(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123670
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、記憶媒体及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240905BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031279
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 徳仁
(72)【発明者】
【氏名】落合 諭
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】種々の充電方法で充電されたバッテリが利用されることを促進し、ひいてはエネルギの効率化に寄与する。
【解決手段】配達先に配達されたバッテリを充電した充電方法を判別する判別手段と、前記判別手段による判別結果に基づいて、前記配達されたバッテリの配達者に付与するインセンティブを決定する第1の決定手段と、を備え、前記充電方法は、所定の充電設備を利用してバッテリを充電する第1の充電方法と、前記所定の充電設備を利用せずにバッテリを充電する第2の充電方法と、を含み、前記第1の決定手段は、前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合よりも高価なインセンティブを付与することを決定する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達先に配達されたバッテリを充電した充電方法を判別する判別手段と、
前記判別手段による判別結果に基づいて、前記配達されたバッテリの配達者に付与するインセンティブを決定する第1の決定手段と、を備え、
前記充電方法は、所定の充電設備を利用してバッテリを充電する第1の充電方法と、前記所定の充電設備を利用せずにバッテリを充電する第2の充電方法と、を含み、
前記第1の決定手段は、前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合よりも高価なインセンティブを付与することを決定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記第2の充電方法は、車両の動力源の駆動により発電された電力でバッテリを充電する充電方法を含む、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記配達先は、バッテリの配達要求を行ったユーザにより指定された場所を含み、
前記情報処理装置は、前記指定された場所にバッテリが配達されたことを検出する検出手段をさらに備え、
前記判別手段は、前記検出手段により前記指定された場所にバッテリが配達されたことが検出された場合に、当該バッテリを充電した充電方法を判別する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記配達要求を受け付ける受付手段と、
前記配達要求が受け付けられたことに応じて、前記指定された場所の情報を前記配達者に提供する提供手段と、をさらに備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記第1の決定手段は、
前記配達されたバッテリが前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記指定された場所への配達に係るインセンティブを付与し、
前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記指定された場所への配達に係るインセンティブに加えて、前記第2の充電方法での充電に係るインセンティブを付与する
ことを決定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置であって、
前記第2の充電方法での充電に係るインセンティブは、前記配達されたバッテリの前記第2の充電方法での充電量に応じて決定される、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
バッテリは、事業者により前記配達者を含むユーザに貸与されるものであり、
前記所定の充電設備は、前記事業者が運用する設備である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理装置であって、
前記配達先は、前記所定の充電設備を含み、
前記第1の決定手段は、前記配達先が前記所定の充電設備である場合に、前記配達されたバッテリの前記第2の充電方法での充電量に応じて前記配達者に付与するインセンティブを決定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項7に記載の情報処理装置であって、
前記配達者に貸与したバッテリの前記第2の充電方法での充電状態の情報を取得する取得手段と、
前記配達者に貸与したバッテリが満充電状態となってから所定時間経過した場合に、当該配達者の連絡先に情報を送信する送信手段と、をさらに備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理装置であって、
前記送信手段により送信される情報は、前記配達者に貸与したバッテリの前記所定の充電設備への配達を促す情報を含む、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項7に記載の情報処理装置であって、
前記配達者に貸与したバッテリの前記第2の充電方法での充電状態の情報を取得する取得手段と、
バッテリの配達要求を受け付ける受付手段と、
前記配達要求が受け付けられたことに応じて、当該配達要求を行ったユーザにより指定された場所にバッテリを配達する前記配達者を決定する第2の決定手段と、
前記指定された場所の情報を前記第2の決定手段により決定された前記配達者に提供する提供手段と、をさらに備え、
前記第2の決定手段は、バッテリを貸与した前記配達者のうちの当該バッテリが満充電状態となっている前記配達者を、前記指定された場所にバッテリを配達する配達者として優先的に選択する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記配達者に付与されるインセンティブは、ポイントを含み、
前記第1の決定手段は、前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合よりも多いポイントを前記配達者に付与することを決定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理装置であって、
バッテリは、代価の支払いを条件として、事業者により前記配達者を含むユーザに貸与されるものであり、
前記配達者に付与されたポイントは、当該配達者がバッテリを借用する際に支払う代価の少なくとも一部として充当可能である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
ユーザからバッテリの配達要求を受け付ける受付手段と、
前記配達要求を行ったユーザに請求する代価を、前記配達されたバッテリを充電した充電方法に依らずに決定する第3の決定手段と、をさらに備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
請求項14に記載の情報処理装置であって、
前記配達要求を行ったユーザに請求する代価は、当該ユーザにより指定された場所への配達に係る配達料である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項16】
請求項14に記載の情報処理装置であって、
前記配達要求はオプションとして、配達日時と配達期日のいずれかを指定可能であり、
前記第3の決定手段は、前記配達期日が指定された場合に、前記配達日時が指定された場合よりも安価な代価を請求することを決定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項17】
請求項14に記載の情報処理装置であって、
前記配達要求は、既設のバッテリの回収要求を含み、
前記第3の決定手段は、回収された前記既設のバッテリの充電残量に応じて、前記配達要求を行ったユーザに請求する代価を変更する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項18】
情報処理方法であって、
情報処理装置が、
配達先に配達されたバッテリを充電した充電方法を判別する判別工程と、
前記判別工程における判別結果に基づいて、前記配達されたバッテリの配達者に付与するインセンティブを決定する決定工程と、を備え、
前記充電方法は、所定の充電設備を利用してバッテリを充電する第1の充電方法と、前記所定の充電設備を利用せずにバッテリを充電する第2の充電方法と、を含み、
前記決定工程において、前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合よりも高価なインセンティブを付与することが決定される、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項19】
コンピュータに、
配達先に配達されたバッテリを充電した充電方法を判別する判別処理と、
前記判別処理による判別結果に基づいて、前記配達されたバッテリの配達者に付与するインセンティブを決定する決定処理と、
