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特開2024-123775心臓血管モデル、手技シミュレータ及び手技シミュレーション方法
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  • 特開-心臓血管モデル、手技シミュレータ及び手技シミュレーション方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123775
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】心臓血管モデル、手技シミュレータ及び手技シミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/30 20060101AFI20240905BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20240905BHJP
   G09B 19/24 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G09B23/30
G09B9/00 Z
G09B19/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031445
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】服部 亜悠美
(72)【発明者】
【氏名】小崎 浩司
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CA03
(57)【要約】
【課題】胸部大動脈部に留置された医療デバイスを内腔から容易に除去できる心臓血管モデル、手技シミュレータ及び手技シミュレーション方法を提供する。
【解決手段】少なくとも心臓から胸部大動脈に跨る部分を模した心臓血管モデルであって、前記胸部大動脈の少なくとも一部を模した胸部大動脈部と、前記心臓の少なくとも一部を模した心臓部と、少なくとも前記胸部大動脈部及び前記心臓部において血液の流れを模して液体を流すことができる内腔と、前記胸部大動脈部よりも下流側に位置し、前記胸部大動脈部に留置される医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる少なくとも1つの挿入口とを有し、前記心臓部は、前記内腔の横断面積が前記胸部大動脈部よりも大きい拡大部を有し、前記拡大部は、互いに分離可能且つ連結可能な上流側部分及び下流側部分を有する、心臓血管モデル。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも心臓から胸部大動脈に跨る部分を模した心臓血管モデルであって、
前記胸部大動脈の少なくとも一部を模した胸部大動脈部と、
前記心臓の少なくとも一部を模した心臓部と、
少なくとも前記胸部大動脈部及び前記心臓部において血液の流れを模して液体を流すことができる内腔と、
前記胸部大動脈部よりも下流側に位置し、前記胸部大動脈部に留置される医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる少なくとも1つの挿入口とを有し、
前記心臓部は、前記内腔の横断面積が前記胸部大動脈部よりも大きい拡大部を有し、
前記拡大部は、互いに分離可能且つ連結可能な上流側部分及び下流側部分を有する、心臓血管モデル。
【請求項2】
前記胸部大動脈から分枝する所定の血管を模した所定の分枝血管部と、
前記所定の分枝血管部の前記胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも前記所定の分枝血管部に留置される所定の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる所定の他の挿入口とを有する、請求項1に記載の心臓血管モデル。
【請求項3】
前記内腔は、前記所定の分枝血管部において、前記血液の流れを模して前記液体を流すことができる、請求項2に記載の心臓血管モデル。
【請求項4】
腕頭動脈を模した第1分枝血管部としての腕頭動脈部と、
前記腕頭動脈部の前記胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも前記腕頭動脈部に留置される第1の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる少なくとも1つの第1の他の挿入口と、
左総頸動脈を模した第2分枝血管部としての左総頸動脈部と、
前記左総頸動脈部の前記胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも前記左総頸動脈部に留置される第2の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる第2の他の挿入口とを有する、請求項1に記載の心臓血管モデル。
【請求項5】
