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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123811
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20240905BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240905BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G02F1/1335 505
G02F1/1368
G09F9/30 349D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031520
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】植田 智志
(72)【発明者】
【氏名】美崎 克紀
【テーマコード(参考)】
2H192
2H291
5C094
【Fターム(参考)】
2H192AA24
2H192BB12
2H192BB13
2H192CB02
2H192CB05
2H192CB34
2H192CB35
2H192CB37
2H192EA03
2H192EA17
2H192EA34
2H192EA42
2H192JA33
2H192JB01
2H192JB02
2H291FA02Y
2H291FA15Y
2H291FA40Y
2H291FD20
2H291FD25
2H291GA19
2H291HA15
2H291LA03
2H291LA21
2H291MA02
2H291MA11
5C094AA11
5C094BA27
5C094BA43
5C094CA19
5C094ED03
5C094ED12
5C094ED15
5C094HA08
5C094JA08
5C094JA13
(57)【要約】
【課題】反射率の低下を図る
【解決手段】表示装置11は、第1カラーフィルタ29Gと、第2カラーフィルタ29Bと、第1画素電極28Aと、第2画素電極28Bと、共通電極30と、絶縁膜35と、第1カラーフィルタ29Gと第2カラーフィルタ29Bとの境界に配される遮光部37と、を備え、遮光部37は、遮光膜38と、遮光膜38の上層側に配される第1透過膜39と、第1透過膜39の上層側に配される反射透過膜40と、を有し、遮光膜38は、第1透過膜39及び反射透過膜40よりも光の透過率が低く、第1透過膜39は、反射透過膜40よりも光の透過率が高く、反射透過膜40は、第1透過膜39よりも光の反射率が高く、遮光膜38よりも光の反射率が低い。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カラーフィルタと、
前記第1カラーフィルタと同層に配されて前記第1カラーフィルタとは異なる色を呈する第2カラーフィルタと、
前記第1カラーフィルタよりも上層側に配されて前記第1カラーフィルタと重畳して配される第1画素電極と、
前記第2カラーフィルタよりも上層側に配されて前記第2カラーフィルタと重畳して配される第2画素電極と、
前記第1画素電極及び前記第2画素電極よりも上層側または下層側に配されて前記第1画素電極及び前記第2画素電極と重畳する共通電極と、
前記第1画素電極及び前記第2画素電極と前記共通電極との間に介在する絶縁膜と、
前記第1カラーフィルタ及び前記第2カラーフィルタよりも上層側にて、前記第1カラーフィルタと前記第2カラーフィルタとの境界に配される遮光部と、を備え、
前記遮光部は、遮光膜と、前記遮光膜の上層側に配される第1透過膜と、前記第1透過膜の上層側に配される反射透過膜と、を有し、
前記遮光膜は、前記第1透過膜及び前記反射透過膜よりも光の透過率が低く、
前記第1透過膜は、前記反射透過膜よりも光の透過率が高く、
前記反射透過膜は、前記第1透過膜よりも光の反射率が高く、前記遮光膜よりも光の反射率が低い表示装置。
【請求項2】
前記反射透過膜は、膜厚が3nm~20nmの範囲とされる請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1透過膜は、膜厚が20nm~100nmの範囲とされる請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記反射透過膜は、前記遮光膜と同じ材料からなり、前記遮光膜よりも膜厚が小さい請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記遮光部は、前記第1画素電極及び前記第2画素電極と前記共通電極とのうちの上層側に位置する電極である上層電極の上層側に配される請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項6】
前記遮光部は、前記反射透過膜の上層側に配される第2透過膜を有しており、
前記第2透過膜は、前記遮光部の形成範囲外に延在し、前記遮光部の形成範囲外において前記上層電極を覆う請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記遮光部は、前記第1画素電極及び前記第2画素電極と前記共通電極とのうちの上層側に位置する電極である上層電極の下層側で前記絶縁膜の上層側に配される請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1透過膜は、前記遮光部の形成範囲外に延在し、前記遮光部の形成範囲外において前記絶縁膜に接して配される請求項7記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1透過膜は、前記絶縁膜と同じ屈折率の材料からなる請求項8記載の表示装置。
【請求項10】
前記遮光膜及び前記反射透過膜は、互いに重畳して配される請求項8記載の表示装置。
【請求項11】
前記遮光部は、前記反射透過膜よりも上層側に配される第2透過膜を有しており、
前記第2透過膜は、前記遮光部の形成範囲外に延在し、前記遮光部の形成範囲の内外にわたって前記上層電極を覆う請求項7記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1カラーフィルタ、前記第2カラーフィルタ、前記第1画素電極、前記第2画素電極、前記共通電極、前記絶縁膜及び前記遮光部が設けられる第1基板と、
前記第1基板と対向して配される第2基板と、を備える請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1基板と前記第2基板との間に介在する液晶層と、
前記第1基板に設けられて前記液晶層に臨む上面を有する配向膜と、を備えており、
前記遮光部は、前記反射透過膜よりも上層側に配される第2透過膜を有しており、
前記第2透過膜は、前記遮光部の形成範囲外に延在し、少なくとも前記遮光部の形成範囲外において前記第1画素電極及び前記第2画素電極と前記共通電極とのうちの上層側に位置する電極である上層電極を覆っており、
前記配向膜は、前記第2透過膜の上層側に配される請求項12記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置の一例として下記特許文献1に記載された液晶表示装置が知られている。特許文献1に記載の液晶表示装置は、走査信号線と、映像信号線と、第1電極と、カラーフィルタと、前記映像信号線に沿って前記第1電極に接触した共通配線と、前記共通配線上に位置する反射抑制層と、前記反射抑制層上に位置する透明層と、第2電極と、を備えた第1基板と、前記第1基板上に位置する液晶層と、前記液晶層上に位置する第2基板と、を備え、前記透明層の膜厚が、10nm以上、40nm以下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-68016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載の液晶表示装置では、干渉条件を0次とし、透明層の膜厚を30nmとすることで、可視波長域のほぼ全域で反射率を低下させている。しかしながら、650nmを超える波長領域では反射率が5%以上になるため、反射光量を十分に抑制できているとは言えず、さらには反射光が赤色に色付くという問題があった。
【0005】
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、反射率の低下を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書に記載の技術に関わる表示装置は、第1カラーフィルタと、前記第1カラーフィルタと同層に配されて前記第1カラーフィルタとは異なる色を呈する第2カラーフィルタと、前記第1カラーフィルタよりも上層側に配されて前記第1カラーフィルタと重畳して配される第1画素電極と、前記第2カラーフィルタよりも上層側に配されて前記第2カラーフィルタと重畳して配される第2画素電極と、前記第1画素電極及び前記第2画素電極よりも上層側または下層側に配されて前記第1画素電極及び前記第2画素電極と重畳する共通電極と、前記第1画素電極及び前記第2画素電極と前記共通電極との間に介在する絶縁膜と、前記第1カラーフィルタ及び前記第2カラーフィルタよりも上層側にて、前記第1カラーフィルタと前記第2カラーフィルタとの境界に配される遮光部と、を備え、前記遮光部は、遮光膜と、前記遮光膜の上層側に配される第1透過膜と、前記第1透過膜の上層側に配される反射透過膜と、を有し、前記遮光膜は、前記第1透過膜及び前記反射透過膜よりも光の透過率が低く、前記第1透過膜は、前記反射透過膜よりも光の透過率が高く、前記反射透過膜は、前記第1透過膜よりも光の反射率が高く、前記遮光膜よりも光の反射率が低い。
【0007】
(2)また、上記表示装置は、上記(1)に加え、前記反射透過膜は、膜厚が3nm~20nmの範囲とされてもよい。
【0008】
(3)また、上記表示装置は、上記(1)または上記(2)に加え、前記第1透過膜は、膜厚が20nm~100nmの範囲とされてもよい。
【0009】
(4)また、上記表示装置は、上記(1)から上記(3)のいずれかに加え、前記反射透過膜は、前記遮光膜と同じ材料からなり、前記遮光膜よりも膜厚が小さくてもよい。
