(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123715
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】電力変換システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20240905BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240905BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240905BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240905BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240905BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240905BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J7/00 302C
H02J7/02 F
H02J7/35 K
H02M7/48 R
H02M3/00 H
H02M3/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031349
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】狩川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】則竹 良典
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋平
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA07
5G503FA06
5G503GB06
5G503GD06
5H730AS01
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB82
5H730CC01
5H770BA11
5H770CA01
5H770CA05
5H770CA06
5H770DA10
(57)【要約】
【課題】複数の蓄電部が接続された電力変換システムにおけるユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】DC/ACインバータ(12)と、第1蓄電部群(7g)用の第1DC/DCコンバータ群(21g)と、第2蓄電部群(8g)用の第2DC/DCコンバータ群(31g)を備える電力変換システム(1)において、直流バス(Bd)から第1DC/DCコンバータ群(21g)を介して第1蓄電部群(7g)へ供給される直流電力と、直流バス(Bd)から第2DC/DCコンバータ群(31g)を介して第2蓄電部群(8g)へ供給される直流電力との比率を設定可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統と直流バスとの間に接続されるDC/ACインバータと、
1つ以上の第1蓄電部を含む第1蓄電部群と前記直流バスとの間にそれぞれ接続された1つ以上の第1DC/コンバータを含む第1DC/DCコンバータ群と、
1つ以上の第2蓄電部を含む第2蓄電部群と前記直流バスとの間にそれぞれ接続された1つ以上の第2DC/コンバータを含む第2DC/DCコンバータ群と、を備え、
前記直流バスから第1DC/DCコンバータ群を介して前記第1蓄電部群へ供給される直流電力と、前記直流バスから前記第2DC/DCコンバータ群を介して前記第2蓄電部群へ供給される直流電力との比率を設定可能である電力変換システム。
【請求項2】
前記DC/ACインバータが前記直流バスに出力する電力を前記比率によって按分した値が、前記第1蓄電部群または前記第2蓄電部群の一方の充電可能な電力を超過する場合、前記比率に関わらず、前記第1蓄電部群または前記第2蓄電部群の他方への充電電力を増加させることを特徴とする請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項3】
1つ以上の発電部を含む発電部群と前記直流バスとの間にそれぞれ接続された1つ以上の第3DC/コンバータを含む第3DC/DCコンバータ群をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記第3DC/DCコンバータ群が前記直流バスに出力する電力と、前記DC/ACインバータが前記直流バスに出力する電力との合算電力を前記比率によって按分した値が、前記第1蓄電部群または前記第2蓄電部群の一方の充電可能な電力を超過する場合、前記比率に関わらず、前記第1蓄電部群または前記第2蓄電部群の他方への充電電力を増加させることを特徴とする請求項3に記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記第3DC/DCコンバータ群が前記直流バスに出力する電力から、前記直流バスから前記DC/ACインバータに出力される電力を引いた差分電力を前記比率によって按分した値が、前記第1蓄電部群または前記第2蓄電部群の一方の充電可能な電力を超過する場合、前記比率に関わらず、前記第1蓄電部群または前記第2蓄電部群の他方への充電電力を増加させることを特徴とする請求項3に記載の電力変換システム。
【請求項6】
系統と直流バスとの間に接続されるDC/ACインバータと、
1つ以上の第1蓄電部を含む第1蓄電部群と前記直流バスとの間にそれぞれ接続された1つ以上の第1DC/コンバータを含む第1DC/DCコンバータ群と、
1つ以上の第2蓄電部を含む第2蓄電部群と前記直流バスとの間にそれぞれ接続された1つ以上の第2DC/コンバータを含む第2DC/DCコンバータ群と、を備え、
前記第1蓄電部群から第1DC/DCコンバータ群を介して前記直流バスへ供給される直流電力と、前記第2蓄電部群から前記第2DC/DCコンバータ群を介して前記直流バスへ供給される直流電力との比率を設定可能である電力変換システム。
【請求項7】
前記直流バスから前記DC/ACインバータに出力される電力を前記比率によって按分した値が、前記第1蓄電部群または前記第2蓄電部群の一方の放電可能な電力を超過する場合、前記比率に関わらず、前記第1蓄電部群または前記第2蓄電部群の他方からの放電電力を増加させることを特徴とする請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項8】
