(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123797
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】高周波モジュール
(51)【国際特許分類】
H01P 5/02 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H01P5/02 603Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031484
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神馬 萌子
(72)【発明者】
【氏名】神園 隆司
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(57)【要約】
【課題】高周波伝送特性を改善できる高周波モジュールを提供する。
【解決手段】コネクタ50とコネクタ60が取り付けられた金属製のパッケージ40と、石英からなる基板本体にグランデッドコプレーナ型の伝送路14が形成され、コネクタ50の中心導体が信号線パターンの端部に電気的に接続され、コネクタの外部導体が裏面グランドパターンに電気的に接続されている第1伝送路基板10と、石英からなる基板本体にグランデッドコプレーナ型の伝送路24が形成され、コネクタ60の中心導体が信号線パターンの端部に電気的に接続され、コネクタの外部導体が裏面グランドパターンに電気的に接続されている第2伝送路基板20と、入力側が伝送路14に接続され、出力側が伝送路24に接続された集積回路31を有する集積回路素子30と、を備え、伝送路14の線路長と伝送路24の線路長が互いに異なる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタ(50)及び第2コネクタ(60)が取り付けられた金属製のパッケージ(40)と、
前記パッケージ内に収容され、誘電体からなる第1伝送路基板本体(11)の表面に第1信号線パターン(12)と該第1信号線パターンの両側に間隔を開けて配置された第1グランドパターン(13,13)とからなる第1伝送路(14)が形成され、前記第1伝送路基板本体の裏面に第1裏面グランドパターン(15)が形成され、前記第1コネクタの中心導体(51)が前記第1信号線パターンの端部に電気的に接続され、前記第1コネクタの外部導体(52)が前記第1裏面グランドパターンに電気的に接続されている第1伝送路基板(10)と、
前記パッケージ内に収容され、誘電体からなる第2伝送路基板本体(21)の表面に第2信号線パターン(22)と該第2信号線パターンの両側に間隔を開けて配置された第2グランドパターン(23,23)とからなる第2伝送路(24)が形成され、前記第2伝送路基板本体の裏面に第2裏面グランドパターン(25)が形成され、前記第2コネクタの中心導体(61)が前記第2信号線パターンの端部に電気的に接続され、前記第2コネクタの外部導体(62)が前記第2裏面グランドパターンに電気的に接続されている第2伝送路基板(20)と、
入力側が前記第1伝送路に接続され、出力側が前記第2伝送路に接続された集積回路(31)を有する集積回路素子(30)と、を備え、
前記第1伝送路の線路長と前記第2伝送路の線路長は、前記第1伝送路の線路長と前記第2伝送路の線路長が互いに異なるように設定されていることを特徴とする高周波モジュール。
【請求項2】
前記第1伝送路の線路長と前記第2伝送路の線路長は、前記集積回路単体の利得がピークとなる周波数と前記高周波モジュール全体の伝送特性の落ち込みであるディップが発生する周波数とが等しくなるように設定されている、請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項3】
前記第1グランドパターンにおいて前記第1信号線パターンに対向する側の縁部に沿って、前記第1グランドパターンと前記第1裏面グランドパターンとを導通させる第1ビアホール(16)が形成され、前記第1グランドパターンの前記縁部と前記第1ビアホールとの距離がデザインルールの下限値に等しく、
前記第2グランドパターンにおいて前記第2信号線パターンに対向する側の縁部に沿って、前記第2グランドパターンと前記第2裏面グランドパターンとを導通させる第2ビアホール(26)が形成され、前記第2グランドパターンの前記縁部と前記第2ビアホールとの距離がデザインルールの下限値に等しい、請求項2に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
前記第1伝送路基板本体において前記第1コネクタが取り付けられた側の前記パッケージの壁部(43)に対向する側の縁部に、前記第1伝送路基板本体の側面がメタライズされて前記第1グランドパターンと前記第1裏面グランドパターンとを導通させる第1キャスタレーション(17)が形成され、
前記第2伝送路基板本体において前記第2コネクタが取り付けられた側の前記パッケージの前記壁部に対向する側の縁部に、前記第2伝送路基板本体の側面がメタライズされて前記第2グランドパターンと前記第2裏面グランドパターンとを導通させる第2キャスタレーション(27)が形成されている、請求項3に記載の高周波モジュール。
【請求項5】
前記第1コネクタの前記外部導体又は前記外部導体に接続された前記パッケージと前記第1グランドパターンとを接続する金属製の第1接続導体(18)が設けられ、
