aと、データ送信処理部36aと、判定結果データ受信処理部36bと、表示処理部26cとを有する。
【0064】
データ送信処理部36aは、加速度センサ22及び角速度センサ23から取得した加速度・角速度データ24aを就業適否判定サーバ40に送信する処理部である。具体的には、記憶部34の加速度・角速度データ24aを読出し、通信I/F部33を介して加速度・角速度データ24aを就業適否判定サーバ40に送信する。
【0065】
判定結果データ受信処理部36bは、就業適否判定サーバ40で判定された特定作業従事者の判定結果データを通信I/F部33を介して受信する処理部である。
【0066】
<就業適否判定サーバ40の構成>
次に、図9に示した就業適否判定サーバ40の構成について説明する。図11は、図9に示した就業適否判定サーバ40の構成を示す機能ブロック図である。図11に示すように、就業適否判定サーバ40は、表示部41と、入力部42と、通信I/F部43と、記憶部44と、制御部45とを有する。表示部41は、各種情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示デバイスである。入力部42は、マウスやキーボードなどの入力デバイスである。
【0067】
通信I/F部43は、携帯端末30と通信を行うためのインターフェース部で、通信方式として移動通信規格である第3世代移動通信方式、第4世代移動通信方式又は第5世代移動通信方式等による無線通信、無線LAN(Local Area Network)等による近距離無線通信などを行う。記憶部44は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、適否判定学習済モデル24bを記憶する。
【0068】
制御部45は、就業適否判定サーバ40の全体を制御する制御部であり、データ受信処理部45aと、就業適否判定部45bと、判定結果データ送信処理部45cとを有する。データ受信処理部45aは、携帯端末30から送信される特定作業従事者が所定のテスト運動を行った場合に取得する加速度・角速度データ24aを通信I/F部43を介して受信する処理部である。
【0069】
就業適否判定部45bは、受信した加速度・角速度データ24aを適否判定学習済モデル24bに入力し、適否判定学習済モデルの出力に基づいて、特定作業従事者の就業適否の判定を行う処理部である。判定結果データ送信処理部45cは、就業適否判定部45bの判定結果データを通信I/F部43を介して携帯端末30に送信する処理部である。
【0070】
<就業適否判定システムの処理手順>
次に、図9に示した就業適否判定システムの処理手順について説明する。図12は、図9に示した就業適否判定システムの処理手順を示すシーケンスである。図12に示すように、携帯端末30は、データ取得処理を行う(ステップS301)。なお、データ取得処理については、図6のデータ取得処理の処理手順と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0071】
その後、携帯端末30は、加速度・角速度データを就業適否判定サーバ40に送信する(ステップS302)。就業適否判定サーバ40は、携帯端末30から送信される加速度・角速度データを受信したか否かを判定する(ステップS303)。就業適否判定サーバ40は、携帯端末30から加速度・角速度データを受信していない場合は(ステップS303:No)、加速度・角速度データを受信するまで待機する。
【0072】
一方、就業適否判定サーバ40は、携帯端末30から加速度・角速度データを受信したならば(ステップS303:Yes)、加速度・角速度データを適否判定学習済モデル24bに入力する(ステップS304)。その後、就業適否判定サーバ40は、適否判定学習済モデル24bの出力データを取得し(ステップS305)、出力データが適合か否かを判定する(ステップS306)。就業適否判定サーバ40は、適否判定学習済モデル24bの出力データが適合であった場合は、就業適否を「適合」と判定し(ステップS307)、携帯端末30に判定結果データを送信し(ステップS309)、一連の処理を終了する。
【0073】
一方、就業適否判定サーバ40は、適否判定学習済モデル24bの出力データが適合でない場合は(ステップS306:No)、就業適否を「不適合」と判定し(ステップS308)、携帯端末30に判定結果データを送信し(ステップS309)、一連の処理を終了する。