を実行させるプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記充電方法は、所定の充電設備を利用してバッテリを充電する第1の充電方法と、前記所定の充電設備を利用せずにバッテリを充電する第2の充電方法と、を含み、
前記決定処理において、前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合よりも高価なインセンティブを付与することが決定される、
ことを特徴とする記憶媒体。
【請求項20】
コンピュータに、
配達先に配達されたバッテリを充電した充電方法を判別する判別処理と、
前記判別処理による判別結果に基づいて、前記配達されたバッテリの配達者に付与するインセンティブを決定する決定処理と、
を実行させるプログラムであって、
前記充電方法は、所定の充電設備を利用してバッテリを充電する第1の充電方法と、前記所定の充電設備を利用せずにバッテリを充電する第2の充電方法と、を含み、
前記決定処理において、前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合よりも高価なインセンティブを付与することが決定される、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの配達サービスを支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリの配達要求があった場合に、第三者がバッテリステーション等の保管場所からバッテリを調達し、指定された配達場所まで配達するサービスに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッテリの充電は、バッテリステーション等の充電を主たる目的とした充電設備を利用せずとも可能である。例えば、バイクにバッテリを搭載し、走行中のエンジンの駆動によって発電した電力を利用して当該バッテリの充電を行うこともできる。このように車両の走行を利用してバッテリに蓄電された電力は、車載機器等を動作させない場合には消費されないため、例えば満充電の状態でバッテリが車両に保持されることも少なくなかった。また、バッテリが満充電となっている場合には、走行により発電したとしても蓄電することができないため、発電機会を有効活用することができていなかった。
【0005】
本発明の目的は、種々の充電方法で充電されたバッテリが利用されることを促進し、ひいてはエネルギの効率化に寄与することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
配達先に配達されたバッテリを充電した充電方法を判別する判別手段と、
前記判別手段による判別結果に基づいて、前記配達されたバッテリの配達者に付与するインセンティブを決定する第1の決定手段と、を備え、
前記充電方法は、所定の充電設備を利用してバッテリを充電する第1の充電方法と、前記所定の充電設備を利用せずにバッテリを充電する第2の充電方法と、を含み、
前記第1の決定手段は、前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合よりも高価なインセンティブを付与することを決定する、
ことを特徴とする情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、種々の充電方法で充電されたバッテリが利用されることを促進し、ひいてはエネルギの効率化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】(a)管理サーバ2の構成(b)通信端末3の構成(c)通信端末4の構成、(d)通信端末5の構成を例示したブロック図。
【
図3】(a)ユーザDB221で管理されるユーザ情報、(b)配達候補者DB222で管理される候補者情報、(c)保管場所DB223で管理される保管場所情報を例示した図。
【
図4】(a)バッテリDB224で管理されるバッテリ情報、(b)配達要求DB225で管理される配達情報を例示した図。
【
図5】(a)配達要求に対して配達者を決定する処理の概要を例示した図、(b)配達者充電の方式で充電されたバッテリ6の配達の概要を例示した図、(c)保管場所充電の方式で充電されたバッテリ6の配達の概要を例示した図。
【
図6】実施形態1の管理サーバ2で実行される決定処理を例示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態1]
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
以下に説明する一実施形態は、情報処理装置の一例としての、配達希望者からのバッテリの配達要求を受け付け、配達候補者に配達を依頼し、実際に配達を行った配達者に対して付与するインセンティブを決定する管理サーバに、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、配達先に配達されたバッテリの充電方法を判別して、当該バッテリの配達者に付与するインセンティブを決定することが可能な任意の機器に適用可能である。
【0011】
《システムの概要》
図1は支援システム1の概要図である。支援システム1は、管理サーバ2によって、可搬型バッテリの配達サービスを管理するシステムである。管理サーバ2は、インターネット等の通信ネットワークを介して通信端末3a~3c、通信端末4a~4c及び通信端末5a及び5bと通信可能に接続され、配達サービスを運用するサーバである。
【0012】
図示の通信端末3a~3cは、充電済みバッテリの配達を希望し得る電動製品のユーザ101a~101cが用いる通信端末を例示したものであり、ユーザの数が3に限られるわけではない。以下の説明において、ユーザ101a~101cを総称する場合或いは区別しない場合は、ユーザ101と表記し、ユーザのうち、バッテリの配達希望者である者を示す場合は、配達希望者と表記する。また、通信端末3a~3cを総称する場合或いは区別しない場合は通信端末3と表記する。
【0013】
図1の例において、ユーザ101aは、配達されるバッテリで駆動可能な電動車両(ここでは電動バイク)102aのユーザである。ユーザ101aの通信端末3aはスマートフォン等の携帯端末である。ユーザ101bは、配達されるバッテリで駆動可能な家電製品102bのユーザである。家電製品102bは、例えば、キャンプ場等で使用可能な電気調理器具や、バッテリを外部電源として利用するための放電器具や、バッテリを充電する充電器等である。ユーザ101bの通信端末3bはスマートフォン等の携帯端末である。ユーザ101cは、配達されるバッテリで駆動可能な電動車両(ここでは電動バイク)102cのユーザである。ユーザ101cの通信端末3cは電動車両102cに搭載された車載通信端末である。
【0014】
図示の通信端末4a~4dは、バッテリを配達する配達者となり得る配達候補者201a~201dが用いる通信端末を例示したものであり、配達候補者の数が4に限られるわけではない。以下の説明において、配達候補者201a~201dを総称する場合或いは区別しない場合は、配達候補者201と表記し、配達候補者のうち、バッテリを配達することが確定した者を示す場合は、配達者と表記する。また車両202a~202cを総称する場合或いは区別しない場合は、車両202と表記する。また、通信端末4a~4dを総称する場合或いは区別しない場合は通信端末4と表記する。配達候補者201は、配達事業を行う企業の従業員に限られるものではなく、配達サービスに配達候補者としての登録を行った、そのような企業に属しない一般人を含むことができる。即ち、配達候補者になるための要件を緩和し、一般人を含むより多くの者が配達候補者として登録されるようにすることで、本実施形態の配達サービスの普及促進が図れる。
【0015】
図1の例において、配達候補者201aは、四輪自動車である車両202aによりバッテリの配達を行う者である。配達候補者201aの通信端末4aはスマートフォン等の携帯端末である。配達候補者201bは、バイクである車両202bによりバッテリの配達を行う者である。配達候補者201bの通信端末4bはスマートフォン等の携帯端末である。配達候補者201cは、バイクである車両202cによりバッテリの配達を行う者である。配達候補者201cの通信端末4cは車両202cに搭載された車載通信端末である。車両202a~202cは、四輪自動車やバイクであってよく、その動力源は、ガソリンの内燃により駆動するものであってもよいし、バッテリからの電力供給により駆動するものであってもよいし、その両方で駆動するものであってもよい。配達候補者201dは、徒歩によりバッテリの配達を行う者である。配達候補者201dの通信端末4dはスマートフォン等の携帯端末である。
【0016】
図示の通信端末5a及び5bは、バッテリを保管する保管場所300a、300bに据え置かれた通信端末を例示したものであり、保管場所の数が2に限られるわけではない。以下の説明において、保管場所300a、300bを総称する場合或いは区別しない場合は、保管場所300と表記する。また、通信端末5a及び5bを総称する場合或いは区別しない場合は通信端末5と表記する。
【0017】
