(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012375
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物、硬化物、及び、有機EL表示素子
(51)【国際特許分類】
H10K 50/844 20230101AFI20240123BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240123BHJP
C08G 65/18 20060101ALI20240123BHJP
C08F 2/46 20060101ALI20240123BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240123BHJP
H10K 71/13 20230101ALN20240123BHJP
【FI】
H10K50/844
H10K59/10
C08G65/18
C08F2/46
H10K50/10
H10K71/13
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183320
(22)【出願日】2023-10-25
(62)【分割の表示】P 2020501395の分割
【原出願日】2019-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2018222735
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】西海 由季
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】増井 良平
(72)【発明者】
【氏名】金 千鶴
(72)【発明者】
【氏名】竹中(笹野) 美香
(57)【要約】
【課題】インクジェット法により長期間安定して塗布することができ、信頼性に優れる有機EL表示素子を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供する。また、該硬化性樹脂組成物の硬化物、及び、該硬化物を有する有機EL表示素子を提供する。
【解決手段】有機EL表示素子の封止に用いられる硬化性樹脂組成物であって、重合性化合物と光重合開始剤とを含有し、60℃で5日間保管した後のJIS K 7122に基づいた示差走査熱量測定において、ピーク高さ0.05mW/mg以上、及び、発熱量10mJ/mg以上を満たす全ての発熱ピークのピーク温度が120℃以上である硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機EL表示素子の封止に用いられる硬化性樹脂組成物であって、
重合性化合物と光重合開始剤とを含有し、
60℃で5日間保管した後のJIS K 7122に基づいた示差走査熱量測定において、ピーク高さ0.05mW/mg以上、及び、発熱量10mJ/mg以上を満たす全ての発熱ピークのピーク温度が120℃以上である
ことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
重合性化合物と光重合開始剤とを含有し、
60℃で5日間保管した後のJIS K 7122に基づいた示差走査熱量測定において、ピーク高さ0.05mW/mg以上、及び、発熱量10mJ/mg以上を満たす全ての発熱ピークのピーク温度が120℃以上であり、
25℃における粘度が80mPa・s以下であり、かつ、25℃における表面張力が20mN/m以上40mN/m以下である
ことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記光重合開始剤として光カチオン重合開始剤を含有し、かつ、塩基性化合物を含有する請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記塩基性化合物は、芳香族化合物である請求項3記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記塩基性化合物の含有割合が、50ppm以上1万ppm以下である請求項3又は4記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記光重合開始剤として光ラジカル重合開始剤を含有し、かつ、ラジカルトラップ剤を含有する請求項1、2、3、4又は5記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記ラジカルトラップ剤は、芳香族化合物である請求項6記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記ラジカルトラップ剤の含有割合が、50ppm以上1万ppm以下である請求項6又は7記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項10】
請求項9記載の硬化物を有する有機EL表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット法により長期間安定して塗布することができ、信頼性に優れる有機EL表示素子を得ることができる硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物の硬化物、及び、該硬化物を有する有機EL表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」ともいう)表示素子は、互いに対向する一対の電極間に有機発光材料層が挟持された積層体構造を有し、この有機発光材料層に一方の電極から電子が注入されるとともに他方の電極から正孔が注入されることにより有機発光材料層内で電子と正孔とが結合して発光する。このように有機EL表示素子は自己発光を行うことから、バックライトを必要とする液晶表示素子等と比較して視認性がよく、薄型化が可能であり、しかも直流低電圧駆動が可能であるという利点を有している。
【0003】
有機EL表示素子を構成する有機発光材料層や電極は、水分や酸素等により特性が劣化しやすいという問題がある。従って、実用的な有機EL表示素子を得るためには、有機EL表示素子を封止することにより有機発光材料層や電極を大気と遮断して長寿命化を図る必要がある。従来、有機EL表示素子の封止方法としては、例えば、特許文献1、2に開示されているような、硬化性樹脂組成物を用いてなる封止剤をスクリーン印刷等により有機発光材料層を有する積層体上に塗布して硬化させる方法や、封止用シートを貼付する方法等が用いられていた。
【0004】
一方、近年、デバイスの薄型化が要求されており、これに対応して封止剤を薄膜塗布することが必要となっている。封止剤を高速かつ均一に薄膜塗布する方法として、例えば、特許文献3に開示されているようなインクジェット法を用いた方法が検討されている。しかしながら、インクジェット法により塗布する場合、粘度を調整してインクジェット法による塗布に適したものとした封止剤であっても、長期間に亘って安定的に塗布することが困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2014/199626号