【0074】
携帯端末30は、就業適否判定サーバ40から判定結果データを受信したか否かを判定する(ステップS310)。携帯端末30は、判定結果データを受信していない場合は(ステップS310:No)、判定結果データを受信するまで待機する。
【0075】
一方、携帯端末30は、判定結果データを受信したならば(ステップS310:Yes)、判定結果データを操作表示部21に表示し(ステップS311)、一連の処理を終了する。
【0076】
上述してきたように、本実施形態2では、特定作業従事者が、携帯端末30を装着し、所定のテスト運動を行い、携帯端末30は、特定作業従事者が所定のテスト運動を行っている間、加速度・角速度データを取得する。そして携帯端末30は、加速度・角速度データを就業適否判定サーバ40に送信する。就業適否判定サーバ40は、加速度・角速度データを受信したならば、加速度・角速度データを適否判定学習済モデル24bに入力し、適否判定学習済モデル24bの出力に基づいて就業適否を判定し、判定結果データを携帯端末30に送信する。携帯端末30は、判定結果データを受信したならば、操作表示部21に表示するようにしたので、特定作業従事者が特定作業に就業できる状況であるか否かを事前に判定することができる。
【0077】
<変形例2>
ところで、上記実施形態2では、就業適否判定サーバ40における就業適否判定の判定結果データを携帯端末30に送信し、判定結果データを携帯端末30の操作表示部21に表示する場合について説明したが、変形例2では、就業適否判定サーバ40における判定結果データを管理者端末50に送信し、管理者端末50に表示する場合について説明する。
【0078】
図13は、変形例2の概要を示す図である。図13に示すように、特定作業従事者A、特定作業従事者B、特定作業従事者Cは、それぞれ携帯端末30を身体に装着している。そして、各特定作業従事者は、所定のテスト運動を行い、携帯端末30は、所定のテスト運動における加速度・角速度データを取得し、就業適否判定サーバ40に送信する。
【0079】
就業適否判定サーバ40は、携帯端末30から受信した加速度・角速度データに基づいて就業適否の判定を行い、判定結果データを管理者端末50に送信する。管理者端末50は、判定結果データを受信したならば、判定結果データを表示する。ここでは、一例として、特定作業従事者A;適合、特定作業従事者B;適合、特定作業従事者C;不適合のように、複数の特定作業従事者の判定結果を一覧表の形式で表示している。なお、管理者端末50の表示形式として、就業適否の判定結果データが、「不適合」である特定作業従事者のみを表示させるようにしてもよい。
【0080】
<変形例3>
ところで、変形例2では、就業適否判定サーバ40の判定結果を管理者端末50に表示する場合について説明したが、変形例3では、就業適否判定が不適合であった場合に、不適合の理由を抽出し、管理者端末50に表示する場合について説明する。
【0081】
図14は、変形例3の概要を示す図である。図14に示すように、特定作業従事者A、特定作業従事者B、特定作業従事者Cは、それぞれ携帯端末30を身体に装着している。そして、各特定作業従事者は、所定のテスト運動を行い、携帯端末30は、所定のテスト運動における加速度・角速度データを取得し、就業適否判定サーバ60に送信する。
【0082】
就業適否判定サーバ60は、携帯端末30から受信した加速度・角速度データに基づいて就業適否の判定を行うとともに、就業適否の判定が「不適合」であった場合には、就業不適理由抽出部51において、就業不適である理由を抽出し、就業適否判定の判定結果データ及び就業不適理由データを管理者端末50に送信する。管理者端末50は、判定結果データ及び就業不適理由データを受信したならば、判定結果データ及び就業不適理由データを表示する。ここでは、一例として、特定作業従事者C;不適合、運動X;OK、運動Y;OK、運動Z;NGのように、特定作業従事者の判定結果及びテスト運動の結果を一覧表の形式で表示している。
【0083】
<ハードウエアとの関係>
次に、本実施形態2に係る就業適否判定サーバ40と、コンピュータの主たるハードウエア構成の対応関係について説明する。図15は、ハードウエア構成の一例を示す図である。
【0084】
一般的に、コンピュータは、CPU71、ROM72、RAM73及び不揮発性メモリ74などがバス75により接続された構成となる。不揮発性メモリ74の代わりにハードディスク装置が設けられていてもよい。説明の便宜上、基本的なハードウエア構成のみを示している。
