(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123714
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】オリーブ葉麹、オリーブ葉麹エキス及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
C12G 3/022 20190101AFI20240905BHJP
A23L 31/00 20160101ALI20240905BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240905BHJP
A61K 36/63 20060101ALI20240905BHJP
A61K 36/06 20060101ALI20240905BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240905BHJP
C12N 1/14 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
C12G3/022 119F
A23L31/00
A23L5/00 J
A61K36/63
A61K36/06 Z
A61P3/00
C12N1/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031348
(22)【出願日】2023-03-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)ウェブサイトの掲載日:令和4年3月5日 https://www.jsbba.or.jp/MeetingofJSBBA/2022/MeetingofJSBBA2022.pdf (2)集会の開催日:令和4年3月16日 日本農芸化学会2022年度大会
(71)【出願人】
【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
(71)【出願人】
【識別番号】591081664
【氏名又は名称】日本オリーブ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514178532
【氏名又は名称】株式会社 樋口松之助商店
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】神崎 浩
(72)【発明者】
【氏名】仁戸田 照彦
(72)【発明者】
【氏名】服部 芳郎
(72)【発明者】
【氏名】徐 恵美
(72)【発明者】
【氏名】菊地 敬一
(72)【発明者】
【氏名】樋口 松之助
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4B065
4B115
4C087
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE05
4B018MD08
4B018MD19
4B018MD61
4B018MD80
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF04
4B018MF13
4B035LC06
4B035LE03
4B035LG14
4B035LG37
4B035LG50
4B035LP03
4B035LP22
4B035LP41
4B065AA60X
4B065AC20
4B065BC31
4B065CA17
4B065CA41
4B065CA44
4B065CA50
4B115AG17
4B115CN41
4C087AA01
4C087AA04
4C087BC05
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZC21
4C088AB64
4C088AC05
4C088AD16
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZC21
(57)【要約】
【課題】本発明は、自体、食品(健康食品、機能性食品、機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品等を含む)、化粧品、医薬部外品又は医薬品、或いはそれら製品用素材としての幅広い用途に利用可能な、新規なオリーブ葉麹、オリーブ葉麹エキス及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】オリーブ葉を麹菌固体培養することにより得られるオリーブ葉麹であって、オリーブ葉が蒸煮したオリーブ葉であることを特徴とするオリーブ葉麹、オリーブ葉麹エキス及びそれらの製造方法により、解決する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリーブ葉を麹菌固体培養することにより得られるオリーブ葉麹であって、前記オリーブ葉が蒸煮したオリーブ葉であることを特徴とするオリーブ葉麹。
