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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123766
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】鍵盤ユニット
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/34 20060101AFI20240905BHJP
   G10B 3/12 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G10H1/34
G10B3/12 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031426
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】大庭 聡斗
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478BD01
5D478BD05
(57)【要約】
【課題】鍵盤ユニットの奥行き方向のサイズをコンパクト化すること。
【解決手段】鍵盤ユニット1は、第1板状部601と、前記第1板状部601の上面611において支持され、締結されたフレーム500と、前記フレーム500に接続された鍵100wと、前記鍵100wの動きに応じて回動するハンマアセンブリ200と、前記ハンマアセンブリ200の下方への回動を制限し、前記フレーム500よりも軟らかいストッパ700と、を有する。前記ストッパ700の少なくとも一部は、前記上面611よりも下方に設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1板状部と、
前記第1板状部の上面において支持され、締結されたフレームと、
前記フレームに接続された鍵と、
前記鍵の動きに応じて回動するハンマアセンブリと、
前記ハンマアセンブリの下方への回動を制限し、前記フレームよりも軟らかいストッパと、を有し、
前記ストッパの少なくとも一部は、前記上面よりも下方に設けられている、鍵盤ユニット。
【請求項2】
第2板状部をさらに有し、
前記フレームは、前記第1板状部及び前記第2板状部の上面において支持され、締結され、
前記ストッパの少なくとも一部は、前記第1板状部と前記第2板状部との間において、前記上面よりも下方に設けられている、請求項1に記載の鍵盤ユニット。
【請求項3】
第1板状部と、
前記第1板状部の上面において支持され、締結されたフレームと、
前記フレームに接続された鍵と、
前記上面の上方に設けられ、前記鍵の動きに応じて回動するハンマアセンブリと、を有し、
前記ハンマアセンブリは、前記上面よりも下方まで回動可能である、鍵盤ユニット。
【請求項4】
第2板状部をさらに有し、
前記フレームは、前記第1板状部及び前記第2板状部の上面において支持され、締結され、
前記ハンマアセンブリは、前記第1板状部と前記第2板状部との間において、前記上面よりも下方まで回動可能である、請求項3に記載の鍵盤ユニット。
【請求項5】
前記ハンマアセンブリの下方への回動を制限し、前記フレームよりも軟らかいストッパをさらに有し、
前記ストッパの少なくとも一部は、前記第1板状部と前記第2板状部との間において、前記上面よりも下方に設けられている、請求項4に記載の鍵盤ユニット。
【請求項6】
前記第1板状部及び前記第2板状部は、一体の板状部材に含まれ、
前記第1板状部及び前記第2板状部は、前記板状部材に設けられた貫通孔又は凹部によって離隔されており、
前記ストッパの少なくとも一部は、前記貫通孔又は前記凹部において、対向する側壁によって挟まれた領域に設けられている、請求項2に記載の鍵盤ユニット。
【請求項7】
前記第1板状部及び前記第2板状部は、一体の板状部材に含まれ、
前記第1板状部及び前記第2板状部は、前記板状部材に設けられた貫通孔又は凹部によって離隔されており、
前記ハンマアセンブリは、前記貫通孔又は前記凹部において、対向する側壁によって挟まれた領域まで回動可能である、請求項4又は5に記載の鍵盤ユニット。
【請求項8】
前記フレームは、前記第1板状部と前記第2板状部との間において、前記上面より下方に設けられ、前記ストッパを固定するストッパ設置部を有する、請求項2又は5に記載の鍵盤ユニット。
【請求項9】
前記第1板状部及び前記第2板状部は、一体の板状部材に含まれ、
前記第1板状部及び前記第2板状部は、前記板状部材に設けられた凹部によって離隔されており、
前記ストッパは、前記凹部の底部に固定されている、請求項2又は5に記載の鍵盤ユニット。
【請求項10】
前記第1板状部及び前記第2板状部の下面の少なくとも一方に固定され、前記第1板状部と前記第2板状部との間の空間の少なくとも一部を覆うカバー部材をさらに有する、請求項2、4及び5のいずれか一に記載の鍵盤ユニット。
【請求項11】
前記第1板状部及び前記第2板状部の下面の少なくとも一方と前記ストッパ設置部とに固定され、前記第1板状部と前記第2板状部との間の空間の少なくとも一部を覆うカバー部材をさらに有する、請求項8に記載の鍵盤ユニット。
【請求項12】
前記第1板状部及び前記第2板状部の下面に固定され、前記第1板状部と前記第2板状部との間の空間を覆い、前記ストッパ設置部から離隔したカバー部材をさらに有する、請求項8に記載の鍵盤ユニット。
【請求項13】
前記第1板状部及び前記第2板状部の下面に固定され、前記第1板状部と前記第2板状部との間の空間を覆うカバー部材をさらに有し、
前記ストッパは、前記カバー部材に固定されている、請求項2又は5に記載の鍵盤ユニット。
