(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123684
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】スライドドア車の車体下部構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20240905BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240905BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B62D25/20 F
B60K1/04 Z
B60J5/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031296
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇之
(72)【発明者】
【氏名】竹内 秀紀
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA01
3D203AA31
3D203AA33
3D203BB12
3D203BB20
3D203CA25
3D203CA57
3D203CA67
3D203CB03
3D203DA35
3D203DB05
3D235AA01
3D235BB03
3D235CC14
3D235DD35
3D235FF06
3D235FF09
3D235HH26
(57)【要約】
【課題】ポール側面衝突時における車両搭載部品の保護を図る上で有利なスライドドア車の車体下部構造を提供する。
【解決手段】第1サイドメンバ34と第2サイドメンバ36が接合されることによって第1サイドメンバ34と第2サイドメンバ36の強度剛性が確保された状態で、第2サイドメンバ36の第2閉断面36A内にスライドドアを案内するスライドレール44が収容された戸袋30のアーム収容部46が収容されている。ポール側面衝突時にアーム収容部46に収容されたスライドレール44に加わる車幅方向内側に向かう衝突荷重を、強度剛性が確保された第1サイドメンバ34および第2サイドメンバ36によって受け止めることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドドアで開閉されるドア開口部の下部に車両前後方向に延在され、前記スライドドアのアームを案内するスライドレールが収容される戸袋と、前記戸袋よりも車幅方向内側の位置でフロアパネルの下面に沿って車両前後方向に延びるサイドメンバと、を備えるスライドドア車の車体下部構造であって、
前記戸袋は、他の部位より車幅方向内側に拡幅され、前記スライドドアのアームが収容されるアーム収容部を有し、
前記サイドメンバは、前記フロアパネルに接合されて前記フロアパネルとの間に第1閉断面を形成する第1サイドメンバと、前記第1サイドメンバの下部に接合されて前記第1サイドメンバの下面との間に第2閉断面を形成する第2サイドメンバとを有し、
前記戸袋は、前記アーム収容部が前記第1サイドメンバの前記第1閉断面もしくは前記第2サイドメンバの前記第2閉断面の何れか一方の閉断面内に挿入された状態で前記サイドメンバに接合される、
ことを特徴とするスライドドア車の車体下部構造。
【請求項2】
前記戸袋は、前記アーム収容部の車幅方向の端部が前記第2サイドメンバの前記第2閉断面内に挿入された状態で、前記第1サイドメンバおよび前記第2サイドメンバに接合されている、
ことを特徴とする請求項1記載のスライドドア車の車体下部構造。
【請求項3】
前記アーム収容部は、前記第2サイドメンバの車幅方向内側の側面と前記第1サイドメンバの下面とに接合されている、
ことを特徴とする請求項2記載のスライドドア車の車体下部構造。
【請求項4】
前記スライドレールは、前記戸袋の上面に沿って車両前後方向に延設されるとともに、その前端部が前記アーム収容部に位置し、
前記第2閉断面内において、前記スライドレールの前端部と前記アーム収容部の上面と前記第1サイドメンバの下面とが同一箇所で溶接により接合されている、
ことを特徴とする請求項3記載のスライドドア車の車体下部構造。
【請求項5】
車幅方向に延在し、前記第1サイドメンバまたは前記第2サイドメンバに連結されるクロスメンバを備え、