【請求項2】
前記麹菌が、Aspergillus属に属する麹菌である、請求項1記載のオリーブ葉麹。
【請求項3】
請求項1記載のオリーブ葉麹を溶媒で抽出することにより得られるオリーブ葉麹エキス。
【請求項4】
アミノ酸総量が10μmol/dry g以上である、請求項3記載のオリーブ葉麹エキス。
【請求項5】
フォスフォセリン、タウリン、サルコシン、α-アミノ-n-酪酸、シスタチオニン、β-アラニン、β-アミノイソ酪酸、γ-アミノ酪酸、5-ヒドロキシ-L-リジン、オルニチン及びカルノシンからなるタンパク質非構成アミノ酸量に対するタンパク質構成アミノ酸量の比(モル比)が、2~30である、請求項3記載のオリーブ葉麹エキス。
【請求項6】
タンパク質構成アミノ酸を10種類以上含有する、請求項3記載のオリーブ葉麹エキス。
【請求項7】
γ-アミノ酪酸を含有する、請求項3記載のオリーブ葉麹エキス。
【請求項8】
オルニチンを含有する、請求項3記載のオリーブ葉麹エキス。
【請求項9】
総ポリフェノール量(TPC)が50μmol GAE/dry g以上であり、抗酸化活性(DPPH)が100μmol TE/dry g以上である、請求項3記載のオリーブ葉麹エキス。
【請求項10】
請求項1又は2記載のオリーブ葉麹或いは請求項3記載のオリーブ葉麹エキスを含有する、食品、化粧品、医薬部外品又は医薬品、或いはそれら製品用素材。
【請求項11】
オリーブ葉を蒸煮して蒸煮オリーブ葉を調製する工程と、前記蒸煮オリーブ葉を麹菌固体培養してオリーブ葉麹を調製する工程と、を含むことを特徴とするオリーブ葉麹の調製方法。
【請求項12】
前記麹菌が、Aspergillus属に属する麹菌である、請求項11記載の調製方法。
【請求項13】
前記蒸煮オリーブ葉を調製する工程において、前記オリーブ葉を切り刻むことなくそのまま用いる、請求項11記載の調製方法。
【請求項14】
オリーブ葉を蒸煮して蒸煮オリーブ葉を調製する工程と、前記蒸煮オリーブ葉を麹菌固体培養してオリーブ葉麹を調製する工程と、前記オリーブ葉麹を溶媒で抽出してオリーブ葉麹エキスを得る工程と、を含むことを特徴とするオリーブ葉麹エキスの調製方法。
【請求項15】
アミノ酸総量が10μmol/dry g以上である、請求項14記載の調製方法。
【請求項16】
フォスフォセリン、タウリン、サルコシン、α-アミノ-n-酪酸、シスタチオニン、β-アラニン、β-アミノイソ酪酸、γ-アミノ酪酸、5-ヒドロキシ-L-リジン、オルニチン及びカルノシンからなるタンパク質非構成アミノ酸量に対するタンパク質構成アミノ酸量の比(モル比)が、2~30である、請求項14記載の調製方法。
【請求項17】
タンパク質構成アミノ酸を10種類以上含有する、請求項14記載の調製方法。
【請求項18】
γ-アミノ酪酸を含有する、請求項14記載の調製方法。
【請求項19】
オルニチンを含有する、請求項14記載の調製方法。
【請求項20】
総ポリフェノール量(TPC)が50μmol GAE/dry g以上であり、抗酸化活性(DPPH)が100μmol TE/dry g以上である、請求項14記載の調製方法。
【請求項21】
前記蒸煮オリーブ葉を調製する工程において、前記オリーブ葉を切り刻むことなくそのまま用いる、請求項14記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリーブ葉麹、オリーブ葉麹エキス及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オリーブは、我が国において、岡山県瀬戸内市牛窓や香川県小豆島にて有名な地域特産物である。近年の活用法として、オリーブの果実についてはオイル等の用途にて利用され需要が高まっている一方、剪定枝やオリーブ葉の部分については未利用のまま廃棄されるか農作物用肥料として活用される程度である。
【0003】
この点、唯一、非特許文献1では、オリーブ葉を麹菌固体培養することにより、ポリフェノール含有量や抗酸化活性が高い、オリーブ葉麹を得る手法が提案されているが、その余の文献等は見当たらない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Antioxidants 2022, 11, 1693, pp. 1-14
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、それ自体、食品(健康食品、機能性食品、機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品等を含む)、化粧品、医薬品又は医薬部外品又はそれら製品用素材としての幅広い用途に利用可能な、新規なオリーブ葉麹及びそのエキス並びにそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、オリーブ葉を蒸煮した上で麹菌固体培養することで、アミノ酸成分が大幅に強化された新規なオリーブ葉麹及びそのエキスが得られることを見出すと共に、それらの製造方法を確立することにより、本発明を完成した。具体的には下記の発明を完成した。
