(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123680
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】工作装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20240905BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B23Q11/00 A
F16F15/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031291
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 幸人
(72)【発明者】
【氏名】今西 耕造
(72)【発明者】
【氏名】澁川 大朗
【テーマコード(参考)】
3C011
3J048
【Fターム(参考)】
3C011AA06
3J048AD07
3J048BF01
3J048CB22
3J048EA07
(57)【要約】
【課題】工作装置の振動を効果的に低減する。
【解決手段】工作装置12は、工作物を保持する工作物保持部材16と、工具を保持する主軸28と、主軸28を工作物保持部材16に対し相対移動可能に保持する主軸保持体26と、主軸保持体26に備えられる動吸振器38と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物を保持する工作物保持部材と、
工具を保持する主軸と、
前記主軸を前記工作物保持部材に対し相対移動可能に保持する主軸保持体と、
前記主軸保持体に備えられる動吸振器と、
を有する工作装置。
【請求項2】
前記動吸振器は、前記主軸保持体の外面を部分的に凹ませた凹部内に取り付けられる、請求項1に記載の工作装置。
【請求項3】
前記動吸振器は、前記主軸保持体に対する質量体の併進運動により振動を吸収する、請求項1に記載の工作装置。
【請求項4】
前記動吸振器は、前記主軸保持体に対する質量体の回転運動により振動を吸収する、請求項1に記載の工作装置。
【請求項5】
前記主軸保持体を前記工作物保持部材に対し接離する方向へスライド可能とするスライド部材を備え、
前記動吸振器は、前記接離する方向での振動を吸収する、請求項1に記載の工作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、動吸振器を、アダプターを介して工作機械の主軸の周囲に取り付けた構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構造では、動吸振器が工作機械の主軸の周囲に取り付けられており、構造及び配置の制約が多いことから、十分に振動を吸収できない場合がある。すなわち、工作機械の振動をより効果的に抑制するには、改善の余地がある。
【0005】
本開示の目的は、工作装置の振動を効果的に低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の工作装置は、工作物を保持する工作物保持部材と、工具を保持する主軸と、前記主軸を前記工作物保持部材に対し相対移動可能に保持する主軸保持体と、前記主軸保持体に備えられる動吸振器と、を有する。
【0007】
この工作装置では、主軸保持体に主軸が保持されており、主軸を工作物保持部材に対し相対移動させることで、工作物に対し工具により加工が可能である。主軸保持体には動吸振器が備えられており、動吸振器により主軸保持体の振動を吸収できる。動吸振器が主軸保持体に備えられることで、動吸振器が主軸に備えられている構成と比較して、動吸振器の構造及び配置を、より振動吸収に適したものとすることができ、工作装置の振動をより効果的に低減できる。
【0008】
第二態様の工作装置は、第一態様において、前記動吸振器は、前記主軸保持体の外面を部分的に凹ませた凹部内に取り付けられる。
【0009】
動吸振器は凹部に取り付けられるので、主軸保持体からの動吸振器の出っ張りを少なくできる。
【0010】
第三態様の工作装置は、第一態様において、前記動吸振器は、前記主軸保持体に対する質量体の併進運動により振動を吸収する。
【0011】
質量体の併進運動、すなわち主軸保持体の振動方向と平行な方向の運動によって、工作装置の振動を低減できる。
【0012】
