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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123807
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20240905BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20240905BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20240905BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F01N3/20 B
F01N3/08 A ZAB
F01N3/24 R
F01N3/24 C
F01N3/24 B
B01D53/94 228
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031509
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮川 浩
(72)【発明者】
【氏名】中谷 規之介
(72)【発明者】
【氏名】本間 隆行
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
【Fターム(参考)】
3G091AB03
3G091AB05
3G091AB08
3G091BA13
3G091CB02
3G091DA02
3G091DB05
3G091EA17
3G091EA30
3G091EA33
3G091EA34
3G091EA35
3G091GB01W
3G091GB06W
3G091GB07W
3G091HA36
3G091HA37
4D148AA06
4D148AA07
4D148AA08
4D148AA13
4D148AA17
4D148AB01
4D148AB02
4D148AB03
4D148AB09
4D148BA03Y
4D148BA19Y
4D148BA30Y
4D148BA31Y
4D148BA32Y
4D148BA33Y
4D148BA36Y
4D148BA37Y
4D148BA38Y
4D148BA41Y
4D148CC32
4D148CC47
4D148DA01
4D148DA02
4D148DA06
4D148DA08
4D148DA13
4D148DA20
4D148EA04
(57)【要約】
【課題】NOxやN2Oを生成することなく、三元触媒からの排気に含まれているアンモニアの外部への排出を抑制する。
【解決手段】排気浄化システム1は、アンモニアの吸着機能及び分解機能を有する第二触媒12と、排気浄化システム1における排気浄化に関する制御部16と、を備える。制御部16は、内燃機関2の動作時、内燃機関2からの排気が希薄とならないように制御する。制御部16は、第二触媒12におけるアンモニアの積算吸着量が予め設定されている限界吸着量に達すると、第二触媒12の温度をアンモニアの分解活性温度まで上昇させ、その後、積算吸着量のアンモニアの全てが浄化できるよう、その温度を所定時間維持する昇温制御を開始する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアの吸着機能及びアンモニアの水素と窒素への分解機能を有し、内燃機関の排気を浄化する三元触媒からの排気が流入される第二触媒と、
前記第二触媒の温度を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第二触媒に流入される排気が理論空燃比より希薄でない場合において、前記第二触媒におけるアンモニアの積算吸着量が予め設定されている限界吸着量に達すると、前記第二触媒を所定時間、アンモニアの分解活性温度以上の状態にする昇温制御を開始することを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
前記所定時間は、前記積算吸着量のアンモニアの全てを浄化するのに要する時間であることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記限界吸着量として、前記第二触媒がアンモニアの分解活性温度以上のときのアンモニア吸着可能量以下となる値を設定することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第二触媒に流入される排気が理論空燃比より希薄でない状態となるよう前記内燃機関への燃料噴射量を制御することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項5】
前記第二触媒に流入される排気のアンモニア濃度を測定する測定手段を設け、
前記制御手段は、前記測定手段により測定されたアンモニアの濃度を参照して、前記第二触媒におけるアンモニアの積算吸着量を算出することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項6】
前記測定手段としてNOxセンサを用いることを特徴とする請求項5に記載の排気浄化装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記内燃機関がアンモニアを燃料の一部とする場合、前記内燃機関が始動してから停止するまでの間に前記第二触媒におけるアンモニアの積算吸着量が前記第二触媒におけるアンモニアの限界吸着量に達しなくても、少なくとも1回、前記昇温制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記内燃機関の始動後、前記三元触媒が活性状態になった時点で前記昇温制御を開始することを特徴とする請求項7に記載の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化装置、特にアンモニアが含まれている排気の浄化に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関からの排気中の3種類の有害成分、具体的には一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)の3成分を同時に浄化できる機能を有する三元触媒がよく知られている。但し、3成分を同時に除去するには、三元触媒に流入される排気が、燃料とそれを完全燃焼させるのに必要な酸素を含む空気との割合(一般に、「理論空燃比」と呼ばれる)に維持される必要がある。
【0003】
一般に、理論空燃比より空気が多い空気過剰(一般に、「酸化雰囲気」あるいは「リーン」とも呼ばれる)の場合、三元触媒からの排気にはアンモニア(NH3)は含まれない。しかしながら、理論空燃比より燃料が多い燃料過剰(一般に、「還元雰囲気」あるいは「リッチ」と呼ばれる)の場合、三元触媒からの排気にはアンモニア(NH3)が含まれる。アンモニアは、皮膚や気道の粘膜等に損傷を引き起こす可能性があるので、外部に排出させたくない物質の1つである。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1における排気浄化装置では、三元触媒の下流に酸化雰囲気においてアンモニアを酸化する触媒と,酸化雰囲気とするための酸素供給手段を設けてアンモニアを浄化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3513536号明細書
【特許文献2】特開2018-91259号公報
【特許文献3】特開2019-167823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では,三元触媒の下流側の触媒において酸化雰囲気においてアンモニアを酸化させるため、一部のアンモニアがNOxや亜酸化窒素(N2O)となって外部に排出される可能性があった。また、低温においてはアンモニアが反応せずに排出されるおそれがある.
