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特開2024-123676光デバイス、光送信装置及び光受信装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123676
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】光デバイス、光送信装置及び光受信装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20240905BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240905BHJP
   G02B 6/30 20060101ALI20240905BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G02B6/12
G02B6/42
G02B6/30
G02B6/32
G02B6/12 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031286
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昌樹
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AA01
2H137BA35
2H137BA53
2H137BB02
2H137BB12
2H137BC02
2H137CC01
2H137DB09
2H137DB10
2H137HA00
2H147AA01
2H147AB04
2H147AB05
2H147BB02
2H147BD10
2H147BG06
2H147BG09
2H147BG10
2H147BG14
2H147CC12
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
2H147GA00
2H147GA26
(57)【要約】
【課題】実装工数を減らしながら、光導波路と光ファイバとの間の結合損失を抑制できる光デバイス等を提供する。
【解決手段】光デバイスは、基板と、前記基板上に形成されたトレンチと、前記基板上に形成され、前記トレンチの第1の側面と接続する光導波路と、前記トレンチ内の前記第1の側面に配置され、前記光導波路と接続するレンズと、を有する。更に、光デバイスは、前記トレンチ内の前記第1の側面と対向する第2の側面に近接したチップ端面に接着剤で固定された光ファイバを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されたトレンチと、
前記基板上に形成され、前記トレンチの第1の側面と接続する光導波路と、
前記トレンチ内の前記第1の側面に配置され、前記光導波路と接続するレンズと、
前記トレンチ内の前記第1の側面と対向する第2の側面に近接したチップ端面に接着剤で固定された光ファイバと、
を有することを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記チップ端面は、
前記基板上に形成された第1のクラッド層と、
前記第1のクラッド層上に形成された第2のクラッド層と、を有し、
前記トレンチは、
前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層を貫通するトレンチで形成することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記チップ端面は、
前記基板上に形成された第1のクラッド層と、
前記第1のクラッド層上に形成された第2のクラッド層と、を有し、
前記トレンチは、
前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層を貫通する第1のトレンチと、
前記第1のトレンチの底面にある前記基板に形成された第2のトレンチと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記光導波路は、
前記第1の側面に対して斜めに配置されるように前記基板上に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記トレンチは、
前記光導波路に対して斜めに配置されるように前記基板上に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記チップ端面には、
前記光導波路に対して斜めに配置され、前記光ファイバを接合する傾斜面を有する実装トレンチが形成されたことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項7】
前記チップ端面内の前記傾斜面と、前記光ファイバとの間を接合する前記接着剤の厚みが前記傾斜面に応じて異なることを特徴とする請求項6に記載の光デバイス。
【請求項8】
前記基板は、