【請求項14】
前記第1板状部及び前記第2板状部は、一体の木質の板状部材に含まれる、請求項2、4及び5のいずれか一に記載の鍵盤ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は鍵盤ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子ピアノなど、電子楽器としての鍵盤ユニットに対して、奥行き方向のサイズのコンパクト化、及びアコースティックピアノと同様の操作感が要求される。特に、押鍵時において、アコースティックピアノと同様の負荷を演奏者の指にかけるために、上記鍵盤ユニットにおいて鍵と連動するハンマアセンブリが用いられている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-145565号公報
【特許文献2】特開2017-173700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハンマアセンブリは各鍵に対応して設けられるため、スケール方向における大きさに制限がある。したがって、上記のようにアコースティックピアノと同様の負荷を演奏者の指にかけるためには、ハンマアセンブリに設けられるウェイト部材を鍵の延長方向に長くする必要がある。その結果、鍵盤ユニットの奥行き方向のコンパクト化が難しいという問題があった。
【0005】
本発明の一実施形態の目的の一つは、鍵盤ユニットの奥行き方向のサイズをコンパクト化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による鍵盤ユニットは、第1板状部と、前記第1板状部の上面において支持され、締結されたフレームと、前記フレームに接続された鍵と、前記鍵の動きに応じて回動するハンマアセンブリと、前記ハンマアセンブリの下方への回動を制限し、前記フレームよりも軟らかいストッパと、を有する。前記ストッパの少なくとも一部は、前記上面よりも下方に設けられている。
【0007】
第2板状部をさらに有し、前記フレームは、前記第1板状部及び前記第2板状部の上面において支持され、締結され、前記ストッパの少なくとも一部は、前記第1板状部と前記第2板状部との間において、前記上面よりも下方に設けられてもよい。
【0008】
本発明の一実施形態による鍵盤ユニットは、第1板状部と、前記第1板状部の上面において支持され、締結されたフレームと、前記フレームに接続された鍵と、前記上面の上方に設けられ、前記鍵の動きに応じて回動するハンマアセンブリと、を有する。前記ハンマアセンブリは、前記上面よりも下方まで回動可能である。
【0009】
第2板状部をさらに有し、前記フレームは、前記第1板状部及び前記第2板状部の上面において支持され、締結され、前記ハンマアセンブリは、前記第1板状部と前記第2板状部との間において、前記上面よりも下方まで回動可能であってもよい。
【0010】
前記ハンマアセンブリの下方への回動を制限し、前記フレームよりも軟らかいストッパをさらに有し、前記ストッパの少なくとも一部は、前記第1板状部と前記第2板状部との間において、前記上面よりも下方に設けられていてもよい。
【0011】
前記第1板状部及び前記第2板状部は、一体の板状部材に含まれ、前記第1板状部及び前記第2板状部は、前記板状部材に設けられた貫通孔又は凹部によって離隔されており、前記ストッパの少なくとも一部は、前記貫通孔又は前記凹部において、対向する側壁によって挟まれた領域に設けられていてもよい。
【0012】
前記第1板状部及び前記第2板状部は、一体の板状部材に含まれ、前記第1板状部及び前記第2板状部は、前記板状部材に設けられた貫通孔又は凹部によって離隔されており、前記ハンマアセンブリは、前記貫通孔又は前記凹部において、対向する側壁によって挟まれた領域まで回動可能であってもよい。
【0013】
前記フレームは、前記第1板状部と前記第2板状部との間において、前記上面より下方に設けられ、前記ストッパを固定するストッパ設置部を有してもよい。
【0014】
前記第1板状部及び前記第2板状部は、一体の板状部材に含まれ、前記第1板状部及び前記第2板状部は、前記板状部材に設けられた凹部によって離隔されており、前記ストッパは、前記凹部の底部に固定されていてもよい。
【0015】
前記第1板状部及び前記第2板状部の下面の少なくとも一方に固定され、前記第1板状部と前記第2板状部との間の空間の少なくとも一部を覆うカバー部材をさらに有してもよい。
【0016】
前記第1板状部及び前記第2板状部の下面の少なくとも一方と前記ストッパ設置部とに固定され、前記第1板状部と前記第2板状部との間の空間の少なくとも一部を覆うカバー部材をさらに有してもよい。
【0017】
前記第1板状部及び前記第2板状部の下面に固定され、前記第1板状部と前記第2板状部との間の空間を覆い、前記ストッパ設置部から離隔したカバー部材をさらに有してもよい。
【0018】
前記第1板状部及び前記第2板状部の下面に固定され、前記第1板状部と前記第2板状部との間の空間を覆うカバー部材をさらに有し、前記ストッパは、前記カバー部材に固定されていてもよい。
【0019】
前記第1板状部及び前記第2板状部は、一体の木質の板状部材に含まれてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態によれば、鍵盤ユニットの奥行き方向のサイズをコンパクト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態における鍵盤ユニットの構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態における音源装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態における筐体内部の構成を側面から見た場合の説明図である。
