(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123745
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】動力伝達機構、関節機構及び多関節ロボット
(51)【国際特許分類】
F16H 7/04 20060101AFI20240905BHJP
B25J 17/00 20060101ALI20240905BHJP
H02K 7/10 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F16H7/04
B25J17/00 G
H02K7/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031387
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 一敏
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼屋 政志
【テーマコード(参考)】
3C707
3J049
5H607
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS12
3C707CV08
3C707CW08
3C707CY36
3C707HS12
3C707HS26
3C707HS27
3C707HT04
3C707KT01
3C707KT05
3C707KV01
3J049AA06
3J049BF01
3J049BF06
3J049BH01
3J049BH02
3J049CA10
5H607AA00
5H607BB01
5H607CC03
5H607DD03
5H607DD18
5H607EE28
5H607FF11
(57)【要約】
【課題】ワイヤを用いる動力伝達機構において、適用される装置の大型化を抑制する。
【解決手段】動力伝達機構は、ベース部に配置された複数の駆動源と、複数の前記駆動源のそれぞれに一端を固定されたワイヤと、前記駆動源側に配置される第一関節の回転軸である第一軸と、前記第一関節に接続される第二関節の回転軸であって前記第一軸と直角かつねじれの位置に配置される第二軸と、前記第一軸上に前記第一軸の軸方向一方側に向かって径が小さくなるように配置される複数の第一軸プーリと、前記第二軸上に前記第二軸の軸方向一方側に向かって径が小さくなるように配置される複数の第二軸プーリと、を有し、複数の前記第一軸プーリの接線が複数の前記第二軸プーリの接線と一致しており、複数の前記ワイヤのそれぞれは、前記第一軸プーリから前記接線に沿うように前記第二軸プーリに掛けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部に配置された複数の駆動源と、
複数の前記駆動源のそれぞれに一端を固定されたワイヤと、
前記駆動源側に配置される第一関節の回転軸である第一軸と、
前記第一関節に接続される第二関節の回転軸であって前記第一軸と直角かつねじれの位置に配置される第二軸と、
前記第一軸上に前記第一軸の軸方向一方側に向かって径が小さくなるように配置される複数の第一軸プーリと、
前記第二軸上に前記第二軸の軸方向一方側に向かって径が小さくなるように配置される複数の第二軸プーリと、
を有し、
複数の前記第一軸プーリの接線が複数の前記第二軸プーリの接線と一致しており、
複数の前記ワイヤのそれぞれは、前記第一軸プーリから前記接線に沿うように前記第二軸プーリに掛けられている、動力伝達機構。
【請求項2】
複数の前記第一軸プーリは、前記第一軸の軸方向両端から前記一方側である軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、
複数の前記第二軸プーリは、前記第二軸の軸方向両端から前記一方側である軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置される、
請求項1に記載の動力伝達機構。
【請求項3】
前記第一軸の軸方向最外側に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記ワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定されている、請求項1に記載の動力伝達機構。
【請求項4】
前記第二軸の軸方向最外側に位置する前記第二軸プーリに掛けられた前記ワイヤの他端は、前記第二軸が固定されている第二固定部材に固定されている、請求項1に記載の動力伝達機構。
【請求項5】
前記第一軸の軸方向の中心から対の位置にある前記第一軸プーリに掛かる前記ワイヤは対であり、対の前記ワイヤは対の位置にある前記第一軸プーリに互いに逆向きに掛けまわされている、請求項2に記載の動力伝達機構。
【請求項6】
前記ワイヤは、前記第一軸プーリ及び前記第二軸プーリの少なくとも一方に1回転以上掛けまわされている、請求項1に記載の動力伝達機構。
【請求項7】
前記第一軸プーリの径方向外側に配置され、当接により前記第一軸プーリに掛けられた前記ワイヤの脱輪を抑制する第一抑制部と、
前記第二軸プーリの径方向外側に配置され、当接により前記第二軸プーリに掛けられた前記ワイヤの脱輪を抑制する第二抑制部と、
を更に有する、請求項1に記載の動力伝達機構。
【請求項8】
前記駆動源と前記第一軸プーリとの間で前記接線上に配置され、前記ワイヤの送り出し及び巻き取りをガイドする第一ガイド部と、
前記第一軸プーリと前記第二軸プーリとの間で前記接線上に配置され、前記ワイヤの送り出し及び巻き取りをガイドする第二ガイド部と、
を更に有する、請求項1に記載の動力伝達機構。
【請求項9】
前記駆動源はモータであり、前記モータの軸に接続されるモータ軸プーリに前記ワイヤの一端が固定され、前記モータの回転により前記ワイヤが前記モータ軸プーリに巻き取られる、請求項1に記載の動力伝達機構。
【請求項10】
ベース部に配置された複数の駆動源と、
複数の前記駆動源のそれぞれに一端を固定されたワイヤと、
前記駆動源側に配置される第一関節の回転軸である第一軸と、
前記第一関節に接続される第二関節の回転軸であって前記第一軸と直角かつねじれの位置に配置される第二軸と、
前記第一軸上に前記第一軸の軸方向に配置される複数の第一軸プーリと、
前記第二軸上に前記第二軸の軸方向に配置される複数の第二軸プーリと、
を有し、
複数の前記第一軸プーリは、前記第一軸の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、
複数の前記第二軸プーリは、前記第二軸の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、
複数の前記第一軸プーリの接線が複数の前記第二軸プーリの接線と一致しており、
複数の前記ワイヤのそれぞれは、前記第一軸プーリから前記接線に沿うように前記第二軸プーリに掛けられており、
