(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123813
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】排泄物処理材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A01K 1/015 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A01K1/015 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031524
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101GB05
2B101GB06
2B101GB07
2B101GB08
(57)【要約】
【課題】尿を下方に導きやすい排泄物処理材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】排泄物処理材1は、疎水性を有する多数の柱状の粒状体10からなる。排泄物処理材1は、粒状体群20を備えている。粒状体群20は、上記多数の粒状体10に含まれる使用前の複数の粒状体10が相互に接着してなる。粒状体群20を構成する複数の粒状体10は、粒状体30及び粒状体40を含んでいる。粒状体40は、粒状体30の側面に接着された底面を有している。粒状体40の高さは、粒状体30の高さよりも小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性を有する多数の柱状の粒状体からなる排泄物処理材であって、
前記多数の粒状体に含まれる使用前の複数の粒状体が相互に接着してなる粒状体群を備え、
前記粒状体群を構成する前記複数の粒状体は、第1の粒状体と、前記第1の粒状体の側面に接着された第1の底面を有する第2の粒状体とを含み、
前記第2の粒状体の高さは、前記第1の粒状体の高さよりも小さいことを特徴とする排泄物処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の排泄物処理材において、
前記第2の粒状体の高さは、前記第1の粒状体の高さの80%以下である排泄物処理材。
【請求項3】
請求項2に記載の排泄物処理材において、
前記第2の粒状体の高さは、前記第1の粒状体の高さの50%以下である排泄物処理材。
【請求項4】
請求項1に記載の排泄物処理材において、
前記第2の粒状体の高さは、前記第1の粒状体の径よりも小さい排泄物処理材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記第2の粒状体の前記第1の底面は、前記第1の粒状体の前記側面の中央部に接着されている排泄物処理材。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記第2の粒状体の前記第1の底面の全体が、前記第1の粒状体の前記側面に接着されている排泄物処理材。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記粒状体群を構成する前記複数の粒状体は、前記第2の粒状体の第2の底面が接着された側面を有する第3の粒状体を含み、
前記第2の粒状体の高さは、前記第3の粒状体の高さよりも小さい排泄物処理材。
【請求項8】
請求項7に記載の排泄物処理材において、
前記第2の粒状体の前記第2の底面は、前記第3の粒状体の前記側面の中央部に接着されている排泄物処理材。
【請求項9】
請求項7に記載の排泄物処理材において、
前記第2の粒状体の前記第2の底面の全体が、前記第3の粒状体の前記側面に接着されている排泄物処理材。
【請求項10】
請求項1乃至4の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記粒状体群の粒径は、当該粒状体群を構成する前記各粒状体の粒径の1.5倍以上3倍以下である排泄物処理材。
【請求項11】
請求項1乃至4の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記各粒状体は、有機物を主材料とする排泄物処理材。
【請求項12】
請求項11に記載の排泄物処理材において、
前記各粒状体は、前記有機物のみからなる排泄物処理材。
【請求項13】
請求項1乃至4の何れかに記載の排泄物処理材において、
複数の前記粒状体群を備える排泄物処理材。
【請求項14】
疎水性を有する多数の粒状体からなる排泄物処理材を製造する方法であって、
前記多数の粒状体を形成する各粒状体形成工程と、
前記各粒状体形成工程において形成された前記多数の粒状体に含まれる使用前の複数の粒状体が相互に接着してなる粒状体群を形成する粒状体群形成工程と、を含み、
前記粒状体群を構成する前記複数の粒状体は、第1の粒状体と、前記第1の粒状体の側面に接着された第1の底面を有する第2の粒状体とを含み、
前記第2の粒状体の高さは、前記第1の粒状体の高さよりも小さいことを特徴とする排泄物処理材の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の粒状体の高さは、前記第1の粒状体の高さの80%以下である排泄物処理材の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の粒状体の高さは、前記第1の粒状体の高さの50%以下である排泄物処理材の製造方法。