前記内腔は、前記腕頭動脈部及び前記左総頸動脈部において、前記血液の流れを模して前記液体を流すことができる、請求項4に記載の心臓血管モデル。
【請求項6】
右総頸動脈を模した右総頸動脈部と、
右鎖骨下動脈を模した右鎖骨下動脈部と、
2つの前記第1の他の挿入口とを有し、
一方の前記第1の他の挿入口は、前記右総頸動脈部の前記腕頭動脈部側の端部よりも下流側に位置し、前記第1の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができ、
他方の前記第1の他の挿入口は、前記右鎖骨下動脈部の前記腕頭動脈部側の端部よりも下流側に位置し、前記第1の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる、請求項4に記載の心臓血管モデル。
【請求項7】
前記内腔は、前記右総頸動脈部及び前記右鎖骨下動脈部において、前記血液の流れを模して前記液体を流すことができる、請求項6に記載の心臓血管モデル。
【請求項8】
前記心臓部は、左心室の少なくとも一部を模した左心室部を有し、
前記拡大部は、前記左心室部に設けられる、請求項1に記載の心臓血管モデル。
【請求項9】
前記内腔の横断面積は、前記胸部大動脈部の前記拡大部側の端部から前記拡大部の前記下流側部分に跨る部分において、下流側から上流側に向けて徐々に増加する、請求項1に記載の心臓血管モデル。
【請求項10】
前記拡大部の前記上流側部分及び前記下流側部分はそれぞれ漏斗状をなす、請求項1に記載の心臓血管モデル。
【請求項11】
前記拡大部の前記下流側部分は、内周壁部及び外周壁部を有する弾性部材で構成され、
前記拡大部の前記上流側部分は、前記下流側部分に連結された状態において、前記内周壁部及び前記外周壁部に挟まれることで保持される周壁部を有する、請求項1に記載の心臓血管モデル。
【請求項12】
前記外周壁部は弾性を有し、前記上流側部分及び前記下流側部分を互いに分離するために、弾性変形によって捲れるように操作されることができる、請求項11に記載の心臓血管モデル。
【請求項13】
請求項1~12の何れか1項に記載の心臓血管モデルと、
前記心臓血管モデルの前記内腔に前記液体を流す送液部とを有する手技シミュレータ。
【請求項14】
前記送液部は、少なくとも前記胸部大動脈部及び前記心臓部を浸すように前記液体を貯留する容器を有する、請求項13に記載の手技シミュレータ。
【請求項15】
少なくとも心臓から胸部大動脈に跨る部分を模した心臓血管モデルを用いる手技シミュレーション方法であって、
前記心臓血管モデルは、
前記胸部大動脈の少なくとも一部を模した胸部大動脈部と、
前記心臓の少なくとも一部を模した心臓部と、
少なくとも前記胸部大動脈部及び前記心臓部において血液の流れを模して液体を流すことができる内腔と、
前記胸部大動脈部よりも下流側に位置し、前記胸部大動脈部に留置される医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる少なくとも1つの挿入口とを有し、
前記心臓部は、前記内腔の横断面積が前記胸部大動脈部よりも大きい拡大部を有し、
前記拡大部は、互いに分離可能且つ連結可能な上流側部分及び下流側部分を有し、
前記手技シミュレーション方法は、
所定の前記挿入口から前記医療デバイスを挿入し、前記胸部大動脈部に留置する胸部大動脈部留置ステップと、
前記拡大部の前記上流側部分及び前記下流側部分を互いに分離する分離ステップと、
前記医療デバイスを前記下流側部分から取り出す除去ステップとを有する、手技シミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、心臓血管モデル、手技シミュレータ及び手技シミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
手技シミュレーション方法(手技の訓練)に用いることができる血管モデルとして、胸部大動脈の少なくとも一部を模した胸部大動脈部と、少なくとも胸部大動脈部において血液の流れを模して液体を流すことができる内腔と、胸部大動脈部よりも下流側に位置し、胸部大動脈部に留置される医療デバイスを内腔に向けて通すことができる少なくとも1つの挿入口とを有する血管モデルが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/124108号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような血管モデルは、胸部大動脈部に留置したステントグラフトなどの医療デバイスを、次の訓練のために内腔から容易に除去できることが好ましい。
【0005】
そこで本開示は、胸部大動脈部に留置された医療デバイスを内腔から容易に除去できる心臓血管モデル、手技シミュレータ及び手技シミュレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
少なくとも心臓から胸部大動脈に跨る部分を模した心臓血管モデルであって、
前記胸部大動脈の少なくとも一部を模した胸部大動脈部と、
前記心臓の少なくとも一部を模した心臓部と、