【0007】
本発明(1)は、オリーブ葉を麹菌固体培養することにより得られるオリーブ葉麹であって、前記オリーブ葉が蒸煮したオリーブ葉であることを特徴とするオリーブ葉麹である。
本発明(2)は、前記麹菌が、Aspergillus属に属する麹菌である、前記発明(1)のオリーブ葉麹である。
本発明(3)は、前記発明(1)又は(2)のオリーブ葉麹を溶媒で抽出することにより得られるオリーブ葉麹エキスである。
本発明(4)は、アミノ酸総量が10μmol/dry g以上である、前記発明(1)のオリーブ葉麹エキスである。
本発明(5)は、フォスフォセリン(P-Ser)、タウリン(Tau)、サルコシン(Sar)、α-アミノ-n-酪酸(α-ABA)、シスタチオニン(Cysthi)、β-アラニン(β-Ala)、β-アミノイソ酪酸(β-AiBA)、γ-アミノ酪酸(γ-ABA)、5-ヒドロキシ-L-リジン(Hylys)、オルニチン(Orn)及びカルノシン(Car)からなるタンパク質非構成アミノ酸量に対するタンパク質構成アミノ酸量の比(モル比)が、2~30である、前記発明(1)のオリーブ葉麹エキスである。
本発明(6)は、タンパク質構成アミノ酸を10種類以上含有する、前記発明3のオリーブ葉麹エキスである。
本発明(7)は、γ-アミノ酪酸を含有する、前記発明(3)のオリーブ葉麹エキスである。
本発明(8)は、オルニチンを含有する、前記発明(3)のオリーブ葉麹エキスである。
本発明(9)は、総ポリフェノール量(TPC)が50μmol GAE/dry g以上であり、抗酸化活性(DPPH)が100μmol TE/dry g以上である、前記発明(3)のオリーブ葉麹エキスである。
本発明(10)は、前記発明(1)又は(2)のオリーブ葉麹或いは前記発明(3)のオリーブ葉麹エキスを含有する、それ自体、食品(健康食品、機能性食品、機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品等を含む)、化粧品、医薬部外品又は医薬品、或いはそれら製品用素材である。
本発明(11)は、オリーブ葉を蒸煮して蒸煮オリーブ葉を調製する工程と、前記蒸煮オリーブ葉を麹菌固体培養してオリーブ葉麹を調製する工程と、を含むことを特徴とするオリーブ葉麹の調製方法である。
本発明(12)は、前記麹菌が、Aspergillus属に属する麹菌である、前記発明(11)の調製方法である。
本発明(13)は、前記蒸煮オリーブ葉を調製する工程において、前記オリーブ葉を切り刻むことなくそのまま用いる、前記発明(11)又は(12)の調製方法である。
本発明(14)は、オリーブ葉を蒸煮して蒸煮オリーブ葉を調製する工程と、前記蒸煮オリーブ葉を麹菌固体培養してオリーブ葉麹を調製する工程と、前記オリーブ葉麹を溶媒で抽出してオリーブ葉麹エキスを得る工程を含むことを特徴とするオリーブ葉麹エキスの調製方法である。
本発明(15)は、アミノ酸総量が10μmol/dry g以上である、前記発明(14)の調製方法である。
本発明(16)は、フォスフォセリン(P-Ser)、タウリン(Tau)、サルコシン(Sar)、α-アミノ-n-酪酸(α-ABA)、シスタチオニン(Cysthi)、β-アラニン(β-Ala)、β-アミノイソ酪酸(β-AiBA)、γ-アミノ酪酸(γ-ABA)、5-ヒドロキシ-L-リジン(Hylys)、オルニチン(Orn)及びカルノシン(Car)からなるタンパク質非構成アミノ酸量に対するタンパク質アミノ酸量の比(モル比)が、2~30である、前記発明(14)又は(15)の調製方法である。
前記発明(17)は、タンパク質構成アミノ酸を10種類以上含有する、前記発明(14)の調製方法である。
本発明(18)は、γ-アミノ酪酸を含有する、前記発明(14)の調製方法である。
本発明(19)は、オルニチンを含有する、前記発明(14)の調製方法である。
本発明(20)は、総ポリフェノール量(TPC)が50μmol GAE/dry g以上であり、抗酸化活性(DPPH)が100μmol TE/dry g以上である、前記発明(14)の調製方法である。