図4】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。
図5】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。
図6】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。
図7】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。
図8】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。
図9】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。
図10】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。
図11】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。
図12】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。
図13】本発明の一実施形態における筐体内部の構成を側面から見た場合の説明図である。
図14】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。
図15】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。
図16】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。
図17】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態における鍵盤ユニットについて、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施する形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されない。本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様の機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)が付されており、それらの繰り返しの説明を省略する場合がある。図面の寸法比率(各構成間の比率、縦横高さ方向の比率等)は説明の都合上実際の比率とは異なる場合があり、構成の一部が図面から省略される場合がある。以下の説明において、各図面における上下方向に基づいて、「上」、「上方」、「上端」、「下」、「下方」、「下端」と表現する場合があるが、これらの上下方向は相対的な方向の関係を説明しているに過ぎず、上下方向が逆転してもよい。
【0023】
[1.第1実施形態]
[1-1.鍵盤ユニットの構成]
図1は、第1実施形態における鍵盤ユニットの構成を示す図である。鍵盤ユニット1は、ユーザ(演奏者)の押鍵に応じて発音する、例えば電子ピアノなどの電子鍵盤楽器である。鍵盤ユニット1は、外部の音源装置を制御するための制御データ(例えば、MIDI)を、押鍵に応じて出力する鍵盤型のコントローラであってもよい。この場合には、鍵盤ユニット1は、音源装置を有していなくてもよい。
【0024】
鍵盤ユニット1は、鍵盤アセンブリ10を備える。鍵盤アセンブリ10は、白鍵100w及び黒鍵100bを含む。白鍵100w及び黒鍵100bを区別する必要がない場合は、単に鍵100という。複数の白鍵100w及び黒鍵100bは並んで配列されている。鍵100の数は、N個であり、この例では88個である。これらの鍵100が配列された方向をスケール方向(DS方向)という。鍵盤ユニット1はDS方向に長手を有する。以下の説明において、符号(数字)の後に「w」が付された構成は、白鍵に対応する構成であることを意味している。符号(数字)の後に「b」が付された構成は、黒鍵に対応する構成であることを意味している。
【0025】
鍵盤アセンブリ10の一部は、筐体60の内部に存在している。鍵盤ユニット1を上方から見た場合において、鍵盤アセンブリ10のうち筐体60に覆われている部分を非外観部NVといい、筐体60から露出してユーザから視認できる部分を外観部PVという。すなわち、外観部PVは、鍵100の一部であって、ユーザによって演奏操作が可能な領域を示す。以下、鍵100のうち外観部PVによって露出されている部分を鍵本体部という場合がある。
【0026】
筐体60内部には、音源装置70及びスピーカ80が配置されている。音源装置70は、鍵100の押下に伴って音波形信号を生成する。スピーカ80は、音源装置70において生成された音波形信号を外部の空間に出力する。鍵盤ユニット1は、音量をコントロールするためのスライダ、音色を切り替えるためのスイッチ、様々な情報を表示するディスプレイなどを備えていてもよい。
【0027】
本明細書における説明において、上、下、左、右、前方(DF方向)及び後方(DR方向)などの方向は、演奏するときの演奏者から鍵盤ユニット1を見た場合の方向を示している。例えば、非外観部NVは、外観部PVよりも後方(DR方向)側に位置している、と表現することができる。鍵前端側(鍵前方側)、鍵後端側(鍵後方側)のように、鍵100を基準とした方向を示す場合もある。この場合、鍵前端側は鍵100に対して演奏者から見た前方(DF方向)側を示す。鍵後端側は鍵100に対して演奏者から見た後方(DR方向)側を示す。この定義によれば、黒鍵100bのうち、黒鍵100bの鍵本体部の前端から後端までが、白鍵100wよりも上方に突出した部分である、と表現することができる。