少なくとも前記胸部大動脈部及び前記心臓部において血液の流れを模して液体を流すことができる内腔と、
前記胸部大動脈部よりも下流側に位置し、前記胸部大動脈部に留置される医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる少なくとも1つの挿入口とを有し、
前記心臓部は、前記内腔の横断面積が前記胸部大動脈部よりも大きい拡大部を有し、
前記拡大部は、互いに分離可能且つ連結可能な上流側部分及び下流側部分を有する、心臓血管モデル。
【0008】
[2]
前記胸部大動脈から分枝する所定の血管を模した所定の分枝血管部と、
前記所定の分枝血管部の前記胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも前記所定の分枝血管部に留置される所定の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる所定の他の挿入口とを有する、[1]に記載の心臓血管モデル。
【0009】
[3]
前記内腔は、前記所定の分枝血管部において、前記血液の流れを模して前記液体を流すことができる、[2]に記載の心臓血管モデル。
【0010】
[4]
腕頭動脈を模した第1分枝血管部としての腕頭動脈部と、
前記腕頭動脈部の前記胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも前記腕頭動脈部に留置される第1の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる少なくとも1つの第1の他の挿入口と、
左総頸動脈を模した第2分枝血管部としての左総頸動脈部と、
前記左総頸動脈部の前記胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも前記左総頸動脈部に留置される第2の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる第2の他の挿入口とを有する、[1]~[3]の何れか1項に記載の心臓血管モデル。
【0011】
[5]
前記内腔は、前記腕頭動脈部及び前記左総頸動脈部において、前記血液の流れを模して前記液体を流すことができる、[4]に記載の心臓血管モデル。
【0012】
[6]
右総頸動脈を模した右総頸動脈部と、
右鎖骨下動脈を模した右鎖骨下動脈部と、
2つの前記第1の他の挿入口とを有し、
一方の前記第1の他の挿入口は、前記右総頸動脈部の前記腕頭動脈部側の端部よりも下流側に位置し、前記第1の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができ、
他方の前記第1の他の挿入口は、前記右鎖骨下動脈部の前記腕頭動脈部側の端部よりも下流側に位置し、前記第1の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる、[4]又は[5]に記載の心臓血管モデル。
【0013】
[7]
前記内腔は、前記右総頸動脈部及び前記右鎖骨下動脈部において、前記血液の流れを模して前記液体を流すことができる、[6]に記載の心臓血管モデル。
【0014】
[8]
前記心臓部は、左心室の少なくとも一部を模した左心室部を有し、
前記拡大部は、前記左心室部に設けられる、[1]~[7]の何れか1項に記載の心臓血管モデル。
【0015】
[9]
前記内腔の横断面積は、前記胸部大動脈部の前記拡大部側の端部から前記拡大部の前記下流側部分に跨る部分において、下流側から上流側に向けて徐々に増加する、[1]~[8]の何れか1項に記載の心臓血管モデル。
【0016】
[10]
前記拡大部の前記上流側部分及び前記下流側部分はそれぞれ漏斗状をなす、[1]~[9]の何れか1項に記載の心臓血管モデル。
【0017】
[11]
前記拡大部の前記下流側部分は、内周壁部及び外周壁部を有する弾性部材で構成され、
前記拡大部の前記上流側部分は、前記下流側部分に連結された状態において、前記内周壁部及び前記外周壁部に挟まれることで保持される周壁部を有する、[1]~[10]の何れか1項に記載の心臓血管モデル。
【0018】
[12]
前記外周壁部は弾性を有し、前記上流側部分及び前記下流側部分を互いに分離するために、弾性変形によって捲れるように操作されることができる、[11]に記載の心臓血管モデル。
【0019】
[13]
前記胸部大動脈部は、上行大動脈を模した上行大動脈部と、弓部大動脈を模した弓部大動脈部と、下行大動脈を模した下行大動脈部とを有する、[1]~[12]の何れか1項に記載の心臓血管モデル。
【0020】
[14]
[1]~[13]の何れか1項に記載の心臓血管モデルと、
前記心臓血管モデルの前記内腔に前記液体を流す送液部とを有する手技シミュレータ。
【0021】
[15]
前記送液部は、少なくとも前記胸部大動脈部及び前記心臓部を浸すように前記液体を貯留する容器を有する、[14]に記載の手技シミュレータ。
【0022】
[16]
前記送液部は、前記液体を送るポンプ装置を有する、[14]又は[15]に記載の手技シミュレータ。
【0023】
[17]
