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特開2024-123687通信システム、通信装置、及び監視装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123687
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】通信システム、通信装置、及び監視装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/0663 20220101AFI20240905BHJP
   H04L 43/0811 20220101ALI20240905BHJP
【FI】
H04L41/0663
H04L43/0811
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031302
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大道 文雄
(57)【要約】
【課題】第1回線が復旧した場合に第2回線から第1回線への切り替えを円滑に行う。
【解決手段】
通信システムは、管理装置と、前記管理装置に第1回線を通じて通信することが可能な通信装置と、前記第1回線における疎通を確認する処理である第1疎通確認を実行し、前記第1回線の状態を監視する監視装置と、を備え、前記通信装置は、前記第1回線を通じて前記管理装置と通信することができない場合に、前記第1回線から第2回線へ接続先を切り替え、前記監視装置は、前記疎通確認により前記第1回線が通信可能状態であるか否かを判定し、前記通信装置は、前記監視装置によって前記第1回線が通信可能状態であると判定された場合に、前記第2回線から前記第1回線へ接続先を切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置と、
前記管理装置に第1回線を通じて通信することが可能な通信装置と、
前記第1回線における疎通を確認する処理である第1疎通確認を実行し、前記第1回線の状態を監視する監視装置と、
を備え、
前記通信装置は、前記第1回線を通じて前記管理装置と通信することができない場合に、前記第1回線から第2回線へ接続先を切り替え、
前記監視装置は、前記第1疎通確認により前記第1回線が通信可能状態であるか否かを判定し、
前記通信装置は、前記監視装置によって前記第1回線が通信可能状態であると判定された場合に、前記第2回線から前記第1回線へ接続先を切り替える、
通信システム。
【請求項2】
前記第1疎通確認は、前記通信装置が前記第2回線に接続されている場合に実行される、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記監視装置は、前記通信装置が前記第1回線に接続されている場合に、前記第2回線における疎通を確認する処理である第2疎通確認を実行し、前記第2回線が通信可能状態であるか否かを判定する、
請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記監視装置は、前記通信装置が前記第1回線に接続されているか、前記第2回線に接続されているかを問わず、前記第1疎通確認を実行し、前記第1回線が通信可能状態であるか否かを判定する第1判定処理と、前記第2回線における疎通を確認する処理である第2疎通確認を実行し、前記第2回線が通信可能状態であるか否かを判定する第2判定処理とを実行する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記通信装置は、前記第1回線が通信不可能状態となった場合において、前記監視装置によって前記第2回線が通信可能状態であると判定したときに、前記第1回線から前記第2回線へと接続先を切り替える、
請求項3に記載の通信システム。
【請求項6】
前記監視装置は、前記第1回線が通信可能状態であるか否かの判定結果を、前記管理装置へ送信し、
前記管理装置は、前記判定結果を受信すると、受信した前記判定結果を記憶し、
前記通信装置は、前記管理装置に記憶された前記判定結果が前記第1回線が通信可能状態であることを示す場合に、前記第2回線から前記第1回線へ接続先を切り替える、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記監視装置は、前記第2回線が通信可能状態であるか否かの判定結果を、前記管理装置へ送信し、
前記管理装置は、前記判定結果を受信すると、受信した前記判定結果を記憶し、
前記通信装置は、前記第1回線が通信不可能状態となった場合において、前記管理装置に記憶された前記判定結果が前記第2回線が通信可能状態であることを示すときに、前記第1回線から前記第2回線へ接続先を切り替える、
請求項5に記載の通信システム。
【請求項8】
前記監視装置は、前記第1回線が通信可能状態であるか否かの判定結果を、前記通信装置へ送信し、
前記通信装置は、前記監視装置から受信した前記判定結果が前記第1回線が通信可能状態であることを示す場合に、前記第2回線から前記第1回線へ接続先を切り替える、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記監視装置は、前記第2回線が通信可能状態であるか否かの判定結果を、前記通信装置へ送信し、
前記通信装置は、前記第1回線が通信不可能状態となった場合において、前記監視装置から受信した前記判定結果が前記第2回線が通信可能状態であることを示すときに、前記第1回線から前記第2回線へ接続先を切り替える、
請求項5に記載の通信システム。
【請求項10】
管理装置に第1回線を通じて通信することが可能な通信装置であって、
前記第1回線を通じて前記管理装置と通信することができない場合に、前記第1回線から第2回線へ接続先を切り替える第1切替部と、
前記第1回線における疎通を確認する処理である第1疎通確認を実行し、前記第1回線の状態を監視する監視装置によって、前記第1回線が通信可能状態であると判定された場合に、前記第2回線から前記第1回線へ接続先を切り替える第2切替部と、
を備える、
通信装置。
【請求項11】
管理装置と通信装置との通信に用いられる第1回線の状態を監視する監視装置であって、
前記通信装置が前記第1回線から第2回線へ接続先を切り替えた場合に、前記第1回線における疎通を確認する処理である第1疎通確認を実行し、前記第1回線が通信可能状態であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を、前記管理装置又は前記通信装置に通知するために送信する送信部と、
を備える、