第四態様の工作装置は、第一態様において、前記動吸振器は、前記主軸保持体に対する質量体の回転運動により振動を吸収する。
【0013】
質量体の回転運動によって、工作装置の振動を低減できる。
【0014】
第五態様の工作装置は、前記主軸保持体を前記工作物保持部材に対し接離する方向へスライド可能とするスライド部材を備え、前記動吸振器は、前記接離する方向での振動を吸収する。
【0015】
主軸保持体が工作物保持部材に対し接離する方向に振動した場合に、この振動を動吸振器により吸収できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の技術では、工作装置の振動を効果的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は第一実施形態の工作装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は第一実施形態の工作装置を示す正面図である。
【
図3】
図3は第一実施形態の工作装置を部分的に示す平面図である。
【
図4】
図4は第一実施形態の工作装置を部分的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は第一実施形態の変形例の工作装置を部分的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は第一実施形態の工作装置の振動系を示す概念図である。
【
図7】
図7は工作装置における振動の周波数とコンプライアンスとの関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は工作装置における振動の周波数とイナータンスとの関係を示すグラフである。
【
図9】
図9は第二実施形態の工作装置を部分的に示す斜視図である。
【
図10】
図10は第二実施形態の工作装置を部分的に示す分解斜視図である。
【
図11】
図11は第三実施形態の工作装置を部分的に示す斜視図である。
【
図12】
図12は第三実施形態の工作装置の動吸振器を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して第一実施形態の工作装置12について説明する。
【0019】
図1~
図3には、工作装置12が示されている。本開示の技術の工作装置12は、いわゆるギアスカイビング装置であり、たとえば、円柱状の工作物WK(
図2参照)に、工具TL(
図2参照)によって所定のギア加工を施す装置である。
【0020】
以下、図面において、工作装置12の幅方向、奥行方向及び上下方向をそれぞれ矢印W、矢印D及び矢印Hで示す。ただし、これらの方向は説明の便宜上の方向であり、実際の工作装置12の使用時における方向を制限するものではない。
【0021】
工作装置12は、支持台14、工作物保持部材16及び工具保持部材18を有している。支持台14の上面には第一レール20及び第二レール22が設けられている。工作物保持部材16は第一レール20に沿って矢印D方向にスライド可能であり、工具保持部材18は第二レール22に沿って矢印W方向にスライド可能である。特に、工具保持部材18はこのスライドにより工作物保持部材16に対し相対移動可能、すなわち接近及び離隔可能である。第二レール22はスライド部材の一例である。
【0022】
工作物保持部材16は、工作物保持具24を有している。工作物保持具24を介して、工作物保持部材16は工作物WKを保持する。
【0023】
工具保持部材18は、主軸保持体26及び主軸28を有している。主軸保持体26は、一対の側壁30と、上壁32及び下壁34を有する枠状の部材である。側壁30の間に主軸28が固定されており、これによって主軸28が主軸保持体26に保持されている。
【0024】
主軸28は、工具TLを回転可能に保持する。工具TLは、図示しない回転駆動装置(モータ等)によって、回転可能である。そして、工具保持部材18が工作物保持部材16に対し接近及び離隔しつつ工具TLが回転することで、工具TLによって工作物WKを加工することができる。また、主軸28は、同じく図示しないアクチュエータにより、上下方向に移動可能とされていてもよい。
【0025】
側壁30及び上壁32の外面には、1つ又は複数の孔部36が形成されている。孔部36は、たとえば、主軸保持体26を組み立てる場合に、組立作業を行うために使用される。
【0026】
図3及び
