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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123841
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】作業台
(51)【国際特許分類】
   E06C 1/39 20060101AFI20240905BHJP
   E06C 7/18 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
E06C1/39 A
E06C7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031583
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】村上 莉央
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044AA06
2E044BA06
2E044CB04
2E044CC01
2E044DA04
2E044EC09
(57)【要約】
【課題】天板に対する乗降時や天板上での作業時における作業者の安全を確保する作業台を提供する。
【解決手段】天板に対する乗降方向Xと、該乗降方向に直交する左右幅方向Yに関して、天板の左右幅方向Yの少なくとも一方の側部に上向きに延びる手掛かり棒(12)を配設すると共に、該手掛かり棒の上端部にグリップ(13)を設けており、前記グリップは、手掛かり棒の軸方向に延びるハンドル部(16)の上部にフランジ状のサポート部(17)を設けており、前記サポート部(17)は、作業者が握る手指の触感により乗降方向Xと幅方向Yを感知させるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームにより支持された天板に作業者が乗降し、天板の上で作業を行う作業台において、前記天板に対する乗降方向Xと、該乗降方向に直交する左右幅方向Yに関して、
前記作業台は、天板の左右幅方向Yの少なくとも一方の側部に上向きに延びる手掛かり棒(12)を配設すると共に、該手掛かり棒の上端部にグリップ(13)を設けており、
前記グリップは、手掛かり棒の軸方向に延びるハンドル部(16)と、該ハンドル部の上部に設けられたフランジ状のサポート部(17)を備えて成ることを特徴とする作業台。
【請求項2】
支持フレームにより支持された天板に作業者が乗降し、天板の上で作業を行う作業台において、前記天板に対する乗降方向Xと、該乗降方向に直交する左右幅方向Yに関して、
前記作業台は、天板の左右幅方向Yの少なくとも一方の側部に上向きに延びる手掛かり棒(12)を配設すると共に、該手掛かり棒の上端部にグリップ(13)を設けており、
前記グリップは、手掛かり棒の軸方向に延びるハンドル部(16)と、該ハンドル部の上部に設けられたフランジ状のサポート部(17)を備え、
前記サポート部(17)は、乗降方向Xに臨む第1縁部(20)と、左右幅方向Yに臨む第2縁部(21)を相互に、異なる形状として形成することにより、該サポート部(17)を握る手指の触感により乗降方向Xと幅方向Yを感知させるように構成されて成ることを特徴とする作業台。
【請求項3】
前記グリップ(13)は、天板の上に起立した作業者が腕を下向き姿勢としたとき前記サポート部(17)に手を置くことができる高さ位置に設けられており、
前記サポート部(17)は、外周の縁部に、乗降方向Xに対向して臨む一対の第1縁部(20)と、左右幅方向Yに対向して臨む一対の第2縁部(21)を形成しており、
前記第1縁部は、乗降方向Xに交差する直線部(22a)を形成し、前記第2縁部は、左右幅方向Yの内側に向けて凹曲された指受部(22b)を形成して成ることを特徴とする請求項2に記載の作業台。
【請求項4】
前記天板(2)は、前記支持フレームを構成する左右一対のサイドフレーム(1L)(1R)に固設した桟部材(6)により両端部が支持されると共に、前記桟部材の長手方向に間隔をあけて配置した複数の天板固定用ネジ手段(29)により固定されており、
前記手掛かり棒(12)は、一方のサイドフレーム(1R)の桟部材(6)に取付けられる固定金具(14)から立設され、該固定金具は、手掛かり棒を固定保持する保持部(23)の両側に延設された一対の翼部(24a)(24b)のうち一方の翼部を前記桟部材(6)に対して金具固定用ネジ手段(32)により固定されており、
