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  • 特開-折畳棚展開装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123650
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】折畳棚展開装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031250
(22)【出願日】2023-03-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・令和4年10月17日に有限会社高津農場にて公開。
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】藤井 涼平
(72)【発明者】
【氏名】中田 祐市
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707DS01
3C707FS01
3C707KS30
3C707LV06
3C707LV13
3C707NS26
(57)【要約】
【課題】卵パックを収容する移動式のラックに設けられた折り畳み式の棚板を展開する折畳棚展開装置において、棚板の展開が失敗する確率を低減する。
【解決手段】卵パックPを収容する移動式のラック10に設けられた折り畳み式の棚板11を展開する折畳棚展開装置100であって、棚板11を保持する保持ヘッド2と、保持ヘッド2の位置及び姿勢を変更可能なロボットアーム3と、保持ヘッド2及びロボットアーム3を制御して棚板11の展開動作を行わせる制御部4とを備え、制御部4は、棚板11の展開動作が失敗した場合に、保持ヘッド2及びロボットアーム3を制御して棚板11の再展開動作を行わせる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵パックを収容する移動式のラックに設けられた折り畳み式の棚板を展開する折畳棚展開装置であって、
前記棚板を保持する保持ヘッドと、
前記保持ヘッドの位置及び姿勢を変更可能なロボットアームと、
前記保持ヘッド及び前記ロボットアームを制御して前記棚板の展開動作を行わせる制御部とを備え、
前記制御部は、前記棚板の展開動作が失敗した場合に、前記保持ヘッド及び前記ロボットアームを制御して前記棚板の再展開動作を行わせる、折畳棚展開装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記再展開動作を行わせる場合に、前記保持ヘッドにより前記棚板を保持する位置、保持する角度又は前記保持ヘッドの移動経路を、失敗した前記展開動作とは異ならせる、請求項1に記載の折畳棚展開装置。
【請求項3】
前記棚板の展開状態を検出する状態センサを更に備え、
前記制御部は、前記棚板の展開動作が失敗した場合であって、前記状態センサにより得られた前記棚板の展開状態が初期の折畳状態から所定の移動範囲内に含まれる場合に、前記保持ヘッド及び前記ロボットアームを制御して前記棚板の再展開動作を行わせる、請求項1又は2に記載の折畳棚展開装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵パックを収容する移動式のラックに設けられた折り畳み式の棚板を展開する折畳棚展開装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の卵パックを収容する移動式のラック(以下、ロールインナーともいう。)は、複数枚の折り畳み式の棚板を有しており、棚板は手前側に引き出されて卵パックが載置される使用状態と、折り畳まれて奥側に位置する折畳状態とで変更できるように構成されている。
【0003】
そして従来、特許文献1に示すように、ロールインナーに対して折畳状態の棚板を使用状態に展開させるロボットシステムが考えられている。このロボットシステムは、ロボットヘッドにより折畳状態の棚板を吸着し、その状態のままロボットヘッドを手前側に移動させて折り畳み式の棚板を展開する。
【0004】