前記ポンプ装置、前記心臓血管モデル及び前記容器は、前記液体が循環するように接続される、[14]~[16]の何れか1項に記載の手技シミュレータ。
【0024】
[18]
少なくとも心臓から胸部大動脈に跨る部分を模した心臓血管モデルを用いる手技シミュレーション方法であって、
前記心臓血管モデルは、
前記胸部大動脈の少なくとも一部を模した胸部大動脈部と、
前記心臓の少なくとも一部を模した心臓部と、
少なくとも前記胸部大動脈部及び前記心臓部において血液の流れを模して液体を流すことができる内腔と、
前記胸部大動脈部よりも下流側に位置し、前記胸部大動脈部に留置される医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる少なくとも1つの挿入口とを有し、
前記心臓部は、前記内腔の横断面積が前記胸部大動脈部よりも大きい拡大部を有し、
前記拡大部は、互いに分離可能且つ連結可能な上流側部分及び下流側部分を有し、
前記手技シミュレーション方法は、
所定の前記挿入口から前記医療デバイスを挿入し、前記胸部大動脈部に留置する胸部大動脈部留置ステップと、
前記拡大部の前記上流側部分及び前記下流側部分を互いに分離する分離ステップと、
前記医療デバイスを前記下流側部分から取り出す除去ステップとを有する、手技シミュレーション方法。
【0025】
[19]
前記心臓血管モデルは、
前記胸部大動脈から分枝する所定の血管を模した所定の分枝血管部と、
前記所定の分枝血管部の前記胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも前記所定の分枝血管部に留置される所定の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる所定の他の挿入口とを有し、
前記手技シミュレーション方法は、前記所定の他の挿入口から前記所定の他の医療デバイスを挿入し、少なくとも前記所定の分枝血管部に留置する分枝血管部留置ステップを有し、
前記除去ステップにおいて、前記医療デバイス及び前記所定の他の医療デバイスが、前記下流側部分から取り出される、[18]に記載の手技シミュレーション方法。
【0026】
[20]
前記心臓血管モデルは、
腕頭動脈を模した第1分枝血管部としての腕頭動脈部と、
前記腕頭動脈部の前記胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも前記腕頭動脈部に留置される第1の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる少なくとも1つの第1の他の挿入口と、
左総頸動脈を模した第2分枝血管部としての左総頸動脈部と、
前記左総頸動脈部の前記胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも前記左総頸動脈部に留置される第2の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができる第2の他の挿入口とを有し、
前記手技シミュレーション方法は、
所定の前記第1の他の挿入口から前記第1の他の医療デバイスを挿入し、少なくとも前記腕頭動脈部に留置する腕頭動脈部留置ステップと、
前記第2の他の挿入口から前記第2の他の医療デバイスを挿入し、少なくとも前記左総頸動脈部に留置する左総頸動脈部留置ステップとを有し、
前記除去ステップにおいて、前記医療デバイス、前記第1の他の医療デバイス及び前記第2の他の医療デバイスが、前記下流側部分から取り出される、[18]又は[19]に記載の手技シミュレーション方法。
【0027】
[21]
前記心臓血管モデルは、
右総頸動脈を模した右総頸動脈部と、
右鎖骨下動脈を模した右鎖骨下動脈部と、
2つの前記第1の他の挿入口とを有し、
一方の前記第1の他の挿入口は、前記右総頸動脈部の前記腕頭動脈部側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも前記腕頭動脈部に留置される前記第1の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができ、
他方の前記第1の他の挿入口は、前記右鎖骨下動脈部の前記腕頭動脈部側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも前記腕頭動脈部に留置される前記第1の他の医療デバイスを前記内腔に向けて通すことができ、
前記腕頭動脈部留置ステップにおいて、前記第1の他の医療デバイスは、何れかの前記第1の他の挿入口から挿入されて少なくとも前記腕頭動脈部に留置される、[20]に記載の手技シミュレーション方法。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、胸部大動脈部に留置された医療デバイスを内腔から容易に除去できる心臓血管モデル、手技シミュレータ及び手技シミュレーション方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態における手技シミュレータを示す外観図である。