前記天板固定用ネジ手段(29)は、天板(2)に設けた天板固定用ナット(30)に対して、天板固定用ボルト(31)を桟部材(6)の外側から挿通して螺着するように構成され、
前記金具固定用ネジ手段(32)は、前記桟部材(6)に設けた金具固定用ナット(33)に対して、金具固定用ボルト(34)を前記固定金具(14)の一方の翼部に外側から挿通して螺着するように構成され、
複数の天板固定用ネジ手段から選ばれた天板固定用ネジ手段(29)は、天板固定用ナット(30)及び天板固定用ボルト(31)をそれぞれ共締め用ナット(30a)及び共締め用ボルト(31a)とする共締めネジ手段(29a)を構成しており、
前記固定金具(14)の他方の翼部は、該共締めネジ手段(29a)の共締め用ボルト(31a)を外側から該翼部と桟部材(6)に挿通させて共締め用ナット(30a)に螺着することにより固定されるように構成されて成ることを特徴とする請求項2又は3に記載の作業台。
【請求項5】
前記固定金具(14)の一対の翼部(24a)(24b)のうち、一方の翼部を固定する金具固定用ネジ手段(32)と他方の翼部を固定する共締めネジ手段(29a)により1組の固定手段を構成しており、
前記桟部材(6)の長手方向の異なる位置に、複数組の固定手段(M1)(M2)が設けられて成る
ことを特徴とする請求項4に記載の作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板に作業者が乗降し、天板の上で作業を行う作業台に関し、特に、乗降時や作業時における作業者の安全を確保する作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
作業台は、作業者が作業を行うためのプラットホームとしての天板を備えており、高所作業のために提供される。
【0003】
例えば、比較的低い位置に天板を設けた踏み台のような小型の作業台においても、左右一対のサイドフレームに天板を架設し、作業者が天板に乗降するための踏板を天板に向けて階段状に設けている。その際、作業者が搭乗していないときは、キャスターにより床面を移動可能とする一方において、作業者が天板に搭乗しているときは、サイドフレームの下端部を床面に接地させることにより移動不能とした安定設置状態を可能とする作業台(以下、「自動接地型のキャスター付き作業台」という。)が知られている(特許文献1)。しかしながら、本明細書における「作業台」の語は、このような自動接地型のキャスター付き作業台や、その他の脚立や踏み台や可搬式作業台等の種々の作業台を広く含む意味であることを理解されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6630954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の自動接地型のキャスター付き作業台の場合、作業者が天板に搭乗したときは、サイドフレームの下端部が床面に完全接地することにより移動不能に安定設置される。しかしながら、踏板に足を掛けながら床面と天板の間を乗降するときは、重心の移動により、接地が不完全とされた不安定な状態となるので、キャスターを介して位置ずれ移動するおそれがある。このため、作業者がよろめいて転倒する危険がある。
【0006】
また、作業者が床面に降下した状態で、作業台を押すことにより、キャスターを介して作業台を別の場所に移動させる際、作業者が手指で握持できるハンドルが設けられていないため、不便である。
【0007】
更に、自動接地型のキャスター付き作業台に限らず、作業台の天板の上に搭乗して高所作業を行う際、作業者は、常に足元を視認しながら作業を行わなければ、天板から足を踏み外すおそれがあり、危険にさらされるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決した作業台を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明が手段として構成したところは、支持フレームにより支持された天板に作業者が乗降し、天板の上で作業を行う作業台において、前記天板に対する乗降方向Xと、該乗降方向に直交する左右幅方向Yに関して、前記作業台は、天板の左右幅方向Yの少なくとも一方の側部に上向きに延びる手掛かり棒を配設すると共に、該手掛かり棒の上端部にグリップを設けており、前記グリップは、手掛かり棒の軸方向に延びるハンドル部と、該ハンドル部の上部に設けられたフランジ状のサポート部を備えて成る点にあり、好ましくは、前記サポート部は、乗降方向Xに臨む第1縁部と、左右幅方向Yに臨む第2縁部を相互に、異なる形状として形成することにより、該サポート部を握る手指の触感により乗降方向Xと幅方向Yを感知させるように構成されて成る点にある。