しかしながら、ロールインナーは各所の寸法にばらつきがあり、また、棚板の展開前の初期位置(折畳状態)は、ロールインナーが搬送される際の振動などによりばらつきある。これらの要因により、従来のロボットシステムでは、折畳状態の棚板に対する吸着が失敗したり、折畳状態から使用状態への展開が失敗したりする場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-127250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、卵パックを収容する移動式のラックに設けられた折り畳み式の棚板を展開する折畳棚展開装置において、棚板の展開が失敗する確率を低減することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る折畳棚展開装置は、卵パックを収容する移動式のラックに設けられた折り畳み式の棚板を展開する折畳棚展開装置であって、前記棚板を保持する保持ヘッドと、前記保持ヘッドの位置及び姿勢を変更可能なロボットアームと、前記保持ヘッド及び前記ロボットアームを制御して前記棚板の展開動作を行わせる制御部とを備え、前記制御部は、前記棚板の展開動作が失敗した場合に、前記保持ヘッド及び前記ロボットアームを制御して前記棚板の再展開動作を行わせることを特徴とする。
【0008】
このような折畳棚展開装置であれば、棚板の展開動作が失敗した場合に、保持ヘッド及びロボットアームを制御して棚板の再展開動作を行わせるので、棚板の展開が失敗する確率を低減することができる。
【0009】
前記制御部は、前記再展開動作を行わせる場合に、前記保持ヘッドにより前記棚板を保持する位置、保持する角度又は前記保持ヘッドの移動経路を、失敗した前記展開動作とは異ならせることが望ましい。
この構成であれば、再展開動作を行わせる場合に、棚板を保持する位置、保持する角度又は保持ヘッドの移動経路を異ならせるので、同じ失敗を繰り返さないようにでき、棚板の展開が失敗する確率を低減することができる。
【0010】
棚板が中途半端に展開した状態で、再展開動作を行った場合、保持ヘッド及び棚板が衝突して破損する虞がある。このため、本発明に係る折畳棚展開装置は、前記棚板の展開状態を検出する状態センサを更に備え、前記制御部は、前記棚板の展開動作が失敗した場合であって、前記状態センサにより得られた前記棚板の展開状態が初期の折畳状態から所定の移動範囲内に含まれる場合に、前記保持ヘッド及び前記ロボットアームを制御して前記棚板の再展開動作を行わせることが望ましい。
この構成であれば、棚板の展開状態が初期の折畳状態から所定の移動範囲内に含まれる場合に棚板の再展開動作を行うので、保持ヘッド及び棚板が衝突して破損することを防止できる。
【発明の効果】
【0011】
このように構成した本発明によれば、卵パックを収容する移動式のラックに設けられた折り畳み式の棚板を展開する折畳棚展開装置において、棚板の展開が失敗する確率を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る折畳棚展開装置の構成を模式的に示す側面図である。
図2】同実施形態の(a)折畳状態の棚板を吸着した状態と、(b)棚板を使用状態に展開した状態とを模式的に示す側面図である。
図3】同実施形態の(a)失敗した展開動作における保持ヘッドの位置及び角度と、(b)再展開動作における保持ヘッドの位置及び角度とを模式的に示す側面図である。
図4】同実施形態において(a)再展開動作を行う棚板の展開状態と、(b)再展開動作を行わない棚板の展開状態とを模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る折畳棚展開装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0014】
<1.ロールインナー10の構成>
まず、本実施形態の折畳棚展開装置100により棚板11が展開されるロールインナー10について説明する。
【0015】
ロールインナー10は、複数の卵パックPが収容可能な移動式のラックであり、上下に複数枚の折り畳み式の棚板11を有している。
【0016】
具体的にロールインナー10は、図1に示すように、複数枚の折り畳み式の棚板11と、当該棚板11が回転可能に接続された背面フレーム12と、背面フレーム12の左右両側に設けられた側面フレーム(不図示)とを有している。
【0017】
各棚板11は、前側棚板部11a及び後側棚板部11bがヒンジ部11cを介して折り畳み可能に構成されている。後側棚板部11bの端部が背面フレーム12に回転可能に接続されている。そして、各棚板11は、手前側に引き出されて卵パックPが載置可能な平らな状態である使用状態Jと、山型に折り畳まれて奥側に位置する折畳状態Kとで状態変更できるように構成されている。
