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特開2024-123690放送関連データ活用システム及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123690
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】放送関連データ活用システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240905BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031307
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 信行
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】 放送関連データを一元管理し、要望に応じたデータを価値ある情報として提供するサービスを実現する。
【解決手段】 実施形態の放送関連データ活用システムは、放送関連データを取得し、前記放送関連データをメタ化してそのメタデータを登録し、前記メタデータの登録データから注視データを自動抽出し、前記自動抽出された注視データに基づいて前記放送関連データのダイジェストを自動編集し、前記ダイジェストの編集結果からサービス対象の活用提案を作成し、前記サービス対象の活用提案をユーザに提供する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送関連データを取得してメタ化し、そのメタデータを登録する手段と、
前記メタデータの登録データから注視データを自動抽出し、前記自動抽出された注視データに基づいて前記放送関連データのダイジェストを自動編集してサービス対象の活用提案を作成する手段と、
前記サービス対象の活用提案をユーザに提供する手段と
を具備する放送関連データ活用システム。
【請求項2】
前記放送関連データは、放送局でアーカイブまたは保管される放送データである請求項1記載の放送関連データ活用システム。
【請求項3】
前記放送関連データは、放送局でアーカイブまたは保管される放送データとソーシャルメディアネットワークの映像・音声コンテンツとを含む請求項1記載の放送関連データ活用システム。
【請求項4】
前記ダイジェストは、前記注視データの該当部分の音声、映像、分析レポートの少なくともいずれかである請求項1記載の放送関連データ活用システム。
【請求項5】
前記注視データの自動抽出は、音声認識により、前記放送関連データの音声から注視するキーワードの抽出と抽出したキーワードを含む関連範囲のタイムコードと文字起こしをAI(Artificial Intelligence)によって自動で処理する請求項1記載の放送関連データ活用システム。
【請求項6】
前記注視データの自動抽出は、映像認識により、前記放送関連データの映像から注視する物体の抽出と抽出した物体を含む関連範囲のタイムコードと映像特徴量をAI(Artificial Intelligence)によって自動で処理する請求項1記載の放送関連データ活用システム。
【請求項7】
さらに、前記自動編集は、前記放送関連データの著作権、肖像権を含む法的チェックを自動で確認する請求項1記載の放送関連データ活用システム。
【請求項8】
放送関連データを取得し、
前記放送関連データをメタ化してそのメタデータを登録し、
前記メタデータの登録データから注視データを自動抽出し、
前記自動抽出された注視データに基づいて前記放送関連データのダイジェストを自動編集し、
前記ダイジェストの編集結果からサービス対象の活用提案を作成し、
前記サービス対象の活用提案をユーザに提供する
放送関連データ活用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、放送関連データ活用システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放送局からオンエアされる番組の素材や情報の放送データには、信頼性が高く、一次情報としての価値が高いデータが含まれている。このため、オンエアを過ぎた放送データは、過去データとしてアーカイブされるか、記録媒体に収録されて倉庫に保管され、例えば事件・事故などが生じたときに、アーカイブまたは倉庫から必要な素材等を取り出して再利用されている。
【0003】
しかしながら、放送局の運用では、放送データの中から価値あるデータを簡単に検索するための環境が整っておらず、放送データを未来・過去のデータとして活用し難い状況にある。また、番組用として用意されたが採用されなかった商品(物撮り)、店舗等の紹介映像や事件現場、街頭インタビュー等のドキュメント映像等の放送データも活用される機会を失っている。さらに、放送局でアーカイブまたは保管されている放送データに限らず、動画共有サービス等のSNS(Social Networking Service)の投稿や紹介等により一般的に提供されている映像・音声コンテンツも、関連情報としての活用が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-061428号公報