本発明(21)は、前記蒸煮オリーブ葉を調製する工程において、前記オリーブ葉を切り刻むことなくそのまま用いる、前記発明(14)の調製方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のオリーブ葉麹及びそのエキスは、原料オリーブ葉に元々含まれているポリフェノールに由来する抗酸化活性を維持しつつ、かつ、原料オリーブ葉と比べ、アミノ酸が強化されているため、それ自体、食品(健康食品、機能性食品、機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品等を含む)、化粧品、医薬部外品又は医薬品、或いはそれら製品用素材として幅広い用途に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、オリーブ葉抽出液に含まれる主要な化合物の構造を示す図である。
【
図2】
図2は、シャーレ培養オリーブ葉麹MeOH抽出物の成分分析・活性評価を示す図である。
【
図3】
図3は、箱培養オリーブ葉麹MeOH抽出物の成分分析・活性評価を示す図である。
【
図4】
図4は、機械培養オリーブ葉麹MeOH抽出物の成分分析・活性評価を示す図である。
【
図5】
図5は、機械培養、シャーレ培養、箱培養の3種類の培養方法の比較を示す図である。
【
図6】
図6は、シャーレ培養オリーブ葉麹熱水抽出物の成分分析・活性評価を示す図である。
【
図7】
図7は、機械培養オリーブ葉麹熱水抽出物の成分分析・活性評価を示す図である。
【
図8】
図8は、シャーレ培養オリーブ葉麹抽出物のタンパク質構成アミノ酸量を示す図である。
【
図9】
図9は、シャーレ培養オリーブ葉麹抽出物のタンパク質構成アミノ酸以外のアミノ酸量を示す図である。
【
図10】
図10は、機械培養オリーブ葉麹熱水抽出物のアミノ酸分析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪1.オリーブ葉麹・オリーブ葉麹エキスの製造方法≫
本発明の一形態に係るオリーブ葉麹の製造方法は、蒸煮したオリーブ葉を麹菌固体培養する工程を含む。また、本発明の一形態に係るオリーブ葉麹エキスの製造方法は、オリーブ葉麹を溶媒で抽出する工程を含む。以下、各要件を詳述する。
【0011】
<1-1.オリーブ葉麹の原料>
(オリーブ葉)
本形態で使用可能なオリーブ葉としては、特に限定されず、例えば、ネバディロブランコ、ミッション、マンザニロ、ルッカ、モルー、アルベキーナ、ジャンボカラマタ、カラマタ、エンペントレ、ピクアール、コロネイキ、ファルガ、セントキャサリン、アスコラノ、チプレシーノ、フラントイオ、アメランク、ルッケ、コルニカブラ、オヒブランカ、レチン・デ・セビーリャ、ピクード、ベルディアル、カラスケタ、モライオロ、コレッジョラ、レッチーノ、タッジャスカ、ドンドリーノ、コラティーナ、レッチョ・デル・コルノ、サンタ・カテリーナ、オリアローザ・バレーゼ、ノチェラーラデベルベリーチェ、セムラリ、セムシャリ、サヤリ、シェトイ、ジェルブイ、ザルマティ、ホジブランコ、ピッチョリーネ、パラゴン、ワッガベルダル、ワシントン、ウエストオーストラリアミッション、サウスオーストラリアベンダル、アザパ、バルネア、ゴルダル、アスコラーナテレナ、コレッジョッラ、モロイオロ、ブラックイタリアン、ヘレナ、ロシオーラ、ワンセブンセブン、エルグレコ、ハーディズマンモス、アスコラーナ、アスラーノ、アスラーノ・テネラ、アメリカン、ウエストオーストラリア、オークラン、カザリーバ、クライスト、ジェンティーレ・ディ・キエーティ、シプレッシーノ、セビラーノ、タジャスカ、チプレッシーノ、ティニーオイル 、バロウニ、ベルダル、ペンドリーノ、ホワイト、マウリィーノ、ラ・タンシュ、ラキーノ、J5等を挙げることができる。
【0012】
(麹菌)
オリーブ葉の麹菌固体培養で使用する麹菌菌株は、本発明の目的を達成し得る限り、特に限定されず、例えば、Aspergillus属に属する微生物が好適に用いられる。Aspergillus属の微生物としては、Aspergillus oryzae、Aspergillus sojae、Aspergillus luchuensis、Aspergillus niger、Aspergillus glaucus等が挙げられる。殊に、Aspergillus oryzae、Aspergillus sojae、及びAspergillus luchuensisが特に好適に用いられる。
【0013】
<1-2.オリーブ葉麹の製造工程>
本形態に係るオリーブ葉麹の製造方法は、乾燥工程、蒸煮工程、麹菌固体培養工程、抽出物調製工程を有する。以下、各工程について詳述する。
【0014】
(乾燥工程)
乾燥工程は、常法にてオリーブ葉を乾燥させる工程である(例えば、オリーブ葉を30℃で3日間、食品乾燥機で通風乾燥する工程であるが、前記温度・時間は適宜、変更可能であるとともに、乾燥機は食品乾燥機に限定されない)。尚、乾燥前後において、オリーブ葉を切断・刻む・粉砕する等の砕葉処理を必須とせず、むしろ、実施しなくてもよい(オリーブ葉をそのまま使用できる)。
【0015】
(蒸煮工程)