【0010】
好ましくは、前記グリップは、天板の上に起立した作業者が腕を下向き姿勢としたとき前記サポート部に手を置くことができる高さ位置に設けられており、前記サポート部は、外周の縁部に、乗降方向Xに対向して臨む一対の第1縁部と、左右幅方向Yに対向して臨む一対の第2縁部を形成しており、前記第1縁部は、乗降方向Xに交差する直線部を形成し、前記第2縁部は、左右幅方向Yの内側に向けて凹曲された指受部を形成している。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、前記天板は、前記支持フレームを構成する左右一対のサイドフレームに固設した桟部材により両端部が支持されると共に、前記桟部材の長手方向に間隔をあけて配置した複数の天板固定用ネジ手段により固定されており、前記手掛かり棒は、一方のサイドフレームの桟部材に取付けられる固定金具から立設され、該固定金具は、手掛かり棒を固定保持する保持部の両側に延設された一対の翼部の一方を前記桟部材に対して金具固定用ネジ手段により固定されており、前記天板固定用ネジ手段は、天板の端部に設けた天板固定用ナットに対して、天板固定用ボルトを桟部材の外側から挿通して螺着するように構成され、前記金具固定用ネジ手段は、前記桟部材に設けた金具固定用ナットに対して、金具固定用ボルトを前記固定金具の一方の翼部に外側から挿通して螺着するように構成され、複数の天板固定用ネジ手段から選ばれた天板固定用ネジ手段は、天板固定用ナット及び天板固定用ボルトをそれぞれ共締め用ナット及び共締め用ボルトとする共締めネジ手段を構成しており、前記固定金具の他方の翼部は、共締めネジ手段の共締め用ボルトを外側から該翼部と桟部材に挿通させて共締め用ナットに螺着することにより固定されるように構成されている。
【0012】
この際、前記固定金具の一対の翼部のうち、一方の翼部を固定する金具固定用ネジ手段と他方の翼部を固定する共締めネジ手段により1組の固定手段を構成しており、前記桟部材の長手方向の異なる位置に、複数組の固定手段が設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作業者は、床面と天板2の間を乗降するときは、グリップ13のハンドル部16を横向き握り姿勢G1で握持することにより、身体が安定するので、転倒の恐れがない。そして、天板2に搭乗して高所作業を行うときは、自然に腕を下向きに降ろした位置でサポート部17に手を置き、下向き握り姿勢G2でサポート部17を握持することにより、第1縁部20と第2縁部21を介して、手指の触感により乗降方向Xと幅方向Yを感知することができるので、足元を視認しなくても、自分の足の位置を認識することができ、天板2から足を踏み外すおそれがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態を示しており、(A)は1つの実施形態に係る自動接地型のキャスター付き作業台を示す斜視図、(B)はサイドフレームの座具が床面から浮上することにより作業台を移動可能とした状態を示す斜視図、(C)は座具が床面に接地することにより作業台を移動不能とした状態を示す斜視図である。
図2】手掛かり棒のグリップを示しており、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)はA-A線断面図、(D)はB-B線断面図である。
図3】作業台の使用状態に関して、作業者が踏板に足を掛けながら床面と天板の間を乗降するときの作用を示す斜視図である。
図4】作業台の使用状態に関して、作業者が天板に搭乗して高所作業を行うときの作用を示す斜視図である。
図5】作業台の使用状態に関して、作業者が床面に降りた状態で作業台を移動させるときの作用を示す斜視図である。
図6】グリップの機能に関して、(A)はハンドル部の機能を示す斜視図、(B)はサポート部の機能を示す斜視図である。
図7】手掛かり棒とグリップと固定金具を分解した状態で示す斜視図である。
図8】作業台における手掛かり棒の取付固定状態に関して、(A)は斜視図、(B)は固定金具の断面図である。
図9】桟部材と天板の取付固定に関するネジ手段と、桟部材と固定金具の取付固定に関するネジ手段の構成を示す斜視図である。
