(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123879
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、印刷装置、及び、媒体搬送方法
(51)【国際特許分類】
B65H 9/14 20060101AFI20240905BHJP
B65H 7/06 20060101ALI20240905BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20240905BHJP
B65H 3/06 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B65H9/14
B65H7/06
B65H5/06 K
B65H3/06 350A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031667
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】隠岐 成弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 恵亮
【テーマコード(参考)】
3F048
3F049
3F102
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048AB10
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3F048BA20
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3F343MA03
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3F343MA54
3F343MB04
3F343MB15
3F343MC10
3F343MC21
3F343MC30
(57)【要約】
【課題】媒体の搬送に要する時間が増加するおそれを低減した媒体搬送装置、印刷装置、及び、媒体搬送方法を提供する。
【解決手段】媒体搬送装置24は、媒体が積載される積載部25と、1回転することによって積載部から媒体を搬送する第1ローラー34と、第1ローラーによって搬送される媒体を搬送する第2ローラー35と、第1ローラーから第2ローラーに到達するまでの間で媒体を検知する検知部と、第1ローラー及び第2ローラーを制御することによって、媒体のスキューを解消するスキュー解消動作を実行する制御部23と、を備え、制御部は、第1ローラーが回転を開始してから検知部が媒体を検知するまでにおける第1ローラーの回転量が閾値以下である場合に、スキュー解消動作を実行し、回転量が閾値よりも大きい場合に、スキュー解消動作を実行しない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が積載される積載部と、
1回転することによって前記積載部から媒体を搬送する第1ローラーと、
前記第1ローラーによって搬送される媒体を搬送する第2ローラーと、
前記第1ローラーから前記第2ローラーに到達するまでの間で媒体を検知する検知部と、
前記第1ローラー及び前記第2ローラーを制御することによって、媒体のスキューを解消するスキュー解消動作を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1ローラーが回転を開始してから前記検知部が媒体を検知するまでにおける前記第1ローラーの回転量が閾値以下である場合に、前記スキュー解消動作を実行し、
前記回転量が前記閾値よりも大きい場合に、前記スキュー解消動作を実行しないことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
媒体が搬送される搬送経路を形成する経路形成部材と、
前記積載部から前記搬送経路に進入する媒体を前記積載部に戻す戻しレバーと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記検知部は、第1検知部であって、
前記媒体搬送装置は、前記第2ローラーによって搬送される媒体を検知する第2検知部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
媒体が積載される積載部と、
1回転することによって前記積載部から媒体を搬送する第1ローラーと、
前記第1ローラーによって搬送される媒体を搬送する第2ローラーと、
前記第2ローラーによって搬送される媒体に印刷する印刷部と、
前記第1ローラーから前記第2ローラーに到達するまでの間で媒体を検知する検知部と、
前記第1ローラー及び前記第2ローラーを制御することによって、媒体のスキューを解消するスキュー解消動作を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1ローラーが回転を開始してから前記検知部が媒体を検知するまでにおける前記第1ローラーの回転量が閾値以下である場合に、前記スキュー解消動作を実行し、
前記回転量が前記閾値よりも大きい場合に、前記スキュー解消動作を実行しないことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
前記検知部は、第1検知部であって、
前記印刷装置は、前記第2ローラーによって搬送される媒体を検知する第2検知部を備え、
前記印刷部は、媒体に液体を吐出するヘッドと、前記ヘッドを搭載し、媒体に対して走査するキャリッジと、を有し、
前記第2検知部は、前記キャリッジに取り付けられることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記閾値は、第1閾値であり、
前記制御部は、
前記第1閾値と、前記第1閾値よりも大きい第2閾値と、を記憶し、
前記回転量が前記第1閾値以下である場合に、前記スキュー解消動作を実行したうえで媒体に印刷し、
前記回転量が前記第1閾値よりも大きい且つ第2閾値以下である場合に、前記スキュー解消動作を実行せずに媒体に印刷し、
前記回転量が前記第2閾値よりも大きい場合に、前記スキュー解消動作を実行しない、且つ、媒体に印刷しないことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
媒体が積載される積載部から媒体を搬送するローラーが回転を開始してから検知部が媒体を検知するまでにおける前記ローラーの回転量が閾値以下である場合に、媒体のスキューを解消することと、