【0007】
本発明は、NOxやN2Oを生成することなく、三元触媒からの排気に含まれているアンモニアの外部への排出を抑制することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る排気浄化装置は、アンモニアの吸着機能及びアンモニアの水素と窒素への分解機能を有し、内燃機関の排気を浄化する三元触媒からの排気が流入される第二触媒と、前記第二触媒の温度を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第二触媒に流入される排気が理論空燃比より希薄でない場合において、前記第二触媒におけるアンモニアの積算吸着量が予め設定されている限界吸着量に達すると、前記第二触媒を所定時間、アンモニアの分解活性温度以上の状態にする昇温制御を開始することを特徴とする。
【0009】
また、前記所定時間は、前記積算吸着量のアンモニアの全てを浄化するのに要する時間であることを特徴とする。
【0010】
また、前記限界吸着量として、前記第二触媒がアンモニアの分解活性温度以上のときのアンモニア吸着可能量以下となる値を設定することを特徴とする。
【0011】
また、前記制御手段は、前記第二触媒に流入される排気が理論空燃比より希薄でない状態となるよう前記内燃機関への燃料噴射量を制御することを特徴とする。
【0012】
また、前記第二触媒に流入される排気のアンモニア濃度を測定する測定手段を設け、前記制御手段は、前記測定手段により測定されたアンモニアの濃度を参照して、前記第二触媒におけるアンモニアの積算吸着量を算出することを特徴とする。
【0013】
また、前記測定手段としてNOxセンサを用いることを特徴とする。
【0014】
また、前記制御手段は、前記内燃機関がアンモニアを燃料の一部とする場合、前記内燃機関が始動してから停止するまでの間に前記第二触媒におけるアンモニアの積算吸着量が前記第二触媒におけるアンモニアの限界吸着量に達しなくても、少なくとも1回、前記昇温制御を行うことを特徴とする。
【0015】
また、前記制御手段は、前記内燃機関の始動後、前記三元触媒が活性状態になった時点で前記昇温制御を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1-3,5-6に記載の発明によれば、NOxやN2Oを生成することなく、三元触媒からの排気に含まれているアンモニアの外部への排出を抑制することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、アンモニア以外の有害成分を三元触媒から排出されないように制御することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、内燃機関がアンモニアを燃料の一部とする場合でも、NOxやN2Oを生成することなく、三元触媒からの排気に含まれているアンモニアの外部への排出を抑制することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明によれば、停止要求に応じて昇温制御を行うことなく内燃機関を即座に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1における排気浄化システムを示す概略的な全体構成図である。
図2】実施の形態1において、触媒温度と、吸着可能量及び分解率と、の関係を模式的に示すグラフ図である。
図3】実施の形態1におけるアンモニア浄化処理を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1において、触媒温度と、NH3、NOx及びN2Oの各排出濃度との関係を模式的に示すグラフ図である。
図5】実施の形態2におけるアンモニア浄化処理を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2におけるアンモニア浄化終了処理を示すフローチャートである。
図7】実施の形態2におけるアンモニア浄化処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0022】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態における排気浄化システム1を示す概略的な全体構成図である。図1には、車両(図示せず)に搭載されている内燃機関2と、内燃機関2の排気通路4と、排気通路4の途中に配置された三元触媒6と、が示されている。三元触媒6は、内燃機関2の排気を浄化する触媒である。より詳細には、三元触媒6は、一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)の3成分を同時に浄化する機能を有する。本実施の形態では、従前から存在する三元触媒6を用いてよい。