監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム、通信装置、及び監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、通常時においてホスト装置と操作端末装置との間での情報の伝達に用いられるネットワークに障害が発生したときにバックアップ回線に切り替え、監視装置がバックアップ回線の疎通確認を定期的に行い、ホスト装置がバックアップ回線に接続されていないことが確認された場合には、ホスト装置とバックアップ回線との接続の復旧処理を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-69124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ネットワークの冗長構成では、通常時に使用されるメイン回線に障害が生じた場合、バックアップ回線に切り替えられる。メイン回線が復旧した場合、バックアップ回線からメイン回線に切り替える必要があるが、特許文献1ではメイン回線への切り替えについては考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る通信システムは、管理装置と、前記管理装置に第1回線を通じて通信することが可能な通信装置と、前記第1回線における疎通を確認する処理である第1疎通確認を実行し、前記第1回線の状態を監視する監視装置と、を備え、前記通信装置は、前記第1回線を通じて前記管理装置と通信することができない場合に、前記第1回線から第2回線へ接続先を切り替え、前記監視装置は、前記第1疎通確認により前記第1回線が通信可能状態であるか否かを判定し、前記通信装置は、前記監視装置によって前記第1回線が通信可能状態であると判定された場合に、前記第2回線から前記第1回線へ接続先を切り替える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、第1回線が復旧した場合に第2回線から第1回線への切り替えを円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る通信システムの一例を説明するための模式図である。
図2図2は、実施形態に係る中継装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る監視装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る通信システムの機能の一例を示す機能ブロック図である。
図5図5は、状態テーブルの一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る監視装置による通信回線診断処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る中継装置による通信回線切替処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、状態テーブルの変形例を示す図である。
図9図9は、第2変形例に係る監視装置による通信回線診断処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、第2変形例に係る中継装置による通信回線切替処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
【0009】
(1) 本実施形態に係る通信システムは、管理装置と、前記管理装置に第1回線を通じて通信することが可能な通信装置と、前記第1回線における疎通を確認する処理である第1疎通確認を実行し、前記第1回線の状態を監視する監視装置と、を備え、前記通信装置は、前記第1回線を通じて前記管理装置と通信することができない場合に、前記第1回線から第2回線へ接続先を切り替え、前記監視装置は、前記第1疎通確認により前記第1回線が通信可能状態であるか否かを判定し、前記通信装置は、前記監視装置によって前記第1回線が通信可能状態であると判定された場合に、前記第2回線から前記第1回線へ接続先を切り替える。これにより、第1回線が復旧した場合に、通信装置は第2回線から第1回線への切り替えを円滑に行うことができる。
【0010】
(2) 上記(1)において、前記第1疎通確認は、前記通信装置が前記第2回線に接続されている場合に実行されてもよい。これにより、通信装置が第1回線に接続されている間には第1疎通確認を実行する必要がなく、第1回線の状態を効率的に判定することができる。
【0011】
(3) 上記(2)において、前記監視装置は、前記通信装置が前記第1回線に接続されている場合に、前記第2回線における疎通を確認する処理である第2疎通確認を実行し、前記第2回線が通信可能状態であるか否かを判定してもよい。これにより、通信装置が第1回線に接続されている間には第2疎通確認が実行され、第1回線及び第2回線の状態を効率的に判定することができる。
【0012】
(4) 上記(1)において、前記監視装置は、前記通信装置が前記第1回線に接続されているか、前記第2回線に接続されているかを問わず、前記第1疎通確認を実行し、前記第1回線が通信可能状態であるか否かを判定する第1判定処理と、前記第2回線における疎通を確認する処理である第2疎通確認を実行し、前記第2回線が通信可能状態であるか否かを判定する第2判定処理とを実行してもよい。これにより、通信装置が第1回線に接続されているか第2回線に接続されているかを問わず、監視装置によって第1回線及び第2回線の状態が監視される。したがって、通信装置は、第1回線に接続されているか、第2回線に接続されているかを問わず、第1回線及び第2回線の状態を確認することができる。
【0013】
(5) 上記(3)又は(4)において、前記通信装置は、前記第1回線が通信不可能状態となった場合において、前記監視装置によって前記第2回線が通信可能状態であると判定したときに、前記第1回線から前記第2回線へと接続先を切り替えてもよい。これにより、第1回線が通信不可能状態となった場合において、第2回線も通信不可能状態である場合には、通信装置の接続先を第2回線へ切り替える必要がない。第1回線が通信不可能状態となった場合において、第2回線が通信可能状態である場合には、通信装置の接続先を第2回線へ切り替えることで、通信経路を確保することができる。
【0014】
(6) 上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、前記監視装置は、前記第1回線が通信可能状態であるか否かの判定結果を、前記管理装置へ送信し、前記管理装置は、前記判定結果を受信すると、受信した前記判定結果を記憶し、前記通信装置は、前記管理装置に記憶された前記判定結果が前記第1回線が通信可能状態であることを示す場合に、前記第2回線から前記第1回線へ接続先を切り替えてもよい。これにより、通信装置が第2回線に接続されている場合に、通信装置は管理装置に記憶された判定結果によって、第1回線が復旧したか否かを確認することができる。
【0015】
(7) 上記(5)において、前記監視装置は、前記第2回線が通信可能状態であるか否かの判定結果を、前記管理装置へ送信し、前記管理装置は、前記判定結果を受信すると、受信した前記判定結果を記憶し、前記通信装置は、前記第1回線が通信不可能状態となった場合において、前記管理装置に記憶された前記判定結果が前記第2回線が通信可能状態であることを示すときに、前記第1回線から前記第2回線へ接続先を切り替えてもよい。これにより、第1回線が通信不可能状態となった場合に、通信装置は管理装置に記憶された判定結果によって、第2回線が通信可能状態であるか否かを確認することができる。