保管場所300は、配達対象となるバッテリ6が保管される充電施設である。詳細は後述するが、本実施形態の配達サービスではバッテリ6がユーザ101(あるいは配達候補者201)に対して当該サービスの事業者から貸与される。保管場所300は、配達サービスの事業者により運用される設備であり、保管されるバッテリ6を充電する充電設備も備える。従って、ユーザ101あるいは配達候補者201は、保管場所300に直接赴くことで、充電済みのバッテリ6を調達することもできる。一態様では、保管場所300は、セルフサービスで充電済みのバッテリ6の受け取りや使用済みのバッテリ6の返却が可能に構成されたバッテリステーション(図中の保管場所300b)とすることができる。また別の態様では、保管場所300は、所定の従業員により充電済みのバッテリ6の貸出や使用済みのバッテリ6の回収手続きが行われる店舗(図中の保管場所300a)とすることもできる。さらに別の態様では、保管場所300は、電動車両102aの販売店、或いは、電動車両102aのメンテナンス工場とすることもできる。通信端末5aは、保管場所300aの管理者が使用するパソコンであり、通信端末5bは、保管場所300bに据え置かれた充電装置の制御コンピュータである。
【0018】
《管理サーバ2の構成例》
図2(a)は、管理サーバ2のブロック図である。管理サーバ2は、処理部21、記憶部22、通信部23を含む。処理部21は、CPUに代表されるプロセッサであり、記憶部22に記憶されたプログラムを実行する。記憶部22は、RAM、ROM、ハードディスクなどの記憶デバイスである。通信部23は、通信ネットワークを介して通信端末3、4及び5と通信可能な有線又は無線の通信インタフェースを含む。
【0019】
記憶部22には、処理部21が実行するプログラムの他、各種のデータが格納される。
図2(a)の例では記憶部22に格納されるデータとして、データベース(DB)221~225が例示されている。DB221は、ユーザ101の情報が登録されているDBである。DB222は、配達候補者201の情報が登録されているDBである。DB223は、保管場所300の情報が登録されているDBである。DB224は、配達サービスで利用されているバッテリ6の情報が登録されているDBである。DB225は、ユーザ101(配達希望者)によりなされた配達要求の情報が登録されているDBである。以下の説明では、DB221、DB222、DB223、DB224、DB225を、それぞれユーザDB、配達候補者DB、保管場所DB、バッテリDB、配達要求DBと呼ぶ場合がある。なお、DB221、DB222、DB223、DB224、DB225は、それぞれ別個のデータベースとしてもよいし、まとめて1つのデータベースとしてもよい。本実施形態では、便宜上、データベースを分けて説明しているが、それぞれが別個のデータベースとして存在しているという限定ではない。
【0020】
なお、本実施形態では、ユーザ101、配達候補者201のいずれも配達サービスの利用前に会員登録を行う例を想定している。しかし、会員登録を行っていない者も配達サービスに参加できる運用形態であってもよい。
【0021】
〈ユーザ情報〉
図3(a)は、ユーザDB221に蓄積された情報(ユーザ情報)の例を示している。ユーザDB221には、ユーザ101毎(会員毎)のレコードが蓄積されている。ユーザID301は、個々のユーザ101を識別するための識別情報である。連絡先302は、そのユーザ101の連絡先の情報であり、代表的には通信端末3を用いてユーザ101が応対可能なEメールアドレスや電話番号である。
【0022】
〈候補者情報〉
図3(b)は、配達候補者DB222に蓄積された情報(候補者情報)の例を示している。配達候補者DB222には、配達候補者201毎(会員毎)のレコードが蓄積されている。候補者ID311は、個々の配達候補者201を識別するための識別情報である。連絡先312は、その配達候補者201の連絡先の情報であり、代表的には通信端末4を用いて配達候補者201が応対可能なEメールアドレスや電話番号である。
【0023】
対応可能条件313、配達要求に対してその配達候補者201が配達対応できる条件を示す情報である。当該情報は、主に、配達要求があった場合に、配達可否の問合せの対象とする配達候補者を検索するために用いられる情報である。
図3(b)では、スケジュール321とエリア322が例示されている。スケジュール321とは、配達候補者201が配達可能な日時の条件を記述した情報である。その種類としては、例えば、平日のみ、休日のみ、午後のみ、午前のみ、制限なし、等を挙げることができる。エリア322とは、配達候補者201が配達可能な地域に関する情報である。その種類としては、例えば、「○○市のみ」、「○○地方全域」、「制限なし」等を挙げることができる。
【0024】
〈保管場所情報〉
図3(c)は、保管場所DB223に蓄積された情報(保管場所情報)の例を示している。保管場所DB223には、保管場所300毎のレコードが蓄積されている。保管場所ID331は、個々の保管場所300を識別するための識別情報である。所在地332は、その保管場所300の地理的な位置を示す情報である。在庫数333は、その保管場所300が保管している充電済みのバッテリ6の数である。管理サーバ2と通信端末5との周期的な通信によって、管理サーバ2は在庫数333の情報を取得し、保管場所DB223を更新する。
【0025】
〈バッテリ情報〉
図4(a)は、バッテリDB224に蓄積された情報(バッテリ情報)の例を示している。バッテリDB224には、配達サービスで使用されているバッテリ6毎のレコードが蓄積されている。バッテリID401は、個々のバッテリ6を識別するための識別情報である。所在402は、そのバッテリ6の現在の所在を示す情報である。詳細は後述するが、本実施形態の配達サービスではバッテリ6は、いずれかのユーザ101が所有している状態、いずれかの配達候補者201が所有している状態、いずれかの保管場所300に保管されている状態の3種類をとり得る。このため所在402には、バッテリ6の貸出状況に応じて、ユーザ101のユーザID301、配達候補者201の候補者ID311、保管場所300の保管場所ID331のいずれかが格納される。従って、ユーザID301、候補者ID311及び保管場所ID331は、互いに判別可能なルールで生成される。
【0026】
状態403は、そのバッテリ6の使用状態または充電状態を示す情報である。本実施形態では状態403は、貸出中(使用中)、充電中、充電済みの3種類で管理されるものとして説明する。バッテリ6がユーザ101の所有状態にある場合、当該バッテリ6の状態403は、例えば当該バッテリ6が電動機器(電動車両102a、家電製品102b、電動車両102c)に接続されている場合に、通信端末3を介して使用中である旨の情報がユーザ101のユーザID及び当該バッテリ6のバッテリIDと共に管理サーバ2に定期的に送信されることにより「貸出中」に更新されるものであってよい。あるいは、ユーザ101が、通信端末3を用いて配達されたバッテリ6の受け取りに関する操作を行った際に、当該バッテリ6のバッテリIDが取得され、使用中である旨の情報と当該バッテリID及びユーザIDとが管理サーバ2に送信されることにより「貸出中」に更新されるものであってもよい。またバッテリ6が保管場所300に保管されている状態にある場合、当該バッテリ6の充電状態が通信端末5により定期的に取得され、その都度、充電中/充電済みである旨の情報が当該バッテリ6のバッテリIDと共に管理サーバ2に送信されることにより「充電中」または「充電済み」に更新されるものであってよい。
【0027】
またバッテリ6が配達候補者201の所有状態にある場合には、その調達方法に応じて状態403の情報更新方法が異なる。詳細は後述するが、本実施形態の支援システム1では、配達候補者201が配達要求に先立って保管場所300等から未充電バッテリ6を借り受けて充電し、その後配達するケースと、配達候補者201が配達者となった場合に保管場所300で充電済みのバッテリ6を調達して配達するケースとがある。前者のケースでは、配達候補者201は、例えば貸与されたバッテリ6を使用する車両202に搭載して走行することで、その動力源の駆動により発電された電力で当該バッテリ6を充電することができる。このとき、バッテリ6の状態403は、例えば車両202に搭載されたバッテリ6の充電状態が通信端末4により周期的に取得され、その都度、充電中/充電済みである旨の情報が当該バッテリ6のバッテリID401と共に管理サーバ2に送信されることにより更新される。また後者のケースでは、バッテリ6の状態403は、保管場所300において配達者が調達した際には既に「充電済み」となっているため、保管場所300に保管時の状態403の情報を維持すればよい。
【0028】
充電方法404は、そのバッテリ6を充電した充電方法を示す情報である。上述したように、本実施形態の配達サービスでは配達希望者に配達されるバッテリ6には、保管場所300において充電されたバッテリと、配達候補者201の下で充電されたバッテリとが含まれ得る。従って、充電方法404の種類としては、「保管場所充電」と「配達者充電」とが含まれる。バッテリ6の充電方法404は、簡易的には当該バッテリ6が満充電となった際に充電を行っていた設備の情報を通信端末4または通信端末5が取得し、管理サーバ2に送信することによって更新されるものであってよい。
【0029】
〈配達情報〉
図4(b)は、配達要求DB225に蓄積された情報(配達情報)の例を示している。配達要求DB225には、配達希望者によりなされた配達要求毎のレコードが蓄積されている。配達ID411は、個々の配達要求を識別するための識別情報である。希望者412は、配達希望者であるユーザ101を識別する情報であり、配達希望者についてユーザDB221で管理されるユーザID301が格納される。指定条件413は、配達要求により指定された条件を示す情報である。図示の例では、配達先421と希望日時422が示されている。配達先421は、配達希望者により指定されたバッテリ6の納品場所の地理的な位置を示す情報である。納品場所としては、配達希望者がバッテリ6を受け取る位置や、バッテリ6を装着すべき電動機器(電動車両102a、家電製品102b、電動車両102c)の位置を指定することができる。希望日時422は、バッテリ6の納品時期に関する情報であり、具体的な日時情報(例えば1月30日午後2時)であってもよいし、時間帯(1月30日午後1時~午後2時)といった情報であってもよい。