【0023】
三元触媒6は、一般に、アルミナ等の担体に白金Pt、パラジウムPd、ロジウムRh等の貴金属触媒成分、セリウムCe等の助触媒成分等を担持させて形成される。三元触媒6は、流入する排気の空燃比が理論空燃比近傍にあるときには排気中のHC、CO、NO xの3成分を高効率で浄化する。また、三元触媒6は、流入する排気空燃比λが理論空燃比(λ=1)よりリッチ(λ<1)側になると、排気中の窒素酸化物(以下、「NOx」)の略全量を還元するが、アンモニアが排出される可能性がある。その一方、三元触媒6は、流入する排気空燃比が理論空燃比よりリーン(λ>1)側になると、アンモニアは排気されないが、Noxが排気中に混在する可能性が生じてくる。
【0024】
前述した構成2,4,6は、車両に標準搭載されているのに対し、本実施の形態における排気浄化システム1には、本実施の形態において特徴的な排気浄化装置が更に搭載される。
【0025】
本実施の形態における排気浄化装置は、第二触媒12、記憶部14、制御部16、排気空燃比センサ18、NOxセンサ20及び温度センサ22を有する。
【0026】
第二触媒12は、排気通路4の三元触媒6の下流側に配設される。第二触媒12は、アンモニア(NH3)の吸着機能及びアンモニアの水素と窒素への分解機能を有する触媒であり、排気通路4を介して三元触媒6から流入される排気に含まれているアンモニアを浄化する。アンモニアの吸着機能は、例えばゼオライトのような多孔物質や塩化マグネシウムなどのアンモニウム塩を形成する物質を適用することができる。アンモニアの分解機能は、例えばRu、Rh、Fe、Co、Niなどの触媒を担持することにより得られる。なお、本実施の形態では、1つの第二触媒12にアンモニアの吸着機能と分解機能を持たせたが、各機能を別々の触媒として構成し、前段に吸着触媒、後段に分解触媒を配置し、合わせて上記第二触媒12として構成してもよい。また、第二触媒12は、NOxの選択還元機能を有していてもよい。
【0027】
記憶部14には、排気浄化制御用等のプログラム、また各センサ18~22から制御部16に入力される測定値等、プログラムが排気浄化等の制御に参照するデータ等が記憶される。
【0028】
制御部16は、例えば第二触媒12の温度を制御するなど、排気浄化システム1における排気浄化に関する制御を行う。本実施の形態における制御部16は、例えば、車載されているECU(Electronic Control Unit)で排気浄化制御用などのプログラムを実行することで実現される。ECUにより実現される制御部16は、更に内燃機関2の動作を制御する。内燃機関2は、シリンダ内に吸入する空気量をコントロールするスロットルバルブ(図示せず)と燃料流量をコントロールする燃料噴射弁(図示せず)を備えている。制御部16は、スロットルバルブの開度、燃料噴射弁の噴射期間の制御を行うことで、内燃機関2への燃料噴射量を制御する。図1では、制御部16の内燃機関2に対する制御を破線で示している。
【0029】
排気空燃比センサ18は、三元触媒6の上流側の排気通路4に設けられ、三元触媒6、ひいては第二触媒12に流入される排気の排気空燃比λを検知する。制御部16は、排気空燃比センサ18が測定した空燃比が目標とする理論空燃比(λ=1)となるよう燃料噴射弁を開閉制御する。
【0030】
NOxセンサ20及び温度センサ22は、第二触媒12の上流側であって、三元触媒6と第二触媒12の間の排気通路4に設けられる。このうち、NOxセンサ20は、三元触媒6から排出されるNOx及びアンモニア、換言すると第二触媒12に流入されるNOx及びアンモニアに反応して、NOx及びアンモニアの各濃度を測定する測定手段として設けられている。一般的なNOxセンサ20は、NOxとアンモニアの双方の濃度値を出力する。但し、NOxセンサ20が配設される三元触媒6の下流において、アンモニアが排出されうる過濃条件、すなわち排気空燃比がリッチ(λ<1)側のときにはNOxは浄化されて存在しないためアンモニアのみを検知する。すなわち、NOxセンサ20は、アンモニアのみの濃度を測定することになる。なお、排気空燃比がリーン(λ>1)側のときにはアンモニアは排出されずにNOxのみが存在しうるので、NOxセンサ20は、NOxのみの濃度を測定することになる。温度センサ22は、第二触媒12に流入される排気の温度を測定する。本実施の形態では、排気の温度と第二触媒12の温度は同等であるとみなしている。もちろん、第二触媒12の温度を直接測定するように構成してもよい。
【0031】
次に、本実施の形態における動作について、つまり排気の浄化方法について説明する。
【0032】