【0028】
図2は、第1実施形態における音源装置の構成を示すブロック図である。音源装置70は、信号変換部710、音源部730及び出力部750を備える。センサ300は、各鍵100に対応して設けられ、鍵の操作を検出し、検出した内容に応じた信号を出力する。この例では、センサ300は、3段階の押鍵量に応じて信号を出力する。この信号の間隔に応じて押鍵速度が検出可能である。
【0029】
信号変換部710は、センサ300(88個の鍵100に対応したセンサ300-1、300-2、・・・、300-88)の出力信号を取得し、各鍵100における操作状態に応じた操作信号を生成して出力する。この例では、操作信号はMIDI形式の信号である。押鍵操作に応じて、信号変換部710はノートオンを出力する。このとき、88個の鍵100のいずれが操作されたかを示すキーナンバ及び押鍵速度に対応するベロシティが、ノートオンに対応付けて出力される。一方、離鍵操作に応じて、信号変換部710はキーナンバとノートオフとを対応付けて出力する。信号変換部710には、ペダル等の他の操作に応じた信号が入力され、操作信号に反映されてもよい。
【0030】
音源部730は、信号変換部710から出力された操作信号に基づいて、音波形信号を生成する。出力部750は、音源部730によって生成された音波形信号を出力する。この音波形信号は、例えば、スピーカ80又は音波形信号出力端子などに出力される。
【0031】
[1-2.鍵盤アセンブリの構成]
図3は、第1実施形態における筐体内部の構成を側面から見た場合の説明図である。以下の説明では、白鍵100wに関連する構成を例示して説明するが、本実施形態に係るハンマアセンブリ200、ストッパレール400、板状部材600、及びストッパ700等の構成は黒鍵100bに関連する構成に適用することもできる。図3に示すように、筐体60の内部において、鍵盤アセンブリ10及びスピーカ80が配置されている。スピーカ80は、鍵盤アセンブリ10の奥側に配置されている。このスピーカ80は、押鍵に応じた音を筐体60の上方及び下方に向けて出力するように配置されている。下方に出力される音は、筐体60の下面側から外部に進む。一方、上方に出力される音は筐体60の内部から鍵盤アセンブリ10の内部の空間を通過して、外観部PVにおける白鍵100wの隣接間の隙間又は白鍵100wと筐体60との隙間から外部に進む。
【0032】
鍵盤アセンブリ10の構成について、図3を用いて説明する。鍵盤アセンブリ10は、白鍵100w、ハンマアセンブリ200、センサ300、ストッパレール400、フレーム500、板状部材600、ストッパ700、接続部800、及び取付部900を含む。鍵盤アセンブリ10は、ハンマアセンブリ200のウェイト部材230及びストッパ700を除き、ほとんどの構成が射出成形などによって製造された樹脂製の構造体である。
【0033】
筐体60は、板状部材600及び枠部材610を有する。板状部材600は筐体60の底部を構成する。枠部材610は、板状部材600の上部に設けられている。板状部材600の一部に貫通孔603が設けられている。板状部材600のうち貫通孔603より前方(DF方向)の部分を第1板状部601といい、貫通孔603より後方(DR方向)の部分を第2板状部602という。図3に示すように、第1板状部601と第2板状部602とは貫通孔603によって離隔されている。ただし、第1板状部601と第2板状部602とは、スケール方向の一部(図3に示す位置とは異なる位置)で繋がっている。つまり、第1板状部601と第2板状部602とは、一体の板状部材600に含まれる部分である。板状部材600は、上記のように樹脂製の構造体であってもよいが、一体の木質の板状部材であってもよい。この場合、板状部材600と枠部材610とが異なる材質であってもよい。
【0034】
フレーム500は、板状部材600の上面において支持され、締結されている。図3の例では、フレーム500の前方(DF方向)は第1板状部601の上面611において支持され、締結されており、フレーム500の後方(DR方向)は第2板状部602の上面612において支持され、締結されている。フレーム500は、板状部材600に対してネジなどの締結具によって締結されている。板状部材600の上面は平面であってもよいが、当該上面のうちフレーム500を支持し、締結する部分が他の箇所より上方に突出していてもよい。
【0035】
ストッパレール400は、フレーム500に固定されており、フレーム500の下部から下方に突出している。ストッパレール400は、貫通孔603を貫通して板状部材600の下面より下方に突出している。つまり、ストッパレール400は、第1板状部601と第2板状部602との間において、上面611、612よりも下方に設けられている。換言すると、ストッパレール400は、第1板状部601の側壁621と第2板状部602の側壁622とによって挟まれる領域に設けられている。ストッパレール400は、L字形状を有している。ストッパレール400の先端は後方(DR方向)に向かって延びている。
【0036】
ストッパレール400は、スケール方向に延びており、複数の鍵盤アセンブリ10に共通して設けられている。ストッパレール400は、鍵盤ユニット1に設けられた全ての鍵盤アセンブリ10に対して共通に設けられていてもよく、1オクターブの鍵盤アセンブリ10ごとに共通して設けられていてもよい。
【0037】
ストッパレール400の先端部は、先端に近づくほどその厚さが小さくなるテーパ形状を有している。当該テーパ形状によって、ストッパレール400の先端部には傾斜面が形成されている。その傾斜面にストッパ700が設けられている。当該傾斜面の傾斜角度は、後述するウェイト部材230がストッパ700に接触するときのウェイト部材230の角度によって決められる。