前記第2コネクタの前記外部導体又は前記外部導体に接続された前記パッケージと前記第2グランドパターンとを接続する金属製の第2接続導体(28)が設けられている、請求項4に記載の高周波モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば100Gbaudを超える高周波のPAM4(Pulse Amplitude Modulation 4)信号を増幅可能な進行波アンプがモジュール化されて構成された高周波モジュールが求められている。一般に、このような高周波モジュールは、例えば、金属製のパッケージに入力伝送路と集積回路と出力伝送路とが順に接続された状態で収容され、パッケージに取り付けられた入力コネクタに入力された高周波信号が、入力伝送路を通って集積回路で増幅され、増幅された信号が出力伝送路を通ってパッケージに取り付けられた出力コネクタから取り出されるようになっている。高周波信号を増幅等する高周波モジュールでは、インピーダンス不整合などによる伝送特性の劣化を抑制するために、種々の対策が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、信号線のパターン幅や基板厚を変えて特性インピーダンスを変化させ、インピーダンス不整合による伝送特性の劣化を防止する伝送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような従来の技術では、信号線のパターン幅や基板厚を変えて特性インピーダンスを変化させていたので、特性インピーダンスの調整が複雑になっていた。また、高周波モジュールの反射特性や透過特性などの伝送特性に見られる落ち込み(以下、ディップともいう)を取り除くことも難しかった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、モジュール全体での高周波伝送特性を改善できる高周波モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の高周波モジュールは、第1コネクタ(50)及び第2コネクタ(60)が取り付けられた金属製のパッケージ(40)と、前記パッケージ内に収容され、誘電体からなる第1伝送路基板本体(11)の表面に第1信号線パターン(12)と該第1信号線パターンの両側に間隔を開けて配置された第1グランドパターン(13,13)とからなる第1伝送路(14)が形成され、前記第1伝送路基板本体の裏面に第1裏面グランドパターン(15)が形成され、前記第1コネクタの中心導体(51)が前記第1信号線パターンの端部に電気的に接続され、前記第1コネクタの外部導体(52)が前記第1裏面グランドパターンに電気的に接続されている第1伝送路基板(10)と、前記パッケージ内に収容され、誘電体からなる第2伝送路基板本体(21)の表面に第2信号線パターン(22)と該第2信号線パターンの両側に間隔を開けて配置された第2グランドパターン(23,23)とからなる第2伝送路(24)が形成され、前記第2伝送路基板本体の裏面に第2裏面グランドパターン(25)が形成され、前記第2コネクタの中心導体(61)が前記第2信号線パターンの端部に電気的に接続され、前記第2コネクタの外部導体(62)が前記第2裏面グランドパターンに電気的に接続されている第2伝送路基板(20)と、入力側が前記第1伝送路に接続され、出力側が前記第2伝送路に接続された集積回路(31)を有する集積回路素子(30)と、を備え、前記第1伝送路の線路長と前記第2伝送路の線路長は、前記第1伝送路の線路長と前記第2伝送路の線路長が互いに異なるように設定されていることを特徴とする。
【0008】
この構成により、本発明の高周波モジュールは、第1伝送路の線路長と第2伝送路の線路長とが互いに異なるように設定することにより、第1伝送路及び第2伝送路の線路長に依存して発生するディップが強調される現象を抑制することができる。このようにして、伝送特性のディップの強調を抑制することでモジュール全体での高周波伝送特性を改善することができる。
【0009】
また、本発明の高周波モジュールにおいて、前記第1伝送路の線路長と前記第2伝送路の線路長は、前記集積回路単体の利得がピークとなる周波数と前記高周波モジュール全体の伝送特性の落ち込みであるディップが発生する周波数とが等しくなるように設定されている構成であってもよい。
【0010】
この構成により、本発明の高周波モジュールは、集積回路単体の利得がピークとなる周波数と高周波モジュール全体の伝送特性のディップが発生する周波数とが等しくなるように、第1伝送路及び第2伝送路の線路長を設定することにより、高周波モジュール全体での伝送特性のディップを相殺することができる。このようにして、高周波モジュール全体での高周波伝送特性を改善することができる。
【0011】
また、本発明の高周波モジュールにおいて、前記第1グランドパターンにおいて前記第1信号線パターンに対向する側の縁部に沿って、前記第1グランドパターンと前記第1裏面グランドパターンとを導通させる第1ビアホール(16)が形成され、前記第1グランドパターンの前記縁部と前記第1ビアホールとの距離がデザインルールの下限値に等しく、
前記第2グランドパターンにおいて前記第2信号線パターンに対向する側の縁部に沿って、前記第2グランドパターンと前記第2裏面グランドパターンとを導通させる第2ビアホール(26)が形成され、前記第2グランドパターンの前記縁部と前記第2ビアホールとの距離がデザインルールの下限値に等しい構成であってもよい。