【特許文献2】特開2019-186843号公報
【特許文献3】特開2010-245865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上述べたように、従来では、放送局にアーカイブまたは保管されている放送データや動画共有サービス等のSNSにおける一般的な映像・音声コンテンツの有効利用を図る環境が整っていない状況にある。
【0006】
本実施形態は上記課題に鑑みなされたもので、放送局にアーカイブまたは保管されている放送データを含む放送関連データを一元管理し、要望に応じたデータを価値ある情報として提供するサービスを実現することのできる放送関連データ活用システム及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本実施形態によれば、放送関連データを取得し、前記放送関連データをメタ化してそのメタデータを登録し、前記メタデータの登録データから注視データを自動抽出し、前記自動抽出された注視データに基づいて前記放送関連データのダイジェストを自動編集し、前記ダイジェストの編集結果からサービス対象の活用提案を作成し、前記サービス対象の活用提案をユーザに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る放送関連データ活用システムの構成を示す概念図である。
図2図2は、図1に示す放送関連データ活用システムの中核となる放送データクラウドプラットフォームの概略処理構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、図2に示すプラットフォームの放送関連データの生成登録処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、図2に示すプラットフォームの放送関連データ二次利用における連携モデルを示す概念図である。
図5図5は、実施形態に係る放送関連データ活用システムにおけるプラットフォームの役割を示す概念図である。
図6図6は、実施形態に係る放送関連データ活用システムにおける放送関連データ活用の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、放送関連データ活用におけるバズワード生成方法を示すフローチャートである。
図8図8は、図6に示す活用処理の具体的なモデルを示す概念図である。
図9図9は、図8に示すモデルに利用されるダッシュボードの一例を示す図である。
図10図10は、図9に示すダッシュボードを利用した番組で紹介の商品情報提供サービスを自動で展開する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
近年になって様々な分野でDX(Digital Transformation)が謳われているが、放送局でも、放送データ(素材を含む)をDX化して放送後または同時にインターネットで配信する、SNS(Social Network Service)で情報を流すなど、二次利用する動きが出てきている。
【0011】
しかしながら、放送局では、放送データを放送以外にインターネット配信等の二次利用を推し進めるためには、その制作及び管理に要する人員や設備の負担が重く、効率的な情報発信が困難な状況にある。
【0012】
併せて、オンエアされた放送データについて、信頼性の高い一次情報の価値を創造し、その価値ある情報の二次利用を促進するための流通の仕組みを構築することも要望されている。
【0013】
そこで、本実施形態では、放送局に負担をかけることなく、放送データを含む放送関連データを一元管理し、放送関連データの中から価値あるデータを抽出して二次利用を可能とし、その流通の仕組みを整備して経済活動の促進に寄与する放送関連データ活用システムを構築する。
【0014】
なお、以下の説明において、放送局でアーカイブまたは保管されるデータを放送データと称し、プラットフォームにおいて、放送局からの放送データと必要に応じて収集されるSNS等の映像・音声コンテンツのデータを合わせて管理するデータを放送関連データと称する。
【0015】
図1は、実施形態に係る放送関連データ活用システムの構成を示す概念図、図2は、図1に示す放送関連データ活用システムの中枢となる放送関連データクラウドプラットフォーム(以下、プラットフォームまたはクラウドサーバと称する)の概略処理構成を示す機能ブロック図、図3は、図2に示すプラットフォームの放送関連データ生成登録処理の流れを示すフローチャートである。
【0016】