前記第一軸の軸方向の中心から対の位置にある前記第一軸プーリに掛かる前記ワイヤは対であり、対の前記ワイヤは対の位置にある前記第一軸プーリに互いに逆向きに掛けまわされ、
前記第一軸の軸方向最外側に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記ワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定され、
前記第一軸の前記軸方向最外側の他方に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記対となるワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定されている、
関節機構。
【請求項11】
ベース部と、
前記ベース部に配置された複数の駆動源と、
複数の前記駆動源のそれぞれに一端を固定されたワイヤと、
複数の前記ワイヤを通過させる複数の関節と、
を有する多関節ロボットであって、
前記多関節ロボットは、複数の前記関節として、
前記駆動源側に配置される第一関節の回転軸である第一軸と、
前記第一関節に接続される第二関節の回転軸であって前記第一軸と直角かつねじれの位置に配置される第二軸と、
前記第一軸上に前記第一軸の軸方向に配置される複数の第一軸プーリと、
前記第二軸上に前記第二軸の軸方向に配置される複数の第二軸プーリと、
を有しており、
複数の前記第一軸プーリは、前記第一軸の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、
複数の前記第二軸プーリは、前記第二軸の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、
複数の前記第一軸プーリの接線が複数の前記第二軸プーリの接線と一致しており、
複数の前記ワイヤのそれぞれは、前記第一軸プーリから前記接線に沿うように前記第二軸プーリに掛けられており、
前記第一軸の軸方向の中心から対の位置にある前記第一軸プーリに掛かる前記ワイヤは対であり、対の前記ワイヤは対の位置にある前記第一軸プーリに互いに逆向きに掛けまわされ、
前記第一軸の軸方向最外側に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記ワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定され、
前記第一軸の前記軸方向最外側の他方に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記対となるワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定されている、多関節ロボット。
【請求項12】
前記第一軸の軸方向中央側に位置する前記第一軸プーリに掛けられる前記ワイヤほどロボット先端側の部分を駆動させる、請求項11に記載の多関節ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動力伝達機構、関節機構及び多関節ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤを用いた動力伝達機構が従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
またワイヤ駆動方式の多関節ロボットが従来から知られている(例えば特許文献2及び非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-108072号公報
【特許文献2】米国特許第4903536号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Endo, G, Horigome, A., & Takata, A. (2019). Super dragon: A 10-m-long-coupled tendon-driven articulated manipulator. IEEE Robotics and Automation Letters, 4(2), 934-941.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ワイヤを用いて動力を伝達する機構では、ワイヤ毎に複数のプーリをそれぞれ異なる位置に配置している。このように複数のプーリをそれぞれ異なる位置に配置する場合、ワイヤによる動力伝達機構を用いた装置が大型化する傾向がある。
【0007】
本開示は、ワイヤを用いる動力伝達機構において、適用される装置の大型化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、ベース部に配置された複数の駆動源と、複数の前記駆動源のそれぞれに一端を固定されたワイヤと、前記駆動源側に配置される第一関節の回転軸である第一軸と、前記第一関節に接続される第二関節の回転軸であって前記第一軸と直角かつねじれの位置に配置される第二軸と、前記第一軸上に前記第一軸の軸方向一方側に向かって径が小さくなるように配置される複数の第一軸プーリと、前記第二軸上に前記第二軸の軸方向一方側に向かって径が小さくなるように配置される複数の第二軸プーリと、を有し、複数の前記第一軸プーリの接線が複数の前記第二軸プーリの接線と一致しており、複数の前記ワイヤのそれぞれは、前記第一軸プーリから前記接線に沿うように前記第二軸プーリに掛けられている、動力伝達機構である。
【0009】
本開示の他の態様は、ベース部に配置された複数の駆動源と、複数の前記駆動源のそれぞれに一端を固定されたワイヤと、前記駆動源側に配置される第一関節の回転軸である第一軸と、前記第一関節に接続される第二関節の回転軸であって前記第一軸と直角かつねじれの位置に配置される第二軸と、前記第一軸上に前記第一軸の軸方向に配置される複数の第一軸プーリと、前記第二軸上に前記第二軸の軸方向に配置される複数の第二軸プーリと、を有し、複数の前記第一軸プーリは、前記第一軸の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、複数の前記第二軸プーリは、前記第二軸の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、複数の前記第一軸プーリの接線が複数の前記第二軸プーリの接線と一致しており、複数の前記ワイヤのそれぞれは、前記第一軸プーリから前記接線に沿うように前記第二軸プーリに掛けられており、前記第一軸の軸方向の中心から対の位置にある前記第一軸プーリに掛かる前記ワイヤは対であり、対の前記ワイヤは対の位置にある前記第一軸プーリに互いに逆向きに掛けまわされ、前記第一軸の軸方向最外側に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記ワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定され、前記第一軸の前記軸方向最外側の他方に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記対となるワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定されている、関節機構である。