図4にも示すように、上壁32の上面には、動吸振器38が備えられている。動吸振器38は、ハウジング40、質量体42及び弾性支持体44を有している。
図3及び
図4に示す例では、ハウジング40は、上面が開放された箱状の部材である。質量体42は、ハウジング40の内部に収容された直方体状の部材である。質量体42とハウジング40との間には、矢印W方向に間隙GP1が構成されている。この間隙GP1に、複数の弾性支持体44が備えられている。弾性支持体44は、質量体42をハウジング40に対し支持しており、質量体42とハウジング40との間には、矢印H方向にも間隙GP2が構成されている。換言すれば、質量体42はハウジング40に対し浮いた状態で支持されている。
【0027】
弾性支持体44は所定の弾性を有しており、この弾性の範囲で、質量体42はハウジング40に対し矢印W方向の相対移動が可能である。この相対移動は、後述する主軸保持体26の振動方向と平行、すなわち併進運動となっている。
【0028】
なお、質量体42をこのように支持できれば、弾性支持体44の数は特に限定されないが、
図3及び
図4に示す例では、それぞれの間隙GP1に2個ずつ、合計で4個の弾性支持体44を有する構成である。これに代えて、たとえば
図5に示す変形例のように、それぞれの間隙GP1に4個ずつ、合計で8個の弾性支持体44を有する構成でもよい。
【0029】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0030】
図6は、第一実施形態の工作装置12において、主軸保持体26を主系52A、動吸振器38を副系52Bとしてモデル化した振動系52の力学的な概念図である。この振動系52の主系52Aには固有の振動モードがある。そして、たとえば工作物WKに対し工具TLを用いて加工を行っている状態で、工具TLから主軸28に作用した振動が増幅されると、加工精度の低下を招く。たとえば、
図2に矢印V1で示すように、振動がさらに主軸保持体26に作用し、主軸保持体26が、第二レール22の一部を支点として矢印W方向の成分を有する振動を生じることがある。
【0031】
本実施形態の工作装置12では、主軸保持体26に動吸振器38が備えられている。動吸振器38は、主軸保持体26の振動時に、質量体42の振動により、主軸保持体26の振動エネルギーの一部を吸収する。
【0032】
図6に示したように、本開示の技術では、主軸保持体26は質量m1を有すると共に、支持台14に対しバネ定数k1の弾性体54によって支持されているとしてモデル化している。また、質量体42は質量m2を有しており、弾性支持体44はバネ定数k2、減衰定数c2を有している。なお、弾性体54のバネ定数k1は、実質的には主軸保持体26を第二レール22に取り付ける取付具等によって発現される。また、弾性体54も所定の減衰定数を有しているが、弾性支持体44の減衰定数c2と比較して小さいので、ここでは無視できる。
【0033】
ここで、動吸振器38を有さない構成の主軸保持体26を想定する。この構成では、主軸保持体26が弾性体54の弾性によって振動する。そして、振動が増幅した場合には、上記したように、工作物WKに対する加工精度の低下を招くことがある。
【0034】
これに対し、本実施形態の工作装置12では、主軸保持体26に動吸振器38が備えられている。主軸保持体26が振動した場合に、動吸振器38の質量体42も振動する。しかも、動吸振器38の振動は、弾性支持体44によって減衰される。これにより、振動エネルギーが主軸保持体26と質量体42とに分散すると共に弾性支持体44に吸収されるので、主軸保持体26自体の振動エネルギーとしては小さくなる。主軸保持体26の振動が抑制されるので、工作装置12において工作物WKを加工する場合の加工精度が高くなる。
【0035】
図7には、本実施形態のように動吸振器38を備えた工作装置12と、動吸振器38を備えていない工作装置のそれぞれにおける、振動の周波数と機械的コンプライアンスとの関係が示されている。
図7において、動吸振器38を備えた工作装置12の場合が実線で、動吸振器38を備えていない工作装置の場合が一点鎖線で、それぞれ示されている。このグラフから分かるように、動吸振器38を備えている本実施形態の工作装置12では、動吸振器38を備えていない工作装置と比較して、機械的コンプライアンスの極大値が小さくなっており、振動を抑制する効果、特に振幅を低減する効果が高いことが分かる。