図10】桟部材と天板の取付固定に関するネジ手段と、桟部材と固定金具の取付固定に関するネジ手段の構成を示す横断面図である。
図11】桟部材の長手方向に関する第1位置に固定金具を介して手掛かり棒を配設するときの方法を示しており、(A)は固定金具の取付方法を示す斜視図、(B)は手掛かり棒が配設された状態を示す斜視図、(C)は手掛かり棒が配設された状態を示す横断面図である。
図12】桟部材の長手方向に関する第2位置に固定金具を介して手掛かり棒を配設するときの方法を示しており、(A)は固定金具の取付方法を示す斜視図、(B)は手掛かり棒が配設された状態を示す斜視図、(C)は手掛かり棒が配設された状態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0016】
図1に示すように、作業台は、支持フレーム1と、該支持フレーム1により床面から所定の高さ位置に支持された天板2を備え、作業者が床面から天板2に乗降する際の階段として機能する踏板3を設けている。天板2に対する乗降方向Xと、該乗降方向に直交する左右幅方向Yに関して、図示実施形態の場合、乗降方向Xに向けて下から順に2枚の踏板3a、3bを配置し、天板2を含んで3段とされた階段を構成しているが、段数は任意に構成することが可能であり、更に、踏板3を有しない作業台であっても良い。
【0017】
前記支持フレーム1は、左右幅方向Yに配置された一対のサイドフレーム1L、1Rにより構成されており、サイドフレーム1L、1Rは、それぞれ、金属製パイプ材を折曲することにより形成されており、前記天板2の両端縁部のやや上方位置で乗降方向Xに延びる水平部4aと、水平部4aの両端から下向きに折曲された前脚4bと後脚4cを備え、乗降方向Xに離間する両脚4b、4cの下端近傍部を連結材5により連結している。
【0018】
前記サイドフレーム1L、1Rは、それぞれ、天板2を支持固定するための桟部材6と、踏板3a、3bを支持固定するための桟部材7a、7bを固設しており、これらの桟部材6、7a、7bは、前脚4bと後脚4cの間に架設された状態で溶接等により固定されている。
【0019】
これにより、左右一対のサイドフレーム1L、1Rの間において、天板2は、左右幅方向Yの両端縁部を前記桟部材6、6により支持され固定されている。同様の方法で、踏板3a、3bは、前記桟部材7a、7bにより支持され固定されている。
【0020】
図示実施形態の場合、作業台は、前後脚4b、4cの下端部に座具8を設け、連結材5にキャスター装置9を設けることにより、上述の「自動接地型のキャスター付き作業台」を構成している。
【0021】
キャスター装置9は、連結材5に対して上下方向に摺動自在に支持された縦軸10と、キャスター装置9により作業台を下から支持させるスプリング11を設けている。この際、スプリング11は、作業台の全体重量に勝る弾発力を備えており、常時は、図1(B)に示すように、座具8を床面から浮き上がらせた状態で作業台を支持し、キャスター装置9の車輪を転動可能とする。つまり、床面を走行移動可能とする。そして、作業者が天板2に搭乗したときは、図1(C)に示すように、作業者の体重による重量増により、スプリング11を圧縮することにより作業台が下降し、座具8を床面に接地させる。つまり、作業台を移動不能な安定設置状態とする。
【0022】
ところで、作業台は、前記天板2に対する乗降方向Xと、該乗降方向に直交する左右幅方向Yに関して、天板2の左右幅方向Yの少なくとも一方の側部に上向きに延びる手掛かり棒12を配設すると共に、該手掛かり棒12の上端部にグリップ13を設けている。
【0023】
手掛かり棒12は、金属製パイプ材により形成されており、下端部が固定金具14により前記桟部材6に固定保持され、そのやや上方に位置する中間部が係止金具15により前記サイドフレーム1Rの水平部4aに係止保持されている。
【0024】
グリップ13は、合成樹脂により一体成形されており、手掛かり棒12の軸方向に延びるハンドル部16と、該ハンドル部16の上部に設けられたフランジ状のサポート部17を備えている。この際、ハンドル部16は、下向きに開口する筒状体に形成され、該筒状体に手掛かり棒12の上端部を挿入した状態で、該筒状体と手掛かり棒12に挿通した固定具18により固定される。
【0025】