【特許文献2】国際公開第2016/092816号
【特許文献3】国際公開第2018/074506号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、インクジェット法により長期間安定して塗布することができ、信頼性に優れる有機EL表示素子を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物の硬化物、及び、該硬化物を有する有機EL表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明1は、有機EL表示素子の封止に用いられる硬化性樹脂組成物であって、重合性化合物と光重合開始剤とを含有し、60℃で5日間保管した後のJIS K 7122に基づいた示差走査熱量測定において、ピーク高さ0.05mW/mg以上、及び、発熱量10mJ/mg以上を満たす全ての発熱ピークのピーク温度が120℃以上である硬化性樹脂組成物である。
また、本発明2は、重合性化合物と光重合開始剤とを含有し、60℃で5日間保管した後のJIS K 7122に基づいた示差走査熱量測定において、ピーク高さ0.05mW/mg以上、及び、発熱量10mJ/mg以上を満たす全ての発熱ピークのピーク温度が120℃以上であり、25℃における粘度が80mPa・s以下であり、かつ、25℃における表面張力が20mN/m以上40mN/m以下である硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。なお、本発明1の硬化性樹脂組成物と本発明2の硬化性樹脂組成物とに共通する事項については、「本発明の硬化性樹脂組成物」として記載する。
【0008】
本発明者らは、硬化性樹脂組成物を用いてなる封止剤をインクジェット法により塗布する場合に、長期間に亘って安定的に塗布することが困難となる原因が、インクジェット法に適した粘度とすることで短期間では安定的に塗布できる封止剤であっても、インクジェット装置内で長期間加温された状態となることで増粘していることにあると考えた。そこで本発明者らは、インクジェット塗布性に優れる硬化性樹脂組成物について、60℃で5日間保管した後のJIS K 7122に基づいた示差走査熱量測定において、ピーク高さ及び発熱量がそれぞれ特定値以上である全ての発熱ピークのピーク温度を120℃以上とすることを検討した。その結果、インクジェット法により長期間に亘って安定的に塗布することができ、硬化性に優れ、かつ、信頼性に優れる有機EL表示素子を得ることができる硬化性樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の硬化性樹脂組成物は、60℃で5日間保管した後のJIS K 7122に基づいた示差走査熱量測定において、ピーク高さ0.05mW/mg以上、及び、発熱量10mJ/mg以上を満たす全ての発熱ピークのピーク温度が120℃以上である。上記ピーク高さ及び上記発熱量を満たす全ての発熱ピークのピーク温度が120℃以上であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、インクジェット法により長期間安定して塗布することができるものとなる。上記ピーク高さ及び上記発熱量を満たす全ての発熱ピークのピーク温度は、130℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましい。
なお、上記示差走査熱量測定は、示差走査熱量計を用いて行うことができる。具体的には、イエローランプ環境でアルミニウム製オープン型試料容器に入れた硬化性樹脂組成物について、下記の測定条件により行われる。
測定環境 :イエローランプ下
測定中フローガス:窒素
昇温速度 :5℃/分
測定範囲 :30℃~300℃
サンプル容器 :Al製オープン型試料容器(φ5.2mm、H5mm)
サンプル量 :10~40mg
リファレンス :サンプル容器のみ
上記示差走査熱量計としては、例えば、DSC7020(日立ハイテクサイエンス社製)等が挙げられる。
また、本明細書において上記「発熱ピーク」は、DSC曲線において、曲線がベースラインを離れてから再度ベースラインに戻るまでの部分を意味する。上記「ピーク高さ」は、内挿されたベースラインとピーク頂点の間の横軸に垂直な距離を意味する。上記「発熱量」は、DSCチャートにおいて、ピークとベースラインで囲まれた面積をもとに算出された値を意味する。上記「ベースライン」は、試験片に転移及び反応を生じない温度領域のDSC曲線を意味する。上記「ピーク温度」は、発熱ピークの頂点に達した温度を意味する。なお、発熱量が10mJ/mg以上の発熱ピーク内に複数の頂点(極大点)がある場合は、ピーク高さが0.05mW/mg以上である頂点のうちの最も低温のピーク温度を確認する。
【0010】
本発明の硬化性樹脂組成物は、インクジェット法による塗布に好適に用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記インクジェット法として、非加熱式インクジェット法による塗布に用いることもできるし、加熱式インクジェット法による塗布に用いることもできる。
なお、本明細書において、上記「非加熱式インクジェット法」は、28℃未満の塗布ヘッド温度でインクジェット塗布する方法であり、上記「加熱式インクジェット法」は、28℃以上の塗布ヘッド温度でインクジェット塗布する方法である。
【0011】
上記加熱式インクジェット法には、加熱機構を搭載したインクジェット用塗布ヘッドが用いられる。インクジェット塗布ヘッドが加熱機構を搭載していることにより、硬化性樹脂組成物を吐出する際に粘度と表面張力を低下させることができる。
【0012】
上記加熱機構を搭載したインクジェット用塗布ヘッドとしては、例えば、コニカミノルタ社製のKM1024シリーズや、FUJIFILM Dimatix社製のSG1024シリーズ等が挙げられる。
【0013】
本発明の硬化性樹脂組成物を上記加熱式インクジェット法による塗布に用いる場合、塗布ヘッドの加熱温度は、28℃~80℃の範囲であることが好ましい。上記塗布ヘッドの加熱温度がこの範囲であることにより、硬化性樹脂組成物の経時的な粘度上昇が更に抑制され、吐出安定性により優れるものとなる。
【0014】
本発明2の硬化性樹脂組成物は、25℃における粘度の上限が80mPa・sである。上記25℃における粘度が80mPa・s以下であることにより、インクジェット法によって好適に塗布することができる。
なお、本明細書において上記「粘度」は、E型粘度計を用いて、25℃、100rpmの条件で測定される値を意味する。上記E型粘度計としては、例えば、VISCOMETER TV-22(東機産業社製)等が挙げられ、CP1型のコーンプレートを用いることができる。
【0015】
上記非加熱式インクジェット法によって塗布する場合の本発明の硬化性樹脂組成物の25℃における粘度の好ましい下限は5mPa・s、好ましい上限は20mPa.sである。上記25℃における粘度がこの範囲であることにより、非加熱式インクジェット法によって好適に塗布することができる。上記非加熱式インクジェット法によって塗布する場合の本発明の硬化性樹脂組成物の25℃における粘度のより好ましい下限は8mPa・s、より好ましい上限は16mPa.s、更に好ましい下限は10mPa・s、更に好ましい上限は13mPa.sである。
