(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123846
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】泡消火剤
(51)【国際特許分類】
A62D 1/02 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A62D1/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031595
(22)【出願日】2023-03-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000199197
【氏名又は名称】千住金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】大類 寿彦
(72)【発明者】
【氏名】川又 勇司
【テーマコード(参考)】
2E191
【Fターム(参考)】
2E191AA01
2E191AB12
2E191AB32
(57)【要約】
【課題】フッ素系界面活性剤を含有せず、消火性能の高い泡消火剤を提供する。
【解決手段】泡消火剤は、14質量%以上のアニオン系界面活性剤、0.2質量%以上の両性界面活性剤、1.0質量%以上のHLBが15以上のノニオン界面活性剤及び溶剤を含有し、フッ素系界面活性剤を含有しない泡消火剤。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
14質量%以上のアニオン系界面活性剤、0.2質量%以上の両性界面活性剤、1.0質量%以上のHLBが15以上のノニオン界面活性剤、及び溶剤を含有し、
フッ素系界面活性剤を含有しない、泡消火剤。
【請求項2】
前記ノニオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル又はポリオキシエチレン(7~65)ウンデシルエーテルを含む、請求項1に記載の泡消火剤。
【請求項3】
前記ノニオン界面活性剤のHLBが18以上となる、請求項1又は2に記載の泡消火剤。
【請求項4】
無機紛体、シリコーン成分、金属石鹸及び炭酸塩を含有しない、請求項1又は2に記載の泡消火剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素系界面活性剤を含有しない泡消火剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、消火剤としては水消火剤、強化液消火剤、ガス消火剤、粉末消火剤、泡消火剤等の様々なものが提案されている。このうち泡消火剤として例えば特許文献1では、水成膜形成型合成界面泡消火剤において液晶を形成可能な含フッ素系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤、及びパーフルオロアルキル基と親水性基含有フッ素系共重合オリゴマーを含有する消火剤組成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で示される泡消火剤では含フッ素系界面活性剤が含まれているが、フッ素自体が環境に悪影響を及ぼす可能性があることから、泡消火剤の原料としてはその利用を控えたいニーズがある。
【0005】
本発明は、フッ素系界面活性剤を含有せず、消火性能の高い泡消火剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[概念1]
本発明による泡消火剤は、
14質量%以上のアニオン系界面活性剤、0.2質量%以上の両性界面活性剤、1.0質量%以上のHLBが15以上のノニオン界面活性剤、及び溶剤を含有し、
フッ素系界面活性剤を含有しなくてもよい。
【0007】
[概念2]
概念1による泡消火剤において、
ノニオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル又はポリオキシエチレン(7~65)ウンデシルエーテルを含んでもよい。
【0008】
[概念3]
概念1又は2による泡消火剤において、
ノニオン界面活性剤のHLBが18以上となってもよい。
【0009】
[概念4]
概念1乃至3のいずれか1つによる泡消火剤において、
無機紛体、シリコーン成分、金属石鹸及び炭酸塩を含有しなくてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フッ素系界面活性剤を含有せず、消火性能の高い泡消火剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】5部のノニオン界面活性剤を配合した際における、ノニオン界面活性剤のHLBと発泡倍率との関係を示したグラフ。
【
図2】10部のノニオン界面活性剤を配合した際における、ノニオン界面活性剤のHLBと発泡倍率との関係を示したグラフ。
【
図3】20部のノニオン界面活性剤を配合した際における、ノニオン界面活性剤のHLBと発泡倍率との関係を示したグラフ。
【
図4】5部のノニオン界面活性剤を配合した際における、ノニオン界面活性剤のHLBと25%還元時間との関係を示したグラフ。
【