【0018】
背面フレーム12及び側面フレームの下端部には、キャスター(不図示)が設けられており、これによりロールインナー10が移動可能となる。また、側面フレームには、使用状態Jの棚板11の左右両端部を支持する支持レールが設けられている。なお、側面フレームは、背面フレーム12に対して回転可能に接続されており、全ての棚板11が折畳状態Kにある場合に、内側に折り畳むことが可能である。
【0019】
<2.折畳棚展開装置100の構成>
折畳棚展開装置100は、図1及び図2に示すように、棚板11を保持する保持ヘッド2と、保持ヘッド2の位置及び姿勢を変更可能なロボットアーム3と、保持ヘッド2及びロボットアーム3を制御して棚板11の展開動作を行わせる制御部4とを備えている。
【0020】
保持ヘッド2は、棚板11を吸着して保持するものであり、棚板11の板面に接触して吸着する1又は複数の吸着部21を有している。この吸着部21は、図示しない吸引ポンプ等の吸引源に図示しない吸引流路により接続されている。ここで、吸着部21は、各棚板11において前側棚板部11aに接触して吸着する。
【0021】
ロボットアーム3は、保持ヘッド2の位置及び姿勢を変更可能なものである。具体的にロボットアーム3は、保持ヘッド2を、折畳状態Kの棚板11を吸着して保持できる位置及び姿勢(図2(a)参照)から、折畳状態Kの棚板11を使用状態Jに展開できる位置及び姿勢(図2(b)参照)に変更することができる。
【0022】
ここで、保持ヘッド2の姿勢とは、保持ヘッド2のロール角、ピッチ角及びヨー角を含む。保持ヘッド2のロール角は、ロールインナー10の前後に沿ったX軸回りの回転角度である。保持ヘッド2のピッチ角は、ロールインナー10の左右に沿ったY軸回りの回転角度である。保持ヘッド2のヨー角は、ロールインナー10の上下に沿ったZ軸回りの回転角度である。
【0023】
このロボットアーム3は、例えば、6軸垂直多関節ロボット等の、保持ヘッド2を任意に操作できる多関節ロボットを用いることができる。その他、ロボットアーム3には、保持ヘッド2をX軸、Y軸及びZ軸に対して、任意に移動させることができるロボット又は装置を採用することができる。
【0024】
制御部4は、保持ヘッド2及びロボットアーム3を制御するものである。なお、制御部4は、CPU、メモリ、入出力インターフェイス、AD変換器等を有するコンピュータにより構成される。そして、メモリに格納された制御プログラムにしたがってCPU及びその周辺機器が協働することによって、制御部4としての機能が発揮される。
【0025】
<3-1.通常の展開動作>
この制御部4は、保持ヘッド2及びロボットアーム3を制御して、保持ヘッド2及びロボットアーム3により折畳状態Kの棚板11の展開動作を行わせるものである。
【0026】
具体的に制御部4は、ロボットアーム3を制御して、折畳状態Kの棚板11に対して保持ヘッド2の吸着部21が接触するように移動させる。
【0027】
そして、制御部4は、保持ヘッド2の吸着部21が棚板11の前側棚板部11aに接触すると、保持ヘッド2を制御して棚板11の前側棚板部11aを吸着して保持する(図2(a)参照)。なお、保持ヘッド2の吸着部21が棚板11に接触する前から吸着部21による吸引を開始しても良い。
【0028】
吸着部21が棚板11の前側棚板部11aを吸着して保持すると、制御部4は、ロボットアーム3を制御して、前側棚板部11aを吸着した保持ヘッド2を移動させて、棚板11を展開させて使用状態Jとする(図2(b)参照)。棚板11を使用状態Jとした後に、制御部4は、保持ヘッド2による棚板11の吸着を解除して、保持ヘッド2を所定の待機位置に移動させ、棚板11の展開動作を終了させる。
【0029】
なお、折畳棚展開装置100が、ロールインナー10に卵パックPを移載する機能を有するものであれば、棚板11の展開動作が終了した後、使用状態Jにある棚板11に対して卵パックPの移載動作を行う。
【0030】
<3-2.再展開動作>
そして、本実施形態の制御部4は、棚板11の展開動作が失敗した場合に、保持ヘッド2及びロボットアーム3を制御して、保持ヘッド2及びロボットアーム3により棚板11の再展開動作を行わせる。
【0031】