図2図1に示す心臓血管モデルの一部を示す上面図である。
図3図2に示す心臓部の拡大部の上流側部分及び下流側部分を互いに分離する時の様子を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に例示説明する。
【0031】
図1図3に示すように、本開示の一実施形態において心臓血管モデル1は、少なくとも心臓から胸部大動脈に跨る部分を模した心臓血管モデル1であって、胸部大動脈の少なくとも一部を模した胸部大動脈部2と、心臓の少なくとも一部を模した心臓部3と、少なくとも胸部大動脈部2及び心臓部3において血液の流れを模して液体を流すことができる内腔4と、胸部大動脈部2よりも下流側に位置し、胸部大動脈部2に留置される医療デバイスD1を内腔4に向けて通すことができる少なくとも1つの挿入口P1とを有し、心臓部3は、内腔4の横断面積が胸部大動脈部2よりも大きい拡大部3aを有し、拡大部3aは、互いに分離可能且つ連結可能な上流側部分3a1及び下流側部分3a2を有する。
【0032】
上記構成によれば、少なくとも胸部大動脈部2及び心臓部3において血液の流れを模すように心臓血管モデル1の内腔4に液体を流した状態で、ガイドワイヤなどを用いてステントグラフトなどの医療デバイスD1を所定の挿入口P1から挿入し、胸部大動脈部2に留置する手技の訓練を可能にできる。また、心臓部3の拡大部3aの上流側部分3a1及び下流側部分3a2を互いに分離することにより、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1を拡大部3aの下流側部分3a2から取り出すことができるので、医療デバイスD1を容易に除去できる。したがって、上記構成によれば、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1を内腔4から容易に除去できる心臓血管モデル1を実現できる。
【0033】
胸部大動脈から分枝する所定の血管を模した所定の分枝血管部5と、所定の分枝血管部5の胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも所定の分枝血管部5に留置される所定の他の医療デバイスD2を内腔4に向けて通すことができる所定の他の挿入口P2とを有する。上記構成によれば、ガイドワイヤなどを用いてステントグラフトなどの所定の他の医療デバイスD2を所定の他の挿入口P2から挿入し、少なくとも所定の分枝血管部5に留置し、且つ、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1に接続する手技の訓練(つまり、分枝型ステントグラフトなどの留置の訓練)を可能にできる。また、心臓部3の拡大部3aの上流側部分3a1及び下流側部分3a2を互いに分離することにより、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1を、少なくとも所定の分枝血管部5に留置された他の医療デバイスD2とともに、拡大部3aの下流側部分3a2から取り出すことができる。
【0034】
内腔4は、所定の分枝血管部5において、血液の流れを模して液体を流すことができる。上記構成によれば、手技の訓練の質を高めることができる。
【0035】
腕頭動脈を模した第1分枝血管部5としての腕頭動脈部6と、腕頭動脈部6の胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも腕頭動脈部6に留置される第1の他の医療デバイスD21を内腔4に向けて通すことができる少なくとも1つの第1の他の挿入口P21と、左総頸動脈を模した第2分枝血管部5としての左総頸動脈部7と、左総頸動脈部7の胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも左総頸動脈部7に留置される第2の他の医療デバイスD22を内腔4に向けて通すことができる第2の他の挿入口P22とを有する。上記構成によれば、ガイドワイヤなどを用いてステントグラフトなどの第1の他の医療デバイスD21を所定の第1の他の挿入口P21から挿入し、少なくとも腕頭動脈部6に留置し、且つ、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1に接続する手技の訓練を可能にできる。また、ガイドワイヤなどを用いてステントグラフトなどの第2の他の医療デバイスD22を第2の他の挿入口P22から挿入し、少なくとも左総頸動脈部7に留置し、且つ、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1に接続する手技の訓練を可能にできる。また、心臓部3の拡大部3aの上流側部分3a1及び下流側部分3a2を互いに分離することにより、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1を、少なくとも腕頭動脈部6に留置された第1の他の医療デバイスD21と、少なくとも左総頸動脈部7に留置された第2の他の医療デバイスD22とともに、拡大部3aの下流側部分3a2から取り出すことができる。