このようにして手掛かり棒12の上端部に挿着されたグリップ13は、天板2に搭乗した作業者が起立状態で腕を自然に下向きに降ろした姿勢で、サポート部17に手を置くことができる高さ位置に設けられている(図4参照)。具体的には、天板2の上面から750mmの位置にサポート部17が配置されるように構成することが好ましいが、700~800mmの範囲内であれば良い。
【0026】
ハンドル部16は、図2(C)(D)に示すように、筒状体の外周面の断面形状を軸方向に波形とすることにより、上下方向に節部19aと溝部19bを交互に形成している。これにより、図6(A)に示すように、作業者が手の指をほぼ並行状態として横方向からハンドル部16を握持したとき(以下、「横向き握り姿勢G1」という。)指を節部19aと溝部19bに沿い馴染ませた状態でハンドル部16を握ることができるように構成されている。
【0027】
サポート部17は、図2に示すように、乗降方向Xに臨む第1縁部20と、左右幅方向Yに臨む第2縁部21を相互に、異なる形状に形成している。図示のように、第1縁部20と第2縁部21のうち、第1縁部20は、ハンドル部16よりも乗降方向Xに大きく張り出すフランジ状に形成されている。これにより、図6(B)に示すように、作業者が手指をサポート部17の上に置いた状態で握持したとき(以下、「下向き握り姿勢G2」という。)手指の触感により第1縁部20と第2縁部21を識別することができる。つまり、乗降方向Xと幅方向Yを感知することができる。
【0028】
図示実施形態の場合、サポート部17の外周縁部には、乗降方向Xに対向して臨む一対の第1縁部20、20と、左右幅方向Yに対向して臨む一対の第2縁部21、21が形成されており、前記第1縁部20は、乗降方向Xに交差する直線部22aを形成し、前記第2縁部21は、左右幅方向Yの内側に向けて凹曲された指受部22bを形成している。これにより、作業者の下向き握り姿勢G2とした手指により、乗降方向Xと幅方向Yを感知することがいっそう容易となる。
【0029】
図3ないし図5にグリップ13の作用を示している。
【0030】
図3は、作業者が床面と天板2の間を乗降するときの状態を示している。作業者は、踏板3a、3bに足を掛けて乗降する際に、腕を伸ばすことにより、グリップ13のハンドル部16を横向き握り姿勢G1として良好に握持することができるので、身体を安定させることにより転倒防止の効果がある。
【0031】
図4は、作業者が天板2に搭乗し、起立状態で高所作業を行うときの状態を示している。作業者は、自然に腕を下向きに降ろした位置でサポート部17に手を置くことができるので、下向き握り姿勢G2としてサポート部17を握持することにより、前記第1縁部20と第2縁部21を介して、手指の触感により乗降方向Xと幅方向Yを感知することができる。このため、足元を視認しなくても、天板2の上における自分の足の位置を認識することができるので、天板2から足の踏み外しを防止する効果がある。
【0032】
図5は、作業者が床面に降下した状態で、作業台を押すことにより、キャスター装置9を介して別の場所に移動させるときの状態を示している。作業者は、側方からグリップ13のハンドル部16を横向き握り姿勢G1として握持することができ、その状態で、手掛かり棒12を介して作業者を押し又は引くことにより、自由に移動させることができる。
【0033】
図7ないし図12は、グリップ13を設けた手掛かり棒12の取付固定に関する実施形態の具体例を示している。
【0034】
上述のように、手掛かり棒12は、下端部が固定金具14により桟部材6に固定保持され、そのやや上方の中間部が係止金具15によりサイドフレーム1Rの水平部4aに係止保持される。
【0035】
図7及び図8に示すように、固定金具14は、上下方向の筒形状とされた保持部23の両側に一対の翼部24a、24bを延設している。手掛かり棒12の下端部は、保持部23に挿入保持され、固定手段により固定される。図例の場合、固定手段は、保持部23の外側から挿入した状態で手掛かり棒12に挿入係止される短尺ボルトから成る第1固定手段25や、保持部23と手掛かり棒12を貫通した状態で締結する長尺ボルト及び袋ナットから成る第2固定手段26により構成されているが、これに限らず、任意に構成することができる。
【0036】
そこで、手掛かり棒12の下端部を固定保持するための固定金具14は、前記翼部24a、24bを桟部材6に添接状態としてネジ手段により取付固定される。ネジ手段の詳細については、後述する。
【0037】