【0010】
(5)また、上記表示装置は、上記(1)から上記(4)のいずれかに加え、前記遮光部は、前記第1画素電極及び前記第2画素電極と前記共通電極とのうちの上層側に位置する電極である上層電極の上層側に配されてもよい。
【0011】
(6)また、上記表示装置は、上記(5)に加え、前記遮光部は、前記反射透過膜の上層側に配される第2透過膜を有しており、前記第2透過膜は、前記遮光部の形成範囲外に延在し、前記遮光部の形成範囲外において前記上層電極を覆ってもよい。
【0012】
(7)また、上記表示装置は、上記(1)から上記(4)のいずれかに加え、前記遮光部は、前記第1画素電極及び前記第2画素電極と前記共通電極とのうちの上層側に位置する電極である上層電極の下層側で前記絶縁膜の上層側に配されてもよい。
【0013】
(8)また、上記表示装置は、上記(7)に加え、前記第1透過膜は、前記遮光部の形成範囲外に延在し、前記遮光部の形成範囲外において前記絶縁膜に接して配されてもよい。
【0014】
(9)また、上記表示装置は、上記(8)に加え、前記第1透過膜は、前記絶縁膜と同じ屈折率の材料からなってもよい。
【0015】
(10)また、上記表示装置は、上記(8)または上記(9)に加え、前記遮光膜及び前記反射透過膜は、互いに重畳して配されてもよい。
【0016】
(11)また、上記表示装置は、上記(7)から上記(10)のいずれかに加え、前記遮光部は、前記反射透過膜よりも上層側に配される第2透過膜を有しており、前記第2透過膜は、前記遮光部の形成範囲外に延在し、前記遮光部の形成範囲の内外にわたって前記上層電極を覆ってもよい。
【0017】
(12)また、上記表示装置は、上記(1)から上記(11)のいずれかに加え、前記第1カラーフィルタ、前記第2カラーフィルタ、前記第1画素電極、前記第2画素電極、前記共通電極、前記絶縁膜及び前記遮光部が設けられる第1基板と、前記第1基板と対向して配される第2基板と、を備えてもよい。
【0018】
(13)また、上記表示装置は、上記(12)に加え、前記第1基板と前記第2基板との間に介在する液晶層と、前記第1基板に設けられて前記液晶層に臨む上面を有する配向膜と、を備えており、前記遮光部は、前記反射透過膜よりも上層側に配される第2透過膜を有しており、前記第2透過膜は、前記遮光部の形成範囲外に延在し、少なくとも前記遮光部の形成範囲外において前記第1画素電極及び前記第2画素電極と前記共通電極とのうちの上層側に位置する電極である上層電極を覆っており、前記配向膜は、前記第2透過膜の上層側に配されてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本明細書に記載の技術によれば、反射率の低下を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1に係るヘッドマウントディスプレイを使用者が頭部に装着した状態を示す概略斜視図
図2】実施形態1に係るヘッドマウントディスプレイを構成する頭部装着器具に備わる液晶表示装置及びレンズ部と、使用者の眼球と、の光学的関係を示す概略側面図
図3】実施形態1に係る液晶表示装置に備わる液晶パネル及びフレキシブル基板の概略平面図
図4】実施形態1に係る液晶パネルの概略的な断面図
図5】実施形態1に係る液晶パネルの表示領域における画素配列を示す平面図
図6】実施形態1に係る液晶パネルにおける図5のvi-vi線断面図
図7】実施形態1に係る液晶パネルにおける図5のvii-vii線断面図
図8】実施形態1に係る液晶パネルに備わる画素電極、共通電極、配向膜及び遮光部等を拡大した断面図
図9】実施形態1に係る実証実験1における遮光部に係る反射スペクトルを示すグラフ
図10】実施形態2に係る液晶パネルに備わる画素電極、共通電極、配向膜及び遮光部等を拡大した断面図
図11】実施形態2に係る実証実験2における遮光部に係る反射スペクトルを示すグラフ
図12】実施形態3に係る液晶パネルに備わる画素電極、共通電極、配向膜及び遮光部等を拡大した断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
実施形態1を図1から図9によって説明する。本実施形態では、ゴーグル型のヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head-Mounted Display)10HMD及びそれに用いられる液晶表示装置10を例示する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。
【0022】
図1を用いてゴーグル型のヘッドマウントディスプレイ10HMDの外観を説明する。ヘッドマウントディスプレイ10HMDは、図1に示すように、使用者の頭部10HDに装着される頭部装着器具10HMDaを備える。頭部装着器具10HMDaは、使用者の両方の眼を囲っている。
【0023】
図2を用いて頭部装着器具10HMDaの構成を説明する。頭部装着器具10HMDaには、図2に示すように、画像を表示する液晶表示装置10と、液晶表示装置10に表示された画像を使用者の眼球10EYに結像させるレンズ部10REと、が少なくとも内蔵されている。液晶表示装置10は、液晶パネル(表示装置)11と、液晶パネル11に光を照射するバックライト装置(照明装置)12と、を少なくとも備える。液晶パネル11のうちの、レンズ部10RE側の主面が、画像を表示する表示面11DSとされる。レンズ部10REは、液晶表示装置10と使用者の眼球10EYとの間に介在するよう配される。レンズ部10REにより光に屈折作用が付与される。このレンズ部10REの焦点距離を調整することで、使用者は、眼球10EYの水晶体10EYaを介して網膜10EYbに結像される像が、眼球10EYからの距離L2の位置に見かけ上存在する仮想ディスプレイ10VDに表示されている、と認識することができる。この距離L2は、眼球10EYから液晶表示装置10までの実際の距離L1よりも遙かに大きい。これにより、使用者は、液晶表示装置10の画面サイズ(例えば0.数インチから数インチ程度)よりも遙かに大きな画面サイズ(例えば数十インチから数百インチ程度)の仮想ディスプレイ10VDに表示された虚像である拡大画像を視認することができる。
【0024】
なお、頭部装着器具10HMDaに液晶表示装置10を1つ搭載し、その液晶表示装置10に右目用画像と左目用画像とを表示させることが可能である。それ以外に、頭部装着器具10HMDaに液晶表示装置10を2つ搭載し、一方の液晶表示装置10に右目用画像を、他方の液晶表示装置10に左目用画像を、それぞれ表示させことも可能である。また、頭部装着器具10HMDaには、使用者の耳に宛てがわれて音声を発するイヤフォンなどが備えられてもよい。
【0025】
図3等を用いて液晶表示装置10に備わる液晶パネル11の構成について説明する。なお、バックライト装置12の構成は、既知の通りであり、例えば、LEDなどの光源や光源からの光に光学作用を付与することで面状の光に変換する光学部材などを有する。液晶パネル11は、図3に示すように、平面に視て全体として方形状をなしている。液晶パネル11は、画面の中央側部分が、画像が表示される表示領域AAとされる。液晶パネル11は、画面における表示領域AAを取り囲む額縁状の外周側部分が、画像が表示されない非表示領域NAAとされる。図3において一点鎖線により囲った範囲が表示領域AAである。なお、本実施形態に係る液晶パネル11は、上記したヘッドマウントディスプレイ10HMDに用いられるものであることから、極めて高い精細度となっており、その画素密度は、例えば1000ppi以上程度とされる。
【0026】
液晶パネル11は、図3に示すように、一対の基板20,21を貼り合わせてなる。一対の基板20,21のうち、表側に配されるものが対向基板(第2基板、CF基板)20であり、裏側に配されるものがアレイ基板(第1基板、アクティブマトリクス基板)21である。対向基板20及びアレイ基板21は、いずれもほぼ透明で優れた透光性を有するガラス製の基板20GS,21GSの内面側に各種の膜が積層形成されてなるものとされる。基板20GS,21GSは、主な材料として例えば無アルカリガラスを含む。このうちのアレイ基板21は、対向基板20よりも大型となっていてその一部が対向基板20に対して側方に突き出している。アレイ基板21の突き出し部分21Aには、フレキシブル基板13が実装されている。フレキシブル基板13は、絶縁性及び可撓性を有する基材上に多数本の配線パターンを形成した構成とされる。フレキシブル基板13は、一端側がアレイ基板21に、他端側が外部のコントロール基板(信号供給源)に、それぞれ接続されている。コントロール基板から供給される各種信号は、フレキシブル基板13を介して液晶パネル11に伝送される。
【0027】
液晶パネル11の非表示領域NAAには、図3に示すように、回路部(周辺回路部)14が設けられている。回路部14には、第1回路部14Aと、第2回路部14Bと、が含まれる。第1回路部14Aは、表示領域AAをX軸方向について両側から挟み込む形で一対が配されている。第1回路部14Aは、Y軸方向に沿って延在する帯状の範囲に設けられている。第1回路部14Aは、後述するゲート配線25に走査信号を供給するためのものであり、アレイ基板21にモノリシックに設けられている。第1回路部14Aは、GDM(Gate Driver Monolithic)回路である。第1回路部14Aは、走査信号を所定のタイミングで出力するシフトレジスタ回路や走査信号を増幅するためのバッファ回路等を含む。第2回路部14Bは、Y軸方向について表示領域AAとフレキシブル基板13との間に挟まれた位置に配されている。第2回路部14Bは、X軸方向に沿って延在する帯状の範囲に設けられている。第2回路部14Bは、後述するソース配線26に画像信号(データ信号)を供給するためのものであり、アレイ基板21にモノリシックに設けられている。第2回路部14Bは、SSD(Source Shared Driving)回路等を含む。第2回路部14Bは、フレキシブル基板13により供給される画像信号を、各ソース配線26に振り分けるスイッチ機能等を有している。
【0028】