図1において、11は放送局、21はクラウドサーバ(図示せず)によって構築されるプラットフォームであり、放送局11とプラットフォーム21とはそれぞれ通信インターフェース111、211によりネットワーク31を通じてデータ通信が可能となっている。
【0017】
なお、プラットフォーム21に対する放送局11は一局に限らず、複数局の場合でも個別に対応可能である。また、キー局、ローカル局のいずれであってもよい。また、ネットワーク31には、放送データ活用システムの連携モデルに参加するメーカー(スポンサーを含む)41、広告代理店42、EC、電子決済業者等43、小売業者44、動画コンテンツ制作・販売業者45等が接続され、互いにデータ通信が可能となっている。
【0018】
放送局11は、放送予定または放送中(以下、オンエア)のMXF(Material Exchange Format)ファイルによる番組コンテンツや放送運行情報等の放送データを保存するMAM(Media Asset Management)サーバ(放送データ格納部)112を備え、DX化が要望される放送データがMAMサーバ112から読み出され、ネットワーク31を通じてプラットフォーム21に送信される。なお、放送局11において、オンエアされた放送データは、アーカイブされてデータ保存されるか、記録媒体に収録されて倉庫に保存されるが、この状態では所望の放送データの検索、素材の収集が困難になる。そこで、プラットフォーム21では、放送データのメタ化ファイルを、そのメタ化の情報を踏まえて必要に応じてSNS等の一般的な映像・音声コンテンツのメタ化ファイルと共に、放送関連データとしてクラウドサーバに登録しておき、いつでも任意の放送関連データの一部または全部を検索可能としておく。
【0019】
具体的には、プラットフォーム21は、図2に示すように、データ収集処理部2121、放送関連データ生成処理部2122、登録処理部2123、徴収処理部2124、還元処理部2125を備える。
【0020】
データ収集処理部2121は、放送局11から放送データを収集し、必要に応じてSNS等の一般的な映像・音声コンテンツを収集する。
【0021】
放送関連データ生成処理部2122は、データ収集処理部2121で収集された放送データと必要に応じて収集された映像・音声コンテンツを、音声認識・映像認識技術を活用してメタ(Meta)化し、そのメタ化データから商品や有名人などが提示する注視データを抽出し、抽出した注視データに沿って放送関連データのダイジェスト編集等を行って、視聴者にとって有用な情報となるサービス対象の放送関連データを生成する。
【0022】
登録処理部2123は、放送関連データ生成処理部2122で生成されたサービス対象の放送関連データ(メタ化ファイル)をクラウドサーバに登録する。
【0023】
徴収処理部2124は、クラウドサーバに登録された放送関連データの提供サービスを実行してその使用料を徴収する。
【0024】
還元処理部2125は、徴収した放送関連データの使用料を放送データ提供元の放送局11に還元する。
【0025】
上記プラットフォーム21では、上記放送関連データ生成処理部2122の処理を自動的に行える仕組みを図3に示すように構築する。
【0026】
すなわち、プラットフォーム21は、放送局11からの放送データの入力を待機し(ステップS11)、放送データが入力された場合には、その放送データの音声から注視する商品等のキーワードの抽出(音声の特徴的音圧変化(例えば「おいしー」の強調部分)の抽出も含む)+抽出したキーワードを含む関連範囲のタイムコード+文字起こしをAI(Artificial Intelligence)によって行う音声認識(ステップS12)、放送データの映像から注視する人物(有名人)等の物体の抽出+タイムコード+映像特徴量の抽出をAIによって行う映像認識(ステップS13)を経て、ステップS12、S13の認識結果から素材情報を抽出し、メタ化処理する(ステップS14)。続いて、放送運行の効率化のデータとして、前後±α切り出してダイジェスト等の編集をAIによって行い(ステップS15)、著作権、肖像権等のチェックを含む確認処理を経て(ステップS16)、問題がある場合はステップS12から再編集を行い、問題がなければ編集された放送データのメタデータを、必要に応じてSNSの一般的な映像・音声コンテンツのメタデータと共に、サービス対象の放送関連データとしてクラウドサーバに登録する(ステップS17)。登録されたサービス対象の放送関連データの提供は、その放送関連データを中心としたエコシステムの構築につながるため、放送関連データの二次利用の機会拡大を狙うことが可能となる。
【0027】
上記構成によるプラットフォーム21は、具体的には、メタ化された放送データを含む放送関連データを一か所に固めることで新しいエコシステムを構築するもので、 (1) 放送関連データの二次利用解析サービスとして、放送局11での効率的な情報発信を可能にする機能と、(2) 二次利用提供サービスとして、放送関連データ提供サービスの流通の仕組みを構築する機能とを備える。