前記クロスメンバは、下面視において前記アーム収容部と車幅方向で対向する位置で前記第1サイドメンバまたは第2サイドメンバに連結されている
ことを特徴とする請求項1記載のスライドドア車の車体下部構造。
【請求項6】
前記第2サイドメンバは、その側面部が上方に延設されて前記第1サイドメンバの側面部に接合され、
前記クロスメンバは、前記第1サイドメンバと前記第2サイドメンバとが接合された箇所の車幅方向内側に重ねて接合されている、
ことを特徴とする請求項5記載のスライドドア車の車体下部構造。
【請求項7】
前記第1サイドメンバおよび前記第2サイドメンバの車両前方に設けられ、前記第1、第2両サイドメンバを覆う第3サイドメンバを有し、
前記第3サイドメンバは、前記第1サイドメンバおよび前記第2サイドメンバの前端とラップするように接合され、
前記第1、第2両サイドメンバと前記第3サイドメンバとの接合箇所の近傍において、前記アーム収容部が前記第1サイドメンバもしくは前記第2サイドメンバのいずれか一方の閉断面内に挿入されている、
ことを特徴とする請求項1または5記載のスライドドア車の車体下部構造。
【請求項8】
前記サイドメンバの車幅方向内側にバッテリパックが配置されている、
ことを特徴とする請求項1または5記載のスライドドア車の車体下部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドドア車の車体下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ドア部材を車両前後方向に沿ってスライドすることでドア開口部を開閉するスライドドア車においては、ドア開口部の上方にスライドドアの上部を案内する収容部が設けられると共に、ドア開口部の下方に、スライドドアの下部に設けられたローラを案内するスライドレール(ガイドレール)が収容された戸袋が設けられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなスライドドア車が電動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)であって、戸袋の車幅方向内側にバッテリパックなどの車両搭載部品を配置している場合には、車両側方からポールが衝突する、いわゆるポール側面衝突時に、車両側方から入力する衝突荷重によって戸袋が車幅方向内側に変位して車両搭載部品に干渉するおそれがある。
そのため、ポール側面衝突時における車両搭載部品の保護を図る上で何らかの改善が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ポール側面衝突時における車両搭載部品の保護を図る上で有利なスライドドア車の車体下部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、スライドドアで開閉されるドア開口部の下部に車両前後方向に延在され、前記スライドドアのアームを案内するスライドレールが収容される戸袋と、前記戸袋よりも車幅方向内側の位置でフロアパネルの下面に沿って車両前後方向に延びるサイドメンバと、を備えるスライドドア車の車体下部構造であって、前記戸袋は、他の部位より車幅方向内側に拡幅され、前記スライドドアのアームが収容されるアーム収容部を有し、前記サイドメンバは、前記フロアパネルに接合されて前記フロアパネルとの間に第1閉断面を形成する第1サイドメンバと、前記第1サイドメンバの下部に接合されて前記第1サイドメンバの下面との間に第2閉断面を形成する第2サイドメンバとを有し、前記戸袋は、前記アーム収容部が前記第1サイドメンバの前記第1閉断面もしくは前記第2サイドメンバの前記第2閉断面の何れか一方の閉断面内に挿入された状態で前記サイドメンバに接合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、第1サイドメンバと第2サイドメンバが接合されることによって第1サイドメンバと第2サイドメンバの強度剛性が確保された状態で、第1サイドメンバの第1閉断面もしくは第2サイドメンバの第2閉断面の何れか一方の閉断面内にスライドドアを案内するスライドレールが収容された戸袋のアーム収容部が収容されている。