前記トレンチの底面、前記第1の側面及び前記第2の側面が形成された部位を切り欠いて基板側トレンチを有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項9】
前記第2の側面は、
前記光導波路を通過する信号光の通過する部位を切り欠いて形成する切欠き部を有することを特徴とする請求項8に記載の光デバイス。
【請求項10】
電気信号に対する信号処理を実行するプロセッサと、
光を発生させる光源と、
前記プロセッサから出力される電気信号を用いて、前記光源から発生する光を変調する光送信器と、を有する光送信装置であって、
前記光送信器内の光デバイスは、
基板と、
前記基板上に形成されたトレンチと、
前記基板上に形成され、前記トレンチの第1の側面と接続する光導波路と、
前記トレンチ内の前記第1の側面に配置され、前記光導波路と接続するレンズと、
前記トレンチ内の前記第1の側面と対向する第2の側面に近接したチップ端面に接着剤で固定された光ファイバと、
を有することを特徴とする光送信装置。
【請求項11】
光を発生させる光源と、
前記光源からの光を用いて受信光を復調する光受信器と、を有する光受信装置であって、
前記光受信器内の光デバイスは、
基板と、
前記基板上に形成されたトレンチと、
前記基板上に形成され、前記トレンチの第1の側面と接続する光導波路と、
前記トレンチ内の前記第1の側面に配置され、前記光導波路と接続するレンズと、
前記トレンチ内の前記第1の側面と対向する第2の側面に近接したチップ端面に接着剤で固定された光ファイバと、
を有することを特徴とする光受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス、光送信装置及び光受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信容量の増加に伴って、光ファイバ通信の需要が増大している。光ファイバ通信では、例えば、コンピュータで用いられる電気信号を光ファイバに通すための光信号に変換する光デバイスが必要となる。光デバイスは市場の要求に合わせて小型かつ低電力で大容量なものが求められており、それを実現するためにSi基板上に導波路や電極基板を集積させたSiPh(Silicon-Photonics)素子が非常に高い注目を集め、日々活発に研究・開発が行われている。SiPhの大きな利点は、CMOS製造に用いられる高精細プロセス技術を生かして、多数の要素デバイスから構成される大規模な光集積回路を容易に製造できる点にある。
【0003】
こうした光集積素子(Photonics Integrated Circuit: PIC)を光通信用のモジュールとして実装するには、光集積素子のSi導波路をチップ端面まで引き回し、Si導波路と光ファイバとを光学的に接続して光の入出力を行う必要がある。従って、Si導波路と光ファイバとの間の接続には低い結合損失と長期的信頼性とが要求されている。
【0004】
図25は、従来の光デバイス100の一例を示す平面模式図、図26は、図25に示すJ-J線の略断面模式図である。光デバイス100は、光ICチップ110と、光ファイバ120と、を有し、光ICチップ110に光ファイバ120を実装するエッジカプラである。光ICチップ110は、Si基板111と、Si基板111上に積層されたSiOの第1のクラッド層112Aと、第1のクラッド層112A上に積層されたSi導波路113と、を有する。光ICチップ110は、第1のクラッド層112A及びSi導波路113上を積層するSiOの第2のクラッド層112Bを有する。第1のクラッド層112A及び第2のクラッド層112Bでクラッド層112を形成する。
【0005】
Si導波路113は、直線導波路113Aと、テーパ導波路113Bとを有する。直線導波路113Aは、直線状の光導波路である。テーパ導波路113Bは、上面から見て、直線導波路113Aからチップ端面114に向けて徐々に導波路幅を小さくするテーパ形状の光導波路である。
【0006】
光ファイバ120は、コア121を有し、光ファイバ120の先端を接合面122としている。そして、光ICチップ110のチップ端面114では、接着剤130を使用して光ファイバ110の接合面122のコア121とSi導波路113の端面との間を光結合する。エッジカプラでは、光ファイバ120と結合するチップ端面114においてSi導波路113の導波路幅を小さくすることで光のモードフィールドが大きくできるため、Si導波路113と光ファイバ120との間の結合損失を小さくできる。
【0007】
光ICチップ110のチップ端面114に光ファイバ120を実装する場合、接着剤130をチップ端面114に塗布し、光ファイバ120をSi導波路113にアライメントし、接着剤130を硬化させて光ファイバ120を光ICチップ110に固定する。
【0008】
しかしながら、エッジカプラ内のSi導波路113の導波路幅を小さくしても、Si導波路113のモードフィールドは光ファイバ120のモードフィールドに比べて小さい。従って、モードフィールドのミスマッチにより、Si導波路113と光ファイバ120のコア121との間で結合損失が発生する。