【0016】
(8) 上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、前記監視装置は、前記第1回線が通信可能状態であるか否かの判定結果を、前記通信装置へ送信し、前記通信装置は、前記監視装置から受信した前記判定結果が前記第1回線が通信可能状態であることを示す場合に、前記第2回線から前記第1回線へ接続先を切り替えてもよい。これにより、通信装置が第2回線に接続されている場合に、通信装置は監視装置から受信した判定結果によって、第1回線が復旧したか否かを確認することができる。
【0017】
(9) 上記(5)において、前記監視装置は、前記第2回線が通信可能状態であるか否かの判定結果を、前記通信装置へ送信し、前記通信装置は、前記第1回線が通信不可能状態となった場合において、前記監視装置から受信した前記判定結果が前記第2回線が通信可能状態であることを示すときに、前記第1回線から前記第2回線へ接続先を切り替えてもよい。これにより、第1回線が通信不可能状態となった場合に、通信装置は監視装置から受信した判定結果によって、第2回線が通信可能状態であるか否かを確認することができる。
【0018】
(10) 本実施形態に係る通信装置は、管理装置に第1回線を通じて通信することが可能な通信装置であって、前記第1回線を通じて前記管理装置と通信することができない場合に、前記第1回線から第2回線へ接続先を切り替える第1切替部と、前記第1回線における疎通を確認する処理である第1疎通確認を実行し、前記第1回線の状態を監視する監視装置によって、前記第1回線が通信可能状態であると判定された場合に、前記第2回線から前記第1回線へ接続先を切り替える第2切替部と、を備える。これにより、第1回線が復旧した場合に、通信装置は第2回線から第1回線への切り替えを円滑に行うことができる。
【0019】
(11) 本実施形態に係る監視装置は、管理装置と通信装置との通信に用いられる第1回線の状態を監視する監視装置であって、前記通信装置が前記第1回線から第2回線へ接続先を切り替えた場合に、前記第1回線における疎通を確認する処理である第1疎通確認を実行し、前記第1回線が通信可能状態であるか否かを判定する判定部と、前記判定部による判定結果を、前記管理装置又は前記通信装置に通知するために送信する送信部と、を備える。これにより、第1回線が復旧した場合に、管理装置又は通信装置に第1回線の復旧が通知されるため、通信装置は第2回線から第1回線への切り替えを円滑に行うことができる。
【0020】
本開示は、上記のような特徴的な構成を備える通信システムとして実現することができるだけでなく、通信システムに含まれる監視装置として実現したり、通信システムに含まれる通信装置として実現したりすることができる。さらに、本開示は、通信システムにおける特徴的な処理をステップとする通信回線切替方法として実現したり、監視装置に特徴的な処理を実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したり、通信装置に特徴的な処理を実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができる。さらに、本開示は、監視装置の一部又は全部を半導体集積回路として実現したり、通信装置の一部又は全部を半導体集積回路として実現したりすることができる。
【0021】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0022】
[1.通信システム]
図1は、本実施形態に係る通信システムの一例を説明するための模式図である。
【0023】
通信システム10は、中継装置100_1,100_2と、監視装置300と、管理装置600とを含む。
【0024】
中継装置100_1,100_2は、工場又は商業施設等の施設内に配置される。中継装置100_1,100_2は異なる施設に配置されてもよいし、同じ施設に配置されてもよい。なお、図1の例では2つの中継装置100_1,100_2を示しているが、通信システム10は1つの中継装置を含んでもよいし、3以上の中継装置を含んでもよい。以下、中継装置100_1,100_2をまとめて「中継装置100」ともいう。中継装置100は、「通信装置」の一例である。
【0025】
中継装置100は、第4世代移動通信システム(4G)又は第5世代移動通信システム(5G)等の移動通信システムに通信可能に接続(通信接続)される。通信システム10は、冗長なネットワーク構成を有している。すなわち、中継装置100は、2つの移動通信システムに接続可能である。例えば、中継装置100は、移動通信事業者aが運用する移動通信ネットワーク400_1と、移動通信事業者bが運用する移動通信ネットワーク400_2とに接続可能である。中継装置100_1及び100_2を運用する顧客は、移動通信事業者a及びbのそれぞれとの間で移動通信ネットワークの接続サービスを契約している。
【0026】
具体的には、移動通信ネットワーク400_1には基地局410_1が含まれ、移動通信ネットワーク400_2には基地局410_2が含まれる。中継装置100_1及び100_2は基地局410_1及び基地局410_2のいずれか1つに選択的に接続される。
【0027】
移動通信ネットワーク400_1,400_2のそれぞれは、インターネット500に接続されている。
【0028】
中継装置100_1,100_2は、管理装置600と移動通信ネットワーク400_1又は400_2及びインターネット500を介して通信可能に接続される。以下、移動通信ネットワーク400_1,400_2及びインターネット500をまとめて「WAN(Wide Area Network)」ともいう。
【0029】
中継装置100には、複数のセンサ200がイーサネット(登録商標)に準拠したLAN(Local Area Network)を介して接続されている。中継装置100_1には、センサ200_11,200_12,200_13が接続されている。中継装置100_2には、センサ200_21,200_22,200_23が接続されている。以下、センサ200_11,200_12,200_13,200_21,200_22,200_23をまとめて「センサ200」ともいう。
【0030】
センサ200は、機器の一例であり、種々のセンサであり得る。例えば、センサ200は、温度センサ、圧力センサ、電圧センサ、電流センサ、超音波センサ、光電センサ、近接センサ、加速度センサ、速度センサ、位置センサ、トルクセンサ、流量センサ、振動センサであってもよい。さらに、センサ200はカメラであってもよい。センサ200は、イーサネットに準拠した通信インタフェースを有しており、例えばUDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)又はTCP/IP(Transmission Control Protocol /Internet Protocol)によって中継装置100その他の装置と通信することができる。