1つ以上の発電部を含む発電部群と前記直流バスとの間にそれぞれ接続された1つ以上の第3DC/コンバータを含む第3DC/DCコンバータ群をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の電力変換システム。
【請求項9】
前記直流バスから前記DC/ACインバータに出力される電力から、前記第3DC/DCコンバータ群が前記直流バスに出力する電力を引いた差分電力を前記比率によって按分した値が、前記第1蓄電部群または前記第2蓄電部群の一方の放電可能な電力を超過する場合、前記比率に関わらず、前記第1蓄電部群または前記第2蓄電部群の他方からの放電電力を増加させることを特徴とする請求項8に記載の電力変換システム。
【請求項10】
前記1つ以上の第1蓄電部は定置用蓄電池であり、
前記1つ以上の第2蓄電部は車載蓄電池である、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の蓄電部が接続された電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムと蓄電システムとEVを連携させたV2H蓄電システムが実用化されている(例えば、特許文献1参照)。EVを通勤に使用している場合、EVに搭載された車載蓄電池は、系統から電気料金が安価な夜間に充電されることが多い。定置蓄電池は、バックアップやピークシフトに活用される。ピークシフトは、系統から定置蓄電池に電気料金が安価な夜間に充電し、電気料金が相対的に高い昼間の時間帯に放電する運用形態である。
【0003】
車載蓄電池は大容量であるため充電に時間がかかる。夜間に車載蓄電池を充電する場合、深夜電気料金が適用される時間帯の多くを使用して、または深夜電気料金が適用される時間帯を超えて、車載蓄電池が充電されることになる。仮に深夜電気料金が適用される時間帯の全てが車載蓄電池への充電に割り当てられると、定置蓄電池を深夜電力で充電することができなくなる。自宅と会社との距離が比較的近い場合、車載蓄電池を必ずしも満充電まで充電する必要はない。その場合、深夜電力を定置蓄電池への充電にも割り当てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載蓄電池と定置蓄電池へのニーズはユーザによって様々であり、EVを通勤に使用しないユーザや、定置蓄電池をピークシフトに使用しないユーザもいる。したがって、車載蓄電池または定置蓄電池への充放電に関し、ユーザの様々なニーズを満たすことができる電力変換システムが求められる。
【0006】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、複数の蓄電部が接続された電力変換システムにおけるユーザの利便性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の電力変換システムは、系統と直流バスとの間に接続されるDC/ACインバータと、1つ以上の第1蓄電部を含む第1蓄電部群と前記直流バスとの間にそれぞれ接続された1つ以上の第1DC/コンバータを含む第1DC/DCコンバータ群と、1つ以上の第2蓄電部を含む第2蓄電部群と前記直流バスとの間にそれぞれ接続された1つ以上の第2DC/コンバータを含む第2DC/DCコンバータ群と、を備える。前記直流バスから第1DC/DCコンバータ群を介して前記第1蓄電部群へ供給される直流電力と、前記直流バスから前記第2DC/DCコンバータ群を介して前記第2蓄電部群へ供給される直流電力との比率を設定可能である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数の蓄電部が接続された電力変換システムにおけるユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る電力変換システムの構成例1を説明するための図である。
【
図2】
図2(a)-(b)は、リモートコントローラにおける充電比率の設定画面の一例を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る電力変換システムの構成例2を説明するための図である。
【
図4】
図1に示した電力変換システムの構成例1の応用例を示す図である。
【
図5】
図2に示した電力変換システムの構成例2の応用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施の形態に係る電力変換システム1の構成例1を説明するための図である。電力変換システム1は、DC/DCコンバータ11、DC/ACインバータ12、コンバータ制御回路13、インバータ制御回路14、制御部15、連系リレーRY1、自立出力リレーRY2、定置用DC/DCコンバータ21、定置用コンバータ制御回路22、車載用DC/DCコンバータ31および車載用コンバータ制御回路32を含む。
【0011】
DC/DCコンバータ11、DC/ACインバータ12、コンバータ制御回路13、インバータ制御回路14、制御部15、連系リレーRY1および自立出力リレーRY2は、例えば、太陽光発電システム用のパワーコンディショナで構成される。定置用DC/DCコンバータ21および定置用コンバータ制御回路22は、例えば、定置用蓄電池7用の充放電コンバータで構成される。なお、定置用DC/DCコンバータ21および定置用コンバータ制御回路22は上記パワーコンディショナ内に内蔵されてもよい。車載用DC/DCコンバータ31および車載用コンバータ制御回路32は、例えば、V2Hコンバータで構成される。なお、車載用DC/DCコンバータ31および車載用コンバータ制御回路32は上記パワーコンディショナ内に内蔵されてもよい。
【0012】
太陽電池6は光起電力効果を利用し、光エネルギーを直接、直流電力に変換する発電装置である。太陽電池6として、シリコン太陽電池、化合物半導体などを素材にした太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池などが使用される。太陽電池6は、DC/DCコンバータ11と接続され、発電した電力を電力変換システム1に出力する。DC/DCコンバータ11は、太陽電池6から出力される直流電力の電圧を調整可能なコンバータである。DC/DCコンバータ11は例えば、昇圧チョッパで構成することができる。
【0013】