【0012】
パッケージと伝送路の従来の接続構造では、信号線パターン近傍のグランドパターンにおいてビアホールが存在しない領域を信号が伝搬することにより、伝送特性のディップが生じる原因になっていた。これに対し、上記構成により、信号が伝搬する上記領域においてグランドパターンと裏面グランドパターンとを直接接続して電気的に一体化することにより、高周波伝送特性を改善することができる。
【0013】
また、本発明の高周波モジュールにおいて、前記第1伝送路基板本体において前記第1コネクタが取り付けられた側の前記パッケージの壁部(43)に対向する側の縁部に、前記第1伝送路基板本体の側面がメタライズされて前記第1グランドパターンと前記第1裏面グランドパターンとを導通させる第1キャスタレーション(17)が形成され、前記第2伝送路基板本体において前記第2コネクタが取り付けられた側の前記パッケージの前記壁部に対向する側の縁部に、前記第2伝送路基板本体の側面がメタライズされて前記第2グランドパターンと前記第2裏面グランドパターンとを導通させる第2キャスタレーション(27)が形成されている構成であってもよい。
【0014】
パッケージと伝送路の従来の接続構造では、基板本体においてコネクタが取り付けられた側のパッケージの壁部に対向する側の縁部近傍の領域を信号が伝搬することにより、伝送特性のディップが生じる原因になっていた。これに対し、上記構成とすることにより、キャスタレーションによりグランドパターンと裏面グランドパターンとを直接接続して電気的に一体化することにより、高周波伝送特性を改善することができる。
【0015】
また、本発明の高周波モジュールにおいて、前記第1コネクタの前記外部導体又は前記外部導体に接続された前記パッケージと前記第1グランドパターンとを接続する金属製の第1接続導体(18)が設けられ、前記第2コネクタの前記外部導体又は前記外部導体に接続された前記パッケージと前記第2グランドパターンとを接続する金属製の第2接続導体(28)が設けられている構成であってもよい。
【0016】
パッケージと伝送路の従来の接続構造では、基板本体の表面のグランドパターンにおいて、ビアホールを配置することができない基板端からビアホールまでの間の領域は、金属製のパッケージと表面のグランドパターンが直接的に電気的に接続されていない。このように基板本体のコネクタ側の基板端からビアホール間で表裏のグランドパターンが接続されていない領域を信号が伝搬することにより、高周波伝送特性が劣化していた。これに対し、コネクタの外部導体又は外部導体に接続されたパッケージと表面のグランドパターンとを接続導体で直接的に接続することにより、金属製のパッケージと表面のグランドパターンとを電気的に一体化して、高周波伝送特性を改善することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、モジュール全体での高周波伝送特性を改善できる高周波モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る高周波モジュールの概略平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る高周波モジュールに用いられる接続構造の一例を示す部分平面図である。
【
図3】(a)は伝送路基板のシミュレーションモデルを示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性のシミュレーション結果を示す図であり、破線はグランドパターン端-ビアホール間の距離d1がデザインルール下限値の3倍強に設定された構成例1、実線は距離d1がデザインルール下限値に設定された構成例2を示す。
【
図4】(a)は伝送路基板のシミュレーションモデルを示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性のシミュレーション結果を示す図であり、実線はキャスタレーションのある構成例3、破線はキャスタレーションのない構成例1を示す。
【
図5】(a)は伝送路基板の淵に沿ってビアホールが形成されたシミュレーションモデル(構成例4)を示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図6】(a)は本発明の一実施形態に係る高周波モジュールに用いられる接続構造において使用する伝送路基板のシミュレーションモデルを示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る高周波モジュールの構成を示す平面図である。
【
図8】集積回路単体の透過特性の実測結果を示す図である。
【
図9】(a)は高周波モジュールのシミュレーションモデル(参考例1)を示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性の実測結果を示す図である。
【
図10】(a)は参考例2の高周波モジュールの構成を示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性の実測結果を示す図である。
【