【0031】
中継装置100は、ルータ機能を有する。中継装置100は、LAN側とWAN側との間でフレームを中継することができる。中継装置100は、例えばセンサ200の出力データを受信し、受信した出力データをWAN側へ転送することができる。具体的には、中継装置100は、センサ200の出力データを、例えばインターネット500に接続されたデータベース(図示せず)に登録することができる。中継装置100は、センサ200の出力データを処理してもよい。例えば、中継装置100は、温度センサ又は振動センサの出力値に対して統計処理を施し、統計値を算出したり、出力データを間引いたりすることができる。中継装置100は、出力データの処理によって得られたデータを、データベースに登録してもよい。
【0032】
移動通信ネットワーク400_1は、中継装置100が通常使用するメイン回線であり、移動通信ネットワーク400_2は、メイン回線が通信不可能な状態の場合に中継装置100が使用するバックアップ回線である。つまり、中継装置100_1及び100_2は、通常、基地局410_1に通信可能に接続され、移動通信ネットワーク400_1を介してインターネット500上の装置と通信する。移動通信ネットワーク400_1が障害によって通信不可能状態である場合、中継装置100_1及び100_2は、基地局410_2に通信可能に接続され、移動通信ネットワーク400_2を介してインターネット500上の装置と通信する。メイン回線は「第1回線」の一例であり、バックアップ回線は「第2回線」の一例である。
【0033】
監視装置300は、メイン回線の状態を監視する。監視装置300は、移動通信ネットワーク400_1及び400_2のいずれか1つに選択的に接続される。
【0034】
管理装置600は、メイン回線又はバックアップ回線における疎通確認に使用される。監視装置300は、例えば、ICMP(Internet Control Message Protocol)のPINGを用いて疎通確認用のECHOリクエストを管理装置600へ送信し、管理装置600はECHOリクエストを受信すると、ECHO応答を返信する。監視装置300がECHO応答を受信することで、疎通が確認される。監視装置300がECHO応答を受信しない場合、疎通が確認されず、WANが使用不可能な状態であることが確認される。
【0035】
[2.中継装置の構成]
図2は、本実施形態に係る中継装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。中継装置100は、プロセッサ101と、不揮発性メモリ102と、揮発性メモリ103と、無線通信インタフェース(I/F)104と、通信I/F105とを備える。
【0036】
揮発性メモリ103は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリである。不揮発性メモリ102は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等である。不揮発性メモリ102には、コンピュータプログラムである通信回線切替プログラム110、及び通信回線切替プログラム110の実行に使用されるデータが格納される。中継装置100の各機能は、通信回線切替プログラム110がプロセッサ101によって実行されることで発揮される。
【0037】
プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。ただし、プロセッサ101は、CPUに限られない。プロセッサ101は、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。具体的な一例では、プロセッサ101は、マルチコアプロセッサである。プロセッサ101は、シングルコアプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、コンピュータプログラムを実行可能に構成される。ただしプロセッサ101は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよいし、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスであってもよい。この場合、ASIC又はプログラマブルロジックデバイスは、通信回線切替プログラム110と同じ機能を実行可能に構成される。
【0038】
無線通信I/F104は、例えば4G又は5Gに準拠した無線通信モジュールである。無線通信I/F104は、無線アンテナを含み、基地局410_1を介して移動通信ネットワーク400_1に通信可能に接続することが可能である。無線通信I/F104は、基地局410_2を介して移動通信ネットワーク400_2に通信可能に接続することも可能である。無線通信I/F104は、管理装置600及び上述したデータベース等のインターネット500に接続された外部装置との通信に用いられる。
【0039】
無線通信I/F104は、移動通信ネットワーク400_1及び400_2のいずれか1つに選択的に接続可能である。具体的には、無線通信I/F104は、DSSS(Dual SIM Single Standby)方式のセルラ通信モジュールである。つまり、無線通信I/F104は、2つのSIM(Subscriber Identity Module)リーダ104A,104Bを含む。SIMリーダ104A,104Bは、移動通信事業者から提供されたSIMを挿入することができ、SIMから情報を読み出すことができる。SIMにはIMSI(International Mobile Subscriber Identity)及び電話番号等の契約者固有の識別情報が記録されている。SIMリーダ104Aには、移動通信事業者aから提供されたSIM(つまり、移動通信ネットワーク400_1への接続に用いられるSIM)が挿入される。SIMリーダ104Bには、移動通信事業者bから提供されたSIM(つまり、移動通信ネットワーク400_2への接続に用いられるSIM)が挿入される。無線通信I/F104は、移動通信ネットワーク400_1及び400_2に同時に接続することはできず、移動通信ネットワーク400_1及び400_2のいずれか1つに選択的に接続することができる。
【0040】
ただし、無線通信I/F104は、2つのSIMリーダを備えていれば、DSSS以外のセルラ通信モジュールであってもよい。例えば、無線通信I/F104は、DSDS(Dual SIM Dual Standby)方式のセルラ通信モジュールであってもよい。
【0041】
通信I/F105は、例えばイーサネットインタフェースである。通信I/F105は、例えばUDP/IP又はTCP/IPを用いた通信が可能である。通信I/F105は、センサ200との通信に用いられる。
【0042】
通信回線切替プログラム110は、中継装置100がメイン回線(移動通信ネットワーク400_1)からバックアップ回線(移動通信ネットワーク400_2)へ接続を切り替え、バックアップ回線(移動通信ネットワーク400_2)からメイン回線(移動通信ネットワーク400_1)へ接続を切り替えるためのプログラムである。