【0028】
(1) 効率的な情報発信を行う機能としては、前述のように、音声認識・映像認識技術を活用して放送データを自動的にメタ化し、キーワードや有名人を抽出し、抽出されたキーワードや有名人に基づくダイジェスト編集等を行って、メタ化された放送データの音声、映像の解析結果を放送局にフィードバックする。この機能によれば、放送局で放送順序の入れ替え等、放送運行において、文字起こしされた文字情報等のメタ化データの二次利用(字幕挿入等)を加速することができ、さらには認識処理での分析結果から放送データの素材の特徴量を取得可能であり、その素材特徴量からマスター運行の効率化に寄与することができる。例えば、マスター運行内容を比較検知し、比較結果に基づく字幕への適用などが考えられる。
【0029】
(2) 放送関連データ提供サービスの流通の仕組みを構築する機能としては、(1) でメタ化した放送関連データをメタデータベースとして公開し、ECやアフィリエイター等でのリンクに応じた対価を貰うビジネスモデルを、プラットフォーム21を活用して構築し、放送関連データの流通の仕組みを構築する。その効果としては、放送関連データの二次利用の仕組みを提供し、放送関連データによる流通の活性化及び新しいエコシステムを構築することが可能となり、視聴者、消費者、業者等にとって効果的な、生活に密着した信頼性のある情報提供が可能となる。
【0030】
図4は、図2に示すプラットフォーム21の放送関連データ二次利用における連携モデルを示す概念図で、放送関連データ提供サービスにおける流通の仕組みを構築する機能を利用した一例を示している。ここでは、放送局でアーカイブまたは保管される放送データの二次利用における連携モデルにおいて、放送番組で商品を扱うコンテンツの放送データをプラットフォーム21によってメタ化及びダイジェスト編集していく様子を示している。
【0031】
図4において、放送局における放送データには、例えばCMデータ、番組データ(字幕データを含む)、テロップデータ、放送進行データがある。プラットフォーム21では、放送データを入力すると、放送データのテロップを映像認識してキーワード抽出し、放送データの音声を音声認識してキーワードを抽出、映像からの有名人抽出(映像認識)といった有名人+キーワードによる注視データをAI-SaaS(Software as a Service)で抽出し、放送進行データ及びCM・番組データと共にクラウドサーバに登録する。
【0032】
プラットフォーム21は、登録された有名人+キーワードの注視データに基づいて放送進行データ及びCM・番組データによる放送データを解析する。このとき、例えばAI-SaaSにより、商品キーワードから放送データ中のその商品(地方の特産品等)が照会されている区間を時間で特定し、その特定部分をダイジェスト編集し、編集された放送データにECベンダー(商品提供者)の二次元バーコード(商品提供元のリンクデータ)を付して提供することも可能である。このようにすることで、ECベンダーやアフィリエイターなどのホームページに掲載する際に、映像にバーコードなどによるリンク情報があると、ビジネスの機会拡大や放送による直接購買が分かるため、効果測定等に応用することができる。
【0033】
上記プラットフォーム21によって放送データのメタ化が行われ、必要に応じてSNSの一般的な映像・音声コンテンツのメタデータと共に放送関連データが生成されると、メタ提供ビジネスによるエコシステムが構築可能となる。例えば、ECベンダーやアフィリエイターへの販売用メタとして活用する、生活行動予測の分析に活用するというように、放送関連データを解析結果+メタ提供によるビジネスモデルとして、有効な形で二次利用することが可能となる。
【0034】
以下、上記放送関連データ活用システムによるビジネスモデルの具体的な仕組みを説明する。
【0035】
図5は、上記放送関連データ活用システムにおけるプラットフォーム21の具体的な役割を示す概念図である。なお、以下の説明では、放送局でアーカイブまたは保管される放送データの二次利用を説明するが、SNSの映像・音声コンテンツを含む放送関連データの場合も同様である。
【0036】
図5において、プラットフォーム21は、放送局11と連携し、放送局11からオンエア予定の放送データを事前に受け取り、オンエア前の放送レポート、AI編集動画による被オンエア放送データを作成してクラウドサーバに登録する。登録された放送データは、オンエア終了後には、過去データとして保存される。ここで、連携モデルに参加するメーカー(スポンサー)41、広告代理店42、EC、電子決済業者等43、小売業者44、動画コンテンツ制作・販売業者45等に対して放送データをサービスとして提供し、その対価を受け取って放送局11に提供する。
【0037】