【0016】
一方、上記加熱式インクジェット法による塗布に用いる場合の本発明の硬化性樹脂組成物の25℃における粘度の好ましい下限は10mPa・s、好ましい上限は80mPa.sである。上記粘度がこの範囲であることにより、加熱式インクジェット法によって好適に塗布することができる。上記加熱式インクジェット法による塗布に用いる場合の本発明の硬化性樹脂組成物の25℃における粘度のより好ましい下限は20mPa・s、より好ましい上限は50mPa.s、更に好ましい上限は40mPa.sである。
【0017】
本発明2の硬化性樹脂組成物は、25℃における表面張力の下限が20mN/m、上限が40mN/mである。上記25℃における表面張力がこの範囲であることにより、インクジェット法によって好適に塗布することができる。上記25℃における表面張力の好ましい下限は22mN/mである。
なお、上記表面張力は、動的濡れ性試験機によりWilhelmy法によって測定された値を意味する。上記動的濡れ性試験機としては、例えば、WET-6100型(レスカ社製)等が挙げられる。
【0018】
上記ピーク高さ及び上記発熱量を満たす全ての発熱ピークのピーク温度、上記25℃における粘度、並びに、上記25℃における表面張力は、後述する、重合性化合物、光重合開始剤、塩基性化合物及び/又はラジカルトラップ剤等の硬化性樹脂組成物の構成成分について、これらの種類の選択及び含有割合の調整により上述した範囲とすることができる。
特に、上記ピーク高さ及び上記発熱量を満たす全ての発熱ピークのピーク温度は、後述する重合性化合物と、光重合開始剤と、塩基性化合物及び/又はラジカルトラップ剤との組み合わせ、並びに、これらの含有割合の調整により、上述した範囲とすることが容易となる。
【0019】
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合性化合物を含有する。
上記重合性化合物としては、カチオン重合性化合物やラジカル重合性化合物を用いることができる。
【0020】
上記カチオン重合性化合物としては、例えば、オキセタン化合物、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。なかでも、上記重合性化合物は、オキセタン化合物及びエポキシ化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、エポキシ化合物を含むことがより好ましく、多官能エポキシ化合物を含むことが更に好ましい。
【0021】
上記オキセタン化合物としては、例えば、3-エチル-3-(((3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ)メチル)オキセタン、3-エチル-3-((2-エチルヘキシルオキシ)メチル)オキセタン、3-エチル-3-((3-(トリエトキシシリル)プロポキシ)メチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタン、1,4-ビス(((3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ)メチル)ベンゼン等が挙げられる。なかでも、3-エチル-3-(((3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ)メチル)オキセタンが好ましい。
これらのオキセタン化合物は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0022】
上記エポキシ化合物としては、例えば、1,7-オクタジエンジエポキシド、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロ-ルプロパントリグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェニレンジグリシジルエーテル、(3-(ジグリシジルアミノ)フェニル)グリシジルエーテル等が挙げられる。なかでも、1,7-オクタジエンジエポキシド、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3-(ジグリシジルアミノ)フェニル)グリシジルエーテルが好ましい。
これらのエポキシ化合物は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0023】
上記ビニルエーテル化合物としては、例えば、ベンジルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジシクロペンタジエンビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0024】
また、上記カチオン重合性化合物の中でも、(3-(ジグリシジルアミノ)フェニル)グリシジルエーテルを加えることで、上記ピーク高さ及び上記発熱量を満たす全ての発熱ピークのピーク温度を上述した範囲とすることが容易となる。
【0025】
更に、上記カチオン重合性化合物の中でも、上記オキセタン化合物を使用しないことで、上記ピーク高さ及び上記発熱量を満たす全ての発熱ピークのピーク温度を上述した範囲とすることが容易となる。ただし、オキセタン化合物を使用しない場合は、得られる硬化性樹脂組成物の粘度や表面張力や硬化性を調整することが困難となって有機EL表示素子の封止に適さないものとなる場合がある。
【0026】
上記ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリル化合物が好ましい。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリル化合物」とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
【0027】
上記(メタ)アクリル化合物としては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
これらの(メタ)アクリル化合物は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0028】
また、表面張力の調整等の観点から、上記ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサンも好ましく、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンがより好ましく、ビニル基を有するオルガノポリシロキサンが更に好ましい。
【0029】
本発明の硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する。
上記光重合開始剤としては、用いる重合性化合物の種類等に応じて、光カチオン重合開始剤や光ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。
【0030】