前記回転量が前記閾値よりも大きい場合に、媒体のスキューを解消しないことと、を含むことを特徴とする媒体搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置、印刷装置、及び、媒体搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1回転することによって積載部から媒体を搬送する第1ローラーと、第1ローラーにより搬送される媒体を搬送する第2ローラーとを備える媒体搬送装置が記載されている。媒体搬送装置は、第2ローラーに媒体を突き当てることによって、媒体のスキューを解消する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される媒体搬送装置は、例えばスリップによって第1ローラーによる搬送量が不足する場合に、搬送量の不足に合わせて第1ローラーを再度回転させることによってその不足を補う。そのため、第1ローラーを再度回転させることによって、媒体の搬送に要する時間が長くなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する媒体搬送装置は、媒体が積載される積載部と、1回転することによって前記積載部から媒体を搬送する第1ローラーと、前記第1ローラーによって搬送される媒体を搬送する第2ローラーと、前記第1ローラーから前記第2ローラーに到達するまでの間で媒体を検知する検知部と、前記第1ローラー及び前記第2ローラーを制御することによって、媒体のスキューを解消するスキュー解消動作を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1ローラーが回転を開始してから前記検知部が媒体を検知するまでにおける前記第1ローラーの回転量が閾値以下である場合に、前記スキュー解消動作を実行し、前記回転量が前記閾値よりも大きい場合に、前記スキュー解消動作を実行しない。
【0006】
上記課題を解決する印刷装置は、媒体が積載される積載部と、1回転することによって前記積載部から媒体を搬送する第1ローラーと、前記第1ローラーによって搬送される媒体を搬送する第2ローラーと、前記第2ローラーによって搬送される媒体に印刷する印刷部と、前記第1ローラーから前記第2ローラーに到達するまでの間で媒体を検知する検知部と、前記第1ローラー及び前記第2ローラーを制御することによって、媒体のスキューを解消するスキュー解消動作を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1ローラーが回転を開始してから前記検知部が媒体を検知するまでにおける前記第1ローラーの回転量が閾値以下である場合に、前記スキュー解消動作を実行し、前記回転量が前記閾値よりも大きい場合に、前記スキュー解消動作を実行しない。
【0007】
上記課題を解決する媒体搬送方法は、媒体が積載される積載部から媒体を搬送するローラーが回転を開始してから、検知部が媒体を検知するまでにおけるローラーの回転量が閾値以下である場合に、媒体のスキューを解消することと、前記回転量が前記閾値よりも大きい場合に、媒体のスキューを解消しないことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】媒体搬送装置を備える印刷装置の一実施例を示す斜視図である。
【
図4】第1ローラーについて第1面が分離ローラーに接触し始めるときの位相を示す断面図である。
【
図5】第1ローラーについてホッパーが上昇し終えたときの位相を示す断面図である。
【
図6】第1ローラーについてホッパーが下降し始めるときの位相を示す断面図である。
【
図7】第1ローラーについて第1面が分離ローラーから離れ始めるときの位相を示す断面図である。
【
図8】戻しレバーによって媒体が滑り上がった状態を示す断面図である。
【
図9】
図8に示す状態から媒体を搬送するときの断面図である。
【
図10】搬送動作を含む印刷動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、媒体搬送装置を備える印刷装置の一実施例について図を参照しながら説明する。印刷装置は、例えば、用紙、布帛などの媒体に液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真などの画像を記録するインクジェット式のプリンターである。印刷装置は、インクジェット式に限らず、トナージェット式、ドットインパクト式などのプリンターでもよい。
【0010】
図1に示すように、印刷装置11は、筐体12を備える。筐体12には、供給口13と、排出口14とが開口する。供給口13を通じて、媒体99が筐体12内に供給される。排出口14を通じて、媒体99が筐体12内から排出される。
【0011】
印刷装置11は、操作パネル15を備えてもよい。操作パネル15は、印刷装置11を操作するためのパネルである。操作パネル15は、例えば、筐体12に取り付けられる。操作パネル15は、ボタン、スイッチ、レバー、ディスプレイなどを有してもよい。操作パネル15を通じて、ユーザーは、印刷装置11を操作する。
【0012】
印刷装置11は、排出トレイ16を備えてもよい。排出トレイ16は、排出口14から排出される媒体99を受けるトレイである。排出トレイ16は、排出口14から延びる。排出トレイ16は、筐体12に収容可能に構成されてもよい。
【0013】
図2に示すように、印刷装置11は、印刷部17を備える。印刷部17は、媒体99に印刷するように構成される。一例では、印刷部17は、ヘッド18と、キャリッジ19とを有する。ヘッド18は、媒体99に液体を吐出するように構成される。キャリッジ19は、ヘッド18を搭載する。キャリッジ19は、媒体99に対して走査するように構成される。したがって、一例では、印刷装置11は、シリアルプリンターである。印刷装置11は、媒体99の幅にわたって一斉に液体を吐出可能なラインプリンターでもよい。
【0014】
印刷装置11は、支持部20を備える。支持部20は、媒体99を支持する。詳しくは、支持部20は、印刷部17に印刷される媒体99を支持する。支持部20は、印刷部17と対向する。一例では、支持部20は、印刷部17の下方に位置する。
【0015】
印刷装置11は、排出部21を備える。排出部21は、媒体99を排出するように構成される。排出部21は、排出口14を通じて媒体99を筐体12内から排出する。排出部21は、媒体99の搬送方向において、印刷部17よりも下流に位置する。排出部21は、例えば、1以上の排出ローラー22を含む。排出ローラー22は、印刷済みの媒体99に接触する状態で回転することによって、媒体99を排出する。