【0038】
ストッパレール400の構成は上記の構成に限定されない。例えば、ストッパレール400は、ストッパ700よりも後方(DR方向)においてフレーム500に接続されており、フレーム500から下方に延び、そこからその先端が前方(DF方向)に向かって延びたL字形状であってもよい。
【0039】
ストッパ700は、ストッパレール400、フレーム500、及び板状部材600よりも軟らかい。ストッパ700は、緩衝材で形成されている。例えば、ストッパ700として、不織布、弾性体、及びこれらの積層体を用いることができる。ストッパ700は、後述するハンマアセンブリ200(特に、ウェイト部材230)の下方への回動を制限する。ストッパ700は、第1板状部601と第2板状部602との間において、上面611、612よりも下方に設けられている。換言すると、ストッパ700は、第1板状部601の側壁621と第2板状部602の側壁622とによって挟まれる領域に設けられている。
【0040】
ストッパ700は、スケール方向に延びており、複数の鍵盤アセンブリ10に共通して設けられている。ストッパレール400は、鍵盤ユニット1に設けられた全ての鍵盤アセンブリ10に対して共通に設けられていてもよく、1オクターブの鍵盤アセンブリ10ごとに共通して設けられていてもよい。図3では、ストッパ700の全てが上面611、612よりも下方に設けられた構成を例示したが、この構成に限定されない。ストッパ700の一部が上面611、612よりも下方に設けられた構成であってもよい。
【0041】
取付部900はフレーム500に固定されている。接続部800は、取付部900に取り付けられ、白鍵100wをフレーム500に対して回動可能に接続する。白鍵100wは鍵本体部110w及び鍵支持部120wを含む。鍵本体部110wは鍵支持部120wを介して接続部800に接続されている。鍵支持部120wは板状の部材である。鍵支持部120wの一部は、他の部分に比べて板厚方向に薄く、可撓性を有している。当該可撓性によって鍵支持部120wの一部が曲がることで、白鍵100wがフレーム500に対して回動する。
【0042】
白鍵100wは、前端鍵ガイド150wを備える。前端鍵ガイド150wは、フレーム500の前端フレームガイド510を覆った状態で摺動可能に接触している。前端鍵ガイド150wは、その上部と下部のDS方向における両側で、前端フレームガイド510と接触している。一方、黒鍵100bには、前端鍵ガイド150wに相当する部材は設けられていない。
【0043】
ハンマアセンブリ200は、フレーム500に設けられた軸部に対して回動可能に取り付けられている。ハンマアセンブリ200に備えられた軸受け部材が軸部に回動可能に取り付けられている。ハンマアセンブリ200の前端部材210は、白鍵100wにおけるハンマ支持部130wの内部空間において、概ね前後方向に摺動可能にハンマ支持部130wと接触する。この摺動部分、すなわち前端部材210とハンマ支持部130wとが接触する部分は、外観部PV(鍵本体部110wの後端よりも前方)における白鍵100wの下方に位置する。
【0044】
ハンマアセンブリ200は、ハンマアセンブリ200の回動軸よりも奥側に金属製のウェイト部材230を備えている。離鍵時(押鍵していないとき)には、ウェイト部材230が下側のストッパ700に接触した状態であり、ハンマアセンブリ200の前端部材210が、白鍵100wを上方に押し挙げている。押鍵されると、ウェイト部材230が上方に移動し、上側のストッパ(図示せず)に衝突する。つまり、ハンマアセンブリ200は白鍵100wの動きに応じて回動する。このウェイト部材230によって、ハンマアセンブリ200は押鍵に対する負荷を演奏者の指に与える。上側のストッパは、ストッパ700と同様に緩衝材等(不織布、弾性体等)で形成されている。
【0045】
図3に示すように、離鍵時において、ハンマアセンブリ200は、上面611、612よりも下方に位置している。より詳細に説明すると、ハンマアセンブリ200は、上面611、612の上方に設けられており、第1板状部601と第2板状部602との間において、上面611、612よりも下方まで回動可能である。換言すると、ハンマアセンブリ200は、第1板状部601の側壁621と第2板状部602の側壁622とによって挟まれる領域まで回動可能である。さらに換言すると、ウェイト部材230とストッパ700とは、上面611、612よりも下方で接触する。
【0046】
ウェイト部材230の上方には、フレーム500にセンサ300が取り付けられている。押鍵によりウェイト部材230の上面側でセンサ300が押しつぶされると、センサ300は検出信号を出力する。センサ300は、上述したように、各鍵100に対応して設けられている。
【0047】
[1-3.鍵盤ユニットのコンパクト化に伴う課題]
図4を用いて、鍵盤ユニット1の奥行き方向のサイズをコンパクト化する際に生じる課題について説明する。図4は、本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。図4の右側に本実施形態に係るハンマアセンブリ200及び板状部材600の一部を抽出した概念図を示し、図4の左側に従来のハンマアセンブリ200Z及び板状部材600Zの一部を抽出した概念図を示す。
【0048】