したがって、ポール側面衝突時に、アーム収容部に収容されたスライドレールに加わる車幅方向内側に向かう衝突荷重を、強度剛性が確保された第1サイドメンバおよび第2サイドメンバによって受け止めることができ、スライドレールが車幅方向内側に変形してサイドメンバの車幅方向内側に配置された車両搭載部品に干渉することを抑制する上で有利となり、ポール側面衝突時における車両搭載部品の保護を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係るスライドドア車の車体下部構造が適用された車体の側面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るスライドドア車の車体下部構造のうち一対のサイドメンバとそれらサイドメンバを連結する複数のクロスメンバとを斜め下方から見た斜視図である。
【
図8】第1サイドメンバ、第2サイドメンバ、第3サイドメンバを車幅方向外側の下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、図面において、符号FRは車両前方、符号UPは車両上方、符号INは車幅方向内側、OUTは車幅方向外側を示す。
本発明は、電動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)などのように、駆動源としてのモータを備えると共に、モータに電力を供給するバッテリパックを備える車両に適用される。
【0009】
車両はスライドドア車であり、本実施の形態では、車幅方向両側の後部ドア(スライドドア)が車両の前後方向に沿って移動する。
図1に示すように、車体側部10の前部には前部ドア用の前開口部12が設けられ、後部には後部ドア用のドア開口部である後開口部14が設けられている。
後開口部14は、不図示の後部ドアが車両前後方向に沿って移動することで開閉される。
なお、
図1、
図2において符号42は前開口部12と後開口部14との間で上下に延在するセンターピラーを示す。
【0010】
図1、
図5-
図7に示すように、本実施の形態に係るスライドドア車の車体下部構造は、フロアパネル16と、一対のサイドメンバ18と、複数のクロスメンバ20、22、24と、一対のサイドステップ26と、一対のサイドシル28と、一対の戸袋30とを含んで構成されている。
【0011】
フロアパネル16は車室の床を構成し、一対のサイドメンバ18は、フロアパネル16の下方で車幅方向に間隔をおいて車両前端から車両後端まで車両前後方向に延在しフロアパネル16を支持している。
言い換えると、
図6に示すように、一対のサイドメンバ18は、後述する戸袋30よりも車幅方向内側の位置でフロアパネル16の下面に沿って車両前後方向に延びている。
図7に示すように、本実施の形態では、一対のサイドメンバ18は、車両前部に配置された一対の前部サイドメンバ(第3サイドメンバ)32と、車両後部に配置された一対の第1サイドメンバ34および一対の第2サイドメンバ36とを備えている。
【0012】
前部サイドメンバ32は、車両前端から前開口部12の後端まで延在している。
図7に示すように、前部サイドメンバ32は、上下方向に向けられた第3底壁3202と、第3底壁3202の車幅方向内側端から起立する第3内側面壁3204と、第3底壁3202の車幅方向外側端から起立する第3外側面壁3206とを備え、第3内側面壁3204および第3外側面壁3206の上端のフランジがフロアパネル16の下面に接合されている。
【0013】
図7に示すように、第1サイドメンバ34は、後開口部14の前端近傍から車両後方にわたって延在している。
図5、
図8に示すように、第2サイドメンバ36は、第1サイドメンバ34の下端に接合され、後開口部14の前端近傍から後開口部14の後端近傍にわたって延在している。
第1サイドメンバ34および第2サイドメンバ36の車両前方に、それら両サイドメンバ18を覆うように前部サイドメンバ32の後端が位置している。
【0014】
図5に示すように、第1サイドメンバ34は、上下方向に向けられ第1サイドメンバ34の下面をなす第1底壁3402と、第1底壁3402の車幅方向内側端から起立する第1内側面壁3404と、第1底壁3402の車幅方向外側端から起立する第1外側面壁3406とを備え、第1内側面壁3404および第1外側面壁3406の上端のフランジがフロアパネル16の下面に接合されている。
したがって、第1サイドメンバ34は、フロアパネル16に接合されてフロアパネル16との間に第1閉断面34Aを形成している。