蒸煮工程は、乾燥したオリーブ葉を蒸煮する工程である。蒸煮とは、蒸気により加熱処理をすることをいう。例えば、蓋をして蒸す方法を挙げることができる。また、加圧しなくても加圧してもよい(後者に関しては、例えばオートクレーブを使用できる)。このようにオリーブ葉を蒸煮することで、製麹中に、麹菌以外の、原材料のオリーブ葉に由来する雑菌が増殖するリスクを低減できる。ここで、蒸煮手法は、特に限定されない。例えば、シャーレ培養法における蒸煮手法、無通風箱培養法における蒸煮手法、小型通気式固体培養装置を用いた培養法における蒸煮手法を挙げることができる。
【0016】
(シャーレ培養法における蒸煮手法)
容器に水を張って普通のコンロで沸騰させ、蒸気が原料の層を抜けた段階上に軽く布を被せる手法である。
【0017】
(無通風箱培養法における蒸煮手法)
箱培養に使用するメッシュの器に載せ、ステンレス製蒸し器で所定時間(例えば50分間)蒸煮する手法である。
【0018】
(小型通気式固体培養装置を用いた培養法における蒸煮手法)
加圧蒸煮装置(NK缶)を用いて所定時間(例えば50分間が推奨される)加圧せずに無圧蒸煮する手法である。
【0019】
(麹菌固体培養工程)
麹菌固体培養工程は、麹菌を固体培養する限り、特に限定されない。例えば、シャーレ培養法、無通風箱培養法(箱培養法)、小型通気式固体培養装置を用いた培養法(機械培養法)を挙げることができる。麹菌固体培養における温度、時間は、適宜、変更可能である。培養温度は、通常、10℃以上、好適には、20℃以上、より好適には25~45℃、更に好適には、25~35℃である。また、培養時間は、通常、1日以上、好適には2日以上、より好適には2~5日、更に好適には2~4日、より更に好適には2~3日である。尚、本発明の麹菌固体培養においては、栄養成分を別途、加える必要がない。即ち、蒸煮したオリーブ葉と麹菌のみで、目的とするオリーブ葉麹を得ることができる。また、散水量(初発水分)は、特に限定されず、好適な下限値は20%、25%、30%、35%であり、好適な上限値は60%、55%、50%、45%である。特に好適な散水量は、40%(例えば、±5%、±2.5%)である。
【0020】
上記3種類の固体培養方法の特徴を表1―1に示す。
【表1】
【0021】
(抽出物調製工程)
抽出物調製工程は、オリーブ葉麹を溶剤で処理し、エキスを抽出する工程である。ここで、抽出に用いられる溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれも使用することができる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトニトリル;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、エチルエーテル、等のエステル類やエーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;液体二酸化炭素;超臨界二酸化炭素、亜臨界水;油脂、ワックス、その他オイル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの内、アルコール及び/又は水が好適である。以下、好適なアルコール抽出物調製手法及び水抽出物調製手法について詳述する。
【0022】
・アルコール抽出物調製手法
アルコール抽出物調製手法は、オリーブ葉麹にアルコールを加え、所定時間経過後に抽出する手法である(例えば、オリーブ葉麹100mgにメタノールを1mL加え、遮光し室温で24時間抽出し濾過)。
【0023】
・水抽出物調製手法
水抽出物調製手法は、オリーブ葉麹に水(好適には熱水)を加え、所定時間経過後に抽出する手法である(例えば、オリーブ葉麹1gをティーバックに入れ、熱湯を50mL加え6分間静置後、ティーバックを取り出す手法;オリーブ葉麹100mgに熱湯を5mL加え6分間抽出し、濾過する手法)。
【0024】
<1-3.オリーブ葉麹抽出物(エキス)>
(アミノ酸成分)
好適なオリーブ葉麹抽出物(エキス)は、20種類のタンパク質構成アミノ酸の内、大部分を含有する。具体的には、アラニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、リシンを挙げることができる。好適なオリーブ葉抽出物は、20種類のタンパク質構成アミノ酸の内、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、15種以上、16種以上、17種以上、18種以上、19種以上、含有する。
【0025】