図11】基板長を変えて伝送特性のシミュレーションを行なった結果を示し、(a)は高周波モジュールに用いられる伝送路基板のシミュレーションモデルを示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図12】(a)は高周波モジュールのシミュレーションモデル(参考例3)を示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る高周波モジュールの伝送特性のシミュレーション結果を示し、(a)は反射特性、(b)は透過特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図14】(a)は高周波モジュールへの入力信号のアイダイヤグラムを示し、(b)は本発明の実施形態に係る高周波モジュールからの出力信号のアイダイヤグラムを示し、(c)は参考例1に係る高周波モジュールからの出力信号のアイダイヤグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る高周波モジュールの構成を示す図である。高周波モジュール1は、例えば100Gbaudを超える高周波のPAM4信号を増幅可能な高周波モジュールである。
図1に示すように、高周波モジュール1は、入力側の伝送路14が設けられた第1伝送路基板10と、出力側の伝送路24が設けられた第2伝送路基板20と、アンプ回路などの集積回路31を有する集積回路素子30と、これらの構成要素を収容する金属製のパッケージ40とを備えている。パッケージ40には、入力用のコネクタ50と出力用のコネクタ60が取り付けられている。
【0021】
(第1伝送路基板)
図2及び
図7に示すように、入力側の第1伝送路基板10は、例えば石英などの誘電体からなる基板本体11の表面11aに、金属箔からなる線状の信号線パターン12と、信号線パターン12の両側に間隔を開けて配置されたグランド(GND)パターン13,13とが形成されている。以下では、信号線パターン12とGNDパターン13,13との組み合わせを伝送路14という。裏面11bあるいは中間層には、GNDパターン15(裏面GNDパターンともいう)が形成されている。すなわち、第1伝送路基板10には、グランデッドコプレーナー線路型の伝送路14が形成されている。
【0022】
第1伝送路基板10には、基板本体11の表面11aから裏面11bに貫通した複数のビアホール16が形成され、表面11aのGNDパターン13と裏面GNDパターン15とを導通させている。ビアホール16は、GNDパターン13と裏面GNDパターン15との導通を図る上では多い方が好ましいが、多すぎると第1伝送路基板10の強度が弱くなるので、必要な強度は確保しつつ十分に導通をとるよう個数及び配置を適宜設定可能である。本実施形態の信号線パターン12の中途には、直流成分をカットするシリコンキャパシタ19が設けられているが、必要に応じて省いてもよい。
【0023】
(第2伝送路基板)
図7に示すように、出力側の第2伝送路基板20は、入力側の第1伝送路基板10と同様の構成を有している。出力側の第2伝送路基板20は、例えば石英などの誘電体からなる基板本体21の表面21aに、金属箔からなる線状の信号線パターン22と、信号線パターン22の両側に間隔を開けて配置されたGNDパターン23,23とが形成されている。信号線パターン22とGNDパターン23,23との組み合わせを伝送路24ともいう。裏面21bには、GNDパターン25(裏面GNDパターンともいう)が形成されている。すなわち、第2伝送路基板20には、グランデッドコプレーナー線路型の伝送路24が形成されている。
【0024】
第2伝送路基板20には、基板本体21の表面21aから裏面21bに貫通した複数のビアホール26が形成され、表面21aのGNDパターン23と裏面GNDパターン25とを導通させている。信号線パターン22の中途には、伝送特性を改善するためにシリコンキャパシタ29が設けられている。
【0025】
(集積回路素子)
図7に示すように、第1伝送路基板10の伝送路14に入力側が接続され、第2伝送路基板20の伝送路24に出力側が接続された集積回路31を有している。具体的には、集積回路素子30は、半導体基板(又はチップ)上に例えば増幅回路などの集積回路(IC)31が形成され、入力端子32aと、入力側GND端子32bと、出力端子33aと、出力側GND端子33bとを備えている。入力端子32aは、集積回路素子30内で集積回路31の入力側に接続されるとともに、第1伝送路基板10の信号線パターン12の一端に例えば1又は複数本のワイヤーで接続されている。入力側GND端子32bは、集積回路素子30内で集積回路31のGNDに接続されるとともに、第1伝送路基板10のGNDパターン13に例えば1又は複数本のワイヤーで接続されている。出力端子33aは、集積回路素子30内で集積回路31の出力側に接続されるとともに、第2伝送路基板20の信号線パターン22の一端に例えば1又は複数本のワイヤーで接続されている。出力側GND端子33bは、集積回路素子30内で集積回路31のGNDに接続されるとともに、第2伝送路基板20のGNDパターン23に例えば1又は複数本のワイヤーで接続されている。
【0026】
(パッケージ)
パッケージ40は、金属製であり、具体的には金属製の容器41と金属製の蓋とを有し、容器41に蓋が取り付けられて金属壁で囲まれた内部空間を形成し、内部空間に第1伝送路基板10、集積回路素子30、及び第2伝送路基板20が収容されるようになっている。容器41の対向する壁部43a,43bには、それぞれ貫通孔が形成され、貫通孔に例えばWコネクタなどの同軸型のコネクタ50及びコネクタ60がそれぞれ取り付けられている。入力用のコネクタ50は、中心導体51と、絶縁材を介して中心導体51に対し同軸状に形成された外部導体52とを備えている。出力用のコネクタ60は、中心導体61と、絶縁材を介して中心導体61に対し同軸状に形成された外部導体62とを備えている。また、金属製の蓋の裏側には電波吸収体が取り付けられており、形成された内部空間での空間共振が抑制されるようになっている。