なお、連携モデルの参加者としては、さらに調査会社、アフィリエイター、国内向け旅行業者、海外向け旅行業者、自治体、ニュースサイトも対象となり得る。また、更なる他業界へのサービス展開は、物流、ヘルスケア、教育、観光、人材、エンターテインメント、官庁、出版関係者にも及ぶことが考えられる。
【0038】
以上のように、プラットフォーム21は、放送局11へは多目的クラウドマスター(ネット配信等の多目的マイスター、リアルタイムAI字幕化、リアルタイム運用監視等)と放送データ活用ビジネスを提供する。これにより、放送局11は、ネット配信等の多目的運用費増大、広告収入モデル一辺倒の状態から、放送システムのソフトウェア化によりネット配信等の多目的運用費を低減し、放送データ活用によりCM収入以外の新規収益を創出することができる。
【0039】
一方、他業界では、商品や有名人の放送番組がオンエアされると、決済業者の場合は決済額・件数や加盟店数の拡大、小売業者の場合は在庫品数の管理における突発的な機会ロス、メーカーの場合は生産数やデリバリーの最適化、EC業者の場合は在庫品・商品訴求の最適化、動画コンテンツ業者の場合はテレビ映像の利用を含む動画編集費が課題となる。これに対して、プラットフォーム21は、一般には出回らないオンエア前の放送データ(事前放送レポート、AI編集映像)及びSNS等の一般的な収録コンテンツを含めて活用可能とし、例えば、2週間後のテレビ番組で紹介される商品の情報の放送データを提供することで、放送データを活用してビジネスを促進する者は、生産数やデリバリーを事前に拡大して需要に対処する、商品の在庫確保や訴求強化を図る、動画編集費の削減を図る等の事前処置が可能となる。
【0040】
図6は、上記放送関連データ活用システムにおける放送データ活用の流れを示すフローチャートである。
【0041】
まず、ユーザまたはオペレータから放送データ活用のリクエストが入力されると(ステップS21)、活用目的が未来か過去かの指定入力を受け付ける(ステップS22)。
【0042】
活用目的が未来の場合、活用目的とする市場の分析を行い(ステップS23)、その分析結果に基づいて、近い将来、流行すると予想されるバズワードをAIによって生成し(ステップS24)、生成されたバズワードを中心とする機会拡大のビジネスチャンスを創造する提案を作成する(ステップS25)。
【0043】
活用目的が過去の場合、活用目的に沿った検索キーの入力を受け付け(ステップS26)、検索結果からトレンドの傾向を分析し(ステップS27)、その傾向分析結果から商品企画のための提案を作成する(ステップS28)。
【0044】
上記ステップS25の未来向け提案とステップS28の過去分析提案は、ユーザの情報選択を可能とする、いわゆるダッシュボードの形式で提供する(ステップS29)。ダッシュボードを見たユーザから必要とされる提案の注文を受けると(ステップS30)、その注文データを指定先に提供し(ステップS31)、一連の処理を終了する。
【0045】
図7は、図6のステップS24の処理で利用される、放送データ活用におけるバズワード生成方法を示すフローチャートである。
【0046】
図7において、バズワードの生成指示を受けると(ステップS241)、期間、場所、ジャンル等の活用目的に沿った条件を設定し(ステップS242)、流行パターンの学習データによるAI解析を行い(ステップS243)、AI解析結果のキーワードを抽出して(ステップS244)、収集されている放送データに出現する回数をカウントし(ステップS245)、カウント数が閾値以上のワードをバズワード候補として出力し(ステップS246)、一連の処理を終了する。
【0047】
図8は、図6に示す放送データ活用処理の具体的なモデルを示す概念図である。すなわち、実施形態に係るシステムでは、入力された放送データを、映像認識、文字認識を利用してメタ化し、そのメタ化された放送データをクラウドサーバに登録する。すでに登録されたオンエア前のメタ化放送データもオンエア後には同等に利用される。放送データには、図8に示すように、報道、バラエティ、ドラマ、音楽、スポーツ、情報、CM等の映像、文字データが含まれる。
【0048】
ここで、活用目的が未来の場合、クラウドサーバに登録された一定期間のメタ化放送データをバズワードAI生成処理にかけて、将来、バズワードとなると予想される素材を生成する。生成されたバズワードの素材について、例えば販売活用、商品開発、MD(merchandising:商品化計画)、調査・分析のように、分析によってカテゴリー別に分類する。次に、分類されたバズワードの素材について、機会拡大のビジネスチャンスを創造する提案を生成する。
【0049】
一方、活用目的が過去の場合、活用目的に沿った検索キーに基づいて、クラウドサーバに登録されたメタ化放送データから関連するデータを検索し、その検索結果からトレンドの傾向を分析して、次の商品企画のためのデータの提供、季節に応じた提案を生成する。
【0050】