第2サイドメンバ36は、第1底壁3402に対向する第2底壁3602と、第2底壁3602の車幅方向内側から起立しその上部が第1内側面壁3404に接合されて第1内側面壁3404の下方に延在する第2内側面壁3604と、第2底壁3602の車幅方向外側から起立しその上部が第1外側面壁3406に接合されて第1外側面壁3406の下方に延在する第2外側面壁3606とを備えている。
したがって、第2サイドメンバ36は、第1サイドメンバ34の下部に接合されて第1サイドメンバ34の下面(第1底壁3402)との間に第2閉断面36Aを形成している。
図2、
図3、
図8に示すように、第2サイドメンバ36の前端部で第2外側面壁3606が取り除かれ、この第2外側面壁3606が取り除かれた部分により、第2サイドメンバ36の前端部に後述する戸袋30に設けられたアーム収容部46が挿入される戸袋進入開口部38が形成されている。
図8において符号40は後述するスライドレール(ガイドレール)44の前端部44Aを閉塞する前蓋を示す。
前部サイドメンバ32の第3底壁3202の後端は、第2サイドメンバ36の第2底壁3602に接合され、前部サイドメンバ32の第3内側面壁3204の後端は、第1サイドメンバ34の第1内側面壁3404および第2サイドメンバ36の第2内側面壁3604に接合され、前部サイドメンバ32の第3外側面壁3206の後端は第1サイドメンバ34の第1外側面壁3406および第2サイドメンバ36の第2外側面壁3606に接合されている。
すなわち、前部サイドメンバ32の後端は、第1サイドメンバ34および第2サイドメンバ36の前端とラップするように接合されている。
車両搭載部品としての不図示のバッテリパックは、一対の第2サイドメンバ36の間に配置され、本実施の形態では戸袋30の車幅方向内側に配置されている。
【0015】
図7に示すように、複数のクロスメンバは、車幅方向に延在し、一対の前部サイドメンバ32を連結する前クロスメンバ20と、前クロスメンバ20の後方で一対の第1サイドメンバ34を連結する中間クロスメンバ22と、中間クロスメンバ22の後方で一対の第1サイドメンバ34を連結する後クロスメンバ24とを備えている。
図2、
図7、
図8に示すように、中間クロスメンバ22は、後述する第2サイドメンバ36の戸袋進入開口部38の上方の第1サイドメンバ34の箇所に位置しており、詳細には、第1サイドメンバ34と第2サイドメンバ36とが接合された箇所の車幅方向内側に接合されている。
【0016】
図2に示すように、一対のサイドステップ26は、利用者が後開口部14から乗り降りする際のステップとして機能するものであり、フロアパネル16よりも下方の箇所で、第1サイドメンバ34の第1外側面壁3406から車幅方向外側に突設され、後開口部14のほぼ全長にわたって延在している。
【0017】
図5に示すように、一対のサイドシル28は、フロアパネル16の車幅方向両側でかつフロアパネル16およびサイドステップ26よりも下方の箇所で、フロアパネル16の前部から後部にわたって車両前後方向に延在している。
サイドシル28は閉断面構造を呈し、車幅方向内側に配置されたサイドシルインナ28Aと、車幅方向外側に配置されサイドシルインナ28Aに接合されるサイドシルアウタ28Bとを備えている。
【0018】
図示しないが、後部ドアの下部から車幅方向内側に延びるアームにローラが回転可能に設けられている。
図5に示すように、スライドレール44は上記ローラを案内するものであり、スライドレール44は、上下方向に向けられた中間壁4402と、中間壁4402の車幅方向両端からそれぞれ下方に起立する一対の側壁4404、4406とを備えている。
スライドレール44は、
図1、
図6に示すように、後部ドアで開閉される後開口部14の下部に車両前後方向に延在して設けられ、スライドレール44の前端部44Aは、車両前方に至るにつれて車幅方向内側に変位する傾斜で延在している。
スライドレール44は、
図2、
図6に示すように、後述する戸袋30の上面をなす上壁3002に沿って車両前後方向に延設されるとともに、その前端部44Aが後述するアーム収容部46に位置している。
【0019】
図6に示すように、戸袋30は、スライドレール44を収容して車両前後方向に延在して設けられている。
図2-
図5に示すように、戸袋30は、サイドステップ26の下方かつサイドシル28の上方に位置しており、上下方向において互いに対向する上壁3002および下壁3004と、上壁3002および下壁3004の車幅方向内側の端部を接続する縦壁3006とを備えている。
戸袋30は、後開口部14の前後方向の中間部から後方では、