【請求項17】
請求項14に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の粒状体の高さは、前記第1の粒状体の径よりも小さい排泄物処理材の製造方法。
【請求項18】
請求項14乃至17の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体群形成工程においては、前記第2の粒状体の前記第1の底面が前記第1の粒状体の前記側面の中央部に接着されるように、前記粒状体群を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項19】
請求項14乃至17の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体群形成工程においては、前記第2の粒状体の前記第1の底面の全体が前記第1の粒状体の前記側面に接着されるように、前記粒状体群を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項20】
請求項14乃至17の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体群を構成する前記複数の粒状体は、前記第2の粒状体の第2の底面が接着された側面を有する第3の粒状体を含む排泄物処理材の製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体群形成工程においては、前記第2の粒状体の前記第2の底面が前記第3の粒状体の前記側面の中央部に接着されるように、前記粒状体群を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項22】
請求項20に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体群形成工程においては、前記第2の粒状体の前記第2の底面の全体が前記第3の粒状体の前記側面に接着されるように、前記粒状体群を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項23】
請求項14乃至17の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体群形成工程においては、前記粒状体群の粒径が当該粒状体群を構成する前記各粒状体の粒径の1.5倍以上3倍以下となるように、当該粒状体群を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項24】
請求項14乃至17の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記各粒状体形成工程においては、有機物を主材料とする前記多数の粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項25】
請求項24に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記各粒状体形成工程においては、前記有機物のみからなる前記多数の粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項26】
請求項14乃至17の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体群形成工程においては、複数の前記粒状体群を形成する排泄物処理材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物処理材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排泄物処理材としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された排泄物処理材は、疎水性(撥水性)を有する複数の粒状体からなり、動物用トイレに敷設されている。この動物用トイレは、尿を通過させるメッシュ状のシートによって上部空間と下部空間とに区画されている。疎水性の粒状体は、上部空間に配設されている。下部空間には、吸液シートが配設されている。動物が排尿すると、尿は、疎水性の粒状体どうしの隙間を通り抜けて、メッシュ状のシートを通じて下部空間に達する。下部空間に達した尿は、吸液シートによって吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、疎水性の粒状体は、密集した状態で動物用トイレの上部空間に配設される。それゆえ、尿の通り道となる、粒状体どうしの隙間を充分に確保することができず、尿が下方に流れにくいという問題がある。このように尿が下方に流れにくいと、尿が上部空間に残留し、当該尿から発生した悪臭が動物用トイレの外に漏れやすくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、尿を下方に導きやすい排泄物処理材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による排泄物処理材は、疎水性を有する多数の柱状の粒状体からなる排泄物処理材であって、上記多数の粒状体に含まれる使用前の複数の粒状体が相互に接着してなる粒状体群を備え、上記粒状体群を構成する上記複数の粒状体は、第1の粒状体と、上記第1の粒状体の側面に接着された第1の底面を有する第2の粒状体とを含み、上記第2の粒状体の高さは、上記第1の粒状体の高さよりも小さいことを特徴とする。