図4では、簡略的に、ハンマアセンブリ200、200Z、板状部材600、600Z、ストッパレール400、400Z、及びストッパ700、700Zが示されている。ハンマアセンブリ200、200Zは、それぞれ回動中心C1、C2を中心として回動する。実線は離鍵時のハンマアセンブリ200、200Zを示し、二点鎖線は押鍵時のハンマアセンブリ200、200Zを示す。ハンマアセンブリ200、200Zが、鍵に設けられたハンマ支持部130(図3参照)から力を受ける点は、それぞれ力点P1、P2である。ハンマアセンブリ200の長手方向において、力点P1と回動中心C1との距離はD1であり、力点P2と回動中心C2との距離はD2である。D1はD2より小さい。
【0049】
本実施形態の鍵盤ユニット1における鍵の押し込み量は、従来の鍵盤ユニット1Zにおける鍵の押し込み量と同じである。本実施形態において、鍵盤ユニット1の奥行き方向のサイズを小さくしようとすると、ハンマアセンブリ200の長手方向のサイズを小さく(短く)する必要がある。ハンマアセンブリ200を短くした場合、ハンマアセンブリ200は軽くなる。したがって、押鍵に対する負荷を維持するためには、ハンマアセンブリ200のウェイト部材230を太くする、又はウェイト部材230の材質を変える必要がある。しかし、隣接するハンマアセンブリ200間、又はハンマアセンブリ200とフレーム500間で干渉が起きないようにするため、ウェイト部材230の太さには制限がある。また、ウェイト部材230の材質を、単位体積当たりの質量が大きい材質に変更するとコストが上昇してしまう。
【0050】
したがって、上記のような問題を回避するために、回動中心C1と力点P1との距離を回動中心C2と力点P2との距離より小さくする必要があった。この構成によって、ハンマアセンブリ200がハンマアセンブリ200Zより短い場合であっても、力点P1においてハンマアセンブリ200を回動させるために必要な力(押鍵に対する負荷)と、力点P2においてハンマアセンブリ200Zを回動させるために必要な力(押鍵に対する負荷)とを同じ大きさにすることができる。
【0051】
一方で、上記のように、鍵盤ユニット1における鍵の押し込み量は鍵盤ユニット1Zにおける鍵の押し込み量と同じなので、押鍵時と離鍵時におけるハンマアセンブリ200の先端S1の上下移動幅H1はハンマアセンブリ200Zの先端S2の上下移動幅H2より大きい。ハンマアセンブリ200の上方には鍵が設けられているので、ハンマアセンブリ200の回動範囲を下方に大きく拡げる必要がある。そのため、筐体60の一部である板状部材600に貫通孔603が設けられ、当該貫通孔603にストッパレール400及びストッパ700等の部材が設けられ、ハンマアセンブリ200の回動範囲が当該貫通孔603の内部に達する構成が採用されている。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る鍵盤ユニット1によると、ハンマアセンブリ200の下方への回動範囲を大きくすることができるため、回動中心C1と力点P1との距離を短くすることができる。その結果、ハンマアセンブリ200を短くすることができるため、鍵盤ユニット1の奥行き方向のサイズをコンパクト化することができる。
【0053】
[1-4.変形例]
図3及び図4では、ストッパレール400の一部が板状部材600の下面よりも下方に位置し、ストッパ700の全てが板状部材600の上面611、612よりも下方に位置し、ハンマアセンブリ200の回動範囲も板状部材600の下面よりも下方まで達している構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、図5に示すように、ストッパレール400が板状部材600の下面よりも上方に位置していてもよい。ストッパ700の一部が上面611、612より上方に位置してもよい。ハンマアセンブリ200の回動範囲が板状部材600の下面まで達していなくてもよい。
【0054】
他の変形例を図6に示す。図6に示すように、ハンマアセンブリ200の回動範囲が板状部材600の上面611、612よりも下方に達していなくてもよい。この場合、少なくともストッパレール400の一部、又はストッパ700の一部が上面611、612よりも下方に設けられていればよい。このような構成であっても、従来の構成に比べてハンマアセンブリ200の回動範囲を下方に拡げることができる。
【0055】
図6の例では、ストッパレール400が板状部材600の上面611、612と下面との間に設けられており、ストッパ700の上端部が僅かに上面611、612より上方に位置している。また、ハンマアセンブリ200は屈曲しており、ハンマアセンブリ200がストッパ700に接触する状態において、ハンマアセンブリ200の先端部は上面611、612に対して略平行である。このように、ハンマアセンブリ200の回動範囲が上面611、612よりも下方に達していない場合であっても、当該回動範囲を大きくすることができる。
【0056】
本実施形態では、ストッパレール400とフレーム500とが異なる構成であるように説明したが、これらが一体形成されていてもよい。その場合、ストッパレール400はフレーム500に含まれる部材である、ということができる。ストッパレール400を「ストッパ設置部」ということができる。この場合、当該ストッパ設置部にストッパ700が固定される、ということができる。
【0057】
図4図6の例では、板状部材600に貫通孔603が設けられた構成を例示したが、これらの構成に限定されない。例えば、図7に示すように、板状部材600に凹部604が設けられた構成が用いられてもよい。図7では、図示されていないが、ストッパレール400はフレーム500に接続されており、凹部604の底部から上方に離れた位置に設けられている。ただし、ストッパレール400が凹部604の底部に接していてもよい。その他の構成は、図6と同様なので、説明を省略する。又は、図8に示すように、ストッパ700が凹部604の底部に固定されていてもよい。この場合、凹部604の内部にストッパレール400を設ける必要がない。