更に、好適なオリーブ葉麹抽出物は、タンパク質非構成アミノ酸を含有する。ここで、タンパク質非構成アミノ酸としては、例えば、 フォスフォセリン(P-Ser)、タウリン(Tau)、サルコシン(Sar)、α-アミノ-n-酪酸(α-ABA)、シスタチオニン(Cysthi)、β-アラニン(β-Ala)、β-アミノイソ酪酸(β-AiBA)、γ-アミノ酪酸(γ-ABA)、5-ヒドロキシ-L-リジン(Hylys)、オルニチン(Orn)、カルノシン(Car)を挙げることができる。特に好適なオリーブ葉抽出物は、γ-アミノ酪酸及び/又はオルニチンを含有する。尚、本明細書における「タンパク質非構成アミノ酸」は、上述した11種類のアミノ酸を指す。但し、これら11種類以外のタンパク質非構成アミノ酸は分析対象にしていないに留まり、アミノ酸オリーブ葉抽出物がこれら11種類のアミノ酸以外を含有しないことを意味するものではない。
【0026】
オリーブ葉麹抽出物におけるアミノ酸総量(タンパク質構成アミノ酸+タンパク質非構成アミノ酸)は、好適には、10μmol/dry g以上、12.5μmol/dry g以上、17.5μmol/dry g以上、20μmol/dry g以上、25μmol/dry g以上、30μmol/dry g以上、40μmol/dry g以上、50μmol/dry g以上である。ここで、アルコール抽出物に関しては、オリーブ葉麹抽出物におけるアミノ酸総量は、好適には、10μmol/dry g以上、12.5μmol/dry g以上、17.5μmol/dry g以上、20μmol/dry g以上である。また、水抽出物に関しては、オリーブ葉麹抽出物におけるアミノ酸総量は、好適には、15μmol/dry g以上、20μmol/dry g以上、30μmol/dry g以上、40μmol/dry g以上、50μmol/dry g以上である。尚、アミノ酸総量の上限は、特に限定されず、例えば100,000μmol/dry gである。
【0027】
前述のように、オリーブ葉麹抽出物は、γ-アミノ酪酸及び/又はオルニチンを含有することが好適である。好適なオリーブ葉麹抽出物におけるγ-アミノ酪酸の含有量は、例えば、0.25μmol/dry g以上、0.5μmol/dry g以上、0.75μmol/dry g以上、1μmol/dry g以上である。尚、γ-アミノ酪酸の上限は、特に限定されず、例えば10,000μmol/dry gである。また、好適なオリーブ葉麹抽出物におけるオルニチンの含有量は、例えば、0.001μmol/dry g以上、0.0.005μmol/dry g以上、0.01μmol/dry g以上、0.025μmol/dry g以上、0.05μmol/dry g以上、0.1μmol/dry g以上である。尚、オルニチンの上限は、特に限定されず、例えば10,000μmol/dry gである。
【0028】
タンパク質非構成アミノ酸に対するタンパク質構成アミノ酸の比(モル比)は、例えば、下限値としては、2、3、4、4.5、5、5.25、5.5、6であり、上限値としては、30、20、15、12.5、10である。
【0029】
(ポリフェノール)
オリーブ葉麹抽出物は、好適には、ポリフェノールを含有する。ここで、ポリフェノールは、特に限定されず、例えば、オレウロペイン、ヒドロキシチロソール、ベルバスコシド、ルテオリン、アピゲニンを挙げることができる。ここで、総ポリフェノール量(Gallic acid相当量)は、好適には、50μmol GAE/dry g以上、75μmol GAE/dry g以上、100μmol GAE/dry g以上である。尚、ポリフェノールの上限値は、特に限定されず、例えば、100,000μmol GAE/dry gである。
【0030】
(抗酸化活性)
オリーブ葉麹抽出物の抗酸化活性(DPPH)は、好適には、50μmol TE/dry g以上、75μmol TE/dry g以上、100μmol TE/dry g以上、150μmol TE/dry g以上である。尚、抗酸化活性の上限値は、特に限定されず、例えば、100,000μmol TE/dry gである。
【0031】
≪オリーブ葉麹及びオリーブ葉麹抽出物の用途≫
本形態に係るオリーブ葉麹及びオリーブ葉麹抽出物は、ポリフェノールを高濃度で含有し、高い抗酸化活性を有する。更に、本形態に係るオリーブ葉麹及びオリーブ葉麹抽出物は、アミノ酸を高濃度で含有する。また、オリーブ葉麹は、そのままでもよく、また、更にアミノ酸等の増加処理(例えば、加水して加温する処理)を施してもよい。以上のように、本形態に係るオリーブ葉麹及びオリーブ葉麹抽出物は、化粧品、各種飲食品、サプリメント、医薬品、医薬部外品の素材等として有用である。
【実施例0032】
<オリーブ葉麹の製造方法>
(麹菌菌株)
表1-2に、実施例にて使用した麹菌菌株とその用途を示す。
【表2】
【0033】
(オリーブ葉の乾燥工程)
オリーブ葉(品種:ルッカ)を30℃で3日間、食品乾燥機で通風乾燥させた(静岡製機 食品乾燥機DSK-20-3)。
【0034】
【0035】
【0036】
・小型通気式固体培養装置を用いた培養法(機械培養法)