【0007】
この排泄物処理材においては、使用前の複数の粒状体が相互に接着してなる粒状体群が設けられている。粒状体群においては、第1の粒状体の側面に第2の粒状体の底面(第1の底面)が接着されている。これにより、第1及び第2の粒状体の周囲に隙間を確保しやすくなる。このため、尿が当該隙間を通って下方に円滑に流れることができる。
【0008】
また、本発明による排泄物処理材の製造方法は、疎水性を有する多数の粒状体からなる排泄物処理材を製造する方法であって、上記多数の粒状体を形成する各粒状体形成工程と、上記各粒状体形成工程において形成された上記多数の粒状体に含まれる使用前の複数の粒状体が相互に接着してなる粒状体群を形成する粒状体群形成工程と、を含み、上記粒状体群を構成する上記複数の粒状体は、第1の粒状体と、上記第1の粒状体の側面に接着された第1の底面を有する第2の粒状体とを含み、上記第2の粒状体の高さは、上記第1の粒状体の高さよりも小さいことを特徴とする。
【0009】
この製造方法においては、使用前の複数の粒状体が相互に接着してなる粒状体群が形成される。粒状体群においては、第1の粒状体の側面に第2の粒状体の底面(第1の底面)が接着されている。これにより、製造後の排泄物処理材においては、第1及び第2の粒状体の周囲に隙間を確保しやすくなる。このため、尿が当該隙間を通って下方に円滑に流れることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、尿を下方に導きやすい排泄物処理材、及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による排泄物処理材の一実施形態を示す模式図である。
【
図4】
図1の排泄物処理材の効果を説明するための図である。
【
図5】一変形例に係る粒状体群20を示す模式図である。
【
図6】
図5の変形例の効果を説明するための図である。
【
図7】他の変形例に係る粒状体群20を示す模式図である。
【
図8】他の変形例に係る粒状体群20を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による排泄物処理材の一実施形態を示す模式図である。排泄物処理材1は、排泄物(主に尿)の処理に用いられる排泄物処理材であって、排泄物を処理するための多数の粒状体10からなる。ここで、「多数」とは、10以上の個数を意味する。排泄物処理材1は、猫や犬等の動物の排泄物を処理する動物用の排泄物処理材であってもよいし、人の排泄物を処理する人用の排泄物処理材であってもよい。排泄物処理材1は、例えば、排泄された尿を受ける箱状の本体部と、本体部の内部空間を上部空間と下部空間とに区画する仕切部とを備えるシステムトイレにおいて使用される。仕切部は、尿を通過させる貫通孔を有している。その場合、排泄物処理材1は、多数の粒状体10が仕切部上に直接敷設された状態で使用される。
【0014】
図2は、粒状体10を示す斜視図である。各粒状体10は、柱状をしている。各粒状体10は、側面12、並びに底面14(第1の底面)及び底面16(第2の底面)を有している。本実施形態において各粒状体10は、円柱状をしている。各粒状体10の粒径は、例えば、5mm以上20mm以下である。ここで、粒状体10の粒径は、粒状体10を内包しうる最小の球の直径として定義される。
【0015】
各粒状体10は、疎水性を有している。すなわち、粒状体10は、尿等の液体を全く吸収しないか、あるいは吸収するとしても殆ど吸収しない性質を有する。粒状体10が疎水性を有するというには、次の試験により測定される液通過率が60%以上であることが必要である。まず、内径10cm、目開き1mmの篩に50g相当の粒状体10(サンプル)を入れる。ただし、本試験においては、後述する粒状体群20を構成していない状態の粒状体10(相互に接着していない粒状体10)を用いる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径3cm、筒先の内径4mmのシリンジ(テルモ社製60mlシリンジ)を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量(30ml)に対する割合をもって液通過率とする。すなわち、ビーカー内の水量が18ml以上であれば、液通過率が60%以上となるため、粒状体10が疎水性を有するといえる。参考として、市販されている一般的な吸水性の猫砂の液通過率は、5%程度である。
【0016】
各粒状体10は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、粒状体10の主材料とは、当該粒状体10を構成する1又は2以上の材料のうち、当該粒状体10に占める重量割合が最大のものをいう。かかる有機物としては、例えば、紙類、植物類、プラスチック類、又は有機汚泥類が挙げられる。各粒状体10は、有機物のみからなっていてもよいし、有機物及び無機物からなっていてもよい。