次に、図4を用いて液晶パネル11の断面構成の概略を説明する。一対の基板20,21は、図4に示すように、基板20,21の板面の法線方向であるZ軸方向に間隔を空けて対向して配される。一対の基板20,21の間には、少なくとも、液晶層22と、液晶層22を封止(シール)するシール部23と、が介在して設けられている。液晶層22は、電界印加に伴って光学特性が変化する物質である液晶分子を含む。シール部23は、全体として平面に視て方形の枠状(無端環状)をなしており、非表示領域NAAにて液晶層22を全周にわたって取り囲んでいる。このシール部23により液晶層22の厚さ分のギャップ(セルギャップ)が保持される。一対の基板20,21の外面側には、それぞれ偏光板24が貼り付けられている。
【0029】
アレイ基板21の表示領域AAにおける内面側には、図5に示すように、格子状をなす複数本ずつのゲート配線(走査配線)25及びソース配線(画像配線)26が配されている。ゲート配線25は、表示領域AAを横断する形で概ねX軸方向に沿って延在する。ゲート配線25は、複数がY軸方向に間隔を空けて並んで配される。複数のゲート配線25には、上記した第1回路部14Aから出力される走査信号が、図5の上段側から順に供給されるようになっている。ソース配線26は、表示領域AAを縦断する形で概ねY軸方向に沿って延在し、ゲート配線25と交差する。ソース配線26は、複数がX軸方向に間隔を空けて配される。ソース配線26には、上記した第2回路部14Bから出力される画像信号が分配される。ゲート配線25及びソース配線26の交差部位付近には、TFT(スイッチング素子)27及び画素電極28が設けられている。TFT27及び画素電極28は、X軸方向及びY軸方向に沿って複数ずつ規則的に並んで配されている。TFT27には、ゲート配線25、ソース配線26及び画素電極28が接続されている。TFT27は、ゲート配線25に供給される走査信号に基づいて駆動されると、ソース配線26に供給される画像信号に基づいた電位に画素電極28を充電する。画素電極28は、Y軸方向を長手方向とした長手状をなしている。画素電極28のうち、長手方向の一方(図5の下側)の端側部分が、当該画素電極28の接続対象となるTFT27に接続されるゲート配線25と重畳する。
【0030】
アレイ基板21の表示領域AAにおける内面側には、図6に示すように、画素電極28に加えてカラーフィルタ29が設けられている。つまり、本実施形態に係る液晶パネル11は、COA(Color Filter On Array)構造である、と言える。カラーフィルタ29は、画素電極28と重畳して配され、重畳する画素電極28と共に表示単位である画素を構成する。カラーフィルタ29には、互いに異なる色を呈する複数種類(3種類)が含まれる。互いに異なる色を呈する3種類のカラーフィルタ29は、ゲート配線25の延在方向(X軸方向)に隣り合うよう並んで配される。互いに異なる色を呈する複数種類のカラーフィルタ29は、ソース配線26の延在方向(概ねY軸方向)に沿って延在している。このように、互いに異なる色を呈する複数種類のカラーフィルタ29は、全体としてストライプ状に配列されている(図5を参照)。互いに異なる色を呈する複数のカラーフィルタ29は、その境界(色境界)がソース配線26と重畳する配置とされる。
【0031】
具体的には、カラーフィルタ29には、図6に示すように、緑色を呈する第1カラーフィルタ(緑色カラーフィルタ)29Gと、青色を呈する第2カラーフィルタ(青色カラーフィルタ)29Bと、赤色を呈する第3カラーフィルタ(赤色カラーフィルタ)29Rと、の3種類が含まれる。以下では、カラーフィルタ29を区別する場合には、緑色を呈する第1カラーフィルタの符号に添え字Gを、青色を呈する第2カラーフィルタの符号に添え字Bを、赤色を呈する第3カラーフィルタの符号に添え字Rを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
【0032】
第1カラーフィルタ29Gは、緑色の波長領域(約500nm~約570nm)に含まれる波長の緑色光を選択的に透過する。第2カラーフィルタ29Bは、青色の波長領域(約400nm~約500nm)に含まれる青色光を選択的に透過する。第3カラーフィルタ29Rは、赤色の波長領域(約600nm~約780nm)に含まれる波長の赤色光を選択的に透過する。本実施形態では、カラーフィルタ29は、図6の左側から第3カラーフィルタ29R、第1カラーフィルタ29G、第2カラーフィルタ29Bの順で繰り返し並ぶ配列とされる。
【0033】
第1カラーフィルタ29Gは、図6に示すように、重畳する画素電極28と共に緑色を呈する第1画素(緑色画素)GPXを構成する。第1画素GPXを構成する画素電極28を第1画素電極28Aとする。第2カラーフィルタ29Bは、重畳する画素電極28と共に青色を呈する第2画素(青色画素)BPXを構成する。第2画素BPXを構成する画素電極28を第2画素電極28Bとする。第3カラーフィルタ29Rは、重畳する画素電極28と共に赤色を呈する第3画素(赤色画素)RPXを構成する。第3画素RPXを構成する画素電極28を第3画素電極28Cとする。この液晶パネル11においては、X軸方向に沿って並ぶ3色の画素GPX,BPX,RPXによって所定の階調のカラー表示を可能な表示画素が構成されている。各画素GPX,BPX,RPXにおけるY軸方向の配列ピッチは、X軸方向の配列ピッチの3倍程度とされる。
【0034】
アレイ基板21の表示領域AAにおける内面側には、図6に示すように、共通電極30が設けられている。共通電極30は、画素電極28よりも上層側に位置しており、表示領域AAのほぼ全域にわたって配されている。これにより、共通電極30は、表示領域AAに配される全ての画素電極28に対して重畳する。このように、本実施形態に係るアレイ基板21では、画素電極28と共通電極30とのうちの上層側に位置する電極である「上層電極」が共通電極30であり、下層側に位置する電極である「下層電極」が画素電極28である。共通電極30のうち、複数の画素電極28に対して重畳する部分には、複数のスリット30Aがそれぞれ開口形成されている。共通電極30には、共通電位(基準電位)とされる共通電位信号が供給されている。TFT27の駆動に伴って画素電極28がソース配線26に伝送される画像信号に基づく電位に充電されると、画素電極28と共通電極30との間には電位差が生じる。すると、共通電極30におけるスリット30Aの開口縁と画素電極28との間には、アレイ基板21の板面に沿う成分に加えて、アレイ基板21の板面に対する法線方向の成分を含むフリンジ電界(斜め電界)が生じる。従って、このフリンジ電界を利用することで液晶層22に含まれる液晶分子の配向状態を制御することができ、この液晶分子の配向状態に基づいて所定の表示がなされる。つまり、本実施形態に係る液晶パネル11は、動作モードがFFS(Fringe Field Switching)モードとされている。
【0035】
続いて、図6及び図7を用いてアレイ基板21のガラス基板21GSに積層される各種の膜について詳しく説明する。アレイ基板21のガラス基板21GSには、図6及び図7に示すように、下層側(ガラス基板21GS側)から順に、半導体膜、第1絶縁膜31、第1金属膜、第2絶縁膜32、第2金属膜、第3絶縁膜33、第1透明電極膜、カラーフィルタ29、第4絶縁膜34、第2透明電極膜、第5絶縁膜35、第3透明電極膜、第3金属膜、第1透明膜、第4金属膜、第2透明膜、配向膜36が少なくとも積層形成されている。なお、対向基板20のガラス基板20GSには、配向膜20PIが形成されている。
【0036】
第1金属膜、第2金属膜、第3金属膜及び第4金属膜は、いずれも1種類の金属材料からなる単層膜または異なる種類の金属材料からなる積層膜や合金とされることで導電性及び遮光性を有している。このうち、第1金属膜は、ゲート配線25を構成する。第2金属膜は、ソース配線26を構成する。第1透明電極膜、第2透明電極膜及び第3透明電極膜は、例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明電極材料からなる。このうち、第2透明電極膜は、画素電極28を構成する。第3透明電極膜は、共通電極30を構成する。第2透明電極膜及び第3透明電極膜の材料は、いずれも例えばITOとされ、それぞれの膜厚は例えば70nm程度とされる。
【0037】
第1絶縁膜31、第2絶縁膜32、第3絶縁膜33及び第5絶縁膜35は、いずれも無機材料(無機樹脂材料)の一種であるSiO(酸化シリコン、シリコン酸化物)、SiN(窒化シリコン)等からなる。このうち、第2絶縁膜32は、ゲート配線25とソース配線26との間に介在してこれらを絶縁状態に保つ。第5絶縁膜35は、画素電極28と共通電極30との間に介在してこれらを絶縁状態に保つ。第5絶縁膜35の材料は、例えばSiNとされ、その膜厚は例えば100nm程度とされる。第4絶縁膜34は、有機材料(有機樹脂材料)の一種であるPMMA(アクリル樹脂)等からなる。有機材料からなる第4絶縁膜34は、無機材料からなる第1絶縁膜31、第2絶縁膜32、第3絶縁膜33及び第5絶縁膜35よりも膜厚が大きいのが通常である。第1絶縁膜31、第2絶縁膜32、第3絶縁膜33、第4絶縁膜34及び第5絶縁膜35は、いずれもほぼ透明である。第1透明膜及び第2透明膜に関しては、後に改めて説明する。
【0038】
配向膜36は、例えばポリイミド等の有機材料からなる。配向膜36は、液晶層22に臨む上面に光配向処理が施されることで、液晶分子を配向させる機能を有する。配向膜36の膜厚は、例えば85nm程度とされる。配向膜36の材料をポリイミドとした場合、配向膜36の屈折率は、1.7程度とされる。対向基板20に備わる配向膜20PIも、アレイ基板21に備わる配向膜36と同様である。
【0039】