制御部16は、三元触媒6の活性後、排気空燃比センサ18による測定値、すなわち排気空燃比λを参照しながら内燃機関2からの排気が理論空燃比(λ=1)となるように量論比制御する。具体的には、制御部16は、前述したように燃料噴射弁を開閉制御しながら理論空燃比を維持しようとする。理論空燃比が維持されることにより、内燃機関2から排出される一酸化炭素(以下「CO」)、未燃炭化水素(以下、「HC」)及び窒素酸化物(NOx)は、三元触媒6により完全に浄化される。なお、本実施の形態における制御部16は、内燃機関2からの排気が過濃(λ<1)となっても、少なくとも希薄(λ>1)とならないように制御する。
【0033】
何らかの原因で内燃機関2からの排気が理論空燃比より小さくなった場合、つまりリッチ(λ<1、「過濃」ともいう)となった場合、三元触媒6では、内燃機関2より排出されるCO、HC、NOxから水素を介してアンモニアが生成されることが知られている。本実施の形態における排気浄化システム1においては、三元触媒6からアンモニアが排出されても、第二触媒12におけるアンモニア吸着機能により排気通路4を介して流入されてきたアンモニアを吸着する。このため、外部へのアンモニアの排出を抑制できる。本実施の形態における「外部」とは、車外のことである。
【0034】
しかしながら、アンモニア吸着機能を発揮させたとしても、第二触媒12が吸着できるアンモニアの吸着量には限界がある。そこで、本実施の形態においては、アンモニアの吸着機能と分解機能とを有機的に組み合わせることによってアンモニアを無害化、すなわち外部へのアンモニアの排出を抑制できるようにした。
【0035】
図2には、第二触媒12において吸着可能なアンモニアの吸着量(以下、「吸着可能量」という)が示されている。図2を端的に説明すると、三元触媒6からのアンモニアの積算された流入量が吸着可能量を超えると、第二触媒12は、アンモニアを吸着できなくなる。これを回避するために、まずはその限界値となるアンモニアの流入量を算出する。なお、吸着可能量に達するまでは、三元触媒6からのアンモニアの流入量の積算値が第二触媒12に吸着されている状態のアンモニアの量(以下、「積算吸着量」という)に相当するとみなすことができる。本実施の形態においては、次のようにして第二触媒12におけるアンモニアの積算吸着量を算出する。
【0036】
なお、本実施の形態では、前述したように、特に断らない限り、内燃機関2からの排気の空燃比λが希薄状態(λ>1)とならないように制御されている。換言すると、排気空燃比λが理論空燃比(λ=1)若しくは過濃状態(λ<1)であることから、三元触媒6からは、アンモニアが排出されてもNOxは排出されない状態である。このため、NOxセンサ20による測定値は、上記の通りアンモニアのみの濃度を示すことになる。
【0037】
制御部16は、NOxセンサ20により測定されたアンモニア濃度と、三元触媒6からの排気量から、所定時間間隔毎の第二触媒12へのアンモニアの流入量が算出できる。第二触媒12における吸着機能が発揮されている間、すなわち三元触媒6からのアンモニアの流入量の積算値(上記「積算吸着量」)が吸着可能量に達するまでは、第二触媒12に流入される全てのアンモニアを吸着できる。よって、第二触媒12へのアンモニアの流入量を積算することで積算吸着量を算出できる。制御部16は、以上のようにして算出した積算吸着量を記憶部14に保持する。
【0038】
ここで、第二触媒12におけるアンモニアの吸着機能と分解機能の能力について、図2を用いて説明する。
【0039】
図2は、第二触媒12の温度(以下、「触媒温度」という)と、吸着可能量及び分解率と、の関係を模式的に示すグラフ図である。また、図2には、分解活性温度Trが示されている。図2において実線で示されている「吸着可能量」は、第二触媒12が発揮する吸着機能の能力を示す指標であり、第二触媒12に吸着可能なアンモニアの吸着量の最大値を示す。第二触媒12は、各触媒温度において、流入されるアンモニアを吸着可能量まで吸着可能である。第二触媒12は、吸着機能を、触媒温度が低いとき、例えば触媒温度が分解活性温度Trより低いときには十分発揮しうるが、触媒温度が上昇することに伴い機能低下させる特性を持つ。
【0040】
図2において破線で示されている「分解率」は、第二触媒12が発揮する分解機能の能力を示す指標であり、第二触媒12に吸着されているアンモニアをどれくらい分解できるかの割合を示す。なお、厳密にいうと、第二触媒12に吸着されているアンモニアには、吸着機能によって第二触媒12に吸着されているアンモニアに加えて、流入されてくる吸着される前のアンモニア、すなわちまだ吸着されていないアンモニアが含まれるかもしれない。ただ、本実施の形態では、説明の便宜上、吸着の是非にかかわらず、第二触媒12の内部に存在するアンモニアは、全て吸着されているものとして説明する。