上記光カチオン重合開始剤は、光照射によりプロトン酸又はルイス酸を発生するものであれば特に限定されず、イオン性光酸発生型であってもよいし、非イオン性光酸発生型であってもよい。
【0031】
上記イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤のアニオン部分としては、例えば、BF4
-、PF6
-、SbF6
-、(BX4)-(但し、Xは、少なくとも2つ以上のフッ素又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を表す)等が挙げられる。また、上記アニオン部分としては、PFm(CnF2n+1)6-m
-(但し、式中、mは0以上5以下の整数であり、nは1以上6以下の整数である)等も挙げられる。
上記イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤としては、例えば、上記アニオン部分を有する、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族アンモニウム塩、(2,4-シクロペンタジエン-1-イル)((1-メチルエチル)ベンゼン)-Fe塩等が挙げられる。
【0032】
上記芳香族スルホニウム塩としては、例えば、ビス(4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス(4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス(4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル-4-(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル-4-(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル-4-(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジフェニル-4-(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4-(ジ(4-(2-ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス(4-(ジ(4-(2-ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4-(ジ(4-(2-ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス(4-(ジ(4-(2-ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(4-(4-アセチルフェニル)チオフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0033】
上記芳香族ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0034】
上記芳香族ジアゾニウム塩としては、例えば、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0035】
上記芳香族アンモニウム塩としては、例えば、1-ベンジル-2-シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ベンジル-2-シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1-ベンジル-2-シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ベンジル-2-シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1-(ナフチルメチル)-2-シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-(ナフチルメチル)-2-シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1-(ナフチルメチル)-2-シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1-(ナフチルメチル)-2-シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0036】
上記(2,4-シクロペンタジエン-1-イル)((1-メチルエチル)ベンゼン)-Fe塩としては、例えば、(2,4-シクロペンタジエン-1-イル)((1-メチルエチル)ベンゼン)-Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート、(2,4-シクロペンタジエン-1-イル)((1-メチルエチル)ベンゼン)-Fe(II)ヘキサフルオロアンチモネート、(2,4-シクロペンタジエン-1-イル)((1-メチルエチル)ベンゼン)-Fe(II)テトラフルオロボレート、(2,4-シクロペンタジエン-1-イル)((1-メチルエチル)ベンゼン)-Fe(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0037】
上記非イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤としては、例えば、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N-ヒドロキシイミドスルホネート等が挙げられる。
【0038】
上記光カチオン重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、みどり化学社製の光カチオン重合開始剤、ユニオンカーバイド社製の光カチオン重合開始剤、ADEKA社製の光カチオン重合開始剤、3M社製の光カチオン重合開始剤、BASF社製の光カチオン重合開始剤、ローディア社製の光カチオン重合開始剤、サンアプロ社製の光カチオン重合開始剤等が挙げられる。
上記みどり化学社製の光カチオン重合開始剤としては、例えば、DTS-200等が挙げられる。
上記ユニオンカーバイド社製の光カチオン重合開始剤としては、例えば、UVI6990、UVI6974等が挙げられる。
上記ADEKA社製の光カチオン重合開始剤としては、例えば、SP-150、SP-170等が挙げられる。
上記3M社製の光カチオン重合開始剤としては、例えば、FC-508、FC-512等が挙げられる。
上記BASF社製の光カチオン重合開始剤としては、例えば、IRGACURE261、IRGACURE290等が挙げられる。
上記ローディア社製の光カチオン重合開始剤としては、例えば、PI2074等が挙げられる。
上記サンアプロ社製の光カチオン重合開始剤としては、例えば、CPI-100P、CPI-101A、CPI-200K、CPI-210S、CPI-310B、CPI-310FG、CPI-410S等が挙げられる。
【0039】
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、チタノセン化合物、オキシムエステル化合物、ベンゾインエーテル化合物、チオキサントン化合物等が挙げられる。