半導体膜は、酸化物半導体材料からなる。詳しくは、半導体膜は、例えば酸化物半導体の一種であるインジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を含む酸化物薄膜からなる。インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を含む酸化物薄膜は、非晶質または結晶質とされている。半導体膜の酸化物半導体材料は、シリコン半導体材料に比べると、電圧が印加されない状態(オフ状態)での抵抗値が高い特性を有する。また、半導体膜の酸化物半導体材料は、アモルファスシリコン半導体材料に比べると、高い電子移動度を有している。このような半導体膜を用いてTFT27を設けることで、TFT27のオフリーク電流を低減することができるので、低消費電力化等を図ることができる。また、TFT27を小型化することができるので、液晶パネル11の精細度の向上を図る上で好適である。特に液晶パネル11をヘッドマウントディスプレイ10HMDに用いる上で好適である。
【0040】
なお、アレイ基板21には、上記した半導体膜よりも下層側に別の半導体膜(第2の半導体膜)を設けるようにしてもよい。この第2の半導体膜は、例えばシリコン半導体材料からなる。より具体的には、第2の半導体膜として、多結晶化されたシリコン薄膜(多結晶シリコン薄膜)の一種であるCGシリコン(Continuous Grain Silicon)薄膜を用いることができる。CGシリコン薄膜は、例えばアモルファスシリコン薄膜に金属材料を添加し、550℃以下程度の低温で短時間の熱処理を行うことで形成されており、それによりシリコン結晶の結晶粒界における原子配列に連続性を有している。第2の半導体膜のシリコン半導体材料は、酸化物半導体材料に比べると、さらに高い電子移動度を有している。このような第2の半導体膜を用いて回路部14に含まれるTFTを設けることができる。このようにすれば、回路部14に含まれるTFTのスイッチング速度を高速化することができるので、表示領域AAの画素電極28により表示される画像にフリッカや残像等の表示不良が生じ難くなる。
【0041】
続いて、TFT27について詳しく説明する。TFT27は、図5及び図7に示すように、ゲート電極27Aと、ソース電極27Bと、ドレイン電極27Cと、半導体部27Dと、を有する。半導体部27Dは、半導体膜からなる。半導体部27Dは、ソース電極27B、ドレイン電極27C及びゲート電極27Aのいずれよりも下層側に位置する。半導体部27Dは、ゲート配線25及びソース配線26の双方と交差するよう斜めに延在する。半導体部27Dの一方の端側部分がソース電極27B(ソース配26)と重畳し、他方の端側部分がドレイン電極27Cと重畳する。半導体部27Dの中央側部分がゲート電極27A(ゲート配線25)と重畳する。
【0042】
ゲート電極27Aは、ゲート配線25と同じ第1金属膜からなる。ゲート電極27Aは、図7に示すように、半導体部27Dに対して第1絶縁膜31を介して上層側に重畳して配される。ゲート電極27Aは、半導体部27Dのうちの中央側部分に対して重畳して配されている。ゲート電極27A及び半導体部27Dは、間に第1絶縁膜31が介在することで絶縁状態に保たれている。第1絶縁膜31は、ゲート電極27Aと重畳する範囲に限って設けられており、表示領域AAにおいて島状をなしている。ゲート電極27Aは、ゲート配線25の一部からなる(図5を参照)。ゲート電極27Aに走査信号が供給されると、ゲート電極27Aから半導体部27Dに作用する電界によって半導体部27Dにチャネル領域が生じる。
【0043】
ソース電極27Bは、ソース配線26と同じ第2金属膜35からなる。ソース電極27Bは、図7に示すように、半導体部27Dのうちの一方の端側部分に対して第2絶縁膜32を介して上層側に重畳して配される。ソース電極27Bは、ゲート電極27Aとは非重畳となる位置に配されている。ソース電極27Bは、ソース配線26の一部からなる(図5を参照)。ソース電極27Bと半導体部27Dとの間に介在する第2絶縁膜32には、第1コンタクトホール27CH1が設けられている。ソース電極27Bは、第2絶縁膜32の第1コンタクトホール27CH1を通して半導体部27Dのうちの一方の端側部分に接続されている。
【0044】
ドレイン電極27Cは、第1透明電極膜からなる。ドレイン電極27Cは、図5に示すように、Y軸方向に沿って延在し、一方(図5の上側)の端側部分が半導体部27Dの一部と重畳する。ドレイン電極27Cは、他方(図5の下側)の端側部分がゲート電極27Aや画素電極28の一部と重畳する。ドレイン電極27Cは、図7に示すように、一方の端側部分が、半導体部27Dにおける他方の端側部分に対して第2絶縁膜32及び第3絶縁膜33を介して上層側に重畳して配される。ドレイン電極27Cと半導体部27Dとの間に介在する第2絶縁膜32及び第3絶縁膜33には、第2コンタクトホール27CH2が設けられている。ドレイン電極27Cは、第2絶縁膜32及び第3絶縁膜33の第2コンタクトホール27CH2を通して半導体部27Dのうちの他方の端側部分に接続されている。
【0045】
ドレイン電極27Cは、図7に示すように、他方の端側部分が、半導体部27Dにおける中央側部分とゲート電極27Aとに対して第2絶縁膜32及び第3絶縁膜33を介して上層側に重畳して配される。ドレイン電極27Cは、ゲート電極27Aの大部分に対しても重畳して配されている。ドレイン電極27C及びゲート電極27Aは、間に第2絶縁膜32及び第3絶縁膜33が介在することで絶縁状態に保たれている。ドレイン電極27Cは、他方の端側部分が、画素電極28における長手方向の一方の端側部分に対してカラーフィルタ29及び第4絶縁膜34を介して下層側に重畳して配される。ドレイン電極27Cと画素電極28との間に介在するカラーフィルタ29及び第4絶縁膜34には、第3コンタクトホール27CH3が設けられている。ドレイン電極27Cは、カラーフィルタ29及び第4絶縁膜34の第3コンタクトホール27CH3を通して画素電極28における長手方向の一方の端側部分に接続されている。
【0046】
アレイ基板21の表示領域AAにおける内面側には、図6及び図7に示すように、カラーフィルタ29よりも上層側に位置する遮光部37が設けられている。本実施形態では、遮光部37は、共通電極30の上層側に配されている。遮光部37は、例えばバックライト装置12から液晶パネル11に向けて照射される光を遮ることができる。遮光部37は、図5に示すように、平面形状が略格子状をなしており、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ隣り合う画素電極28の間を仕切っている。遮光部37は、ゲート配線25及びソース配線26と平面に視て重畳する配置とされる。詳しくは、遮光部37は、X軸方向に沿って延在して複数のゲート配線25と重畳する複数の第1遮光部37Aと、Y軸方向に沿って延在して複数のソース配線26と重畳する複数の第2遮光部37Bと、を有する。なお、図6には、第2遮光部37Bが図示され、図7には、第1遮光部37Aが図示されている。画素電極28を挟む関係となる2つずつの第1遮光部37A及び第2遮光部37Bによって囲まれた領域が、画素電極28の開口範囲を画定する。上記領域は、画素電極28と重畳するカラーフィルタ29の透過光を透過し、液晶パネル11の外部へ出光させる。第1遮光部37Aは、Y軸方向に沿って並ぶ複数の画素電極28の間を仕切っており、Y軸方向に隣り合う画素GPX,BPX,RPXの間で行き交おうとする光を遮ることができる。第2遮光部37Bは、X軸方向に沿って並ぶ複数の画素電極28の間を仕切るとともに、互いに異なる色を呈するカラーフィルタ29G,29B,29Rの境界に配されている。この第2遮光部37Bによって、X軸方向に隣り合う画素GPX,BPX,RPXの間で行き交おうとする光を遮ることができる。つまり、第2遮光部37Bは、互いに異なる色を呈する画素GPX,BPX,RPX間の混色を防ぐことができる。以上のように、遮光部37によって各画素GPX,BPX,RPXの表示独立性が担保されるようになっている。なお、遮光部37は、アレイ基板21の非表示領域NAAにも設けられてもよい。その場合、遮光部37は、アレイ基板21の非表示領域NAAにおいてベタ状に配される。
【0047】
このように、本実施形態に係る液晶パネル11は、図6に示すように、画素GPX,BPX,RPXを構成する画素電極28及びカラーフィルタ29に加えて遮光部37がアレイ基板21に設けられたCOA構造となっている。ここで、液晶パネル11の製造過程において、アレイ基板21と対向基板20とを対向させた状態で貼り合わせる際には、両基板20,21の間に、両基板20,21の主面に沿う方向(X軸方向やY軸方向)に位置ずれが生じる可能性がある。以下で用いられる「位置ずれ」の文言は、「両基板20,21の主面に沿う方向についての位置ずれ」を意味する。両基板20,21間に上記した位置ずれが生じた場合であっても、第1カラーフィルタ29Gと第1画素電極28Aとが位置ずれしたり、第2カラーフィルタ29Bと第2画素電極28Bとが位置ずれしたり、第3カラーフィルタ29Rと第3画素電極28Cとが位置ずれしたり、各カラーフィルタ29G,29B,29Rと遮光部37とが位置ずれしたりする事態が避けられる。特に、ヘッドマウントディスプレイ10HMDに用いられる液晶パネル11のように、高精細化が進行した場合に好適となる。
【0048】
遮光部37の詳しい構成について図8を参照しつつ説明する。本実施形態に係る遮光部37は、図8に示すように、下記のような多層膜構造となっている。すなわち、遮光部37は、遮光膜38と、遮光膜38の上層側に配される第1透過膜39と、第1透過膜39の上層側に配される反射透過膜40と、を少なくとも有する。
【0049】
遮光膜38は、第3金属膜からなる。つまり、遮光部37の中で最下層に位置する遮光膜38は、図8に示すように、第3透明電極膜からなる共通電極30の上層側に配されている。遮光膜38を構成する第3金属膜の金属材料としては、例えばMo(モリブデン)、W(タングステン)、MoとWとの合金であるMoW(モリブデンタングステン)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)等を用いることができる。具体的には、遮光膜38の材料は、Moとされてもよい。遮光膜38の膜厚は、バックライト装置12から照射される光を遮る機能を発揮するため、30nm以上とされるのが好ましく、例えば60nm程度とされてもよい。遮光膜38は、第1透過膜39及び反射透過膜40に比べると、光の透過率が低くて遮光性が高い。また、遮光膜38は、第1透過膜39及び反射透過膜40に比べると、光の反射率が高い。