【0016】
印刷装置11は、制御部23を備える。制御部23は、印刷装置11を統括的に制御する。制御部23は、例えば、印刷部17、排出部21などを制御する。制御部23は、後述する媒体搬送装置24を制御する。制御部23は、媒体搬送装置24が備える構成であってもよい。制御部23は、媒体搬送装置24において、媒体99の搬送を制御する。制御部23は、媒体搬送装置24において、搬送される媒体99の位置を制御するともいえる。
【0017】
制御部23は、媒体搬送装置24による搬送動作を制御する。印刷装置11による印刷動作を制御する。印刷動作は、搬送動作を含む。搬送動作及び印刷動作については、後で説明する。
【0018】
制御部23は、コンピュータープログラムにしたがって各種処理を実行する1つ以上のプロセッサーで構成されてもよい。制御部23は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路などの1つ以上の専用のハードウェア回路で構成されてもよい。制御部23は、プロセッサー及びハードウェア回路の組み合わせを含む回路として構成されてもよい。プロセッサーは、CPU、並びに、RAM及びROMなどのメモリーを含む。メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は、指令を格納している。メモリー、すなわちコンピューター可読媒体は、汎用又は専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0019】
<媒体搬送装置>
印刷装置11は、媒体搬送装置24を備える。媒体搬送装置24は、媒体99を搬送するように構成される。媒体搬送装置24は、印刷部17に向かって媒体99を供給するように媒体99を搬送する。したがって、媒体搬送装置24は、印刷前の媒体99を搬送する。媒体搬送装置24は、例えば、筐体12に組み込まれる。
【0020】
媒体搬送装置24は、積載部25を備える。積載部25は、媒体99が積載されるように構成される。積載部25には、例えば、複数の媒体99が積層される状態で積載される。複数の媒体99は、積載部25から印刷部17に向かって順次搬送される。
【0021】
積載部25は、供給トレイ26を有する。供給トレイ26には、1以上の媒体99が積載される。供給トレイ26は、供給口13から延びる。一例では、供給トレイ26は、筐体12内から斜め上方に向かって延びる。そのため、媒体99は、供給トレイ26上において、筐体12内に向かって滑り落ちるように移動しやすい。供給トレイ26は、筐体12内に収容可能に構成されてもよい。
【0022】
供給トレイ26は、整合壁27を有してもよい。整合壁27は、供給トレイ26上において複数の媒体99を整合させるための壁である。整合壁27は、供給トレイ26の基端部分に位置する。整合壁27は、供給トレイ26上において媒体99が滑り落ちることによって、媒体99の先端と衝突する。これにより、複数の媒体99は、その先端が揃うように供給トレイ26上において整合する。
【0023】
積載部25は、ホッパー28を有する。ホッパー28は、積載部25において媒体99を持ち上げるように構成される。詳しくは、ホッパー28は、供給トレイ26に積載される媒体99の先端を持ち上げる。ホッパー28は、例えば、供給トレイ26に取り付けられる。ホッパー28は、供給トレイ26の基端部分に位置する。ホッパー28は、媒体99を持ち上げることによって、後述する第1ローラー34に媒体99を接近させる。
【0024】
ホッパー28は、昇降するように構成される。ホッパー28は、供給トレイ26に対して上昇することによって、媒体99を持ち上げる。ホッパー28は、昇降することによって、第1ローラー34に媒体99を接近させる位置と、第1ローラー34から媒体99を離す位置とに変位する。ホッパー28が媒体99を持ち上げることによって、積載部25から媒体99を供給可能となる。
【0025】
ホッパー28は、第1ローラー34の回転と同期する。すなわち、ホッパー28は、第1ローラー34が回転することに伴い昇降するように構成される。ホッパー28は、第1ローラー34の回転とは独立して昇降するように構成されてもよい。
【0026】
積載部25は、エッジガイド29を有してもよい。エッジガイド29は、供給トレイ26に取り付けられる。エッジガイド29は、供給トレイ26に積載される媒体99の側端に接触する。これにより、複数の媒体99は、その側端が揃うように供給トレイ26上において整合する。
【0027】
媒体搬送装置24は、経路形成部材31を備える。経路形成部材31は、搬送経路32を形成する部材である。経路形成部材31は、搬送される媒体99をガイドする。経路形成部材31は、例えば、フレームで構成される。搬送経路32は、媒体99が搬送される経路である。搬送経路32を通じて、積載部25から印刷部17に媒体99が搬送される。搬送経路32は、第1ローラー34から、後述する第2ローラー35までの経路である。
【0028】
媒体搬送装置24は、搬送部33を備える。搬送部33は、媒体99を搬送するように構成される。詳しくは、搬送部33は、積載部25から媒体99を搬送する。搬送部33は、搬送経路32に沿って媒体99を搬送する。搬送部33は、1以上のローラーを含む。搬送部33は、第1ローラー34と、第2ローラー35とを含む。一例では、搬送部33は、第1ローラー34及び第2ローラー35の他に、分離ローラー36と、対向ローラー37とを含む。
【0029】
第1ローラー34は、積載部25から媒体99を搬送するローラーである。第1ローラー34は、積載部25に積載される媒体99に接触する。第1ローラー34は、供給トレイ26に積載される媒体99に接触する。詳しくは、第1ローラー34は、ホッパー28が持ち上げる媒体99の先端に接触する。第1ローラー34は、分離ローラー36と対向する。第1ローラー34及び分離ローラー36は、媒体99を挟む。
【0030】
第1ローラー34は、駆動回転するように構成される。第1ローラー34は、1回転することによって、媒体99を1枚ずつ搬送する。第1ローラー34は、1回転することによって、媒体99を第2ローラー35に到達させる。
【0031】
図3に示すように、第1ローラー34は、その軸方向から見た場合に、D字形状となるローラーである。第1ローラー34は、搬送に寄与する第1面38と、搬送に寄与しない第2面39とを有する。一例では、第1ローラー34の周面は、第1面38及び第2面39によって構成される。
【0032】