【0027】
(接続構造)
次に、金属製のパッケージ40と第1伝送路基板10の伝送路14との接続構造100について説明する。
【0028】
図2に示すように、コネクタ50の中心導体51は、第1伝送路基板10の信号線パターン12の端部にハンダ付けなどにより電気的に接続されている。コネクタ50の外部導体52は、パッケージ40の壁部43に電気的に接続されるとともに、壁部43又は適当な導電部材などを介して、あるいは直接的に第1伝送路基板10の裏面GNDパターン15に電気的に接続されている。
【0029】
<GNDパターンにおけるビアホールの配置>
第1伝送路基板10には、GNDパターン13において信号線パターン12に対向する側の縁部に沿って、GNDパターン13と裏面GNDパターン15とを導通させるビアホール16が1列で形成され、ビアホール16は、GNDパターン13の該縁部(すなわちGNDパターン13を画する境界又は端)とビアホール16との距離が、製造上の制限であるデザインルールの下限値に等しいように配置される。ここで、GNDパターン13の縁部とビアホール16との距離とは、GNDパターン13の信号線パターン12に対向する側の縁部(境界)からビアホール16の信号線パターン12側の端までの最短距離を指すものとする。また、ビアホール16は、隣接するビアホール16,16の間隔がデザインルールの下限値に等しいように配置される。ここで、隣接するビアホール16,16の間隔とは、ビアホール16の相手側寄りの端同士の間隔を指すものとする。具体的には、本実施形態では、例えば、GNDパターン13の縁部からビアホール16との距離を0.05mm、隣接ビアホール16,16の間隔を0.2mmとした。
【0030】
また、GNDパターン13においてビアホール16が多いほど、金属製のパッケージ40に接続された裏面GNDパターン15と表面11aのGNDパターン13とが電気的に一体化するが、第1伝送路基板10が割れてしまうリスクが高くなるので、ビアホール16の個数は必要最小限にするのが好ましい。そのため、GNDパターン13の淵に沿うようにビアホール16を配置してもよい。本実施形態では、GNDパターン13において信号線パターン12に対向する側の縁部に沿って配置された1列のビアホール16に加えて、GNDパターン13において信号線パターン12に対向する側とは反対側の縁部に沿って、GNDパターン13と裏面GNDパターン15とを導通させるビアホール16が1列で形成されている。本実施形態では、ビアホール16は1つのGNDパターン13においてこれら2列のみに限定している。また、第1伝送路基板10が割れるリスクを下げるために、ビアホール16の径は、デザインルールの下限値にしている。
【0031】
<キャスタレーション>
デザインルールにより、ビアホール16は第1伝送路基板10の基板端に配置することができない。そのため、第1伝送路基板10においてパッケージ40の壁部43a側の基板端からビアホール16間は、金属製のパッケージ40と第1伝送路基板10の表面11aのGNDパターン13とが直接的には接続されていない領域となる。そこで、この領域の第1伝送路基板10の側面11cをメタライズするキャスタレーション17を設けることにより、第1伝送路基板10の基板端まで十分に金属製のパッケージ40とGNDパターン13とが電気的に接続されるようになる。
【0032】
具体的には、第1伝送路基板10の基板本体11においてコネクタ50が取り付けられた側のパッケージ40の壁部43aに対向する側の縁部に、基板本体11の側面11cがメタライズされてGNDパターン13と裏面GNDパターン15とを導通させるキャスタレーション17が形成されている。キャスタレーション17の平面視の形状は、半円、半楕円、矩形など任意の形状でよく、個数も任意に設定できる。本実施形態では、平面視で矩形の第1伝送路基板10においてパッケージ40の壁部43aに対向する側の一辺に、平面視で角が丸くなった長方形の形状のキャスタレーション17が、2個設けられ、該一辺の反対側の辺にも同様の形状のキャスタレーション17が2個設けられている。
【0033】
また、第1伝送路基板10のGNDパターン13において、ビアホール16を配置することができない基板端からビアホール16間は、金属製のパッケージ40と表面11aのGNDパターン13とが直接的に繋がっていない。そこで、コネクタ50の外部導体52又は外部導体52に接続されたパッケージ40と表面11aのGNDパターン13とを接続する金属(例えば金)製の接続導体18が設けられている。
【0034】
<シミュレーション結果>
図3(a)は、本実施形態に係る接続構造100に用いられる第1伝送路基板10Aのシミュレーションモデルを示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性のシミュレーション結果を示す。
図3(b)及び(c)において、破線は、GNDパターン13の縁部とビアホール16との距離d1が168μmに設定されたケース(構成例1)を示し、実線は、GNDパターン13の縁部とビアホール16との距離d1がデザインルールの下限値の50μmに設定されたケース(構成例2)を示す。