【0058】
図7及び図8の場合であっても、板状部材600のうち、凹部604の前方(DF方向)側の部分を第1板状部601といい、凹部604の後方(DR方向)側の部分を第2板状部602という。この場合、第1板状部601及び第2板状部602は、板状部材600に設けられた凹部604によって離隔されている、ということができる。この場合も、第1板状部601及び第2板状部602は、一体の板状部材600に含まれる部分である。
【0059】
図7及び図8の例では、ハンマアセンブリ200が屈曲した構成を例示したが、ハンマアセンブリ200は、図5に示すように直線形状であってもよい。その場合、直線形状のハンマアセンブリ200の回動範囲に合わせて凹部604の形状を調整することができる。
【0060】
上記の変形例であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
[2.第2実施形態]
[2-1.ハンマアセンブリ及び板状部材の構成]
図9を用いて、第2実施形態に係る鍵盤ユニット1Aについて説明する。図9は、図5と同様に、本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び板状部材の構成を示す概略図である。図9に示す構成は、図5に示す構成と類似している。以下の説明において、図5に示す構成と同様の構成については説明を省略し、主に図5に示す構成と相違する点について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成について説明をする場合、図1図8を参照し、これらの図に示された符号の後にアルファベット“A”を付して説明する。
【0062】
図9に示すように、板状部材600A及びストッパレール400Aの下方にカバー部材650Aが設けられている。図9では、カバー部材650Aは、第1板状部601Aの下面及びストッパレール400A(ストッパ設置部)の下面に固定されている。カバー部材650Aは、第1板状部601Aの下面から貫通孔603Aに向かって延び、下方に屈曲し、ストッパレール400Aに向かって延びている。つまり、カバー部材650Aは、第1板状部601Aと第2板状部602Aとの間の空間のうち中央付近から前方(DF方向)にかけての領域を覆っている。図9では、カバー部材650Aは、ストッパレール400Aの下面に固定されているが、当該下面から離隔されていてもよい。図9では、カバー部材650Aが下方に屈曲しているが、屈曲せずに、第1板状部601Aの下面から貫通孔603Aに向かって直線状に延びていてもよい。
【0063】
以上のように、本実施形態に係る鍵盤ユニット1Aによると、第1実施形態と同様の効果に加えて、下方から見た場合において、ハンマアセンブリ200Aやストッパレール400A等の部材を隠すことができ、下方からゴミなどが鍵盤ユニット1Aの内部に入り込むことを抑制することができる。
【0064】
[2-2.変形例]
図9では、カバー部材650Aが第1板状部601Aの下面及びストッパレール400Aの下面に固定された構成を例示したが、この構成に限定されない。図10に示すように、カバー部材650Aが第2板状部602Aの下面及びストッパレール400A(ストッパ設置部)の下面に固定されていてもよい。つまり、カバー部材650Aは、第1板状部601Aと第2板状部602Aとの間の空間のうち中央付近から後方(DR方向)にかけての領域を覆っている。この場合であっても、カバー部材650Aは、ストッパレール400Aの下面から離隔されていてもよい。また、カバー部材650Aが屈曲せずに、第2板状部602Aの下面から貫通孔603Aに向かって直線状に延びていてもよい。
【0065】
他の変形例を図11に示す。図11に示すように、カバー部材650Aは、第1板状部601Aの下面と第2板状部602Aの両方の下面との両方に固定されていてもよい。つまり、カバー部材650Aは、第1板状部601Aと第2板状部602Aとの間の空間の全ての領域を覆っている。カバー部材650Aは、第1板状部601A及び第2板状部602Aの各々から貫通孔603Aに向かって延び、下方に屈曲した、凹形状を有している。図11では、ストッパレール400Aはカバー部材650Aの下面から離隔された構成を例示したが、ストッパレール400Aがカバー部材650Aの凹形状の底部に接していてもよく、そこでカバー部材650Aに固定されていてもよい。
【0066】
他の変形例を図12に示す。図12に示すように、ストッパ700がカバー部材650Aに固定されていてもよい。図12では、ストッパ700Aは、カバー部材650Aの傾斜面651Aに固定されている。このカバー部材650Aは、図11のカバー部材650Aと同様に、第1板状部601A及び第2板状部602Aの両方の下面に固定されており、第1板状部601Aと第2板状部602Aとの間の空間の全ての領域を覆っている。この場合、カバー部材650Aの凹部にストッパレール400Aを設ける必要がなく、ハンマアセンブリ200Aがストッパ700Aに接触する際のハンマアセンブリ200Aの角度に合わせて、ストッパ700Aが固定される凹部の傾斜面の角度を調整することができる。例えば、側面視において、ハンマアセンブリ200Aがストッパ700Aに接触した状態で、ハンマアセンブリ200の長手方向と傾斜面651Aの角度は略平行であってもよい。
【0067】
上記のように、カバー部材650Aは、第1板状部601Aと第2板状部602Aとの間の空間の少なくとも一部を覆っていればよい。例えば、カバー部材650Aは、第1板状部601Aと第2板状部602Aとの間の空間のうち、少なくともストッパ700Aが設けられる位置を含むように覆っていればよい。
【0068】
[3.第3実施形態]
[3-1.ハンマアセンブリ及び板状部材の構成]