図5】10部のノニオン界面活性剤を配合した際における、ノニオン界面活性剤のHLBと25%還元時間との関係を示したグラフ。
【
図6】20部のノニオン界面活性剤を配合した際における、ノニオン界面活性剤のHLBと25%還元時間との関係を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態
本実施の形態の泡消火剤は、14質量%以上のアニオン系界面活性剤、0.2質量%以上の両性界面活性剤、1.0質量%以上のHLBが15以上のノニオン界面活性剤、及び溶剤を含有している。
【0013】
本実施の形態の泡消火剤はフッ素系界面活性剤を含有しなくてもよい。また本実施の形態の泡消火剤はフッ素及びフッ素を元素として含む化合物(フッ素含有化合物)を含まなくてもよい。フッ素は環境に悪影響を及ぼす可能性があることから、泡消火剤がフッ素系界面活性剤を含有しない場合には、環境に優しい泡消火剤とすることができる点で有益である。環境への配慮を重視する場合には、泡消火剤は、PFASを含まないことが非常に有益である。なお、本願においてフッ素やフッ素系界面活性剤を含むフッ素含有化合物を含有しないというのは意識的に添加される化合物として含有しないことを意味しており、不可避的に混入する量のフッ素やフッ素含有化合物が含まれることを除外するものではない。また海水にもフッ素が含まれているが、フッ素を含有させない理由は環境に配慮してのものであることから、海水に含まれる量のフッ素であれば問題にはならない。
【0014】
アニオン系界面活性剤としては例えば、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の任意の親水性基と、脂肪族、芳香族等の任意の疎水性基とを有する化合物が挙げられる。アニオン系界面活性剤の含有量は発泡性・泡持ち性の観点から14質量%以上であることが好ましく、16質量%以上であることがより好ましく、22質量%以上であることがさらにより好ましい。泡消火薬剤への原液への可溶性への観点からすると、アニオン系界面活性剤の含有量の上限は50%であることが好ましい。
【0015】
より具体的には、アニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩類、ジエチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジイソトリデシルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸又はその塩類、ジ(ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル)スルホコハク酸ナトリウム、ジ(ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル)スルホコハク酸ナトリウム等のジポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸又はその塩類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸又はその塩類、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸又はその塩類、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、半硬化牛脂脂肪酸ナトリウム等の脂肪酸又はその塩類、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ジアンモニウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸カルシウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸又はその塩類、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩類、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム等の芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩類、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン酸塩、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸又はその塩類、及びN-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸モノナトリウム等のN-アシルグルタミン酸又はその塩類等が挙げられる。
【0016】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキル又はアルケニルベタイン型、アルキル又はアルケニルアミドベタイン型、アルキル又はアルケニルスルホベタイン型、アルキル又はアルケニルアミドスルホベタイン型、イミダゾリン型、アミノ酸型、アミンオキサイド型化合物等が挙げられ、より具体的には、ラウリルジメチルアミンオキサイドやラウリン酸アミドプロピルベタインを挙げることができる。両性界面活性剤の含有量は消火性が向上することから0.2質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましく、1.8質量%以上であることがさらにより好ましい。界面活性剤の希釈溶液への可溶性、発泡性の悪化からすると、両性界面活性剤の含有量の上限は10%であることが好ましい。