コンバータ制御回路13はDC/DCコンバータ11を制御する。コンバータ制御回路13は、太陽電池6の出力電力が最大になるようDC/DCコンバータ11をMPPT(Maximum Power Point Tracking) 制御する。具体的にはコンバータ制御回路13は、太陽電池6の出力電圧および出力電流である、DC/DCコンバータ11の入力電圧および入力電流を測定して太陽電池6の発電電力を推定する。コンバータ制御回路13は、測定した太陽電池6の出力電圧と推定した発電電力をもとに、太陽電池6の発電電力を最大電力点(最適動作点)にするための電圧指令値を生成する。コンバータ制御回路13は例えば、山登り法にしたがい動作点電圧を所定のステップ幅で変化させて最大電力点を探索し、最大電力点を維持するように電圧指令値を生成する。DC/DCコンバータ11は、生成された電圧指令値に基づく駆動信号に応じてスイッチング動作する。
【0014】
DC/ACインバータ12は、直流バスBdと分電盤3との間に接続される双方向DC/ACインバータである。より具体的には、DC/ACインバータ12の交流側の出力経路は、連系出力経路と自立出力経路に分岐される。DC/ACインバータ12の連系出力経路は、連系リレーRY1を介して分電盤3に接続される。分電盤3には、商用電力系統(以下、単に系統2という)と一般負荷4が接続される。一般負荷4は宅内に設置された負荷の総称である。
【0015】
DC/ACインバータ12の自立出力経路は、自立出力リレーRY2を介して自立負荷5に接続される。自立負荷5は停電時にも給電を確保したい負荷(例えば、照明器具、冷蔵庫など)の総称である。自立出力経路にはACコンセントが設置されていてもよい。なお停電時において、一般負荷4全体をバックアップする構成の場合、DC/ACインバータ12の交流側の出力経路から自立出力経路を分岐させる必要はない。
【0016】
直流バスBdには、太陽電池6用のDC/DCコンバータ11、定置用DC/DCコンバータ21および車載用DC/DCコンバータ31が並列に接続される。定置用DC/DCコンバータ21は直流バスBdの第1入出力端子T1に接続され、車載用DC/DCコンバータ31は直流バスBdの第2入出力端子T2に接続される。
【0017】
DC/ACインバータ12は、直流バスBdから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を分電盤3または自立負荷5に出力する。また、DC/ACインバータ12は、系統2から分電盤3および連系リレーRY1を介して供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を直流バスBdに出力することもできる。
【0018】
インバータ制御回路14はDC/ACインバータ12を制御する。インバータ制御回路14は系統連系時の基本制御として、直流バスBdの電圧が目標値を維持するようにDC/ACインバータ12を制御する。具体的にはインバータ制御回路14は、直流バスBdの電圧を検出し、検出したバス電圧を目標値に一致させるための電流指令値を生成する。インバータ制御回路14は、直流バスBdの電圧が目標値より高い場合はDC/ACインバータ12の出力電力を上げるための電流指令値を生成し、直流バスBdの電圧が目標値より低い場合はDC/ACインバータ12の出力電力を下げるための電流指令値を生成する。DC/ACインバータ12は、生成された電流指令値に基づく駆動信号に応じてスイッチング動作する。
【0019】
制御部15、インバータ制御回路14、コンバータ制御回路13、定置用コンバータ制御回路22および車載用コンバータ制御回路32のそれぞれは、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、またはハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源としてアナログ回路、ロジック回路、マイクロコントローラ、DSP、ROM、RAM、ASIC、FPGA、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源として、ファームウェアなどのプログラムを利用できる。
【0020】
制御部15は電力変換システム1全体を統括的に制御する。系統連系モードでは、制御部15は連系リレーRY1をオン(クローズ)および自立出力リレーRY2をオフ(オープン)に制御する。停電時の自立運転モードでは、制御部15は連系リレーRY1をオフおよび自立出力リレーRY2をオンに制御する。制御部15は、DC/ACインバータ12の交流側の測定電圧をもとに、系統2の停電を検出することができる。制御部15は停電を検出すると、系統連系モードから自立運転モードに切り替える。自立運転モードでは、制御部15は、DC/ACインバータ12から系統周波数および系統電圧に対応する交流電圧を出力させるように、インバータ制御回路14を制御する。制御部15は、定置用コンバータ制御回路22および車載用コンバータ制御回路32のそれぞれに、定置用蓄電池7と車載蓄電池8の充電比率または放電比率を送信する。なお制御部15は、定置用コンバータ制御回路22および車載用コンバータ制御回路32のそれぞれに、電力指令値を送信してもよい。
【0021】
リモートコントローラ16は、電力変換システム1の状態を表示するとともに、ユーザからの操作を受け付け、受け付けた操作にもとづく操作信号を制御部15に送信する。
【0022】
定置用蓄電池7は電力を充放電可能であり、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池、鉛蓄電池などの蓄電池を備える。なお蓄電池の代わりに、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタなどのスーパーキャパシタを備えていてもよい。
【0023】
定置用蓄電池7は、定置用DC/DCコンバータ21と接続され、定置用DC/DCコンバータ21により充放電制御される。定置用DC/DCコンバータ21は、定置用蓄電池7と直流バスBdとの間に接続され、定置用蓄電池7を充放電するための双方向DC/DCコンバータである。
【0024】
定置用コンバータ制御回路22は定置用DC/DCコンバータ21を制御する。定置用コンバータ制御回路22は、総充電電力の値および総放電電力の値を保持しており、制御部15から通信線を介して送信されてくる充電比率または放電比率に基づき、電力指令値を生成する。総充電電力の値および総放電電力の値は制御部15にも保持されており、リモートコントローラ16から変更可能である。制御部15に保持されている総充電電力の値または総放電電力の値が変更されると、定置用コンバータ制御回路22に保持されている総充電電力の値または総放電電力の値にも反映される。なお、制御部15から電力指令値が送信されてくる場合は定置用コンバータ制御回路22側で電力指令値を生成する必要はない。定置用コンバータ制御回路22は基本制御として、当該電力指令値をもとに定置用DC/DCコンバータ21を充放電制御する。充放電制御として例えば、定電流(CC)制御や定電圧(CV)制御が可能である。また、定置用コンバータ制御回路22は直流バスBdの電圧を監視し、バス電圧に応じて定置用DC/DCコンバータ21の電流指令値を適応的に変化させる制御も可能である。