【0050】
第1透過膜39は、第3金属膜の上層側に配される第1透明膜からなる。第1透過膜39を構成する第1透明膜の材料としては、ほぼ透明で屈折率が高い材料が好ましく、例えばSiN、SiO、ITO等を用いることができる。つまり、第1透過膜39の材料は、絶縁材料であっても導電材料であってもよい。具体的には、第1透過膜39の材料は、SiNとされてもよい。第1透過膜39の材料をSiNとした場合、第1透過膜39の屈折率は1.9程度となる。第1透過膜39の膜厚は、第1透過膜39が、後述する薄膜干渉による反射光の低減機能を発揮するため、20nm~100nmの範囲とされるのが好ましく、例えば60nm程度とされてもよい。第1透過膜39の膜厚は、遮光膜38の膜厚と同じでもよい。第1透過膜39は、ほぼ透明であり、反射透過膜40に比べると、光の透過率が高い。
【0051】
反射透過膜40は、第4金属膜からなる。反射透過膜40を構成する第3金属膜の金属材料としては、例えばMo、W、MoW、Al、Cu等を用いることができる。本実施形態では、第4金属膜の材料は、第3金属膜の材料と同一とされる。具体的には、反射透過膜40の材料は、Moとされてもよい。反射透過膜40の膜厚は、遮光膜38の膜厚よりも小さい。反射透過膜40の膜厚は、反射透過膜40が、後述する外光の反射を低減する機能と、後述する遮光膜38による反射光を再反射する機能と、を発揮するため、3nm~20nmの範囲とされるのが好ましく、例えば5nm程度とされてもよい。反射透過膜40は、第1透過膜39に比べると、光の透過率が低いのに加え、光の反射率が高くて遮光性が高い。反射透過膜40は、遮光膜38に比べると、光の透過率が高いのに加え、光の反射率が低い。
【0052】
このような構成の遮光部37を構成する遮光膜38、第1透過膜39及び反射透過膜40は、互いに重畳し合う関係とされ、平面に視ていずれかの膜がはみ出すことがない。従って、アレイ基板21の製造に際しては、第3金属膜、第1透明膜及び第4金属膜を連続して成膜してから、フォトレジスト膜を成膜・露光・現像し、パターニングされたフォトレジスト膜を介して第3金属膜、第1透明膜及び第4金属膜を一括してエッチング(例えばドライエッチング)することで、遮光膜38、第1透過膜39及び反射透過膜40をパターニングすることができる。
【0053】
遮光部37のうち、最も光の透過率が低い遮光膜38は、バックライト装置12から照射される光を遮るのに主に機能する。つまり、遮光膜38によりX軸方向及びY軸方向に隣り合う画素GPX,BPX,RPXの間で行き交おうとする光を遮ることができる。遮光膜38は、遮光部37の中で、光の透過率が最も低く、光の反射率が最も高い。このため、液晶パネル11に対して表側外部から入射する外光が遮光膜38により反射されることで生じる反射光の光量は、反射透過膜40による反射光の光量よりも多い。仮に遮光膜38による反射光がそのまま出射してしまうと、表示品位を著しく低下させるおそれがある。
【0054】
これに対し、遮光部37のうち、第1透過膜39及び反射透過膜40は、液晶パネル11に対して表側外部から入射する外光の反射を抑制するのに主に機能する。詳しくは、上記した外光は、対向基板20及び液晶層22を透過すると、遮光部37のうちの反射透過膜40に入射する。反射透過膜40は、遮光膜38よりも光の反射率が低くて光の透過率が高いので、反射光の発生が抑制されている。本実施形態では、反射透過膜40の膜厚が5nmであり、20nm以下とされているので、遮光膜38よりも光の反射率が十分に低くて光の透過率が十分に高くなっており、それにより反射透過膜40による外光の反射が十分に抑制される。
【0055】
外光の一部は、反射透過膜40を透過し、第1透過膜39に入射する。第1透過膜39に入射した光の一部は、反射透過膜40と第1透過膜39との界面にて反射され、残りは、反射透過膜40よりも光の透過率が高い第1透過膜39を透過し、遮光膜38に入射する。遮光膜38に入射した光の一部は、第1透過膜39と遮光膜38との界面にて反射される。反射透過膜40と第1透過膜39との界面での反射光と、第1透過膜39と遮光膜38との界面での反射光と、は、第1透過膜39の屈折率及び膜厚に応じた干渉条件に基づいてある程度が打ち消される。具体的には、本実施形態では、第1透過膜39の膜厚が20nm~100nmの範囲とされ、第1透過膜39の屈折率が1.9程度とされており、それにより第1透過膜39を干渉膜とすることで極小化する反射率の波長が、比視感度が最も高い波長である555nmに十分に近くなっている。例えば、第1透過膜39の膜厚を20nm~100nmの範囲の中の60nm程度とすれば、第1透過膜39を干渉膜とすることで極小化する反射率の波長が550nm近傍となる。以上により、遮光部37による外光の反射を十分に抑制することができる。
【0056】
第1透過膜39と遮光膜38との界面、つまり遮光膜38の上面にて反射された光は、第1透過膜39を透過して反射透過膜40と第1透過膜39との界面に達する。反射透過膜40は、第1透過膜39よりも光の反射率が高いので、遮光膜38にて反射された光の一部を遮光膜38側に向かうよう再反射することができる。つまり、遮光膜38による反射光の一部は、遮光膜38と反射透過膜40との間で繰り返し反射され、表側外部に出射することがない。本実施形態では、反射透過膜40の膜厚が5nmであり、3nm以上とされているので、遮光膜38による反射光を反射透過膜40によって十分に再反射することができる。これにより、遮光膜38による反射光の出射が抑制される。以上のように、本実施形態に係る遮光部37によれば、第1透過膜39を干渉膜とすることで外光の反射が抑制されるのに加えて、遮光膜38よりも光の反射率が低い反射透過膜40によって外光の反射が抑制されるとともに、遮光膜38による反射光が反射透過膜40により再反射されることで出射が抑制される。このように、遮光部37の低反射化が実現されることで、遮光部37の設置に伴う表示品位の低下を十分に抑制することができる。
【0057】
遮光部37は、図8に示すように、反射透過膜40の上層側に配される第2透過膜41を有する。第2透過膜41は、遮光部37の形成範囲外に延在し、遮光部37の形成範囲外において共通電極30等を覆う。従って、第2透過膜41のうち、反射透過膜40と重畳する部分は、遮光部37を構成するものの、反射透過膜40とは非重畳となる部分は、遮光部37を構成しない。詳しくは、第2透過膜41は、アレイ基板21の主面内において少なくとも表示領域AAの全域にわたってベタ状に設けられている。第2透過膜41は、共通電極30のうち、遮光部37とは非重畳となる部分を覆うとともに、第5絶縁膜35のうち、共通電極30のスリット30Aと重畳する部分を覆う。このように、第2透過膜41のうち、遮光部37の形成範囲外に延在する部分によって共通電極30を保護することができる。
【0058】
第2透過膜41は、第2透明膜からなる。第2透過膜41を構成する第2透明膜の材料としては、ほぼ透明で屈折率が高い材料が好ましく、例えばSiN、SiO、ITO等を用いることができる。つまり、第2透過膜41の材料は、絶縁材料であっても導電材料であってもよい。第2透過膜41の材料は、第1透過膜39の材料と同一であってもよい。具体的には、第2透過膜41の材料は、SiNとされてもよい。第2透過膜41の材料をSiNとした場合、第2透過膜41の屈折率は1.9程度となる。第2透過膜41の膜厚は、第1透過膜39の膜厚よりも小さく、例えば20nmとされてもよい。第2透過膜41は、ほぼ透明であり、反射透過膜40に比べると、光の透過率が高い。
【0059】
液晶パネル11に対して表側外部から入射する外光は、反射透過膜40よりも先に第2透過膜41に入射する。第2透過膜41に入射した光の一部は、第2透過膜41の上面にて反射され、残りは、第2透過膜41を透過し、反射透過膜40に入射する。反射透過膜40に入射した光の一部は、第2透過膜41と反射透過膜40との界面にて反射される。第2透過膜41の上面での反射光と、第2透過膜41と反射透過膜40との界面での反射光と、は、第2透過膜41の屈折率及び膜厚に応じた干渉条件に基づいてある程度が打ち消される。具体的には、本実施形態では、第2透過膜41の膜厚が20nm程度とされ、第2透過膜41の屈折率が1.9程度とされており、それにより第2透過膜41を干渉膜とすることで極小化する反射率の波長を、550nm近傍とすることができる。以上により、遮光部37による外光の反射をより抑制することができる。
【0060】
上記した第2透過膜41の上層側には、図8に示すように、配向膜36が配されている。配向膜36は、ほぼ透明であり、反射透過膜40に比べると、光の透過率が高い。配向膜36の膜厚は、第1透過膜39の膜厚よりも大きい。配向膜36の屈折率は、第2透過膜41の屈折率よりも小さい。配向膜36は、第2透過膜41を全域にわたって覆うよう設けられている。従って、液晶パネル11に対して表側外部から入射する外光は、第2透過膜41よりも先に配向膜36に入射する。配向膜36に入射した光の一部は、配向膜36の上面にて反射され、残りは、配向膜36を透過し、第2透過膜41に入射する。第2透過膜41に入射した光の一部は、配向膜36と第2透過膜41との界面にて反射される。配向膜36の上面での反射光と、配向膜36と第2透過膜41との界面での反射光と、は、配向膜36の屈折率及び膜厚に応じた干渉条件に基づいてある程度が打ち消される。具体的には、本実施形態では、配向膜36の膜厚が85nm程度とされ、配向膜36の屈折率が1.7程度とされており、それにより配向膜36を干渉膜とすることで極小化する反射率の波長を、550nm近傍とすることができる。以上により、遮光部37による外光の反射を一層抑制することができる。
【0061】