【0017】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙(紙粉)の他にも、印画紙、剥離紙、フラッフパルプ、塩ビ壁紙由来の紙(塩ビ壁紙の製造時又は分級時に発生する紙)、石膏ボード由来の紙(石膏ボードの製造時又は分級時に発生する紙)、又は衛生用品由来の紙(紙を含む衛生用品の製造時又は分級時に発生する紙)を用いることができる。紙を含む衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、又は衛生用紙(ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル等)が挙げられる。植物類としては、例えば、木粉、大鋸屑、又は植物性残渣(茶殻、オカラ等)を用いることができる。プラスチック類としては、例えば、通常のプラスチックの他にも、アルミ蒸着フィルム、塩ビ壁紙由来のプラスチック(塩ビ壁紙の製造時又は分級時に発生するプラスチック)、又は衛生用品由来のプラスチック(プラスチックを含む衛生用品の製造時又は分級時に発生するプラスチック)を用いることができる。プラスチックを含む衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、又は衛生マスクが挙げられる。有機汚泥類としては、例えば、製紙スラッジ、又はパルプスラッジを用いることができる。これらの材料には、疎水処理(撥水処理)が施されていてもよいし、施されていなくてもよい。
【0018】
粒状体10を構成する材料は、1つのみであってもよいし、2つ以上であってもよい。前者の場合、粒状体10を構成する材料は、上述の主材料のみということになる。後者の場合、粒状体10は、主材料と他の材料との混合物によって構成されることになる。他の材料としては、例えば、石膏又は重曹が挙げられる。石膏又は重曹を加えることにより、粒状体10の疎水性を高めることができる。石膏又は重曹の量は、例えば、粒状体10の全体に対して5重量%以上50重量%未満である。
【0019】
図1に戻って、排泄物処理材1は、粒状体群20を備えている。粒状体群20は、上述した多数の粒状体10(排泄物処理材1を構成する全ての粒状体10)に含まれる複数の粒状体10によって構成されている。具体的には、粒状体群20は、使用前の複数の粒状体10が相互に接着してなるものである。粒状体群20は、n個(nは2以上5以下の整数)の粒状体10が相互に接着してなることが好ましい。また、粒状体群20の粒径は、当該粒状体群20を構成する各粒状体10の粒径の1.5倍以上3倍以下であることが好ましい。ここで、粒状体群20の粒径は、粒状体群20を内包しうる最小の球の直径として定義される。
【0020】
排泄物処理材1は、複数の粒状体群20を備えている。各粒状体群20を構成する粒状体10の個数は、互いに等しくてもよいし、相異なっていてもよい。なお、「多数の粒状体10」の全てが粒状体群20を形成していてもよいし、「多数の粒状体10」の一部のみが粒状体群20を形成していてもよい。後者の場合、残りの粒状体10は、他の粒状体10と接着せずに単独で存在する。このように排泄物処理材1においては、当該排泄物処理材1を構成する全て又は一部の粒状体10が、使用前(排泄物を受ける前)から他の粒状体10と接着して粒状体群20を形成している。
【0021】
図3は、粒状体群20を示す模式図である。各粒状体群20を構成する複数の粒状体10は、粒状体30(第1の粒状体)及び粒状体40(第2の粒状体)を含んでいる。粒状体40は、粒状体30の側面12に接着された底面14を有している。すなわち、粒状体30及び粒状体40は、粒状体30の側面12に粒状体40の底面14が接した状態で、相互に固定されている。粒状体40の底面14は、粒状体30の側面12の中央部に接着されている。ここで、側面12の中央部とは、側面12の両端部(底面14,16と交わる部分)を除く部分をいう。それゆえ、粒状体40の底面14は、粒状体30の底面14及び底面16の双方から離間している。このように、粒状体30及び粒状体40は、T字状に結合されている。粒状体40の底面14の全体が、粒状体30の側面12に接着されていることが好ましい。
【0022】
粒状体40の高さh2は、粒状体30の高さh1よりも小さい。高さh2は、高さh1の80%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。また、高さh2は、粒状体30の径d1よりも小さいことが好ましい。粒状体40の径d2は、径d1に等しくてもよいし、径d1と異なっていてもよい。高さh1は、径d2の2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましい。粒状体30及び粒状体40は、互いに等しい組成の材料からなっていてもよいし、相異なる組成の材料からなっていてもよい。
【0023】
続いて、本発明による排泄物処理材の製造方法の一実施形態として、排泄物処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、各粒状体形成工程、及び粒状体群形成工程を含んでいる。各粒状体形成工程は、多数の粒状体10を形成する工程である。各粒状体形成工程は、第1の粒状体形成工程、及び第2の粒状体形成工程を含んでいる。