【0025】
車載蓄電池8は、電動車に搭載される駆動用蓄電池であり、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池などが使用される。電動車と電力変換システム1は充電ケーブルで接続される。車載蓄電池8は、電動車が自宅に駐車時に車載用DC/DCコンバータ31と接続され、車載用DC/DCコンバータ31により充放電制御される。車載用DC/DCコンバータ31は、車載蓄電池30と直流バスBdとの間に接続され、電動車が自宅に駐車時に車載蓄電池30を充放電する双方向DC/DCコンバータである。
【0026】
車載用コンバータ制御回路32は車載用DC/DCコンバータ31を制御する。車載用コンバータ制御回路32は、総充電電力の値および総放電電力の値を保持しており、制御部15から通信線を介して送信されてくる充電比率または放電比率に基づき、電力指令値を生成する。なお、制御部15から電力指令値が送信されてくる場合は車載用コンバータ制御回路32側で電力指令値を生成する必要はない。車載用コンバータ制御回路32は基本制御として、当該電力指令値、または電動車から充電ケーブル内の通信線を介して送信されてくる指令値をもとに車載用DC/DCコンバータ31を充放電制御する。充放電制御として例えば、定電流(CC)制御や定電圧(CV)制御が可能である。また、車載用コンバータ制御回路32は直流バスBdの電圧を監視し、バス電圧に応じて車載用DC/DCコンバータ31の電流指令値を適応的に変化させる制御も可能である。
【0027】
ユーザはリモートコントローラ16から、電力変換システム1の運転モードを指定することができる。ユーザは例えば、自家消費モード、タイマーモード、蓄電優先モードから運転モードを選択することができる。自家消費モードでは、太陽電池6の発電中、太陽電池6で発電された電力で一般負荷4の消費電力をまかない(自家消費)、発電された電力に余剰が発生する場合は定置用蓄電池7に充電する。定置用蓄電池7が満充電状態になると、余剰電力を逆潮流させる(売電)。太陽電池6が発電していない期間に、定置用蓄電池7から放電して自家消費にあてる。
【0028】
タイマーモードでは、太陽電池6の発電中、太陽電池6で発電された電力は自家消費され、余剰電力は売電される。定置用蓄電池7または車載蓄電池8は深夜電気料金が適用される時間帯(例えば、23時から翌日の7時)に系統2から充電し(買電)、昼間の通常料金の時間帯に放電して自家消費にあてる。
【0029】
蓄電優先モードでは、定置用蓄電池7が常時、満充電を維持するように制御される。定置用蓄電池7からは通常時は放電されず、停電時に放電される。停電時に定置用蓄電池7から放電されて残量が低下すると、太陽電池6で発電された電力または系統2からの電力で充電される。
【0030】
車載蓄電池8は電力変換システム1に接続された状態では、満充電または設定されたSOC(State Of Charge)まで、太陽電池6で発電された電力または系統2からの電力で充電することを基本とする。車載蓄電池8への充電を急ぐ場合は、太陽電池6で発電された電力と系統2からの電力を同時に車載蓄電池8に充電することもできる。
【0031】
電動車を使用しない期間は、ユーザの設定により、車載蓄電池8を自家消費モードまたはタイマーモードに使用される蓄電池として活用することもできる。また系統2から充電する時間帯と充電時間をタイマで設定することができる。例えば、系統2から車載蓄電池8に充電する時間帯を、深夜電気料金が適用される時間帯に収めることも可能である。
【0032】
本実施の形態では、定置用蓄電池7と車載蓄電池8を同時に充電することができる。ユーザは定置用蓄電池7と車載蓄電池8を同時に充電する際、リモートコントローラ16から、定置用蓄電池7への充電を先に行うモードと、車載蓄電池8への充電を先に行うモードと、定置用蓄電池7と車載蓄電池8を同時に充電するモード(以下、同時充電モードという)からいずれかを選択することができる。同時充電モードが選択された場合、ユーザはリモートコントローラ16から、定置用蓄電池7へ充電される電力と車載蓄電池8へ充電される電力との充電比率を設定することが可能である。
【0033】
リモートコントローラ16は、ユーザにより同時充電モードが選択されると、同時充電モードの選択情報と、ユーザにより設定された充電比率を制御部15に送信する。なお、ユーザにより充電比率が設定されない場合は、充電比率は50:50に設定される。なお、同時充電モードが実行される時間帯をユーザが設定できる仕様でもよい。ユーザは、同時充電モードが実行される時間帯として例えば、深夜電気料金が適用される時間帯を設定することができる。
【0034】
図2(a)-(b)は、リモートコントローラ16における充電比率の設定画面16aの一例を示す図である。
図2(a)に示す設定画面16aは、初期状態の充電比率を示しており、
図2(a)に示す例では蓄電池:EV=50:50である。
図2(b)に示す設定画面16aは、ユーザにより変更された後の充電比率を示しており、
図2(b)に示す例では蓄電池:EV=25:75に設定されている。
【0035】
なお、リモートコントローラ16の機能と表示設定画面は、パワーコンディショナ本体に設置されていてもよい。また、リモートコントローラ16またはパワーコンディショナ本体からルータを介してLANで、HEMS(Home Energy Management System)コントローラに接続されている場合、HEMSコントローラから充電比率を設定することもできる。また、リモートコントローラ16、パワーコンディショナ本体またはHEMSコントローラからルータを介してインターネットで、スマートフォン、タブレットまたはPCに接続されている場合、スマートフォン、タブレットまたはPCから充電比率を設定することもできる。
【0036】
電力変換システム1の運転モードにおいてタイマーモードが選択されている場合、深夜電気料金が適用される時間帯において、定置用蓄電池7と車載蓄電池8の両方を充電するニーズが発生する。仮に、車載蓄電池8への充電を先に行うモードが選択されている場合、深夜電気料金が適用される時間帯に、定置用蓄電池7にピークシフト用の電力を全く充電できない事態が発生し得る。
【0037】
電力変換システム1の運転モードにおいて自家消費モードが選択されている場合で、電動車が昼間に自宅に駐車している場合も、定置用蓄電池7と車載蓄電池8の両方を充電するニーズが発生する。例えば、夜間に電動車を使用する予定がある場合、太陽電池6で発電された電力を、車載蓄電池8へ充電するニーズと、夜間に使用する自家消費用の電力を定置用蓄電池7へ充電するニーズが併存する。