【0010】
本開示のさらに他の態様は、ベース部と、前記ベース部に配置された複数の駆動源と、複数の前記駆動源のそれぞれに一端を固定されたワイヤと、複数の前記ワイヤを通過させる複数の関節と、を有する多関節ロボットであって、前記多関節ロボットは、複数の前記関節として、前記駆動源側に配置される第一関節の回転軸である第一軸と、前記第一関節に接続される第二関節の回転軸であって前記第一軸と直角かつねじれの位置に配置される第二軸と、前記第一軸上に前記第一軸の軸方向に配置される複数の第一軸プーリと、前記第二軸上に前記第二軸の軸方向に配置される複数の第二軸プーリと、を有しており、複数の前記第一軸プーリは、前記第一軸の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、複数の前記第二軸プーリは、前記第二軸の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、複数の前記第一軸プーリの接線が複数の前記第二軸プーリの接線と一致しており、複数の前記ワイヤのそれぞれは、前記第一軸プーリから前記接線に沿うように前記第二軸プーリに掛けられており、前記第一軸の軸方向の中心から対の位置にある前記第一軸プーリに掛かる前記ワイヤは対であり、対の前記ワイヤは対の位置にある前記第一軸プーリに互いに逆向きに掛けまわされ、前記第一軸の軸方向最外側に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記ワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定され、前記第一軸の前記軸方向最外側の他方に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記対となるワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定されている、多関節ロボットである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ワイヤを用いる動力伝達機構において、適用される装置の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】各軸プーリと各ワイヤとの関係を示すブロック図である。
【
図3】
図1のロボットの要部を拡大した拡大図である。
【
図4】第一軸プーリの接線と第二軸プーリの接線との関係を示す図である。
【
図6A】
図3において矢印6A方向から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法及び比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0014】
(多関節ロボット)
図1に示すように、本実施形態に係る多関節ロボット20は、一例として6軸の自由度を有するロボットである。多関節ロボット20は、ベース部22と、複数の駆動源30と、複数のワイヤ40と、複数の関節60、61、70、71、90、91と、を有している。なお、本実施形態に係る多関節ロボット20は一例として、駆動源30を7つ、ワイヤ40を14本有している。また、多関節ロボット20の駆動部分をアーム部26と称する。アーム部26には複数の関節60、61、70、71、90、91が含まれる。
【0015】
ベース部22は、設置対象(例えば、設置台)に設置される部分である。このベース部22は、互いに対向して配置された一対のベースプレート24を備えている。本実施形態の一対のベースプレート24は、一方向に長尺な板材である。一対のベースプレート24の長手方向の一端部にアーム部26が取り付けられるようになっている。一対の各ベースプレート24はそれぞれ、軽量化の観点で樹脂材料によって形成されてもよいし、他の材料で形成されてもよい。
【0016】
また、ベース部22は、
図1に示すように、一方のベースプレート24を上に他方のベースプレート24を下にした状態で設置対象に設置される。ここで、上に位置するベースプレート24をベースプレート24A、下に位置するベースプレート24をベースプレート24Bと称する。
【0017】
複数の駆動源30は、
図1に示すように、ベースプレート24Aに取り付けられている。具体的には、駆動源30は、ベースプレート24Aに長手方向に間隔をあけて7つ取り付けられている。なお、7つの駆動源30は、ベースプレート24Aの長手方向の一端部から遠い順に駆動源30A、30B、30C、30D、30E、30F、30Gと称する。
【0018】
本実施形態の駆動源30は、一例として電動モータを用いている。駆動源30のモータ軸には回転軸32が接続されている。なお、駆動源30のモータ軸と回転軸32との接続は、ギアボックスを介してもよいし、直接でもよい。回転軸32は、ベースプレート24Bを貫通し、ベースプレート24Bに取り付けられた軸受け34によって回転可能に支持されている。また、駆動源30の回転量は、エンコーダを設けて制御してもよい。
【0019】
また、回転軸32には、ワイヤ40を巻き取るための第一モータ軸プーリ35と第二モータ軸プーリ36とが軸方向に間隔をあけて取り付けられている。なお、第一モータ軸プーリ35は第二モータ軸プーリ36よりも上方に位置している。また、第一モータ軸プーリ35と第二モータ軸プーリ36は、回転軸32と共に回転する。なお、回転軸32が一方向に回転すると、ワイヤ40が第一モータ軸プーリ35に巻き取られる。このとき第二モータ軸プーリ36からワイヤ40が送り出される。すなわち、第一モータ軸プーリ35と第二モータ軸プーリ36は、回転軸32の回転に対してワイヤ40を巻き取り動作と送り出す動作が逆になるよう構成されている。例えば、第一モータ軸プーリ35に掛けまわされるワイヤ40と、第二モータ軸プーリ36に掛けまわされるワイヤ40は互いに逆向きに掛けまわされている。
【0020】
なお、
図1では、各駆動源30に対応する回転軸を符号32A、32B、32C、32D、32E、32F、32G、各駆動源30に対応する軸受けを符号34A、34B、34C、34D、34E、34F、34Gで示している。また各回転軸32に対応する第一モータ軸プーリを符号35A、35B、35C、35D、35E、35F、35G、各回転軸32に対応する第二モータ軸プーリを符号36A、36B、36C、36D、36E、36F、36Gで示している(