ここで、棚板11の展開動作の失敗は、保持ヘッド2の吸着部21から棚板11が外れたことを検出することで認識することができる。保持ヘッド2の吸着部21から棚板11が外れたことを検出する方法としては、吸着部21からの吸引流量を流量センサ(不図示)で測定し、その測定流量が増加したことにより検出することができる。また、吸着部21の吸引圧力を圧力センサ(不図示)で測定し、その測定圧力が増加したことにより検出することもできる。なお、流量センサ又は圧力センサは、吸着部21に接続された吸引流路等に設けることができる。その他、保持ヘッド2に棚板11の有無を検出するセンサを設けておき、当該センサにより棚板11が外れたことを検出することもできる。
【0032】
具体的に制御部4は、図3に示すように、再展開動作を行わせる場合に、保持ヘッド2により棚板11を保持する位置、保持する角度又は保持ヘッド2の移動経路を、失敗した展開動作とは異ならせることができる。なお、図3では、再展開動作を行わせる場合に、失敗した展開動作とは保持ヘッド2の位置及び角度を異ならせた例を示している。
【0033】
ここで、保持する位置及び角度とは、保持ヘッド2の吸着部21が棚板11を吸着する際の保持ヘッド2の位置及び角度である。また、保持する位置を異ならせることには、保持ヘッド2のX軸、Y軸又はZ軸の少なくとも1つにおける位置を異ならせることを含む。保持する角度を異ならせることには、保持ヘッド2のロール角、ピッチ角又はヨー角の少なくとも1つを異ならせることを含む。さらに、保持ヘッド2の移動経路を異ならせることには、棚板11を折畳状態Kから使用状態Jにするための移動経路を異ならせることを含む。
【0034】
動作を異ならせる態様としては、以下の(1)~(3)等が考えられる。
(1)再展開動作の保持ヘッド2の保持位置、保持角度又は移動経路を、失敗した展開動作とは異なるように予め定めておく。
(2)再展開動作の保持ヘッド2の保持位置、保持角度又は移動経路を、失敗した展開動作の保持ヘッド2の保持位置、保持角度又は移動経路に対して予め定められた変化態様(例えば変化量)で変化させる。
(3)再展開動作の保持ヘッド2の保持位置、保持角度又は移動経路を、失敗した展開動作における状況に応じて変化させる。なお、失敗した展開動作における状況とその変化態様とは予め定めておくことが考えられる。
【0035】
制御部4は、1回目の展開動作(通常の展開動作)が失敗した場合に、その後に行う再展開動作の回数を予め設定できるように構成しても良い。ここで、予め設定された回数それぞれにおいて再展開動作を異ならせることが考えられる。
【0036】
そして、その所定回数の再展開動作を行っても棚板11の展開に失敗した場合に、装置100を停止する、又は、作業者に音又は光等により報知することができる。
【0037】
さらに、制御部4は、再展開動作を行わせる場合に、失敗した展開動作と同じ動作を行わせることもできる。
【0038】
つまり、1回目の展開動作が失敗した場合に、その後の再展開動作(2回目の展開動作)において1回目の展開動作と同じ動作を繰り返す。それでも展開動作が失敗した場合に、次の再展開動作(3回目の展開動作)において1回目の展開動作とは異なる動作を行う。
【0039】
また、1回目の展開動作が失敗した場合に、その後の再展開動作(2回目の展開動作)において1回目の展開動作とは異なる動作を行う。それでも展開動作が失敗した場合に、次の再展開動作(3回目の展開動作)において直前の展開動作(2回目の展開動作)と同じ動作を繰り返す。
【0040】
<4.再展開動作を行うか否かの判断>
ここで、本実施形態の折畳棚展開装置100は、図4に示すように、棚板11の展開状態を検出する状態センサ5をさらに備えている。
【0041】
この状態センサ5は、棚板11の展開状態が初期の折畳状態Kから所定の移動範囲内に含まれるか否かを検出するものである。具体的に状態センサ5は、光学式センサやカメラ等を用いることができる。光学式センサを用いた場合には、棚板11との距離を計測するものであっても良いし、棚板11が所定位置にあるか否かを検出するものであっても良い。また、カメラを用いる場合には、画像認識により棚板11の位置を検出することができる。また、状態センサ5は、各棚板11の状態が検出できる位置であればどこに設けてもよく、例えば、ロールインナー10の周囲(例えば背面側又、側面側又は正面側等)に設けることや、保持ヘッド2に設けることなどが考えられる。
【0042】
