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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123679
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】積層コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20240905BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01F17/00 C
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031290
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】田久保 悠一
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼沼 達
(72)【発明者】
【氏名】飛田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】高久 宗裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 進之介
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB03
5E070CB13
(57)【要約】
【課題】浮遊容量の低減を図ることができる積層コイル部品を提供する。
【解決手段】積層コイル部品1は、素体2と、素体2における主面2cに設けられた端子電極3A,3Bと、素体2内に配置され、端子電極3A,3Bのそれぞれに電気的に接続されたコイル4と、を備え、コイル4は、主面2cに近い第1の配線部11と、主面2dに近い第2の配線部12と、を含み、端子電極3A,3Bにおいて、第1面3aの少なくとも第1の配線部11との対向部分に凹部15が設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の端面、一対の主面、及び一対の側面を有する素体と、
前記素体における前記一対の主面の一方に設けられた一対の端子電極と、
前記素体内に配置され、前記一対の端子電極のそれぞれに電気的に接続されたコイルと、を備え、
前記コイルは、前記一対の主面の一方に近い第1の配線部と、前記一対の主面の他方に近い第2の配線部と、を含み、
前記一対の端子電極において、前記第1の配線部と向き合う面の少なくとも第1の配線部との対向部分に凹部が設けられている積層コイル部品。
【請求項2】
前記凹部の幅は、前記第1の配線部の幅よりも広くなっている、請求項1記載の積層コイル部品。
【請求項3】
前記凹部の断面形状は、前記第1の配線部における前記端子電極側の断面形状に対応した形状となっている、請求項1記載の積層コイル部品。
【請求項4】
前記凹部は、前記一対の端子電極において、前記第1の配線部の延在方向の縁まで延びている、請求項1記載の積層コイル部品。
【請求項5】
前記凹部は、前記一対の端子電極において、前記第1の配線部の延在方向の縁まで延びていない、請求項1記載の積層コイル部品。
【請求項6】
前記凹部は、前記第1の配線部の延在方向と交差する方向に更に設けられている、請求項1~5のいずれか一項記載の積層コイル部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の積層コイル部品として、例えば特許文献1に記載のコイル部品がある。この従来のコイル部品は、絶縁性の素体と、素体内に設けられたコイルと、コイルに電気的に接続された端子電極とを備えている。素体は、直方体形状をなしており、素体の幅は、高さと同等以上、かつ長さ未満となっている。素体内のコイルは、素体の幅方向の略平行となるようにコイル軸を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-232815公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような積層コイル部品では、素体内にコイルを形成にするにあたって、端子電極の近くに位置する第1の配線部と、端子電極から遠くに位置する第2の配線部とが存在する。第1の配線部と端子電極との間の間隔が狭まると、浮遊容量(意図しない部位での容量成分)が生じるおそれがある。したがって、積層コイル部品において、このような浮遊容量を低減できる技術が求められている。