図2参照)。
【0021】
複数のワイヤ40は、複数の駆動源30にそれぞれ接続されている。具体的には、複数のワイヤ40のそれぞれの一端が複数の駆動源30にモータ軸プーリを介してそれぞれ固定されている。
【0022】
なお、
図2に示すように、複数のワイヤ40は、第一モータ軸プーリ35Aに接続されるワイヤ40A1と、第一モータ軸プーリ35Bに接続されるワイヤ40B1と、第一モータ軸プーリ35Cに接続されるワイヤ40C1と、第一モータ軸プーリ35Dに接続されるワイヤ40D1と、第一モータ軸プーリ35Eに接続されるワイヤ40E1と、第一モータ軸プーリ35Fに接続されるワイヤ40F1と、第一モータ軸プーリ35Gに接続されるワイヤ40G1と、を有する。
また、複数のワイヤ40は、第二モータ軸プーリ36Aに接続されるワイヤ40A2と、第二モータ軸プーリ36Bに接続されるワイヤ40B2と、第二モータ軸プーリ36Cに接続されるワイヤ40C2と、第二モータ軸プーリ36Dに接続されるワイヤ40D2と、第二モータ軸プーリ36Eに接続されるワイヤ40E2と、第二モータ軸プーリ36Fに接続されるワイヤ40F2と、第二モータ軸プーリ36Gに接続されるワイヤ40G2と、を有する。
【0023】
ワイヤ40A1とワイヤ40A2は対のワイヤであり、駆動源30Aが一方向に回転することでワイヤ40A1が第一モータ軸プーリ35Aに巻き取られると共にワイヤ40A2が第二モータ軸プーリ36Bから送り出される。なお、対のワイヤ40A1とワイヤ40A2は対の位置にある第一モータ軸プーリ35Aに互いに逆向きに掛けまわされている。また、ワイヤ40B1とワイヤ40B2、ワイヤ40C1とワイヤ40C2、ワイヤ40D1とワイヤ40D2、ワイヤ40E1とワイヤ40E2、ワイヤ40F1とワイヤ40F2、ワイヤ40G1とワイヤ40G2、がそれぞれ対である。
【0024】
図1に示すように、関節60及び関節61は、それぞれアーム部26の根元側に位置する関節である。関節60及び関節61は、アーム部26の長手方向で隣り合う関節である。本実施形態では、関節60が関節61よりもアーム部26の根元側に位置する。なお、アーム部26の根元側を駆動源30側と言い換えてもよい。
【0025】
図1及び
図2に示すように、関節60は、第一軸62と、複数の第一軸プーリ66と、を有する。なお、第一軸62は、本開示における第一軸の一例であり、第一軸プーリ66は、本開示における第一軸プーリの一例である。
【0026】
第一軸62は、両端が一対のベースプレート24に回転可能に支持されている。なお、本実施形態では、第一軸62の軸方向と各回転軸32の軸方向が平行である。また、第一軸62は、第一固定部材100に固定されている。第一固定部材100は、上下方向に対向する板部を有しており、これらの板部を第一軸62が貫通している。なお、本実施形態の第一固定部材100は、軽量化の観点で樹脂材料によって形成されてもよいし、その他の材料で形成されてもよい。
【0027】
図4に示すように、複数の第一軸プーリ66は、第一軸62上に第一軸62の軸方向内側(軸方向中央側)に向かって径が小さくなるように配置されている。言い換えると、第一軸62上には、複数の第一軸プーリ66が配置されており、第一軸62の軸方向中央側に配置されるプーリほど径のサイズが小さくなっている。ここで、本実施形態では、複数の第一軸プーリ66は、第一軸62の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置されている。具体的には、第一軸62の軸方向一端側(
図1では上側)から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように7つの第一軸プーリ66が配置され、第一軸62の軸方向他端側(
図1では下側)から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように7つの第一軸プーリ66が配置されている(
図2参照)。なお、本実施形態では、第一軸62の軸方向の中心よりも上側の第一軸プーリ66を軸方向外側から順に第一軸プーリ66A1、66B1、66C1、66D1、66E1、66F1、66G1と称する。また、第一軸62の軸方向の中心よりも下側の第一軸プーリ66を軸方向外側から順に第一軸プーリ66A2、66B2、66C2、66D2、66E2、66F2、66G2と称する。なお、第一軸プーリ66A1と第一軸プーリ66A2は、対であり、径が同じである。また第一軸プーリ66B1と第一軸プーリ66B2、第一軸プーリ66C1と第一軸プーリ66C2、第一軸プーリ66D1と第一軸プーリ66D2、第一軸プーリ66E1と第一軸プーリ66E2、第一軸プーリ66F1と第一軸プーリ66F2、第一軸プーリ66G1と第一軸プーリ66G2は、それぞれ対であり、径が同じである。なお、第一軸62の軸方向最外側に位置する第一軸プーリ66A1及び第一軸プーリ66A2は、第一軸62に固定されており、第一軸62及び第一固定部材100と共に回転する。一方、第一軸プーリ66B1、66C1、66D1、66E1、66F1、66G1、66B2、66C2、66D2、66E2、66F2、66G2は、第一軸62に対してそれぞれ独立して回転可能とされている。
【0028】
図2に示すように、第一軸プーリ66A1、66B1、66C1、66D1、66E1、66F1、66G1には、ワイヤ40A1、40B1、40C1、40D1、40E1、40F1、40G1がそれぞれ掛けられる。なお、ワイヤ40A1の他端は、第一固定部材100の一方の板部に固定されている。
【0029】
また第一軸プーリ66A2、66B2、66C2、66D2、66E2、66F2、66G2には、ワイヤ40A2、40B2、40C2、40D2、40E2、40F2、40G2がそれぞれ掛けられる。なお、ワイヤ40A2の他端は第一固定部材100の他方の板部に固定されている。ここで、ワイヤ40A1を巻き取ると、第一軸62を中心として第一固定部材100が一方向に回転する。このとき、ワイヤ40A2が送り出される。一方、ワイヤ40A2を巻き取ると、第一軸62を中心として第一固定部材100が一方向に対して逆方向に回転する。このとき、ワイヤ40A1が送り出される。
【0030】
なお、多関節ロボット20を側方から見た場合に、ワイヤ40A1、B1、40C1、40D1、40E1、40F1、40G1は、第一モータ軸プーリ35A、35B、35C、35D、35E、35F、35Gから第一軸プーリ66A1、66B1、66C1、66D1、66E1、66F1、66G1に向けて第一軸62と略直交する方向にそれぞれ延びている(
図3参照)。言い換えると、多関節ロボット20の側面視において、ワイヤ40A1、B1、40C1、40D1、40E1、40F1、40G1が第一軸62と略直交する方向にそれぞれ延びるように第一モータ軸プーリ35A、35B、35C、35D、35E、35F、35Gと第一軸プーリ66A1、66B1、66C1、66D1、66E1、66F1、66G1との位置が各々調整されている。