図7及び図8に示すように、係止金具15は、平板状の添接部27と、該添接部27から下向きに延設されたL形状の係止部28を備えている。手掛かり棒12の中間部の所定位置に添接部27を添接した状態で貫通ボルト及び袋ナットから成る固着手段29により固定すると、係止部28がサイドフレーム1Rの水平部4aに上から臨まされるように構成されている。
【0038】
手掛かり棒12を作業台に装着する具体的方法として、第1の装着方法と第2の装着方法を選択的に実施することができる。
【0039】
第1の装着方法の場合、予め、固定金具14の保持部23に手掛かり棒12の下端部を挿着した状態で、該固定金具14を桟部材6の所定位置に取付固定することにより、手掛かり棒12を起立させる。この状態で、係止金具15を水平部4aに沿わせ、係止部28を水平部4aに係止させた状態で添設部27を手掛かり棒12に取付固定する。
【0040】
第2の装着方法の場合、先ず、固定金具14を桟部材6の所定位置に取付固定した後、係止金具15を取付けた手掛かり棒12を固定金具14の上方に位置させた状態から下降することにより、手掛かり棒12の下端部を固定金具14の保持部23に挿着する。このとき、手掛かり棒12と同時に係止金具15の係止部28が下降し、水平部4aを上から抱持することにより係止させられる。
【0041】
何れの装着方法による場合でも、装着された手掛かり棒12は、固定金具14と係止金具15により、下端部と中間部の上下2個所において固定されるので、起立姿勢を強固に保持することができる。
【0042】
図9ないし図12は、桟部材6に対して天板2の両端縁部を固定するためのネジ手段と、桟部材6に対して固定金具14の翼部24a、24bを固定するためのネジ手段について、好ましい実施形態を示している。
【0043】
図9及び図10に示すように、桟部材6は、断面コ字形に形成されており、天板2の縁部を嵌入することにより支持した状態で、相互に、天板固定用ネジ手段29により固定される。この際、天板固定用ネジ手段29は、桟部材6の長手方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0044】
天板固定用ネジ手段29は、天板2の縁部に固着された天板固定用ナット30に対して、桟部材6の外側から挿通した頭付きの天板固定用ボルト31を螺着するように構成されている。図示実施形態の場合、天板2は、2枚のアルミニウムの型材2a、2bを並設することにより構成されており、各型材の縁部の両端部に臨んで天板固定用ネジ手段29を設けている。従って、2枚の型材2a、2bを含む天板2の縁部には、合計4個の天板固定用ネジ手段29が配設されている。
【0045】
ところで、前記天板固定用ネジ手段29と別に、固定金具14の翼部24a、24bのうち、一方の翼部を桟部材6に固定するための金具固定用ネジ手段30が設けられている。この金具固定用ネジ手段32は、桟部材6に設けた金具固定用ナット33に対して、一方の翼部に挿通された頭付きの金具固定用ボルト34を螺着するように構成されている。
【0046】
そして、固定金具14の翼部24a、24bのうち、他方の翼部は、前述した複数の天板固定用ネジ手段29から選ばれた該ネジ手段29を共締めネジ手段29aとすることにより、桟部材6に固定されるように構成されている。つまり、この場合、天板固定用ネジ手段29の天板固定用ナット30及び天板固定用ボルト31は、共締めネジ手段29aとして選択されたときは、共締め用ナット30a及び共締め用ボルト30bとして使用され、共締め用ボルト30bを固定金具14の他方の翼部に挿通させて共締め用ナット30aに螺着することにより、天板2と桟部材6と該翼部の3者を共締めする。
【0047】
従って、固定金具14の翼部24a、24bは、一方の翼部は、前記金具固定用ネジ手段32により桟部材6に固定されるが、他方の翼部は、前述の共締めネジ手段29aにより桟部材6に固定される。
【0048】
図示実施形態の場合、図10に示すように、前記合計4個の天板固定用ネジ手段29を構成する天板固定用ナット30のうち、中央に位置して隣り合う2個のナットを共締め用ナット30a、30aとして、それぞれの共締め用ナット30aと組を成す2個の金具固定用ナット33、33が桟部材6に設けられている。
【0049】
