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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123817
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ソケット及び検査用ソケット
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/76 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H01R33/76 505A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031539
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚田 克裕
【テーマコード(参考)】
5E024
【Fターム(参考)】
5E024CA18
(57)【要約】
【課題】複数の付勢部材と同じ方向の反発力が容易に増減できる。
【解決手段】ソケットは、第1電気部品を上方向に配置して上下動可能なフローティング部と、第1電気部品と下方向の第2電気部品とを電気的に接続するコンタクト部と、を有するベース部を備え、ベース部は、付勢部材によりフローティング部を上方向に付勢し、上方向への付勢力を増減させるよう少なくとも1つの付勢部材の着脱を可能とする付勢部材着脱機構を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電気部品を上方向に配置して上下動可能なフローティング部と、前記第1電気部品と下方向の第2電気部品とを電気的に接続するコンタクト部と、を有するベース部を備え、
前記ベース部は、付勢部材により前記フローティング部を上方向に付勢し、前記上方向への付勢力を増減させるよう少なくとも1つの前記付勢部材の着脱を可能とする付勢部材着脱機構を有する、
ソケット。
【請求項2】
前記ベース部は、前記フローティング部の下方向に設けられた固定部を更に有し、
前記固定部は、上方向に開口して前記付勢部材の下端部を収容する凹部を有し、
前記フローティング部は、前記凹部に対応する位置で、前記付勢部材を挿通可能な挿通開口を有して上下方向に貫通し前記付勢部材着脱機構として機能する貫通孔を有する、
請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記挿通開口は、平面視にて互いの直交方向の長さが異なる形状を有する、
請求項2に記載のソケット。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記フローティング部の下面に、平面視にて互いの直交方向の長さが異なる形状のザグリ部を有し、
前記挿通開口の長手方向と前記ザグリ部の長手方向とは、互いに交差する、
請求項3に記載のソケット。
【請求項5】
前記貫通孔を介して前記ベース部に装着される前記付勢部材の上部には、つば部が設けられ、
前記つば部は、平面視で互いの直交方向の長さが異なる形状であり、第1の向きでは前記挿通開口を通過して第2の向きでは前記フローティング部の下面に係止される、
請求項3に記載のソケット。
【請求項6】
前記付勢部材は、前記貫通孔の無い位置に配置された主付勢部材と、前記貫通孔のある位置に着脱可能に配置された副付勢部材と、を含む、
請求項2に記載のソケット。
【請求項7】
前記主付勢部材は、平面視にて周方向に分散して複数配置され、
前記副付勢部材は、前記主付勢部材の各々に対して周方向の両側に配置される、
請求項6に記載のソケット。
【請求項8】
前記フローティング部の上面には、前記第1電気部品の配置箇所を案内するガイド部材が設けられ、
前記主付勢部材は、前記ガイド部材の下方向投影領域の位置に配置され、
前記貫通孔は、前記ガイド部以外の領域に形成されている、
請求項6に記載のソケット。
【請求項9】
前記固定部は、前記フローティング部の下方向への最大移動量を規制し、
前記固定部に前記最大移動量で規制された前記フローティング部と前記固定部との間の上下方向最小下部空間は、前記付勢部材及び前記つば部の上下方向の最短圧縮長よりも広い状態に維持される、
請求項5に記載のソケット。
【請求項10】
請求項1に記載のソケットを有し、
前記フローティング部上の前記第1電気部品に対する電気的試験に用いられる、
検査用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケット及び検査用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気部品用ソケットとして、コンタクトピンを備えたICソケット(以下、単に「ソケット」と称する。)が知られている(特許文献1参照)。このソケットは、検査対象であるICパッケージ(以下、単に「第1電気部品」と称する。)と検査用回路基板(以下、単に「第2電気部品」と称する。)との間に配置される。