【0038】
ユーザは自己のライフスタイル、定置用蓄電池7の蓄電容量、定置用蓄電池7の残容量、車載蓄電池8の蓄電容量、車載蓄電池8の残容量を考慮して、定置用蓄電池7と車載蓄電池8への充電比率を設定することができる。ライフスタイルには、日中または夜間において自宅で使用する電気製品、電動車の使用予定(走行開始予定時刻、予定走行距離を含む)などが含まれる。またライフスタイルは平日と休日では異なる。
【0039】
制御部15は、リモートコントローラ16から受信した充電比率を、直流バスBdから定置用DC/DCコンバータ21を介して定置用蓄電池7へ供給される直流電力と、直流バスBdから車載用DC/DCコンバータ31を介して車載蓄電池8へ供給される直流電力との充電分配比率に設定する。制御部15は、直流バスBdから蓄電池側に供給される電力(以下、総充電電力という)に充電分配比率を掛けて、定置用蓄電池7へ供給すべき直流電力と車載蓄電池8へ供給すべき直流電力を算出する。
【0040】
制御部15は総充電電力を、直流バスBdに設置された電流センサ(不図示)と電圧センサ(不図示)で測定された電流値と電圧値をもとに算出することができる。制御部15は、総充電電力に定置用蓄電池7の充電分配比率を掛けて算出した充電電力に応じて電流指令値を生成し、生成した電流指令値を定置用コンバータ制御回路22に送信する。定置用コンバータ制御回路22は、受信した電流指令値に応じて定置用DC/DCコンバータ21を制御する。制御部15は、総充電電力に車載蓄電池8の充電分配比率を掛けて算出した充電電力に応じて電流指令値を生成し、生成した電流指令値を車載用コンバータ制御回路32に送信する。車載用コンバータ制御回路32は、受信した電流指令値に応じて車載用DC/DCコンバータ31を制御する。
【0041】
太陽電池6が発電していない期間は、総充電電力は、系統2から入力される交流電力をDC/ACインバータ12が直流電力に変換して直流バスBdに出力する電力に一致する。太陽電池6が発電中でかつ系統2から買電している期間は、総充電電力は、太陽電池6が発電した電力をDC/DCコンバータ11が直流バスBdに出力する電力と、系統2から入力される交流電力をDC/ACインバータ12が直流電力に変換して直流バスBdに出力する電力との合算電力に一致する。太陽電池6が発電した電力は日射量に応じて変動する。
【0042】
太陽電池6が発電中で自家消費または売電している期間は、総充電電力は、太陽電池6が発電した電力をDC/DCコンバータ11が直流バスBdに出力する電力から、直流バスBdからDC/ACインバータ12に出力される電力を引いた差分電力に一致する。直流バスBdからDC/ACインバータ12に出力される電力は、一般負荷4または自立負荷5での自家消費量に応じて変動する。太陽電池6が発電中で自家消費も売電も買電もしていない期間は、総充電電力は、太陽電池6が発電した電力をDC/DCコンバータ11が直流バスBdに出力する電力に一致する。
【0043】
制御部15は、総充電電力を充電分配比率によって按分した値が、定置用蓄電池7または車載蓄電池8の一方の充電可能な電力を超過する場合、充電分配比率に関わらず、定置用蓄電池7または車載蓄電池8の他方への充電電力を増加させる。定置用蓄電池7の充電可能な電力とは、定置用蓄電池7の定格充電電力と定置用DC/DCコンバータ21の定格電力、定置用コンバータ制御回路22内部で演算される各種充電リミット電力のうち、最も0Wに近い電力を指す。車載蓄電池8の充電可能な電力とは、車載蓄電池8の定格充電力と車載用DC/DCコンバータ31の定格電力、車載用コンバータ制御回路32内部で演算される各種充電リミット電力のうち、最も0Wに近い電力を指す。
【0044】
制御部15は、総充電電力に定置用蓄電池7の充電分配比率を掛けた値が、定置用蓄電池7の充電可能な電力を超過する場合、充電分配比率に関わらず、車載蓄電池8への充電電力を増加させる。制御部15は車載蓄電池8の充電可能な電力の範囲内で、総充電電力が維持されるように車載蓄電池8への充電電力を増加させる。車載蓄電池8の充電可能な電力の範囲を超過する場合は、制御部15は、太陽電池6の発電電力の内、系統2に逆潮流させる量を増加させるか、系統2からの買電量を減少させて総充電電力を、定置用蓄電池7の充電可能な最大電力と車載蓄電池8の充電可能な最大電力の合算電力まで減少させる。
【0045】
定置用蓄電池7と車載蓄電池8への同時充電中に、定置用蓄電池7が充電上限SOCに到達した場合、定置用蓄電池7の充電可能な電力は0Wとなる(このとき、制御部15は、定置用蓄電池7と車載蓄電池8への充電比率を0:100に変更して、定置用蓄電池7の充電可能な電力を0Wとしても良い)。制御部15は車載蓄電池8の充電可能な電力の範囲内で、総充電電力が維持されるように車載蓄電池8への充電電力を増加させる。車載蓄電池8の充電可能な電力の範囲を超過する場合は、制御部15は、太陽電池6の発電電力の内、系統2に逆潮流させる量を増加させるか、系統2からの買電量を減少させて総充電電力を、車載蓄電池8の充電可能な最大電力まで減少させる。
【0046】
反対に制御部15は、総充電電力に車載蓄電池8の充電分配比率を掛けた値が、車載蓄電池8の充電可能な電力を超過する場合、充電分配比率に関わらず、定置用蓄電池7への充電電力を増加させる。制御部15は定置用蓄電池7の充電可能な電力の範囲内で、総充電電力が維持されるように定置用蓄電池7への充電電力を増加させる。定置用蓄電池7の充電可能な電力の範囲も超過する場合は、制御部15は、太陽電池6の発電電力の内、系統2に逆潮流させる量を増加させるか、系統2からの買電量を減少させて総充電電力を、定置用蓄電池7の充電可能な最大電力と車載蓄電池8の充電可能な最大電力の合算電力まで減少させる。
【0047】
定置用蓄電池7と車載蓄電池8への同時充電中に、車載蓄電池8が充電上限SOCに到達した場合、車載蓄電池8の充電可能な電力は0Wとなる(このとき、制御部15は、定置用蓄電池7と車載蓄電池8への充電比率を100:0に変更して、車載蓄電池8の充電可能な電力を0Wとしても良い)。制御部15は定置用蓄電池7の充電可能な電力の範囲内で、総充電電力が維持されるように定置用蓄電池7への充電電力を増加させる。定置用蓄電池7の充電可能な電力の範囲を超過する場合は、制御部15は、太陽電池6の発電電力の内、系統2に逆潮流させる量を増加させるか、系統2からの買電量を減少させて総充電電力を、定置用蓄電池7の充電可能な最大電力まで減少させる。
【0048】