【0040】
上記光ラジカル重合開始剤としては、具体的には例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン、1,2-(ジメチルアミノ)-2-((4-メチルフェニル)メチル)-1-(4-(4-モルホリニル)フェニル)-1-ブタノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-(フェニルチオ)フェニル)-1,2-オクタンジオン2-(O-ベンゾイルオキシム)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。
【0041】
上記光重合開始剤の含有量は、上記重合性化合物100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部である。上記重合開始剤の含有量が0.01重量部以上であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が硬化性により優れるものとなる。上記重合開始剤の含有量が10重量部以下であることにより、得られる硬化性樹脂組成物の硬化反応が速くなり過ぎず、作業性により優れるものとなり、硬化物をより均一なものとすることができる。上記重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0042】
上記光重合開始剤として上記光カチオン重合開始剤を含有する場合、本発明の硬化性樹脂組成物は、塩基性化合物を含有することが好ましい。上記塩基性化合物は、上記光カチオン重合開始剤の反応により発生する酸を中和する役割を有し、上記光カチオン重合開始剤と組み合わせて用いることで、上記ピーク高さ及び上記発熱量を満たす全ての発熱ピークのピーク温度を上述した範囲とすることが容易となる。
【0043】
上記塩基性化合物は、発生した酸を捕捉することに優れ、かつ、酸を捕捉した後の生成物の安定性が高いことから、アミン系化合物や芳香族化合物であることが好ましい。
【0044】
上記塩基性化合物としては、具体的には例えば、フェニルアミン、ピリジン、ベンジルアミン、トリエチルアミン、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、N-(4-ピリジル)ジメチルアミン、2,6-ジメチルピリジン等が挙げられる。なかでも、フェニルアミン、ピリジン、ベンジルアミンが好ましい。
【0045】
本発明の硬化性樹脂組成物中における上記塩基性化合物の含有割合の好ましい下限は50ppm、好ましい上限は1万ppmである。上記塩基性化合物の含有割合がこの範囲であることにより、上記ピーク高さ及び上記発熱量を満たす全ての発熱ピークのピーク温度を上述した範囲とすることがより容易となる。上記塩基性化合物の含有割合のより好ましい下限は100ppm、より好ましい上限は5000ppmである。
【0046】
上記光重合開始剤として上記光ラジカル重合開始剤を含有する場合、本発明の硬化性樹脂組成物は、ラジカルトラップ剤を含有することが好ましい。上記ラジカルトラップ剤は、上記光ラジカル重合開始剤の反応により発生するラジカルを捕捉する役割を有し、上記光ラジカル重合開始剤と組み合わせて用いることで、上記ピーク高さ及び上記発熱量を満たす全ての発熱ピークのピーク温度を上述した範囲とすることが容易となる。
【0047】
上記ラジカルトラップ剤は、ラジカル補足性が高く、ラジカルを捕捉した後の生成物の安定性が高いことから、芳香族化合物であることが好ましい。また、フェノール系やヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系であることが好ましい。
【0048】
上記ラジカルトラップ剤としては、具体的には例えば、ヒドロキノン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4-メトキシフェノール、tert-ブチル-4-メトキシフェノール、4-tert-ブチルピロカテコール等が挙げられる。なかでも、ヒドロキノン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4-メトキシフェノールが好ましい。
【0049】
本発明の硬化性樹脂組成物中における上記ラジカルトラップ剤の含有割合の好ましい下限は50ppm、好ましい上限は1万ppmである。上記ラジカルトラップ剤の含有割合がこの範囲であることにより、上記ピーク高さ及び上記発熱量を満たす全ての発熱ピークのピーク温度を上述した範囲とすることがより容易となる。上記ラジカルトラップ剤の含有割合のより好ましい下限は100ppm、より好ましい上限は5000ppmである。
【0050】
本発明の硬化性樹脂組成物は、増感剤を含有してもよい。上記増感剤は、上記光重合開始剤の重合開始効率をより向上させて、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化反応をより促進させる役割を有する。
【0051】
上記増感剤としては、例えば、9,10-ジブトキシアントラセン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ベンゾフェノン、2,4-ジクロロベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド等が挙げられる。
【0052】
上記増感剤の含有量は、上記重合性化合物100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が3重量部である。上記増感剤の含有量が0.01重量部以上であることにより、増感効果がより発揮される。上記増感剤の含有量が3重量部以下であることにより、吸収が大きくなり過ぎずに深部まで光を伝えることができる。上記増感剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は1重量部である。
【0053】
本発明の硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有してもよい。上記シランカップリング剤は、本発明の硬化性樹脂組成物と基板等との接着性を向上させる役割を有する。
【0054】
上記シランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0055】
上記シランカップリング剤の含有量は、上記重合性化合物100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が10重量部である。上記シランカップリング剤の含有量がこの範囲であることにより、余剰のシランカップリング剤がブリードアウトすることを抑制しつつ、接着性を向上させる効果により優れるものとなる。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0056】
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、本発明の目的を阻害しない範囲において、表面改質剤を含有してもよい。上記表面改質剤を含有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物の塗膜の平坦性を更に向上させることができる。