図3(b)及び(c)に示すように、構成例1では、120GHz付近に反射特性のディップが生じること、構成例2でGNDパターン13の縁部とビアホール16との距離d1を小さくすると伝送性能が改善することが確認できた。
【0035】
図4(a)は、本実施形態に係る接続構造100に用いられる第1伝送路基板10Bのシミュレーションモデルを示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性のシミュレーション結果を示す図である。
図4(b)及び(c)において、実線は、キャスタレーション17が形成されているケース(構成例3)を示し、破線は、比較のため、キャスタレーションが形成されていないケース(上記構成例1)を示す。
図4(b)及び(c)に示すように、構成例3において、キャスタレーション17が形成されることによって伝送特性の良好な帯域が伸びることが確認できた。
【0036】
図5(a)は、本実施形態に係る接続構造100に用いられる第1伝送路基板10Cのシミュレーションモデルを示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性のシミュレーション結果を示す図である。このケース(構成例4)は、GNDパターン13の縁部とビアホール16との距離d1がデザインルールの下限値の50μmに設定され、かつ、キャスタレーション17が8つ形成されている。さらに、基板割れを防止するため、GNDパターン13の淵に沿ってビアホール16を配置し、
図4の構成例3よりビアホール16の個数を少なくしている。
図5(b)及び(c)に示すように、構成例4では、ビアホール16の個数をこの程度に抑えても、GNDパターン13の縁部とビアホール16との距離d1をデザインルールの下限値の50μmとし、かつ、キャスタレーション17を形成することによって、伝送特性を改善できることが確認できた。
【0037】
図6(a)は、本実施形態に係る接続構造100に用いられる第1伝送路基板10のシミュレーションモデルを示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性のシミュレーション結果を示す図である。このケース(実施例)は、GNDパターン13において信号線パターン12に対向する側の縁部とその反対側の縁部に沿ってだけ、ビアホール16を形成して、
図5の構成例4よりもビアホール16の個数を減らし、個数を最小限に抑えている。この実施例は、GNDパターン13の縁部とビアホール16との距離d1がデザインルールの下限値の50μmに設定され、かつ、キャスタレーション17が4つ形成されている。
図6(b)及び(c)に示すように、この実施例においてビアホール16の個数を最小限に抑えても、GNDパターン13の縁部とビアホール16との距離d1をデザインルールの下限値の50μmとし、かつ、キャスタレーション17を形成することによって、伝送特性を改善できることが確認できた。
【0038】
第1伝送路基板10とパッケージ40との接続構造について説明したが、第2伝送路基板20とパッケージ40との接続構造についても同様である。
【0039】
(高周波モジュールの伝送特性の改善)
次に、高周波モジュール1の伝送特性の改善について説明する。
【0040】
図7に示すように、高周波モジュール1は、入力側の同軸型のコネクタ50及び出力側の同軸型のコネクタ60が取り付けられた金属製のパッケージ40と、第1伝送路基板10と、第2伝送路基板20と、集積回路素子30とを備える。第1伝送路基板10は、石英などの誘電体からなる基板本体11の表面11aに信号線パターン12と信号線パターン12の両側に間隔を開けて配置された一対のGNDパターン13,13とからなる伝送路14が形成されている。基板本体11の裏面11bには、裏面GNDパターン15が形成されている。コネクタ50の中心導体51は、信号線パターン12の端部に電気的に接続され、コネクタ50の外部導体52は、裏面グランドパターン15に電気的に接続されている。
【0041】
第2伝送路基板20は、石英などの誘電体からなる基板本体21の表面21aに信号線パターン22と信号線パターン22の両側に間隔を開けて配置された一対のGNDパターン23,23とからなる伝送路24が形成されている。基板本体21の裏面21bには、裏面GNDパターン25が形成されている。コネクタ60の中心導体61は、信号線パターン22の端部に電気的に接続され、コネクタ60の外部導体62は、裏面グランドパターン25に電気的に接続されている。集積回路素子30には、集積回路31が形成されており、集積回路31は、信号線パターン12の他端部に接続された入力端子32aと、第2信号線パターン22の他端部に接続された出力端子33aとを有している。
【0042】
コネクタ50と伝送路14との接続部分、及び伝送路14と集積回路31との接続部分でインピーダンスの不整合があると、伝送路14において信号の多重反射が起こり、伝送特性のディップが出現する。このような多重反射によりディップが生じる周波数は、伝送路14の長さに依存して決まる。伝送路24についても同様であり、インピーダンス不整合による多重反射等に起因した伝送特性のディップが生じる周波数は、伝送路24の長さに依存して決まる。そのため、入力側の伝送路14と出力側の伝送路24の長さを同じにすると、伝送路14,24の長さに依存した伝送特性上のディップが強調されてしまうことが分かった。
【0043】