同様に、多関節ロボット20を側方から見た場合に、ワイヤ40A2、40B2、40C2、40D2、40E2、40F2、40G2は、第二モータ軸プーリ36A、36B、36C、36D、36E、36F、36Gから第一軸プーリ66A2、66B2、66C2、66D2、66E2、66F2、66G2に向けて第一軸62と略直交する方向にそれぞれ延びている。言い換えると、多関節ロボット20の側面視において、ワイヤ40A2、40B2、40C2、40D2、40E2、40F2、40G2が第一軸62と略直交する方向にそれぞれ延びるように第二モータ軸プーリ36A、36B、36C、36D、36E、36Fと第一軸プーリ66A2、66B2、66C2、66D2、66E2、66F2、66G2との位置が各々調整されている。
【0031】
図1及び
図2に示すように、関節61は、第二軸64と、複数の第二軸プーリ68と、を有する。なお、第二軸64は、本開示における第二軸の一例であり、第二軸プーリ68は、本開示における第二軸プーリの一例である。
【0032】
第二軸64は、第一軸62と直角かつねじれの位置に配置されている。具体的には、第一軸62と第二軸64は、ベースプレートの長手方向から見て直交するように配置されている。この第二軸64は、両端側が第一固定部材100によってそれぞれ回転可能に支持されている。また、第二軸64は、第二固定部材110に固定されている。第二固定部材110は、上下方向に対向する板部を有しており、これらの板部を第二軸64が貫通している。なお、本実施形態の第二固定部材110は、軽量化の観点で樹脂材料によって形成されてもよいし、他の材料で形成されてもよい。
【0033】
複数の第二軸プーリ68は、第二軸64上に第二軸64の軸方向内側(軸方向中央側)に向かって径が小さくなるように配置されている。言い換えると、第二軸64上には、複数の第二軸プーリ68が配置されており、第二軸64の軸方向中央側に配置されるプーリほど径のサイズが小さくなっている。ここで、本実施形態では、複数の第二軸プーリ68は、第二軸64の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置されている。具体的には、第二軸64の軸方向一端側から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように6つの第二軸プーリ68が配置され、第二軸64の軸方向他端側から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように6つの第二軸プーリ68が配置されている。なお、本実施形態では、第二軸64の軸方向の中心よりも上側の第二軸プーリ68を軸方向外側から順に第二軸プーリ68B1、68C1、68D1、68E1、68F1、68G1と称する。また、第二軸64の軸方向の中心よりも下側の第二軸プーリ68を軸方向外側から順に第二軸プーリ68B2、68C2、68D2、68E2、68F2、68G2と称する。なお、第二軸プーリ68B1と第二軸プーリ68B2は、対であり、径が同じである。また第二軸プーリ68C1と第二軸プーリ68C2、第二軸プーリ68D1と第二軸プーリ68D2、第二軸プーリ68E1と第二軸プーリ68E2、第二軸プーリ68F1と第二軸プーリ68F2、第二軸プーリ68G1と第二軸プーリ68G2は、それぞれ対であり、径が同じである。なお、第二軸64の軸方向最外側に位置する第二軸プーリ68B1及び第二軸プーリ68B2は、第二軸64に固定されており、第二軸64及び第二固定部材110と共に回転する。一方、第二軸プーリ68B1、68C1、68D1、68E1、68F1、68G1、68B2、68C2、68D2、68E2、68F2、68G2は、第二軸64に対してそれぞれ独立して回転可能とされている。
【0034】
図2に示すように、第二軸プーリ68B1、68C1、68D1、68E1、68F1、68G1には、ワイヤ40C1、40D1、40E1、40F1、40G1がそれぞれ掛けられる。
【0035】
第二軸プーリ68B2、68C2、68D2、68E2、68F2、68G2には、ワイヤ40C2、40D2、40E2、40F2、40G2がそれぞれ掛けられる。
なお、対のワイヤ40は、対の位置にある第二軸プーリ68に互いに逆向きに掛けまわされている。ここで、対のワイヤ40とは、同じ駆動源から動力を得るワイヤを指している。
【0036】
また、
図4に示すように、多関節ロボット20の要部を上方から見た場合に、複数の第一軸プーリ66の接線が複数の第二軸プーリ68の接線と一致している。具体的には、第一軸プーリ66B1の接線66TLB1が第二軸プーリ68B1の接線68TLB1と一致している。言い換えると、接線66TLB1と接線68TLB1が一致するように、第一軸プーリ66B1と第二軸プーリ68B1の位置が調整されている。同様に、第一軸プーリ66C1、66D1、66E1、66F1、66G1、66B2、66C2、66D2、66E2、66F2、66G2の各接線(図示省略)が、第二軸プーリ68C1、68D1、68E1、68F1、68G1、68B2、68C2、68D2、68E2、68F2、68G2の各接線(図示省略)とそれぞれ一致している。
【0037】
ここで、複数のワイヤ40は、複数の第一軸プーリ66から接線に沿うように第二軸プーリ68に掛けられている。具体的には、ワイヤ40B1は、第一軸プーリ66B1から接線68TLB1に沿うように第二軸プーリ68B1に掛けられている。同様に、ワイヤ40C1、40D1、40E1、40F1、40G1、40B2、40C2、40D2、40E2、40F2、40G2は、第一軸プーリ66C1、66D1、66E1、66F1、66G1、66B2、66C2、66D2、66E2、66F2、66G2から各接線(図示省略)に沿うように第二軸プーリ68C1、68D1、68E1、68F1、68G1、68B2、68C2、68D2、68E2、68F2、68G2にそれぞれ掛けられている。
【0038】
図5に示すように、複数の第一軸プーリ66の径方向外側には、第一抑制部104が配置されている。この第一抑制部104は、ワイヤ40と当接することによって第一軸プーリ66に掛けられたワイヤ40の脱輪を抑制する機能を有する。具体的には、第一抑制部104は、第一固定部材100と一体に形成されている。また、第一抑制部104は、複数の第一軸プーリ66との距離(径方向距離)を一定に保つように階段状に形成されている。
【0039】
図6Aに示すように、各駆動源30と各第一軸プーリ66との間には、第一ガイド部108がそれぞれ配置されている。これらの第一ガイド部108は、各ワイヤ40の送り出し及び巻き取りをガイドするための部分である。具体的には、第一ガイド部108は、第一抑制部104に形成された貫通孔である(