図5に示すように、第2サイドメンバ36の車幅方向外側に位置して車両前後方向に延在し、
図4、
図3、
図2に示すように、戸袋30は、後開口部14の前後方向の中間部から前方に至るにつれて、車幅方向内側に拡幅(膨出形成)され、戸袋30の前端部30Aにおいて最も車幅方向内側まで拡幅している。
すなわち、
図2、
図3に示すように、戸袋30は、他の部位より車幅方向内側に拡幅(膨出形成)され、後部ドアが後開口部14を閉塞した状態で後部ドアのアームが収容されるアーム収容部46を有している。
アーム収容部46は、第2サイドメンバ36に設けられた戸袋進入開口部38から挿入され第2サイドメンバ36の内部に収容されている。
アーム収容部46は、戸袋30の上壁3002と、下壁3004と、縦壁3006とで構成されている。
【0020】
戸袋30は、アーム収容部46が第2サイドメンバ36の第2閉断面36A内に挿入された状態で第2サイドメンバ36に接合されている。
本実施の形態では、
図2に示すように、戸袋30は、アーム収容部46の車幅方向の端部46Aが第2サイドメンバ36の第2閉断面36A内に挿入された状態で、第1サイドメンバ34および第2サイドメンバ36に接合されている。
詳細には、アーム収容部46の上壁3002が第1サイドメンバ34の第1底壁3402に接合されると共に、アーム収容部46の縦壁3006が第2サイドメンバ36の第2内側面壁3604に接合されており、言い換えると、アーム収容部46は、第2サイドメンバ36の車幅方向内側の側面(第2内側面壁3604)と第1サイドメンバ34の下面(第1底壁3402)とに接合されている。
【0021】
図2に示すように、第2閉断面36A内において、スライドレール44の前端部44Aとアーム収容部46の上面(上壁3002)と第1サイドメンバ34の下面(第1底壁3402)とが同一箇所で溶接により接合されている。
図2、
図6に示すように、中間クロスメンバ22は、下面視においてアーム収容部46と車幅方向で対向する位置で第1サイドメンバ34に連結されている。
また、中間クロスメンバ22は、第1サイドメンバ34と第2サイドメンバ36とが接合された箇所の車幅方向内側に重ねて接合されている。
第1、第2サイドメンバ34、36と前部サイドメンバ32との接合箇所の近傍において、アーム収容部46が第2サイドメンバ36の第2閉断面36A内に挿入されている。
【0022】
本実施の形態によれば、第1サイドメンバ34と第2サイドメンバ36が接合されることによって第1サイドメンバ34と第2サイドメンバ36の強度剛性が確保された状態で、第2サイドメンバ36の第2閉断面36A内にスライドドアを案内するスライドレール44が収容された戸袋30のアーム収容部46が収容されている。
したがって、ポール側面衝突時にアーム収容部46に収容されたスライドレール44に加わる車幅方向内側に向かう衝突荷重を、強度剛性が確保された第1サイドメンバ34および第2サイドメンバ36によって受け止めることができ、スライドレール44が車幅方向内側に変形してサイドメンバ18の車幅方向内側に配置された車両搭載部品に干渉することを抑制する上で有利となり、ポール側面衝突時における車両搭載部品の保護を図る上で有利となる。
【0023】
また、本実施の形態によれば、戸袋30は、アーム収容部46の車幅方向の端部46Aが第2サイドメンバ36の第2閉断面36A内に挿入された状態で、第1サイドメンバ34および第2サイドメンバ36に接合されている。
そのため、スライドレール44と、アーム収容部46の車幅方向の端部46Aと第1、第2サイドメンバ34、36との接合強度の向上を図る上で有利となり、ポール側面衝突時におけるスライドレール44の車幅方向内側への変形を抑制する上で有利となり、車両搭載部品の保護を図る上でより有利となる。
【0024】
また、本実施の形態によれば、アーム収容部46は、第2サイドメンバ36の車幅方向内側の側面と第1サイドメンバ34の下面とに接合されているので、アーム収容部46と第1、第2サイドメンバ34、36との接合強度の向上を図る上で有利となり、ポール側面衝突時におけるスライドレール44の車幅方向内側への変形を抑制する上で有利となり、車両搭載部品の保護を図る上でより有利となる。
【0025】