上記のように未来、過去別に分類された提案は、以下の提供先が考えられる。例えば販売活用の場合は、テレビ番組で紹介された商品の訴求する提案を小売業、飲食店、広告代理店に提供し、商品開発の場合は番組利用/紹介商品からトレンドを把握する提案をメーカー、SPA(Specialty store retailer of Private label Apparel:製造小売業)、飲食店に提供し、MD(merchandising:商品化計画)の場合は放映状況に応じた在庫/生産量を最適化する提案をメーカー、小売業、飲食店に提供し、調査・分析の場合は過去から現在に至る「出来事」を可視化する提案を調査会社、不動産、自治体に提供する。
【0051】
図9は、図8に示すモデルに利用されるダッシュボードの一例を示す図である。この例では、放送カレンダーで商品関連番組の放送日を提示し、指定日の商品関連番組の情報、購買行動への影響力等を提示し、番組別に、紹介している商品に関する情報を、評価を交えて提示している。
【0052】
図10は、図9に示すダッシュボードを利用した番組で紹介の商品情報提供サービスを自動で展開する処理を示すフローチャートである。
【0053】
まず、ダッシュボード視聴者から対象期間の指定があると(ステップS41)、指定期間内の番組を抽出し、一覧表示する(ステップS42)。ここで、商品関連番組の抽出指示があれば(ステップS43)、商品関連番組を抽出し、番組毎に購買力を評価して一任表示する(ステップS44)。次に、番組指定があれば(ステップS45)、指定番組内のリコメンド商品及び関連商品を抽出し、抽出商品毎に商品情報、コメント、番組内のリアクション等をまとめて一覧表示する(ステップS46)。ここで、商品購入の要望があれば(ステップS47)、商品購入手続き画面に移行し(ステップS48)、一連の処理を終了する。
【0054】
上記の例では、商品購入の場合を説明したが、商談先等の情報を提供する場合でも同様に実施可能である。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る放送関連データ活用システムでは、放送関連データから素材の未来・過去データをメタ化して活用する点にとどまらず、そのメタ化の先の活用処理について提案する。
【0056】
第1の活用処理では、未来放送データ・素材の新たなデータ提案として、メタ化した素材から、バズワード生成AIにていくつかの提案を作成し、データ提供サービスを行う。これにより、流行を事前に察知して供給量を増やし、これによって機会拡大を狙うことができる。また、いくつかの提案の中から流行を作ることもできる。
【0057】
第2の活用処理では、MD(merchandising)活用として、未来データを、機会拡大のビジネスチャンスの創造に活用することができる。さらに、未来データは何れ過去データとなるため、そのデータから次の商品企画のためのデータ提供や季節に応じた提案を行うこともできる。これにより、過去データについても価値ある二次利用を行うことが可能となる。
【0058】
第3の活用処理では、第1、第2の活用処理で得られたデータをデータ提供先に対して、ダッシュボートにて提供し、様々な観点での顧客に対して情報提供する。
【0059】
その他、映像・文字認識の結果から、素材のメタ化が行なわれるが、そのメタ情報と社会傾向を入力したトレンドAIにより、バズワード生成、商品企画生成などを行い、マーケットに合わせた市場分析結果をダッシュボートとして提供する。
【0060】
上記提案の結果、利用者に対して購買データを提供し、放送局11には購買データと共にデータ使用料を還元するので、放送関連データの提供サービスによる対価として使用料が放送局11の収入源につながり、放送局11にとっても新たなコンテンツ制作に意欲を持つようになる。これによって一連の連携モデルが成立し、放送局11に負担をかけることなく、放送局11で管理される放送関連データの中から注視するデータを抽出して二次利用を可能とし、その放送関連データ提供サービスの流通の仕組みを整備して経済活動の促進に寄与する放送関連データ活用システムを構築することができる。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態をそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
11…放送局、111…通信インターフェース、112…MAMサーバ、21…放送データクラウドプラットフォーム、211…通信インターフェース、212…情報処理装置、2121…放送データ収集処理部、2122…メタ化処理部、2123…登録処理部、2124…徴収処理部、2125…還元処理部、31…ネットワーク、41…メーカー(スポンサー)、43…EC、電子決済業者等、431…加盟店舗、432…顧客データベース、433…情報管理システム、44…小売業者、45…動画コンテンツ制作・販売業者、51…視聴者(=消費者)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10