【0036】
ここで、さらに比較例として、動吸振器が、主軸保持体26ではなく、たとえば主軸28に備えられた構成を想定する。動吸振器が主軸28に設けられた比較例の構成では、動吸振器の構造や配置に生じる制約が大きい。
【0037】
これに対し、本実施形態の工作装置12では、動吸振器38が主軸保持体26に備えられており、比較例の構成と比較して、動吸振器38の構造及び配置に対する制約が少ない。このため、主軸保持体26に作用した振動を減衰させるために、より好ましい構造及び配置とすることが可能である。たとえば、動吸振器38では
図6に示したように、振動の副系52Bとして所定のバネ定数k2及び減衰定数c2を有するが、本実施形態では、これらの数値の設定範囲が広くなる。このため、動吸振器38の固有振動に対し、この固有振動を効果的に減衰させることが可能なバネ定数k2及び減衰定数c2に設定できる。また、質量体42の形状変更等により、質量m2を調整することも容易である。
【0038】
図8には、第一実施形態の工作装置12において、質量体42の質量の設定を変更した場合の、振動の周波数とイナータンスとの関係が示されている。このグラフにおける「質量比」は、主軸保持体26に対する質量体42の質量の比である。主軸保持体26の質量は一定であるため、質量体42の質量によって、この「質量比」を容易に所望の値に設定できる。
【0039】
このグラフから分かるように、質量体42の質量の値を変更することで、イナータンスの極大値は異なる値となっている。本実施形態の工作装置12では、質量体42の形状の制約が少ないことにより質量の設定の自由度も高いので、所望のイナータンスを得やすい構成である。
【0040】
第一実施形態の工作装置12において、動吸振器38の取付位置は、上壁32の上面に限らず、たとえば、側壁30の側面(奥行方向の手前側又は奥側の面)であってもよい。いずれにしても、主軸保持体26の形状を変更することなく、動吸振器38を主軸保持体26に取り付けることが可能である。
【0041】
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態において、第一実施形態と同様の要素、部材等については、第一実施形態を同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0042】
図9及び
図10に示すように、第二実施形態の工作装置62では、主軸保持体26の上壁32の上面に、凹部64が形成されている。この凹部64内には、動吸振器38が収容されて取り付けられている。なお、主軸保持体26としては、上壁32が部分的に薄肉になるが、全体としては所望の強度及び剛性が得られるように、凹部64の形状及び位置が設定されている。
【0043】
このような構成とされた第二実施形態の工作装置62においても、動吸振器38を有しているので、主軸保持体26が振動した場合に、この振動が弾性支持体44によって減衰される。
【0044】
特に第二実施形態の工作装置62では、上壁32が部分的に薄肉になっていることで、主軸保持体26の質量が第一実施形態の主軸保持体26と比較して小さい。そして主軸保持体26と動吸振器38とを合わせた質量が、動吸振器38を設けない場合の主軸保持体26の質量に近くなるように設定することが可能である。すなわち、動吸振器38の質量を有効に活用して、主軸保持体26と動吸振器38との全体で所望の質量を有する構造にすることが可能である。
【0045】
また、第二実施形態の工作装置62では、主軸保持体26の凹部64に動吸振器38が収容されている。このため、主軸保持体26から動吸振器38が出っ張らない構造を実現できる。
【0046】
次に、第三実施形態について説明する。第三実施形態において、第一実施形態又は第二実施形態と同様の要素、部材等については、第一実施形態又は第二実施形態と同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0047】
第三実施形態の工作装置72では、主軸保持体26の側壁30のそれぞれに形成された孔部36内に、動吸振器74が収容されて取り付けられている。第三実施形態では、このように孔部36内に動吸振器74が取り付けられており、これにより孔部36は凹部の一例を成している。
【0048】