【0009】
そこで、Si導波路と光ファイバのコアとの間の結合損失を小さくすべく、Si導波路と光ファイバとの間にレンズが配置された光デバイスが知られている。図27は、従来の光デバイス200の一例を示す平面模式図、図28は、図27に示すK-K線の略断面模式図である。光デバイス200は、光ICチップ210と、光ファイバ220と、を有し、光ICチップ210に光ファイバ220を実装するエッジカプラである。
【0010】
光ICチップ210は、Si基板211と、第1のクラッド層212Aと、Si導波路213と、第2のクラッド層212Bとを有する。第1のクラッド層212A及び第2のクラッド層212Bでクラッド層212を形成する。Si導波路213は、直線導波路213Aと、テーパ導波路213Bとを有する。直線導波路213Aは、直線状の光導波路である。テーパ導波路213Bは、直線導波路213Aからチップ端面214に向けて導波路幅を徐々に小さくする光導波路である。Si導波路213のチップ端面214には、レンズ215を配置する。チップ端面114にレンズ215を配置する方法としては、チップ端面114に感光性レジストを塗布し、3Dプリンタを用いてレンズ215を形成する。
【0011】
光デバイス200は、レンズ215を用いて、Si導波路213のモードフィールドと光ファイバ220のコア221のモードフィールドとをマッチングさせることで、結合損失を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2020-173408号公報
【特許文献2】特開2015-22224号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2016/0246004号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、光デバイス200では、Si導波路213のチップ端面214にレンズ215を配置したので、チップ端面214に対して光ファイバ220を離して実装する必要がある。従って、サブマウント上に光ファイバ220を固定する機構が別途必要となるため、従来の光デバイス100に比較して実装工数が多くなる。
【0014】
そこで、このような事態に対処すべく、Si導波路213と光ファイバ220との間の結合損失を抑制しながら、光ICチップ210に対して光ファイバ220を実装する際の実装工数を減らすことができる光デバイスが求められている。
【0015】
一つの側面では、実装工数を減らしながら、光導波路と光ファイバとの間の結合損失を抑制できる光デバイス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一つの態様の光デバイスは、基板と、前記基板上に形成されたトレンチと、前記基板上に形成され、前記トレンチの第1の側面と接続する光導波路と、前記トレンチ内の前記第1の側面に配置され、前記光導波路と接続するレンズと、を有する。更に、光デバイスは、前記トレンチ内の前記第1の側面と対向する第2の側面に近接したチップ端面に接着剤で固定された光ファイバを有する。
【発明の効果】
【0017】
一つの側面によれば、実装工数を減らしながら、光導波路と光ファイバとの間の結合損失を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施例1の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
図2図2は、図1に示すA-A線の略断面模式図である。
図3図3は、実施例2の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
図4図4は、図3に示すB-B線の略断面模式図である。
図5図5は、光デバイスで発生する反射光の一例を示す説明図である。
図6図6は、実施例3の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
図7図7は、図6に示すC-C線の略断面模式図である。
図8図8は、光デバイスで発生する反射光の一例を示す説明図である。
図9図9は、実施例4の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
図10図10は、図9に示すD-D線の略断面模式図である。
図11図11は、光デバイスで発生する反射光の一例を示す説明図である。
図12図12は、実施例5の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
図13図13は、図12に示すE-E線の略断面模式図である。
図14図14は、光デバイスで発生する反射光の一例を示す説明図である。
図15図15は、実施例6の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