次に、本実施形態に係る液晶パネル11を用いた実証実験1について説明する。実証実験1では、上記した構成の遮光部37を備える液晶パネル11において、遮光部37に対して上層側から照射される光の波長と、遮光部37による光の反射率と、の関係をシミュレーションにより試算した。試算結果を図9に示す。図9は、遮光部37に係る反射スペクトル(分光反射率)を示すグラフである。図9の縦軸が遮光部37による光の反射率(単位は「%」)であり、横軸が光の波長(単位は「nm」)である。実証実験1に係る液晶パネル11においては、下層側から順に、画素電極28の膜厚が70nmとされ、第5絶縁膜35の膜厚が100nmとされ、共通電極30の膜厚が70nmとされ、遮光膜38の膜厚が60nmとされ、第1透過膜39の膜厚が60nmで屈折率が1.9とされ、反射透過膜40の膜厚が5nmとされ、第2透過膜41の膜厚が20nmで屈折率が1.9とされ、配向膜36の膜厚が85nmで屈折率が1.7とされる。また、画素電極28及び共通電極30の材料がいずれもITOであり、遮光膜38及び反射透過膜40の材料がいずれもMoであり、第5絶縁膜35、第1透過膜39及び第2透過膜41の材料がいずれもSiNであり、配向膜36の材料がポリイミドである。
【0062】
実証実験1の結果について図9を用いて説明する。図9によれば、可視波長域のほぼ全域(少なくとも400nm~700nmの波長範囲)において遮光部37による光の反射率が5%以下となる結果が得られた。特に、赤色の波長領域である600nm~700nmの波長範囲においては、遮光部37による光の反射率が2%以下となっている。これにより、反射光が例えば赤色等の特定の色味を帯びる事態が生じ難くなっている、と言える。以上のように、遮光部37による外光の反射が抑制され、表示品位の向上を図ることができる。
【0063】
以上説明したように本実施形態の液晶パネル(表示装置)11は、第1カラーフィルタ29Gと、第1カラーフィルタ29Gと同層に配されて第1カラーフィルタ29Gとは異なる色を呈する第2カラーフィルタ29Bと、第1カラーフィルタ29Gよりも上層側に配されて第1カラーフィルタ29Gと重畳して配される第1画素電極28Aと、第2カラーフィルタ29Bよりも上層側に配されて第2カラーフィルタ29Bと重畳して配される第2画素電極28Bと、第1画素電極28A及び第2画素電極28Bよりも上層側または下層側に配されて第1画素電極28A及び第2画素電極28Bと重畳する共通電極30と、第1画素電極28A及び第2画素電極28Bと共通電極30との間に介在する第5絶縁膜(絶縁膜)35と、第1カラーフィルタ29G及び第2カラーフィルタ29Bよりも上層側にて、第1カラーフィルタ29Gと第2カラーフィルタ29Bとの境界に配される遮光部37と、を備え、遮光部37は、遮光膜38と、遮光膜38の上層側に配される第1透過膜39と、第1透過膜39の上層側に配される反射透過膜40と、を有し、遮光膜38は、第1透過膜39及び反射透過膜40よりも光の透過率が低く、第1透過膜39は、反射透過膜40よりも光の透過率が高く、反射透過膜40は、第1透過膜39よりも光の反射率が高く、遮光膜38よりも光の反射率が低い。
【0064】
第1カラーフィルタ29Gと第2カラーフィルタ29Bとの間を行き交おうとする光は、遮光部37のうち、第1透過膜39及び反射透過膜40よりも光の透過率が低い遮光膜38によって遮られる。これにより、混色が生じ難くなるので、第1画素電極28Aによる表示と、第2画素電極28Bによる表示と、が適切に行われる。
【0065】
遮光部37に対して上層側から入射する外光は、反射透過膜40に入射する。反射透過膜40は、遮光膜38よりも光の反射率が低いので、反射光の発生が抑制される。外光の一部は、反射透過膜40を透過し、第1透過膜39に入射する。第1透過膜39に入射した光の一部は、反射透過膜40と第1透過膜39との界面にて反射され、残りは、反射透過膜40よりも光の透過率が高い第1透過膜39を透過し、遮光膜38に入射する。遮光膜38に入射した光の一部は、第1透過膜39と遮光膜38との界面にて反射される。反射透過膜40と第1透過膜39との界面での反射光と、第1透過膜39と遮光膜38との界面での反射光と、は、第1透過膜39の屈折率及び膜厚に応じた干渉条件に基づいてある程度が打ち消される。これにより、遮光部37による外光の反射が抑制される。
【0066】
第1透過膜39と遮光膜38との界面にて反射された光は、第1透過膜39を透過して反射透過膜40と第1透過膜39との界面に達する。反射透過膜40は、第1透過膜39よりも光の反射率が高いので、遮光膜38にて反射された光の一部を遮光膜38側に向かうよう再反射することができる。これにより、遮光膜38による反射光の出射が抑制される。以上のように、第1透過膜39を干渉膜とすることで外光の反射が抑制されるのに加えて、遮光膜38よりも光の反射率が低い反射透過膜40によって外光の反射が抑制されるとともに、遮光膜38による反射光が反射透過膜40により再反射されることで出射が抑制される。これにより、可視波長域のほぼ全域において遮光部37による光の反射率を5%以下とすることができ、特に600nm~700nmの波長範囲において遮光部37による光の反射率を2%以下とすることができるとともに、反射光が特定の色味を帯びる事態が生じ難くなる。以上のように、遮光部37による外光の反射が抑制され、表示品位の向上を図ることができる。
【0067】
また、反射透過膜40は、膜厚が3nm~20nmの範囲とされる。仮に、反射透過膜40の膜厚が3nm未満であると、遮光膜38による反射光を反射透過膜40によって十分に再反射できなくなるおそれがあり、また反射透過膜40の成膜が困難になるおそれがある。仮に、反射透過膜40の膜厚が20nmを超えると、反射透過膜40によって多くの外光を反射してしまい、遮光部37による外光の反射が十分に抑制されないおそれがある。その点、反射透過膜40の膜厚が3nm~20nmの範囲とされることで、遮光膜38による反射光を反射透過膜40によって十分に再反射することができるとともに、反射透過膜40による外光の反射を十分に抑制することができ、さらには反射透過膜40を容易に成膜することができる。
【0068】
また、第1透過膜39は、膜厚が20nm~100nmの範囲とされる。仮に、第1透過膜39の膜厚が20nm未満であったり、100nmを超えたりすると、第1透過膜39を干渉膜とすることで極小化する反射率の波長が、比視感度が最も高い波長である555nmから離れ過ぎてしまい、遮光部37による外光の反射が十分に抑制されないおそれがある。その点、第1透過膜39の膜厚が20nm~100nmの範囲とされることで、第1透過膜39を干渉膜とすることで極小化する反射率の波長が、比視感度が最も高い波長である555nmに十分に近くなる。これにより、遮光部37による外光の反射を十分に抑制することができる。
【0069】
また、反射透過膜40は、遮光膜38と同じ材料からなり、遮光膜38よりも膜厚が小さい。遮光膜38と同じ材料からなる反射透過膜40の膜厚を、遮光膜38の膜厚よりも小さくすることで、反射透過膜40における光の透過率を、遮光膜38における光の透過率よりも高くするとともに、反射透過膜40における光の反射率を、遮光膜38における光の反射率よりも低くすることができる。
【0070】
また、遮光部37は、第1画素電極28A及び第2画素電極28Bと共通電極30とのうちの上層側に位置する上層電極である共通電極30の上層側に配される。このようにすれば、仮に遮光部37が上層電極である共通電極30の下層側に配される場合に比べると、第1カラーフィルタ29Gと第2カラーフィルタ29Bとの間を行き交おうとする光を、遮光部37に含まれる遮光膜38によってより多く遮ることができる。これにより、混色がより生じ難くなるので、第1画素電極28Aによる表示と、第2画素電極28Bによる表示と、がより適切に行われる。
【0071】
また、遮光部37は、反射透過膜40の上層側に配される第2透過膜41を有しており、第2透過膜41は、遮光部37の形成範囲外に延在し、遮光部37の形成範囲外において上層電極である共通電極30を覆う。遮光部37の形成範囲外に延在する第2透過膜41によって上層電極である共通電極30を保護することができる。
【0072】
また、第1カラーフィルタ29G、第2カラーフィルタ29B、第1画素電極28A、第2画素電極28B、共通電極30、第5絶縁膜35及び遮光部37が設けられるアレイ基板(第1基板)21と、アレイ基板21と対向して配される対向基板(第2基板)20と、を備える。アレイ基板21と対向基板20とを対向させた状態で貼り合わせる際には、両基板20,21の間に位置ずれが生じる可能性がある。両基板20,21間に位置ずれが生じた場合であっても、第1カラーフィルタ29Gと第1画素電極28Aとが位置ずれしたり、第2カラーフィルタ29Bと第2画素電極28Bとが位置ずれしたり、第1カラーフィルタ29G及び第2カラーフィルタ29Bと遮光部37とが位置ずれしたりする事態が避けられる。特に、高精細化が進行した場合に好適となる。
【0073】
また、アレイ基板21と対向基板20との間に介在する液晶層22と、アレイ基板21に設けられて液晶層22に臨む上面を有する配向膜36と、を備えており、遮光部37は、反射透過膜40よりも上層側に配される第2透過膜41を有しており、第2透過膜41は、遮光部37の形成範囲外に延在し、少なくとも遮光部37の形成範囲外において第1画素電極28A及び第2画素電極28Bと共通電極30とのうちの上層側に位置する上層電極である共通電極30を覆っており、配向膜36は、第2透過膜41の上層側に配される。対向基板20及び液晶層22を透過した外光は、配向膜36に入射する。配向膜36に入射した外光の一部は、配向膜36の上面にて反射され、残りは配向膜36を透過し、第2透過膜41に入射する。第2透過膜41に入射した光の一部は、配向膜36と第2透過膜41との界面にて反射される。配向膜36の上面での反射光と、配向膜36と第2透過膜41との界面での反射光と、は、配向膜36の屈折率及び膜厚に応じた干渉条件に基づいてある程度が打ち消される。このように、配向膜36を干渉膜とすることで外光の反射が一層抑制される。
【0074】
<実施形態2>
実施形態2を図10または図11によって説明する。この実施形態2では、遮光部137の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0075】