【0003】
特許文献1に開示されたソケットは、第2電気部品上に積層された第1固定部と、フローティング部と、を有する。フローティング部は、第1電気部品を載置可能である。フローティング部は、上下方向の移動可能な状態で、第1固定部に設置された複数のスプリング(以下、「付勢部材」と称する。)によって弾性支持されている。
【0004】
第1電気部品の複数のパッケージ側端子の各々である複数のボールの各々と第2電気部品の複数の基板側端子の各々とが複数のコンタクトピン(以下、「コンタクト部」と称する。)の各々を介して電気的に接続され、導通試験等の電気的試験が実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-187937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のソケットでは、複数の付勢部材が簡単に交換できず、第1電気部品の引き剥がし荷重が容易に調節できない。このため、電気的試験の再開に時間がかかる課題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載のソケットでは、複数の付勢部材を交換する際に、作業者がフローティング部を取り外す必要がある。このため、フローティング部を取り外す際に、フローティング部に形成された複数の貫通した孔の各々に挿入された複数のコンタクト部のうち1以上のコンタクト部の一部が取り外し中のフローティング部と接触して破損する課題がある。
【0008】
これらの課題のように、複数の付勢部材と同じ方向の反発力を増減することは、手間や他部品の破損が伴うおそれがあって簡単ではない。
【0009】
本発明の目的は、複数の付勢部材と同じ方向の反発力が容易に増減できるソケット及び検査用ソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るソケットは、第1電気部品を上方向に配置して上下動可能なフローティング部と、前記第1電気部品と下方向の第2電気部品とを電気的に接続するコンタクト部と、を有するベース部を備え、前記ベース部は、付勢部材により前記フローティング部を上方向に付勢し、前記上方向への付勢力を増減させるよう少なくとも1つの前記付勢部材の着脱を可能とする付勢部材着脱機構を有する。
【0011】
本発明に係る検査用ソケットは、上記のソケットを有し、前記フローティング部上の前記第1電気部品に対する電気的試験に用いられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、複数の付勢部材と同じ方向の反発力が容易に増減できるソケット及び検査用ソケットが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態に係るソケットを示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るソケットを示す部品分解斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るソケットを示す上面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るソケットを示す縦断面図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るソケットのうち第2固定部を外した状態を示す斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るソケットを示す透視斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る副付勢部材と一体化されたつば部を示す斜視図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る副付勢部材と分離したつば部を示す部品分解斜視図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る副付勢部材及びつば部を貫通孔に挿入し始めた状態を示す斜視図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る副付勢部材及びつば部を貫通孔に挿入後に90°回した状態を示す斜視図である。
図11A図11Aは、本発明の実施形態に係るコンタクト部の反発状態を示す縦断面図である。
図11B図11Bは、本発明の実施形態に係るコンタクト部の電気的試験セット状態を示す縦断面図である。