【0005】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、浮遊容量の低減を図ることができる積層コイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る積層コイル部品は、一対の端面、一対の主面、及び一対の側面を有する素体と、素体における一対の主面の一方に設けられた一対の端子電極と、素体内に配置され、一対の端子電極のそれぞれに電気的に接続されたコイルと、を備え、コイルは、一対の主面の一方に近い第1の配線部と、一対の主面の他方に近い第2の配線部と、を含み、一対の端子電極において、第1の配線部と向き合う面の少なくとも第1の配線部との対向部分に凹部が設けられている。
【0007】
この積層コイル部品では、一対の端子電極において、第1の配線部と向き合う面の少なくとも第1の配線部との対向部分に凹部が設けられている。かかる凹部の形成により、第1の配線部と一対の端子電極との対向部分の間隔を確保できる。したがって、この積層コイル部品では、浮遊容量の低減が図られる。また、一対の端子電極において、第1の配線部と向き合う面は素体と向き合う面であり、当該面に凹部による凹凸が設けられることで、素体と一対の端子電極との固着強度を向上できる。
【0008】
凹部の幅は、第1の配線部の幅よりも広くなっていてもよい。この場合、第1の配線部と一対の端子電極との対向部分の間隔を一層十分に確保できる。したがって、浮遊容量の一層の低減が図られる。
【0009】
凹部の断面形状は、第1の配線部における端子電極側の断面形状に対応した形状となっていてもよい。この場合、第1の配線部と一対の端子電極との対向部分の間隔を一層十分に確保できる。したがって、浮遊容量の一層の低減が図られる。
【0010】
凹部は、一対の端子電極において、第1の配線部の延在方向の縁まで延びていてもよい。この場合、凹部の形状が簡単化され、凹部の形成が容易となる。凹部の形成が容易となることで、凹部の形状のばらつきを抑えることができる。
【0011】
凹部は、一対の端子電極において、第1の配線部の延在方向の縁まで延びていなくてもよい。この場合、一対の端子電極において第1の配線部の延在方向の縁が凸となることで、素体と一対の端子電極との固着強度を向上できる。
【0012】
凹部は、第1の配線部の延在方向と交差する方向に更に設けられていてもよい。これにより、一対の端子電極において、第1の配線部と向き合う面に凹部による凹凸が更に設けられる。したがって、素体と一対の端子電極との固着強度を一層向上できる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、浮遊容量の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一実施形態に係る積層コイル部品の斜視図である。
図2図1に示した積層コイル部品を実装面から見た図である。
図3図1に示した積層コイル部品を側面から見た図である。
図4図3におけるIV-IV線断面図である。
図5】端子電極及び第1の配線部の構成を示す要部拡大図である。
図6】端子電極及び第1の配線部の変形例を示す断面図である。
図7】端子電極及び第1の配線部の別の変形例を示す断面図である。
図8】凹部の変形例を示す要部拡大図である。
図9】凹部の別の変形例を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る積層コイル部品の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本開示の一実施形態に係る積層コイル部品の斜視図である。図2は、図1に示した積層コイル部品を実装面から見た図であり、図3はその側面図である。図1図3に示すように、積層コイル部品1は、素体2と、一対の端子電極3A,3Bと、コイル4とを備えている。説明の便宜上、図1図3では、素体2を仮想線で示している。また、図2では、素体2及び端子電極3A,3Bを仮想線で示している。
【0017】
素体2は、例えば直方体形状をなしている。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされた形状、角部及び稜線部が丸められた形状も含まれ得る。素体2は、一対の端面2a,2bと、一対の主面2c,2dと、一対の側面2e,2fとを有している。端面2a,2b同士、主面2c,2d同士、側面2e,2f同士は、互いに対向している。主面2cは、積層コイル部品1における実装面となっている。実装面は、積層コイル部品1を他の電子部品(回路基板など)に接続する際に、当該他の電子部品と対向する面である。
【0018】
以下の説明では、端面2a,2bの対向方向をD1方向、主面2c,2dの対向方向をD2方向、側面2e,2fの対向方向をD3方向と称する。D1方向、D2方向、及びD3方向は、互いに直交している。
【0019】
素体2は、複数の素体層がD2方向に積層されることによって構成されている。実際の素体2では、各素体層は、素体層間の境界が視認できない程度に一体化されている。素体層は、例えば樹脂層によって構成されている。素体層の構成材料としては、例えば液晶ポリマ、ポリイミド樹脂、結晶性ポリスチレン、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ビスマレイド系樹脂、及びフッ素系樹脂から選択される少なくとも一つの材料が挙げられる。素体層は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーとしては、例えばシリカなどの無機フィラーが挙げられる。