そして、制御部4は、棚板11の展開動作が失敗した場合であって、状態センサ5により得られた棚板11の展開状態が初期の折畳状態Kから所定の移動範囲内に含まれる場合に、保持ヘッド2及びロボットアーム3を制御して棚板11の再展開動作を行わせる。
【0043】
具体的には、図4(a)に示すように、棚板11が所定の移動範囲内に含まれる場合には、保持ヘッド2及びロボットアーム3を制御して棚板11の再展開動作を行わせる。一方、図4(b)に示すように、棚板11が所定の移動範囲内に含まれない場合(所定の移動範囲外にある場合)には、棚板11の再展開動作を行わずに、装置100を停止する、又は、作業者に音又は光等により報知する。
【0044】
折畳棚展開装置100により再展開できない棚板11を、作業者が手作業で展開させた場合には、作業者が折畳棚展開装置100にリセット信号を入力する構成としても良い。この構成において、折畳棚展開装置100は、そのリセット信号の入力を受けて、当該棚板11を展開した後の動作(次の棚板11の展開動作又は卵パックPの移載動作等)に移行する設定としても良い。
【0045】
なお、再展開できない棚板11を、作業者が手作業で初期の折畳状態Kに戻した場合に、作業者が折畳棚展開装置100にリセット信号を入力する構成としても良い。この構成において、折畳棚展開装置100は、そのリセット信号の入力を受けて、初期の折畳状態Kに戻された棚板11に対して、改めて展開動作を行う設定としても良い。
【0046】
<5.本実施形態の効果>
本実施形態の折畳棚展開装置100によれば、棚板11の展開動作が失敗した場合に、保持ヘッド2及びロボットアーム3を制御して棚板11の再展開動作を行わせるので、棚板11の展開が失敗する確率を低減することができる。
【0047】
また、本実施形態では、再展開動作を行わせる場合に、保持ヘッド2により棚板11を保持する位置、保持する角度又は保持ヘッド2の移動経路を、失敗した展開動作とは異ならせるので、同じ失敗を繰り返さないようにでき、棚板11の展開が失敗する確率を低減することができる。
【0048】
本実施形態では、棚板11の展開動作が失敗した場合であって、状態センサ5により得られた棚板11の展開状態が初期の折畳状態Kから所定の移動範囲内に含まれる場合に棚板11の再展開動作を行うので、保持ヘッド2及び棚板11が衝突して破損することを防止できる。
【0049】
<6.本発明の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0050】
例えば、保持ヘッド2は、棚板11を吸着する構成の他に、棚板11にフックを引っ掛ける構成であっても良いし、棚板11を挟む構成であっても良い。ここで、フックを引っ掛ける構成の場合には、保持ヘッド2に棚板11の前側棚板部11aの例えば前端部に引っかかるフック部を設けることが考えられる。また、棚板11を挟む構成の場合には、保持ヘッド2に棚板11の前側棚板部11aの例えば前端部を挟む挟持部を設けることが考えられる。
【0051】
また、再展開動作において保持ヘッド2の保持力(吸着力)を変更する構成としても良い。例えば、失敗した展開動作に比べて再展開動作における保持ヘッド2の保持力(吸着力)を大きくしても良い。
【0052】
さらに、再展開動作において保持ヘッド2の移動速度を変更する構成としても良い。例えば、折畳状態Kの棚板11に向かう保持ヘッド2の移動速度を遅く又は速くしても良いし、保持ヘッド2が棚板11を吸着した後の展開動作において保持ヘッド2の移動速度を遅く又は速くしても良い。
【0053】
加えて、再展開動作において保持ヘッド2が棚板11を吸着した後に、保持ヘッド2を振動又は前後に複数回移動させながら棚板11を展開するようにしても良い。これにより、棚板11の引っ掛かりを解消して棚板11を展開しやすくできる。
【0054】
その上、前記実施形態の折畳棚展開装置100は、棚板11を展開するだけでなく、卵パックPをロールインナー10に移載する動作を行うものであったが、折畳棚展開装置100とは異なる装置により卵パックPをロールインナー10に移載しても良い。
【0055】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0056】
100・・・折畳棚展開装置
P ・・・卵パック
10 ・・・ラック
11 ・・・棚板
2 ・・・保持ヘッド
3 ・・・ロボットアーム
4 ・・・制御部
5 ・・・状態センサ
図1
図2
図3
図4