【0024】
第1の粒状体形成工程は、粒状体30を形成する工程である。この工程においては、造粒装置を用いて造粒材料(粒状体30を構成する材料)を造粒することにより、粒状体30となる造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。
【0025】
第2の粒状体形成工程は、粒状体40を形成する工程である。この工程においては、造粒装置を用いて造粒材料(粒状体40を構成する材料)を造粒することにより、粒状体40となる造粒物を形成する。このとき、粒状体40の高さh2が粒状体30の高さh1よりも小さくなるように、粒状体40を形成する。粒状体10の高さは、例えば、押出造粒機において造粒材料をダイスの貫通孔に押し込むローラーの回転速度、又は貫通孔から押し出された造粒材料を切断するカッターの回転速度を変えることにより、調整することができる。具体的には、ローラーの回転速度を小さくすること、又はカッターの回転速度を大きくすることにより、得られる粒状体10の高さを小さくすることができる。
【0026】
第1及び第2の粒状体形成工程において造粒物には、必要に応じて疎水処理を施してもよい。疎水処理は、例えば、造粒物の表面を疎水剤(撥水剤)でコーティングすることにより行うことができる。疎水処理を行わない場合、造粒時に造粒材料に加わる圧力を高めることにより、造粒物内に空隙が極力生じないようにすることが好ましい。かかる空隙は、粒状体10の内部に尿等の水分が浸入する経路となるからである。造粒に先立って、造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。また、造粒後には、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。なお、第1及び第2の粒状体形成工程を実行する順序は、任意である。すなわち、両工程を同時に並行して実行してもよいし、一方の工程を他方の工程より先に実行してもよい。
【0027】
粒状体群形成工程は、粒状体群20を形成する工程である。この工程においては、各粒状体形成工程において形成された複数の粒状体10(粒状体30及び粒状体40)を相互に接着させることにより、粒状体群20を形成する。このとき、粒状体30の側面12に粒状体40の底面14が接着されるようにする。粒状体10どうしの接着(粒状体30の側面12と粒状体40の底面14との接着)には、例えば、接着性材料を用いることができる。接着性材料としては、例えば、吸水性ポリマー、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、又はデキストリンが挙げられる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系吸水性ポリマーを用いることができる。本実施形態においては、複数の粒状体群20を形成する。以上により、粒状体群20を備える排泄物処理材1が得られる。
【0028】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、使用前の複数の粒状体10が相互に接着してなる粒状体群20が形成される。粒状体群20においては、粒状体30の側面12に粒状体40の底面14が接着されている。これにより、排泄物処理材1においては、粒状体30及び粒状体40の周囲に隙間を確保しやすくなる。特に、
図4に示すように、粒状体30及び粒状体40によって挟まれた領域92には他の粒状体10が入り込みにくいため、領域92において隙間を確保しやすい。このため、尿が当該隙間を通って下方に円滑に流れることができる。したがって、尿を下方に導きやすい排泄物処理材1、及びその製造方法が実現されている。
【0029】
しかも、粒状体40の高さh2は、粒状体30の高さh1よりも小さい。このように高さh2を小さくすることにより、領域92に他の粒状体10が一層入り込みにくくすることができる。このため、粒状体30及び粒状体40の周囲に、尿の通り道となる隙間をより確実に確保しやすくなる。
【0030】
粒状体40の高さh2を小さくした方が、領域92に他の粒状体10が入り込みにくくするのに有利である。かかる観点から、高さh2は、粒状体30の高さh1の80%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。同様の観点から、高さh2は、粒状体30の径d1よりも小さいことが好ましい。他方、高さh2が小さすぎると、粒状体40の形成に支障が生じかねない。かかる観点から、高さh2は、高さh1の20%以上であることが好ましい。
【0031】
粒状体40の底面14は、粒状体30の側面12の中央部に接着されている。この場合、粒状体40の両側に領域92が存在するため(
図4参照)、尿の通り道となる隙間を粒状体群20内に広く確保しやすくなる。
【0032】
粒状体40の底面14の全体が粒状体30の側面12に接着されている場合、粒状体30と粒状体40とが相互に接着された状態を安定的に維持するのに有利である。ただし、粒状体40の底面14の一部のみが粒状体30の側面12に接着されていてもよい。