図6B参照)。各ワイヤは対応する各貫通孔を通過して各第一軸プーリ66に掛かる。すなわち、各ワイヤは、第一ガイド部108である貫通孔によって各駆動源30と各第一軸プーリ66との間の送り出し及び巻き取りに係る移動がガイドされる。
【0040】
図5に示すように、複数の第二軸プーリ68の径方向外側には、第二抑制部114が配置されている。この第二抑制部114は、ワイヤ40と当接することによって第二軸プーリ68に掛けられたワイヤ40の脱輪を抑制する機能を有する。具体的には、第二抑制部114は、第二固定部材110と一体に形成されている。また、第二抑制部114は、複数の第二軸プーリ68との距離(径方向距離)を一定に保つように階段状に形成されている。
【0041】
図6Aに示すように、各駆動源30と各第二軸プーリ68との間には、第二ガイド部118がそれぞれ配置されている。これらの第二ガイド部118は、各ワイヤ40の送り出し及び巻き取りをガイドするための部分である。具体的には、第二ガイド部118は、第二抑制部114に形成された貫通孔である(
図6B参照)。各ワイヤ40は対応する各貫通孔を通過して各第二軸プーリ68に掛かる。すなわち、各ワイヤは、第二ガイド部118である貫通孔によって各第一軸プーリ66と各第二軸プーリ68との間の送り出し及び巻き取りに係る移動がガイドされる。
【0042】
関節70及び関節71は、それぞれアーム部26の中央部に位置する関節である。関節70及び関節71は、アーム部26の長手方向で隣り合う関節である。本実施形態では、関節70が関節71よりもアーム部26の根元側に位置する。すなわち、関節70は、アーム部26において、関節61寄りに位置する。
【0043】
図1及び
図2に示すように、関節70は、第三軸72と、複数の第三軸プーリ78と、を有する。また関節70は、第三軸72が固定される第三固定部材120を有する。なお、第三軸72は、本開示における第一軸の一例であり、第三軸プーリ78は、本開示における第一軸プーリの一例である。また、第三固定部材120は、軽量化の観点で樹脂材料によって形成されてもよいし、他の材料で形成されてもよい。
【0044】
関節71は、第四軸74と、複数の第四軸プーリ80と、を有する。また関節71は、第四軸74が固定される第四固定部材130を有する。なお、第四軸74は、本開示における第二軸の一例であり、第四軸プーリ80は、本開示における第二軸プーリの一例である。また、第四固定部材130は、軽量化の観点で樹脂材料によって形成されてもよいし、他の材料で形成されてもよい。
【0045】
第三軸72は、第二軸64と平行に配置されている。第四軸74は第三軸72と直角かつねじれの位置に配置されている。
【0046】
また、第四固定部材130には、ガイド軸76が設けられている。このガイド軸76は第四固定部材130によって回転可能に支持されている。ガイド軸76は第四軸74と直角かつねじれの位置に配置されている。ガイド軸76上には、複数のガイド軸プーリ82が配置されている。
【0047】
本実施形態では、第三軸72上に第三軸プーリ78を5つずつ備えている。最大径の第三軸プーリ78が第三軸72に固定され、他の第三軸プーリ78は第三軸72に回転可能に支持されている。
【0048】
本実施形態では、第四軸74上に第四軸プーリ80を4つずつ備えている。最大径の第四軸プーリ80が第四軸74に固定され、他の第四軸プーリ80は第四軸74に回転可能に支持されている。
【0049】
本実施形態では、ガイド軸76上にガイド軸プーリ82を3つずつ備えている。すべてのガイド軸プーリ82はガイド軸76に回転可能に支持されている。
【0050】
なお、関節70及び関節71のその他の構成は、それぞれ関節60及び関節61と同様のため、詳細を省略する。
【0051】
関節90及び関節91は、それぞれアーム部26の先端側に位置する関節である。関節90及び関節91は、アーム部26の長手方向で隣り合う関節である。本実施形態では、関節90が関節91よりもアーム部26の根元側に位置する。すなわち、関節90は、アーム部26において、関節71寄りに位置する。
【0052】
図1及び
図2に示すように、関節90は、第五軸92と、複数の第五軸プーリ96と、第六軸94と、を有する。また関節90は第五軸92が固定される第五固定部材140を有する。なお、第五軸92は、本開示における第一軸の一例であり、第五軸プーリ96は、本開示における第一軸プーリの一例である。また、第五固定部材140は、軽量化の観点で樹脂材料によって形成されてもよいし、他の材料で形成されてもよい。
【0053】
関節91は、第六軸94と、複数の第六軸プーリ98と、を有する。また関節91は、第六軸94が固定される第六固定部材150を有する。なお、第六軸94は、本開示における第二軸の一例であり、第六軸プーリ98は、本開示における第二軸プーリの一例である。また、第六固定部材150は、軽量化の観点で樹脂材料によって形成されてもよいし、他の材料で形成されてもよい。
【0054】
第五軸92は、ガイド軸76と平行に配置されている。第六軸94は第五軸92と直角かつねじれの位置に配置されている。
【0055】
本実施形態では、第五軸92上に第五軸プーリ96を3つずつ備えている。最大径の第五軸プーリ96が第五軸92に固定され、他の第五軸プーリ96は第五軸92に回転可能に支持されている。
【0056】
本実施形態では、第六軸94上に第六軸プーリ98を2つずつ備えている。最大径の第六軸プーリ98が第六軸94に固定され、他の第六軸プーリ98は第六軸94に回転可能に支持されている。
【0057】
なお、関節90及び関節91のその他の構成は、それぞれ関節70及び関節71と同様のため、詳細を省略する。
【0058】
アーム部26の先端にはハンド部200が設けられている。このハンド部200を駆動させる駆動部にワイヤ40G1、40G2の他端が固定されている。一例として、ワイヤ40G1が巻き取られると共にワイヤ40G2が送り出されると、ハンド部200が閉じ、ワイヤ40G2が巻き取られると共にワイヤ40G1が送り出されると、ハンド部200が開く。
【0059】
またハンド部200には、ハンド部200による対象物の把持用に撮像装置(所謂カメラ)を設けてもよい。そして、撮像装置の情報に基づいて各駆動源30の動作(出力)を制御してもよい。
【0060】
また本実施形態の各ワイヤ40は、対応する軸プーリにそれぞれ1回転以上掛けまわされている。一例として、ワイヤ40A1は、第一軸プーリ66A1に1回転以上掛けまわされている。他のワイヤ40も同様である。
【0061】
本実施形態の複数のワイヤ40は、第一軸62の軸方向中央側に位置するプーリほどロボット先端側の部分を駆動させる。具体的には、最小径の第一軸プーリ66G1、66G2に掛けられるワイヤ40G1、G2によってハンド部200が駆動される。
【0062】