蒸煮処理ありオリーブ葉麹を用いて、シャーレ培養、箱培養とは同じ固体培養で、スケールや通気といった培養環境条件の異なる機械培養を行った。機械培養では、通風で水蒸気を入れているところ、水と空気をフィルター濾過で除菌し、湿度を調整した空気を送風できる装置をつけた培養装置を使用した。(株)フジワラテクノアートで行われた小型通気式固体培養装置を用いた。
(オリーブ葉麹の抽出工程)
・アルコール抽出物調製方法
オリーブ葉麹をミルで粉砕し、その粉砕物100 mgにMeOH 1 mLを加え、遮光して24時間抽出した。その後、綿ろ過を行い、MeOHで1 mLにフィルアップし、MeOH抽出物を調製した。
・熱水抽出物調製方法
オリーブ葉麹をミルで粉砕し、その粉砕物100 mgに熱水5 mLを加え、6分間抽出した。その後、綿ろ過を行い、熱水で5 mLにフィルアップし、熱水抽出物を調製した。
【0037】
<オリーブ葉麹の分析方法>
オリーブ葉麹の分析方法では、UPLCを用いた成分分析、総ポリフェノール量測定、抗酸化活性測定、アミノ酸分析を行った。
【0038】
(UPLCを用いた成分分析)
UPLCの分析条件を表1-3に示す。成分分析は、フラボノイド等の化合物をより効率的に検出できる条件であるフラボノイド-6を用いて行った。
【表3】
【0039】
(UPLCを用いた成分分析における化合物の定量方法)
オリーブ葉抽出物に含まれるoleuropein、flavone、Verbascoside、hydroxytyrosolについてUPLCによる化合物の定量を行った。
図1に各化合物の構造を示す。
【0040】
(総ポリフェノール量測定)
Folin-Ciocalteu 法を用いて、総ポリフェノール含有量の測定を行った。
【0041】
総ポリフェノール量測定試料は、メタノール抽出物では100%MeOH溶液、熱水抽出物では蒸留水を使用した。Gallic acid検量線を基に麹1 g 当りの総ポリフェノール含有量をGallic acid 相当量 (μmol GAE*/g)として算出した。
【0042】
(抗酸化活性測定)
DPPH法を用いて、抗酸化活性の測定を行った。
【0043】
抽出物の測定試料は、抽出物(100%MeOH)と10 mM クエン酸緩衝液(pH3.0)を1:1 で混合した後、更に10 mMクエン酸緩衝液(pH3.0)/MeOHを1:1で混合した溶液で希釈した。ポジティブコントロールとしては標準物質であるTroloxを用い、麹のDPPH ラジカル消去活性をTrolox等量(μmol TE/g)として評価した。ラジカル消去活性の経時変化も確認するために、DPPH ラジカル添加直後の測定を0分とし、反応開始後0、15、30、60、120分経過後に測定した。その間、プレートには蓋をして室温で放置した。ラジカル消去率は以下の式を用いて算出した。
ラジカル消去率(%)={(ブランクの吸光度-試料の吸光度)/ブランクの吸光度}×100
【0044】
(アミノ酸分析)
アミノ酸分析計によるアミノ酸分析を行った。
麹の熱水抽出物は、シリンジ(1mL , テルモ: SS-01T)に入れ、フィルターユニット(0.20μm, アドバンテック: 13CP020AN)で濾過し、20 μL を分析した。MeOH 抽出物は、MeOHを留去し、0.02 M HCl 100 μLを加えて調製した溶液を遠心分離し、その上清を20 μL を分析した。
【0045】
使用したアミノ酸標準液
・アミノ酸混合標準液AN 型富士フィルム和光純薬 (010-28164)
(O-Phospho-L-Serine, Taurine, 2-Aminoethyl Dihydrogen Phosphate, Urea, L-Aspartic Acid, L(-)-Threonine, L-Serine, L-Glutamic Acid, Sarcosine, Glycine, L-Alanine, L(+)-Citrulline, DL-2-Aminobutyric Acid, L-Valine, L-Cystine, L-Methionine, L-(+)-Cystathionine, L-Leucine, L (+)-Isoleucine, L-Tyrosine, L (-)-Phenylalanine, β-Alanine, L-Proline, L-hydroxy-Proline, (+/-)-3-Amino-2-Methylpropionic Acid)0.02N HCl で25 倍希釈して使用。
・アミノ酸混合標準液B 型富士フィルム和光純薬 (016-28144)
(L-Anserine Nitrate Salt, L-Carnosine, L(+)-Arginine, 1-Methyl-L-Histidine, 3-Methyl-L-Histidine, DL-5-Hydroxylysine Hydrochloride, L-Histidine, L(+)-Lysine Dihydrochloride,L(+)-Ornithine Monohydrochloride, 4-Aminobutyric Acid, 2-Aminoethanol, Ammonium Chloride)0.02N HCl で25 倍希釈して使用。