第1面38は、湾曲面である。第2面39は、平面である。第1面38は、第1ローラー34が回転する過程で媒体99に接触する。第2面39は、第1ローラー34が回転する過程で媒体99に接触しない。詳しくは、第1面38は、分離ローラー36に接触する。第2面39は、分離ローラー36に接触しない。第1ローラー34は、通常、第2面39が分離ローラー36を向く位相で待機する。第1ローラー34において、第2面39が分離ローラー36を向く位相が基準位相である。
【0033】
第1ローラー34の回転方向における第1面38の全長は、周長X1である。第1ローラー34が1回転することによって搬送される媒体99の進行可能な距離は、搬送可能量A1である。したがって、搬送可能量A1は、最大で周長X1である。しかし、一例では、搬送可能量A1は、周長X1よりも小さい。これは、第1面38が分離ローラー36に接触している期間よりも、ホッパー28が上昇している期間が短いためである。
【0034】
図4及び
図5に示すように、第1面38が分離ローラー36に接触した後にホッパー28が上昇するように、第1ローラー34及びホッパー28が同期する。これにより、ホッパー28によって持ち上げられた媒体99が搬送経路32に滑り落ちるおそれが低減される。仮に、第1面38が分離ローラー36と接触する前にホッパー28が上昇すると、ホッパー28に持ち上げられた媒体99が搬送経路32に滑り落ちるおそれがある。すなわち、媒体99が第1ローラー34と分離ローラー36との間に進入するおそれがある。この場合、媒体99を精度よく搬送できないおそれがある。
【0035】
図6及び
図7に示すように、第1面38が分離ローラー36から離れる前にホッパー28が下降するように、第1ローラー34及びホッパー28が同期する。これにより、ホッパー28によって持ち上げられた媒体99が搬送経路32に滑り落ちるおそれが低減される。仮に、第1面38が分離ローラー36から離れた後にホッパー28が下降すると、ホッパー28に持ち上げられた媒体99が搬送経路32に滑り落ちるおそれがある。よって、一例では、搬送可能量A1は、ホッパー28が上昇し終えてから第1面38が分離ローラー36から離れるまでにおける、第1ローラー34の回転量である。第1ローラー34の回転量は、第1ローラー34の径と、第1ローラー34の回転角度とで示される量である。
【0036】
図3に示すように、第2ローラー35は、第1ローラー34によって搬送される媒体99を搬送するローラーである。したがって、第2ローラー35は、搬送方向において第1ローラー34よりも下流に位置する。第2ローラー35は、搬送方向において、第1ローラー34と印刷部17との間に位置する。第2ローラー35は、対向ローラー37と対向する。第2ローラー35及び対向ローラー37は、媒体99を挟む状態で回転することによって、媒体99を搬送する。媒体99は、第2ローラー35により搬送されることによって、印刷部17に印刷される。
【0037】
第2ローラー35は、駆動回転するように構成される。第2ローラー35は、逆回転するように構成されてもよい。すなわち、第2ローラー35は、媒体99を積載部25に向けて搬送するように回転してもよい。
【0038】
第2ローラー35は、スキューを解消するローラーである。スキューとは、媒体99の傾きを示す。積載部25から媒体99を搬送するにあたっては、媒体99が傾いた状態で搬送されることがある。そのため、第2ローラー35は、そうしたスキューを解消するように構成される。スキューは、制御部23が第1ローラー34及び第2ローラー35を制御することによって、解消される。すなわち、制御部23は、第1ローラー34及び第2ローラー35を制御することによって、スキュー解消動作を実行する。
【0039】
第2ローラー35は、自身に媒体99を突き当てさせることによって、媒体99のスキューを解消する。詳しくは、第2ローラー35と対向ローラー37とのニップ点に媒体99が突き当てられる。媒体99の先端が第2ローラー35に突き当たる状態で媒体99を撓ませることによって、媒体99の先端が第2ローラー35の周面に沿う。これにより、スキューが解消される。
【0040】
第2ローラー35は、逆回転することによって、スキューを解消する。詳しくは、第2ローラー35及び対向ローラー37が媒体99を挟む状態で、第2ローラー35が逆回転することによって、スキューが解消される。媒体99は、第1ローラー34により搬送されることによって、第2ローラー35及び対向ローラー37に挟まれる。その後、第1ローラー34が停止する状態で、第2ローラー35が逆回転する。これにより、媒体99は、第2ローラー35及び対向ローラー37に挟まれる状態から、第2ローラー35に突き当たる状態に変化する。このとき、媒体99は、第1ローラー34及び分離ローラー36に挟まれているため、撓む状態となる。このようにして、スキューが解消される。
【0041】
第2ローラー35は、回転が停止する状態で媒体99が突き当てられることによって、スキューを解消してもよい。媒体99は、第1ローラー34により搬送されることによって、第2ローラー35に突き当てられる。媒体99は、第1ローラー34によりさらに搬送されることによって、撓む状態となる。このようにして、スキューが解消される。
【0042】
スキューを解消する場合には、スキューを解消しない場合と比べて、媒体99が撓む状態で媒体99を第2ローラー35に突き当てる必要があるため、第1ローラー34により媒体99を大きく搬送する必要がある。すなわち、スキューを解消する場合、スキューを解消しない場合と比べて、第1ローラー34により媒体99を大きく進行させる必要がある。したがって、スキューを解消する場合、スキューを解消しない場合と比べて、大きな搬送量が求められる。
【0043】
第1ローラー34が1回転することによって、第1ローラー34から第2ローラー35に媒体99が到達する必要がある。搬送経路32の全長は、経路長L1である。すなわち、第1ローラー34が1回転することによって、少なくとも経路長L1を媒体99が進行する必要がある。そのため、第1ローラー34には、少なくとも経路長L1を媒体99に進行させる搬送量が求められる。したがって、周長X1は、経路長L1よりも大きい。詳しくは、搬送可能量A1は、経路長L1よりも大きい。
【0044】