【0041】
第二触媒12は、触媒温度が低いとき、例えば分解活性温度Trより低いときには分解機能を発揮しにくい状態であるが、触媒温度が上昇することに伴い分解率を上昇させ、所定の温度以上になると全てのアンモニアを分解することができる。本実施の形態では、この全てのアンモニアを分解できるようになる、つまり分解率がほぼ100%となる上記所定の温度を「分解活性温度」と称する。一般に、アンモニアの分解活性温度は400~700度なので、本実施の形態においても分解活性温度をこの範囲で設定する。以下の説明では、第二触媒12において分解機能が活性化されてアンモニアの分解機能を十分に発揮できる触媒温度の下限値に相当する400度を分解活性温度Trと想定して説明する。第二触媒12は、積算吸着量が吸着可能量を超えた分のアンモニアを吸着できないので、分解機能を備えていることによってアンモニアの排出をより確実に抑制することが可能となる。
【0042】
また、図2に示す「限界吸着量」Mcは、第二触媒12からアンモニアを排出させないようにする制御するための積算吸着量の上限値に相当する。第二触媒12は、理論上、吸着可能量を最大値として吸着することは可能であるが、後述する昇温制御によって、吸着されているアンモニアを分解する処理が開始されるまでにタイムラグが発生するなどの誤差が生じうる。従って、分解処理が開始されるまでの間に積算吸着量が限界吸着量に達すると、吸着できない分のアンモニアや吸着しているアンモニアが脱離して外部に排出させてしまうことになり得る。そこで、本実施の形態では、アンモニアの吸着を許容する量、すなわち積算するアンモニアの吸着量の上限値として「限界吸着量」を設定する。前述したように触媒温度が分解活性温度以上であれば、分解率がほぼ100%となり全てのアンモニアを分解できるので、分解活性温度以上のときは、吸着を許容する制限(上限値の設定)は不要となる。そこで、本実施の形態では、限界吸着量として、第二触媒12がアンモニアの分解活性温度以上のときのアンモニアの吸着可能量以下となる値を設定する。以降の説明では、分解活性温度のときの吸着可能量を限界吸着量と設定する場合を例にする。
【0043】
なお、本実施の形態では、分解活性温度Trを参照して限界吸着量Mcを設定したが、これに限る必要はない。例えば、アンモニアの外部への排出をより確実に抑えるために、積算吸着量がより少ない段階で後述する昇温制御が開始できるように限界吸着量Mcをより低く設定してもよい。
【0044】
続いて、本実施の形態における制御部16が行うアンモニアの浄化処理について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0045】
なお、前述したように、制御部16は、内燃機関2からの排気の空燃比λが希薄とならないように制御するが、ここでは、過濃状態(λ<1)である場合として説明する。また、浄化処理の開始時には、触媒温度は分解活性温度に達していないものとする。そのために、第二触媒12は、通常、車内の、触媒温度が分解活性温度に達しない位置に取り付けられている。更に、積算吸着量は、限界吸着量に達していない状態であるものとする。
【0046】
制御部16は、内燃機関2が始動されることに伴い、アンモニアの浄化処理を開始し、内燃機関2の停止要求を確認すると(ステップ110でY)、処理を終了する。
【0047】
まず、内燃機関2の停止が要求されるまで(ステップ110でN)、制御部16は、積算吸着量を算出する(ステップ120)。続いて、制御部16は、算出した積算吸着量が予め設定されている限界吸着量に達しているかどうかを確認する。積算吸着量が限界吸着量に達していなければ(ステップ130でN)、上記アンモニアの吸着量の確認処理(ステップ110~130)を繰り返す。例えば、制御部16は、上記確認処理を所定の時間間隔で定周期的に実施すればよい。
【0048】
そして、積算吸着量が限界吸着量に達した場合(ステップ130でY)、制御部16は、昇温制御を開始する(ステップ140)。
【0049】
積算吸着量が限界吸着量に達するときには、触媒温度は分解活性温度に達していないので、制御部16は、昇温制御を開始すると、まず第二触媒12の温度、すなわち触媒温度がアンモニアの分解活性温度以上となるように三元触媒6からの排気を昇温させる。前述したように、本実施の形態では、第二触媒12に流入される排気の測定温度を第二触媒12の温度として利用する。排気の温度を上げる手段としては,内燃機関2の燃焼時期を遅角することや、負荷又は回転数を上げることにより実現できる。あるいは、第二触媒12を直接加熱する電気ヒータなどの加熱手段を用いてもよい。なお、第二触媒12を昇温させる方法は、従前からある手法を利用してもよい。
【0050】