【0030】
配達内容414は、配達要求に対するバッテリ6の配達の詳細を示す情報である。図示の例では、配達者431、ステータス432、バッテリID433及び充電方法434が示されている。配達者431は、該当の配達要求に対してバッテリ6を配達する配達者を識別する情報であり、配達希望者への配達を依頼された配達候補者201について配達候補者DB222で管理される候補者ID311が格納される。ステータス432は、該当の配達要求に係るバッテリ6の配達状況を示す情報である。その種類としては、配達開始前、配達中、配達完了、等を挙げることができる。ステータス432は、配達者が確定した場合に「配置開始前」に更新される。また、例えば配達者が通信端末4においてバッテリ6の配達を開始する旨の操作入力を行った際に、当該操作入力がなされたことを示す情報が管理サーバ2に送信されることにより「配達中」に更新される。また「配達中」となった後に、例えば配達者が通信端末4においてバッテリ6の配達が完了した旨の操作入力を行った際に、当該操作入力がなされたことを示す情報が管理サーバ2に送信されることにより「配達完了」に更新される。
【0031】
バッテリID433は、配達されたバッテリ6を識別するための識別情報であり、当該バッテリ6についてバッテリDB224で管理されるバッテリID401が格納される。また充電方法434は、配達されたバッテリ6を満充電にした充電方法を示す情報であり、当該バッテリ6についてバッテリDB224で管理される充電方法404が格納される。バッテリID433及び充電方法434は、例えば配達後に初めて配達希望者の通信端末3から使用中である旨の情報を受信した際に情報が格納される。上述したように、使用中である旨の情報は、バッテリ6を貸与したユーザ101のユーザID及び当該バッテリ6のバッテリIDを含んで通信端末3から管理サーバ2に送信される。故に、本実施形態の配達サービスでは、所在402が配達希望者のユーザIDとなっていないバッテリ6について、使用中である旨の情報を管理サーバ2が受信した際に、当該バッテリ6が配達希望者に新たに配達されたバッテリ6であるものとして判断することができる。このとき、使用中である旨の情報と共に受信したバッテリIDが、バッテリID433に格納される。また当該バッテリIDについてバッテリDB224で管理される充電方法404(直近に充電した充電方法)の情報が、充電方法434に格納される。このように「配達内容」の各種情報は、配達要求に対応する配達者が確定するまで、あるいは、配達されたバッテリ6が使用されるまで格納されず、それまでは例えばnull等の初期値が格納されるものであってよい。
【0032】
《通信端末3の構成例》
図2(b)は、通信端末3のブロック図である。通信端末3は、処理部31、記憶部32、通信部33、表示部34及びGPS(Global Positioning System)センサ35を含む。処理部31は、CPUに代表されるプロセッサであり、記憶部32に記憶されたプログラムを実行する。記憶部32は、RAM、ROMなどの記憶デバイスである。記憶部32に記憶されたプログラムには、本実施形態の配達サービスを配達希望者として利用するためのアプリケーションプログラムも含まれる。アプリケーションプログラムは、管理サーバ2等のサーバからダウンロードされてもよいし、CD-ROM等の記憶媒体で配布されてもよい。
【0033】
通信部33は、通信ネットワークを介して管理サーバ2と通信可能な無線通信装置である。表示部34は、入力機能を備えた電子画像の表示装置であり、例えば、タッチパネル式ディスプレイである。GPSセンサ35は通信端末3の現在位置を検知するセンサである。
【0034】
《通信端末4の構成例》
図2(c)は、通信端末4のブロック図である。通信端末4は、処理部41、記憶部42、通信部43、表示部44及びGPS(Global Positioning System)センサ45を含む。処理部41は、CPUに代表されるプロセッサであり、記憶部42に記憶されたプログラムを実行する。記憶部42は、RAM、ROMなどの記憶デバイスである。記憶部42に記憶されたプログラムには、本実施形態の配達サービスを配達者として利用するためのアプリケーションプログラムも含まれる。アプリケーションプログラムは、管理サーバ2等のサーバからダウンロードされてもよいし、CD-ROM等の記憶媒体で配布されてもよい。
【0035】
通信部43は、通信ネットワークを介して管理サーバ2と通信可能な無線通信装置である。表示部44は、電子画像の表示装置であり、例えば、タッチパネル式ディスプレイである。GPSセンサ45は通信端末4の現在位置を検知するセンサである。
【0036】
《通信端末5の構成例》
図2(3)は、通信端末5のブロック図である。通信端末5は、処理部51、記憶部52、通信部53及び表示部54を含む。処理部51は、CPUに代表されるプロセッサであり、記憶部52に記憶されたプログラムを実行する。記憶部52は、RAM、ROMなどの記憶デバイスである。記憶部52に記憶されたプログラムには、本実施形態の配達サービスを配達者として利用するためのアプリケーションプログラムも含まれる。アプリケーションプログラムは、管理サーバ2等のサーバからダウンロードされてもよいし、CD-ROM等の記憶媒体で配布されてもよい。
【0037】
通信部53は、通信ネットワークを介して管理サーバ2と通信可能な無線通信装置である。表示部54は、電子画像の表示装置であり、例えば、タッチパネル式ディスプレイである。
【0038】
《配達サービスの概要》
以下、本実施形態の支援システム1を用いて提供されるバッテリ6の配達サービスの概要を、図を参照して詳細を説明する。配達サービスは、例えば、バッテリシェアリングサービスの一形態であり、事前登録したユーザ101に対して、バッテリ6の貸出しを行うサービスに付随する配達サービスである。本実施形態では、共通仕様或いは互換性のあるバッテリの貸出しを想定するが、仕様が異なるバッテリの貸出しであってもよい。
【0039】
配達サービスは、配達希望者が指定した場所に対して、充電済みのバッテリ6を配達するサービスである。まず
図5(a)に示されるように、配達サービスの利用は、充電済みバッテリ6の配達を希望するユーザ101(配達希望者)が自身の通信端末3を使用してバッテリ6の配達要求に係る操作を行ったことに応じて、当該通信端末3から管理サーバ2に配達要求が送信されることにより開始する。本実施形態では配達要求は、配達希望者のユーザID301と指定条件の情報(任意の配達先及び希望日時)の情報を含む。
【0040】
ここで、配達先は、配達希望者の居所や住所等、配達希望者が配達者から直接バッテリの受け取りを行うことが可能な場所である必要はない。配達先は、例えば、バッテリ6を使用予定の電動車両が駐車されている駐車場等の位置とすることもできる。この場合、配達者は、当該駐車場に配置された配達希望者の電動車両に設けられたバッテリ格納ボックスにバッテリ6を装着することで配達を完了することができる。
【0041】
管理サーバ2は、配達要求を受信すると、当該配達要求に基づいて配達要求DB225への新たな配達情報の登録を行う。より詳しくは処理部21は、新たな配達情報に係る配達ID411を取得し、配達要求と共に受信した希望者412のユーザIDと指定条件の情報とを、それぞれ希望者412と指定条件413に格納した配達情報を配達要求DB225に登録する。
【0042】
また管理サーバ2は、当該配達要求に対してバッテリ6を配達する配達者を、配達候補者201のうちから決定する。より詳しくは、管理サーバ2の処理部21は、配達候補者DB222に情報が登録されている配達候補者201のうちから、配達要求に含まれる指定条件に対応可能条件313が合致する1以上の配達候補者201を抽出し、抽出した配達候補者201のそれぞれの連絡先(通信端末4)に対して、配達可能であるか否かの問い合わせを行う。
【0043】
図5(a)は、指定条件に対して2人の配達候補者201a及び201bが抽出された例を示しており、管理サーバ2は、各配達候補者201が使用する通信端末4a及び4bに対して問い合わせを行っている。
図5(a)の例では、配達候補者201bが配達を承諾し、配達候補者201aが配達を辞退している。このとき管理サーバ2は、問い合わせの結果に基づき、配達を承諾した配達候補者201bをバッテリ6の配達者として決定する。管理サーバ2は、配達者を決定すると、当該配達者の通信端末4に今般の配達に係る指定条件413を提供する。また管理サーバ2は、決定した配達者の情報で、配達要求DB225の該当の配達情報の配達者431及びステータス432の情報を更新する。より詳しくは、管理サーバ2は、配達要求DB225の配達者431に配達者の候補者ID311を格納し、ステータス432に「配達開始前」を格納する。
【0044】
配達者(配達候補者201b)は、配達者として決定されると、指定条件に応じて充電済みのバッテリ6を調達し、配達希望者に配達する。配達の開始時には、配達者は通信端末4において配達を開始する旨の操作入力を行い、当該操作入力の情報が通信端末4から管理サーバ2に送信される。管理サーバ2は当該情報を受信すると、該当の配達情報のステータス432を「配達中」に更新する。
【0045】