本実施形態に係る遮光部137は、図10に示すように、共通電極130の下層側で第5絶縁膜135の上層側に配されている。なお、実施形態1にて説明した通り、共通電極130は、画素電極128と共通電極130とのうちの上層側に位置する上層電極である。遮光部137のうち、遮光膜138は、第5絶縁膜135の上層側に配される。第1透過膜139は、遮光膜138の上層側に配される。反射透過膜140は、第1透過膜139の上層側に配される。第2透過膜141は、共通電極130の上層側に配される。つまり、共通電極130は、反射透過膜140の上層側で第2透過膜141の下層側に配される。詳しくは、共通電極130のうち、遮光部137と重畳する部分は、反射透過膜140の上層側に位置するものの、遮光部137とは非重畳となる部分は、第5絶縁膜135の上層側に位置する。つまり、共通電極130のうち、遮光部137と重畳する部分と、遮光部137とは非重畳となる部分と、の間には、遮光部137を構成する遮光膜138、第1透過膜139及び反射透過膜140の膜厚の合計分(遮光部137の膜厚分)の段差G1が生じている。このような構成の共通電極130は、遮光部137の形成範囲の内外にわたって上層側に配される第2透過膜141によって覆われている。これにより、共通電極130を遮光部137の形成範囲の内外にわたって保護することができる。共通電極130の材料は、例えばITOとされる。共通電極130は、膜厚が例えば70nm程度とされ、屈折率が例えば2.1程度とされる。共通電極130は、ほぼ透明であり、反射透過膜140に比べると、光の透過率が高い。共通電極130の膜厚が第1透過膜139の膜厚よりも大きく、共通電極130の屈折率が第1透過膜139、第2透過膜141及び配向膜136の各屈折率のいずれよりも大きい。
【0076】
このように、反射透過膜140の上層側に位置する共通電極130は、アレイ基板121の製造に際しては、次のように形成される。すなわち、実施形態1と同様に、連続して成膜された第3金属膜、第1透明膜及び第4金属膜を一括してパターニングし、遮光膜138、第1透過膜139及び反射透過膜140を設けたら、第3透明電極膜を成膜する。続いて、フォトレジスト膜を成膜・露光・現像し、パターニングされたフォトレジスト膜を介して第3透明電極膜をエッチング(例えばウェットエッチング)することで、共通電極130をパターニングすることができる。
【0077】
このような構成の遮光部137においては、液晶パネル11に対して表側外部から入射する外光は、第2透過膜141を透過すると、反射透過膜140よりも先に共通電極130に入射する。共通電極130に入射した光の一部は、第2透過膜141と共通電極130との界面にて反射され、残りは、共通電極130を透過し、反射透過膜140に入射する。反射透過膜140に入射した光の一部は、共通電極130と反射透過膜140との界面にて反射される。第2透過膜141と共通電極130との界面での反射光と、共通電極130と反射透過膜140との界面での反射光と、は、共通電極130の屈折率及び膜厚に応じた干渉条件に基づいてある程度が打ち消される。具体的には、本実施形態では、共通電極130の膜厚が70nm程度とされ、共通電極130の屈折率が2.1程度とされており、それにより共通電極130を干渉膜とすることで極小化する反射率の波長を、550nm近傍とすることができる。以上により、遮光部137による外光の反射を、実施形態1よりも一層抑制することができる。また、遮光膜138が共通電極130に対して積層されることが避けられるので、遮光膜138の材料として共通電極130(透明電極膜)に対する密着性が低い材料を使用することが可能となり、材料選択の自由度が向上する。これにより、遮光膜138の遮光性能向上や遮光膜138の薄膜化等を図ることが可能となる。
【0078】
次に、本実施形態に係る液晶パネル11を用いた実証実験2について説明する。実証実験2では、上記した構成の遮光部137を備える液晶パネル11において、遮光部137に対して上層側から照射される光の波長と、遮光部137による光の反射率と、の関係をシミュレーションにより試算した。試算結果を図11に示す。図11は、遮光部137に係る反射スペクトル(分光反射率)を示すグラフである。図11の縦軸が遮光部137による光の反射率(単位は「%」)であり、横軸が光の波長(単位は「nm」)である。実証実験2に係る液晶パネル11においては、下層側から順に、画素電極128の膜厚が70nmとされ、第5絶縁膜135の膜厚が100nmとされ、遮光膜138の膜厚が60nmとされ、第1透過膜139の膜厚が60nmで屈折率が1.9とされ、反射透過膜140の膜厚が5nmとされ、共通電極130の膜厚が70nmで屈折率が2.1とされ、第2透過膜141の膜厚が20nmで屈折率が1.9とされ、配向膜136の膜厚が85nmで屈折率が1.7とされる。また、画素電極128及び共通電極130の材料がいずれもITOであり、遮光膜138及び反射透過膜140の材料がいずれもMoであり、第5絶縁膜135、第1透過膜139及び第2透過膜141の材料がいずれもSiNであり、配向膜136の材料がポリイミドである。
【0079】
実証実験2の結果について図11を用いて説明する。図11によれば、可視波長域のほぼ全域(少なくとも400nm~700nmの波長範囲)において遮光部137による光の反射率が3%以下となる結果が得られた。実施形態1と同様に、600nm~700nmの波長範囲において遮光部137による光の反射率が2%以下となっている。特に、450nm~650nmの波長範囲においては、遮光部137による光の反射率が1%以下となっており、さらには550nmでの遮光部137による光の反射率が0.1%未満となっている。これにより、反射光が例えば赤色等の特定の色味を帯びる事態が生じ難くなっている、と言える。以上のように、実証実験1の結果と比べて、遮光部137による外光の反射が一層抑制され、表示品位のさらなる向上を図ることができる。
【0080】
以上説明したように本実施形態によれば、遮光部137は、第1画素電極128A及び第2画素電極128Bと共通電極130とのうちの上層側に位置する上層電極である共通電極130の下層側で第5絶縁膜135の上層側に配される。外光は、遮光部137よりも先に上層電極である共通電極130に入射する。上層電極である共通電極130に入射した外光の一部は、上層電極である共通電極130の上面にて反射され、残りは上層電極である共通電極130を透過し、遮光部137の反射透過膜140に入射する。反射透過膜140に入射した光の一部は、上層電極である共通電極130と反射透過膜140との界面にて反射される。上層電極である共通電極130の上面での反射光と、上層電極である共通電極130と反射透過膜140との界面での反射光と、は、上層電極である共通電極130の屈折率及び膜厚に応じた干渉条件に基づいてある程度が打ち消される。このように、上層電極である共通電極130を干渉膜とすることで外光の反射が一層抑制される。特に、可視波長域のほぼ全域において遮光部137による光の反射率を3%以下とすることができるので、反射光量を一層抑制することができる。また、遮光膜138の材料として上層電極である共通電極130に対する密着性が低い材料を使用することが可能となり、材料選択の自由度が向上する。
【0081】
また、遮光部137は、反射透過膜140よりも上層側に配される第2透過膜141を有しており、第2透過膜141は、遮光部137の形成範囲外に延在し、遮光部137の形成範囲の内外にわたって上層電極である共通電極130を覆う。第2透過膜141によって遮光部137の形成範囲の内外にわたって上層電極である共通電極130を保護することができる。
【0082】
<実施形態3>
実施形態3を図12によって説明する。この実施形態3では、上記した実施形態2から遮光部237の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態2と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0083】
本実施形態に係る遮光部237を構成する第1透過膜239は、図12に示すように、遮光部237の形成範囲外に延在し、遮光部237の形成範囲外において第5絶縁膜235に接して配されている。従って、第1透過膜239のうち、反射透過膜240と重畳する部分は、遮光部237を構成するものの、反射透過膜240とは非重畳となる部分は、遮光部237を構成しない。詳しくは、第1透過膜239は、第2透過膜241と同様に、アレイ基板221の主面内において少なくとも表示領域AAの全域にわたってベタ状に設けられている。第1透過膜239のうち、遮光部237の形成範囲外に延在する部分は、第5絶縁膜235のうちの遮光部237とは非重畳となる部分の上面に接している。
【0084】
反射透過膜240の上層側に配される共通電極230のうち、遮光部237とは非重畳となる部分は、第1透過膜239の上面に接している。従って、共通電極230のうち、遮光部237と重畳する部分と、遮光部237とは非重畳となる部分と、の間には、遮光部237を構成する遮光膜238及び反射透過膜240の膜厚の合計分の段差G2が生じている。上記した実施形態2に比べると、共通電極230のうち、遮光部237とは非重畳となる部分は、第1透過膜239の膜厚分だけ嵩上げされている。従って、共通電極230のうち、遮光部237と重畳する部分と、遮光部237とは非重畳となる部分と、の間に生じる段差G2は、上記した実施形態2にて説明した段差G1(図10を参照)に比べると、第1透過膜239の膜厚分小さくなっている。これにより、反射透過膜240の上層側にて遮光部237の形成範囲の内外にわたって設けられる共通電極230等に膜切れ等の不具合が生じ難くなる。
【0085】
第1透過膜239は、第5絶縁膜235と同じ材料からなる。具体的には、第1透過膜239及び第5絶縁膜235の材料は、いずれもSiNであり、その屈折率はいずれも1.9程度で同一となる。このようにすれば、遮光部237の形成範囲外において、互いに接する第1透過膜239と第5絶縁膜235との界面で光の屈折が生じることが避けられる。これにより、表示品位が良好に保たれる。
【0086】