スキューを解消する場合には、媒体99を撓ませるために、経路長L1よりも大きい距離を媒体99に進行させる必要がある。すなわち、第1ローラー34が1回転することによって、第1ローラー34から第2ローラー35に媒体99を到達させる、且つ、媒体99を第2ローラー35に突き当てた状態で撓ませる必要がある。そのため、第1ローラー34には、経路長L1を媒体99に進行させる搬送量と、スキューを解消するために必要な搬送量とが求められる。スキューを解消するために必要な搬送量は、スキュー解消量B1である。したがって、周長X1は、経路長L1とスキュー解消量B1との合計量よりも大きい。詳しくは、搬送可能量A1は、経路長L1とスキュー解消量B1との合計量よりも大きい。
【0045】
第1ローラー34による媒体99の搬送開始時には、媒体99に対して第1ローラー34が滑ることがある。この場合、第1ローラー34の回転量に対する媒体99の搬送量が減少する。そのため、第1ローラー34には、媒体99に対する滑りを考慮した搬送量が求められる。媒体99に対して第1ローラー34が滑る回転量は、スリップ量C1である。したがって、周長X1が経路長L1とスキュー解消量B1とスリップ量C1との合計量よりも大きい場合に、スキューが解消された状態で媒体99が第2ローラー35に到達する。詳しくは、搬送可能量A1が経路長L1とスキュー解消量B1とスリップ量C1の合計量よりも大きい場合に、スキューが解消された状態で媒体99が第2ローラー35に到達する。
【0046】
図5及び
図6に示すように、分離ローラー36は、媒体99を1枚ずつに分離させるローラーである。分離ローラー36は、第1ローラー34に対して従動回転する。分離ローラー36は、例えば、媒体99に対する分離ローラー36の摩擦係数が、媒体99に対する第1ローラー34の摩擦係数よりも大きくなるように構成される。第1ローラー34と分離ローラー36との間に2枚の媒体99が進入した場合、2枚のうち第1ローラー34と接触する1枚の媒体99のみが搬送される。このようにして、分離ローラー36は、媒体99を1枚ずつに分離させる。分離ローラー36は、トルクリミッターを有することによって、媒体99を1枚ずつに分離させてもよい。媒体搬送装置24は、分離ローラー36に代えて、分離パッドを備えてもよい。
【0047】
図3に示すように、媒体搬送装置24は、戻しレバー41を備える。戻しレバー41は、積載部25から搬送経路32に進入する媒体99を積載部25に戻すレバーである。戻しレバー41は、媒体99の先端に接触することによって、媒体99を積載部25に戻す。例えば、第1ローラー34と分離ローラー36との間に2枚の媒体99が進入した場合、2枚の媒体99は、分離ローラー36によって1枚ずつに分離される。このとき、1枚の媒体99は第1ローラー34により搬送されるが、もう1枚の媒体99は第1ローラー34と分離ローラー36との間に残る。戻しレバー41は、こうした媒体99を積載部25に戻す。
【0048】
戻しレバー41は、搬送経路32を塞ぐ位置と、搬送経路32から退避する位置とに変位するように構成される。
図3に示す戻しレバー41は、搬送経路32を塞ぐ位置に位置する。戻しレバー41は、搬送経路32から退避する位置から搬送経路32を塞ぐ位置に変位することによって、媒体99を戻す。このとき、戻しレバー41は、搬送方向において下流から上流に向かうように変位する。戻しレバー41は、媒体99の先端を積載部25に向けて押す。これにより、媒体99が積載部25に戻る。
【0049】
図3、
図4、
図5、
図6、及び、
図7に示すように、戻しレバー41は、第1ローラー34と同期する。すなわち、戻しレバー41は、第1ローラー34が回転することに伴い変位する。戻しレバー41は、例えば、第1面38が分離ローラー36に接触した後に搬送経路32から退避する位置に変位するように、第1ローラー34と同期する。これは、ホッパー28と同様に、第1面38が分離ローラー36に接触する前に戻しレバー41が搬送経路32から退避すると、搬送経路32に媒体99が進入するおそれがあるためである。戻しレバー41は、例えば、第1面38が分離ローラー36から離れる前に搬送経路32を塞ぐ位置に変位するように、第1ローラー34と同期する。これは、ホッパー28と同様に、第1面38が分離ローラー36と離れた後に戻しレバー41が搬送経路32を塞ぐ位置に変位すると、搬送経路32に媒体99が進入するおそれがあるためである。
【0050】
図8及び
図9に示すように、戻しレバー41が媒体99を戻すことによって、媒体99が積載部25において滑り上がることがある。媒体99が整合壁27に接触しない状態で積載部25に戻されることがある。この場合、例えば2枚目の媒体99が第1ローラー34に搬送されることによって、1枚目の媒体99が第1ローラー34に接近する。1枚目の媒体99が第1ローラー34に接触すると、その媒体99が搬送される。すなわち、滑り上がった量だけ搬送が遅れる。
【0051】
戻しレバー41によって媒体99が滑り上がると、第1ローラー34の回転量に対する媒体99の搬送量が減少する。そのため、第1ローラー34には、戻しレバー41による媒体99の滑り上がりを考慮した搬送量が求められる。戻しレバー41による媒体99の滑り上がり量は、ジャンプ量D1である。したがって、周長X1が経路長L1とスキュー解消量B1とスリップ量C1とジャンプ量D1の合計量よりも大きい場合に、スキューが解消されたうえで媒体99が第2ローラー35に到達する。詳しくは、搬送可能量A1が経路長L1とスキュー解消量B1とスリップ量C1とジャンプ量D1との合計量よりも大きい場合に、スキューが解消されたうえで媒体99が第2ローラー35に到達する。
【0052】
スキューが解消されたうえで媒体99が第2ローラー35に到達する搬送可能量A1の条件は、「L1<A1-B1-C1-D1」で示される。スキュー解消量B1は一定であるが、スリップ量C1及びジャンプ量D1はそれぞれ変動する。そのため、スリップ量C1及びジャンプ量D1の合計が大きいと、「L1<A1-B1-C1-D1」が成立しないことがある。一方、スキューが解消されずに媒体99が第2ローラー35に到達する搬送可能量A1の条件は、「L1<A1-C1-D1」で示される。したがって、スリップ量C1及びジャンプ量D1の合計が大きい場合には、スキューを解消しないことによって、媒体99を第2ローラー35に到達させることができる。
【0053】
図2に示すように、媒体搬送装置24は、1以上の検知部を備える。一例では、媒体搬送装置24は、第1検知部42と、第2検知部43とを備える。検知部は、媒体99を検知するように構成される。
【0054】
第1検知部42は、搬送経路32を搬送される媒体99を検知する。詳しくは、第1検知部42は、第1ローラー34から第2ローラー35に到達するまでの間で媒体99を検知する。第1検知部42は、搬送方向において、第1ローラー34と第2ローラー35との間で媒体99を検知する。第1検知部42は、媒体99に接触することによって、媒体99を検知する。第1検知部42は、搬送経路32を搬送される媒体99の先端に接触するように位置する。