本実施形態の配達サービスでは、配達者が充電済みのバッテリ6を調達する方法は、
図5(b)及び(c)に示される2通りが考えられる。
図5(b)の例では、配達者は、例えば保管場所300aにおいて所定の借用料金を支払って未充電のバッテリ6を借り受け、車両202bに装着して走行することで当該バッテリ6を充電する(配達者充電の方式)。本実施形態では、各車両202はバッテリ6の充電機能(オルタネータ)を有し、走行時の動力源の駆動により発電された交流電流をレギュレータを介して直流電流に変換することでバッテリ6を充電することができる。また各車両202は、複数のバッテリ6を搭載可能に構成され、このうちの1つを当該車両に設けられた車載装置や電装機器を駆動させるために使用し、残りのバッテリ6は満充電まで充電した後はその充電状態で保持することが可能に構成されているものとする。従って、配達者は、配達に先立ってバッテリ6を借り受け、車両202bに装着して満充電まで走行させることで充電済みのバッテリ6を調達することができる。そして配達者は、指定された配達先に、満充電の状態である借用中のバッテリ6を配達する。一方、
図5(c)の例では、配達者は、例えば配達先への移動中に保管場所300aに立ち寄り、所定の借用料金を支払って充電済み(保管場所充電の方式)のバッテリ6を調達し、当該バッテリ6を指定された配達先に配達する。ここで、
図5(c)の態様では、例えば配達者の通信端末4からの検索要求を受け付け、在庫数が0でなく配達先までの配達者の経路の近傍に所在地をもつ保管場所300aの情報が提供されるものとしてもよい。
【0046】
従って、配達サービスにおいて配達希望者に配達される充電済みのバッテリ6は、その充電方法の違いによって複数種類存在する。即ち、
図5(b)のように配達者によって充電が行われたバッテリ6と、保管場所300において充電が行われたバッテリ6のいずれかが、配達希望者に配達されることになる。事業者側の観点からすると、配達されるバッテリ6は、自身の運用する充電設備を用いて充電したバッテリ6であるか、当該充電設備を用いずに充電したバッテリ6であるかが異なる。
【0047】
なお、バッテリ6の借用に係り配達者が支払うべき借用料金は、充電済みであるか否かに応じて異なって設定されるものであってよい。あるいは、配達者はバッテリ6を使用しない(ユーザ101とはならない)との前提がある場合には、配達者が支払うべき借用料金は、充電済みであるか否かによらず同額に設定されるものあってもよい。また、配達者が支払うべき借用料金は、バッテリ6を使用するユーザ101が保管場所300に赴いて充電済みのバッテリ6を借用する際に当該ユーザ101が支払うべき借用料金より低額に設定されるものであってもよい。
【0048】
また、バッテリ6の借用にあたり、当該バッテリに係るバッテリ情報の所在402の更新も行われる。より詳しくは、保管場所300において配達者がバッテリ6の借用に係る手続きを行うと、配達者の候補者ID及び貸与したバッテリ6のバッテリIDを含む借用に関する情報が、当該保管場所300の通信端末5から管理サーバ2に送信される。管理サーバ2は当該情報を受信すると、該当のバッテリ情報の所在402を、保管場所300の保管場所IDから配達者の候補者IDに変更して更新する。
【0049】
バッテリ6の配達先への配達が完了すると、配達者は、通信端末4において配達が完了した旨の操作入力を行い、当該操作入力の情報が通信端末4から管理サーバ2に送信される。管理サーバ2は当該情報を受信すると、該当の配達情報のステータス432を「配達完了」に更新する。
【0050】
また配達が完了したことは、配達者による操作入力だけでなく、配達希望者の通信端末3によっても検出される。例えば、通信端末3が車載装置として搭載された電動車両が配達先である態様では、配達者により当該電動車両にバッテリ6が装着されたことが通信端末3により検出される。あるいは、例えば、配達先において配達希望者が配達者から直接バッテリ6を受け取る態様では、その後、配達希望者が電動機器に当該バッテリ6を装着した際に、電動機器と通信接続する通信端末3がその装着を検出する。そして通信端末3は装着されたバッテリ6のバッテリIDを当該バッテリ6から取得し、配達希望者のユーザID及び当該バッテリIDと共に、バッテリ6を使用中である旨の情報を管理サーバ2に送信する。
【0051】
管理サーバ2は当該情報を受信すると、まず該当のバッテリ6のバッテリ情報の所在402に格納されているユーザIDと配達希望者のユーザIDとを比較し、バッテリ6が新たに配達希望者に貸与されたバッテリであるかを判別する。バッテリ情報の所在402は、バッテリ6が配達された時点では配達者の候補者IDとなっているため、配達されたバッテリ6が配達後に初めて電動機器に装着された場合には、バッテリ情報の所在402が配達希望者のユーザIDと一致しない。従って、管理サーバ2は、受信したバッテリIDのバッテリ6に係る所在402が配達希望者のユーザIDと異なる場合には、当該バッテリ6が新たに配達希望者に貸与されたバッテリであると判別することができる。
【0052】
新たに配達希望者に貸与されたバッテリについて使用中である旨の情報を受信した場合、管理サーバ2は、該当の配達情報のバッテリID433を当該バッテリのバッテリIDに変更し、また充電方法434を当該バッテリに係るバッテリ情報の充電方法404の値に変更して更新する。即ち、ここまでの処理により配達情報の配達内容414は、配達者がいずれであったか(配達者431)、配達が完了したか(ステータス432)、配達されたバッテリがいずれであるか(バッテリID433)、配達されたバッテリがいずれの充電方法で充電されたか(充電方法434)を特定可能な状態に更新される。
【0053】
このように、本実施形態の配達サービスを利用することで、ユーザ101は任意の場所に充電済みのバッテリ6の配達を手配することができる。
【0054】
〈配達者に付与されるインセンティブ〉
配達要求に係るバッテリ6の配達が完了すると、管理サーバ2は、配達者に対して付与するインセンティブを決定する。ここで、インセンティブとは、バッテリ6を配達したことに対して付与される報酬であり、一態様において配達者の口座に振り込まれる金銭であってよい。
【0055】
上述したように本実施形態の配達サービスでは、配達されたバッテリ6は、配達者充電と保管場所充電の2種類の充電方法で充電され得る。これらは、配達希望者の観点ではいずれも充電済みのバッテリ6が配達されるため差異はないが、配達候補者201及び事業者の観点では位置づけが異なる。
【0056】
配達候補者201の観点では、前者の方式はバッテリ6を充電するために車両202を走行させる必要があるため、調達したバッテリ6をそのまま配達可能である後者の方式よりも充電に係る手間が発生する。つまり、配達候補者201にとっては、前者の方式で充電したバッテリ6を配達する場合よりも、後者の方式で充電したバッテリ6を配達する場合の方が、配達に係る負担が少ない。
【0057】
一方で、事業者の観点では、前者の方式はバッテリ6の充電に保管場所300の充電設備を使用する必要はないが、後者の方式はバッテリ6の充電に保管場所300の充電設備を使用する必要がある。故に、同時期に後者の方式で充電するバッテリ6の数が多く想定されるほど、事業者は運用する保管場所300の設備規模を大きくする必要があり、設備導入コストやランニングコスト等が増大することになる。つまり、事業者にとっては、前者の方式で充電したバッテリ6が配達される件数が増加する方が、配達サービスの提供に係るコストを抑えることができる。
【0058】
また、車両202の走行を利用して発電した電力を当該車両202においてのみ使用する態様では、車載装置等の電装機器の使用頻度が少ない期間には電力消費量が少なく、結果、バッテリ6が略満充電の状態で保持されることがある。即ち、バッテリ6が充電済みとなったにも拘わらず、バッテリ6に蓄積した電力が有効活用されない期間が存在し得る。またバッテリ6が充電済みとなっている期間は、車両202が走行したとしても、その間の動力源の駆動により発電された電力を蓄積することができないため、その分充電機会を逸することになる。つまり、エネルギ効率化の観点では、前者の方式で充電したバッテリ6を、配達サービスを介して需要家に配達して電動機器に使用してもらう方が、車両202の走行の度に発電される電力を有効活用することができる。
【0059】
故に、本実施形態の支援システム1では管理サーバ2は、配達者に対して付与するインセンティブを、配達されたバッテリ6の充電方法に応じて異ならせる。より詳しくは、管理サーバ2は、配達要求に係る配達者に付与するインセンティブを、保管場所充電の方式で充電したバッテリ6を配達した場合よりも、配達者充電の方式で充電したバッテリ6を配達した場合の方が高価(高額)になるように決定する。一態様では、保管場所充電の方式で充電したバッテリ6を配達した配達者には、配達要求にて指定された場所にバッテリ6を配達した配達料金としてのインセンティブが付与され、配達者充電の方式で充電したバッテリ6を配達した配達者には、配達料金としてのインセンティブに加えて、当該バッテリを充電した充電料金としてのインセンティブが付与される。
【0060】
このようにすることで、保管場所300の充電設備を利用せずに充電したバッテリを配達した配達者に対して、付与するインセンティブを優遇することができる。つまり、車両202の走行を利用して副次的に得られる電力でバッテリ6を充電する充電方法を促進することができ、結果、車両走行時に発電される電力を無駄なく流通させつつ、保管場所300の充電設備の規模や導入コスト及びランニングコストを縮小することができる。