【0036】
内腔4は、腕頭動脈部6及び左総頸動脈部7において、血液の流れを模して液体を流すことができる。上記構成によれば、手技の訓練の質を高めることができる。
【0037】
右総頸動脈を模した右総頸動脈部8と、右鎖骨下動脈を模した右鎖骨下動脈部9と、2つの第1の他の挿入口P21とを有し、一方の第1の他の挿入口P21は、右総頸動脈部8の腕頭動脈部6側の端部よりも下流側に位置し、第1の他の医療デバイスD21を内腔4に向けて通すことができ、他方の第1の他の挿入口P21は、右鎖骨下動脈部9の腕頭動脈部6側の端部よりも下流側に位置し、第1の他の医療デバイスD21を内腔4に向けて通すことができる。上記構成によれば、ガイドワイヤなどを用いてステントグラフトなどの第1の他の医療デバイスD21を、何れかの第1の他の挿入口P21から挿入し(したがって、右総頸動脈部8と右鎖骨下動脈部9との何れかを経由し)、少なくとも腕頭動脈部6に留置し、且つ、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1に接続する手技の訓練を可能にできる。なお、第1の他の挿入口P21、第2の他の挿入口P22のそれぞれの近傍において、右総頸動脈部8、右鎖骨下動脈部9又は左総頸動脈部7に接続する分岐流路25を設けてもよい。分岐流路25は、その末端に三方活栓を備えてもよく、訓練時には当該三方活栓を用いてプライミング操作を行ってもよい。
【0038】
内腔4は、右総頸動脈部8及び右鎖骨下動脈部9において、血液の流れを模して液体を流すことができる。上記構成によれば、手技の訓練の質を高めることができる。
【0039】
心臓部3は、左心室の少なくとも一部を模した左心室部を有し、拡大部3aは、左心室部に設けられる。すなわち、心臓部3は、ヒトの心臓の全てではなく、ヒトの心臓の一部を模擬している。上記構成によれば、心臓部3の構造を簡単化できる。また、左心室部を設ければ、造影剤を用いた訓練においても、臨床に近い像を得ることができる。
【0040】
内腔4の横断面積は、胸部大動脈部2の拡大部3a側の端部から拡大部3aの下流側部分3a2に跨る部分において、下流側から上流側に向けて徐々に増加する。上記構成によれば、医療デバイスD1を胸部大動脈部2から拡大部3aの下流側部分3a2へ容易に移動できるので、医療デバイスD1の除去の容易性を向上できる。
【0041】
拡大部3aの上流側部分3a1及び下流側部分3a2はそれぞれ漏斗状をなす。上記構成によれば、訓練後に医療デバイスD1を拡大部3aから特に容易に除去できる。
【0042】
拡大部3aの下流側部分3a2は、内周壁部10及び外周壁部11を有する弾性部材で構成され、拡大部3aの上流側部分3a1は、下流側部分3a2に連結された状態において、内周壁部10及び外周壁部11に挟まれることで保持される周壁部12を有する。上記構成によれば、心臓部3の拡大部3aの上流側部分3a1及び下流側部分3a2を互いに分離可能且つ連結可能にするための構造を簡単化できる。
【0043】
外周壁部11は弾性を有し、上流側部分3a1及び下流側部分3a2を互いに分離するために、弾性変形によって捲れるように操作されることができる。上記構成によれば、外周壁部11を捲る操作により、周壁部12が内周壁部10及び外周壁部11に挟まれ、保持された状態を容易に解消できる。また、外周壁部11が捲れた状態を解消させる操作により、周壁部12が内周壁部10及び外周壁部11に挟まれ、保持された状態に容易にすることができる。したがって、上記構成によれば、心臓部3の拡大部3aの上流側部分3a1及び下流側部分3a2を互いに着脱する操作の容易性を向上できる。
【0044】
拡大部3aの上流側部分3a1は、下流側部分3a2に連結された状態において、周壁部12が内周壁部10及び外周壁部11に挟まれることで、摩擦力によって保持される。上記構成によれば、心臓部3の拡大部3aの上流側部分3a1及び下流側部分3a2を互いに分離可能且つ連結可能にするための構造を簡単化できる。
【0045】
拡大部3aの下流側部分3a2はエラストマー又はゴム、例えばシリコーンゴムなど、によって形成され、拡大部3aの上流側部分3a1は下流側部分3a2よりも硬質の材料、例えばアクリル系樹脂など、によって形成される。上記構成によれば、医療デバイスD1を除去する際の操作性を向上でき、しかも、心臓部3の形状の安定性を向上できる。
【0046】
胸部大動脈部2は、上行大動脈を模した上行大動脈部2aと、弓部大動脈を模した弓部大動脈部2bと、下行大動脈を模した下行大動脈部2cとを有する。上記構成によれば、手技の訓練の質を高めることができる。
【0047】
心臓血管モデル1は、左鎖骨下動脈を模した左鎖骨下動脈部13を有する。上記構成によれば、手技の訓練の質を高めることができる。
【0048】
内腔4は、左鎖骨下動脈部13において、血液の流れを模して液体を流すことができる。上記構成によれば、手技の訓練の質を高めることができる。
【0049】