【0017】
HLBが15以上のノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(7~65)ウンデシルエーテル等のうちHLBが15以上のものが挙げられる。HLBが15以上のノニオン界面活性剤の含有量は泡持ち性が良くなることから1.0質量%以上であることが好ましく、2.0質量%以上であることがより好ましく、2.9質量%以上であることがさらにより好ましい。泡消火薬剤の原液の不凍性の観点からすると、HLBが15以上のノニオン界面活性剤の含有量の上限は30%であることが好ましい。HLBが18以上のノニオン界面活性剤の含有量は少なくても消火性が高い点で優れている(後述する表7参照)。なお、HLBが高すぎると泡消火薬剤の原液へと溶解しなくなるであることから、上限値のHLBは19.5以下としてもよい。
【0018】
溶剤としては、例えば、アルキルベタイン型界面活性剤、イソプロピルアルコール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ブトキシエタノール、エチルセロソルブ、ブチルカルビトール、エチレングリコール、エタノール等を用いてもよい。泡消火剤は溶剤として水を含有してもよいが、泡消火薬剤の不凍性、高級アルコールの溶解性という観点からすると、水の含有量は60質量%以下であることが好ましい。
【0019】
泡消火剤は、泡持ち性向上のためにミリスチルアルコール、ラウリルアルコール等の高級アルコール、トリエタノールアミン、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム等の増粘剤、尿素等を含んでもよい。
【0020】
泡消火剤は中和剤を含有してもよい。中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、アミン、トリエタノールアミン、3-ジメチルアミノエタノール等を用いてもよい。なお、泡消火剤は水で1~6質量%に希釈されて利用されることがあるが、水として海水を用い場合には、このような中和剤を用いることが有益である。
【0021】
泡消火剤は、防錆剤を含有してもよい。防錆剤としては、例えば1,2,3-ベンゾトリアゾール、安息香酸Na等を用いてもよい。
【0022】
無機紛体、シリコーン成分、金属石鹸、炭酸塩等が含まれる場合には、泡立ち性が悪くなり、消火性能が悪化するため、本実施の形態の泡消火剤は無機紛体、シリコーン成分、金属石鹸、炭酸塩等を含まない態様としてもよい。
【実施例0023】
泡消火剤を合成海水で3%に希釈し、希釈した溶液をハンドスプレーに充填した。
直径120mmのステンレス容器に水200mL及びヘプタン20mLを投入した後に着火し、予燃として1分放置した後、ハンドスプレーであらゆる方向から泡を吹きかけ、消火時間を測定した。
【0024】
実施例及び比較例における泡消火剤に含まれる成分として、アニオン系界面活性剤としては、ラウリル硫酸トリエタノールアミンを用い、両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミンオキサイドを用いた。溶剤としては、水の他、ブチルカルビトールを用いた。このブチルカルビトールは、発泡向上剤としても機能する。泡持ち性向上のためにミスチルアルコールを用い、中和剤としてトリエタノールアミンを用いた。
【0025】
実施例では、HLBが15以上のノニオン界面活性剤の含有量及び成分を変えつつ、発泡倍率及び25%還元時間を測定した。発泡倍率が高ければ高いほど、また25%還元時間が長ければ長いほど消火性が高くなる。なお表1~5において小数第一位までで示されている数値は小数第二位の値を四捨五入して示している。
【0026】
実施例1~15及び比較例1~4では、ノニオン界面活性剤を5部、10部及び20部で添加している態様を示しているが、質量%で示すと、ノニオン界面活性剤を5部で含有する場合には、ノニオン界面活性剤が4.8質量%で含まれることになり、ノニオン界面活性剤を10部で含有する場合には、ノニオン界面活性剤が9.1質量%で含まれることになり、ノニオン界面活性剤を20部で含有する場合には、ノニオン界面活性剤が16.7質量%で含まれることになる。
【0027】
実施例1~15及び比較例1~4における、その他の成分も質量%で換算すると以下のとおりになる。(合計105部の場合)
ラウリル硫酸トリエタノールアミン:21.0質量%
ラウリルジメチルアミンオキサイド:1.7質量%
ブチルカルビトール:35.2質量%
ミリスチルアルコール:1.0質量%
トリエタノールアミン:1.9質量%
水:34.5質量%
(合計110部の場合)
ラウリル硫酸トリエタノールアミン:20.0質量%
ラウリルジメチルアミンオキサイド:1.6質量%
ブチルカルビトール:33.6質量%