【0055】
第2検知部43は、第2ローラー35によって搬送される媒体99を検知する。第2検知部43は、搬送方向において、第2ローラー35よりも下流に位置する。一例では、第2検知部43は、キャリッジ19に取り付けられる。第2検知部43は、例えば、光学式センサーである。第2検知部43は、支持部20上に位置する媒体99を検知する。第2検知部43は、キャリッジ19が媒体99に対して走査することによって、媒体99を検知する。第2検知部43は、媒体99の先端を検知してもよいし、媒体99の側端を検知してもよい。
【0056】
<制御部による制御>
次に、制御部23による制御について説明する。制御部23は、第1ローラー34の回転量と、閾値とに基づいて、媒体99の搬送を制御する。制御部23は、第1ローラー34の回転量と、閾値とに基づいて、スキュー解消動作を実行する。
【0057】
制御部23は、第1ローラー34が回転を開始してから第1検知部42が媒体99を検知するまでにおける第1ローラー34の回転量をカウントする。制御部23は、例えば、第1ローラー34を回転させるための駆動パルスをカウントすることによって、第1ローラー34の回転量をカウントする。
【0058】
制御部23は、1以上の閾値を記憶する。制御部23は、第1閾値と、第2閾値とを記憶する。閾値は、例えば、駆動パルスの数を示す。第2閾値は、第1閾値よりも大きい値を示す。
【0059】
制御部23は、カウントした回転量が閾値以下であるか、閾値よりも大きいかを判定する。回転量が閾値以下である場合、閾値が示すパルス数以下のパルス数による回転量で、媒体99が第1検知部42に到達したことを示す。回転量が閾値よりも大きい場合、閾値が示すパルス数よりも大きいパルス数による回転量で、媒体99が第1検知部42に到達したことを示す。すなわち、制御部23は、回転量及び閾値を比較することによって、回転量に対して搬送量が十分であるか否かを判定する。
【0060】
制御部23は、回転量が第1閾値以下である場合に、スキューを解消するための回転量が確保できると判定する。制御部23は、回転量が第1閾値よりも大きい場合に、スキューを解消するための回転量が確保できないと判定する。すなわち、第1閾値は、媒体99が第1検知部42に検知された時点において、スキューを解消するための回転量が確保できることを示す閾値である。第1ローラー34が1回転するためのパルス数は、固定である。そのため、媒体99が第1検知部42に検知された時点のパルス数が大きいと、残りのパルス数ではスキューを解消したうえで媒体99を第2ローラー35に到達させることができないおそれがある。したがって、第1閾値は、「L1<A1-B1-C1-D1」の条件を示す。
【0061】
制御部23は、回転量が第1閾値以下である場合に、スキュー解消動作を実行する。このとき、制御部23は、スキュー解消動作を実行したうえで、媒体99に印刷する。制御部23は、回転量が第1閾値よりも大きい場合に、スキュー解消動作を実行しない。このとき、制御部23は、スキュー解消動作を実行せずに、媒体99に印刷する。したがって、媒体搬送方法は、回転量が第1閾値以下である場合にスキューを解消することと、回転量が第1閾値よりも大きい場合にスキューを解消しないことと、を含む。
【0062】
制御部23は、回転量が第2閾値以下である場合に、媒体99を第2ローラー35に到達させるための回転量が確保できると判定する。制御部23は、回転量が第2閾値よりも大きい場合に、媒体99を第2ローラー35に到達させるための回転量が確保できないと判定する。第2閾値は、媒体99が第1検知部42に検知された時点において、媒体99を第2ローラー35に到達させるための回転量が確保できるかを示す閾値である。媒体99が第1検知部42に検知された時点のパルス数が大きいと、残りのパルス数では媒体99を第2ローラー35に到達させることができないおそれがある。したがって、第2閾値は、「L1<A1-C1-D1」の条件を示す。
【0063】
制御部23は、回転量が第2閾値よりも大きい場合に、媒体99に印刷できないと判定する。すなわち、制御部23は、「L1<A1-C1-D1」が成立しない場合、媒体99に印刷せずに、媒体99をそのまま排出する。スリップ量C1及びジャンプ量D1の合計が大きい場合、「L1<A1-C1-D1」が成立しないこともある。すなわち、第1ローラー34が1回転するだけでは、第2ローラー35に媒体99が到達しないことがある。第1ローラー34は、1回転すると、基準位相に戻る。このとき、第1ローラー34と分離ローラー36とによる媒体99の挟み込みが解除される。そのため、媒体99が搬送経路32で移動するおそれがある。この場合、媒体搬送装置24においては、媒体99の位置が把握できないため、媒体99を精度よく搬送できないおそれがある。印刷装置11においては、媒体99の位置が把握できないため、支持部20に対して印刷を開始するおそれがある。
【0064】
制御部23は、回転量が第1閾値よりも大きい且つ第2閾値以下である場合に、スキュー解消動作を実行せずに媒体99に印刷する。制御部23は、回転量が第2閾値よりも大きい場合に、スキュー解消動作を実行しない、且つ、媒体99に印刷しない。このとき、制御部23は、媒体99をそのまま排出する。
【0065】
次に、搬送動作を含む印刷動作の一例について説明する。印刷動作は、制御部23が印刷装置11を制御することによって実行される。制御部23は、印刷を開始する指示が入力されることによって、印刷動作を開始する。すなわち、制御部23は、搬送を開始する指示が入力されることによって、搬送動作を開始する。
【0066】
図10に示すように、制御部23は、ステップS11において、第1ローラー34の回転を開始する。このとき、ホッパー28及び戻しレバー41は、第1ローラー34の位相に合わせて駆動する。制御部23は、第1ローラー34の回転を開始することに伴い、第1ローラー34を回転させる駆動パルスの数をカウントする。制御部23は、第1ローラー34が1回転するたびに、カウントしたパルス数をリセットする。制御部23は、ステップS11において、第2ローラー35の回転を開始してもよい。
【0067】