図16図16は、図15に示すF-F線の略断面模式図である。
図17図17は、光デバイスで発生する反射光の一例を示す説明図である。
図18図18は、実施例7の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
図19図19は、図18に示すG-G線の略断面模式図である。
図20図20は、光デバイスで発生する反射光の一例を示す説明図である。
図21図21は、実施例8の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
図22図22は、図21に示すH-H線の略断面模式図である。
図23図23は、光デバイスで発生する反射光の一例を示す説明図である。
図24図24は、本実施例の光通信装置の一例を示す説明図である。
図25図25は、従来の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
図26図26は、図25に示すJ-J線の略断面模式図である。
図27図27は、従来の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
図28図28は、図27に示すK-K線の略断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本願の開示する光デバイス等の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0020】
図1は、実施例1の光デバイス1の一例を示す平面模式図、図2は、図1に示すA-A線の断面模式図である。図1に示す光デバイス1は、光ICチップ10と、光ファイバ20とを有し、接着剤30を用いて、光ICチップ10に対して光ファイバ20を実装するエッジカプラである。
【0021】
光ICチップ10は、Si基板11と、Si基板11上に積層されたSiOの第1のクラッド層12Aと、第1のクラッド層12A上に積層されたSi導波路13と、を有する。光ICチップ10は、Si導波路13及び第1のクラッド層12A上に積層されたSiOの第2のクラッド層12Bを有する。第1のクラッド層12A及び第2のクラッド層12Bでクラッド層12を形成する。
【0022】
光ICチップ10は、Si基板11上に形成されたトレンチ15と、トレンチ15の第1の側面41と、トレンチ15内に配置され、Si導波路13の端面に形成されたレンズ16と、を有する。トレンチ15は、第1のクラッド層12A及び第2のクラッド層12Bを表裏に貫通するトレンチで形成する。トレンチ15は、Si導波路13の端面と接続する第1の側面41と、第1の側面41と対向する第2の側面42とを有する。レンズ16は、トレンチ15内の第1の側面41にあるSi導波路13の端面に感光性レジストを塗布して形成する。
【0023】
光ICチップ10は、トレンチ15の第1の側面41と対向する第2の側面42に近接したチップ端面14を有する。第2の側面42に近接するチップ端面14は、光ファイバ20のコア21と接着剤30で接合する接合面である。
【0024】
光ファイバ20を光ICチップ10に実装する場合、光ICチップ10のチップ端面14に接着剤30を塗布し、光ファイバ20のコア21とSi導波路13とのアライメントを確保しながら、接着剤30を硬化させる。その結果、接着剤30を用いて光ファイバ20を光ICチップ10に対して固定する。
【0025】
実施例1の光デバイス1は、Si基板11上に形成されたトレンチ15と、Si基板11上に形成され、トレンチ15の第1の側面41と接続するSi導波路13と、トレンチ15内に配置され、Si導波路13の端面に形成されたレンズ16と、を有する。更に、光デバイス1は、トレンチ15内の第1の側面41と対向する第2の側面42に近接したチップ端面14に接着剤30で光ファイバ20を固定する。その結果、レンズ16による光の結合と、接着剤30による光ファイバ20と光ICチップ10との固定とが両立できるので、実装の工数を減らしながら、光ファイバ20とSi導波路13との間の結合損失を抑制できる。
【0026】
尚、実施例1の光デバイス1内のトレンチ15の底面はSi基板11の面で構成する場合を例示したが、トレンチ15内で光のモードが広がるため、Si基板11による光の吸収によって結合損失が増加してしまう。そこで、このような事態に対処する実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
【実施例0027】
図3は、実施例2の光デバイス1Aの一例を示す平面模式図、図4は、図3に示すB-B線の略断面模式図である。尚、実施例1の光デバイス1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。実施例2の光デバイス1Aと実施例1の光デバイス1とが異なるところは、トレンチ15をSi基板11の表面で有底孔とする代わりに、Si基板11の表面にも第2のトレンチ11Aを形成してトレンチ15Aの深さを深くした点にある。
【0028】
