IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中電プラント株式会社の特許一覧

特開2024-123818ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具
<>
  • 特開-ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具 図1
  • 特開-ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具 図2
  • 特開-ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具 図3
  • 特開-ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具 図4
  • 特開-ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具 図5
  • 特開-ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具 図6
  • 特開-ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具 図7
  • 特開-ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具 図8
  • 特開-ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具 図9
  • 特開-ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具 図10
  • 特開-ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123818
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A62B35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031540
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】596133119
【氏名又は名称】中電プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100138955
【弁理士】
【氏名又は名称】末次 渉
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 啓二
(72)【発明者】
【氏名】遠山 敦志
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184KA20
2E184LA23
(57)【要約】
【課題】フックが揺動しても碍子等の構造物の損傷を抑制可能なランヤードフックカバー及び墜落制止用器具を提供する。
【解決手段】墜落制止用器具のランヤードに取り付けられ、ランヤードのフックが収容可能なランヤードフックカバー10である。ランヤードフックカバー10は、衝撃緩衝能を有する素材から形成され、フックが収容される本体11を備える。本体11は第1の開口部および第2の開口部を有し、第1の開口部に第1の係止部材13が配置されるとともに、第2の開口部に第2の係止部材12が配置され、第1の係止部材13および第2の係止部材12が非係止状態のときにランヤードの通過を許容し、第1の係止部材13および第2の係止部材12が係止状態のときにフックの排出を抑制する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
墜落制止用器具のランヤードに取り付けられ、前記ランヤードのフックが収容可能なランヤードフックカバーであって、
衝撃緩衝能を有する素材から形成され、前記フックが収容される本体を備え、
前記本体は第1の開口部および第2の開口部を有し、
前記第1の開口部に第1の係止部材が配置されるとともに、前記第2の開口部に第2の係止部材が配置され、
前記第1の係止部材および前記第2の係止部材が非係止状態のときに前記ランヤードの通過を許容し、前記第1の係止部材および前記第2の係止部材が係止状態のときに前記フックの排出を抑制する、
ことを特徴とするランヤードフックカバー。
【請求項2】
前記本体は、前記ランヤードの取出が可能な開閉部を有し、
前記開閉部によって前記第1の開口部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のランヤードフックカバー。
【請求項3】
ロープ式のランヤードを備える墜落制止用器具であって、
前記ランヤードに請求項1または2に記載のランヤードフックカバーが取り付けられている、
ことを特徴とする墜落制止用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランヤードフックカバー及び墜落制止用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
高所での作業現場では、作業者の墜落を防止するため、作業者は墜落制止用器具を装着して作業を行っている。墜落制止用器具として、ロープ式ランヤードを備える胴ベルト型が広く使用されている。胴ベルト型の墜落制止用器具では、胴ベルトにロープの一端がショックアブソーバ-等を介して接続され、ロープの他端には親綱等に係止するフックが配置されている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