【0020】
素体層は、磁性材料を含んでいてもよい。磁性材料としては、例えばNi-Cu-Zn系フェライト材料、Ni-Cu-Zn-Mg系フェライト材料、Ni-Cu系フェライト材料などが挙げられる。磁性材料には、Fe合金が含まれていてもよい。素体層は、非磁性材料を含んでいてもよい。非磁性材料としては、例えばガラスセラミック材料、誘電体材料などが挙げられる。
【0021】
端子電極3A,3Bは、いずれも素体2の主面2cに設けられている。端子電極3A,3Bは、主面2cにおいて、D1方向に離間して配置されている。端子電極3Aは、端面2a寄りに位置し、端子電極3Bは、端面2b寄りに位置している。
【0022】
端子電極3A,3Bは、いずれもD2方向から見て矩形(長方形)の扁平な板状をなしている。端子電極3A,3Bのそれぞれは、第1面3a及び第2面3bを有している。第1面3aは、コイル4(後述の第1の配線部11)と向き合う面である。第2面3bは、第1面3aの反対面であり、素体2の外側を向く面である。本実施形態では、端子電極3A,3Bは、素体2に埋没している。第1面3aは、素体2内に位置しており、第2面3bは、主面2cと面一の状態で素体2から露出している。
【0023】
端子電極3A,3Bは、例えば銅などの導電材料によって構成されている。端子電極3A,3Bには、電解めっき又は無電解めっきにより、Ni、Sn、Auなどによるめっき層が設けられていてもよい。めっき層は、複数の層で構成されていてもよい。例えば端子電極3A,3B側から順に、Niめっき層とAuめっき膜とが設けられていてもよい。
【0024】
コイル4は、素体2の内部に配置されている。コイル4の軸(コイル軸)は、D3方向に沿って延びている。コイル4の一方の端部は、第1の接続導体6を介して端子電極3Aに電気的に接続され、コイル4の他方の端部は、第2の接続導体7を介して端子電極3Bに電気的に接続されている。
【0025】
コイル4は、複数の第1の配線部11と、複数の第2の配線部12と、複数のピラー13とが電気的に接続されることによって巻線状に構成されている。第1の配線部11、第2の配線部12、及びピラー13は、いずれも銅などの導電材料によって構成されている。第1の配線部11、第2の配線部12、及びピラー13は、いずれも端面2a,2b、主面2c,2d、及び側面2e,2fから露出せず、素体2の内部に位置している。
【0026】
第1の配線部11は、実装面である主面2cに近い配線部である。第1の配線部11は、D3方向に配列され、互いに略平行となるようにD1方向に沿って延在している。第2の配線部12は、実装面と反対側の主面2dに近い配線部である。第2の配線部12は、D3方向に配列され、互いに略平行となるようにD1方向に対して斜めに延在している。
【0027】
ピラー13は、素体2における端面2a側及び端面2b側にそれぞれ配置されている。ピラー13は、D3方向に配列され、互いに略平行となるように、D2方向に延在している。端面2a側のピラー13は、第1の配線部11の端面2a側の端部と、第2の配線部12の端面2a側の端部とを繋いでいる。端面2b側のピラー13は、第1の配線部11の端面2b側の端部と、第2の配線部12の端面2b側の端部とを繋いでいる。
【0028】
続いて、上述した第1の配線部11、第2の配線部12、及び端子電極3A,3Bの構成について、更に詳細に説明する。
【0029】
図4は、図3におけるIV-IV線断面図である。図4に示すように、積層コイル部品1では、少なくとも一対の端子電極3A,3Bとの対向部分において、第1の配線部11の少なくとも一部の幅W1が第2の配線部12の幅W2以下となっており、且つ第1の配線部11の少なくとも一部の断面形状が一対の端子電極3A,3Bに向かって狭まる部分を有している。
【0030】
第1の配線部11と端子電極3A,3Bとの対向部分とは、D2方向から見た場合に、第1の配線部11と端子電極3A,3Bとが重なり合う部分である(図2参照)。上記部分における第1の配線部11の幅W1は、D3方向における第1の配線部11の最大幅であり、第2の配線部12の幅W2は、D3方向における第2の配線部12の最大幅である。
【0031】
本実施形態では、第2の配線部12の全体が上記部分に相当しており、当該部分において、本実施形態では、第1の配線部11の断面形状と第2の配線部12の断面形状とが互いに異なっている。図4の例では、第1の配線部11の断面形状は、第1の配線部11の延在方向の全体にわたって円形状となっており、端子電極3A,3B側の半円部分が端子電極3A,3Bに向かって狭まる部分に相当している。一方、第2の配線部12の断面形状は、第2の配線部12の延在方向の全体にわたって矩形状となっている。より詳細には、第2の配線部12の断面形状は、D2方向を短辺とし、D3方向を長辺とする長方形状となっている。第1の配線部11の幅W1は、円形状である第1の配線部11の直径に相当し、第2の配線部12の幅W2は、長方形である第2の配線部12の長辺の長さに相当している。