本実施の形態では、定置用蓄電池7と車載蓄電池8から同時に放電することができる。ユーザは定置用蓄電池7と車載蓄電池8から同時に放電する際、リモートコントローラ16から、定置用蓄電池7からの放電を先に行うモードと、車載蓄電池8からの放電を先に行うモードと、定置用蓄電池7と車載蓄電池8から同時に放電するモード(以下、同時放電モードという)からいずれかを選択することができる。同時放電モードが選択された場合、ユーザはリモートコントローラ16から、定置用蓄電池7から放電される電力と車載蓄電池8から放電される電力との放電比率を設定することが可能である。
【0049】
リモートコントローラ16は、ユーザにより同時放電モードが選択されると、同時放電モードの選択情報と、ユーザにより設定された放電比率を制御部15に送信する。なお、ユーザにより放電比率が設定されない場合は、放電比率は50:50に設定される。
【0050】
例えば停電時においてユーザは、定置用蓄電池7の残容量、車載蓄電池8の残容量、および電動車の使用予定(走行開始予定時刻、予定走行距離を含む)を考慮して、定置用蓄電池7と車載蓄電池8からの放電比率を設定することができる。
【0051】
制御部15は、リモートコントローラ16から受信した放電比率を、定置用蓄電池7から定置用DC/DCコンバータ21を介して直流バスBdへ供給される直流電力と、車載蓄電池8から車載用DC/DCコンバータ31を介して直流バスBdへ供給される直流電力との放電分配比率に設定する。制御部15は、蓄電池側から直流バスBdに供給される電力(以下、総放電電力という)に放電分配比率を掛けて、定置用蓄電池7から供給すべき直流電力と車載蓄電池8から供給すべき直流電力を算出する。
【0052】
制御部15は総放電電力を、直流バスBdに設置された電流センサ(不図示)と電圧センサ(不図示)で測定された電流値と電圧値をもとに算出することができる。制御部15は、総放電電力に定置用蓄電池7の放電分配比率を掛けて算出した放電電力に応じて電流指令値を生成し、生成した電流指令値を定置用コンバータ制御回路22に送信する。定置用コンバータ制御回路22は、受信した電流指令値に応じて定置用DC/DCコンバータ21を制御する。制御部15は、総放電電力に車載蓄電池8の放電分配比率を掛けて算出した放電電力に応じて電流指令値を生成し、生成した電流指令値を車載用コンバータ制御回路32に送信する。車載用コンバータ制御回路32は、受信した電流指令値に応じて車載用DC/DCコンバータ31を制御する。
【0053】
太陽電池6が発電していない期間は、総放電電力は、直流バスBdからDC/ACインバータ12に出力される電力に一致する。直流バスBdからDC/ACインバータ12に出力される電力は、一般負荷4または自立負荷5での自家消費量に応じて変動する。太陽電池6が発電している期間は、総放電電力は、直流バスBdからDC/ACインバータ12に出力される電力から、太陽電池6が発電した電力をDC/DCコンバータ11が直流バスBdに出力する電力を引いた差分電力に一致する。太陽電池6が発電した電力は日射量に応じて変動する。
【0054】
制御部15は、総放電電力を放電分配比率によって按分した値が、定置用蓄電池7または車載蓄電池8の一方の放電可能な電力を超過する場合、放電分配比率に関わらず、定置用蓄電池7または車載蓄電池8の他方からの放電電力を増加させる。定置用蓄電池7の放電可能な電力とは、定置用蓄電池7の定格放電電力と定置用DC/DCコンバータ21の定格電力、定置用コンバータ制御回路22内部で演算される各種放電リミット電力のうち、最も0Wに近い電力を指す。車載蓄電池8の放電可能な電力とは、車載蓄電池8の定格放電電力と車載用DC/DCコンバータ31の定格電力、車載用コンバータ制御回路32内部で演算される各種放電リミット電力のうち、最も0Wに近い電力を指す。
【0055】
制御部15は、総放電電力に定置用蓄電池7の放電分配比率を掛けた値が、定置用蓄電池7の放電可能な電力を超過する場合、放電分配比率に関わらず、車載蓄電池8からの放電電力を増加させる。制御部15は車載蓄電池8の放電可能な電力の範囲内で、総放電電力が維持されるように車載蓄電池8からの放電電力を増加させる。車載蓄電池8の放電可能な電力の範囲を超過する場合は、制御部15は総放電電力を、定置用蓄電池7の放電可能な最大電力と車載蓄電池8の放電可能な最大電力の合算電力まで減少させる。それにより、自家消費電力に不足が発生する場合は、系統2からの買電量を増加させる。
【0056】
定置用蓄電池7と車載蓄電池8からの同時放電中に、定置用蓄電池7が放電下限SOCに到達した場合、定置用蓄電池7の放電可能な電力は0Wとなる(このとき、制御部15は、定置用蓄電池7と車載蓄電池8への放電比率を0:100に変更して、定置用蓄電池7の放電可能な電力を0Wとしても良い)。制御部15は車載蓄電池8の放電可能な電力の範囲内で、総放電電力が維持されるように車載蓄電池8からの放電電力を増加させる。車載蓄電池8の放電可能な電力の範囲を超過する場合は、制御部15は総放電電力を、車載蓄電池8の放電可能な最大電力まで減少させる。それにより、自家消費電力に不足が発生する場合は、系統2からの買電量を増加させる。
【0057】
反対に制御部15は、総放電電力に車載蓄電池8の放電分配比率を掛けた値が、車載蓄電池8の放電可能な電力を超過する場合、放電分配比率に関わらず、定置用蓄電池7からの放電電力を増加させる。制御部15は定置用蓄電池7の放電可能な電力の範囲内で、総放電電力が維持されるように定置用蓄電池7からの放電電力を増加させる。定置用蓄電池7の放電可能な電力の範囲も超過する場合は、制御部15は総放電電力を、定置用蓄電池7の放電可能な最大電力と車載蓄電池8の放電可能な最大電力の合算電力まで減少させる。それにより、自家消費電力に不足が発生する場合は、系統2からの買電量を増加させる。
【0058】
定置用蓄電池7と車載蓄電池8からの同時放電中に、車載蓄電池8が放電下限SOCに到達した場合、車載用蓄電池8の放電可能な電力は0Wとなる(このとき、制御部15は、定置用蓄電池7と車載蓄電池8への放電比率を100:0に変更して、車載蓄電池8の放電可能な電力を0Wとしても良い)。定置用蓄電池7と車載蓄電池8からの放電比率を100:0に変更する。制御部15は定置用蓄電池7の放電可能な電力の範囲内で、総放電電力が維持されるように定置用蓄電池7からの放電電力を増加させる。定置用蓄電池7の放電可能な電力の範囲を超過する場合は、制御部15は総放電電力を、定置用蓄電池7の放電可能な最大電力まで減少させる。それにより、自家消費電力に不足が発生する場合は、系統2からの買電量を増加させる。
【0059】
図3は、実施の形態に係る電力変換システム1の構成例2を説明するための図である。構成例2では、太陽電池6が設置されず、電力変換システム1はDC/DCコンバータ11およびコンバータ制御回路13を含まない。その他の構成は、