【0033】
粒状体40の径d2に対して粒状体30の高さh1を大きくした方が、上述の隙間を広く確保するのに有利である。かかる観点から、高さh1は、径d2の2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましい。他方、高さh1が大きすぎると、粒状体30が細長くなりすぎて、粒状体30の形成に支障が生じかねない。かかる観点から、高さh1は、径d2の5倍以下であることが好ましい。
【0034】
ところで、上述した従来の排泄物処理材においては、猫等の動物が排泄物処理材の上に直接乗った状態で排泄することもある。それゆえ、排泄中に粒状体が動物の足に挟まったり付着したりすることにより、排泄後に粒状体がトイレの周囲に散乱するという問題があった。この点、排泄物処理材1において粒状体群20の粒径及び質量は、当該粒状体群20を構成する個々の粒状体10よりも大きくなる。このため、複数の粒状体10が相互に分離している場合に比して、当該粒状体10が動物の足に挟まったり付着したりしにくくなるという利点もある。
【0035】
粒状体群20を大きくするほど、粒状体10が動物の足に挟まったり付着したりしにくくなる。他方、粒状体群20が大きすぎると、トイレに敷設された排泄物処理材1(多数の粒状体10の集合体)の表面を均しにくくなる等、排泄物処理材1の取扱いに支障が生じてしまう。かかる観点から、粒状体群20を構成する粒状体10の個数(n)は、2以上5以下であることが好ましい。同様の観点から、粒状体群20の粒径は、当該粒状体群20を構成する各粒状体10の粒径の1.5倍以上3倍以下であることが好ましい。
【0036】
各粒状体10が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体10を得ることができる。このことは、使用済みの粒状体10の処分の便宜に資する。特に各粒状体10が有機物のみからなる場合、焼却処分に一層適した粒状体10を得ることができる。
【0037】
排泄物処理材1には、複数の粒状体群20が設けられている。これにより、粒状体群20が1つしか設けられていない場合に比して、実用性の高い排泄物処理材1を得ることができる。
【0038】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態において粒状体群20を構成する複数の粒状体10は、例えば
図5に示すように、粒状体30及び粒状体40に加えて、粒状体50(第3の粒状体)を含んでいてもよい。
【0039】
同図において粒状体50は、粒状体40の底面16が接着された側面12を有している。すなわち、粒状体40及び粒状体50は、粒状体50の側面12に粒状体40の底面16が接した状態で、相互に固定されている。粒状体40の底面16は、粒状体50の側面12の中央部に接着されている。このように、粒状体30、粒状体40及び粒状体50は、H字状に結合されている。粒状体40の底面16の全体が、粒状体50の側面12に接着されていることが好ましい。
【0040】
粒状体40の高さh2は、粒状体50の高さh3よりも小さい。高さh2は、高さh3の80%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。また、高さh2は、粒状体50の径d3よりも小さいことが好ましい。粒状体40の径d2は、径d3に等しくてもよいし、径d3と異なっていてもよい。高さh3は、径d2の2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましい。粒状体30及び粒状体50は、互いに等しいサイズ(高さ及び径)を有していてもよいし、相異なるサイズを有していてもよい。また、粒状体30、粒状体40及び粒状体50は、相互に等しい組成の材料からなっていてもよいし、相異なる組成の材料からなっていてもよい。
【0041】
このように粒状体40の底面16が粒状体50の側面12に接着されている場合、
図6に示すように、粒状体30、粒状体40及び粒状体50によって挟まれた領域94に他の粒状体10が入り込みにくいため、領域94において隙間を確保しやすい。それゆえ、尿の通り道となる隙間を一層広く確保しやすくなる。
【0042】
上記実施形態においては、粒状体40の底面14が粒状体30の側面12の中央部に接着された場合を例示した。しかし、粒状体40の底面14は、例えば
図7及び
図8に示すように、粒状体30の側面12の端部に接着されていてもよい。両図においては、粒状体40の底面14が粒状体30の底面16側の端部に接着されている。さらに、
図8においては、粒状体40の底面16が粒状体50の底面16側の端部に接着されている。
【0043】
上記実施形態においては、各粒状体10の形状が円柱である場合を例示した。しかし、各粒状体10の形状は、楕円柱又は角柱であってもよい。粒状体10の断面(高さ方向に垂直な断面)が円形でない場合、粒状体10の径は、当該断面を内包しうる最小の円の直径として定義される。
【符号の説明】
【0044】
1 排泄物処理材
10 粒状体
12 側面
14 底面(第1の底面)
16 底面(第2の底面)
20 粒状体群
30 粒状体(第1の粒状体)
40 粒状体(第2の粒状体)
50 粒状体(第3の粒状体)