【0085】
ここで、ROM72又は不揮発性メモリ74には、オペレーティングシステム(以下、単に「OS」と言う)の起動に必要となるプログラム等が記憶されており、CPU71は、電源投入時にROM72又は不揮発性メモリ74からOSのプログラムをリードして実行する。
【0086】
一方、OS上で実行される各種のアプリケーションプログラムは、不揮発性メモリ74に記憶されており、CPU71がRAM73を主メモリとして利用しつつアプリケーションプログラムを実行することにより、アプリケーションに対応するプロセスが実行される。
【0087】
そして、本実施形態2に係る就業適否判定サーバ40の就業適否判定プログラムについても、他のアプリケーションプログラムと同様に不揮発性メモリ74等に記憶され、CPU71が、かかる就業適否判定プログラムをロードして実行することになる。本実施形態2に係る就業適否判定サーバ40の場合には、図11に示したデータ受信処理部45aと、就業適否判定部45bと、判定結果データ送信処理部45cとに対応するルーチンを含む就業適否判定プログラムが不揮発性メモリ74等に記憶される。CPU71により就業適否判定プログラムがロード実行されることにより、データ受信処理部45aと、就業適否判定部45bと、判定結果データ送信処理部45cとに対応する就業適否判定プロセスが生成される。
【0088】
なお、上記の実施形態2では、管理者端末50に就業適否の判定結果を表示する場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、複数の特定作業従事者のうち、就業適否判定が「不適合」の特定作業従事者がいた場合に、管理者端末50に、就業適否判定が「不適合」の特定作業従事者の代わりになる別の特定作業従事者の候補を表示させるようにしてもよい。
【0089】
また、上記の各実施形態では、就業適否の判定は、教師あり機械学習を用いた学習済モデルに基づいて行っているが、本発明は、これに限定されるものではなく、特定作業従事者が行う複数のテスト運動における加速度及び角速度において、特定作業従事者の正常時の加速度値及び角速度値を基準値として記憶し、特定作業の実施に先立って、特定作業従事者に複数のテスト運動を行わせ、テスト運動に伴う加速度を加速度センサで取得し、テスト運動に伴う角速度を角速度センサで取得し、加速度センサの出力値と角速度センサの出力値の少なくとも一方が、該基準値未満であった場合に、特定作業従事者は、特定作業に従事出来ないと判定してもよい。
【0090】
また、上記の各実施形態では、学習済モデルはあらかじめ作成してある場合について説明したが、特定作業従事者から取得した加速度・角速度データを、学習済モデルを生成するサーバ装置等に送信し、該サーバ装置において定期的(例えば1ヶ月に1回)に学習済モデルを更新することによって、判定の精度を向上させるようにしてもよい。
【0091】
上記の各実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係る就業適否判定装置、就業適否判定システム、就業適否判定方法及び就業適否判定プログラムは、特定作業従事者が特定作業に就業できる状況であるか否かを事前に判定する場合に適している。
【符号の説明】
【0093】
10 センサ
20、30、30a、30b、30c 携帯端末
21 操作表示部
22 加速度センサ
23 角速度センサ
24 記憶部
24a 加速度・角速度データ
24b 適否判定学習済モデル
25 制御部
26 就業適否判定アプリ
26a データ取得処理部
26b 就業適否判定部
26c 表示処理部
33 通信I/F部
34 記憶部
34a 判定結果データ
35 制御部
36 就業適否判定アプリ
36a データ送信処理部
36b 判定結果データ受信処理部
40 就業適否判定サーバ
41 表示部
42 入力部
43 通信I/F部
44 記憶部
45 制御部
45a データ受信処理部
45b 就業適否判定部
45c 判定結果データ送信処理部
50 管理者端末
60 就業適否判定サーバ
61 就業不適理由抽出部
71 CPU
72 ROM
73 RAM
74 不揮発性メモリ
75 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15