本実施形態において手技シミュレータは、心臓血管モデル1と、心臓血管モデル1の内腔4に液体を流す送液部14とを有する。上記構成によれば、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1を内腔4から容易に除去できる手技シミュレータを実現できる。
【0050】
送液部14は、少なくとも胸部大動脈部2及び心臓部3を浸すように液体を貯留する容器14aを有する。上記構成によれば、胸部大動脈部2への医療デバイスD1の留置をX線透視画像を見ながら行う訓練を容易に行えるようにできる。
【0051】
送液部14は、液体を送るポンプ装置14bを有する。上記構成によれば、液体を送るための構造を簡単化できる。
【0052】
ポンプ装置14b、心臓血管モデル1及び容器14aは、液体が循環するように接続される。上記構成によれば、送液部14の構造を簡単化できる。
【0053】
心臓血管モデル1は、心臓部3の拡大部3aの上流側部分3a1よりも上流側に位置してポンプ装置14bの排出口15側に接続され且つ容器14aを貫通する第1貫通部17と、胸部大動脈部2よりも下流側に位置して容器14aを貫通する第2貫通部18と、右総頸動脈部8に位置して容器14aを貫通する第3貫通部19と、左総頸動脈部7に位置して容器14aを貫通する第4貫通部20と、右鎖骨下動脈部9に位置して容器14aを貫通する第5貫通部21と、左鎖骨下動脈部13に位置して容器14aを貫通する第6貫通部22と、第2貫通部18よりも下流側に位置して容器14aを貫通する少なくとも1つの第7貫通部23と、ポンプ装置14bの吸引口16側に接続され且つ容器14aを貫通する第8貫通部24とを有する。上記構成によれば、液体が循環するようにポンプ装置14b、心臓血管モデル1及び容器14aを接続する構造を簡単化できる。第1貫通部17は、心臓部3の拡大部3aの上流側部分3a1に位置して容器14aを貫通する構成としてもよい。第2貫通部18は、下行大動脈部2cに位置して容器14aを貫通する構成としてもよい。第3貫通部19は、右総頸動脈部8よりも下流側に位置して容器14aを貫通する構成としてもよい。第4貫通部20は、左総頸動脈部7よりも下流側に位置して容器14aを貫通する構成としてもよい。第5貫通部21は、右鎖骨下動脈部9よりも下流側に位置して容器14aを貫通する構成としてもよい。第6貫通部22は、左鎖骨下動脈部13よりも下流側に位置して容器14aを貫通する構成としてもよい。
【0054】
右総頸動脈部8は、第3貫通部19において液体を容器14a内に流出させる少なくとも1つの第1流出口(不図示)を有する。上記構成によれば、内腔4は、右総頸動脈部8の第1流出口から、血液の流れを模して液体を流すことができる。また、造影剤を使用した訓練の際には、第1流出口を通じて、造影剤が容器14a内に排出される。このため、造影剤が回路内から速やかに排出されて容器14a内で希釈されるため、繰り返しの訓練を効率的に行うことができる。
【0055】
左総頸動脈部7は、第4貫通部20において液体を容器14a内に流出させる少なくとも1つ(図示の例では2つ)の第2流出口26を有する。上記構成によれば、内腔4は、左総頸動脈部7の第2流出口26から、血液の流れを模して液体を流すことができる。また、造影剤を使用した訓練の際には、第2流出口26を通じて、造影剤が容器14a内に排出される。このため、造影剤が回路内から速やかに排出されて容器14a内で希釈されるため、繰り返しの訓練を効率的に行うことができる。
【0056】
本実施形態において手技シミュレーション方法は、少なくとも心臓から胸部大動脈に跨る部分を模した心臓血管モデル1を用いる手技シミュレーション方法であって、心臓血管モデル1は、胸部大動脈の少なくとも一部を模した胸部大動脈部2と、心臓の少なくとも一部を模した心臓部3と、少なくとも胸部大動脈部2及び心臓部3において血液の流れを模して液体を流すことができる内腔4と、胸部大動脈部2よりも下流側に位置し、胸部大動脈部2に留置される医療デバイスD1を内腔4に向けて通すことができる少なくとも1つの挿入口P1とを有し、心臓部3は、内腔4の横断面積が胸部大動脈部2よりも大きい拡大部3aを有し、拡大部3aは、互いに分離可能且つ連結可能な上流側部分3a1及び下流側部分3a2を有し、手技シミュレーション方法は、所定の挿入口P1から医療デバイスD1を挿入し、胸部大動脈部2に留置する胸部大動脈部2留置ステップと、拡大部3aの上流側部分3a1及び下流側部分3a2を互いに分離する分離ステップと、医療デバイスD1を下流側部分3a2から取り出す除去ステップとを有する。上記構成によれば、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1を内腔4から容易に除去できる手技シミュレーション方法を実現できる。
【0057】