【0032】
D2方向における第1の配線部11の幅と、D2方向における第2の配線部12の幅との大小関係は任意であるが、第1の配線部11の断面積は、第2の配線部12の断面積以下となっている。
【0033】
また、積層コイル部品1では、図4及び図5に示すように、一対の端子電極3A,3Bにおいて、第1の配線部11と向き合う面(すなわち、第1面3a)に凹部15が設けられている。凹部15は、端子電極3A,3Bの第1面3aにおいて、少なくとも第1の配線部11との対向部分に設けられている。第1の配線部11と端子電極3A,3Bとの対向部分とは、上述したように、D2方向から見た場合に、第1の配線部11と端子電極3A,3Bとが重なり合う部分である。
【0034】
本実施形態では、図4に示すように、凹部15は、断面矩形状をなしている。凹部15の幅(D3方向の幅)W3は、第1の配線部11の幅W1よりも広くなっている。これにより、第1の配線部11をD2方向に沿って端子電極3A,3Bに投影した場合に、第1の配線部11の投影領域の全体が凹部15内に位置するようになっている。また、本実施形態では、図5に示すように、凹部15は、端子電極3A,3Bにおいて、第1の配線部11の延在方向の縁まで延びている。すなわち、凹部15は、D2方向から見て、端子電極3A,3Bの端面2a側の縁と端面2b側の縁とを結ぶように、D1方向に沿って一直線上に延びている。
【0035】
以上説明したように、積層コイル部品1では、端子電極3A,3Bにおいて、第1の配線部11と向き合う第1面3aの少なくとも第1の配線部11との対向部分に凹部15が設けられている。かかる凹部15の形成により、第1の配線部11と端子電極3A,3Bとの対向部分の間隔を確保できる。したがって、積層コイル部品1では、浮遊容量の低減が図られる。また、端子電極3A,3Bにおいて、第1の配線部11と向き合う第1面3aは素体2と向き合う面であり、当該第1面3aに凹部15による凹凸が設けられることで、素体2と端子電極3A,3Bとの固着強度を向上できる。
【0036】
本実施形態では、凹部15の幅W3が第1の配線部11の幅W1よりも広くなっている。これにより、第1の配線部11と端子電極3A,3Bとの対向部分の間隔を一層十分に確保できる。したがって、浮遊容量の一層の低減が図られる。
【0037】
本実施形態では、凹部15は、端子電極3A,3Bにおける第1の配線部11の延在方向の縁まで延びている。この場合、凹部15の形状が簡単化され、凹部15の形成が容易となる。凹部15の形成が容易となることで、凹部15の形状のばらつきを抑えることができる。
【0038】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、端子電極3A,3Bが素体2に埋没しており、端子電極3A,3Bの第2面3bが主面2cと面一の状態で素体2から露出しているが、端子電極3A,3Bが素体2の外部に位置し、端子電極3A,3Bの第1面3aが主面2cに固着していてもよい。
【0039】
上記実施形態では、第1の配線部11の断面形状が円形状をなしているが、第1の配線部11の断面形状はこれに限られるものではない。例えば図6に示すように、第1の配線部11の断面形状を三角形状としてもよく、図7に示すように、第1の配線部11の断面形状を端子電極3A,3B側が凸状に湾曲した形状としてもよい。図6の例では、第1の配線部11の断面形状は、頂部の一つが端子電極3A,3B側を向く逆三角形状となしている。三角形状は、二等辺三角形状、直角二等辺三角形状、正三角形状などであってもよい。図7の例では、第1の配線部11の断面形状は、端子電極3A,3Bと反対を向く部分で矩形状となっており、端子電極3A,3B側を向く部分が円弧状或いは半円状となっている。このような構成であっても、第1の配線部11と端子電極3A,3Bとの対向部分の間隔をより確実に確保できる。したがって、浮遊容量の更なる低減が図られる。一方、第2の配線部12の断面積の確保が容易となり、コイル4の直流抵抗の増大を抑制できる。
【0040】
上記実施形態では、凹部15の断面形状が矩形状をなしているが、凹部15の断面形状は、第1の配線部11における端子電極3A,3B側の断面形状に対応した形状となっていてもよい。図6の例では、凹部15の断面形状は、三角形状の第1の配線部11に対応して三角形状となっている。図7の例では、凹部15の断面形状は、第1の配線部11において端子電極3A,3B側を向く部分の形状に対応して円弧状或いは半円状となっている。図7に示す円弧状或いは半円状の断面形状を有する凹部15は、上記実施形態のように円形状の第1の配線部11に適用してもよい。このような構成によれば、第1の配線部11と端子電極3A,3Bとの対向部分の間隔を一層十分に確保できる。したがって、浮遊容量の一層の低減が図られる。