トレンチ15Aは、第1のクラッド層12A及び第2のクラッド層12Bを表裏に貫通する第1のトレンチ15A1と、Si基板11の表面に形成され、第1のトレンチ15A1と連通する第2のトレンチ11Aとを有する。トレンチ15Aは、図2に示すトレンチ15に比較して深さを深くしている。
【0029】
光ICチップ10は、クラッド層12内に形成された第1のトレンチ15A1と、Si基板11に形成された第2のトレンチ11Aとが連通するトレンチ15Aを有する構造にした。
【0030】
実施例2の光デバイス1Aでは、トレンチ15A内のSi基板11上に第2のトレンチ11Aを配置したので、光のモードがSi基板11で吸収しないため、結合損失を低減できる。
【0031】
図5は、光デバイス1Aで発生する反射光の一例を示す説明図である。光デバイス1Aでは、光ファイバ20のコア21とSi導波路13とが直線状にアライメントを確保している。そして、光ファイバ20とSi導波路13との間は、接合面22、接着剤30、チップ端面14、第2の側面42、トレンチ15A、レンズ16、第1の側面41を配置している。Si導波路13から光ファイバ20に光が通過した場合を想定する。光は、Si導波路13、第1の側面41、レンズ16、トレンチ15、第2の側面42、チップ端面14、接着剤30、接合面22を通じて光ファイバ20のコア21に入射する。
【0032】
しかしながら、例えば、接合面22と接着剤30との間、接着剤30とチップ端面14との間、第2の側面42、レンズ16と第1の側面41との間で通過する光に対する反射光が発生し、反射光がSi導波路13に戻ることで光損失が増大することも考えられる。そこで、このような反射光の影響を抑制できる実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。
【実施例0033】
図6は、実施例3の光デバイス1Bの一例を示す平面模式図、図7は、図6に示すC-C線の略断面模式図である。尚、実施例2の光デバイス1Aと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。実施例3の光デバイス1Bと実施例2の光デバイス1Aとが異なるところは、トレンチ15Aの第1の側面41に対して直交する位置にSi導波路13を配置する代わりに、トレンチ15Aの第1の側面41に対して斜め位置にSi導波路13Xを配置した点にある。更に、光ICチップ10Bに実装する光ファイバ20Aは、チップ端面14に対して斜め位置にコア21を接着剤30で配置した。
【0034】
図8は、光デバイス1Bで発生する反射光の一例を示す説明図である。光デバイス1Bでは、光ファイバ20Aのコア21とSi導波路13Xとが直線状にアライメントを確保している。そして、光ファイバ20AとSi導波路13Xとの間は、接合面22A、接着剤30、チップ端面14、第2の側面42、トレンチ15A、レンズ16、第1の側面41を配置している。Si導波路13Xから光ファイバ20Aに光が通過した場合を想定する。光は、Si導波路13X、第1の側面41、レンズ16、トレンチ15A、第2の側面42、チップ端面14、接着剤30、接合面22Aを通じて光ファイバ20Aのコア21に入射する。
【0035】
実施例3の光デバイス1Bは、トレンチ15Aの第1の側面41に対して斜め位置にSi導波路13Xを配置すると共に、チップ端面14に対して斜め位置に光ファイバ20Aを配置した。接合面22Aと接着剤30との間、接着剤30とチップ端面14との間、第2の側面42、レンズ16と第1の側面41との間で通過する光に対する反射光が発生した場合でも、反射光がSi導波路13Xを通過する光に影響を及ぼすような事態を回避できる。
【0036】
実施例3の光デバイス1Bでは、チップ端面14に対して斜め位置に光ファイバ20Aを配置する場合を例示した。しかしながら、光デバイス1Bでは、光ICチップ10Bに対して光ファイバ20Aが斜めに実装することになるため、チップ端面14に対して光ファイバ20Aを実装する面積が増える。そこで、実装面積を抑制できる実施の形態につきに、実施例4として以下に説明する。
【実施例0037】
図9は、実施例4の光デバイス1Cの一例を示す平面模式図、図10は、図9に示すD-D線の略断面模式図である。尚、実施例2の光デバイス1Aと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。実施例4の光デバイス1Cと実施例2の光デバイス1Aとが異なるところは、Si導波路13に対して斜め位置にトレンチ15Cを配置した点にある。チップ端面14は、光ファイバ20に対して垂直に実装する。トレンチ15Cは、第1のトレンチ15A1と、第2のトレンチ11Aと連通して構成する。更に、トレンチ15Cは、第1の側面41Aと、第2の側面42Aとを有する。
【0038】