【0061】
〈配達希望者のサービス利用料金〉
一方、上述したように配達希望者の観点では、行った配達要求に対して充電済みのバッテリ6が配達されればよいため、配達希望者から徴収する配達サービス利用の代価(利用料金)は、定額に設定される。これは、配達するバッテリ6を保管場所充電の方式で充電したものとするか配達者充電の方式で充電したものとするか、及び配達者がどの程度の距離を移動してバッテリ6を配達したかは配達者や事業者側の事情であり、その違いにより発生するコストを配達希望者に転嫁すべきでないからである。従って、配達希望者に対して請求する利用料金は、指定された場所への配達に係り予め定められた配達料金とバッテリ6の借用料金を合算した定額の料金となる。なお、例えば離島のように、指定された場所に到達するための移動に余分にコストが発生する地域も存在するため、配達料金は地域ごとに異なって設定されるものであってもよい。
【0062】
このようにすることで、配達者やバッテリ6の充電方法の違いによる配達希望者のサービス利用料金の上下動を発生させず、配達希望者が継続的に利用しやすい貸与サービスを提供することができる。
【0063】
《決定処理》
以下、本実施形態の管理サーバ2において、配達者に付与するインセンティブの決定に係り行われる決定処理について、
図6のフローチャートを参照して具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、処理部21が、例えばROMに記録されている対応する処理プログラムを読み出し、RAMに展開して実行することにより実現することができる。本決定処理は、インセンティブを決定する対象の配達要求について、当該配達要求に係る配達情報の配達内容414の全ての情報(配達者431、ステータス432、バッテリID433及び充電方法434)が有意な情報に更新された場合に開始されるものとして説明する。以下の決定処理の説明において、インセンティブを決定する対象の配達要求を「対象配達要求」、配達希望者に配達されたバッテリ6を「対象バッテリ」として言及する。
【0064】
S601で、処理部21は、対象バッテリを充電した充電方法が「保管場所充電」と「配達者充電」のいずれの方式であるかを判別する。具体的には処理部21は、対象配達要求に係る配達情報の充電方法434を参照することで充電方法を判別する。
【0065】
S602で、処理部21は、S601における判別結果に基づいて配達者に付与するインセンティブを決定する。具体的には処理部21は、対象バッテリの充電方法が保管場所充電の方式であった場合には、対象バッテリの配達料金として定められた金額のインセンティブを付与するものとして決定する。また処理部21は、対象バッテリの充電方法が配達者充電の方式であった場合には、対象バッテリの配達料金として定められた金額と充電料金として定められた金額を合算した額のインセンティブを付与するものとして決定する。決定したインセンティブの情報は、対象配達要求に係る配達情報の配達者431の候補者IDに関連付けて、例えば記憶部22に格納される。
【0066】
このようにすることで、本実施形態の情報処理装置によれば、種々の充電方法で充電されたバッテリが利用されることを促進し、ひいてはエネルギの効率化に寄与することができる。より詳しくは、事業者が運用する所定の充電設備を使用せずに配達者が充電したバッテリが配達される場合に、所定の充電設備を使用して充電したバッテリが配達される場合よりも高価なインセンティブが配達者に付与されるため、前者の充電方法での充電を配達者に促すことができる。これにより、前者の充電方法で充電されたバッテリが配達される機会が増加し、バッテリの配達サービスを提供する事業者が導入すべき所定の充電設備の規模を縮小することができ、当該サービスへの参入障壁を緩和することができる。さらに、前者の充電方法として、車両の動力源の駆動により発電された電力を利用することで、車両移動時に蓄えられた電力を有効活用しつつ、車両移動を頻繁に行う人物等が配達候補者としてサービスに寄与するビジネスモデルを構築することができる。
【0067】
[変形例1]
上述した実施形態1では、配達者充電の方式では、配達候補者201が未充電のバッテリ6を借用して充電するものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。配達候補者201に貸与されるバッテリ6の充電状態は、必ずしも未充電の状態(あるいは、所定の放電された状態)である必要はなく、例えば保管場所300の充電設備を使用して途中まで充電されていてもよい。この場合、未充電状態から満充電状態まで充電する場合に比べて、配達候補者201が充電すべき電力量は少ないため、インセンティブのうちの充電料金はその分減額されてもよい。即ち、バッテリ6について、配達者によって充電された充電量が管理される態様では、処理部21は、配達されたバッテリ6の配達者充電の方式での充電量に応じて、配達者に付与するインセンティブを決定してもよい。
【0068】
[実施形態2]
上述した実施形態1の配達サービスにおけるエネルギの効率化は、配達候補者201に貸与したバッテリ6が配達者充電の方式で充電されて配達されることで達成される。このため、長期に渡って配達候補者201にバッテリ6が借用された状態となることは好ましくない。故に、配達可能な状態(満充電)の状態のバッテリ6を保持している配達候補者201に対して、優先的に配達要求に係る配達問い合わせを行い、当該バッテリ6が配達されやすくするよう、配達要求を受信時に配達の問い合わせ方法を制御してもよい。具体的には処理部21は、配達希望者の通信端末3から配達要求を受信すると、配達候補者DB222に情報が登録されている配達候補者201のうちから、当該配達要求に含まれる指定条件に対応可能条件313が合致する1以上の配達候補者201を抽出する際に、満充電となったバッテリ6を保持している配達候補者201を優先的に含め、配達の問い合わせを行う。即ち、処理部21は、配達問い合わせを行う配達候補者201の抽出時に、バッテリ情報の状態403が「充電済み」となっている配達候補者201を優先的に含めるよう制御する。
【0069】
このようにすることで、第2の充電方法で満充電となったバッテリが配達されずに留まることを回避し、充電された電力を有効活用することができる。
【0070】
[変形例2]
上述した実施形態2では、満充電の状態のバッテリ6を保持している配達候補者201に対して優先的に配達問い合わせを行う態様を説明したが、エネルギの効率化は、満充電の状態のバッテリ6が長期に渡って保持されることを回避できればよい。即ち、バッテリ6が充電済みとなったことをもって、当該バッテリ6を借用している配達候補者201に優先的に配達問い合わせをした場合、特定の配達候補者201に対して行われる問い合わせの頻度が多くなり、煩雑な印象を与える可能性がある。またバッテリ6を借用していない配達候補者201、即ち、保管場所300で充電済みのバッテリ6を調達して配達する予定の配達候補者201に対して行われる問い合わせの頻度が減ることで、配達候補者201間でインセンティブを得る機会の公平性が担保されない可能性がある。
【0071】
このため本実施形態の管理サーバ2は、配達候補者201に貸与したバッテリ6について満充電となってから経過した時間を計測し、その経過時間が所定時間を超えた場合に、当該配達候補者201に対して優先的に配達問い合わせを行うよう制御する。経過時間の計測は、処理部21が該当のバッテリ6に係るバッテリ情報の状態403が充電済みに更新されたことに応じて開始されるものであってよい。また計測の結果は、例えばバッテリ情報に、充電済みとなった日時を示す情報と当該日時からの経過時間を示す情報とがさらに格納されることで管理されればよい。従って、処理部21は、配達希望者の通信端末3から配達要求を受信すると、配達候補者DB222に情報が登録されている配達候補者201のうちから、当該配達要求に含まれる指定条件に対応可能条件313が合致する1以上の配達候補者201を抽出する際に、満充電となってからの経過時間が所定時間を超える配達候補者201を優先的に含めるよう制御する。
【0072】
このようにすることで、配達候補者201間でインセンティブを得る機会の公平性をある程度担保しつつ、満充電の状態でバッテリ6が配達候補者201の下に長期に渡って保持されることを少なくすることができる。
【0073】
なお、満充電となってから所定時間以上を経過したバッテリ6を借用している配達候補者201が、その後なされた配達問い合わせを承諾しやすくなるよう、処理部21は、当該バッテリ6が満充電となってから所定時間経過した際に、当該配達候補者201の通信端末4に対してその旨の情報を送信し、通知してもよい。
【0074】
[実施形態3]
上述した実施形態1では、配達候補者201に貸与した未充電のバッテリ6が、配達候補者201の下で充電されてユーザ101に配達されるものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。配達候補者201の下で充電されたバッテリ6の配達先は保管場所300とすることもでき、配達されたバッテリ6の充電量に応じて当該配達候補者201にインセンティブを付与してもよい。
【0075】
ここで、保管場所300へのバッテリ6の配達は、当該バッテリ6を借用している配達候補者201(借用者)自らの意思で行われるものであってもよいし、配達要求についてバッテリ6を借用していない配達候補者201が配達者となった場合に、当該配達候補者201が調達できるよう、管理サーバ2から借用者の通信端末4に送信されたリクエストに基づいて行われるものであってもよい。また処理部21は、借用者に貸与したバッテリ6について満充電となってからの時間を計測し、例えば所定時間経過した場合に、借用者の通信端末4に保管場所300への配達を促す情報を送信してもよい。