【0043】
[3.監視装置の構成]
図3は、本実施形態に係る監視装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。監視装置300は、プロセッサ301と、不揮発性メモリ302と、揮発性メモリ303と、無線通信インタフェース(I/F)304とを備える。
【0044】
揮発性メモリ303は、例えばSRAM、DRAM等の半導体メモリである。不揮発性メモリ302は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM等である。不揮発性メモリ302には、コンピュータプログラムである通信回線診断プログラム310、及び通信回線診断プログラム310の実行に使用されるデータが格納される。監視装置300の各機能は、通信回線診断プログラム310がプロセッサ301によって実行されることで発揮される。
【0045】
プロセッサ301は、例えばCPUである。ただし、プロセッサ301は、CPUに限られない。プロセッサ301は、GPUであってもよい。具体的な一例では、プロセッサ301は、マルチコアプロセッサである。プロセッサ301は、シングルコアプロセッサであってもよい。プロセッサ301は、コンピュータプログラムを実行可能に構成される。ただしプロセッサ301は、例えば、ASICであってもよいし、ゲートアレイ、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスであってもよい。この場合、ASIC又はプログラマブルロジックデバイスは、通信回線診断プログラム310と同じ機能を実行可能に構成される。
【0046】
無線通信I/F304は、例えば4G又は5Gに準拠した無線通信モジュールである。無線通信I/F304は、無線アンテナを含み、基地局410_1を介して移動通信ネットワーク400_1に通信可能に接続することが可能である。無線通信I/F304は、基地局410_2を介して移動通信ネットワーク400_2に通信可能に接続することも可能である。無線通信I/F304は、管理装置600及び上述したデータベース等のインターネット500に接続された外部装置との通信に用いられる。
【0047】
無線通信I/F304は、移動通信ネットワーク400_1及び400_2のいずれか1つに選択的に接続可能である。具体的には、無線通信I/F104は、DSSS(Dual SIM Single Standby)方式のセルラ通信モジュールであり、2つのSIMリーダ304A,304Bを含む。SIMリーダ304Aには、移動通信事業者aから提供されたSIM(つまり、移動通信ネットワーク400_1への接続に用いられるSIM)が挿入される。SIMリーダ304Bには、移動通信事業者bから提供されたSIM(つまり、移動通信ネットワーク400_2への接続に用いられるSIM)が挿入される。無線通信I/F304は、移動通信ネットワーク400_1及び400_2に同時に接続することはできず、移動通信ネットワーク400_1及び400_2のいずれか1つに選択的に接続することができる。
【0048】
通信回線診断プログラム310は、メイン回線(移動通信ネットワーク400_1)の状態を診断するためのプログラムである。
【0049】
[4.通信システムの機能]
図4は、本実施形態に係る通信システムの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0050】
中継装置100は、第1切替部111と、取得部112と、第2切替部113との各機能を有する。監視装置300は、第1判定部311と、送信部313との各機能を有する。
【0051】
第1切替部111は、中継装置100がメイン回線を通じて管理装置600と通信することができない場合に、管理装置600と通信するために、メイン回線からバックアップ回線へ接続先を切り替える。すなわち、第1切替部111は、メイン回線が通信不可能状態である場合に、メイン回線との通信接続を切断し、バックアップ回線との通信接続を確立する。
【0052】
第1判定部311は、中継装置100が管理装置600と通信するためにメイン回線からバックアップ回線へ接続先を切り替えた場合に、メイン回線における疎通を確認する処理である第1疎通確認を実行し、メイン回線が通信可能状態であるか否かを判定する。第1判定部311は、「判定部」の一例である。具体的には、第1判定部311は、メイン回線との接続を確立し、メイン回線を通じて管理装置600へPINGのECHOリクエストを送信することで、第1疎通確認を実行する。管理装置600は、ECHOリクエストを受信すると、ECHO応答を送信する。第1判定部311は、ECHOリクエストの送信から所定時間内にECHO応答を受信した場合には、メイン回線が通信可能状態であると判定し、ECHOリクエストの送信から所定時間内にECHO応答を受信しない場合には、メイン回線が通信不可能状態であると判定する。
【0053】
第1判定部311は、中継装置100がバックアップ回線に接続されている場合に、第1疎通確認を実行し、メイン回線が通信可能状態であるか否かを判定する。
【0054】
送信部313は、第1判定部311による判定結果を、管理装置600に通知するために送信する。
【0055】
管理装置600は、送信部313から送信された第1判定部311による判定結果を受信する。管理装置600は、判定結果を受信すると、受信した判定結果を記憶する。具体的な一例では、管理装置600の不揮発性メモリ(図示せず)には、メイン回線の状態を記憶するための状態テーブル601が設けられている。図5は、状態テーブル601の一例を示す図である。状態テーブル601には、メイン回線が通信可能状態であるか、通信不可能状態であるかを示す第1状態情報が登録される。すなわち、第1判定部311によって、メイン回線が通信可能状態であると判定された場合には、状態テーブル601にはメイン回線が通信可能状態であることを示す第1状態情報が登録される。第1判定部311によって、メイン回線が通信不可能状態であると判定された場合には、状態テーブル601にはメイン回線が通信不可能状態であることを示す第1状態情報が登録される。
【0056】
図4に戻り、取得部112は、第1判定部311による判定結果を取得する。具体的には、取得部112は、管理装置600に、第1状態情報を問い合わせる。管理装置600は、取得部112からの問い合わせに応じて、状態テーブル601に登録されている第1状態情報を中継装置100へ送信する。取得部112は、管理装置600から送信された第1状態情報を受信する。
【0057】
第2切替部113は、監視装置300によってメイン回線が通信可能状態であると判定された場合に、バックアップ回線からメイン回線へ接続先を切り替える。具体的には、取得部112によって取得された第1状態情報がメイン回線が通信可能状態であることを示す場合に、第2切替部113は、バックアップ回線との通信接続を切断し、メイン回線との通信接続を確立する。
【0058】
[5.通信システムの動作]