図11は、光デバイス1Cで発生する反射光の一例を示す説明図である。光デバイス1Cでは、光ファイバ20のコア21とSi導波路13とが直線状にアライメントを確保している。そして、光ファイバ20とSi導波路13との間は、接合面22、接着剤30、チップ端面14、第2の側面42A、トレンチ15C、レンズ16、第1の側面41Aを配置している。Si導波路13から光ファイバ20に光が通過した場合を想定する。光は、Si導波路13、第1の側面41A、レンズ16、トレンチ15C、第2の側面42A
、チップ端面14、接着剤30、接合面22を通じて光ファイバ20のコア21に入射する。
【0039】
実施例4の光デバイス1Cは、Si導波路13に対してトレンチ15Cの第1の側面41A及び第2の側面42Aを斜めに配置した。第2の側面42A、レンズ16と第1の側面41Aとの間で通過する光に対する反射光が発生した場合でも、反射光がSi導波路13を通過する光に影響を及ぼすような事態を回避できる。
【0040】
しかも、チップ端面14は、光ファイバ20に対して垂直に実装するため、実装面積を小さくできる。
【0041】
しかしながら、図11に示す光デバイス1Cでは、トレンチ15C内の第2の側面42A及び、レンズ16と第1の側面41Aとの間で発生する反射光の影響を抑制できる。しかしながら、接合面22と接着剤30との間や、接着剤30とチップ端面14との間で発生する反射光の影響を抑制するのは困難である。そこで、このような事態に対処する実施の形態につき、実施例5として以下に説明する。
【実施例0042】
図12は、実施例5の光デバイス1Dの一例を示す平面模式図、図13は、図12に示すE-E線の略断面模式図である。尚、実施例4の光デバイス1Cと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。実施例5の光デバイス1D内の光ICチップ10Dのチップ端面14には、Si導波路13に対して斜めに配置され、光ファイバ20Aの接合面22Aと接合する傾斜面14A1を有する実装トレンチ14Aが形成される。
【0043】
光ファイバ20は、光ICチップ10Dとの接合時にコア21とSi導波路13とのアライメントが確保できるように、チップ端面14にある実装トレンチ14Aの傾斜面14A1と平行になる接合面22Aを斜めに配置している。そして、光ICチップ10D内のトレンチ15Cと実装トレンチ14Aとを平行に配置する。
【0044】
光デバイス1Dは、光ファイバ20Aの接合面22Aと、光ICチップ10Dの実装トレンチ14A内の傾斜面14A1との間を接着剤30で接合することで、光ICチップ10Dに光ファイバ20Aを実装する。
【0045】
図14は、光デバイス1Dで発生する反射光の一例を示す説明図である。光デバイス1Dでは、光ファイバ20Aのコア21とSi導波路13とが直線状にアライメントを確保している。そして、光ファイバ20AとSi導波路13との間は、接合面22A、接着剤30、チップ端面14の傾斜面14A1、第2の側面42A、トレンチ15C、レンズ16、第1の側面41Aを配置している。Si導波路13から光ファイバ20Aに光が通過した場合を想定する。光は、Si導波路13、第1の側面41A、レンズ16、トレンチ15C、第2の側面42A、傾斜面14A1、接着剤30、接合面22Aを通じて光ファイバ20Aのコア21に入射する。
【0046】
実施例5の光デバイス1Dは、トレンチ15C及び実装トレンチ14AをSi導波路13に対して斜めに配置した。接合面22Aと接着剤30との間、接着剤30と傾斜面14A1との間、第2の側面42A、レンズ16と第1の側面41Aとの間で通過する光に対する反射光が発生した場合でも、反射光がSi導波路13を通過する光に影響を及ぼすような事態を回避できる。
【0047】
尚、図12に示す光ICチップ10D内のトレンチ15Cと実装トレンチ14Aとを平行に配置する場合を例示した。しかしながら、光ファイバ20Aのコア21とSi導波路13とのアライメントを確保するのであれば、トレンチ15Cと実装トレンチ14Aとを平行に配置しなくても良く、適宜変更可能である。トレンチ15Cは、内部が空気(屈折率1)であるのに対し、実装トレンチ14Aは接着剤(屈折率1.4~1.5)30で充填されるので、屈折率に応じてトレンチ15Cの角度を適宜設定できる。更に、トレンチ15Cの幅の違い、光のモードフィールドの違いに応じて、所望の反射抑制となるように夫々のトレンチ15Cの配置角度を調整しても良く、適宜変更可能である。
【0048】
実施例5の光デバイス1Dでは、光ファイバ20Aの接合面22Aが光ICチップ10Dの実装トレンチ14Aの実装面に合わせて平行になるように傾斜面14A1で構成する場合を例示した。しかしながら、傾斜面14A1と接合する光ファイバ20Aの接合面22Aを形成する加工作業が必要となる。しかも、例えば、2芯、3芯のファイバアレイを用いる場合には、その作業負担は多くなる。そこで、このような事態に対処する実施の形態につき、実施例6として以下に説明する。
【実施例0049】