図11C図11Cは、本発明の実施形態に係るコンタクト部の電気的試験実施状態を示す縦断面図である。
図12図12は、本発明の実施形態の変形例に係るソケットを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<ソケット100>
図1は、本発明の実施形態に係るソケット100を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係るソケット100を示す部品分解斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係るソケット100を示す上面図である。図4は、本発明の実施形態に係るソケット100を示す縦断面図である。図5は、本発明の実施形態に係るソケット100のうち第2固定部5を外した状態を示す斜視図である。
【0016】
図1図5に示されるように、ソケット100は、検査用ソケットである。ソケット100は、ベース部1を備える。ベース部1は、フローティング部2と、第1固定部3と、複数の主付勢部材4と、第2固定部5と、コンタクト部6と、を備える。
【0017】
<フローティング部2>
フローティング部2は、第1電気部品10を上方向に配置して上下動可能である。第1電気部品10は、下面に電気的に導通するボール11を複数露出させている(図11A図11C参照)。フローティング部2の上面には、第1電気部品10の配置箇所を案内するガイド部材21が圧入されている。ガイド部材21は、フローティング部2に圧入されるための棒状部211を有する。ガイド部材21の棒状部211は、フローティング部2から下方向に突き抜けている。フローティング部2は、ガイド部材21の無い箇所に複数の楕円形状の貫通孔22を有する。
【0018】
<第1固定部3>
第1固定部3は、フローティング部2の下方向に設けられている。第1固定部3は、フローティング部2との間に空間を隔てている。第1固定部3には、第1電気部品10の複数のボール11の各々と電気的に導通される第2電気部品12が、例えば導通試験等の電気的試験の際には、下側に積層されている(図11B図11C参照)。
【0019】
<主付勢部材4>
図5に示されるように、4つの主付勢部材4は、付勢部材に含まれる。4つの主付勢部材4は、フローティング部2と第1固定部3との間にフローティング部2を上方向に付勢する反発力を有して配置されている。4つの主付勢部材4は、平面視で周方向に分散して複数配置されている。4つの主付勢部材4は、ガイド部材21の下方向投影領域の位置に配置されている。4つの主付勢部材4は、フローティング部2の下側にてガイド部材21の棒状部211の外周回りに巻き回されたコイル状弾性部材である。
【0020】
<第2固定部5>
図5に示されるように、第2固定部5は、フローティング部2と第1固定部3との間にて第1固定部3上にボルト81を用いたボルト締めにて設けられ、フローティング部2の下方向への最大移動量を規制する。第2固定部5には、4つの主付勢部材4を弾性反発可能なように上側に開口した開口部52に保持している。第1固定部3と第2固定部5とは、フローティング部2の上方向への移動を頭部821によって規制するボルト82に螺合した係止片83を双方で向かい合う穴部に挟み込んでいる。
【0021】
<コンタクト部6>
複数のコンタクト部6は、第1電気部品10と第1電気部品10よりも下方向の第2電気部品12とを電気的に接続する。コンタクト部6は、全体として針状又は棒状の部材であり、例えばコンタクトピン又はプローブピン等のように称される場合がある。典型的には、コンタクト部6は、を有し、第1固定部3に形成された孔部31に上方向に付勢する反発力を有して挿入された導電性付勢部材(図示せず)を有する。なお、簡略化のため図4、11A、11B、11Cにおいてコンタクト部6は単純な矩形の側面視形状を有しているが、異形状を有してしてもよい。例えば、コンタクト部6は、孔部31からの脱落を自身の形状によって防止できる凹凸を外周部に有していてもよい。
【0022】
孔部31は、コンタクト部6の下端部を第2電気部品12との電気的接触のために第1固定部3の下側に突き抜けさせている。コンタクト部6が上下方向の中間部で上端部及び下端部に比べ大径となる形状であれば、コンタクト部6は、上下方向で孔部31及び孔部51の間に挟み込まれて保持される。
【0023】
コンタクト部6の上端部は、第2固定部5の孔部51から仮想上下方向延長線上に一致してフローティング部2に形成された貫通した孔部23に挿入されている。コンタクト部6の上端部は、フローティング部2が押下されたときにフローティング部2に対して相対的に上側に移動して下方向に移動した第1電気部品10のボール11と電気的に接触する。
【0024】