上記表面改質剤としては、例えば、界面活性剤やレベリング剤等が挙げられる。
【0057】
上記表面改質剤としては、例えば、シリコーン系やフッ素系等のものが挙げられる。
上記表面改質剤のうち市販されているものとしては、例えば、ビックケミー・ジャパン社製の表面改質剤、AGCセイミケミカル社製の表面改質剤等が挙げられる。
上記ビックケミー・ジャパン社製の表面改質剤としては、例えば、BYK-340、BYK-345等が挙げられる。
上記AGCセイミケミカル社製の表面改質剤としては、例えば、サーフロンS-611等が挙げられる。
【0058】
本発明の硬化性樹脂組成物は、粘度調整等を目的として溶剤を含有してもよいが、残存した溶剤により、有機発光材料層が劣化したりアウトガスが発生したりする等の問題が生じるおそれがあるため、溶剤を含有しない、又は、溶剤の含有量が0.05重量%以下であることが好ましい。
【0059】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の公知の各種添加剤を含有してもよい。
【0060】
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、重合性化合物と、光重合開始剤と、塩基性化合物及び/又はラジカルトラップ剤と、増感剤や表面改質剤等の添加剤とを混合する方法等が挙げられる。
【0061】
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱脱着GC-MS法により80℃、30分の熱脱着条件にて測定される硬化物のアウトガス発生量が3000ppm未満であることが好ましい。上記熱脱着GC-MS法により測定される硬化物のアウトガス発生量が3000ppm未満であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、表示性能により優れる有機EL表示素子を得ることができるものとなる。上記熱脱着GC-MS法により測定される硬化物のアウトガス発生量のより好ましい上限は2500ppmであり、更に好ましい上限は2000ppmである。
上記熱脱着GC-MS法により測定される硬化物のアウトガス発生量は、0ppmであることが最も好ましい。
なお、上記熱脱着GC-MS法による硬化物のアウトガス発生量の測定は、1mgの硬化物について、熱脱着装置とGC-MS装置とを用いて、80℃、30分の熱脱着条件で加熱した際に発生したガス成分の量を測定することにより行うことができる。
また、上記熱脱着GC-MSによるアウトガス発生量の測定に用いる硬化物は、例えば、硬化性樹脂組成物にLEDランプにて波長395nmの紫外線を2000mJ/cm2照射することにより得ることができる。
【0062】
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物の波長380nm以上800nm以下における光の全光線透過率の好ましい下限は80%である。上記全光線透過率が80%以上であることにより、得られる有機EL表示素子が光学特性により優れるものとなる。上記全光線透過率のより好ましい下限は85%である。
上記全光線透過率は、例えば、AUTOMATIC HAZE METER MODEL TC-III DPK(東京電色社製)等の分光計を用いて測定することができる。
また、上記全光線透過率の測定に用いる硬化物は、例えば、硬化性樹脂組成物にLEDランプにて波長395nmの紫外線を2000mJ/cm2照射することにより得ることができる。
【0063】
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物に紫外線を100時間照射した後の400nmにおける透過率が20μmの光路長にて85%以上であることが好ましい。上記紫外線を100時間照射した後の透過率が85%以上であることにより、透明性が高く、発光の損失が小さくなり、かつ、色再現性により優れるものとなる。上記紫外線を100時間照射した後の透過率のより好ましい下限は90%、更に好ましい下限は95%である。
上記紫外線を照射する光源としては、例えば、キセノンランプ、カーボンアークランプ等、従来公知の光源を用いることができる。
また、上記紫外線を100時間照射した後の透過率の測定に用いる硬化物は、例えば、硬化性樹脂組成物にLEDランプにて波長395nmの紫外線を2000mJ/cm2照射することにより得ることができる。
【0064】
本発明の硬化性樹脂組成物は、JIS Z 0208に準拠して、硬化物を85℃、85%RHの環境下に24時間暴露して測定した100μm厚での透湿度が100g/m2以下であることが好ましい。上記透湿度が100g/m2以下であることにより、有機発光材料層に水分が到達してダークスポットが発生することを防止する効果により優れるものとなり、得られる有機EL表示素子が信頼性により優れるものとなる。
また、上記透湿度の測定に用いる硬化物は、例えば、硬化性樹脂組成物にLEDランプにて波長395nmの紫外線を2000mJ/cm2照射することにより得ることができる。
【0065】
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物を85℃、85%RHの環境下に24時間暴露したときに、硬化物の含水率が0.5%未満であることが好ましい。上記硬化物の含水率が0.5%未満であることにより、硬化物中の水分による有機発光材料層の劣化を防止する効果により優れるものとなり、得られる有機EL表示素子が信頼性により優れるものとなる。上記硬化物の含水率のより好ましい上限は0.3%である。
上記含水率の測定方法としては、例えば、JIS K 7251に準拠してカールフィッシャー法により求める方法や、JIS K 7209-2に準拠して吸水後の重量増分を求める等の方法が挙げられる。
また、上記含水率の測定に用いる硬化物は、例えば、硬化性樹脂組成物にLEDランプにて波長395nmの紫外線を2000mJ/cm2照射することにより得ることができる。
【0066】
本発明の硬化性樹脂組成物は、300nm以上400nm以下の波長及び300mJ/cm2以上3000mJ/cm2以下の積算光量の光を照射することによって好適に硬化させることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物もまた、本発明の1つである。
【0067】
上記光照射に用いる光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、LEDランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。これらの光源は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
これらの光源は、上記光重合開始剤の吸収波長に合わせて適宜選択される。
【0068】
本発明の硬化性樹脂組成物への光の照射手段としては、例えば、各種光源の同時照射、時間差をおいての逐次照射、同時照射と逐次照射との組み合わせ照射等が挙げられ、いずれの照射手段を用いてもよい。