図15は、実施例6の光デバイス1Eの一例を示す平面模式図、図16は、図15に示すF-F線の略断面模式図である。尚、実施例5の光デバイス1Dと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。実施例6の光デバイス1Eは、光ファイバ20の接合面22を傾斜面に加工する必要はなく、光ファイバ20とSi導波路13とのアライメントを調整して光ファイバ20の接合面22と実装トレンチ14Aの傾斜面14A1との間を接着剤30Aで接着した点にある。接合面22と傾斜面14A1との間の接着剤30Aの厚みは、光デバイス1Eの平面から見て、傾斜面14A1に応じて異なる。
【0050】
光デバイス1Eは、光ファイバ20のコア21とSi導波路13とのアライメントを確保しながら光ファイバ20の接合面22と実装トレンチ14Aの傾斜面14A1との間を接着剤30Aで接着した。その結果、光ファイバ20の接合面22を加工する必要はなくなり、しかも、ファイバアレイを用いても実装できる。
【0051】
図17は、光デバイス1Eで発生する反射光の一例を示す説明図である。光デバイス1Eでは、光ファイバ20のコア21とSi導波路13とが直線状にアライメントを確保している。そして、光ファイバ20とSi導波路13との間は、接合面22、接着剤30A、チップ端面14の傾斜面14A1、第2の側面42A、トレンチ15C、レンズ16、第1の側面41Aを配置している。Si導波路13から光ファイバ20に光が通過した場合を想定する。光は、Si導波路13、第1の側面41A、レンズ16、トレンチ15C、第2の側面42A、傾斜面14A1、接着剤30A、接合面22を通じて光ファイバ20のコア21に入射する。
【0052】
実施例6の光デバイス1Eは、トレンチ15C及び実装トレンチ14AをSi導波路13に対して斜めに配置した。接着剤30Aと傾斜面14A1との間、第2の側面42A、レンズ16と第1の側面41Aとの間で通過する光に対する反射光が発生した場合でも、反射光がSi導波路13を通過する光に影響を及ぼすような事態を回避できる。
【0053】
しかしながら、実施例6の光デバイス1Eでは、Si導波路13から出射してレンズ16で広げられた光の一部がSi基板11で吸収されるため、光損失が増加する事態も考えられる。そこで、このような事態に対処する実施の形態につき、実施例7として以下に説明する。
【実施例0054】
図18は、実施例7の光デバイス1Fの一例を示す平面模式図、図19は、図18に示すG-G線の略断面模式図である。尚、実施例6の光デバイス1Eと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。実施例7の光デバイス1Fと実施例6の光デバイス1Eとが異なるところは、トレンチ15Dの底面、第1の側面41A及び第2の側面42A下部にあるSi基板11の一部を切り欠いて基板側トレンチ11Fを光ICチップ10Fに形成した点にある。基板側トレンチ11Fの開口面積は、クラッド層12に形成されたトレンチ15Dの開口面積に比較して広くしている。
【0055】
図20は、光デバイス1Fで発生する反射光の一例を示す説明図である。光デバイス1Fでは、光ファイバ20のコア21とSi導波路13とが直線状にアライメントを確保している。そして、光ファイバ20とSi導波路13との間は、接合面22、接着剤30A、チップ端面14の傾斜面14A1、第2の側面42A、トレンチ15D、レンズ16、第1の側面41Aを配置している。Si導波路13から光ファイバ20に光が通過した場合を想定する。光は、Si導波路13、第1の側面41A、レンズ16、トレンチ15D、第2の側面42A、傾斜面14A1、接着剤30A、接合面22を通じて光ファイバ20のコア21に入射する。
【0056】
実施例7の光デバイス1Fは、トレンチ15D及び実装トレンチ14AをSi導波路13に対して斜めに配置した。接着剤30Aと傾斜面14A1との間、第2の側面42A、レンズ16と第1の側面41Aとの間で通過する光に対する反射光が発生した場合でも、反射光がSi導波路13を通過する光に影響を及ぼすような事態を回避できる。
【0057】
実施例7の光デバイス1Fでは、トレンチ15Dの底面、第1の側面41A及び第2の側面42A下部にあるSi基板11の一部を切り欠いて基板側トレンチ11Fを光ICチップ10Fに形成した。その結果、Si導波路13から出射してレンズ16で広げられた光のSi基板11での吸収を抑制することで、光損失の低減を図ることができる。
【0058】
尚、実施例7の光デバイス1Fでは、トレンチ15Dと接着剤30Aとの間にSiOのクラッド層12があるが、接着剤30Aの屈折率が低い場合は接着剤30AとSiOのクラッド層12との間での光の反射が影響する事態が考えられる。そこで、このような事態に対処する実施の形態につき、実施例8として以下に説明する。
【実施例0059】