例えば、図11に示すように、高所の変電機器の作業現場では、碍子50に取り付けた親綱40に、直接掛けでフック28を係止させたり、或いは、ロープ27を親綱40に回し掛けてフック28を接続リング26等に係止させたりして、作業者の墜落を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3233702号公報
【特許文献2】特開2017-074161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ランヤードに配置されるフックは頑丈な金属製であることから、重量も硬度も高い。作業中にフックが揺動すると、碍子等の構造物に接触し、構造物を損傷させるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フックが揺動しても碍子等の構造物の損傷を抑制可能なランヤードフックカバー及び墜落制止用器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点に係るランヤードフックカバーは、
墜落制止用器具のランヤードに取り付けられ、前記ランヤードのフックが収容可能なランヤードフックカバーであって、
衝撃緩衝能を有する素材から形成され、前記フックが収容される本体を備え、
前記本体は第1の開口部および第2の開口部を有し、
前記第1の開口部に第1の係止部材が配置されるとともに、前記第2の開口部に第2の係止部材が配置され、
前記第1の係止部材および前記第2の係止部材が非係止状態のときに前記ランヤードの通過を許容し、前記第1の係止部材および前記第2の係止部材が係止状態のときに前記フックの排出を抑制する、
ことを特徴とする。
【0008】
また、前記本体は、前記ランヤードの取出が可能な開閉部を有し、
前記開閉部によって前記第1の開口部が形成されていることが好ましい。
【0009】
本発明の第2の観点に係る墜落制止用器具は、
ロープ式のランヤードを備える墜落制止用器具であって、
前記ランヤードに本発明の第1の観点に係るランヤードフックカバーが取り付けられている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フックが揺動しても碍子等の構造物の損傷を抑制可能なランヤードフックカバー及び墜落制止用器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(A)はランヤードフックカバーの閉状態を示す平面図、図1(B)は図1(A)のA-A’断面図である。
図2】ランヤードフックカバーの開状態を示す平面図である。
図3】回し掛けにおけるランヤードフックカバーの使用方法を説明する図である。
図4】回し掛けにおけるランヤードフックカバーの使用方法を説明する図である。
図5】回し掛けにおけるランヤードフックカバーの使用方法を説明する図である。
図6】直接掛けにおけるランヤードフックカバーの使用方法を説明する図である。
図7】直接掛けにおけるランヤードフックカバーの使用方法を説明する図である。
図8】直接掛けにおけるランヤードフックカバーの使用方法を説明する図である。
図9】墜落制止用器具の使用状況を示す図である。
図10図10(A)、(B)は、他の形態に係るランヤードフックカバーの非係止状態を示す平面図、係止状態を示す平面図である。
図11】従来の墜落制止用器具の使用状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(ランヤードフックカバー)
本実施の形態に係るランヤードフックカバーについて、図を参照しつつ説明する。ランヤードフックカバー10は、図1図2に示すように、本体11、開閉部11a、係止部材12、係止部材13を備える。ランヤードフックカバー10は、墜落制止用器具のロープ式のランヤードに取り付けて使用される。
【0013】
本体11は、ランヤードのフックを収容可能な形状をしており、ここでは筒状である。
本体11は、2つの開口部を有しており、一方の開口部は係止部材12によって係止され、開口部が狭められる。また、他方の開口部は係止部材13によって係止され、開口が狭められる。
【0014】
本体11は、開閉部11aを有しており、本体11へのフックの出し入れを容易にする。ここでは、開閉部11aは、本体11の一部が切り欠かれて形成された形態であり、本体11内へのフックの出し入れが可能な形状である。なお、開閉部11aは、別部材であって本体11に縫合等により接合された形態でもよい。
【0015】
本体11および開閉部11aは、内部に収容されたフックが揺動し、碍子に接触しても衝撃を緩和して碍子の損傷を抑制する衝撃緩衝能を発揮する。この衝撃緩衝能を果たし得る限り、本体11および開閉部11aはどのような素材から形成されていてもよい。例えば、本体11および開閉部11aは、厚手の布のほか、布やシート等の生地にウレタンスポンジやエアーパッキン等の緩衝材を内包させたものなどが挙げられる。
【0016】
係止部材13は、本体11と開閉部11aとを着脱可能に係止する。係止部材13によって、本体11に収容されたフックが排出されることを抑制する。ここでは、係止部材13は面ファスナーであり、開閉部11aの縁、及び、本体11の対応箇所に設置されている。
【0017】
本体11の一方の開口には、係止部材12が配置されている。係止部材12は、本体11の表面と背面とを着脱可能に係止する。係止部材12が係止された状態では、収納されたフック、接続リングの排出を抑制する。ここでは、係止部材12は2つのスナップボタンであり、2つのスナップボタンの間隔は、ランヤードのロープやストラップが通過できる程度に設定されている。
【0018】