図1に示した構成例1と同様である。
【0060】
構成例2では総充電電力は常時、系統2から入力される交流電力をDC/ACインバータ12が直流電力に変換して直流バスBdに出力する電力に一致する。構成例2では総放電電力は常時、直流バスBdからDC/ACインバータ12に出力される電力に一致する。
【0061】
図4は、
図1に示した電力変換システム1の構成例1の応用例を示す図である。構成例1の応用例では、直流バスBdに対して複数の太陽電池6a、6b、・・・を並列に接続することができる。DC/DCコンバータ群11gは、複数の太陽電池6a、6b、・・・と直流バスBdとの間にそれぞれ接続された複数のDC/DCコンバータ11a、11b、・・・を含む。なお、太陽電池6は発電部の一例であり、発電部として燃料電池を使用することもできる。燃料電池は水素ガスを燃料として直流電力を発電する。直流バスBdに対して太陽電池6と燃料電池が並列に接続されていてもよい。
【0062】
構成例1の応用例では、直流バスBdの第1入出力端子T1に対して複数の定置用蓄電池7a、7b、・・・を並列に接続することができる。定置用DC/DCコンバータ群21gは、複数の定置用蓄電池7a、7b、・・・と直流バスBdの第1入出力端子T1との間にそれぞれ接続された複数の定置用DC/DCコンバータ21a、21b、・・・を含む。
【0063】
構成例1の応用例では、直流バスBdの第2入出力端子T2に対して複数の車載蓄電池8a、8b、・・・を並列に接続することができる。車載用DC/DCコンバータ群31gは、複数の車載蓄電池8a、8b、・・・と直流バスBdの第2入出力端子T2との間にそれぞれ接続された複数の車載用DC/DCコンバータ31a、31b、・・・を含む。
【0064】
制御部15は、リモートコントローラ16から受信した充電比率を、直流バスBdの第1入出力端子T1から定置用DC/DCコンバータ群21gを介して定置用蓄電池群7gへ供給される直流電力と、直流バスBdの第2入出力端子T2から車載用DC/DCコンバータ群31gを介して車載蓄電池群8gへ供給される直流電力との充電分配比率に設定する。
【0065】
制御部15は、複数の定置用蓄電池7a、7b、・・・の数に応じて充電分配比率を設定し、第1入出力端子T1から定置用蓄電池群7gへ供給される直流電力を、それぞれの定置用蓄電池7a、7b、・・・に充電する直流電力に分配する。その際、制御部15は、複数の定置用蓄電池7a、7b、・・・の数に応じて均等に分配してもよいし、各定置用蓄電池7a、7b、・・・の蓄電容量に応じた均等なSOC上昇になるように、重み付けして分配してもよい。なお、複数の定置用蓄電池7a、7b、・・・に充電する分配比率をユーザが設定可能な仕様としてもよい。
【0066】
制御部15は、複数の車載蓄電池8a、8b、・・・の数に応じて充電分配比率を設定し、第2入出力端子T2から車載蓄電池群8gへ供給される直流電力を、それぞれの車載蓄電池8a、8b、・・・に充電する直流電力に分配する。その際、制御部15は、複数の車載蓄電池8a、8b、・・・の数に応じて均等に分配してもよいし、各車載蓄電池8a、8b、・・・の蓄電容量に応じた均等なSOC上昇になるように、重み付けして分配してもよい。なお、複数の車載蓄電池8a、8b、・・・に充電する分配比率をユーザが設定可能な仕様としてもよい。
【0067】
制御部15は、リモートコントローラ16から受信した放電比率を、定置用蓄電池群7gから定置用DC/DCコンバータ群21gを介して直流バスBdの第1入出力端子T1へ供給される直流電力と、車載蓄電池群8gから車載用DC/DCコンバータ群31gを介して直流バスBdの第2入出力端子T2へ供給される直流電力との放電分配比率に設定する。
【0068】
制御部15は、複数の定置用蓄電池7a、7b、・・・の数に応じて放電分配比率を設定し、定置用蓄電池群7gから第1入出力端子T1へ供給される直流電力を、それぞれの定置用蓄電池7a、7b、・・・から放電する直流電力に分配する。その際、制御部15は、複数の定置用蓄電池7a、7b、・・・の数に応じて均等に分配してもよいし、各定置用蓄電池7a、7b、・・・の蓄電容量に応じた均等なSOC低下になるように、重み付けして分配してもよい。なお、複数の定置用蓄電池7a、7b、・・・から放電する分配比率をユーザが設定可能な仕様としてもよい。
【0069】
制御部15は、複数の車載蓄電池8a、8b、・・・の数に応じて放電分配比率を設定し、車載蓄電池群8gから第2入出力端子T2へ供給される直流電力を、それぞれの車載蓄電池8a、8b、・・・から放電する直流電力に分配する。その際、制御部15は、複数の車載蓄電池8a、8b、・・・の数に応じて均等に分配してもよいし、各車載蓄電池8a、8b、・・・の蓄電容量に応じた均等なSOC上昇になるように、重み付けして分配してもよい。なお、複数の車載蓄電池8a、8b、・・・から放電する分配比率をユーザが設定可能な仕様としてもよい。
【0070】
図5は、
図2に示した電力変換システム1の構成例2の応用例を示す図である。構成例2の応用例は、太陽電池群6gとDC/DCコンバータ群11gが省略される以外、
図4に示した構成例1の応用例と同様である。
【0071】
以上説明したように本実施の形態によれば、定置用蓄電池7と車載蓄電池8への同時充電を可能とし、同時充電する際の充電比率をユーザが設定することができる。また、定置用蓄電池7と車載蓄電池8からの同時放電を可能とし、同時放電する際の放電比率をユーザが設定することができる。これにより、ユーザの様々なニーズを満たすことができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0072】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0073】
上述の実施の形態では、同時充電する際の充電比率をユーザが設定する例を説明した。この点、制御部15が定置用蓄電池7の蓄電容量と現在のSOC、車載蓄電池8の蓄電容量と現在のSOCをもとに、自動で充電比率を決定する機能を搭載していてもよい。制御部15は例えば、充電終了時刻(例えば、深夜電気料金が適用される時間帯の終了時刻)に、定置用蓄電池7のSOCと車載蓄電池8のSOCが同じになるように、充電比率を決定してもよい。
【0074】
なお、実施の形態は、以下の項目によって特定されてもよい。
【0075】
[項目1]
系統(2)と直流バス(Bd)との間に接続されるDC/ACインバータ(12)と、
1つ以上の第1蓄電部(7)を含む第1蓄電部群(7g)と前記直流バス(Bd)との間にそれぞれ接続された1つ以上の第1DC/コンバータ(21)を含む第1DC/DCコンバータ群(21g)と、