【0069】
本発明1の硬化性樹脂組成物は、有機EL表示素子の封止に用いられる。また、本発明2の硬化性樹脂組成物を有機EL表示素子の封止に用いてもよい。
本発明の硬化物を有する有機EL表示素子もまた、本発明の1つである。
【0070】
本発明の有機EL表示素子を製造する方法としては、例えば、インクジェット法により、本発明の硬化性樹脂組成物を基材に塗布する工程と、塗布した硬化性樹脂組成物を光照射により硬化させる工程とを有する方法等が挙げられる。
【0071】
本発明の硬化性樹脂組成物を基材に塗布する工程において、本発明の硬化性樹脂組成物は、基材の全面に塗布してもよく、基材の一部に塗布してもよい。塗布により形成される本発明の硬化性樹脂組成物の封止部の形状としては、有機発光材料層を有する積層体を外気から保護しうる形状であれば特に限定されず、該積層体を完全に被覆する形状であってもよいし、該積層体の周辺部に閉じたパターンを形成してもよいし、該積層体の周辺部に一部開口部を設けた形状のパターンを形成してもよい。
【0072】
上記硬化性樹脂組成物を光照射により硬化させる工程により得られる硬化物は、更に無機材料膜で被覆されていてもよい。
上記無機材料膜を構成する無機材料としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、窒化珪素(SiNx)や酸化珪素(SiOx)等が挙げられる。上記無機材料膜は、1層のみからなるものであってもよく、複数種の層を積層したものであってもよい。また、上記無機材料膜と本発明の硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜とを、交互に繰り返して上記積層体を被覆してもよい。
【0073】
上記有機EL表示素子を製造する方法は、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布した基材(以下、「一方の基材」ともいう)と他方の基材とを貼り合わせる工程を有していてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布する基材は、有機発光材料層を有する積層体の形成されている基材であってもよく、該積層体の形成されていない基材であってもよい。
上記一方の基材が上記積層体の形成されていない基材である場合、上記他方の基材を貼り合わせた際に、上記積層体を外気から保護できるように上記一方の基材に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布すればよい。即ち、他方の基材を貼り合わせた際に上記積層体の位置となる場所に全面的に塗布するか、又は、他方の基材を貼り合わせた際に上記積層体の位置となる場所が完全に収まる形状に、閉じたパターンの封止剤部を形成してもよい。
【0074】
上記硬化性樹脂組成物を光照射及び/又は加熱により硬化させる工程は、上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる工程の前に行なってもよいし、上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる工程の後に行なってもよい。
上記硬化性樹脂組成物を光照射及び/又は加熱により硬化させる工程を、上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる工程の前に行なう場合、本発明の硬化性樹脂組成物は、光照射及び/又は加熱してから硬化反応が進行して接着ができなくなるまでの可使時間が1分以上であることが好ましい。上記可使時間が1分以上であることにより、上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる前に硬化が進行し過ぎることなく、より高い接着強度を得ることができる。
【0075】
上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる工程において、上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる方法は特に限定されないが、減圧雰囲気下で貼り合わせることが好ましい。
上記減圧雰囲気下の真空度の好ましい下限は0.01kPa、好ましい上限は10kPaである。上記減圧雰囲気下の真空度がこの範囲であることにより、真空装置の気密性や真空ポンプの能力から真空状態を達成するのに長時間を費やすことなく、上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる際の本発明の硬化性樹脂組成物中の気泡をより効率的に除去することができる。
【発明の効果】
【0076】
本発明によれば、インクジェット法により長期間安定して塗布することができ、信頼性に優れる有機EL表示素子を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物の硬化物、及び、該硬化物を有する有機EL表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0078】
(実施例1~14、比較例1~4)
表1~3に記載された配合比に従い、各材料を、ホモディスパー型撹拌混合機を用い、撹拌速度3000rpmで均一に撹拌混合することにより、実施例1~14、比較例1~4の各硬化性樹脂組成物を作製した。ホモディスパー型撹拌混合機としては、ホモディスパーL型(プライミクス社製)を用いた。
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を20mL容の遮光瓶中に10mg封入し、60℃、50%RHの環境下で5日間保管した。保管後、遮光瓶から硬化性樹脂組成物を取り出し、JIS K 7122に基づき、示差走査熱量計を用いて、示差走査熱量測定を行った。具体的な測定条件について以下に示す。
示差走査熱量分析装置:DSC7020(日立ハイテク社製)
サンプル作製環境 :イエローランプ下
測定環境 :イエローランプ下
測定中フローガス :窒素
昇温速度 :5℃/分
測定範囲 :30℃~300℃
サンプル容器 :Al製オープン方試料容器(φ5.2mm、H5mm)
リファレンス :なし(サンプル容器のみ)
ピーク高さ0.05mW/mg以上、及び、発熱量10mJ/mg以上を満たす発熱ピークのうち、最も低温側の発熱ピークの、ピーク高さ、発熱量、及び、ピーク温度の測定結果を表1~3に示した。なお、比較例2、4で得られた各硬化性樹脂組成物は、60℃、50%RHの環境下で5日間保管中に固化したためピーク高さ、発熱量、及び、ピーク温度の測定を行うことができなかった。
また、実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物について、E型粘度計を用い、CP1型のコーンプレートにて、25℃、100rpmの条件において粘度を測定した。E型粘度計としては、VISCOMETER TV-22(東機産業社製)を用いた。結果を表1~3に示した。