監視装置300のプロセッサ301が通信回線診断プログラム310を実行することで、プロセッサ301は通信回線診断処理を実行する。本実施形態に係る通信回線診断処理は、メイン回線が通信可能状態であるか否かを判定する処理である。
【0059】
図6は、本実施形態に係る監視装置による通信回線診断処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
プロセッサ301は、メイン回線、すなわち、移動通信ネットワーク400_1との通信接続を確立する(ステップS101)。ステップS101のネットワーク接続では、SIMリーダ304Aに挿入された、移動通信ネットワーク400_1との接続用のSIMから読み出された情報が用いられる。
【0061】
プロセッサ301は、メイン回線を通じて管理装置600へ疎通確認(第1疎通確認)を実行する(ステップS102)。具体的には、プロセッサ301は、PINGコマンドを実行し、管理装置600へECHOリクエストを送信する。メイン回線が通信可能状態である場合、管理装置600はECHOリクエストを受信する。ECHOリクエストを受信した管理装置600はECHO応答を監視装置300へ送信し、監視装置300はECHO応答を受信する。メイン回線が通信不可能状態である場合、ECHOリクエストが管理装置600に到達しない。したがって、管理装置600はECHO応答を送信せず、監視装置300はECHO応答を受信しない。
【0062】
プロセッサ301は、第1疎通確認の結果によって、メイン回線が通信可能状態であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0063】
メイン回線が通信可能状態である場合(ステップS103においてYES)、プロセッサ301は、メイン回線が通信可能状態であることを示す判定結果を管理装置600へ送信し(ステップS104)、ステップS102へ戻る。判定結果を受信した管理装置600は、メイン回線が通信可能状態であることを示す第1状態情報を状態テーブル601に登録する。
【0064】
他方、メイン回線が通信不可能状態である場合(ステップS103においてNO)、プロセッサ301は、メイン回線との通信接続を切断し、バックアップ回線、すなわち、移動通信ネットワーク400_2との通信接続を確立する(ステップS105)。ステップS105のネットワーク接続では、SIMリーダ304Bに挿入された、移動通信ネットワーク400_2との接続用のSIMから読み出された情報が用いられる。
【0065】
バックアップ回線との通信接続が確立すると、プロセッサ301は、メイン回線が通信不可能状態であることを示す判定結果を管理装置600へ送信し(ステップS106)、ステップS101へ戻る。判定結果を受信した管理装置600は、メイン回線が通信不可能状態であることを示す第1状態情報を状態テーブル601に登録する。
【0066】
中継装置100のプロセッサ101が通信回線切替プログラム110を実行することで、プロセッサ101は通信回線切替処理を実行する。本実施形態に係る通信回線切替処理は、中継装置100がバックアップ回線に接続されている場合に、メイン回線が通信可能状態になると、中継装置100の接続先をバックアップ回線からメイン回線に切り替える処理である。
【0067】
図7は、本実施形態に係る中継装置による通信回線切替処理の一例を示すフローチャートである。
【0068】
プロセッサ101は、メイン回線、すなわち、移動通信ネットワーク400_1との通信接続を確立する(ステップS201)。ステップS201のネットワーク接続では、SIMリーダ104Aに挿入された、移動通信ネットワーク400_1との接続用のSIMから読み出された情報が用いられる。
【0069】
プロセッサ101は、メイン回線を通じて管理装置600へ疎通確認を実行する(ステップS202)。疎通確認は、上述したステップS102と同様であるので、説明を省略する。
【0070】
プロセッサ101は、疎通確認の結果によって、メイン回線が通信不可能状態であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0071】
メイン回線が通信可能状態である場合(ステップS203においてNO)、プロセッサ101は、ステップS202に戻る。
【0072】
メイン回線が通信不可能状態である場合(ステップS203においてYES)、プロセッサ101は、メイン回線との通信接続を切断し、バックアップ回線、すなわち、移動通信ネットワーク400_2との通信接続を確立する(ステップS204)。ステップS204のネットワーク接続では、SIMリーダ104Bに挿入された、移動通信ネットワーク400_2との接続用のSIMから読み出された情報が用いられる。
【0073】
プロセッサ101は、バックアップ回線との通信接続が確立すると、管理装置600に第1状態情報を問い合わせる。管理装置600は、問い合わせに応じて第1状態情報を中継装置100へ送信する。中継装置100が第1状態情報を受信すると、プロセッサ101は、第1状態情報によってメイン回線の状態を確認する(ステップS205)。
【0074】
プロセッサ101は、メイン回線が通信可能状態であるか否かを判定する(ステップS206)。
【0075】
メイン回線が通信不可能状態である場合(ステップS206においてNO)、すなわち、メイン回線が障害から復旧していない場合、プロセッサ101はステップS205に戻る。
【0076】
メイン回線が通信可能状態である場合(ステップS206においてYES)、すなわち、メイン回線が障害から復旧している場合、プロセッサ101はステップS101に戻り、バックアップ回線との通信接続を切断し、メイン回線、すなわち、移動通信ネットワーク400_1との通信接続を確立する。これにより、中継装置100がメイン回線に再接続される。
【0077】
[6.変型例]
[6-1.第1変型例]
監視装置300は、メイン回線が通信可能状態であるか否かの判定結果を、中継装置100へ送信してもよい。
【0078】
図4を参照し、第1変形例においては、送信部313は、第1判定部311による判定結果を、中継装置100へ送信する(図中破線矢印)。
【0079】
取得部112は、監視装置300から送信された判定結果を受信する。第2切替部113は、監視装置300から受信した判定結果がメイン回線が通信可能状態であることを示す場合に、バックアップ回線からメイン回線へ接続先を切り替える。
【0080】
[6-2.第2変型例]
監視装置300は、バックアップ回線の状態を監視してもよい。
【0081】
第2変形例に係る通信システムの機能について説明する。なお、以下では、上述した実施形態に係る通信システム10の機能とは異なる機能についてのみ説明し、実施形態に係る通信システム10の機能と同じ機能については説明を省略する。
【0082】
図4を参照する。第2変形例に係る監視装置300は、第2判定部312としての機能をさらに有する。
【0083】