<付勢部材着脱機構7>
図6は、本発明の実施形態に係るソケット100を示す透視斜視図である。ベース部1は、1以上の付勢部材着脱機構7を備える。付勢部材着脱機構7は、主付勢部材4と同じ方向の反発力を増減可能である。付勢部材着脱機構7は、複数の主付勢部材4の反発力が不足する又は過多になる場合に、付勢部材着脱機構7をフローティング部2と第2固定部5との間に装着する又はフローティング部2と第2固定部5との間から離脱させる。付勢部材着脱機構7は、図3に示されるように、フローティング部2側の上部に8つ設けられているが、付勢部材着脱機構7は、少なくとも1つ設けられるとよい。
【0025】
図6に示されるように、付勢部材着脱機構7は、貫通孔22と、副付勢部材71と、つば部72と、を有する。付勢部材着脱機構7は、副付勢部材71によりフローティング部2を上方向に付勢し、上方向への付勢力を増減させる副付勢部材71の着脱を可能とする。
【0026】
<副付勢部材71>
副付勢部材71は、貫通孔22のある位置に着脱可能に配置されている。副付勢部材71は、付勢部材に含まれる。副付勢部材71は、互いに2つの主付勢部材4の各々に対して周方向の両側に配置される。副付勢部材71は、貫通孔22の各々に挿入されて第2固定部5の凹部53に位置決めされる。副付勢部材71は、コイル状弾性部材である。
【0027】
<貫通孔22>
貫通孔22は、フローティング部2に形成されている。貫通孔22は、ガイド部材21以外の領域に形成されている。貫通孔22は、フローティング部2を上下方向に貫通し、水平方向で互いの直交方向の長さが異なる。貫通孔22は、第2固定部5の上方向に開口して副付勢部材71の下端部を収容する凹部53に対応する位置で、副付勢部材71を挿通可能な挿通開口221を有して上下方向に貫通している。挿通開口221は、平面視で互いの直交方向の長さが異なる形状の楕円形状を有する。
【0028】
貫通孔22は、フローティング部2の下面に、平面視で互いの直交方向の長さが異なる形状のザグリ部222を有する(図10参照)。挿通開口221の長手方向とザグリ部222の長手方向とは、互いに交差するとよい。なお、貫通孔22は、ザグリ部222を設けなくてもよい。
【0029】
<つば部72>
図7は、本発明の実施形態に係る副付勢部材71と一体化されたつば部72を示す斜視図である。図8は、本発明の実施形態に係る副付勢部材71と分離したつば部72を示す部品分解斜視図である。図7図8に示される副付勢部材71及びつば部72は、図6のA部を拡大したものである。
【0030】
図6図8に示されるように、つば部72は、貫通孔22を介して第1固定部3に装着される副付勢部材71の上部にボスを圧入して設けられている。つば部72は、平面視にて互いの直交方向の長さが異なる楕円形状である。つば部72は、貫通孔22よりも一回り小さな相似形状で貫通孔22と同様に水平方向での互いの直交方向の長さが異なって楕円形状に形成されている。つば部72の上面部には、マイナスの溝形状に形成された調整形状部721が設けられている。
【0031】
図9は、本発明の実施形態に係る副付勢部材71及びつば部72を貫通孔22に挿入し始めた状態を示す斜視図である。図9に示されるように、副付勢部材71は、作業者がつば部72をつまんで貫通孔22内に挿入される。
【0032】
そして、副付勢部材71は、作業者が工具によってつば部72の上面部の調整形状部721を貫通孔22内に押し込むと圧縮される。そして、つば部72の上面部の調整形状部721がフローティング部2に形成された挿通開口221よりも下方向に沈む。
【0033】
このとき、第2固定部5に最大移動量で規制されたフローティング部2と第2固定部5との間の上下方向最小下部空間は、副付勢部材71及びつば部72の上下方向の最短圧縮長よりも広い状態に維持される。このため、作業者が副付勢部材71を貫通孔22内に押し込むと、つば部72の上面部がフローティング部2と第2固定部5との間に至るまで副付勢部材71が圧縮される。
【0034】
図10は、本発明の実施形態に係る副付勢部材71及びつば部72を貫通孔22に挿入後に90°回した状態を示す斜視図である。図10に示されるように、つば部72は、第1の向きでは挿通開口221を通過して90°異なる第2の向きではフローティング部2の下面のザグリ部222に係止される。つまり、つば部72は、副付勢部材71の上部に連結された状態でフローティング部2の下面よりも下方向にて貫通孔22に挿入されたときにつば部72を水平方向に90°回してフローティング部2の下面のザグリ部222に係止される。つまり、作業者が工具を用いて調整形状部721を回してつば部72を水平方向に90°回させる。
【0035】
<電気的試験>