【0041】
上記実施形態では、第1の配線部11の延在方向の全体にわたって、第1の配線部11の断面形状が端子電極3A,3Bに向かって狭まる形状を有しているが、端子電極3A,3Bとの対向部分のみが端子電極3A,3Bに向かって狭まる形状となっていてもよい。この場合、端子電極3A,3Bと対向しない部分については、例えば第2の配線部12と同じ断面形状となっていてもよい。
【0042】
上記実施形態では、D3方向に配列された複数の第1の配線部11の全てにおいて、断面形状が端子電極3A,3Bに向かって狭まる形状を有しているが、複数の第1の配線部11の一部のみの断面形状が端子電極3A,3Bに向かって狭まる形状を有していてもよい。この場合、浮遊容量を効率的に低減する観点からは、コイル4の巻線方向の端部に位置する(第1の接続導体6或いは第2の接続導体7に最も近い)第1の配線部11のみの断面形状を端子電極3A,3Bに向かって狭まる形状としてもよい。
【0043】
端子電極3A,3B間の電位差を考慮すると、第1の接続導体6に最も近い第1の配線部11では、第1の接続導体6が接続される端子電極Aと反対の端子電極3Bとの対向部分のみが端子電極3Bに向かって狭まる断面形状となっていてもよい。同様に、第2の接続導体7に最も近い第1の配線部11では、第2の接続導体7が接続される端子電極Bと反対の端子電極3Aとの対向部分のみが端子電極3Aに向かって狭まる断面形状となっていてもよい。
【0044】
上記実施形態では、端子電極3A,3Bにおいて、凹部15が第1の配線部11の延在方向の縁まで延びているが、図8に示すように、端子電極3A,3Bにおいて、凹部15が第1の配線部11の延在方向の縁まで延びていない態様であってもよい。この場合、端子電極3A,3Bにおいて第1の配線部11の延在方向の縁が凸となることで、素体2と端子電極3A,3Bとの固着強度を向上できる。
【0045】
図9に示すように、凹部15は、第1の配線部11の延在方向と交差する方向に更に設けられていてもよい。図9の例では、追加の凹部15は、端子電極3A,3Bの第1面3aにおいて、第1の配線部11の延在方向と直交するようにD3方向に沿って設けられている。この場合、端子電極3A,3Bにおいて、第1の配線部11と向き合う面に凹部15による凹凸が更に設けられる。したがって、素体2と端子電極3A,3Bとの固着強度を一層向上できる。追加の凹部15は、端子電極3A,3Bにおける側面2e側の縁及び側面2f側の縁まで延びていてもよく、端子電極3A,3Bにおける側面2e側の縁及び側面2f側の縁まで延びていなくてもよい。
【0046】
上記実施形態では、少なくとも端子電極3A,3Bとの対向部分において、第1の配線部11の断面形状が端子電極3A,3Bに向かって狭まる形状を有しているが、第1の配線部11の断面形状は、これに限られず、第2の配線部12の断面形状と同様の矩形状をなしていてもよい。
【0047】
本開示の要旨は、以下の[1]~[6]に示すとおりである。
[1]一対の端面、一対の主面、及び一対の側面を有する素体と、前記素体における前記一対の主面の一方に設けられた一対の端子電極と、前記素体内に配置され、前記一対の端子電極のそれぞれに電気的に接続されたコイルと、を備え、前記コイルは、前記一対の主面の一方に近い第1の配線部と、前記一対の主面の他方に近い第2の配線部と、を含み、前記一対の端子電極において、前記第1の配線部と向き合う面の少なくとも第1の配線部との対向部分に凹部が設けられている積層コイル部品。
[2]前記凹部の幅は、前記第1の配線部の幅よりも広くなっている、[1]記載の積層コイル部品。
[3]前記凹部の断面形状は、前記第1の配線部における前記端子電極側の断面形状に対応した形状となっている、[1]又は[2]記載の積層コイル部品。
[4]前記凹部は、前記一対の端子電極において、前記第1の配線部の延在方向の縁まで延びている、[1]~[3]のいずれか記載の積層コイル部品。
[5]前記凹部は、前記一対の端子電極において、前記第1の配線部の延在方向の縁まで延びていない、[1]~[3]のいずれか記載の積層コイル部品。
[6]前記凹部は、前記第1の配線部の延在方向と交差する方向に更に設けられている、[1]~[5]のいずれか記載の積層コイル部品。
【符号の説明】
【0048】
1…積層コイル部品、1…積層コイル部品、2…素体、2a,2b…端面、2c,2d…主面、2e,2f…側面、3A,3B…端子電極、3a…第1面(第1の配線部と向き合う面)、4…コイル、11…第1の配線部、12…第2の配線部、15…凹部、W1…第1の配線部の幅、W3…凹部の幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9