図13を用いて、第3実施形態に係る鍵盤ユニット1Bについて説明する。図13は、図3と同様に、本発明の一実施形態における筐体内部の構成を側面から見た場合の説明図である。図13に示す構成は、図3に示す構成と部分的に形状が異なる。しかし、図13において、図3と同一の符号が付された部材は、図3で説明した部材と同じ名称かつ同じ機能を備えている。したがって、図3と同一の符号が付された部材の説明を省略し、図3とは異なる部分について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成について説明をする場合、図1図8を参照し、これらの図に示された符号の後にアルファベット“B”を付して説明する。
【0069】
図13に示すように、ハンマアセンブリ200Bのウェイト部材231Bは、先端部の形状が複数回折り曲げられて略矩形の矩形部232Bを有している。当該矩形部232Bは、ウェイト部材231Bの直線状の部分から下方に突出するように設けられている。板状部材600Bの貫通孔603Bは、当該矩形部232Bに対応する位置に設けられている。矩形部232Bの一部は、当該貫通孔603Bを貫通して板状部材600Bの下面よりも下方に位置している。
【0070】
本実施形態の場合、フレーム500Bは、第1板状部601Bにのみ支持され、締結されている。また、ストッパレール400B及びストッパ700Bは、板状部材600Bの上面よりも上方に設けられている。このような場合、ウェイト部材231Bの矩形部232Bが下方に突出するように設けられていることで、奥行き方向のサイズのコンパクト化だけでなく、押鍵時にハンマアセンブリ200Bが上方に回動して上側ストッパ430Bに接触した状態(図13において二点鎖線で示されたハンマアセンブリ200B)であっても、その上方の空間を他の用途に有効利用することができる。
【0071】
[3-2.変形例]
図14は、図13に示す構成のうち、ハンマアセンブリ200B、ストッパレール400B、板状部材600B、及びストッパ700Bを抜粋した図である。図14に示すように、第1板状部601Bと第2板状部602Bとの間の空間の下方を覆うカバー部材650Bが設けられていてもよい。カバー部材650Bは、第1板状部601Bの下面及び第2板状部602Bの下面に固定されている。カバー部材650Bは、矩形部232Bと干渉しないように、下方に屈曲して凹形状を構成している。
【0072】
他の変形例を図15に示す。図15に示すように、カバー部材650Bが第1板状部601Bではなく、フレーム500Bから下方に延びた脚部520Bの下面に固定されていてもよい。脚部520Bはストッパレール400Bから下方に延びていてもよい。脚部520BはL字型形状を有しており、フレーム500Bから下方に延び、その下端部から後方(DR方向)に延びている。ただし、脚部520Bの形状はこの形状に限定されず、その他の形状であってもよい。図15とは異なり、脚部520Bが矩形部232Bよりも後方(DR方向)に設けられており、カバー部材650Bが第1板状部601Bの下面と、矩形部232Bよりも後方(DR方向)に設けられた脚部520Bの下面とに固定されていてもよい。
【0073】
他の変形例を図16に示す。図16に示すように、第2板状部602Bが設けられていなくてもよい。この場合、カバー部材650Bは、脚部520Bの下面と枠部材610Bの後方(DR方向)側の側面とに固定されている。この構成において、板状部材600Bには貫通孔も凹部も設けられていない。板状部材600Bの後端605Bと枠部材610Bとの間には空間が形成されている。この空間に脚部520B、カバー部材650B、及び矩形部232Bが設けられている。
【0074】
図16の例では、カバー部材650Bは、脚部520Bの底面から後方(DR方向)の枠部材610Bに向かって延び、上方に屈曲して、枠部材610Bの側面に接しているが、図17のように、枠部材610Bが下方まで延びており、カバー部材650Bが脚部520Bの底面から後方(DR方向)に直線状に延びて、枠部材610Bの側面に接していてもよい。
【0075】
上述した実施形態では、ハンマアセンブリが適用された鍵盤装置の例として電子ピアノを示した。また、当該ハンマアセンブリが鍵に対して設けられている構成を例示した。しかし、上述した実施形態のハンマアセンブリは、電子ピアノ以外の装置又は電子ピアノの鍵以外の部材に適用されてもよい。
【0076】
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1:鍵盤ユニット、 10:鍵盤アセンブリ、 60:筐体、 70:音源装置、 80:スピーカ、 100:鍵、 100b:黒鍵、 100w:白鍵、 110w:鍵本体部、 120w:鍵支持部、 130:ハンマ支持部、 150w:前端鍵ガイド、 200:ハンマアセンブリ、 210:前端部材、 230:ウェイト部材、 232B:矩形部、 300:センサ、 400:ストッパレール、 430B:上側ストッパ、 500:フレーム、 510:前端フレームガイド、 520B:脚部、 600:板状部材、 601:第1板状部、 602:第2板状部、 603:貫通孔、 604:凹部、 605B:後端、 610:枠部材、 611、612:上面、 621、622:側壁、 650A:カバー部材、 651A:傾斜面、 700:ストッパ、 710:信号変換部、 730:音源部、 750:出力部、 800:接続部、 900:取付部、 C1、C2:回動中心、 H1、H2:上下移動幅、 P1、P2:力点、 PV:外観部、 NV:非外観部、 S1、S2:先端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17