制御部23は、ステップS12において、第1検知部42が媒体99を検知したか否かを判定する。制御部23は、第1検知部42が媒体99を検知するまで、ステップS12の処理を繰り返す。第1ローラー34が所定回数以上回転しても第1検知部42が媒体99を検知しない場合には、制御部23は、エラーを報知してもよい。第1検知部42が媒体99を検知すると、制御部23は、ステップS13に処理を移行する。このとき、制御部23は、第1ローラー34が回転を開始してから第1検知部42が媒体99を検知するまでにおける第1ローラー34の回転量を取得する。
【0068】
制御部23は、ステップS13において、第1ローラー34の回転量が第2閾値以下であるか否かを判定する。回転量が第2閾値よりも大きい場合、制御部23は、ステップS14に処理を移行する。回転量が第2閾値以下である場合、制御部23は、ステップS15に処理を移行する。
【0069】
制御部23は、ステップS14において、排出動作を実行する。詳しくは、制御部23は、媒体99に印刷せずに、媒体99を排出させる。このとき、制御部23は、第1ローラー34を基準位相まで回転させたのち、第2ローラー35を回転させる。その後、制御部23は、排出部21を駆動させることによって、媒体99を排出する。制御部23は、ステップS14の処理を終えると、印刷動作及び搬送動作を終了する。
【0070】
制御部23は、ステップS15において、第1ローラー34の回転量が第1閾値以下であるか否かを判定する。回転量が第1閾値以下である場合、制御部23は、ステップS16に処理を移行する。回転量が第1閾値よりも大きい場合、制御部23は、ステップS17に処理を移行する。
【0071】
制御部23は、ステップS16において、スキュー解消動作を実行する。このとき、制御部23は、第1ローラー34及び第2ローラー35を回転させることによって、第2ローラー35及び対向ローラー37に媒体99を挟ませる。次に、制御部23は、第1ローラー34を停止させ、第2ローラー35を逆回転させる。これにより、スキューが解消される。その後、制御部23は、第1ローラー34を基準位相まで回転させるとともに、第2ローラー35を回転させる。これにより、媒体99が支持部20に搬送される。
【0072】
制御部23は、ステップS17において、第2検知部43が媒体99を検知したか否かを判定する。制御部23は、第2検知部43が媒体99を検知するまで、ステップS17の処理を繰り返す。第2検知部43が媒体99を検知すると、制御部23は、ステップS18に処理を移行する。所定時間が経過しても第2検知部43が媒体99を検知しない場合には、制御部23は、エラーを報知してもよい。制御部23は、ステップS17の処理を終えると、搬送動作を終了する。すなわち、搬送動作は、ステップS11からステップS17までの処理である。
【0073】
制御部23は、ステップS18において、印刷を開始する。制御部23は、印刷しながら、媒体99を排出する。制御部23は、印刷を終えると、印刷動作を終了する。
ステップS17の処理は、ステップS18の処理の後に実行されてもよい。すなわち、制御部23は、印刷を開始してから第2検知部43によって媒体99を検知させるように制御してもよい。これにより、印刷を素早く開始できる。印刷を開始しても第2検知部43が媒体99を検知しない場合、制御部23は、印刷を中止してもよい。これにより、支持部20の汚損が最小限に抑えられる。
【0074】
<作用及び効果>
次に、上記実施例の作用及び効果について説明する。
(1)制御部23は、第1ローラー34が回転を開始してから第1検知部42が媒体99を検知するまでにおける第1ローラー34の回転量が閾値以下である場合に、スキュー解消動作を実行する。制御部23は、回転量が前記閾値よりも大きい場合に、スキュー解消動作を実行しない。
【0075】
上記構成によれば、第1ローラー34の回転量が閾値よりも大きい場合、すなわち第1ローラー34による搬送量が不足する場合に、スキュー解消動作を実行しない。この場合、媒体99の先端を第2ローラー35に突き当てる必要がないため、スキュー解消動作を実行する場合と比べて、第1ローラー34による搬送量が小さくて済む。そのため、第1ローラー34は、1回転することによって、媒体99を十分に搬送できる。したがって、媒体99の搬送に要する時間が増加するおそれが低減される。
【0076】
(2)媒体搬送装置24は、媒体99が搬送される搬送経路32を形成する経路形成部材31と、積載部25から搬送経路32に進入する媒体99を積載部25に戻す戻しレバー41と、を備える。
【0077】
積載部25に積載される複数の媒体99のうち、1枚目の媒体99が第1ローラー34によって積載部25から搬送経路32に搬送されることに伴い、2枚目の媒体99が搬送経路32に進入することがある。第1ローラー34が回転する前に媒体99が搬送経路32に進入していると、媒体99を精度よく搬送できないおそれがある。上記構成によれば、戻しレバー41が媒体99を積載部25に戻すことによって、媒体99を精度よく搬送できる。
【0078】
(3)媒体搬送装置24は、第2ローラー35によって搬送される媒体99を検知する第2検知部43を備える。上記構成によれば、第2検知部43の検知結果によって、媒体99を精度よく搬送できる。
【0079】
(4)第2検知部43は、キャリッジ19に取り付けられる。上記構成によれば、キャリッジ19の移動によって、第2検知部43が媒体99の先端を検知したり、媒体99の側端を検知したりできる。これにより、媒体99を精度よく搬送できる。
【0080】
(5)制御部23は、回転量が第1閾値以下である場合に、スキュー解消動作を実行したうえで媒体99に印刷する。制御部23は、回転量が第1閾値よりも大きい且つ第2閾値以下である場合に、スキュー解消動作を実行せずに媒体99に印刷する。制御部23は、回転量が第2閾値よりも大きい場合に、スキュー解消動作を実行しない、且つ、媒体99に印刷しない。
【0081】
回転量が第2閾値よりも大きい場合、スキュー解消動作を実行せずとも第1ローラー34による搬送量が不足するおそれがある。この場合、媒体99が印刷部17に到達していないにもかかわらず印刷部17が印刷を開始することによって、印刷装置11内が汚損されるおそれがある。上記構成によれば、回転量が第2閾値よりも大きい場合、媒体99に印刷しないため、印刷装置11内が汚損されるおそれが低減される。
【0082】
<変更例>
上記実施例は、以下のように変更して実施できる。上記実施例及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0083】
・搬送動作において、制御部23は、回転量を第2閾値と比較する前に、回転量を第1閾値と比較してもよい。この場合、制御部23は、例えば、回転量と第1閾値との比較結果をフラグとして記憶してもよい。制御部23は、ステップS15においてそのフラグを参照することによって、スキュー解消動作を実行するか否かを決定してもよい。