そこで、本実施形態に係る高周波モジュール1では、伝送特性のディップの強調を避けるために、入力側の伝送路14の線路長と出力側の伝送路24の線路長は、伝送路14の線路長と伝送路24の線路長が互いに異なるように設定されている。あるいは、第1伝送路基板10の伝送路長手方向の基板長と、第2伝送路基板20の伝送路長手方向の基板長とが互いに異なるようにしている。
【0044】
高周波モジュール1全体においても、誘電体の基板本体11,21及び集積回路素子30の基体の誘電率や、伝送路14,24及び集積回路31の長さ(誘電体内波長)に依存して、モジュール全体の伝送特性上の落ち込み(ディップ)が発生する(
図9(c)のB部参照)。具体的には、インピーダンス不整合による多重反射等に起因した伝送特性のディップが生じる周波数は、例えば伝送路14と集積回路31と伝送路24との長さの総和に依存して決まる。
【0045】
一方、集積回路31には、単体で利得のピークが存在する。
図8は、集積回路素子30単体で透過特性を実測した結果を示す。
図8から分かるように、80GHz付近で利得のピークが存在している(
図8のA部参照)。
【0046】
そこで、本実施形態に係る高周波モジュール1では、入力側の伝送路14の線路長と出力側の伝送路24の線路長は、集積回路31単体の利得がピークとなる周波数と高周波モジュール1全体の伝送特性の落ち込みであるディップが発生する周波数とが等しくなるように設定され、伝送特性のディップを相殺するようにしている。
【0047】
また、第1伝送路基板10において、GNDパターン13上に形成されたビアホール16は、隣接するビアホール16,16同士の間隔、及び基板本体11の基板端とビアホール16との距離が小さくなるように配置するほど、金属製のパッケージ40と第1伝送路基板10の表面11aのGNDパターン13とが電気的に一体化し、伝送特性が良くなる。しかし、隣接するビアホール16,16同士の間隔、及び基板端とビアホール16との距離の最小値はデザインルールで制限されている。また、ビアホール16の個数が多くなると、誘電体からなる基板本体11の強度が下がる。これらを考慮して、要求される伝送特性を確保しつつ必要な基板強度を維持するように、ビアホール16の個数、間隔などを適宜設定する。第1伝送路基板10について説明したが、第2伝送路基板20についても同様である。
【0048】
具体的には、本実施形態において諸量は次のとおりであるが、これは例示であり、これらの数値に限定されるものではない。集積回路素子30は、信号の伝搬方向(x軸方向)の長さが2.08mmであり、集積回路31単体の利得のピークの実測値は、80GHzであった。基板本体11,21の材料は石英である。高周波モジュール1全体で80GHzにディップを発生させるためには、高周波モジュール1の全長を7.9mmとなるように調整すればよいことが推測される。集積回路素子30の長さを差し引くと、入力側の伝送路14と出力側の伝送路24の長さの合計が5.8mmとなるようにするとよい。デザインルールを考慮して、第1伝送路基板10における、隣接するビアホール16,16同士の間隔、及び基板端とビアホール16との距離、第2伝送路基板20における、隣接するビアホール26,26同士の間隔、及び基板端とビアホール26との距離が、それぞれデザインルールの下限値となるようにすると、選択し得る伝送路14,24の長さは限定され、そのうち入力側の伝送路14の信号伝搬方向(x軸方向)の長さは3.3mm、出力側の伝送路24の長さは2.4mmとするのが好ましい。
【0049】
<シミュレーション結果>
まず、
図9(a)は、高周波モジュール1Aのシミュレーションモデルを示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性のシミュレーション結果を示す。このケース(参考例1)の高周波モジュール1Aは、入力側の伝送路14の線路長L1と出力側の伝送路24の線路長L1が等しくなるように設定している。
図9(b)及び(c)に示すように、80GHz以上で伝送特性が劣化していること、高周波モジュール1A全体で75GHz付近にディップ(B部として図示)が存在することが確認された。また、伝送路14,24単体では、120GHz付近にディップが存在する(
図3(c)の破線グラフ(構成例1)参照)。
【0050】
図10(a)は、接続導体18,28を設けた高周波モジュール1Bを示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性の実測結果を示す図である(参考例2)。この参考例2は、コネクタ50の外部導体52と第1伝送路基板10の表面11aのGNDパターン13とを接続する接続導体18が設けられ、第2伝送路基板20も同様に、コネクタ60の外部導体62と第2伝送路基板20の表面21aのGNDパターン23とを接続する接続導体28が設けられている。
図10(b)及び(c)においてグレーで示すグラフは、接続導体が用いられていないケースである。
図10(b)及び(c)に示すように、参考例2では、接続導体が用いられていないケース(グレーで示すグラフ)に比べて80GHz以上の伝送特性が改善していることが確認できた。
【0051】
図11は、第1伝送路基板10の基板長L1を変えて行った信号伝送のシミュレーションに関し、(a)はシミュレーションモデルを示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性のシミュレーション結果を示す図である。110GHz以内のディップは下表のとおりであった。
【0052】