図21は、実施例8の光デバイス1Gの一例を示す平面模式図、図22は、図21に示すH-H線の略断面模式図である。尚、実施例7の光デバイス1Fと同一の構成には、同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。実施例8の光デバイス1Gと実施例7の光デバイス1Fとが異なるところは、トレンチ15D内の第1の側面41Aに配置されたレンズ16に対向するトレンチ15D内の第2の側面42Aの一部であるクラッド層12を切り欠く切欠き部42A1を形成した点にある。切欠き部42A1は、Si導波路13と光ファイバ20のコア21との光路上にある。
【0060】
図23は、光デバイス1Gで発生する反射光の一例を示す説明図である。光デバイス1Gでは、光ファイバ20のコア21とSi導波路13とが直線状にアライメントを確保している。そして、光ファイバ20とSi導波路13との間は、接合面22、接着剤30A、チップ端面14の傾斜面14A1、第2の側面42A内の切欠き部42A1、トレンチ15D、レンズ16、第1の側面41Aを配置している。Si導波路13から光ファイバ20に光が通過した場合を想定する。光は、Si導波路13、第1の側面41A、レンズ16、トレンチ15D、第2の側面42A内の切欠き部42A1、傾斜面14A1、接着剤30A、接合面22を通じて光ファイバ20のコア21に入射する。
【0061】
実施例8の光デバイス1Gは、トレンチ15D及び実装トレンチ14AをSi導波路13に対して斜めに配置した。接着剤30Aと切欠き部42A1との間、レンズ16と第1の側面41Aとの間で通過する光に対する反射光が発生した場合でも、反射光がSi導波路13を通過する光に影響を及ぼすような事態を回避できる。
【0062】
実施例8の光デバイス1Gでは、トレンチ15D内の第1の側面41Aに配置されたレンズ16に対向する第2の側面42Aの一部であるクラッド層12を切り欠く切欠き部42A1を形成した。その結果、切欠き部42A1の光路においてはトレンチ15Dと接着剤30Aとの間のSiOが無い状態になるので、接着剤30AとSiOとの間での光の反射がなくなり、反射戻り光を抑制できる。
【0063】
尚、実施例1~8の光デバイス1、1A~1Gでは、光ファイバ20のコア21とSi導波路13とを光結合するエッジカプラで構成する場合を例示したが、Si導波路13に限定されるものではなく、SiN導波路でも良く、適宜変更可能である。
【0064】
実施例1~8の光デバイス1、1A~1Gを内蔵した光通信装置80について説明する。図24は、本実施例の光デバイス1、1A~1Gを内蔵した光通信装置80の一例を示す説明図である。図24に示す光通信装置80は、出力側の光ファイバ及び入力側の光ファイバと接続する。光通信装置80は、DSP(Digital Signal Processor)81と、光源82と、光送信器83と、光受信器84とを有する。DSP81は、デジタル信号処理を実行する電気部品である。DSP81は、例えば、送信データの符号化等の処理を実行し、送信データを含む電気信号を生成し、生成した電気信号を光送信器83に出力する。また、DSP81は、受信データを含む電気信号を光受信器84から取得し、取得した電気信号の復号等の処理を実行して受信データを得る。
【0065】
光源82は、例えば、レーザダイオード等を備え、所定の波長の光を発生させて光送信器83及び光受信器84へ供給する、例えば、ITLA(Integrated Tunable Laser Assembly)である。光送信器83は、DSP81から出力される電気信号によって、光源82から供給される光を変調し、得られた送信光を光ファイバに出力する光変調器である。光送信器83は、光源82から供給される光が導波路を伝搬する際に、この光を光変調器へ入力される電気信号によって変調することで、送信光を生成する。光送信器83は、光ファイバと接続する箇所に本実施例の光デバイス1、1A~1Gであるエッジカプラを内蔵している。
【0066】
光受信器84は、光ファイバから光信号を受信し、光源82から供給される光を用いて受信光を復調する。そして、光受信器84は、復調した受信光を電気信号に変換し、変換後の電気信号をDSP81に出力する。光受信器84は、光ファイバと接続する箇所に本実施例の光デバイス1、1A~1Gであるエッジカプラを内蔵している。
【0067】
尚、説明の便宜上、光通信装置80は、光送信器83及び光受信器84両方を内蔵する場合を例示したが、光送信器83及び光受信器84の何れか一つのみを内蔵しても良い。例えば、光送信器83のみを内蔵している場合は光送信装置、光受信器84のみを内蔵している場合は光受信装置となる。
【符号の説明】
【0068】
1 光デバイス
11 Si基板
11A 第2のトレンチ
12 クラッド層
12A 第1のクラッド層
12B 第2のクラッド層
13 Si導波路
15 トレンチ
15A1 第1のトレンチ
14 チップ端面
14A 実装トレンチ
14A1 傾斜面
16 レンズ
20 光ファイバ
21 コア
30 接着剤
41 第1の側面
42 第2の側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
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