※Tryptophan, Glutamine, Asparagine は別途添加
【0046】
<オリーブ葉麹抽出物の成分分析・活性評価(ポリフェノール、抗酸化活性)>
図2~
図7に結果を示す。
【0047】
A.sojae 7009 株を用いた麹では、他の2菌株を用いた麹と比べ、 oleuropeinの分解やflavone配糖体からアグリコンへの構造変化がより起こり、培養に用いた菌株ごとに反応の違いがあることが示唆された。
【0048】
オリーブ葉基材に対する72時間培養オリーブ葉麹のoleuropeinの減少率は、機械培養では53.5%、シャーレ培養では13.1%,箱培養では3.6%であり機械培養でのoleuropein 量の減少が顕著であった。シャーレ培養、箱培養では、oleuropein 量とoleuropein 相当量で算出した総ポリフェノール含有量と比較すると、オリーブ葉中に含まれるポリフェノールの多くがoleuropein であると合理的に考えられる。機械培養では、oleuropein が培養後大幅に減少しており、oleuropein 以外のポリフェノールが存在することが示唆された。
【0049】
3つの培養方法において、flavone 配糖体からアグリコンへの構造変化が起こっていた。シャーレ培養、箱培養ではアグリコンと配糖体の総量は培養前と培養後で同程度であるのに対し、機械培養では培養後にその総量自体の減少したことより、機械培養では代謝がより進行し、アグリコンが更に分解したと考えられる。機械培養では、シャーレ培養や箱培養と比べてより代謝が進行しており、麹菌固体培養後も総ポリフェノール含有量や抗酸化活性を維持していることから、oleuropein やflavone 類の分解が進行したといえる。
【0050】
<オリーブ葉麹抽出物の成分分析・活性評価(アミノ酸)>
図8~
図10に結果を示す。
【0051】
オリーブ葉基材にはほとんど存在しないタンパク質構成アミノ酸とそれ以外のアミノ酸類が麹菌固体培養後、大きく増加した。また、GABA やオルニチンといった機能性が報告されているアミノ酸もオリーブ葉基材と比べ、培養後、増加していた。
【0052】
熱水抽出とMeOH 抽出の両方でタンパク質構成アミノ酸以外のアミノ酸は抽出が可能であるが、ほとんどの試料中に含まれるアミノ酸量は熱水抽出の方がやや多く、アミノ酸総量では、MeOH で抽出されるアミノ酸総量は熱水で抽出されるアミノ酸総量の4 割程度であった。MeOH 抽出でもアミノ酸が抽出された理由としては、オリーブ葉基材や麹自体に水分が含まれていたことに加え、チロシンやシスチンは水に溶けにくく、プロリンはエタノールに溶解するといった各アミノ酸の溶解度の違いが影響することが挙げられる。これまでの分析結果より、oleuropein やflavone 類を含むポリフェノールはMeOH 抽出の方が多く抽出されることが分かっている。そのため、アミノ酸は熱水抽出でより多く抽出され,ポリフェノール類はMeOH 抽出でより多く抽出されるといえ、抽出に用いる溶媒を工夫することで、各化合物の抽出効率を変えることができる。
【0053】
熱水抽出物について、基材と比べてアミノ酸総量はA.oryzae 6001 株では9.16 倍,A.sojae 7009 株では6.34 倍、A.luchuensis 8041 株では3.68 倍増加しており、MeOH 抽出物についても同程度の増加量であった。特にA.oryzae 6001 株では、アミノ酸が多く抽出される傾向にあり、菌株ごとに増加量が異なる。総ポリフェノール含有量や抗酸化活性は、麹菌固体培養後も同程度に維持されており、菌株ごとの違いはそれほど認められなかった。そのため、麹菌固体培養により、抗酸化活性やアミノ酸による機能性を維持しつつ、アミノ酸量が増加するといえる。アミノ酸量については菌株ごとにその増加量に違いが認められた。
【0054】
以上のとおり、検出された多くのアミノ酸で、基材にはほとんど存在しないアミノ酸が増加した。また、2種類の培養方法において、総ポリフェノール含有量と抗酸化活性の変化量に大きな差はなかった。以上のことより、シャーレ培養と機械培養の2 種類の培養方法において、麹菌固体培養法により、アミノ酸量は増加し、総ポリフェノール含有量や抗酸化活性はほぼそのまま維持されることが示唆された。シャーレ培養A.oryzae 6001 株72 時間培養オリーブ葉麹と機械培養A.oryzae 6001株の48 時間培養オリーブ葉麹のアミノ酸総量は同程度であった。また、それぞれのコントロールとして用いた培養基材は素材が異なるが、アミノ酸量は同程度であった。そのため、機械培養ではシャーレ培養と比べアミノ酸量増加速度が大きいといえる。