第2判定部312は、中継装置100が管理装置600と通信するためにメイン回線へ接続した場合に、バックアップ回線における疎通を確認する処理である第2疎通確認を実行し、バックアップ回線が通信可能状態であるか否かを判定する。具体的には、第2判定部312は、バックアップ回線との接続を確立し、バックアップ回線を通じて管理装置600へPINGのECHOリクエストを送信することで、第2疎通確認を実行する。管理装置600は、ECHOリクエストを受信すると、ECHO応答を送信する。第2判定部312は、ECHOリクエストの送信から所定時間内にECHO応答を受信した場合には、バックアップ回線が通信可能状態であると判定し、ECHOリクエストの送信から所定時間内にECHO応答を受信しない場合には、バックアップ回線が通信不可能状態であると判定する。
【0084】
第2判定部312は、中継装置100がメイン回線に接続されている場合に、第2疎通確認を実行し、バックアップ回線が通信可能状態であるか否かを判定する。
【0085】
具体的な一例では、中継装置100がメイン回線に接続されているか、バックアップ回線に接続されているかを問わず、第1判定部311は第1疎通確認を実行し、メイン回線が通信可能状態であるか否かを判定する第1判定処理を実行し、第2判定部312は第2疎通確認を実行し、バックアップ回線が通信可能状態であるか否かを判定する第2判定処理を実行してもよい。例えば、第1判定部311と第2判定部312とは、第1判定処理及び第2判定処理を交互に実行することができる。
【0086】
送信部313は、第1判定部311による判定結果及び第2判定部312による判定結果を、管理装置600に通知するために送信する。
【0087】
例えば、送信部313は、監視装置300がメイン回線に接続されている場合には、メイン回線を通じて第1判定部311による判定結果及び第2判定部312による判定結果を管理装置600に送信することができる。これにより、バックアップ回線が通信不可能状態である場合でも、第1判定部311による判定結果及び第2判定部312による判定結果を管理装置600へ送信することができる。
【0088】
例えば、送信部313は、監視装置300がバックアップ回線に接続されている場合には、バックアップ回線を通じて第1判定部311による判定結果及び第2判定部312による判定結果を管理装置600に送信することができる。これにより、メイン回線が通信不可能状態である場合でも、第1判定部311による判定結果及び第2判定部312による判定結果を管理装置600へ送信することができる。
【0089】
管理装置600は、送信部313から送信された第1判定部311による判定結果及び第2判定部312による判定結果を受信する。
【0090】
図8は、状態テーブルの変形例を示す図である。本変形例に係る状態テーブル601Aには、メイン回線が通信可能状態であるか、通信不可能状態であるかを示す第1状態情報と、バックアップ回線が通信可能状態であるか、通信不可能状態であるかを示す第2状態情報とが登録される。すなわち、第1判定部311によって、メイン回線が通信可能状態であると判定された場合には、状態テーブル601Aにはメイン回線が通信可能状態であることを示す第1状態情報が登録される。第1判定部311によって、メイン回線が通信不可能状態であると判定された場合には、状態テーブル601Aにはメイン回線が通信不可能状態であることを示す第1状態情報が登録される。第2判定部312によって、バックアップ回線が通信可能状態であると判定された場合には、状態テーブル601Aにはバックアップ回線が通信可能状態であることを示す第2状態情報が登録される。第2判定部312によって、バックアップ回線が通信不可能状態であると判定された場合には、状態テーブル601Aにはバックアップ回線が通信不可能状態であることを示す第2状態情報が登録される。
【0091】
図4に戻り、取得部112は、第1判定部311による判定結果及び第2判定部312による判定結果を取得する。具体的には、取得部112は、管理装置600に、第1状態情報及び第2状態情報を問い合わせる。管理装置600は、取得部112からの問い合わせに応じて、状態テーブル601Aに登録されている第1状態情報及び第2状態情報を中継装置100へ送信する。取得部112は、管理装置600から送信された第1状態情報及び第2状態情報を受信する。
【0092】
第1切替部111は、メイン回線が通信不可能状態となった場合において、監視装置300によってバックアップ回線が通信可能状態であると判定したときに、メイン回線からバックアップ回線へと接続先を切り替える。具体的な一例では、取得部112は、メイン回線が通信不可能状態となった場合に、管理装置600から第2状態情報を取得する。第1切替部111は、取得部112によって取得された第2状態情報がバックアップ回線が通信可能状態であることを示す場合に、メイン回線との通信接続を切断し、バックアップ回線との通信接続を確立する。これにより、中継装置100は、バックアップ回線が通信可能状態であることを確認した上で、バックアップ回線に接続することができる。
【0093】
次に、第2変形例に係る通信システムの動作について説明する。
【0094】
図9は、第2変形例に係る監視装置による通信回線診断処理の一例を示すフローチャートである。
【0095】
プロセッサ301は、メイン回線、すなわち、移動通信ネットワーク400_1との通信接続を確立する(ステップS301)。
【0096】
プロセッサ301は、メイン回線を通じて管理装置600へ疎通確認(第1疎通確認)を実行し(ステップS302)、第1疎通確認の結果によって、メイン回線が通信可能状態であるか否かを判定する(ステップS303)。すなわち、プロセッサ301は、第1判定処理を実行する。ステップS301~S303は、上述したステップS101~S103と同じである。
【0097】
メイン回線が通信可能状態である場合(ステップS303においてYES)、プロセッサ301は、メイン回線が通信可能状態であることを示す判定結果と、バックアップ回線の状態の前回の判定結果とを管理装置600へ送信し(ステップS304)、ステップS302へ戻る。判定結果を受信した管理装置600は、メイン回線が通信可能状態であることを示す第1状態情報と、バックアップ回線が通信可能状態であるか否かを示す第2状態情報とを状態テーブル601Aに登録する。
【0098】
他方、メイン回線が通信不可能状態である場合(ステップS303においてNO)、プロセッサ301は、メイン回線との通信接続を切断し、バックアップ回線、すなわち、移動通信ネットワーク400_2との通信接続を確立する(ステップS305)。ステップS305は、上述したステップS105と同じである。
【0099】
プロセッサ301は、バックアップ回線を通じて管理装置600へ疎通確認(第2疎通確認)を実行する(ステップS306)。具体的には、プロセッサ301は、PINGコマンドを実行し、管理装置600へECHOリクエストを送信する。バックアップ回線が通信可能状態である場合、管理装置600はECHOリクエストを受信する。ECHOリクエストを受信した管理装置600はECHO応答を監視装置300へ送信し、監視装置300はECHO応答を受信する。バックアップ回線が通信不可能状態である場合、ECHOリクエストが管理装置600に到達しない。したがって、管理装置600はECHO応答を送信せず、監視装置300はECHO応答を受信しない。