遮光膜238及び反射透過膜240は、互いに重畳して配される。これら遮光膜238及び反射透過膜240の間には、第1透過膜239が介在している。このため、遮光膜238及び反射透過膜240は、アレイ基板221の製造に際しては、次のように形成される。すなわち、第3金属膜を成膜したら、続いてフォトレジスト膜を成膜・露光・現像し、パターニングされたフォトレジスト膜を介して第3金属膜をエッチング(例えばドライエッチング)することで、遮光膜238をパターニングすることができる。次に、第1透明膜を成膜する。ベタ状の第1透明膜によって第1透過膜239が構成される。その後、第4金属膜を成膜したら、続いてフォトレジスト膜を成膜・露光・現像する。ここで、第4金属膜上のフォトレジスト膜を露光する際に用いるフォトマスクは、第3金属膜上のフォトレジスト膜を露光する際に用いるフォトマスクと同一のパターンを有する。つまり、遮光膜238及び反射透過膜240をそれぞれパターニングするにあたり、共通の製造装置が用いられる。パターニングされたフォトレジスト膜を介して第4金属膜をエッチング(例えばドライエッチング)することで、反射透過膜240をパターニングすることができる。
【0087】
以上説明したように本実施形態によれば、第1透過膜239は、遮光部237の形成範囲外に延在し、遮光部237の形成範囲外において第5絶縁膜235に接して配される。仮に第1透過膜239が遮光部237の形成範囲に限って設けられる場合には、遮光部237の形成範囲内における反射透過膜240の上面と、遮光部237の形成範囲外における第5絶縁膜235の上面と、の間の段差が、遮光部237の厚さとなる。これに対し、第1透過膜239が遮光部237の形成範囲外に延在する構成とされることで、上層電極である共通電極230のうち、遮光部237と重畳する部分と、遮光部237とは非重畳となる部分と、の間に生じる段差G2が、遮光部237の厚さよりも第1透過膜239の膜厚分小さくなる。これにより、反射透過膜240の上層側に配される上層電極である共通電極230等に膜切れ等の不具合が生じ難くなる。
【0088】
また、第1透過膜239は、第5絶縁膜235と同じ屈折率の材料からなる。このようにすれば、遮光部237の形成範囲外において、第1透過膜239と第5絶縁膜235との界面で光の屈折が生じることが避けられる。これにより、表示品位が良好に保たれる。
【0089】
また、遮光膜238及び反射透過膜240は、互いに重畳して配される。製造に際して、例えばフォトリソグラフィ法により遮光膜238及び反射透過膜240をそれぞれパターニングする場合には、共通の製造装置を用いることが可能となる。
【0090】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0091】
(1)遮光膜38,138,238及び反射透過膜40,140,240は、異なる材料により構成されてもよい。
【0092】
(2)第1透過膜39,139,239及び第2透過膜41,141,241は、異なる材料により構成されてもよい。この場合、第1透過膜39,139,239及び第2透過膜41,141,241の屈折率が異なっていてもよいが、同じであってもよい。
【0093】
(3)第1透過膜39,139,239及び第5絶縁膜35,135,235は、異なる材料により構成されてもよい。この場合でも、実施形態3においては、第1透過膜239及び第5絶縁膜235の屈折率を同じにするのが好ましいが、必ずしもその限りではない。なお、実施形態1,2においては第1透過膜39,139及び第5絶縁膜35,135の屈折率が異なっていてもよいが、同じであってもよい。
【0094】
(4)遮光膜38,138,238及び第1透過膜39,139,239は、膜厚が異なっていてもよい。
【0095】
(5)第1透過膜39,139,239及び第2透過膜41,141,241は、膜厚が同一であってもよい。また、第2透過膜41,141,241の膜厚が、第1透過膜39,139,239の膜厚よりも大きくてもよい。
【0096】
(6)第1透過膜39,139,239及び配向膜36,136は、膜厚が同一であってもよい。また、第1透過膜39,139,239の膜厚が、配向膜36,136の膜厚よりも大きくてもよい。
【0097】
(7)第2透過膜41,141,241及び配向膜36,136は、膜厚が同一であってもよい。また、第2透過膜41,141,241の膜厚が、配向膜36,136の膜厚よりも大きくてもよい。
【0098】
(8)第1透過膜39,139,239及び第5絶縁膜35,135,235は、膜厚が同一であってもよい。また、第1透過膜39,139,239の膜厚が、第5絶縁膜35,135,235の膜厚よりも大きくてもよい。
【0099】
(9)配向膜36,136の屈折率が第2透過膜41,141,241の屈折率よりも大きくてもよい。
【0100】
(10)実施形態2,3に記載の構成において、共通電極(第3透明電極膜)130,230及び第2透過膜141,241の膜厚が同一であってもよい。また、第2透過膜141,241の膜厚が共通電極130,230の膜厚よりも大きくてもよい。
【0101】
(11)実施形態2,3に記載の構成において、共通電極(第3透明電極膜)130,230の屈折率が第2透過膜141,241の屈折率よりも小さくてもよい。
【0102】
(12)実施形態2,3に記載の構成において、共通電極(第3透明電極膜)130,230の屈折率が第1透過膜139,239の屈折率と同じであってもよいが、異なっていてもよい。
【0103】
(13)遮光膜38,138,238、第1透過膜39,139,239、反射透過膜40,140,240、第2透過膜41,141,241、画素電極28,128、共通電極30,130,230、第5絶縁膜35,135,235及び配向膜36,136等に用いる具体的な材料は、上記以外にも適宜に変更可能である。
【0104】
(14)遮光膜38,138,238、第1透過膜39,139,239、反射透過膜40,140,240、第2透過膜41,141,241、画素電極28,128、共通電極30,130,230、第5絶縁膜35,135,235及び配向膜36,136等の膜厚や屈折率の具体的な数値は、上記以外にも適宜に変更可能である。
【0105】
(15)第2透過膜41,141,241は、遮光部37,137,237の形成範囲に限って設けられてもよい。
【0106】
(16)第2透過膜41,141,241を省略することも可能である。
【0107】
(17)遮光部37,137,237は、Y軸方向に沿って延在する第2遮光部37Bのみにより構成されてもよい。また、遮光部37,137,237は、X軸方向に沿って延在する第1遮光部37Aのみにより構成されてもよい。
【0108】
(18)TFT27に備わるドレイン電極27Cは、ソース電極27Bと同じ第2金属膜により構成されてもよい。この場合、第1透明電極膜及び第3絶縁膜33を省略することが可能である。
【0109】
(19)TFT27の構成は、図面にて示したトップゲート型以外にも、ボトムゲート型、ダブルゲート型等でもよい。
【0110】
(20)アレイ基板21,121,221におけるカラーフィルタ29のX軸方向についての並び順や平面配列は、図示以外にも適宜に変更可能である。カラーフィルタ29の平面配列の変形例としては、例えば、異なる色を呈するカラーフィルタ29がY軸方向に並んで配列されたり、異なる色を呈するカラーフィルタ29がX軸方向及びY軸方向にそれぞれ並んで配列されたりしてもよい。
【0111】
(21)カラーフィルタ29の色数は、4色以上でもよい。追加するカラーフィルタ29は、黄色の波長領域(約570nm~約600nm)に含まれる黄色光を出射可能な黄色カラーフィルタや全波長領域の光を出射可能な透明カラーフィルタ等であってもよい。
【0112】
(22)画素電極28,128と共通電極30,130,230とのうちの上層側に位置する電極である「上層電極」が画素電極28,128となり、下層側に位置する電極である「下層電極」が共通電極30,130,230となっていてもよい。この場合、「上層電極」である画素電極28,128の上層側または下層側に遮光部37,137,237が配される。
【0113】
(23)半導体膜は、シリコン薄膜(多結晶シリコン薄膜)やアモルファスシリコン薄膜でもよい。
【0114】
(24)第2の半導体膜を省略することも可能である。
【0115】
(25)配向膜36,136は、ラビングにより配向処理がなされてもよい。
【0116】
(26)第2回路部14Bに代えてソースドライバをアレイ基板21,121,221にCOG(Chip On Glass)実装してもよい。
【0117】
(27)第1回路部14A及び第2回路部14Bの少なくとも一方は、一部または全てが表示領域AAに配されてもよい。
【0118】
(28)回路部14を省略することも可能である。
【0119】
(29)基板20GS,21GSの材料は、ガラス以外にも合成樹脂等であってもよい。
【0120】
(30)液晶パネル11の画素密度の具体的な数値は、適宜に変更可能である。
【0121】
(31)液晶パネル11の表示モードは、IPSモード等でもよい。
【0122】
(32)液晶パネル11の平面形状は、横長の長方形、縦長の長方形、正方形、円形、半円形、長円形、楕円形、台形などでもよい。
【0123】
(33)液晶パネル11以外にも、自発光式の表示装置である有機EL表示装置でもよい。
【0124】
(34)ヘッドマウントディスプレイ10HMD以外にも、液晶パネル11に表示された画像を、レンズなどを用いて拡大表示する機器として、例えばヘッドアップディスプレイやプロジェクターなどにも適用可能である。また、拡大表示機能を持たない表示装置(テレビ受信装置、タブレット型端末、スマートフォンなど)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0125】
11…液晶パネル(表示装置)、20…対向基板(第2基板)、21,121,221…アレイ基板(第1基板)、22…液晶層、28A,128A…第1画素電極、28B,128B…第2画素電極、29B…第2カラーフィルタ、29G…第1カラーフィルタ、30,130,230…共通電極(上層電極)、35,135,235…第5絶縁膜(絶縁膜)、36,136…配向膜、37,137,237…遮光部、38,138,238…遮光膜、39,139,239…第1透過膜、40,140,240…反射透過膜、41,141,241…第2透過膜
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