(墜落制止用器具)
墜落制止用器具は、ロープ式のランヤードを備え、ランヤードに上述したランヤードフックカバー10が取り付けられている。一例として、図3に、胴ベルト型の墜落制止用器具20を示す。墜落制止用器具20は、作業者の胴に巻いて固定するための胴ベルト21、ランヤード23を取り付けるための接続環22、ランヤード23、ランヤードフックカバー10を備えている。ランヤード23は、胴ベルト接続部24、ショックアブソーバ25、接続リング26、ロープ27、フック28、スイベル29を備えており、ランヤード23にランヤードフックカバー10が取り付けられている。胴ベルト21、接続環22、ランヤード23は、市販のものを用いることができる。ランヤード23は、ロープ27とフック28とは、よれができないようにスイベル29によって接続されているとよりよい。また、胴ベルト接続部24は、二重フックに安全装置が付されたロック機能を備えているとよりよい。また、接続リング26は、ショックアブソーバ25とロープ27とを直接的或いは間接的に接続しているとともに、後述のように回し掛けの際にはフック28を係止する機能を果たすべく、フック28を掛け得る大きさ、形状であることが好ましい。
【0019】
ランヤードフックカバー10は、係止部材12、13が非係止状態の際に、ランヤード23を図3に示すように通し、ショックアブソーバ25、接続リング26の箇所で係止部材12を係止しておくことにより、取り付けることができる。係止部材12により、ランヤードフックカバー10がランヤード23に固定され、脱落することが抑えられる。
【0020】
続いて、ランヤードフックカバー10の使用方法について説明する。まず、ランヤード23を回し掛けして使用する場合について説明する。図4に示すように、ロープ27を親綱40に回し掛ける。そして、フック28を接続リング26に係止し、本体11に収容可能な位置に置く。
【0021】
そして、図5に示すように、開閉部11aを閉じ、係止部材13にて開閉部11aを係止することで、フック28を本体11に収容する。これにより、本体11からフック28が排出されることが抑えられる。
【0022】
次いで、ランヤードを親綱40に直接掛けして使用する場合について説明する。図6に示すように、フック28を親綱40に直接係止する。
【0023】
そして、係止部材12、13を非係止状態にし、図7に示すように、ランヤードフックカバー10をロープ27に沿って移動させる。フック28が本体11に収容される位置までランヤードフックカバー10を移動させる。
【0024】
そして、図8に示すように、係止部材12を係止するとともに、開閉部11aを閉じた後、係止部材13を係止し、フック28を本体11に収容する。これにより、フック28が本体11から排出されることが抑えられる。
【0025】
図9に、高所作業における墜落制止用器具20の使用状況を示している。ここでは、ランヤード23を直接掛けで親綱40に係止させて使用している状況を示している。ランヤードのフック28は、衝撃緩衝能を有するランヤードフックカバー10に収容されているため、作業中にフック28が揺動して碍子50に接触しても、碍子50の損傷を抑えることができる。
【0026】
以上のように、ランヤードフックカバー10は、ランヤード23を回し掛けで使用する場合、および、直接掛けで使用する場合のいずれにも適応可能である。そして、衝撃吸収能を有する本体11にフック28が収容された状態を維持できるので、フック28が揺動して碍子50等の構造物に接触しても、構造物の損傷を抑制し得る。
【0027】
また、ランヤードフックカバー10は、汎用性を有しており、種々の墜落制止用器具のランヤードに適用可能である。
【0028】
また、ランヤードフックカバー10は上記機能が発揮され得る限り、種々の変形が許容される。例えば、上記では、係止部材12がスナップボタン、係止部材13が面ファスナーである例について説明したが、上述した機能を発揮可能であれば、どのような形態であってもよい。係止部材12、13は、スナップボタンや面ファスナーのほか、例えば、線ファスナーやクリップ、紐及び留め具の組み合わせなどであってもよい。
【0029】
また、本体11および開閉部11aの形状についても、ランヤードフックカバー10の機能が損なわれない限り、種々の形状であってよい。
【0030】
また、図10(A)、(B)に示すように、開閉部を備えていないランヤードフックカバー10であってもよい。図10に示すランヤードフックカバー10では、筒状の本体11の2つの開口部にそれぞれ係止部材12、13が配置された形態である。ここでは、係止部材12は紐12aおよび留め具12bを組み合わせたものである。本体11に紐12aを通す通路が形成されており、留め具12bが紐12aに取り付けられている。留め具12bはボタンおよびバネを備えた公知の留め具であり、留め具12bは、ボタンを押した状態で紐12aに沿って移動可能であり、ボタンを放した状態では、移動しないよう固定される。また、係止部材13は、線ファスナーである。係止部材12、13が非係止状態において、フックを含めてランヤードの通過が可能であり、係止状態においては、収容されたフックの排出が抑えられる。
【符号の説明】
【0031】
10 ランヤードフックカバー
11 本体
11a 開閉部
12 係止部材
12a 紐
12b 留め具
13 係止部材
20 墜落制止用器具
21 胴ベルト
22 接続環
23 ランヤード
24 胴ベルト接続部
25 ショックアブソーバ
26 接続リング
27 ロープ
28 フック
29 スイベル
40 親綱
50 碍子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11