【0053】
このシミュレーション結果から、インピーダンス不整合による多重反射等に起因した伝送特性のディップが生じる周波数は、基板長L1(すなわち伝送路長)に依存して決まることが確認できた。また、80GHz以内では、基板長L1が短いほど伝送特性が良いことが分かった。また、80GHz以上では、基板長が最も短いケース(1.76mm)にて80GHz付近から伝送特性が落ち始め、ディップが100GHz付近に出現することが確認できた。
【0054】
図12(a)は、
図9の参考例1において入力側の伝送路14の線路長と出力側の伝送路24の線路長が互いに異なるように設定されたシミュレーションモデル(参考例3)を示し、(b)は反射特性、(c)は透過特性のシミュレーション結果を示す図である。参考例3の高周波モジュール1Cでは、入力側の伝送路14の線路長L1を3.30mmとし、出力側の伝送路24の線路長L2を2.40mmとして、両者が互いに異なるように設定している。
図12(b)及び(c)に示すように、参考例1(
図9)と比べて高周波モジュール全体でのディップが抑制されているのが確認できた。
【0055】
図13は、
図7に示す本実施形態に係る高周波モジュール1をシミュレーションモデルとして伝送特性をシミュレーションした結果であり、
図13(a)は反射特性、(b)は透過特性のシミュレーション結果を示す(実施例)。この実施例の高周波モジュール1は、入力側の伝送路14の線路長L1が3.30mmで、出力側の伝送路24の線路長L2が2.59mmであり、両者は異なっている。
図13(a)及び(b)に示すように、-3dB帯域は107GHzであること、参考例1(
図9)に比べて80GHz以上の伝送特性が改善していることが確認できた。
【0056】
図14(a)は、シミュレーションにおける高周波モジュールへの入力信号のアイダイヤグラムを示し、(b)は本発明の実施形態に係る高周波モジュール1からの出力信号のアイダイヤグラムを示し、(c)は参考例1(
図9)に係る高周波モジュール1Aからの出力信号のアイダイヤグラムを示す。本実施形態に係る高周波モジュール1では、参考例1と比べてアイ開口が改善していることが確認できた。
【0057】
(作用・効果)
本実施形態に係る高周波モジュール1において、入力側の伝送路14の線路長と出力側の伝送路24の線路長は、伝送路14の線路長と伝送路24の線路長が互いに異なるように設定されている。この構成により、本実施形態の高周波モジュール1は、伝送路14及び伝送路24の線路長に依存して発生するディップが強調される現象を抑制することができる。このようにして、伝送特性のディップの強調を抑制することで高周波モジュール1全体での高周波伝送特性を改善することができる。
【0058】
また、入力側の伝送路14の線路長と出力側の伝送路24の線路長は、集積回路31単体の利得がピークとなる周波数と高周波モジュール1全体の伝送特性のディップが発生する周波数とが等しくなるように設定されている。この構成により、高周波モジュール1全体での伝送特性のディップを相殺して、高周波モジュール全体での高周波伝送特性を改善することができる。
【0059】
なお、本実施形態の信号線パターン12、GNDパターン13、伝送路14、裏面GNDパターン15、ビアホール16、キャスタレーション17、及び接続導体18が、本発明の第1信号線パターン、第1GNDパターン、第1伝送路、第1裏面GNDパターン、第1ビアホール、第1キャスタレーション、及び第1接続導体にそれぞれ対応する。また、本実施形態の信号線パターン22、GNDパターン23、伝送路24、裏面GNDパターン25、ビアホール26、キャスタレーション27、及び接続導体28が、本発明の第2信号線パターン、第2GNDパターン、第2伝送路、第2裏面GNDパターン、第2ビアホール、第2キャスタレーション、及び第2接続導体にそれぞれ対応する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明したように、本発明は、モジュール全体での高周波伝送特性を改善できるという効果を有し、高周波モジュールの全般に有用である。
【符号の説明】
【0061】
1、1A、1B、1C 高周波モジュール
10、10A、10B、10C 第1伝送路基板
11 基板本体(第1基板本体)
11a、21a 表面
11b、21b 裏面
11c、21c 側面
12 信号線パターン(第1信号線パターン)
13 GNDパターン(第1GNDパターン)
14 伝送路(第1伝送路)
15 裏面GNDパターン(第1裏面GNDパターン)
16 ビアホール(第1ビアホール)
17 キャスタレーション(第1キャスタレーション)
18 接続導体(第1接続導体)
19、29 シリコンキャパシタ
20 第2伝送路基板
21 基板本体(第2基板本体)
22 信号線パターン(第2信号線パターン)
23 GNDパターン(第2GNDパターン)
24 伝送路(第2伝送路)
25 裏面GNDパターン(第2裏面GNDパターン)
26 ビアホール(第2ビアホール)
27 キャスタレーション(第2キャスタレーション)
28 接続導体(第2接続導体)
30 集積回路素子
31 集積回路
32a 入力端子
32b 入力側GND端子
33a 出力端子
33b 出力側GND端子
40 パッケージ
41 容器
43,43a,43b 壁部
50 コネクタ(第1コネクタ)
51 中心導体
52 外部導体
60 コネクタ(第2コネクタ)
61 中心導体
62 外部導体
100 接続構造