続いて、制御部16は、触媒温度が分解活性温度以上になると、所定時間、触媒温度が分解活性温度以上の状態に維持する。なお、維持する触媒温度は、第二触媒12の耐熱温度を超えないように設定する。なお、維持する所定時間の長さについては後述する。
【0051】
触媒温度が所定時間、分解活性温度以上で維持されると、第二触媒12は、吸着されている全てのアンモニアを浄化することができる。つまり、維持する所定時間は、積算吸着量のアンモニアの全てを浄化するのに要する時間若しくはそれ以上の時間である。昇温制御は、所定時間が経過することによって自動的に終了する。制御部16が昇温制御を実行することによって、第二触媒12に吸着されている積算吸着量のアンモニアの全ては、水素と窒素に分解され無害化される。これにより、制御部16は、ステップ120において得ている積算吸着量を0にリセットする(ステップ150)。
【0052】
なお、制御部16は、触媒温度が分解活性温度以上に維持する必要はないので維持するよう制御しない。その逆に、制御部16は、吸着可能量を増やすために触媒温度を積極的に下げるよう制御してもよい。
【0053】
図4は,第二触媒12にアンモニアを吸着させた後、アンモニア(NH3)、NOx及び亜酸化窒素(以下、「N2O」)それぞれの排出濃度を触媒温度に対応付けして示す模式的なグラフ図である。なお、本実施の形態においては、NOxの排出濃度を、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)の排出濃度により算出している。N2Oは、NOxとは別個に取り扱っている。図4に示す事例のように、第二触媒12を昇温させたとしても、アンモニア、NOx及びN2Oの排出濃度は、いずれも分析計の検知限界以下であり、常に0、すなわち、排出されないことを意味している。
【0054】
なお、図4では、対比事例として、第二触媒12が分解機能を有しておらず、吸着機能のみを有する場合のアンモニアの排出濃度を破線にて示している。この破線で示す排出濃度は、触媒温度がある温度以上まで上昇すると0でなくなる。これは、吸着されているアンモニアが脱離して外部に排出されることを意味している。
【0055】
ところで、本実施の形態における制御部16は、内燃機関2からの排気が理論空燃比(λ=1)となるように量論比制御を行うものの、空燃比λがリーン状態(λ>1)となる場合もあり得る。この場合、第二触媒12がNOxの選択還元機能を有する場合には、三元触媒6で浄化しきれずに排出されるNOxを、第二触媒12で吸着されたアンモニアを還元剤として浄化することができる。あるいは、制御部16は、空燃比λがリーン状態とならないように、常時リッチ状態寄りで量論比制御を行うようにしてもよい。
【0056】
なお、還元剤として利用するアンモニアの吸着量が十分でないと、NOxを完全に浄化できない可能性が生じてくる。ただ、NOxを完全に浄化できなかった場合、その分のNOxの浄化は、別の手段を設けることによって浄化すればよい。
【0057】
ここで、前述した昇温制御において、触媒温度が分解活性温度以上の状態で維持する「所定時間」について説明する。
「昇温制御」では、第二触媒12に吸着されている全てのアンモニアを浄化するために行う制御である。従って、所定時間、触媒温度が分解活性温度以上の状態で維持することによって、第二触媒12に吸着されているアンモニアを確実に除去できる時間である必要がある。
【0058】
ところで、図2に示すように、触媒温度が分解活性温度以上のときの分解率は100%であり、触媒温度の高低によって分解率は変化しない。ただ、触媒温度が高いほど分解速度は速くなる。そうすると、所定時間の最大値tmaxは、第二触媒12にアンモニアが限界吸着量Mcまで吸着されているときの分解活性温度Trにおける分解速度により算出できる。従って、最大値tmaxを所定時間の固定値として用いてもよい。ただ、第二触媒12が分解活性温度Trを超えた温度(かつ第二触媒12の耐熱温度以下)に維持される場合を考慮すると、所定時間tは、次の式(1)により算出できる。
【0059】
t=tmax(Ma/Mc)(exp(1/Tr)/exp(1/T)) ・・(1)
但し、Tは、昇温制御後の触媒温度(T>Tr)、Maは、算出した積算吸着量である。なお、本実施の形態では、Ma=Mcとなった場合に昇温制御を開始するが、仮にMa<Mcのときに昇温制御を開始した場合、積算吸着量Maは限界吸着量Mcより少ないので、所定時間tは、積算吸着量Maに比例して短くなる。
【0060】
本実施の形態によれば、以上のようにして、三元触媒6からの排気に含まれているアンモニアの外部への排出をより確実に抑制することができる。また、第二触媒12においてアンモニアを浄化する際にも、NOxやN2Oが生成されることはない。
【0061】
実施の形態2.