図11に示す例では、それぞれの側壁30における上下2つの孔部36のうち、上側の孔部36に動吸振器74が取り付けられている。上側の孔部36は、主軸保持体26が支持台14側を中心として回転振動する場合に、振幅の大きい側である。また、2つの側壁30のそれぞれに対し1つずつ動吸振器74が備えられており、合計で動吸振器74は2つである。
【0049】
図12に詳細に示すように、第三実施形態に係る動吸振器74は、孔部36と同芯に配置される内筒76及び外筒78を有している。内筒76は主軸保持体26に溶接又はネジ留め等により固定されている。あるいは、内筒76を主軸保持体26と一体で成形してもよい。これに対し、外筒78は、図示しないブラケットにより、内筒76との同芯を維持したまま回転可能に保持されている。
【0050】
内筒76と外筒78の間には、弾性支持体80が配置されている。弾性支持体80は、内筒76の外周面及び外筒78の内周面に固着されている。外筒78が内筒76に対し相対回転すると、弾性支持体80が弾性変形する。この弾性変形により、外筒78の内筒76に対する相対回転に弾性力(回転に対する反力)を作用させると共に、この相対回転を減衰させる。
【0051】
外筒78の外周面と孔部36の内周面との間には、質量体82が配置されている。第三実施形態の質量体82は、外筒78の外周面及び孔部36の内周面に沿った円弧状に形成されている。質量体82は、外筒78の外周面に接着剤84、接着シート又はゴム等により固定されている。
【0052】
このような構成とされた第三実施形態の工作装置72においても、主軸保持体26に動吸振器74が備えられている。主軸保持体26が振動した場合に、動吸振器38の質量体82及び外筒78が内筒76を中心として回転運動し、この振動は弾性支持体80によって減衰される。
【0053】
第三実施形態の工作装置72では、動吸振器74が、孔部36に収容されている。このため、主軸保持体26から動吸振器38が出っ張らない構造を実現できる。
【0054】
第一実施形態及び第二実施形態では、主軸保持体26の振動方向は、
図2に矢印W1で示したように、実質的に工具保持部材18のスライド方向(矢印W方向)が主である。これに対し、動吸振器38における質量体42の移動方向も矢印W方向である。このため、工作物保持部材16に対し主軸保持体26がスライド方向に振動した場合に、この振動を動吸振器38によって効果的に吸収できる。
【0055】
第三実施形態では、主軸保持体26の2つの側壁30のそれぞれに孔部36が形成されているので、2つの動吸振器74を搭載した構成にすることが可能である。1つの側壁30に複数の孔部36が形成された構成では、さらに多くの動吸振器74を搭載した構成にすることも可能である。このように、第三実施形態の工作装置72では、孔部36を有効に活用して省スペースで、複数の動吸振器74が搭載された構成を実現できる。
【0056】
本開示の技術において、工作装置としては、上記したギアスカイビング装置に限定されず、たとえば、旋盤、ボール盤、中ぐり盤、フライス盤等を挙げることができる。
【0057】
さらに、以下の付記を開示する。
(付記1)
工作物を保持する工作物保持部材と、
工具を保持する主軸と、
前記主軸を前記工作物保持部材に対し相対移動可能に保持する主軸保持体と、
前記主軸保持体に備えられる動吸振器と、
を有する工作装置。
(付記2)
前記動吸振器は、前記主軸保持体の外面を部分的に凹ませた凹部内に取り付けられる、付記1に記載の工作装置。
(付記3)
前記動吸振器は、前記主軸保持体に対する質量体の併進運動により振動を吸収する、付記1又は付記2に記載の工作装置。
(付記4)
前記動吸振器は、前記主軸保持体に対する質量体の回転運動により振動を吸収する、付記1又は付記2に記載の工作装置。
(付記5)
前記主軸保持体を前記工作物保持部材に対し接離する方向へスライド可能とするスライド部材を備え、
前記動吸振器は、前記接離する方向での振動を吸収する、付記1~付記4のいずれか1項に記載の工作装置。
【符号の説明】
【0058】
12 工作装置
14 支持台
16 工作物保持部材
18 工具保持部材
20 第一レール
22 第二レール
24 工作物保持具
26 主軸保持体
28 主軸
30 側壁
32 上壁
34 下壁
36 孔部
38 動吸振器
40 ハウジング
42 質量体
44 弾性支持体
52 振動系
52A 主系
52B 副系
54 弾性体
62 工作装置
64 凹部
72 工作装置
74 動吸振器
76 内筒
78 外筒
80 弾性支持体
82 質量体
84 接着剤