【0076】
このようにすることで、例えば忙しい等の事由により配達希望者への配達を請け負うことが難しい状況にある配達候補者201にも、配達者充電の方式で充電したバッテリ6についてインセンティブを得る機会を与えることができる。別の観点では、配達候補者201に貸与したバッテリ6の返却を促すことができ、満充電のバッテリ6が配達されずに配達候補者201の下に滞留することを回避することができる。また充電済みのバッテリ6が保管場所300に配達された場合には、当該バッテリ6は保管場所300において充電せずとも他の配達候補者201によって配達希望者に配達させることができるため、保管場所300で発生する充電に係るコストを低減することができる。
【0077】
[実施形態4]
上述した実施形態1では、配達者へのインセンティブとして配達料金または充電料金に係る金銭を付与するものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。配達者に対して付与されるインセンティブは、上述した金銭に加えて、配達サービスにおいて利用可能なポイントが含まれてもよい。当該ポイントは、保管場所300において事業者からバッテリ6を借用する際に支払う代価の少なくとも一部として充当可能な価値を有する。処理部21は、インセンティブとして配達者に付与するポイントの量を、配達されたバッテリ6を充電した充電方法が保管場所充電の方式である場合よりも、配達者充電の方式である場合の方が多くなるよう決定する。
【0078】
このようにすることで、配達するバッテリ6を配達者充電の方式で充電する配達者を優遇し、バッテリ6の配達サービスを円滑に機能させることができる。また配達候補者201に、配達者充電の方式でのバッテリ6の充電を促すことができる。
【0079】
[変形例3]
上述した配達希望者から徴収する配達サービの利用料金は定額とするものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、配達希望者が配達要求を行う際に入力する希望日時のオプションとして、実施形態1のようにバッテリ6の配達日時(時間帯)を指定するか、バッテリ6の配達が完了する期日を指定するかを選択可能としてもよい。前者のオプションが指定された場合には、配達者は指定された場所に指定された時間帯に充電済みのバッテリ6を配達する必要があるが、後者のオプションが指定された場合には、配達者は指定された配達期日までに充電済みのバッテリ6を指定された場所に配達すればよい。即ち、配達日時が指定される場合よりも、配達期日が指定される場合の方が配達者の負担は少ない。従って、処理部21は、配達希望者から徴収する利用料金を決定する際に、配達要求において配達期日が選択されていた場合には、利用料金を割り引く。
【0080】
このようにすることで、配達者に時間的猶予を与えることができる配達方式の利用を促進することができる。
【0081】
[変形例4]
上述した実施形態1では、配達サービスは単に配達希望者の下にバッテリ6を配達するものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、配達サービスは、充電済みの新たなバッテリ6を配達すると共に、配達希望者の電動機器に既設のバッテリ6を回収することを含んでもよい。即ち、配達サービスは、配達希望者の電動機器のバッテリ6の交換サービスを行うものであってもよい。
【0082】
このようなサービス利用は、配達要求に既設のバッテリ6の回収要求を含めることにより配達希望者から依頼される。回収要求を含む配達要求がなされた場合に行われる配達候補者201への配達問い合わせには、指定条件としてその旨が含められる。配達者により回収されたバッテリ6は、例えば同配達者により保管場所300に配達されればよい(貸与されていたバッテリ6の返却)。あるいは、回収されたバッテリ6は、当該配達者が再度充電し、次に配達するバッテリ6として利用されてもよい。
【0083】
ところで、ユーザ101の下にあるバッテリ6は、ユーザ101の電動機器で使用されるだけでなく、ユーザ101によって充電されることもある。このため、配達者が新たなバッテリ6を配達した際に回収されるバッテリ6の充電残量は、様々である。即ち、回収されたバッテリ6は、まだ充電残量が十分にあり使用可能である状態や、充電残量がほとんどなく使用に堪えない状態であり得る。回収されたバッテリ6が再度充電されて配達サービスに利用されることを踏まえれば、当該バッテリの充電残量は、次の配達までに充電すべき電力量を低減するとの観点で、エネルギの効率化に寄与している。従って、処理部21は、回収されたバッテリ6の充電残量を取得し、当該充電残量に応じて配達希望者から徴収すべき利用料金を変更してもよい。より詳しくは、処理部21は、回収されたバッテリ6の充電残量が多いほど、利用料金を割り引く。なお、回収されたバッテリ6の充電残量は、例えば回収の直近に配達希望者の通信端末3により取得されて管理サーバ2に送信される、回収した配達者の通信端末4により取得されて管理サーバ2に送信される、あるいは、返却された保管場所300の通信端末5により取得されて管理サーバ2に送信されることにより取得できる。
【0084】
[変形例5]
上述した実施形態及び変形例では、管理サーバ2が各バッテリ6の状態を監視して充電方法の情報をバッテリ情報として管理し、配達されたバッテリ6が特定された際に当該バッテリ情報に基づいてその充電方法を判別する態様を説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。配達されたバッテリ6を充電した充電方法は、配達者が配達時に使用したルートやバッテリ6の借用履歴に基づいて推測されるものであってもよい。あるいは、バッテリ6の充電時に、当該バッテリ6が有する不図示の記憶装置に充電方法の情報が格納され、配達後に配達希望者の通信端末3を介して管理サーバ2に当該情報が送信されることにより取得されるものであってもよい。
【0085】
[変形例6]
上述した実施形態及び変形例では、保管場所300の充電設備を使用しない充電方法の例として、配達候補者201の車両202の動力源の駆動により発電された電力を用いて充電する方法を説明した。しかしながら、本発明の実施はこれに限られるものではなく、事業者側が提供する充電設備を使用しない充電方法には、種々の充電方法が含まれることは言うまでもない。一態様では、事業者側が提供する充電設備を使用しない充電方法には、配達候補者201が所有する太陽光発電設備や発動発電機で発電された電力を用いて充電する方法を含むことができる。
【0086】
[実施形態5]
上述した実施形態では、管理サーバ2が決定処理を実行するものとして説明したが、決定処理は、例えば配達情報を取得可能な任意の情報通信端末において実行されるものであってもよい。この場合、情報通信端末が内蔵する不図示のCPUが、HDD等の記憶装置に記録された選択処理のプログラムをRAM等に展開することにより、選択処理が実行される。ここで、CPUが実行する選択処理のプログラムは、CD-ROM等の記憶媒体を介して情報通信端末の記憶装置にインストールされるものであってもよい。
【0087】
以上、複数の実施形態及び変形例に分けて本発明を説明したが、これらの実施形態及び変形例の構成は組み合わせて適用されるものであってよい。
【0088】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は、少なくとも以下の情報処理装置、情報処理方法、記憶媒体及びプログラムを開示する。
【0089】
1.上記実施形態の情報処理装置(2)は、
配達先に配達されたバッテリ(6)を充電した充電方法を判別する判別手段(21)と、
前記判別手段による判別結果に基づいて、前記配達されたバッテリの配達者(201)に付与するインセンティブを決定する第1の決定手段(21)と、を備え、
前記充電方法は、所定の充電設備(300)を利用してバッテリを充電する第1の充電方法と、前記所定の充電設備を利用せずにバッテリを充電する第2の充電方法と、を含み、
前記第1の決定手段は、前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合よりも高価なインセンティブを付与することを決定する。
この実施形態によれば、所定の充電設備を利用せずに充電したバッテリを配達した配達者に対して付与するインセンティブを優遇することができる。
【0090】
2.上記実施形態の情報処理装置は、
前記第2の充電方法は、車両(202)の動力源の駆動により発電された電力でバッテリを充電する充電方法を含む。
この実施形態によれば、車両の走行を利用して副次的に得られる電力でバッテリを充電する充電方法を促進でき、結果、車両走行時に発電される電力を無駄なく流通させつつ、所定の充電設備の規模や導入コスト及びランニングコストを縮小することができる。
【0091】
3.上記実施形態の情報処理装置は、
前記配達先は、バッテリの配達要求を行ったユーザにより指定された場所を含み、
前記情報処理装置は、前記指定された場所にバッテリが配達されたことを検出する検出手段(21)をさらに備え、
前記判別手段は、前記検出手段により前記指定された場所にバッテリが配達されたことが検出された場合に、当該バッテリを充電した充電方法を判別する。
この実施形態によれば、指定された場所にバッテリが配達されたことを条件として、インセンティブの付与が行われるようにすることができる。
【0092】