本実施の形態では、本発明に係る排気浄化装置を、アンモニアを燃料の一部とする内燃機関に適用する場合を例にして説明する。
【0062】
本実施の形態における排気浄化システム1は、基本的には図1に示すシステム構成で実現可能である。ただ、本実施の形態の場合、NOxセンサ20は用いなくてよい。その一方、三元触媒6の温度測定が必要になるので、そのために温度センサ等の測定手段が必要になる。その他の構成の違いについては、その都度説明する。
【0063】
以下、本実施の形態における制御部16が行うアンモニアの浄化処理について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0064】
なお、浄化処理の開始時には、触媒温度は分解活性温度に達しておらず、そして、積算吸着量は限界吸着量に達していない状態であるものとする。
【0065】
制御部16は、内燃機関2が始動されることに伴い、アンモニアの浄化処理を開始する。制御部16は、まず内燃機関2を始動してから停止するまでの間の昇温制御の実施の有無を示す処理フラグをクリアすることで初期化する(ステップ210)。
【0066】
内燃機関2の始動は、予め決められたスロットル開度、燃料噴射期間で行われる。内燃機関2からの排気には、水蒸気や窒素の他、未燃のアンモニア、水素、NOxなど不完全燃焼の分、有害な排気成分が含まれる。
【0067】
制御部16は、温度センサにより測定された三元触媒6の温度を取得すると(ステップ220)、その三元触媒6の温度が三元触媒6の活性温度に達するまで待つ(ステップ230でN)。なお、三元触媒6が活性温度に達するまでは、上記の通り未浄化のアンモニアが第二触媒12に流入しうる。第二触媒12に流入される排気に含まれるアンモニアは、第二触媒12における吸着機能により吸着されるため、基本的には外部に排出されることから回避できる。
【0068】
高温の燃焼ガスにより三元触媒6が加熱され活性温度以上になった後は(ステップ230でY)、制御部16は、混合気が量論比(λ=1)になるように制御することで、NOx、N2Oの有害排気成分は完全に浄化される。なお、実施の形態1と同様にして三元触媒6からアンモニア以外の有害成分が流出されないように制御してもよい。一方、未浄化のアンモニアは、三元触媒6が活性温度に達した後も第二触媒12に流入する。
【0069】
その第二触媒12に流入されるアンモニアを浄化するために、制御部16は、実施の形態1と同様に積算吸着量を算出し(ステップ240)、積算吸着量が限界吸着量に達していなければ(ステップ250でN)、上記アンモニアの吸着量の確認処理(ステップ240~250)を繰り返す。そして、積算吸着量が限界吸着量に達した場合(ステップ250でY)、制御部16は、前述した昇温制御を開始する(ステップ260)。本実施の形態におけるステップ240~270は、実施の形態1におけるステップ120~150と同じでよいので、説明を省略する。
【0070】
なお、内燃機関2の始動時において三元触媒6が活性温度に達するまでに要する時間は推定可能である。その推定される時間内におけるアンモニアの積算吸着量の最大量も推定可能である。従って、その推定した最大値を三元触媒6が活性温度に達した直後における積算吸着量として流用することが可能となる。この場合、三元触媒6が活性温度に達した直後における積算吸着量の算出処理(ステップ240)は、省略することができる。
【0071】
続いて、制御部16は、昇温制御を終了させると、処理フラグをセットする(ステップ280)。なお、処理フラグは、制御部16若しくは記憶部14で保持する。その後、内燃機関2が停止するまでの間、上記ステップ240~280を繰り返す。
【0072】
図6は、制御部16が行うアンモニア浄化終了処理を示すフローチャートである。制御部16は、図5に示すアンモニア浄化処理の実行中に、内燃機関2の停止要求を確認すると、図6に示すアンモニア浄化終了処理の実行を開始する。
【0073】
制御部16は、まず処理フラグがセットされているかどうかを確認する。セットされていれば(ステップ310でY)、内燃機関2が始動してから停止するまでに間に少なくとも1回、昇温制御が行われたことになる。この場合、制御部16は、内燃機関2の停止時に昇温制御を実行することなくアンモニア浄化処理を終了する。
【0074】
一方、処理フラグがセットされていなければ(ステップ310でN)、内燃機関2が始動してから停止するまでに間に1回も昇温制御が行われていないことになる。この場合、制御部16は、昇温制御を開始する(ステップ320)。そして、制御部16は、昇温制御が終了すると、積算吸収量をリセットする(ステップ330)。
【0075】
なお、上記説明では、まず内燃機関2の始動直後に処理フラグをクリアしているが、内燃機関2の停止直前に処理フラグをクリアしてもよい。
【0076】
本実施の形態においては、このようにして、内燃機関2が始動してから停止するまでに間に第二触媒12におけるアンモニアの積算吸着量が第二触媒12におけるアンモニアの限界吸着量に達しなくても、少なくとも1回は昇温制御を行うことになる。このように、昇温制御が実施されることで、内燃機関2がアンモニアを燃料の一部とする場合でも、アンモニアの外部への流出を抑制することができる。
【0077】