図11A図11Cを用いて第1電気部品10の電気的試験について説明する。なお、ソケット100は複数のコンタクト部6を備えるが、図11A図11Cでは理解を容易にするためコンタクト部6を1つのみ示している。
【0036】
図11Aは、本発明の実施形態に係るコンタクト部6の反発状態を示す縦断面図である。ソケット100は、フローティング部2上の第1電気部品10に対する電気的試験に用いられる。図11Aに示されるように、ソケット100の下方に第2電気部品12が配置された状態でソケット100に第1電気部品10が搭載されない場合には、コンタクト部6の各導電性付勢部材が完全に反発状態(最も上方に伸長した状態)に維持される。
【0037】
図11Bは、本発明の実施形態に係るコンタクト部6の電気的試験セット状態を示す縦断面図である。図11Bに示されるように、ソケット100に第1電気部品10が搭載された場合には、コンタクト部6の各導電性付勢部材が多少沈み込んで反発した電気的試験セット状態に維持される。
【0038】
図11Cは、本発明の実施形態に係るコンタクト部6の電気的試験実施状態を示す縦断面図である。図11Cに示されるように、第1電気部品10の電気的試験においてフローティング部2が押下されたときに、第1電気部品10の複数のボール11の各々と複数のコンタクト部6の各々と第2電気部品12とが上からこの順に電気的に接続されて電気的試験が実施される。つまり、下降する第1電気部品10の複数のボール11の各々と、複数のコンタクト部6の上端部の各々と、が電気的に接触する。また、下降する第1電気部品10の移動に伴い、複数のコンタクト部6の上端部がそれぞれ導電性付勢部材を圧縮しながら下降する。複数のコンタクト部6は、圧縮される導電性付勢部材は、下端部が第2電気部品12と電気的に接触された状態を維持する。
【0039】
<付勢部材着脱機構7の役割>
第1電気部品10の電気的試験においてフローティング部2が浮上してきたときに、複数のコンタクト部6の各々が第1電気部品10の複数のボール11の少なくとも1以上に張り付いて4つの主付勢部材4の反発力が不足する場合がある。この場合に、次回の第1電気部品10の電気的試験前に1以上の副付勢部材71の各々及び1以上のつば部72の各々を1以上の貫通孔22の各々に装着する。
【0040】
また、第1電気部品10の電気的試験においてフローティング部2の上下動に調整が必要であり、4つの主付勢部材4の反発力が不足する又は過多になる場合に、次回の第1電気部品10の電気的試験前に複数の副付勢部材71の各々及び複数のつば部72の各々を複数の貫通孔22の各々に装着する又は複数の貫通孔22の各々から離脱させる。
【0041】
このように、付勢部材着脱機構7が装着又は離脱でき、4つの主付勢部材4と同じ方向の反発力が簡単に変更でき、第1電気部品10の引き剥がし荷重が容易に調節できる。このため、電気的試験の再開に時間がかからない。また、4つの主付勢部材4を交換する必要がない。これにより、作業者がフローティング部2を取り外す必要がない。このため、フローティング部2を取り外す際のフローティング部2に形成された複数の貫通した孔部23の各々に挿入された複数のコンタクト部6を構成した1以上のプランジャ62の上端部63が取り外し中のフローティング部2と接触して破損することがない。
【0042】
以上のように、4つの主付勢部材4と同じ方向の反発力を増減することが手間や他部品の破損が伴わずに簡単にできる。したがって、4つの主付勢部材4と同じ方向の反発力が容易に増減できる。
【0043】
フローティング部2が押下されたときに、第2固定部5を用いてフローティング部2の下方への移動が規制できる。これにより、フローティング部2と第2固定部5との間が付勢部材着脱機構7の圧縮された複数の副付勢部材71の各々及び複数のつば部72の各々の上下方向の最短長さよりも広げた状態に維持できる。このため、複数の副付勢部材71の各々及び複数のつば部72の各々がフローティング部2と第2固定部5との間にて過圧縮されて破損しない。
【0044】
<変形例>
図12は、本発明の実施形態の変形例に係るソケット100を示す上面図である。図12に示されるように、付勢部材着脱機構7は、平面視にて主付勢部材4のソケット100の中心に対する周方向位置よりも径方向外側に周方向位置に分散して配置されてもよい。ここでは、付勢部材着脱機構7は、フローティング部2の上方向への移動を頭部821によって規制するボルト82に1対ずつ接近させて配置される。
【0045】
<付記>
ソケット100は、第1電気部品10を上方向に配置して上下動可能なフローティング部2と、第1電気部品10と下方向の第2電気部品12とを電気的に接続するコンタクト部6と、を有するベース部1を備える。ベース部1は、付勢部材によりフローティング部2を上方向に付勢し、上方向への付勢力を増減させるよう少なくとも1つの付勢部材の着脱を可能とする付勢部材着脱機構7を有する。