【0084】
・ヘッド18が吐出する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、ヘッド18が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材、又は、画素材料などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を吐出してもよい。
【0085】
<技術的思想>
以下に、上述した実施例及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0086】
(A)媒体搬送装置は、媒体が積載される積載部と、1回転することによって前記積載部から媒体を搬送する第1ローラーと、前記第1ローラーによって搬送される媒体を搬送する第2ローラーと、前記第1ローラーから前記第2ローラーに到達するまでの間で媒体を検知する検知部と、前記第1ローラー及び前記第2ローラーを制御することによって、媒体のスキューを解消するスキュー解消動作を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1ローラーが回転を開始してから前記検知部が媒体を検知するまでにおける前記第1ローラーの回転量が閾値以下である場合に、前記スキュー解消動作を実行し、前記回転量が前記閾値よりも大きい場合に、前記スキュー解消動作を実行しない。
【0087】
上記構成によれば、第1ローラーの回転量が閾値よりも大きい場合、すなわち第1ローラーによる搬送量が不足する場合に、スキュー解消動作を実行しない。この場合、媒体の先端を第2ローラーに突き当てる必要がないため、スキュー解消動作を実行する場合と比べて、第1ローラーによる搬送量が小さくて済む。そのため、第1ローラーは、1回転することによって、媒体を十分に搬送できる。したがって、媒体の搬送に要する時間が増加するおそれが低減される。
【0088】
(B)上記媒体搬送装置は、媒体が搬送される搬送経路を形成する経路形成部材と、前記積載部から前記搬送経路に進入する媒体を前記積載部に戻す戻しレバーと、を備えてもよい。
【0089】
積載部に積載される複数の媒体のうち、1枚目の媒体が第1ローラーによって積載部から搬送経路に搬送されることに伴い、2枚目の媒体が搬送経路に進入することがある。第1ローラーが回転する前に媒体が搬送経路に進入していると、媒体の搬送を精度よく制御できないおそれがある。上記構成によれば、戻しレバーが媒体を積載部に戻すことによって、媒体を精度よく搬送できる。
【0090】
(C)上記媒体搬送装置において、前記検知部は、第1検知部であって、前記媒体搬送装置は、前記第2ローラーによって搬送される媒体を検知する第2検知部を備えてもよい。上記構成によれば、第2検知部の検知結果によって、媒体を精度よく搬送できる。
【0091】
(D)印刷装置は、媒体が積載される積載部と、1回転することによって前記積載部から媒体を搬送する第1ローラーと、前記第1ローラーによって搬送される媒体を搬送する第2ローラーと、前記第2ローラーによって搬送される媒体に印刷する印刷部と、前記第1ローラーから前記第2ローラーに到達するまでの間で媒体を検知する検知部と、前記第1ローラー及び前記第2ローラーを制御することによって、媒体のスキューを解消するスキュー解消動作を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1ローラーが回転を開始してから前記検知部が媒体を検知するまでにおける前記第1ローラーの回転量が閾値以下である場合に、前記スキュー解消動作を実行し、前記回転量が前記閾値よりも大きい場合に、前記スキュー解消動作を実行しない。上記構成によれば、上述した媒体搬送装置と同様の効果が得られる。
【0092】
(E)上記印刷装置において、前記検知部は、第1検知部であって、前記印刷装置は、前記第2ローラーによって搬送される媒体を検知する第2検知部を備え、前記印刷部は、媒体に液体を吐出するヘッドと、前記ヘッドを搭載し、媒体に対して走査するキャリッジと、を有し、前記第2検知部は、前記キャリッジに取り付けられてもよい。上記構成によれば、キャリッジの移動によって、第2検知部が媒体の先端を検知したり、媒体の側端を検知したりできる。これにより、媒体を精度よく搬送できる。
【0093】
(F)上記印刷装置において、前記閾値は、第1閾値であり、前記制御部は、前記第1閾値と、前記第1閾値よりも大きい第2閾値と、を記憶し、前記回転量が前記第1閾値以下である場合に、前記スキュー解消動作を実行したうえで媒体に印刷し、前記回転量が前記第1閾値よりも大きい且つ第2閾値以下である場合に、前記スキュー解消動作を実行せずに媒体に印刷し、前記回転量が前記第2閾値よりも大きい場合に、前記スキュー解消動作を実行しない、且つ、媒体に印刷しなくてもよい。
【0094】
回転量が第2閾値よりも大きい場合、スキュー解消動作を実行せずとも第1ローラーによる搬送量が不足するおそれがある。この場合、媒体が印刷部に到達していないにもかかわらず印刷部が印刷を開始することによって、印刷装置内が汚損されるおそれがある。上記構成によれば、回転量が第2閾値よりも大きい場合、媒体に印刷しないため、印刷装置内が汚損されるおそれが低減される。
【0095】
(G)媒体搬送方法は、媒体が積載される積載部から媒体を搬送するローラーが回転を開始してから検知部が媒体を検知するまでにおける前記ローラーの回転量が閾値以下である場合に、媒体のスキューを解消することと、前記回転量が前記閾値よりも大きい場合に、媒体のスキューを解消しないことと、を含む。上記方法によれば、上述した媒体搬送装置と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0096】
11…印刷装置、12…筐体、13…供給口、14…排出口、15…操作パネル、16…排出トレイ、17…印刷部、18…ヘッド、19…キャリッジ、20…支持部、21…排出部、22…排出ローラー、23…制御部、24…媒体搬送装置、25…積載部、26…供給トレイ、27…整合壁、28…ホッパー、29…エッジガイド、31…経路形成部材、32…搬送経路、33…搬送部、34…第1ローラー、35…第2ローラー、36…分離ローラー、37…対向ローラー、38…第1面、39…第2面、41…レバー、42…第1検知部、43…第2検知部、99…媒体、A1…搬送可能量、B1…スキュー解消量、C1…スリップ量、D1…ジャンプ量、L1…経路長、X1…周長。