ところで、前述した本実施の形態におけるアンモニア浄化処理では、内燃機関2が始動してから停止するまでの間に第二触媒12におけるアンモニアの積算吸着量が限界吸着量に達したときに、あるいは積算吸着量が限界吸着量に1度も達していない場合は、内燃機関2の停止時に昇温制御を実施する。このようにして、内燃機関2が始動してから停止するまでに少なくとも1回は昇温制御を行う。この少なくとも1回の実施のタイミングとして、内燃機関2の始動直後に昇温制御を強制的に実施してもよい。この場合のアンモニア浄化処理、つまり図5に示すアンモニア浄化処理の変形例を図7に示す。なお、図7において、図5と同じ処理には同じステップ番号を付け、説明を適宜省略する。
【0078】
図7に示すように、制御部16は、内燃機関2が始動された後、三元触媒6の温度が三元触媒6の活性温度に達することにより三元触媒6が活性状態になった時点で(ステップ230でY)、昇温制御を実施する(ステップ231)。図7に示すように、制御部16は、積算吸着量が限界吸着量に達するという昇温制御の開始条件を満たすことなく昇温制御を強制的に実施する。昇温制御の実施に応じて積算吸着量のリセット後(ステップ232)、処理フラグをセットする(ステップ233)。
【0079】
図7に示す変形例では、内燃機関2の始動直後に処理フラグがセットされるので、制御部16は、内燃機関2の停止要求が確認されたときに昇温制御を常に実施する必要がない。これにより、制御部16は、停止要求に応じて内燃機関2を即座に停止させることができる。
【0080】
内燃機関2の始動直後に処理フラグがセットする場合、その後に昇温制御が1度も実施されないと、内燃機関2の停止時における積算吸着量が限界吸着量に近づいている場合も想定しうる。この場合、次の内燃機関2の始動直後に積算吸着量が吸着可能量を超えて、アンモニアが外部に流出してしまうことが想定しうる。これを回避するために、例えば限界吸着量を下方修正することによって、内燃機関2の動作時に積算吸着量が限界吸着量に達しやすくなり、これにより昇温制御が実施されやすくしてもよい。また、限界吸着量を下方修正することによって限界吸着量と吸着可能量との乖離がより大きくなるので、内燃機関2の始動後に第二触媒12が余裕を持ってアンモニアを吸着できるようになる。この場合、内燃機関2の始動後に昇温制御が開始されるまでに第二触媒12に流入されるアンモニアの最大量を推定して、限界吸着量を設定してもよい。あるいは、温度が上がりにくい車内の位置に第二触媒12を取り付けるようにしてもよい。換言すると、内燃機関2の始動時には分解活性温度から離れた触媒温度となるように調整する。図2に示すように触媒温度が低い方がアンモニアの吸着可能量が大きいからである。あるいは、第二触媒12が有する触媒量を多くしてもよい。内燃機関2の始動直後に処理フラグがセットする場合は、このような調整を行うようにしてもよい。
【0081】
[本願発明の構成]
構成1:
アンモニアの吸着機能及びアンモニアの水素と窒素への分解機能を有し、内燃機関の排気を浄化する三元触媒からの排気が流入される第二触媒と、
前記第二触媒の温度を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第二触媒に流入される排気が理論空燃比より希薄でない場合において、前記第二触媒におけるアンモニアの積算吸着量が予め設定されている限界吸着量に達すると、前記第二触媒を所定時間、アンモニアの分解活性温度以上の状態にする昇温制御を開始することを特徴とする排気浄化装置。
構成2:
前記所定時間は、前記積算吸着量のアンモニアの全てを浄化するのに要する時間であることを特徴とする構成1に記載の排気浄化装置。
構成3:
前記限界吸着量として、前記第二触媒がアンモニアの分解活性温度以上のときのアンモニア吸着可能量以下となる値を設定することを特徴とする構成1又は構成2に記載の排気浄化装置。
構成4:
前記制御手段は、前記第二触媒に流入される排気が理論空燃比より希薄でない状態となるよう前記内燃機関への燃料噴射量を制御することを特徴とする構成1から3までのいずれか1の構成に記載の排気浄化装置。
構成5:
前記第二触媒に流入される排気のアンモニア濃度を測定する測定手段を設け、
前記制御手段は、前記測定手段により測定されたアンモニアの濃度を参照して、前記第二触媒におけるアンモニアの積算吸着量を算出することを特徴とする構成1から4までのいずれか1の構成に記載の排気浄化装置。
構成6:
前記測定手段としてNOxセンサを用いることを特徴とする構成5に記載の排気浄化装置。
構成7:
前記制御手段は、前記内燃機関がアンモニアを燃料の一部とする場合、前記内燃機関が始動してから停止するまでの間に前記第二触媒におけるアンモニアの積算吸着量が前記第二触媒におけるアンモニアの限界吸着量に達しなくても、少なくとも1回、前記昇温制御を行うことを特徴とする構成1に記載の排気浄化装置。
構成8:
前記制御手段は、前記内燃機関の始動後、前記三元触媒が活性状態になった時点で前記昇温制御を開始することを特徴とする構成7に記載の排気浄化装置。
【符号の説明】
【0082】
1 排気浄化システム、2 内燃機関、4 排気通路、6 三元触媒、12 第二触媒、14 記憶部、16 制御部、18 排気空燃比センサ、20 NOxセンサ、22 温度センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7