心臓血管モデル1は、胸部大動脈から分枝する所定の血管を模した所定の分枝血管部5と、所定の分枝血管部5の胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも所定の分枝血管部5に留置される所定の他の医療デバイスD2を内腔4に向けて通すことができる所定の他の挿入口P2とを有し、手技シミュレーション方法は、所定の他の挿入口P2から所定の他の医療デバイスD2を挿入し、少なくとも所定の分枝血管部5に留置する分枝血管部5留置ステップを有し、除去ステップにおいて、医療デバイスD1及び所定の他の医療デバイスD2が、下流側部分3a2から取り出される。上記構成によれば、ガイドワイヤなどを用いてステントグラフトなどの所定の他の医療デバイスD2を所定の他の挿入口P2から挿入し、少なくとも所定の分枝血管部5に留置し、且つ、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1に接続する手技の訓練を可能にできる。また上記構成によれば、互いに接続された医療デバイスD1及び所定の他の医療デバイスD2の除去の容易性を高めることができる。
【0058】
心臓血管モデル1は、腕頭動脈を模した第1分枝血管部5としての腕頭動脈部6と、腕頭動脈部6の胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも腕頭動脈部6に留置される第1の他の医療デバイスD21を内腔4に向けて通すことができる少なくとも1つの第1の他の挿入口P21と、左総頸動脈を模した第2分枝血管部5としての左総頸動脈部7と、左総頸動脈部7の胸部大動脈側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも左総頸動脈部7に留置される第2の他の医療デバイスD22を内腔4に向けて通すことができる第2の他の挿入口P22とを有し、手技シミュレーション方法は、所定の第1の他の挿入口P21から第1の他の医療デバイスD21を挿入し、少なくとも腕頭動脈部6に留置する腕頭動脈部6留置ステップと、第2の他の挿入口P22から第2の他の医療デバイスD22を挿入し、少なくとも左総頸動脈部7に留置する左総頸動脈部7留置ステップとを有し、除去ステップにおいて、医療デバイスD1、第1の他の医療デバイスD21及び第2の他の医療デバイスD22が、下流側部分3a2から取り出される。上記構成によれば、ガイドワイヤなどを用いてステントグラフトなどの第1の他の医療デバイスD21を所定の第1の他の挿入口P21から挿入し、少なくとも腕頭動脈部6に留置し、且つ、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1に接続する手技の訓練を可能にできる。また上記構成によれば、ガイドワイヤなどを用いてステントグラフトなどの第2の他の医療デバイスD22を第2の他の挿入口P22から挿入し、少なくとも左総頸動脈部7に留置し、且つ、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1に接続する手技の訓練を可能にできる。また上記構成によれば、互いに接続された医療デバイスD1、第1の他の医療デバイスD21及び第2の他の医療デバイスD22の除去の容易性を高めることができる。
【0059】
心臓血管モデル1は、右総頸動脈を模した右総頸動脈部8と、右鎖骨下動脈を模した右鎖骨下動脈部9と、2つの第1の他の挿入口P21とを有し、一方の第1の他の挿入口P21は、右総頸動脈部8の腕頭動脈部6側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも腕頭動脈部6に留置される第1の他の医療デバイスD21を内腔4に向けて通すことができ、他方の第1の他の挿入口P21は、右鎖骨下動脈部9の腕頭動脈部6側の端部よりも下流側に位置し、少なくとも腕頭動脈部6に留置される第1の他の医療デバイスD21を内腔4に向けて通すことができ、腕頭動脈部6留置ステップにおいて、第1の他の医療デバイスD21は、何れかの第1の他の挿入口P21から挿入されて少なくとも腕頭動脈部6に留置される。上記構成によれば、ガイドワイヤなどを用いてステントグラフトなどの第1の他の医療デバイスD21を、何れかの第1の他の挿入口P21から挿入し(したがって、右総頸動脈部8と右鎖骨下動脈部9との何れかを経由し)、少なくとも腕頭動脈部6に留置し、且つ、胸部大動脈部2に留置された医療デバイスD1に接続する手技の訓練を可能にできる。
【0060】
本開示は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 心臓血管モデル
2 胸部大動脈部
2a 上行大動脈部
2b 弓部大動脈部
2c 下行大動脈部
3 心臓部
3a 拡大部
3a1 上流側部分
3a2 下流側部分
4 内腔
5 分枝血管部
6 腕頭動脈部
7 左総頸動脈部
8 右総頸動脈部
9 右鎖骨下動脈部
10 内周壁部
11 外周壁部
12 周壁部
13 左鎖骨下動脈部
14 送液部
14a 容器
14b ポンプ装置
15 排出口
16 吸引口
17 第1貫通部
18 第2貫通部
19 第3貫通部
20 第4貫通部
21 第5貫通部
22 第6貫通部
23 第7貫通部
24 第8貫通部
25 分岐流路
26 第2流出口
D1 医療デバイス
D2 他の医療デバイス
D21 第1の他の医療デバイス
D22 第2の他の医療デバイス
P1 挿入口
P2 他の挿入口
P21 第1の他の挿入口
P22 第2の他の挿入口
図1
図2
図3