4.上記実施形態の情報処理装置は、
前記配達要求を受け付ける受付手段と、
前記配達要求が受け付けられたことに応じて、前記指定された場所の情報を前記配達者に提供する提供手段と、をさらに備える。
この実施形態によれば、配達要求に動的に対応した任意の場所へのバッテリの配達を手配することができる。
【0093】
5.上記実施形態の情報処理装置は、
前記第1の決定手段は、
前記配達されたバッテリが前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記指定された場所への配達に係るインセンティブを付与し、
前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記指定された場所への配達に係るインセンティブに加えて、前記第2の充電方法での充電に係るインセンティブを付与する
ことを決定する。
この実施形態によれば、バッテリの充電に係るインセンティブを第2の充電方法に限定して付与することで、第2の充電方法でのバッテリの充電をより促進することができる。
【0094】
6.上記実施形態の情報処理装置は、
前記第2の充電方法での充電に係るインセンティブは、前記配達されたバッテリの前記第2の充電方法での充電量に応じて決定される。
この実施形態によれば、第2の充電方法での蓄電量に応じたインセンティブを付与することができる。
【0095】
7.上記実施形態の情報処理装置は、
バッテリは、事業者により前記配達者を含むユーザに貸与されるものであり、
前記所定の充電設備は、前記事業者が運用する設備である。
この実施形態によれば、バッテリの貸与サービスを提供する事業者の設備を利用してバッテリを充電した場合には、配達者へ付与するインセンティブを安価にすることができる。
【0096】
8.上記実施形態の情報処理装置は、
前記配達先は、前記所定の充電設備を含み、
前記第1の決定手段は、前記配達先が前記所定の充電設備である場合に、前記配達されたバッテリの前記第2の充電方法での充電量に応じて前記配達者に付与するインセンティブを決定する。
この実施形態によれば、所定の充電設備へのバッテリの返却を促進し、かつ、所定の充電設備で発生する充電に係るコストを低減することができる。
【0097】
9.上記実施形態の情報処理装置は、
前記配達者に貸与したバッテリの前記第2の充電方法での充電状態の情報を取得する取得手段(21)と、
前記配達者に貸与したバッテリが満充電状態となってから所定時間経過した場合に、当該配達者の連絡先に情報を送信する送信手段(21)と、をさらに備える。
この実施形態によれば、第2の充電方法での充電が完了したことを配達者に伝達することができる。
【0098】
10.上記実施形態の情報処理装置は、
前記送信手段により送信される情報は、前記配達者に貸与したバッテリの前記所定の充電設備への配達を促す情報を含む。
この実施形態によれば、第2の充電方法で満充電となったバッテリが配達されずに留まることを回避し、充電された電力を有効活用することができる。
【0099】
11.上記実施形態の情報処理装置は、
前記配達者に貸与したバッテリの前記第2の充電方法での充電状態の情報を取得する取得手段(21)と、
バッテリの配達要求を受け付ける受付手段(21)と、
前記配達要求が受け付けられたことに応じて、当該配達要求を行ったユーザにより指定された場所にバッテリを配達する前記配達者を決定する第2の決定手段(21)と、
前記指定された場所の情報を前記第2の決定手段により決定された前記配達者に提供する提供手段(21)と、をさらに備え、
前記第2の決定手段は、バッテリを貸与した前記配達者のうちの当該バッテリが満充電状態となっている前記配達者を、前記指定された場所にバッテリを配達する配達者として優先的に選択する。
この実施形態によれば、第2の充電方法で満充電となったバッテリが配達されずに留まることを回避し、充電された電力を有効活用することができる。
【0100】
12.上記実施形態の情報処理装置は、
前記配達者に付与されるインセンティブは、ポイントを含み、
前記第1の決定手段は、前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合よりも多いポイントを前記配達者に付与することを決定する。
この実施形態によれば、第2の充電方法でのバッテリの充電を促進することができる。
【0101】
13.上記実施形態の情報処理装置は、
バッテリは、代価の支払いを条件として、事業者により前記配達者を含むユーザに貸与されるものであり、
前記配達者に付与されたポイントは、当該配達者がバッテリを借用する際に支払う代価の少なくとも一部として充当可能である。
この実施形態によれば、配達するバッテリを第2の充電方法で充電する配達者を優遇し、バッテリの配達サービスを円滑に機能させることができる。
【0102】
14.上記実施形態の情報処理装置は、
ユーザからバッテリの配達要求を受け付ける受付手段(21)と、
前記配達要求を行ったユーザに請求する代価を、前記配達されたバッテリを充電した充電方法に依らずに決定する第3の決定手段(21)と、をさらに備える。
この実施形態によれば、配達者やバッテリの充電方法の違いによる請求額の上下動を発生させず、配達希望者が継続的に利用しやすい貸与サービスを提供することができる。
【0103】
15.上記実施形態の情報処理装置は、
前記配達要求を行ったユーザに請求する代価は、当該ユーザにより指定された場所への配達に係る配達料である。
この実施形態によれば、指定した場所への配達料の支払いのみの、配達希望者が継続的に利用しやすい貸与サービスを提供することができる。
【0104】
16.上記実施形態の情報処理装置は、
前記配達要求はオプションとして、配達日時と配達期日のいずれかを指定可能であり、
前記第3の決定手段は、前記配達期日が指定された場合に、前記配達日時が指定された場合よりも安価な代価を請求することを決定する。
この実施形態によれば、配達者に時間的猶予を与えることができる配達方式の利用を促進することができる。
【0105】
17.上記実施形態の情報処理装置は、
前記配達要求は、既設のバッテリの回収要求を含み、
前記第3の決定手段は、回収された前記既設のバッテリの充電残量に応じて、前記配達要求を行ったユーザに請求する代価を変更する。
この実施形態によれば、既設のバッテリの使用分に応じてバッテリ交換に係る費用を安価に抑えることができる。
【0106】
18.上記実施形態の情報処理方法は、
情報処理方法であって、
情報処理装置(2)が、
配達先に配達されたバッテリ(6)を充電した充電方法を判別する判別工程(S601)と、
前記判別工程における判別結果に基づいて、前記配達されたバッテリの配達者(201)に付与するインセンティブを決定する決定工程(S602)と、を備え、
前記充電方法は、所定の充電設備(300)を利用してバッテリを充電する第1の充電方法と、前記所定の充電設備を利用せずにバッテリを充電する第2の充電方法と、を含み、
前記決定工程において、前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合よりも高価なインセンティブを付与することが決定される。
この実施形態によれば、所定の充電設備を利用せずに充電したバッテリを配達した配達者に対して付与するインセンティブを優遇することができる。
【0107】
19.上記実施形態の記憶媒体は、
コンピュータに、
配達先に配達されたバッテリ(6)を充電した充電方法を判別する判別処理(S601)と、
前記判別処理による判別結果に基づいて、前記配達されたバッテリの配達者(201)に付与するインセンティブを決定する決定処理(S602)と、
を実行させるプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記充電方法は、所定の充電設備(300)を利用してバッテリを充電する第1の充電方法と、前記所定の充電設備を利用せずにバッテリを充電する第2の充電方法と、を含み、
前記決定処理において、前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合よりも高価なインセンティブを付与することが決定される。
この実施形態によれば、所定の充電設備を利用せずに充電したバッテリを配達した配達者に対して付与するインセンティブを優遇することができる。
【0108】
20.上記実施形態のプログラムは、
コンピュータに、
配達先に配達されたバッテリ(6)を充電した充電方法を判別する判別処理(S601)と、
前記判別処理による判別結果に基づいて、前記配達されたバッテリの配達者(201)に付与するインセンティブを決定する決定処理(S602)と、
を実行させるプログラムであって、
前記充電方法は、所定の充電設備(300)を利用してバッテリを充電する第1の充電方法と、前記所定の充電設備を利用せずにバッテリを充電する第2の充電方法と、を含み、
前記決定処理において、前記配達されたバッテリが前記第2の充電方法で充電したバッテリである場合に、前記第1の充電方法で充電したバッテリである場合よりも高価なインセンティブを付与することが決定される。
この実施形態によれば、所定の充電設備を利用せずに充電したバッテリを配達した配達者に対して付与するインセンティブを優遇することができる。
【0109】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0110】
2:管理サーバ、6:バッテリ、21:処理部、22:記憶部、23:通信部、221:ユーザDB、222:配達候補者DB、223:保管場所DB、224:バッテリDB、225:配達要求DB