【0100】
プロセッサ301は、第2疎通確認の結果によって、バックアップ回線が通信可能状態であるか否かを判定する(ステップS307)。すなわち、プロセッサ301は、第2判定処理を実行する。
【0101】
バックアップ回線が通信可能状態である場合(ステップS307においてYES)、プロセッサ301は、バックアップ回線が通信可能状態であることを示す判定結果と、メイン回線の状態の前回の判定結果とを管理装置600へ送信し(ステップS308)、ステップS301へ戻る。判定結果を受信した管理装置600は、メイン回線が通信可能状態であるか否かを示す第1状態情報と、バックアップ回線が通信可能状態であることを示す第2状態情報とを状態テーブル601Aに登録する。
【0102】
他方、バックアップ回線が通信不可能状態である場合(ステップS307においてNO)、プロセッサ301は、ステップS301へ戻る。すなわち、プロセッサ301は、バックアップ回線との通信接続を切断し、メイン回線との通信接続を確立する。
【0103】
図10は、第2変形例に係る中継装置による通信回線切替処理の一例を示すフローチャートである。
【0104】
プロセッサ101は、メイン回線、すなわち、移動通信ネットワーク400_1との通信接続を確立する(ステップS401)。
【0105】
プロセッサ101は、メイン回線を通じて管理装置600へ疎通確認を実行し(ステップS402)、疎通確認の結果によって、メイン回線が通信不可能状態であるか否かを判定する(ステップS403)。ステップS401~S403は、上述したステップS201~S203と同じである。
【0106】
プロセッサ101は、管理装置600に第2状態情報を問い合わせる。管理装置600は、問い合わせに応じて第2状態情報を中継装置100へ送信する。中継装置100が第2状態情報を受信すると、プロセッサ101は、第2状態情報によってバックアップ回線の状態を確認する(ステップS404)。
【0107】
プロセッサ101は、バックアップ回線が通信可能状態であるか否かを判定する(ステップS405)。
【0108】
バックアップ回線が通信不可能状態である場合(ステップS405においてNO)、すなわち、バックアップ回線に障害が発生している場合、プロセッサ101はステップS404に戻る。
【0109】
バックアップ回線が通信可能状態である場合(ステップS405においてYES)、すなわち、バックアップ回線に障害が発生していない場合、プロセッサ101はステップS406に移る。
【0110】
プロセッサ101は、メイン回線との通信接続を切断し、バックアップ回線、すなわち、移動通信ネットワーク400_2との通信接続を確立する(ステップS406)。
【0111】
プロセッサ101は、バックアップ回線との通信接続が確立すると、管理装置600に第1状態情報を問い合わせ、第1状態情報によってメイン回線の状態を確認する(ステップS407)。
【0112】
プロセッサ101は、メイン回線が通信可能状態であるか否かを判定し(ステップS408)、メイン回線が通信不可能状態である場合(ステップS408においてNO)、プロセッサ101はステップS407に戻る。
【0113】
メイン回線が通信可能状態である場合(ステップS408においてYES)、プロセッサ101はステップS101に戻る。ステップS406~S408は、上述したステップS204~S206と同じである。
【0114】
[6-3.第3変型例]
監視装置300は、メイン回線が通信可能状態であるか否かの判定結果及びバックアップ回線が通信可能状態であるか否かの判定結果を、中継装置100へ送信してもよい。
【0115】
図4を参照し、第3変形例においては、送信部313は、第1判定部311による判定結果及び第2判定部312による判定結果を、中継装置100へ送信する(図中破線矢印)。
【0116】
取得部112は、監視装置300から送信された第1判定部311による判定結果及び第2判定部312による判定結果を受信する。第2切替部113は、監視装置300から受信した第1判定部311による判定結果がメイン回線が通信可能状態であることを示す場合に、バックアップ回線からメイン回線へ接続先を切り替える。第1切替部111は、監視装置300から受信した第2判定部312による判定結果がバックアップ回線が通信可能状態であることを示す場合に、メイン回線からバックアップ回線へ接続先を切り替える。
【0117】
[6-4.その他の変型例]
第1状態情報及び第2状態情報を格納する状態テーブル601Aを、管理装置600とは異なる装置に設けてもよい。例えば、中継装置100と監視装置300とをLANを介して接続し、LANに接続された装置の不揮発性メモリに、状態テーブル601Aを設けることができる。これにより、メイン回線及びバックアップ回線の状態によらず、中継装置100は第1状態情報及び第2状態情報を取得することができる。
【0118】
第2変形例では、中継装置100がメイン回線に接続されているか、バックアップ回線に接続されているかを問わず、第1判定部311は第1疎通確認を実行し、メイン回線が通信可能状態であるか否かを判定する第1判定処理を実行し、第2判定部312は第2疎通確認を実行し、バックアップ回線が通信可能状態であるか否かを判定する第2判定処理を実行したが、これに限定されない。第1判定部311は、中継装置100がバックアップ回線に接続されている間にのみ、第1疎通確認を実行し、第1判定処理を実行してもよい。第2判定部312は、中継装置100がメイン回線に接続されている間にのみ、第2疎通確認を実行し、第2判定処理を実行してもよい。
【0119】
[7.補記]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的ではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及びその範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0120】
10 通信システム
100,100_1,100_2 中継装置
101 プロセッサ
102 不揮発性メモリ
103 揮発性メモリ
104 無線通信インタフェース(無線通信I/F)
104A,104B SIMリーダ
105 通信インタフェース(通信I/F)
110 通信回線切替プログラム
111 第1切替部
112 取得部
113 第2切替部
200,200_11,200_12,200_13,200_21,200_22,200_23 センサ
300 監視装置
301 プロセッサ
302 不揮発性メモリ
303 揮発性メモリ
304 無線通信インタフェース(無線通信I/F)
310 通信回線診断プログラム
311 第1判定部
312 第2判定部
313 送信部
304A,304B SIMリーダ
400_1,400_2 移動通信ネットワーク
410_1,410_2 基地局
500 インターネット
600 管理装置
601,601A 状態テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10