ミリスチルアルコール:0.9質量%
トリエタノールアミン:1.8質量%
水:33.0質量%
(合計120部の場合)
ラウリル硫酸トリエタノールアミン:18.3質量%
ラウリルジメチルアミンオキサイド:1.5質量%
ブチルカルビトール:30.8質量%
ミリスチルアルコール:0.8質量%
トリエタノールアミン:1.7質量%
水:30.2質量%
【0028】
ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル(HLB:15.3)を用い、その含有量を変化させた結果を実施例1~3で示し、ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル(HLB:16.2)を用い、その含有量を変化させた結果を実施例4~6で示す。比較例1ではノニオン界面活性剤が含有されていない態様となっている。比較例1及び後述する比較例2~4と比較して、実施例1~6では、発泡倍率が高くなり、かつ25%還元時間が長くなることを確認でき、消火性が高いことを確認できた。なお、
図1乃至
図6は、実施例1~24及び比較例1~4の結果をグラフにしたものであるので、こちらも参照にされたい。
【表1】
【0029】
ポリオキシエチレン(7~30)ウンデシルエーテル(HLB:16.4)を用い、その含有量を変化させた結果を実施例7~9で示し、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(HLB:16.9)を用い、その含有量を変化させた結果を実施例10~12で示す。実施例7~12でも、比較例1~4と比較して、発泡倍率が高くなり、かつ25%還元時間が長くなることを確認でき、消火性が高いことを確認できた。
【表2】
【0030】
ポリオキシエチレン(50)ステアリルエーテル(HLB:17.8)を用い、その含有量を変化させた結果を実施例13~15で示し、ポリオキシエチレン(20~50)ウンデシルエーテル(HLB:17.9)を用い、その含有量を変化させた結果を実施例16~18で示す。実施例13~18でも、比較例1~4と比較して、発泡倍率が高くなり、かつ25%還元時間が長くなることを確認でき、消火性が高いことを確認できた。
【表3】
【0031】
実施例16~18におけるノニオン界面活性剤を質量%で換算すると以下のとおりになる。
実施例16(合計105部)の場合:3.3質量%
実施例17(合計110部)の場合:6.4質量%
実施例18(合計120部)の場合:11.7質量%
【0032】
ポリオキシエチレン(41)ラウリルエーテル(HLB:18.1)を用い、その含有量を変化させた結果を実施例19~21で示し、ポリオキシエチレン(35~65)ウンデシルエーテル(HLB:18.5)を用い、その含有量を変化させた結果を実施例22~24で示す。実施例19~24でも、比較例1~4と比較して、発泡倍率が高くなり、かつ25%還元時間が長くなることを確認でき、消火性が高いことを確認できた。特に実施例19~24ではノニオン界面活性剤のHLBが18を超えているが、5部含有させるだけで25%還元時間が200秒を超えており、少量の含有量であっても消火性が高いことを確認できた。
【表4】
【0033】
実施例19~24におけるノニオン界面活性剤を質量%で換算すると以下のとおりになる。
実施例19(合計105部)の場合:3.3質量%
実施例20(合計110部)の場合:6.4質量%
実施例21(合計120部)の場合:11.7質量%
実施例22(合計105部)の場合:2.9質量%
実施例23(合計110部)の場合:5.5質量%
実施例24(合計120部)の場合:10.0質量%
【0034】
比較例2乃至4ではHLBが13.6のポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテルの含有量を変化させた。
【表5】
【0035】
ノニオン界面活性剤を5部(4.8質量%)で含有させた際の消火時間を示すと以下のとおりになった。HLBが高ければ高いほど消火時間が短くなる傾向を確認でき、特にHLBが18以上となる場合には消火時間を格段に短くすることができた。また、消火後の泡の写真を
図7で示すが、HLBが高い場合の方が消火後の密封性がよいことも確認できた。
【表6】
【0036】
HLBが18.5からなるノニオン界面活性剤の含有量を変化させた際の消火時間を示すと以下のとおりになった。なおノニオン界面活性剤を2部で含有する場合(実施例25)には、ノニオン界面活性剤が2.0(=2/102)質量%で含まれることになる。
【表7】
【0037】
比較例1乃至4と実施例1乃至24との結果を見れば明らかであるが、HLBが15以上のノニオン界面活性剤を含有させることで、合成海水中においても発泡性と泡持ち性が改善することを確認できた。特にHLB18が以上のノニオン界面活性剤を用いた場合には、少量であっても消火時間を短くすることができた(表7参照)。
【0038】
上述した開示は特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、当該開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。