これにより、固定金具14の翼部24a、24bに設けられたボルト挿通孔の間隔距離Lに関して、それぞれ同一間隔Lで設けられた金具固定用ナット33と共締め用ナット30aにより構成される第1組の固定手段M1と、第2組の固定手段M2が形成される。そして、第1組の固定手段M1と、第2組の固定手段M2は、桟部材6の長手方向に関して異なる位置に配置される。このため、後述するように、固定金具14を第1組の固定手段M1により桟部材6に固定したときは、固定金具14及び手掛かり棒12は、第1位置P1に設置され、固定金具14を第2組の固定手段M2により桟部材6に固定したときは、固定金具14及び手掛かり棒12は、第2位置P2に設置される。尚、第1位置P1と第2位置P2の何れに設置された場合においても、係止金具15は、サイドフレーム1Rの水平部4aに対する位置を変更されるが、係止部28が水平部4aに係止させられる。
【0050】
上記のように構成することにより、手掛かり棒12は、図11に示す第1位置P1と、図12に示す第2位置P2のように、作業者の使い勝手に応じて、乗降方向Xの異なる位置に配置することができる。
【0051】
図11は、固定金具14を第1位置P1に設置する方法を示しており、固定金具14は、第1組の固定手段M1により桟部材6に固定される。
【0052】
図示のように、固定金具14の一方の翼部24aは、第1組の固定手段M1を構成する金具固定用ネジ手段32(金具固定用ナット33及び金具固定用ボルト34)により、桟部材6に固定される。これに対して、他方の翼部24bは、天板固定用ネジ手段29から選択された第1組の固定手段M1を構成する共締めネジ手段29a(共締め用ナット30a及び共締め用ボルト31a)により、桟部材6及び天板2に固定される。
【0053】
この場合、図9及び図10に示した第2の固定手段M2は、固定金具14を固定するために使用されない。図9及び図10において第2の固定手段M2として示した共締めネジ手段29aは、他の天板固定用ネジ手段29と同様に、天板固定用ナット30及び天板固定用ボルト31を構成し、桟部材6を天板2に固定している。また、第2の固定手段M2の金具固定用ナット33は、使用されていない。つまり、ボルトが螺着されず、遊んだ状態とされている。
【0054】
このように固定金具14を第1位置P1に設置することにより、手掛かり棒12も第1位置P1に配置される。
【0055】
図12は、固定金具14を第2位置P2に設置する方法を示しており、固定金具14は、第2組の固定手段M2により桟部材6に固定される。
【0056】
図示のように、固定金具14の一方の翼部24aは、天板固定用ネジ手段29から選択された第2組の固定手段M2を構成する共締めネジ手段29a(共締め用ナット30a及び共締め用ボルト31a)により、桟部材6及び天板2に固定される。これに対して、他方の翼部24bは、第2組の固定手段M2を構成する金具固定用ネジ手段32(金具固定用ナット33及び金具固定用ボルト34)により、桟部材6に固定される。
【0057】
この場合、図9及び図10に示した第1の固定手段M1は、固定金具14を固定するために使用されない。図9及び図10において第1の固定手段M1として示した共締めネジ手段29aは、他の天板固定用ネジ手段29と同様に、天板固定用ナット30及び天板固定用ボルト31を構成し、桟部材6を天板2に固定している。また、第1の固定手段M1の金具固定用ナット33は、使用されていない。つまり、ボルトが螺着されず、遊んだ状態とされている。
【0058】
このように固定金具14を第1位置P2に設置することにより、手掛かり棒12も第2位置P2に配置される。
【符号の説明】
【0059】
1 支持フレーム
1L、1R サイドフレーム
2 天板
2a、2b 型材
3a、3b 踏板
4a 水平部
4b 前脚
4c 後脚
5 連結材
6 桟部材
7a、7b 桟部材
8 座具
9 キャスター装置
10 縦軸
11 スプリング
12 手掛かり棒
13 グリップ
14 固定金具
15 係止金具
16 ハンドル部
17 サポート部
18 固定具
19a 節部
19b 溝部
20 第1縁部
21 第2縁部
22a 直線部
22b 指受部
23 保持部
24a、24b 翼部
25 第1固定手段
26 第2固定手段
27 添接部
28 係止部
29 天板固定用ネジ手段
29a 共締めネジ手段
30 天板固定用ナット
30a 共締め用ナット
31 天板固定用ボルト
31a 共締め用ボルト
32 金具固定用ネジ手段
33 金具固定用ナット
34 金具固定用ボルト
X 乗降方向
Y 左右幅方向
G1 横向き握り姿勢
G2 下向き握り姿勢
M1 第1組の固定手段
M2 第2組の固定手段
P1 第1位置
P2 第2位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12