また、本実施の形態によれば、スライドレール44は、戸袋30の上面に沿って車両前後方向に延設されるとともに、その前端部44Aがアーム収容部46に位置し、第2閉断面36A内において、スライドレール44の前端部44Aとアーム収容部46の上面と第1サイドメンバ34の下面とが同一箇所で溶接により接合されており、言い換えると、スライドレール44の前端部44Aと、アーム収容部46の上面と、第1サイドメンバ34の下面とが3枚重ねで接合されている。
そのため、スライドレール44の前端部44Aとアーム収容部46と第1サイドメンバ34との接合強度の向上を図る上で有利となり、ポール側面衝突時におけるスライドレール44の車幅方向内側への変形を抑制する上で有利となり、車両搭載部品の保護を図る上でより有利となる。
【0026】
また、本実施の形態によれば、中間クロスメンバ22は、下面視においてアーム収容部46と車幅方向で対向する位置で第1サイドメンバ34に連結されている。
したがって、アーム収容部46の近傍の第1サイドメンバ34の箇所の強度剛性を確保する上でより有利となる。
そのため、ポール側面衝突時におけるスライドレール44の車幅方向内側への変形を抑制する上で有利となり、車両搭載部品の保護を図る上でより一層有利となる。
【0027】
また、本実施の形態によれば、中間クロスメンバ22は、第1サイドメンバ34と第2サイドメンバ36とが接合された箇所の車幅方向内側に重ねて接合されている。
したがって、アーム収容部46の近傍の第1サイドメンバ34および第2サイドメンバ36の箇所の強度剛性を確保する上でより有利となる。
そのため、ポール側面衝突時におけるスライドレール44の車幅方向内側への変形を抑制する上で有利となり、車両搭載部品の保護を図る上でより一層有利となる。
【0028】
また、本実施の形態によれば、第1サイドメンバ34および第2サイドメンバ36の車両前方に設けられ、第1、第2両サイドメンバ34、36を覆う前部サイドメンバ32は、第1サイドメンバ34および第2サイドメンバ36の前端とラップするように接合され、第1、第2両サイドメンバ34、36と前部サイドメンバ32との接合箇所の近傍において、アーム収容部46が第2サイドメンバ36の第2閉断面36A内に挿入されている。
したがって、アーム収容部46の近傍の第1サイドメンバ34および第2サイドメンバ36の箇所の強度剛性が前部サイドメンバ32によって向上されるため、ポール側面衝突時におけるスライドレール44の車幅方向内側への変形を抑制する上で有利となり、車両搭載部品の保護を図る上でより一層有利となる。
【0029】
また、本実施の形態によれば、サイドメンバ18の車幅方向内側にバッテリパックが配置されているので、ポール側面衝突時におけるスライドレール44の車幅方向内側への変形を抑制してバッテリパックの保護を図る上で有利となる。
したがって、電動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)などの車両におけるポール側面衝突時のバッテリパックの保護を図る上で特に有利となる。
【0030】
なお、本実施の形態では、アーム収容部46が第2サイドメンバ36の第2閉断面36A内に収容された場合について説明したが、アーム収容部46が第1サイドメンバ34の第1閉断面34A内に収容されてもよく、本実施の形態と同様の効果が奏される。
また、本実施の形態では、中間クロスメンバ24が第1サイドメンバ34に連結される場合について説明したが、中間クロスメンバ24が第2サイドメンバに連結されてもよく、本実施の形態と同様の効果が奏される。
【符号の説明】
【0031】
10 車体側部
12 前開口部
14 後開口部(ドア開口部)
16 フロアパネル
18 サイドメンバ
20 前クロスメンバ
22 中間クロスメンバ
24 後クロスメンバ
26 サイドステップ
28 サイドシル
28A サイドシルインナ
28B サイドシルアウタ
30 戸袋
30A 前端部
3002 上壁(上面)
3004 下壁
3006 縦壁
32 前部サイドメンバ(第3サイドメンバ)
3202 第3底壁
3204 第3内側面壁
3206 第3外側面壁
34 第1サイドメンバ
3402 第1底壁(下面)
3404 第1内側面壁
3406 第1外側面壁
34A 第1閉断面
36 第2サイドメンバ
3602 第2底壁
3604 第2内側面壁(車幅方向内側の側面)
3606 第2外側面壁
36A 第2閉断面
38 戸袋進入開口部
40 前蓋
42 センターピラー
44 スライドレール
4402 中間壁
4404、4406 側壁
44A 前端部
46 アーム収容部
46A 車幅方向の端部