更に、実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物について、25℃において動的濡れ性試験機により表面張力を測定した。動的濡れ性試験機としては、WET-6100型(レスカ社製)を用いた。結果を表1~3に示した。
加えて、実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物に対して、LEDランプにて波長395nmの紫外線を2000mJ/cm2照射することにより得られた各硬化物1mgについて、熱脱着装置とGC-MS装置とを用いて、80℃、30分の熱脱着条件で加熱した際に発生したガス成分の量をアウトガス発生量として測定した。具体的な測定条件について以下に示す。
熱脱着装置 :Turbo Matrix650(パーキンエルマー社製)
熱脱着条件 :80℃、30分
スプリット :入口15mL/分、出口15mL/分、注入量5.2%
GC-MS装置 :JMS Q1000(日本電子社製)
分離カラム :EQUITY-1(無極性)
0.32mm×60m×0.25μm
GC昇温速度 :40℃4分→10℃/分→300℃10分
キャリアガス(流量):He(1.5mL/分)
MS測定範囲 :29~600amu(scan 500ms)
イオン化電圧 :70eV
MS温度 :イオン源230℃、インターフェイス250℃
結果を表1~3に示した。
【0079】
<評価>
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1~3に示した。
なお、各評価において、インクジェット用塗布ヘッドとしてはIJH-30(IJT社製)を用い、インクジェット塗布は加熱を行わずに行った(ヘッド温度25℃)。
【0080】
(1)充填から90日後のインクジェット塗布性
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を、インクジェット吐出装置を用いて、30ピコリットルの液滴量にて、アルカリ洗浄した無アルカリガラス上に、5m/秒の速度にて500μmピッチで1000滴塗布した。インクジェット吐出装置としては、NanoPrinter500(マイクロジェット社製)を用い、無アルカリガラスとしては、AN100(AGC社製)を用いた。次いで、封止剤を装置内に90日間放置した後に再度上記と同じ条件にて塗布を行い、2回目の塗布後のガラス基板上の液滴の様子を観察した。
塗布できなかった液滴の数が0個であった場合を「○」、塗布できなかった液滴の数が1個以上20個未満であった場合を「△」、塗布できなかった液滴の数が20個以上であった場合を「×」として、充填から90日後のインクジェット塗布性を評価した。
【0081】
(2)有機EL表示素子の信頼性
(2-1)有機発光材料層を有する積層体が配置された基板の作製
長さ25mm、幅25mm、厚さ0.7mmのガラスにITO電極を1000Åの厚さとなるように成膜したものを基板とした。上記基板をアセトン、アルカリ水溶液、イオン交換水、及び、イソプロピルアルコールにてそれぞれ15分間超音波洗浄した後、煮沸させたイソプロピルアルコールにて10分間洗浄し、更に、UV-オゾンクリーナにて直前処理を行った。UV-オゾンクリーナとしては、NL-UV253(日本レーザー電子社製)を用いた。
次に、直前処理後の基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、素焼きの坩堝にN,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニルベンジジン(α-NPD)を200mg入れ、別の素焼き坩堝にトリス(8-キノリノラト)アルミニウム(Alq3)を200mg入れ、真空チャンバー内を、1×10-4Paまで減圧した。その後、α-NPDの入った坩堝を加熱し、α-NPDを蒸着速度15Å/sで基板に堆積させ、膜厚600Åの正孔輸送層を成膜した。次いで、Alq3の入った坩堝を加熱し、15Å/sの蒸着速度で膜厚600Åの有機発光材料層を成膜した。その後、正孔輸送層及び有機発光材料層が形成された基板を、タングステン製抵抗加熱ボートを有する別の真空蒸着装置に移し、真空蒸着装置内のタングステン製抵抗加熱ボートの1つにフッ化リチウム200mgを入れ、別のタングステン製抵抗加熱ボートにアルミニウム線1.0gを入れた。その後、真空蒸着装置の蒸着器内を2×10-4Paまで減圧してフッ化リチウムを0.2Å/sの蒸着速度で5Å成膜した後、アルミニウムを20Å/sの速度で1000Å成膜した。窒素により蒸着器内を常圧に戻し、10mm×10mmの有機発光材料層を有する積層体が配置された基板を取り出した。
【0082】
(2-2)無機材料膜Aによる被覆
得られた積層体が配置された基板に13mm×13mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて該積層体全体を覆うように無機材料膜Aを形成した。
プラズマCVD法は、原料ガスとしてSiH4ガス及び窒素ガスを用い、各々の流量をSiH4ガス10sccm、窒素ガス200sccmとし、RFパワーを10W(周波数2.45GHz)、チャンバー内温度を100℃、チャンバー内圧力を0.9Torrとする条件で行った。
形成された無機材料膜Aの厚さは、約1μmであった。
【0083】
(2-3)樹脂保護膜の形成
得られた基板に対し、実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を、インクジェット吐出装置を使用して基板にパターン塗布した。インクジェット吐出装置としては、NanoPrinter500(マイクロジェット社製)を用いた。
その後、LEDランプを用いて波長365nmの紫外線を3000mJ/cm2照射して硬化性樹脂組成物を硬化させて樹脂保護膜を形成した。
【0084】
(2-4)無機材料膜Bによる被覆
樹脂保護膜を形成した後、基板に12mm×12mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて該樹脂保護膜の全体を覆うように無機材料膜Bを形成して有機EL表示素子を得た。
プラズマCVD法は、上記「(2-2)無機材料膜Aによる被覆」と同様の条件で行った。
形成された無機材料膜Bの厚さは、約1μmであった。
【0085】
(2-5)有機EL表示素子の発光状態
得られた有機EL表示素子を、温度85℃、湿度85%の環境下で100時間暴露した後、3Vの電圧を印加し、有機EL表示素子の発光状態(ダークスポット及び画素周辺消光の有無)を目視で観察した。ダークスポットや周辺消光が無く均一に発光した場合を「○」、ダークスポットや周辺消光はないものの輝度に僅かな低下が認められた場合を「△」、ダークスポットや周辺消光が認められた場合を「×」として有機EL表示素子の信頼性を評価した。
【0086】
【0087】
【0088】
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明によれば、インクジェット法により長期間安定して塗布することができ、信頼性に優れる有機EL表示素子を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物の硬化物、及び、該硬化物を有する有機EL表示素子を提供することができる。