1つ以上の第2蓄電部(8)を含む第2蓄電部群(8g)と前記直流バス(Bd)との間にそれぞれ接続された1つ以上の第2DC/コンバータ(31)を含む第2DC/DCコンバータ群(31g)と、を備え、
前記直流バス(Bd)から第1DC/DCコンバータ群(21g)を介して前記第1蓄電部群(7g)へ供給される直流電力と、前記直流バス(Bd)から前記第2DC/DCコンバータ群(31g)を介して前記第2蓄電部群(8g)へ供給される直流電力との比率を設定可能である電力変換システム(1)。
これによれば、複数の蓄電部(7、8)を含む蓄電システムにおけるユーザの利便性を向上させることができる。
[項目2]
前記DC/ACインバータ(12)が前記直流バス(Bd)に出力する電力を前記比率によって按分した値が、前記第1蓄電部群(7g)または前記第2蓄電部群(8g)の一方の充電可能な電力を超過する場合、前記比率に関わらず、前記第1蓄電部群(7g)または前記第2蓄電部群(8g)の他方への充電電力を増加させることを特徴とする項目1に記載の電力変換システム(1)。
これによれば、所定の時間帯における系統電力(例えば、深夜電気料金が適用される時間帯の系統電力)を有効に充電することができる。
[項目3]
1つ以上の発電部(6)を含む発電部群(6g)と前記直流バス(Bd)との間にそれぞれ接続された1つ以上の第3DC/コンバータ(11)を含む第3DC/DCコンバータ群(11g)をさらに備えることを特徴とする項目1に記載の電力変換システム(1)。
これによれば、複数の蓄電部(7、8)と連携した発電システムにおけるユーザの利便性を向上させることができる。
[項目4]
前記第3DC/DCコンバータ群(11g)が前記直流バス(Bd)に出力する電力と、前記DC/ACインバータ(12)が前記直流バス(Bd)に出力する電力との合算電力を前記比率によって按分した値が、前記第1蓄電部群(7g)または前記第2蓄電部群(8g)の一方の充電可能な電力を超過する場合、前記比率に関わらず、前記第1蓄電部群(7g)または前記第2蓄電部群(8g)の他方への充電電力を増加させることを特徴とする項目3に記載の電力変換システム(1)。
これによれば、系統(2)から買電しつつ、発電部(6)で発電された電力をできるだけ多く充電することができる。
[項目5]
前記第3DC/DCコンバータ群(11g)が前記直流バス(Bd)に出力する電力から、前記直流バス(Bd)から前記DC/ACインバータ(12)に出力される電力を引いた差分電力を前記比率によって按分した値が、前記第1蓄電部群(7g)または前記第2蓄電部群(8g)の一方の充電可能な電力を超過する場合、前記比率に関わらず、前記第1蓄電部群(7g)または前記第2蓄電部群(8g)の他方への充電電力を増加させることを特徴とする項目3に記載の電力変換システム(1)。
これによれば、発電部(6)で発電された電力を自家消費しつつ、できるだけ多く充電することができる。
[項目6]
系統(2)と直流バス(Bd)との間に接続されるDC/ACインバータ(12)と、
1つ以上の第1蓄電部(7)を含む第1蓄電部群(7g)と前記直流バス(Bd)との間にそれぞれ接続された1つ以上の第1DC/コンバータ(21)を含む第1DC/DCコンバータ群(21g)と、
1つ以上の第2蓄電部(8)を含む第2蓄電部群(8g)と前記直流バス(Bd)との間にそれぞれ接続された1つ以上の第2DC/コンバータ(31)を含む第2DC/DCコンバータ群(31g)と、を備え、
前記第1蓄電部群(7g)から第1DC/DCコンバータ群(21g)を介して前記直流バス(Bd)へ供給される直流電力と、前記第2蓄電部群(8g)から前記第2DC/DCコンバータ群(31g)を介して前記直流バス(Bd)へ供給される直流電力との比率を設定可能である電力変換システム(1)。
これによれば、複数の蓄電部(7、8)を含む蓄電システムにおけるユーザの利便性を向上させることができる。
[項目7]
前記直流バス(Bd)から前記DC/ACインバータ(12)に出力される電力を前記比率によって按分した値が、前記第1蓄電部群(7g)または前記第2蓄電部群(8g)の一方の放電可能な電力を超過する場合、前記比率に関わらず、前記第1蓄電部群(7g)または前記第2蓄電部群(8g)の他方からの放電電力を増加させることを特徴とする項目1に記載の電力変換システム(1)。
これによれば、複数の蓄電部(7、8)からの放電電力で、できるだけ多くの自家消費電力をまかなうことができる。
[項目8]
1つ以上の発電部(6)を含む発電部群(6g)と前記直流バス(Bd)との間にそれぞれ接続された1つ以上の第3DC/コンバータ(11)を含む第3DC/DCコンバータ群(11g)をさらに備えることを特徴とする項目6に記載の電力変換システム(1)。
これによれば、複数の蓄電部(7、8)と連携した発電システムにおけるユーザの利便性を向上させることができる。
[項目9]
前記直流バス(Bd)から前記DC/ACインバータ(12)に出力される電力から、前記第3DC/DCコンバータ群(11g)が前記直流バス(Bd)に出力する電力を引いた差分電力を前記比率によって按分した値が、前記第1蓄電部群(7g)または前記第2蓄電部群(8g)の一方の放電可能な電力を超過する場合、前記比率に関わらず、前記第1蓄電部群(7g)または前記第2蓄電部群(8g)の他方からの放電電力を増加させることを特徴とする項目8に記載の電力変換システム(1)。
これによれば、発電部(6)の発電中において、発電電力でまかなえない自家消費電力分を、複数の蓄電部(7、8)からの放電電力で、できるだけ多くまかなうことができる。
[項目10]
前記1つ以上の第1蓄電部(7)は定置用蓄電池(7)であり、
前記1つ以上の第2蓄電部(8)は車載蓄電池(8)である、
ことを特徴とする項目1から9のいずれか1項に記載の電力変換システム(1)。
これによれば、定置用蓄電池(7)と車載蓄電池(8)の充放電を柔軟に調整することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 電力変換システム、 2 系統、 3 分電盤、 4 一般負荷、 5 自立負荷、 6 太陽電池、 7 定置用蓄電池、 8 車載蓄電池、 11 DC/DCコンバータ、 12 DC/ACインバータ、 13 コンバータ制御回路、 14 インバータ制御回路、 15 制御部、 16 リモートコントローラ、 RY1 連系リレー、 RY2 自立出力リレー、 21 定置用DC/DCコンバータ、 22 定置用コンバータ制御回路、 31 車載用DC/DCコンバータ、 32 車載用コンバータ制御回路、 Bd 直流バス、 T1 第1入出力端子、 T2 第2入出力端子。