【0046】
この構成によれば、4つの主付勢部材4と同じ方向の反発力が容易に増減できる。
【0047】
ベース部1は、フローティング部2の下方向に設けられた第1固定部3及び第2固定部5を更に有する。第2固定部5は、上方向に開口して副付勢部材71の下端部を収容する凹部53を有する。フローティング部2は、凹部53に対応する位置で、副付勢部材71を挿通可能な挿通開口221を有して上下方向に貫通し付勢部材着脱機構7として機能する貫通孔22を有する。
【0048】
この構成によると、副付勢部材71が第1電気部品10を配置する上側から貫通孔22に挿入されて凹部53に位置決め配置できる。これにより、作業者は、ソケット100の上方向での作業によって副付勢部材71を着脱でき、アクセスし易い。
【0049】
挿通開口221は、平面視にて互いの直交方向の長さが異なる形状を有する。
【0050】
この構成によれば、付勢部材着脱機構7の部品が第1の向きでは挿通開口221を通過でき、第2の向きではフローティング部2の下面に係止できる。
【0051】
貫通孔22は、フローティング部2の下面に、平面視にて互いの直交方向の長さが異なる形状のザグリ部222を有する。挿通開口221の長手方向とザグリ部222の長手方向とは、互いに交差する。
【0052】
この構成によれば、付勢部材着脱機構7の部品が第2の向きではフローティング部2の下面のザグリ部222に確実に係止できる。
【0053】
貫通孔22を介してベース部1に装着される副付勢部材71の上部には、つば部72が設けられている。つば部72は、平面視にて互いの直交方向の長さが異なる形状であり、第1の向きでは挿通開口221を通過して第2の向きではフローティング部2の下面に係止される。
【0054】
この構成によれば、付勢部材着脱機構7のつば部72が第1の向きでは挿通開口221を通過して挿入でき、第1の向きから回動させた第2の向きではフローティング部2の下面のザグリ部222に確実に係止できる。
【0055】
付勢部材は、貫通孔22の無い位置に配置された主付勢部材4と、貫通孔22のある位置に着脱可能に配置された副付勢部材71と、を含む。
【0056】
この構成によれば、主付勢部材4と同じ方向の付勢力が貫通孔22を利用して副付勢部材71を着脱することにより容易に増減できる。
【0057】
主付勢部材4は、平面視にて周方向に分散して複数配置されている。副付勢部材71は、主付勢部材4の各々に対して周方向の両側に配置される。
【0058】
この構成によれば、副付勢部材71がフローティング部2に対する主付勢部材4の付勢力のバランスを崩さずに付勢力を追加できる。
【0059】
フローティング部2の上面には、第1電気部品10の配置箇所を案内するガイド部材21が設けられている。主付勢部材4は、ガイド部材21の下方投影領域の位置に配置されている。貫通孔22は、ガイド部材21以外の領域に形成されている。
【0060】
この構成によれば、ガイド部材21の下方投影領域の位置に主付勢部材4が配置でき、貫通孔22のある位置に着脱可能に配置された副付勢部材71が配置でき、ソケット100の設置スペースに無駄がない。
【0061】
ベース部1は、フローティング部2の下方への最大移動量を規制する第2固定部5を更に有する。第2固定部5に最大移動量で規制されたフローティング部2と第2固定部5との間の上下方向最小下部空間は、副付勢部材71及びつば部72の上下方向の最短圧縮長よりも広い状態に維持される。
【0062】
この構成によれば、副付勢部材71及びつば部72がフローティング部2と第2固定部5とに挟まれて過圧縮されず、破損しない。
【0063】
検査用のソケット100は、フローティング部2上の第1電気部品10に対する電気的試験に用いられる。
【0064】
この構成によれば、4つの主付勢部材4と同じ方向の付勢力が容易に増減できる検査用ソケットが提供できる。
【0065】
<その他>
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明は、主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 ベース部
2 フローティング部
3 第1固定部
4 主付勢部材
5 第2固定部
6 コンタクト部
7 付勢部材着脱機構
10 第1電気部品
11 ボール
12 第2電気部品
21 ガイド部材
22 貫通孔
23 孔部
31 孔部
51 孔部
52 開口部
53 凹部
71 副付勢部材
72 つば部
81 ボルト
82 ボルト
83 係止片
100 ソケット
211 棒状部
221 挿通開口
222 ザグリ部
721 調整形状部
821 頭部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12