なお、本開示に係る動力伝達機構及び関節機構は、複数の駆動源30と、複数のワイヤ40と、第一軸62、第三軸72及び第五軸92と、第二軸64、第四軸74及び第六軸94と、第一軸プーリ66、第三軸プーリ78及び第五軸プーリ96と、第二軸プーリ68、第四軸プーリ80及び第六軸プーリ98とを備える。
【0063】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、関節60が第一軸62と、複数の第一軸プーリ66と、を有し、関節61が第一軸62と直角かつねじれの位置に配置される第二軸64と、複数の第二軸プーリ68と、を有している。ここで、例えば、駆動源30Aを駆動させてワイヤ40A1を巻き取り、ワイヤ40A2を送り出すと、第一軸62を中心に第一固定部材100が一方向に回転動作する。また駆動源30Aを逆回転させてワイヤ40A2を巻き取り、ワイヤ40A1を送り出すと、第一軸62を中心に第一固定部材100が一方向と逆方向に回転動作する。また、ワイヤ40B1を巻き取り、ワイヤ40B2を送り出すと、第二軸64を中心に第二固定部材110が一方向に回転動作する。そしてワイヤ40B2を巻き取り、ワイヤ40B1を送り出すと、第二軸64を中心に第二固定部材110が一方向と逆方向に回転動作する。このとき、ワイヤ40B1、40B2は第二軸プーリ68B1、68B2によって支持される。上記のように、本実施形態では、ワイヤ40によって駆動する関節60及び関節61を複数の異なる方向に動作させることができる。関節70及び関節71と、関節90及び関節91についても同様に複数の異なる方向に動作させることができる。
【0064】
また本実施形態では、一つの駆動源30で一つの軸周りにアーム部26を回転動作させることができるため、複数の駆動源を用いて一つの軸周りにアーム部26を回転動作させる構成と比べて、軽量化を図ることができる。
【0065】
また本実施形態では、ベース部22に全ての駆動源30を取り付けているため、各軸の周辺に駆動源を設ける構成と比べて、アーム部26が軽量化される。
【0066】
また本実施形態では、各軸の軸方向両端から軸方向中心側に向けて軸プーリのサイズを小さくしている。このような構成とすることで、簡単な構造で各関節を通るワイヤの本数を増やすことができる。
【0067】
また本実施形態では、一つの軸上に複数の軸プーリを配置しているため、例えば、ワイヤ毎にそれぞれ異なる場所に軸プーリを配置する構成と比べて、ワイヤを用いた動力伝達機構を適用する装置の大型化を抑制することができる。言い換えると、本開示の動力伝達機構を適用した多関節ロボット20は、大型化が抑制されている。
【0068】
また本実施形態では、各軸の軸方向最外側の軸プーリに掛けられるワイヤを各固定部材に固定することで、各固定部材を各軸周りに回転動作させられるようにしている。本実施形態では、このような簡単な構成でアーム部26を駆動させることができる。
【0069】
また本実施形態では、各軸の中心側の軸プーリに掛かるワイヤほどロボットの先端側を駆動させるワイヤとしている。すなわち、多関節ロボット20は、先端に近いほど軽量で作用するモーメントが小さいため、サイズの小さいプーリを用いることができる。
【0070】
また本実施形態では、ワイヤを軸プーリに1回転以上巻きまわしていることから、ワイヤの軸プーリからの脱輪が防止される。
【0071】
また本実施形態では、各軸プーリの周囲に各抑制部を設けていることから、各抑制部と各ワイヤとの当接により、各ワイヤが各軸プーリから脱輪するのが抑制される。
【0072】
また本実施形態では、各抑制部にワイヤをガイドする各ガイドを設けていることから、例えば、ワイヤを送り出すときの緩みによる脱輪が抑制される。
【0073】
前述の実施形態では、駆動源30を電動モータとしているが、駆動源の駆動によってワイヤを巻き取り及び送り出しできれば、駆動源30を他の構成としてもよい。例えば、駆動源30をシリンダ、リニアモータ等としてもよい。
【0074】
前述の実施形態では、駆動源30をベースプレート24の長手方向に沿って配置しているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、駆動源30を千鳥状に配置してもよいし、それ以外の配置でもよい。
【0075】
また、複数の駆動源30は、全て同一容量の電動モータとしてもよいし、異なる容量の電動モータとしてもよい。ロボットの先端部ほど軽量となりモーメントが小さくなることから必要とされる力に応じて電動モータを設定してもよい。
【0076】
また、各軸の軸方向両側にそれぞれ軸プーリを配置しているが、本開示はこの構成に限定されない。各軸の一方側に向けて径が小さくなるように複数の軸プーリを配置してもよい。すなわち、各軸の軸方向の一端から他端へ向けて各軸上に径が小さくなるように複数の軸プーリを配置してもよい。この場合には、ワイヤからは軸に対して一方向の回転力しか得られないため、他方向の回転力として付勢部材を用いてもよい。付勢部材としては、例えば、バネ等が挙げられる。
【0077】
以下に、本開示に関する付記項を記載する。
【0078】
(付記項1)
ベース部に配置された複数の駆動源と、
複数の前記駆動源のそれぞれに一端を固定されたワイヤと、
前記駆動源側に配置される第一関節の回転軸である第一軸と、
前記第一関節に接続される第二関節の回転軸であって前記第一軸と直角かつねじれの位置に配置される第二軸と、
前記第一軸上に前記第一軸の軸方向一方側に向かって径が小さくなるように配置される複数の第一軸プーリと、
前記第二軸上に前記第二軸の軸方向一方側に向かって径が小さくなるように配置される複数の第二軸プーリと、
を有し、
複数の前記第一軸プーリの接線が複数の前記第二軸プーリの接線と一致しており、
複数の前記ワイヤのそれぞれは、前記第一軸プーリから前記接線に沿うように前記第二軸プーリに掛けられている、動力伝達機構。
【0079】
(付記項2)
複数の前記第一軸プーリは、前記第一軸の軸方向両端から前記一方側である軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、
複数の前記第二軸プーリは、前記第二軸の軸方向両端から前記一方側である軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置される、
付記項1に記載の動力伝達機構。
【0080】
(付記項3)
前記第一軸の軸方向最外側に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記ワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定されている、付記項1又は付記項2に記載の動力伝達機構。
【0081】
(付記項4)
前記第二軸の軸方向最外側に位置する前記第二軸プーリに掛けられた前記ワイヤの他端は、前記第二軸が固定されている第二固定部材に固定されている、付記項1~付記項3のいずれか1項に記載の動力伝達機構。
【0082】
(付記項5)
前記第一軸の軸方向の中心から対の位置にある前記第一軸プーリに掛かる前記ワイヤは対であり、対の前記ワイヤは対の位置にある前記第一軸プーリに互いに逆向きに掛けまわされている、付記項2、付記項2を引用する付記項3、又は、付記項2を引用する付記項4に記載の動力伝達機構。
【0083】
(付記項6)
前記ワイヤは、前記第一軸プーリ及び前記第二軸プーリの少なくとも一方に1回転以上掛けまわされている、付記項1~付記項4のいずれか1項に記載の動力伝達機構。
【0084】
(付記項7)
前記第一軸プーリの径方向外側に配置され、当接により前記第一軸プーリに掛けられた前記ワイヤの脱輪を抑制する第一抑制部と、
前記第二軸プーリの径方向外側に配置され、当接により前記第二軸プーリに掛けられた前記ワイヤの脱輪を抑制する第二抑制部と、
を更に有する、付記項1~付記項6のいずれか1項に記載の動力伝達機構。
【0085】
(付記項8)
前記駆動源と前記第一軸プーリとの間で前記接線上に配置され、前記ワイヤの送り出し及び巻き取りをガイドする第一ガイド部と、
前記第一軸プーリと前記第二軸プーリとの間で前記接線上に配置され、前記ワイヤの送り出し及び巻き取りをガイドする第二ガイド部と、
を更に有する、付記項1~付記項7のいずれか1項に記載の動力伝達機構。
【0086】
(付記項9)
前記駆動源はモータであり、前記モータの軸に接続されるモータ軸プーリに前記ワイヤの一端が固定され、前記モータの回転により前記ワイヤが前記モータ軸プーリに巻き取られる、付記項1~付記項8のいずれか1項に記載の動力伝達機構。
【0087】
(付記項10)
ベース部に配置された複数の駆動源と、
複数の前記駆動源のそれぞれに一端を固定されたワイヤと、
前記駆動源側に配置される第一関節の回転軸である第一軸と、
前記第一関節に接続される第二関節の回転軸であって前記第一軸と直角かつねじれの位置に配置される第二軸と、
前記第一軸上に前記第一軸の軸方向に配置される複数の第一軸プーリと、
前記第二軸上に前記第二軸の軸方向に配置される複数の第二軸プーリと、
を有し、
複数の前記第一軸プーリは、前記第一軸の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、
複数の前記第二軸プーリは、前記第二軸の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、
複数の前記第一軸プーリの接線が複数の前記第二軸プーリの接線と一致しており、
複数の前記ワイヤのそれぞれは、前記第一軸プーリから前記接線に沿うように前記第二軸プーリに掛けられており、
前記第一軸の軸方向の中心から対の位置にある前記第一軸プーリに掛かる前記ワイヤは対であり、対の前記ワイヤは対の位置にある前記第一軸プーリに互いに逆向きに掛けまわされ、
前記第一軸の軸方向最外側に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記ワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定され、
前記第一軸の前記軸方向最外側の他方に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記対となるワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定されている、
関節機構。
【0088】
(付記項11)
ベース部と、
前記ベース部に配置された複数の駆動源と、
複数の前記駆動源のそれぞれに一端を固定されたワイヤと、
複数の前記ワイヤを通過させる複数の関節と、
を有する多関節ロボットであって、
前記多関節ロボットは、複数の前記関節として、
前記駆動源側に配置される第一関節の回転軸である第一軸と、
前記第一関節に接続される第二関節の回転軸であって前記第一軸と直角かつねじれの位置に配置される第二軸と、
前記第一軸上に前記第一軸の軸方向に配置される複数の第一軸プーリと、
前記第二軸上に前記第二軸の軸方向に配置される複数の第二軸プーリと、
を有しており、
複数の前記第一軸プーリは、前記第一軸の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、
複数の前記第二軸プーリは、前記第二軸の軸方向両端から軸方向中央側に向かって径が小さくなるように配置され、
複数の前記第一軸プーリの接線が複数の前記第二軸プーリの接線と一致しており、
複数の前記ワイヤのそれぞれは、前記第一軸プーリから前記接線に沿うように前記第二軸プーリに掛けられており、
前記第一軸の軸方向の中心から対の位置にある前記第一軸プーリに掛かる前記ワイヤは対であり、対の前記ワイヤは対の位置にある前記第一軸プーリに互いに逆向きに掛けまわされ、
前記第一軸の軸方向最外側に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記ワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定され、
前記第一軸の前記軸方向最外側の他方に位置する前記第一軸プーリに掛けられた前記対となるワイヤの他端は、前記第一軸が固定されている第一固定部材に固定されている、多関節ロボット。
【0089】
(付記項12)
前記第一軸の軸方向中央側に位置する前記第一軸プーリに掛けられる前記ワイヤほどロボット先端側の部分を駆動させる、付記項11に記載の多関節ロボット。
【符号の説明】
【0090】
20 多関節ロボット
22 ベース部
26 アーム部
30 駆動源
35 第一モータ軸プーリ(モータ軸プーリの一例)
36 第二モータ軸プーリ(モータ軸プーリの一例)
40 ワイヤ
60 関節(第一関節の一例)
61 関節(第二関節の一例)
62 第一軸
64 第二軸
66 第一軸プーリ
66TLB1 接線
68 第二軸プーリ
68TLB1 接線
70 関節(第一関節の一例)
71 関節(第二関節の一例)
72 第三軸(第一軸の一例)
74 第四軸(第二軸の一例)
76 ガイド軸
78 第三軸プーリ(第一軸プーリの一例)
80 第四軸プーリ(第二軸プーリの一例)
82 ガイド軸プーリ
90 関節(第一関節の一例)
91 関節(第二関節の一例)
92 第五軸(第一軸の一例)
94 第六軸(第二軸の一例)
96 第五軸プーリ(第一軸プーリの一例)
98 第六軸プーリ(第二軸プーリの一例)
100 第一固定部材
104 第一抑制部
108 第一ガイド部
110 第二固定部材
114 第二抑制部
118 第二ガイド部
120 第三固定部材(第一固定部材の一例)
130 第四固定部材(第二固定部材の一例)
140 第五固定部材(第一固定部材の一例)
150 第六固定部材(第二固定部材の一例)
200 ハンド部